JP6915453B2 - 炭素微粒子分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素微粒子分散液に関する。
カーボンブラック等の炭素微粒子を含む導電性ペーストは、帯電防止膜、電極材料、半導体材料、インキ組成物など、様々な分野で用いられている。例えば、電極に用いられる集電体の表面保護や導電性向上を目的として、集電体上に炭素微粒子とバインダー成分とを含む導電性ペーストを塗布し、乾燥させて導電膜を形成することがある。
炭素微粒子は凝集しやすく、分散性に劣る。そこで、導電性ペーストにアニオン性高分子分散剤を配合して炭素微粒子の分散性を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2015−128006号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、アニオン性高分子分散剤を配合した導電性ペーストを集電体などの金属基板上に塗布すると、金属基板が腐食しやすかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、炭素微粒子の分散性が良好であり、かつ金属基板に対する腐食性が低い炭素微粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 炭素微粒子と、下記一般式(1)で表される単位を有するアニリン系ポリマーと、溶剤とを含有する、炭素微粒子分散液。
Figure 0006915453
式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれ、R〜Rのうちの少なくとも1つは酸性基である。ここで、酸性基とはスルホン酸基またはカルボキシ基である。
[2] 前記アニリン系ポリマーの含有量が、前記炭素微粒子100質量部に対して1〜100質量部である、[1]に記載の炭素微粒子分散液。
[3] 前記アニリン系ポリマーの原料モノマーの含有量が300質量ppm以下である、[1]または[2]に記載の炭素微粒子分散液。
本発明の炭素微粒子分散液は、炭素微粒子の分散性が良好であり、かつ金属基板に対する腐食性が低い。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「炭素微粒子」とは、実質的に炭素のみからなる微粒子のことである。
また、本発明において「水溶性」および「溶解性」とは、水、または水と水溶性有機溶剤との混合溶剤10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
[炭素微粒子分散液]
本発明の炭素微粒子分散液は、炭素微粒子と、アニリン系ポリマーと、溶剤とを含有する。
<炭素微粒子>
炭素微粒子としては、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
炭素微粒子の体積平均粒子径は、0.5〜1000nmが好ましく、1〜500nmがより好ましい。
なお、炭素微粒子の体積平均粒子径は一次粒子径である。
炭素微粒子の体積平均粒子径は、レーザ回析式粒度分布測定装置で測定される。
炭素微粒子の含有量は、炭素微粒子分散液の総質量に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。炭素微粒子の含有量が、0.1質量%以上であれば導電性が高まり、20質量%以下であれば成膜しやすくなる。
<アニリン系ポリマー>
アニリン系ポリマーは、下記一般式(1)で表される単位を有する。アニリン系ポリマーは水溶性であり、水への溶解性に優れる。
炭素微粒子分散液がアニリン系ポリマーを含有することで、炭素微粒子の分散性が高まる。
Figure 0006915453
式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれ、R〜Rのうちの少なくとも1つは酸性基である。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基(−SOH)またはカルボキシ基(−COOH)である。
なお、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−RSOH)や、スルホン酸基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、または置換アンモニウム塩なども含まれる。
一方、カルボキシ基には、カルボキシ基を有する置換基(−RCOOH)や、カルボキシ基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩または置換アンモニウム塩なども含まれる。
前記Rは炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。
酸性基としてはスルホン酸基が好ましい。
前記一般式(1)で表される単位としては、製造が容易な点で、R〜Rのうち、いずれか1つが炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基であり、他のいずれか1つがスルホン酸基であり、残りが水素原子であるものが好ましい。
アニリン系ポリマーは、pHに関係なく水への溶解性に優れる観点から、アニリン系ポリマーを構成する全単位(100mol%)のうち、前記一般式(1)で表される単位を10〜100mol%含有することが好ましく、50〜100mol%含有することがより好ましく、100mol%含有することが特に好ましい。
また、アニリン系ポリマーは、前記一般式(1)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
また、アニリン系ポリマーは、溶解性向上の観点から、芳香環に対する酸性基の含有率が70%以上であるものが好ましく、80%以上であるものがより好ましく、90%以上であるものが特に好ましい。
さらに、アニリン系ポリマーは、前記一般式(1)で表される単位以外の構成単位として、溶解性等に影響を及ぼさない限り、置換または無置換のアニリン、チオフェン、ピロール、フェニレン、ビニレン、二価の不飽和基、二価の飽和基からなる群より選ばれる1種以上の単位を含んでいてもよい。
アニリン系ポリマーとしては、高い溶解性を発現できる観点から、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 0006915453
式(2)中、R〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれ、R〜R21のうち少なくとも1つは酸性基である。また、nは重合度を示す。
前記一般式(2)で表される構造を有する化合物の中でも、溶解性に優れる点で、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)、ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)が特に好ましい。
アニリン系ポリマーの質量平均分子量は、3000〜1000000が好ましく、5000〜80000がより好ましく、10000〜70000が特に好ましい。
ここで、アニリン系ポリマーの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
(アニリン系ポリマーの製造方法)
アニリン系ポリマーは公知の方法で製造できる。例えば、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(原料モノマー)を、塩基性反応助剤の存在下、酸化剤を用いて重合することで得られる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的には2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン基置換アニリンとしては、例えばメチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸(例えば2−メトキシアニリン−5−スルホン酸、2−メトキシアニリン−3−スルホン酸、3−メトキシアニリン−2−スルホン酸、3−メトキシアニリン−5−スルホン酸等)、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、溶解性に特に優れるアニリン系ポリマーが得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、または、ハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンはそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
アニリン系ポリマーの製造に用いられる塩基性反応助剤としては、例えば無機塩基、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類などが用いられる。
塩基性反応助剤としては無機塩基が好ましく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。
また、無機塩基以外では、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン等の環式不飽和アミン類が、塩基性反応助剤として好ましく用いられる。
これらの塩基性反応助剤はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
アニリン系ポリマーの製造に用いられる酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素等を用いることが好ましい。
これらの酸化剤はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマーと塩基性反応助剤の混合溶液を滴下する方法、原料モノマーと塩基性反応助剤の混合溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマーと塩基性反応助剤の混合溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。
重合後は、通常、遠心分離器等により溶媒を濾別して、重合体(アニリン系ポリマー)を得る。
このようにして得られるアニリン系ポリマーには未反応モノマー(原料モノマー)などが残存している場合がある。
アニリン系ポリマーに原料モノマーが残存している場合は精製して原料モノマーを除去することが好ましい。
精製されたアニリン系ポリマーは、原料モノマーが十分に除去されており、炭素微粒子の分散性がより高まる。
アニリン系ポリマーの精製方法としては、溶剤を用いた洗浄法、膜濾過法などが挙げられる。
洗浄法に用いる溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン;アセトニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド等が、高純度のアニリン系ポリマーが得られるため好ましい。特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルが効果的である。
膜濾過法によりアニリン系ポリマーを精製する場合は、アニリン系ポリマーを溶剤に溶解させて膜濾過することが好ましい。
膜濾過法に用いる溶剤としては、例えば水が挙げられる。水には、塩基性塩、酸、水に可溶なアルコール類の1種以上が含まれていてもよい。
膜濾過法に用いる分離膜としては、原料モノマーの除去効率を考慮すると、限外濾過膜が好ましい。
分離膜の材質としては、例えばセルロース、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン等の高分子(ポリマー)を用いた有機膜;セラミックスに代表される無機材料を用いた無機膜を用いることができ、通常、限外濾過膜の材質として使用するものであれば、特に制限はない。
洗浄後のアニリン系ポリマーを乾燥すれば、原料モノマーが十分に除去された固体状のアニリン系ポリマーが得られる。
膜濾過後のアニリン系ポリマーは、水に溶解した状態である。従って、エバポレータなどで水を除去し、乾燥すれば、原料モノマーが十分に除去された固体状のアニリン系ポリマーが得られるが、アニリン系ポリマーは水に溶解した状態のまま炭素微粒子分散液に用いてもよい。
炭素微粒子分散液中のアニリン系ポリマーの含有量は純分換算(固形分換算)で、炭素微粒子100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。アニリン系ポリマーの含有量が、1質量部以上であれば炭素微粒子を充分に分散させつつ、成膜性にも優れ、100質量部以下であれば導電性を良好に維持できる。
<溶剤>
溶剤としては、水、有機溶剤などが挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶剤としては、水に可溶な水溶性有機溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は水に可溶な有機溶剤であり、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類などが挙げられる。
これらの有機溶剤はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
溶剤としては、少なくとも水を用いることが好ましい。溶剤として有機溶剤単独で用いることも可能であるが、有機溶剤を用いる場合は水と併用することが好ましい。
炭素微粒子分散液中の溶剤の含有量は、炭素微粒子分散液の総質量に対して10〜99質量%が好ましい。
なお、炭素微粒子分散液に含まれる炭素微粒子、アニリン系ポリマーおよび溶剤の含有量の合計が、炭素微粒子分散液の総質量に対して100質量%を超えないものとする。
<任意成分>
炭素微粒子分散液は、炭素微粒子、アニリン系ポリマーおよび溶剤以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、アニリン系ポリマー以外のポリマー(他のポリマー)、各種添加剤などが挙げられる。
他のポリマーとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、ポリビニールアセタール系樹脂などが挙げられる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、防腐剤、ハイドロトロープ剤などが挙げられる。また、炭素微粒子分散液をインキ組成物として用いる場合、炭素微粒子分散液は顔料および染料の少なくとも一方を含んでもよい。
なお、金属基板の腐食防止や泡立ち防止を考慮すると、炭素微粒子分散液はアニオン性高分子分散剤等の分散剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、炭素微粒子分散液の総質量に対して、0.1質量%以下を意味する。
炭素微粒子分散液が任意成分を含有する場合、炭素微粒子分散液に含まれる炭素微粒子、アニリン系ポリマー、溶剤および任意成分の含有量の合計が、炭素微粒子分散液の総質量に対して100質量%を超えないものとする。
<炭素微粒子分散液の製造方法>
本発明の炭素微粒子分散液は、上述した炭素微粒子と、アニリン系ポリマーと、溶剤と、必要に応じて任意成分とを混合して製造することができる。
また、上述したように、膜濾過法によりアニリン系ポリマーを精製した場合、精製後のアニリン系ポリマーは水に溶解した状態であることから、水に溶解した精製後のアニリン系ポリマーと炭素微粒子と必要に応じて任意成分とを混合して炭素微粒子分散液として用いてもよい。また、必要に応じて水に溶解した精製後のアニリン系ポリマーを濃縮したり、水で希釈したりして用いてもよい。
<作用効果>
以上説明した本発明の炭素微粒子分散液は、上記一般式(1)で表される単位を有するアニリン系ポリマーを含んでいるので、炭素微粒子の分散性が良好である。
特に、アニリン系ポリマーとして精製したものを用いれば、原料モノマーの含有量が十分に低減された炭素微粒子分散液が得られ、炭素微粒子の分散性がより向上する。原料モノマーの含有量は、炭素微粒子分散液の総質量に対して300質量ppm以下が好ましく、250質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下がさらに好ましい。炭素微粒子分散液中の原料モノマーの含有量は少ないほど好ましく、下限値は0質量ppmが好ましい。
ここで、炭素微粒子分散液中の原料モノマーの含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定できる。
しかも、本発明の炭素微粒子分散液は炭素微粒子の分散性が良好であることから、アニオン性高分子分散剤等の分散剤を含有する必要がなく、金属基板に対する腐食性も低い。
また、本発明の炭素微粒子分散液はアニリン系ポリマーを含んでいるので、他のポリマーを含んでいなくても、成膜性が良好である。炭素微粒子やアニリン系ポリマーは導電性を有しているので、本発明の炭素微粒子分散液は導電性に優れる塗膜を形成できる。
<用途>
本発明の炭素微粒子分散液の用途としては、例えば、帯電防止膜、電極材料、半導体材料、インキ組成物などが挙げられる。特に、本発明の炭素微粒子分散液は金属基板に対する腐食性が低いことから、電極材料として好適である。具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属箔からなる集電体上に炭素微粒子分散液を塗布し、乾燥させて導電膜を形成したものを電極に用いる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、実施例および比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
<測定・評価方法>
(原料モノマーの含有量の測定)
炭素微粒子分散液を濾過して炭素微粒子を分離した後、ろ液を以下の溶離液に溶解させ、試験溶液を調製した。得られた試験溶液について、イオンクロマトグラフを用い、原料モノマーの濃度を測定し、クロマトグラムを得た。このクロマトグラム上の原料モノマーに相当するピークの面積または高さを読み取り、予め作成しておいた検量線から、炭素微粒子分散液の総質量に対する原料モノマーの含有量を求めた。
(分散性の評価)
30mLのガラス製サンプル瓶に炭素微粒子分散液10gを投入し、24時間放置した。放置後の炭素微粒子の分散状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて分散性を評価した。
○:炭素微粒子が沈降せず、均一に分散している。
△:炭素微粒子がわずかに沈降しているが、使用上、問題はない。
×:炭素微粒子の大部分が沈降している。
(腐食防止性の評価)
試験片として、予め脱脂および表面研磨したアルミニウム基材(ISO 7075−T6相当品)を用いた。試験片の質量および材料密度を測定しておいた。
炭素微粒子分散液100質量部に試験片を浸漬し、55℃±1℃で7日間保持した後、炭素微粒子分散液から試験片を取り出した。試験片に付着した炭素微粒子分散液を除去し、試験片を乾燥した後、試験片の質量を測定した。これを浸漬後の試験片の質量とし、下記式(I)より試験片の浸食度を求めた。
X={(W−W)×10×365)}/(d×S×T) ・・・(I)
(式(I)中、「X」は試験片の浸食度[mm/年]であり、「W」は炭素微粒子分散液に浸漬する前の試験片の質量[g]であり、「W」は浸漬後の試験片の質量[g]であり、「d」は炭素微粒子分散液に浸漬する前の試験片の材料密度[g/cm]であり、「S」は試験片の浸漬面積[cm]であり、「T」は浸漬日数(保持日数)である。)
以下の評価基準にて金属に対する腐食防止性を評価した。
○:浸食度が6.25mm/年未満である。
×:浸食度が6.25mm/年以上である。
「実施例1」
<アニリン系ポリマーの製造>
2−メトキシアニリン−5−スルホン酸100mmolを、4mol/L濃度のトリエチルアミン溶液(溶媒:水/アセトニトリル=5/5)300mLに25℃で溶解し、モノマー溶液を得た。
別途、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolを、水/アセトニトリル=5/5の溶液に溶解し、酸化剤溶液を得た。
ついで、酸化剤溶液をモノマー溶液に滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに攪拌した後、反応生成物を遠心濾過器にて濾別した。さらに、反応生成物をメタノールにて洗浄した後、乾燥させ、粉末状のポリマー(ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸))を15g得た。得られたポリマーは、上記一般式(1)で表される単位(式(1)中、Rがスルホン酸基であり、RおよびRが水素原子であり、Rがメトキシ基である。)を有する。
<炭素微粒子分散液の製造>
アセチレンブラック100質量部と、ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)25質量部と、水1875質量部とを混合し、炭素微粒子分散液を得た。炭素微粒子分散液の総質量に対して、アセチレンブラックの含有量は5.00質量%であり、水の含有量は93.75質量%である。
得られた炭素微粒子分散液の総質量に対する原料モノマーの含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られた炭素微粒子分散液について、分散性および腐食防止性を評価した。これらの結果を表1に示す。
「実施例2」
ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸の配合量を2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。炭素微粒子分散液の総質量に対して、アセチレンブラックの含有量は5.06質量%であり、水の含有量は水の含有量は94.84質量%である。
「実施例3」
ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸の配合量を1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。炭素微粒子分散液の総質量に対して、アセチレンブラックの含有量は5.06質量%であり、水の含有量は94.89質量%である。
「実施例4」
ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸の配合量を50質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。炭素微粒子分散液の総質量に対して、アセチレンブラックの含有量は4.94質量%であり、水の含有量は92.59質量%である。
「実施例5」
ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸の配合量を90質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。炭素微粒子分散液の総質量に対して、アセチレンブラックの含有量は4.84質量%であり、水の含有量は90.80質量%である。
「実施例6」
アセチレンブラックの代わりに、ケッチェンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
「実施例7」
アセチレンブラックの代わりに、カーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
「実施例8」
アセチレンブラックの代わりに、活性炭を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
「実施例9」
実施例1と同様にしてポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)を得た。
アセチレンブラック100質量部と、ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)25質量部と、2−プロパノール200質量部と、水1675質量部とを混合し、炭素微粒子分散液を得た。炭素微粒子分散液の総質量に対して、アセチレンブラックの含有量は5.00質量%であり、水および2−プロパノールの含有量の合計は93.75質量%である。
得られた炭素微粒子分散液の総質量に対する原料モノマーの含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られた炭素微粒子分散液について、分散性および腐食防止性を評価した。これらの結果を表1に示す。
「実施例10」
反応生成物をメタノールで洗浄しなかった以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
「比較例1」
アセチレンブラック100質量部と、アニオン性高分子分散剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、「ポリナスPS−5」)25質量部と、水1875質量部とを混合し、炭素微粒子分散液を得た。
得られた炭素微粒子分散液について、分散性および腐食防止性を評価した。これらの結果を表1に示す。
「比較例2」
ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)の代わりに、2−メトキシアニリン−5−スルホン酸を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素微粒子分散液を製造し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
Figure 0006915453
表1から明らかなように、各実施例で得られた炭素微粒子分散液は、炭素微粒子の分散性が良好であり、かつ金属基板に対する腐食性が低かった。
一方、比較例1で得られた炭素微粒子分散液はアニオン性高分子分散剤を含んでおり、金属基板を腐食させやすかった。
比較例2で得られた炭素微粒子分散液は、炭素微粒子の分散性に劣っていた。
本発明の炭素微粒子分散液は、帯電防止膜、電極材料、半導体材料、インキ組成物などとして有用である。

Claims (3)

  1. 炭素微粒子と、下記一般式(1)で表される単位を有するアニリン系ポリマーと、溶剤とを含有し、前記アニリン系ポリマーの原料モノマーの含有量が300質量ppm以下である、炭素微粒子分散液。
    Figure 0006915453
    式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分 岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキ シ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれ、R〜Rのうちの少なく とも1つは酸性基である。ここで、酸性基とはスルホン酸基またはカルボキシ基である。
  2. 前記アニリン系ポリマーの含有量が、前記炭素微粒子100質量部に対して1〜100 質量部である、請求項1に記載の炭素微粒子分散液。
  3. 前記アニリン系ポリマーが、下記一般式(2)で表される単位を有する、請求項1または2に記載の炭素微粒子分散液。
    Figure 0006915453
    式(2)中、R 〜R 21 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは 分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロ キシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれ、R 〜R 21 のうち少な くとも1つは酸性基である。また、nは重合度を示す。
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