JP2014005315A - 導電性組成物 - Google Patents

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安夫 竹中
Mutsuko Takami
睦子 高見
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友義 山下
Kohei Yamada
耕平 山田
Yukiko Hachiya
有希子 蜂谷
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Abstract

【課題】導電性および耐熱性に優れ、しかも耐熱性試験を行わなくても耐熱性を判断できる導電性組成物の提供。
【解決手段】スルホン酸基を有する導電性ポリマーを含む導電性組成物基材上に塗布し、120℃で10分間乾燥して形成した導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定し、導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルを求め、該S2pナロースペクトルを、束縛エネルギーが168.6eV、半価幅FWHMが2.10eVであるS1成分と、束縛エネルギーが167.8eV、半価幅FWHMが2.36eVであるS2成分とに波形分離し、S1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)を求め、S1とS2の合計を100としたときのS1の比率が45〜75%、S2の比率が25〜55%である導電性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物に関する。
導電性ポリマーとしては、ポリアニリン系、ポリチオフェン系、ポリパラフェニレンビニレン系等の導電性ポリマーがよく知られ、多様な用途で使われている。
しかし、これらの導電性ポリマーは、一般的に使用されるほとんどの溶媒(一部の非プロトン系極性溶媒を除く)に不溶であり、成形、加工面で問題があった。
また、これらの導電性ポリマーのうち、ポリチオフェン系、ポリパラフェニレンビニレン系の導電性ポリマーは、ポリアニリン系の導電性ポリマーに比べて高い導電性を示すものの、原料が高価、製造工程が煩雑等の問題を有している。
このような成形、加工面の問題を解決し、高い導電性を発現させる方法として、スルホン酸基置換アニリンまたはカルボキシ基置換アニリン等の酸性基置換アニリンを、塩基性化合物を含む溶液中で重合するアニリン系導電性ポリマーの製造方法が提案されている。
この方法により得られたアニリン系導電性ポリマーは、酸性からアルカリ性の広いpH範囲において、各種溶媒に優れた溶解性を示す。
ところで、導電性ポリマーは、導電体、例えばコンデンサなどの様々な用途に用いられる。導電体を製造する際には、通常、基材上に導電性ポリマーを含む導電性組成物を塗布して乾燥した後、所定の温度にてさらに加熱処理して、基材上に導電性ポリマー膜が形成された導電体を得る。そのため、導電性ポリマーや導電性組成物には高い耐熱性が求められる。
アニリン系導電性ポリマーの導電性や耐熱性向上させる方法として、以下の方法が提案されている。
(1)酸性基置換アニリンを、塩基性化合物を含む溶液中で重合する際に、重合触媒である酸化剤の溶液に前記酸性基置換アニリンと塩基性化合物を含む溶液を滴下することで、発生する不純物を抑制する、高純度かつ高導電性のアニリン系導電性ポリマーの製造方法(特許文献1)。
(2)アニリン系導電性ポリマーを含む導電性組成物に、塩基性化合物を添加することで、導電性組成物の耐熱性を向上させる方法(特許文献2)。
特開2000−219739号公報 特開2010−116441号公報
しかしながら、前記(1)の方法によって得られたアニリン系導電性ポリマーを含む導電性組成物や、前記(2)の方法によって得られた導電性組成物は、高温雰囲気下における導電性が必ずしも十分ではなかった。特に、コンデンサ等へ適用するためには、さらなる導電性や耐熱性の向上が望まれている。
また、導電性組成物の耐熱性は実際に耐熱性試験を行わないと分からないため、耐熱性の有無を判断するには手間がかかっていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、導電性および耐熱性に優れ、しかも耐熱性試験を行わなくても耐熱性を判断できる導電性組成物を提供することを目的とする。
酸性基を有する導電性ポリマーを加熱すると酸性基が脱離しやすく、この酸性基の脱離が導電性や耐熱性の低下の原因となる。
本発明者らは、塩基性化合物を用いると導電性ポリマーの酸性基と塩を形成するため、加熱しても酸性基が脱離しにくくなり、その結果、導電性や耐熱性が向上することに着目し、酸性基であるスルホン酸基の結合状態が耐熱性に関係していることを突き止めた。そして、スルホン酸基のX線光電子分光法(XPS)スペクトルのS2pナロースペクトルを特定のS1成分とS2成分とに波形分離して求められる面積比率が特定の範囲内にある導電性ポリマーが、耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の導電性組成物は、スルホン酸基を有する導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物において、下記工程(I)〜(V)を含む評価方法により算出したS1の比率が45〜75%、S2の比率が25〜55%であることを特徴とする。
(I)基材上に導電性組成物を塗布し、120℃で10分間乾燥して導電性ポリマー膜を形成する工程。
(II)X線光電子分光法(XPS)により、工程(I)で得られた導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定し、導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルを求める工程。
(III)工程(II)で得られたS2pナロースペクトルについて、束縛エネルギーが168.6eV、半価幅FWHMが2.10eVであるS1成分と、束縛エネルギーが167.8eV、半価幅FWHMが2.36eVであるS2成分とに波形分離する工程。
(IV)工程(III)で波形分離したS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)とを求める工程。
(V)工程(IV)で求めたS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)との合計を100としたときのS1とS2の比率を求める工程。
また、前記導電性ポリマー(A)は下記一般式(1)で表される単位を有することが好ましい。
Figure 2014005315
式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる。ここで、酸性基とはスルホン酸基またはカルボキシ基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つはスルホン酸基である。
本発明の導電性組成物は、導電性および耐熱性に優れ、しかも耐熱性試験を行わなくても耐熱性を判断できる。
実施例2−2で得られた導電性組成物における導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルである。 図1に示すS2pナロースペクトルをS1成分とS2成分とに波形分離して得られるスペクトルである。 (a)はS1成分の領域を説明する説明図であり、(b)はS2成分の領域を説明する説明図である。 実施例1−1および比較例1−1〜1−3における、Trisの添加量と、面積比率および導電率との関係を示すグラフである。 実施例2−1〜2−2および比較例2−1〜2−2における、LiOHの添加量と、面積比率および導電率との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「可溶性」とは、水、塩基および塩基性塩を含む水、酸を含む水、有機溶媒(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)、またはそれらの混合物10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
また、「導電性」とは、10−9S/cm以上の電気伝導率を有することである。
本発明の導電性組成物は、スルホン酸基を有する導電性ポリマー(A)を含み、下記工程(I)〜(V)を含む評価方法により算出したS1の比率が45〜75%、S2の比率が25〜55%である。
(I)基材上に導電性組成物を塗布し、120℃で10分間乾燥して導電性ポリマー膜を形成する工程。
(II)X線光電子分光法(XPS)により、工程(I)で得られた導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定し、導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルを求める工程。
(III)工程(II)で得られたS2pナロースペクトルについて、束縛エネルギーが168.6eV、半価幅FWHMが2.10eVであるS1成分と、束縛エネルギーが167.8eV、半価幅FWHMが2.36eVであるS2成分とに波形分離する工程。
(IV)工程(III)で波形分離したS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)とを求める工程。
(V)工程(IV)で求めたS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)との合計を100としたときのS1とS2の比率を求める工程。
工程(I)は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布し、導電性ポリマー膜を形成する工程である。
基材としては特に制限されず、後述する導電体に用いられる基材が挙げられる。
導電性ポリマー膜は、基材上に塗布された導電性組成物を120℃で10分間乾燥することで得られる。
導電性組成物の塗布方法は、後述する導電体を製造する場合と同じ方法を採用できる。また、導電性組成物の乾燥方法は、特に制限されない。
工程(II)は、X線光電子分光法(XPS)により、工程(I)で得られた導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定し、導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルを求める工程である。
X線光電子分光装置としては、一般公知の装置を使用することができる。また、測定条件については特に制限されない。
ここで、導電性ポリマー膜のXPSスペクトルの測定方法の一例について説明する。
まず、基材上に形成された導電性ポリマー膜をX線光電子分光装置の所定の位置に設置して、導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定する。
ついで、C1sピークの束縛エネルギー(BE)を284.5eVとして表面チャージング効果を補正する。カーブフィットには装置に付属したデータ処理装置(計算ライブラリー)を用いる。なお、カーブフィットに先立ってShirley法によりバックグラウンドを引き去る。
その結果、例えば図1に示すような導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルが得られる。なお、図1に示すS2pナロースペクトルは、後述する実施例2−2で得られた導電性組成物における導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルである。
工程(III)は、工程(II)で得られたS2pナロースペクトルについて、束縛エネルギーが168.6eV、半価幅FWHMが2.10eVであるS1成分と、束縛エネルギーが167.8eV、半価幅FWHMが2.36eVであるS2成分とに波形分離する工程である。
S2pナロースペクトルの波形分離は、市販の解析ソフトを用いることで実施できる。
具体的には、市販の解析ソフトを用いてS2pナロースペクトルをS1成分とS2成分とに波形分離し、S1成分とS2成分のスペクトルを合成したスペクトル(合成カーブ)が、工程(II)で得られたS2pナロースペクトル(実測)のピーク形状と概ね一致するまで繰り返しカーブフィットする。分離ピークの形状を実測のピーク形状に合わせるにはGauss−Lorentz混合関数を用いる。
ここで、上記束縛エネルギーは、カーブフィットの際に前記解析ソフトに入力する値を意味する。
例えば図1に示すS2pナロースペクトルをS1成分とS2成分とに波形分離すると、図2に示すようなスペクトルが得られる。ここで、図2中の「実測」とは工程(II)で得られたS2pナロースペクトル(すなわち、図1に示すS2pナロースペクトル)であり、「S1成分」とはS2pナロースペクトルから波形分離されたS1成分のスペクトルであり、「S2成分」とはS2pナロースペクトルから波形分離されたS2成分のスペクトルであり、「S1成分とS2成分の合成」とはS1成分のスペクトルとS2成分のスペクトルを合成したスペクトル(合成カーブ)である。
工程(IV)は、工程(III)で波形分離したS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)とを求める工程である。
例えば図1に示すS2pナロースペクトルをS1成分とS2成分とに波形分離した場合、S1成分の領域とは図3(a)に示す斜線部分Xのことであり、S2成分の領域とは図3(b)に示す斜線部分Yのことである。
工程(V)は、工程(IV)で求めたS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)との合計を100としたときのS1とS2の比率を求める工程である。
S1とS2の比率は、それぞれ下記式(i)、(ii)より求められる。
S1の比率(%)={S1/(S1+S2)}×100 ・・・(i)
S2の比率(%)={S2/(S1+S2)}×100 ・・・(ii)
本発明の導電性組成物は、上述した評価方法により算出したS1の比率が45〜75%であり、S2の比率が25〜55%である。S1の比率は50〜70%が好ましく、S2の比率は30〜50%が好ましい。S1の比率およびS2の比率が上記範囲内であれば、耐熱性に優れると判断できる。判断理由は以下のように考えられる。
上述したように、酸性基を有する導電性ポリマーを加熱すると酸性基が脱離したり、酸性基と他の分子部分(例えばイミン基など)との相互作用が変質したりしやすく、この酸性基の脱離・変質が導電性や耐熱性の低下の原因となる。例えば塩基性化合物を導電性ポリマーと併用すると、導電性ポリマーの酸性基が塩基性化合物と塩を形成するため、加熱しても酸性基が脱離・変質しにくくなる。
XPSは、試料にX線を照射して放出される光電子のエネルギー分布を測定し、試料表面の化学結合状態などを分析する手段である。導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定して得られるスルホン酸基のS2pナロースペクトルを、S1成分とS2成分とに波形分離して求められる面積比率、すなわち上述したS1の比率およびS2の比率は、スルホン酸基の結合状態の指標となる。S1の比率およびS2の比率が上記範囲内である導電性組成物は、導電性ポリマーを加熱してもスルホン酸基が脱離・変質しにくい状態、例えばスルホン酸基が塩基性化合物と適度に塩を形成した結合状態であるため、耐熱性試験を行わなくても耐熱性に優れると判断できる。
本発明の導電性組成物は、耐熱性に優れるため、高温雰囲気下においても優れた導電性を発現できる。
S1の比率およびS2の比率が上記範囲内である導電性組成物を得るためには、例えば導電性組成物に塩基性化合物等の化合物を含有させたり、導電性ポリマー(A)の骨格を変更したりすればよい。
以下、本発明の導電性組成物に含まれる各成分の一例について、詳しく説明する。
本発明の導電性組成物は、スルホン酸基を有する導電性ポリマー(A)を必須成分として含むが、塩基性化合物(B)をさらに含むことが好ましい。また、溶媒(C)を含んでいてもよい。
<導電性ポリマー(A)>
導電性ポリマー(A)は、酸性基として少なくともスルホン酸基を有する。
導電性ポリマー(A)は、高い導電性を発現できる観点から、下記一般式(1)で表される単位を有することが好ましい。
Figure 2014005315
式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子(−F、−Cl、−Brまたは−I)からなる群より選ばれる。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基またはカルボキシ基である。スルホン酸基およびカルボキシ基は、それぞれ酸の状態(−SOH、−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO 、−COO)で含まれていてもよい。
なお、酸性基には、酸性基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、または置換アンモニウム塩なども含まれる。
式(1)中、R〜Rのうちの少なくとも1つはスルホン酸基である。
前記一般式(1)で表される単位としては、製造が容易な点で、R〜Rのうち、いずれか1つが炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基であり、他のいずれか1つがスルホン酸基であり、残りが水素であるものが好ましい。
前記導電性ポリマー(A)は、該導電性ポリマー(A)を構成する全単位(100mol%)のうち、前記一般式(1)で表される単位を10〜100mol%含有することが好ましく、50〜100mol%含有することがより好ましく、pHに関係なく水および有機溶媒への溶解性に優れる点で、100mol%含有することが特に好ましい。
また、前記導電性ポリマー(A)は、導電性に優れる観点で、前記一般式(1)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
さらに、前記導電性ポリマー(A)としては、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2014005315
式(2)中、R〜R20は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)からなる群より選ばれ、R〜R20のうち少なくとも1つはスルホン酸基である。また、nは重合度を示す。
前記一般式(2)で表される構造を有する化合物の中でも、溶解性に優れる点で、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)が特に好ましい。
導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、導電性、成膜性および膜強度の観点から、3000〜1000000が好ましく、5000〜100000がより好ましい。
ここで、導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
(導電性ポリマー(A)の製造方法)
導電性ポリマー(A)は、例えば、下記一般式(3)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(モノマー)を、塩基性化合物の存在下、酸化剤を用いて重合することで得られる。
Figure 2014005315
式(3)中、R21〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子(−F、−Cl、−Brまたは−I)からなる群より選ばれ、R21〜R25のうちの少なくとも1つはスルホン酸基である。
一般式(3)で表される酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン基置換アニリンとしては、例えばメチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、導電性や溶解性に特に優れる導電性ポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、または、ハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
これら一般式(3)で表される酸性基置換アニリンの中でも、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が特に好ましい。
導電性ポリマー(A)の製造に用いられる塩基性化合物としては、例えば無機塩基、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類などが用いられる。
無機塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物の塩などが挙げられる。
脂式アミン類としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物、または下記一般式(5)で表されるアンモニウムヒドロキシド化合物などが挙げられる。
Figure 2014005315
式(4)中、R26〜R28は、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。
Figure 2014005315
式(5)中、R29〜R32は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
環式飽和アミン類としては、例えばピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピペラジンおよびこれらの骨格を有する誘導体、ならびにこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが挙げられる。
環式不飽和アミン類としては、例えばピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリンおよびこれらの骨格を有する誘導体、ならびにこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが挙げられる。
前塩基性化合物としては、無機塩基が好ましい。また、無機塩基以外の塩基性化合物の中では、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン等が好ましく用いられる。
無機塩類やこれらの塩基性化合物を用いれば、高導電性で、かつ高純度な導電性ポリマー(A)を得ることができる。
これらの塩基性化合物はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
塩基性化合物の濃度は、反応性や導電性の観点から、0.1mol/L以上が好ましく、より好ましくは0.1〜10.0mol/Lであり、特に好ましくは0.2〜8.0mol/Lである。
前記モノマーと塩基性化合物の質量比は、反応性や導電性の観点から、モノマー:塩基性化合物=1:100〜100:1であることが好ましく、より好ましくは10:90〜90:10である。
導電性ポリマー(A)の製造に用いられる酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素等を用いることが好ましい。
これらの酸化剤は、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
酸化剤の使用量は、前記モノマー1molに対して1〜5mol当量が好ましく、より好ましくは1〜3mol当量である。
本発明においては、モノマーに対して酸化剤がモル比で等モル以上存在している系にて重合を行うことが重要である。また、触媒として、鉄、銅などの遷移金属化合物を酸化剤と併用することも有効である。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中にモノマーと塩基性化合物の混合溶液を滴下する方法、モノマーと塩基性化合物の混合溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等にモノマーと塩基性化合物の混合溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。
重合に使用する溶媒としては、水、または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、水と混合するものであれば限定されず、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
なお、溶媒として混合溶媒を用いる場合、水と水溶性有機溶媒との混合比は任意であるが、水:水溶性有機溶媒=1:100〜100:1が好ましい。
重合後は、通常、遠心分離器等の濾過器により溶媒を濾別する。さらに、必要に応じて濾過物を洗浄液により洗浄した後、乾燥させて、重合体(導電性ポリマー(A))を得る。
洗浄液としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド,N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が、高純度の導電性ポリマー(A)が得られるため好ましい。特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルが効果的である。
このようにして得られる導電性ポリマー(A)は、そのまま各種用途に用いてもよいが、導電性ポリマー(A)には未反応モノマー、低分子量物質および不純物質などが含まれている場合があり、これらが導電性を阻害する要因となることがある。従って、導電性ポリマー(A)を精製して不純物質などを除去することが好ましい。
未反応モノマー、低分子量物質、不純物質などを除去するには、前記導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液を膜濾過する方法が好ましい。膜濾過する際に用いる溶媒としては、例えば水、塩基性塩を含む水、酸を含む水、アルコールを含む水等の溶媒やそれらの混合物などを用いることができる。膜濾過に用いる分離膜としては、未反応モノマー、低分子量物質および不純物質の除去効率を考慮すると、限外濾過膜が好ましい。
分離膜の材質としては、例えばセルロース、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン等の高分子(ポリマー)を用いた有機膜やセラミックスに代表される無機材料を用いた無機膜を用いることができ、通常、限外濾過膜の材質として使用するものであれば、特に制限はない。
また、前記製造方法により得られる導電性ポリマー(A)は、上述したように、塩基性化合物の存在下、モノマーを重合することで得られる。そのため、導電性ポリマー(A)中のスルホン酸基の一部が塩基性化合物と塩を形成する。
しかし、導電性ポリマー(A)の製造の段階でスルホン酸基と塩基性化合物が塩を形成すると、後述する塩基性化合物(B)を導電性ポリマー(A)に添加してもS1の比率およびS2の比率を制御するのが困難となる。これは、スルホン酸基が導電性ポリマー(A)の製造に用いた塩基性化合物と塩を形成していることにより、後述する塩基性化合物(B)とスルホン酸基が塩を形成しにくくなり、その結果、スルホン酸基の結合状態が所望する状態になりにくくなるためと考えられる。従って、導電性ポリマー(A)の製造に用いた塩基性化合物を除去しておくことが好ましい。
導電性ポリマー(A)を精製すると塩基性化合物も除去されるので、塩基性化合物の含有量を低下させることができる。導電性および耐熱性の観点から、塩基性化合物の含有量は、0.1質量%以下が好ましい。
さらに、前記製造方法により得られる導電性ポリマー(A)は酸化剤由来などの陽イオンとも塩を形成して、導電性を阻害する要因となることがある。これら陽イオンを除去することで導電性を向上させることができる。
塩基性化合物や酸化剤由来の陽イオンなどの不純物を除去するには、導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液を陽イオン交換樹脂に接触させる方法が好ましい。
塩基性化合物や酸化剤由来の陽イオンなどの不純物を陽イオン交換樹脂により除去する場合、導電性ポリマー(A)は溶媒に分散または溶解させた状態で用いる。
溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類、およびこれらを混合したものが好ましい。
導電性ポリマー(A)を前記溶媒に分散または溶解させる際の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
陽イオン交換樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライト」などの強酸型の陽イオン交換樹脂が好ましい。
陽イオン交換樹脂の形態については特に限定されることなく、種々の形態のものを使用でき、例えば球状細粒、膜状や繊維状などが挙げられる。
導電性ポリマー(A)に対する陽イオン交換樹脂の量は、導電性ポリマー(A)100質量部に対して100〜2000質量部が好ましく、500〜1500質量部がより好ましい。陽イオン交換樹脂の量が100質量部未満であると、塩基性化合物や酸化剤由来の陽イオンなどの不純物が十分に除去されにくい。一方、陽イオン交換樹脂の量が2000質量部を超えると、導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液に対し過剰量となるため、陽イオン交換樹脂に接触させて陽イオン交換処理した後の、分離液または溶離液の回収が困難となる。
導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液と、陽イオン交換樹脂の接触方法としては、例えば、容器に導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液と陽イオン交換樹脂を入れ、攪拌または回転させることで、陽イオン交換樹脂と接触させる方法が挙げられる。
また、陽イオン交換樹脂をカラムに充填し、導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液を、好ましくはSV=0.01〜20、より好ましくはSV=0.2〜10の流量で通過させて、陽イオン交換処理を行う方法でもよい。
ここで、空間速度SV(1/hr)=流量(m/hr)/濾材量(体積:m)である。
導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液と、陽イオン交換樹脂を接触させる時間は、精製効率の観点から、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。
なお、接触時間の上限値については特に制限されず、導電性ポリマー(A)の分散液または溶離液の濃度、陽イオン交換樹脂の量、後述する接触温度などの条件に併せて、適宜設定すればよい。
導電性ポリマー(A)の分散液または溶解液と、陽イオン交換樹脂を接触させる際の温度は、工業的観点から、10〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
このようにして精製された導電性ポリマー(A)は、オリゴマーやモノマーなどの低分子量体、塩基性化合物、酸化剤由来の陽イオン等の不純物などが十分に除去されているので、より優れた導電性を示す。
なお、精製後の導電性ポリマー(A)は、水などの溶媒に分散または溶解した状態である。従って、エバポレータなどで溶媒を全て除去すれば固体状の導電性ポリマー(A)が得られるが、導電性ポリマー(A)は溶媒に分散または溶解した状態のまま用いてもよい。
<塩基性化合物(B)>
塩基性化合物(B)としては、例えばアルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物(以下、これらを総称して「水酸化物(B1)」という。)、同一分子内にヒドロキシ基を1つ以上含み、かつ塩基性基を1つ以上含む化合物(以下、「化合物(B2)」という。)が挙げられる。
塩基性化合物(B)としては、水酸化物(B1)および化合物(B2)のいずれか一方を用いてもよいし、両方を用いてもよい。
(水酸化物(B1))
前記導電性ポリマー(A)に水酸化物(B1)を添加すると、本発明の導電性組成物を用いて導電体を製造する際に加熱処理しても、導電性の低下を抑制できる。これは、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基と水酸化物(B1)とで塩を形成することで、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基が加熱によって脱離・変質するのを水酸化物(B1)のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンが抑制するためと考えられる。
なお、上述したように、導電性ポリマー(A)の製造の段階においても、スルホン酸基と導電性ポリマー(A)の製造に用いた塩基性化合物とで塩を形成する。しかし、導電性ポリマー(A)の製造に用いた塩基性化合物では、スルホン酸基が加熱によって脱離・変質するのを十分に抑制することができない。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属水酸化物としては、例えば水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。
これら水酸化物(B1)は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
導電性組成物中の水酸化物(B1)の含有量は、耐熱性や導電性の観点から、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基を有する単位(モノマーユニット)1molに対して、0.2〜0.65mol当量が好ましく、0.3〜0.6mol当量がより好ましい。
(化合物(B2))
前記導電性ポリマー(A)に化合物(B2)を添加すると、本発明の導電性組成物を用いて導電体を製造する際に加熱処理しても、導電性の低下を抑制できる。これは、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基と化合物(B2)とで塩を形成することで、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基が加熱によって脱離するのを、化合物(B2)に含まれる塩基性基が抑制するため、および/または、導電性ポリマー(A)に対して化合物(B2)に含まれるヒドロキシ基がドープ剤として働き導電性を向上するためと考えられる。
なお、導電性ポリマー(A)の製造に用いた塩基性化合物では、スルホン酸基が加熱によって脱離するのを十分に抑制することができない。
化合物(B2)は、下記一般式(6)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2014005315
式(6)中、Tはヒドロキシ基であり、Tは塩基性基であり、R33は有機基である。
ヒドロキシ基は、−OHの状態であっても−OHが保護基で保護された状態であってもよい。保護基としては、例えばアセチル基、トリメチルシリル基やt−ブチルジメチルシリル基等のシリル基、アセタール型保護基(例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等)、ベンゾイル基などが挙げられる。
また、ヒドロキシ基は、上述した以外にも、アルコールのプロトンがナトリウム等の金属元素に置換した状態、いわゆるアルコキシドであってもよい。
塩基性基としては、例えばアレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等で定義される塩基性基が挙げられる。
有機基としては、例えば脂肪族、脂環式、芳香族、直鎖若しくは分岐鎖、飽和および/または不飽和の有機基が挙げられる。
化合物(B2)は、同一分子内にヒドロキシ基および塩基性基をそれぞれ1つ以上含むが、ヒドロキシ基を2つ以上含む場合、ヒドロキシ基の種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。同様に、塩基性基を2つ以上含む場合、塩基性基の種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
導電性や耐熱性の観点から、化合物(B2)は同一分子内にヒドロキシ基を2つ以上含むことが好ましい。
化合物(B2)としては、例えば2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノー1,3−プロパンジオール、3−アミノー1,2−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−1−ブタノール、L−プロリノール、チラミン、L−セリン、2−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、L−トレオニン、L−イソセリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、L−ホモセリン、チロシン、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、3−ピロリジノール、2−ピペリジンエタノール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)エタノール、3−アミノー2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール、バリノール、ヒドロキシピペリジン、4−アミノシクロヘキサノール、4−(2−アミノエチル)シクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサンエタノールなどが挙げられる。
なお、これら化合物(B2)の一部には、L体とD体の幾何異性体が存在するが、L体とD体のどちらか一方を用いてもよく、L体とD体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
また、これら化合物(B2)の一部には、オルト位置とメタ位置とパラ位置の置換基位置異性体が存在するが、オルト位置とメタ位置とパラ位置のどちらか一方を用いてもよく、種々の比率の混合物として用いてもよい。
これら化合物(B2)の中でも、導電性や耐熱性の観点から、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノー1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、L−プロリノール、L−セリン、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸がより好ましい。
これら化合物(B2)は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
導電性組成物中の化合物(B2)の含有量は、耐熱性や導電性の観点から、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基を有する単位(モノマーユニット)1molに対して、0.01〜0.65mol当量が好ましく、0.05〜0.45mol当量がより好ましい。
<溶媒(C)>
溶媒(C)としては、導電性ポリマー(A)および塩基性化合物(B)を溶解するものであればよく、例えば水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
混合溶媒を用いる場合、水と水溶性有機溶媒との混合比は特に限定されないが、水:水溶性有機溶媒=1:100〜100:1の混合溶媒が好ましい。
水溶性有機溶媒は、水と混合するものであれば特に限定はない。水溶性有機溶媒として、具体的には、水またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性の観点から、アルコール類、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が好ましく、特にアルコール類が好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が好ましい。
溶媒(C)としては、溶解性および成膜性の観点から、特に水、水とアルコール類との混合溶媒が好ましい。また、該混合溶媒は、水を50質量%以上含有することが好ましい。
なお、上述したように、導電性ポリマー(A)の製造において重合後に精製を行う場合、精製後の導電性ポリマー(A)は、水などの溶媒に分散または溶解した状態である。導電性ポリマー(A)を溶媒に分散または溶解した状態のまま用いる場合は、精製時に用いた溶媒が導電性組成物中の溶媒(C)に相当する。
また、導電性ポリマー(A)を溶媒に分散または溶解した状態のまま用いる場合は、適度な濃度になるまで溶媒を除去したり、上述した溶媒(C)でさらに希釈したりしてもよい。
導電性組成物中の導電性ポリマー(A)の含有量(濃度)は、導電性や加工性の観点から、溶媒(C)100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
<作用効果>
以上説明したように、本発明の導電性組成物は、前記評価方法により算出したS1の比率が45〜75%であり、S2の比率が25〜55%である。S1の比率およびS2の比率が上記範囲内にある導電性組成物は、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基の結合状態が、加熱によってスルホン酸基が変質したり脱離したりしにくい状態であるため、優れた耐熱性を発現できる。また、本発明の導電性組成物は耐熱性に優れるので、高温雰囲気下においても高い導電性を発現できる。
しかも、本発明では、スルホン酸基の結合状態を耐熱性の指標としているので、耐熱性試験を行わなくても耐熱性を判断できる。
S1の比率およびS2の比率は、上述した塩基性化合物(B)の種類やその含有量を調整することで、容易に制御できる。
<用途>
本発明の導電性組成物は、導電体の製造に好適に用いられる。
導電体は、本発明の導電性組成物を基材に塗布して塗膜(導電性ポリマー膜)を形成する工程と、必要であれば前記導電性ポリマー膜に対し、加熱処理を行う工程とを順次行うことにより製造できる。
導電性組成物を塗布する基材としては、特に限定されず、高分子化合物、木材、紙材、金属、金属酸化物、セラミックスおよびそれらフィルムまたはガラス板などが用いられる。
例えば、高分子化合物からなる基材としては、具体的に、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート等のいずれか1種または2種以上を含有する高分子フィルムなどが挙げられる。
これらの高分子フィルムは、少なくともその1つの面上に、本発明の導電性組成物からなる導電性ポリマー膜を形成させるため、該導電性ポリマー膜の密着性を向上させる目的で前記フィルム表面にコロナ表面処理またはプラズマ処理、あるいは紫外線オゾン処理が施されていることが好ましい。
導電性組成物の塗布方法としては、一般に塗料の塗工に用いられる方法が利用できる。例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の塗布方法、スプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等が用いられる。
本発明の導電性組成物は耐熱性に優れ、加熱処理しても導電性を維持できることから、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途に特に好適である。適用できるコンデンサには、アルミ電解コンデンサ、タンタルコンデンサ、ニオブコンデンサ等の固体電解コンデンサがある。
以下、固体電解コンデンサ用の固体電解質として本発明の導電性組成物を用いて、巻回形コンデンサを製造する場合について説明する。
まず、誘電体酸化皮膜層を形成した陽極箔とエッチング処理あるいはエッチング後化成処理された陰極箔とをその間に、セパレーターを介在させて巻回することによりコンデンサ素子を形成する。その後、この素子に本発明の導電性組成物からなる導電性ポリマー膜(導電性ポリマー層ともいう。)を形成する。
導電性ポリマー膜を形成する方法としては、導電性組成物を陽極箔にまたはコンデンサ素子に含浸させる方法が挙げられる。
次に、導電性ポリマー膜上にカーボンペーストを塗布することにより、導電性ポリマー膜上にカーボン層を形成する。さらに、カーボン層上に銀ペーストを塗布し、所定の温度で乾燥させることによりカーボン層上に銀ペイント層を形成する。銀ペイント層に導電性接着剤を介して陰極端子を接続する。また、陽極箔に陽極端子を接続する。
その後、陽極端子および陰極端子の端部が外部に引き出されるようにモールド外装樹脂を形成する。
以上の方法により、固体電解コンデンサが得られる。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例および比較例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における測定・評価方法と、実施例および比較例で用いた導電性ポリマー(A)の製造方法は以下の通りである。
[測定・評価方法]
<塩を形成している塩基性化合物の含有量の測定>
導電性ポリマー(A)のスルホン酸基と塩を形成している塩基性化合物の含有量(濃度)は、陽イオンクロマトグラフィーにより以下の条件で測定した。含有量は、検出されたピーク面積と既知濃度のトリエチルアミンおよびアンモニア溶液のピーク面積とを比較して求めた。
・カラム:TSKgel IC−Cation I/IIカラム(東ソー製)
・溶離液:1.0mmol/Lの硝酸溶液と10質量%のアセトニトリル溶液との混合溶液
・導電性ポリマー(A)の濃度:1000質量ppm
・流速:0.5mL/min
・注入量30μL
・温度40℃
<導電性ポリマー(A)の単位(モノマーユニット)の測定>
導電性ポリマー(A)の粉末の質量を測定し、該粉末の質量を導電性ポリマー(A)の単位の分子量で除して、導電性ポリマー(A)の単位(モノマーユニット)[mol]を求めた。
導電性ポリマー(A)が分散液または溶解液の状態の場合、溶解液または分散液を100℃で1時間乾燥し、残存した固形分を導電性ポリマー(A)の粉末として、同様に導電性ポリマー(A)の単位(モノマーユニット)[mol]を求めた。
<XPSスペクトルの測定>
導電性組成物をマニュアルスピンナーASC−4000(Actes inc.製)によりガラス基材上に塗布し、120℃に設定したホットプレート上で10分間静置して導電性組成物を乾燥し、ガラス基材上に膜厚が0.1μm程度の導電性ポリマー膜を形成した(工程(I))。
導電性ポリマー膜がガラス基材上に形成された試験片(導電体)をX線光電子分光装置(アルバック・ファイ株式会社製、「QuanteraSXM型装置」)の試料導入装置にねじ止め、固定して試料準備室に導入し、次いでXPS分析室に導入して導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定した。なお、測定中のXPS分析室の真空度は2.67×10−6Pa程度以下に維持した。また、X線源は単色化したAl Kα線(1486.6eV)を励起光とし、出力は14kV、20mAとし、光電子取出し角は45°とした。
ついで、C1sピークの束縛エネルギー(BE)を284.5eVとして表面チャージング効果を補正した。カーブフィットにはX線光電子分光装置に付属したデータ処理装置(計算ライブラリー)を用いた。なお、カーブフィットに先立ってShirley法によりバックグラウンドを引き去り、導電性ポリマー(A)のスルホン酸基のS2pナロースペクトルを得た(工程(II))。
ついで、S2pナロースペクトルをS1成分(化学シフト:168.6eV、半価幅FWHM:2.10eV)とS2成分(化学シフト:167.8eV、半価幅FWHM:2.36eV)とに波形分離し、S1成分とS2成分のスペクトルを合成したスペクトル(合成カーブ)が、工程(II)で得られたS2pナロースペクトル(実測)のピーク形状と概ね一致するまで繰り返しカーブフィットした。分離ピークの形状を実測のピーク形状に合わせるにはGauss−Lorentz混合関数(Gaussian 90%、Lorentzian 10%)を用いた(工程(III))。
そして、工程(III)で波形分離したS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)とをそれぞれ求め(工程(IV))、S1とS2との合計を100としたときのS1とS2の比率それぞれ下記式(i)、(ii)より求めた(工程(V))。
S1の比率(%)={S1/(S1+S2)}×100 ・・・(i)
S2の比率(%)={S2/(S1+S2)}×100 ・・・(ii)
<耐熱性評価(導電率の測定)>
導電性組成物をマニュアルスピンナーASC−4000(Actes inc.製)によりガラス基材上に塗布し、120℃に設定したホットプレート上で10分間静置して導電性組成物を乾燥することで、膜厚が0.1μm程度の導電性ポリマー膜がガラス基材上に形成された導電体を作製した。
さらに、前記導電体を180℃に設定したホットプレート上で60分間静置して加熱処理した。
加熱処理後の導電体の表面抵抗値を、抵抗率計ロレスタGP(三菱化学株式会社製)に直列四探針プローブを装着して、25℃で測定した。導電性ポリマー膜の膜厚はナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000(株式会社キーエンス製)を用いて測定し、これに表面抵抗値を乗じて体積抵抗率を求め、この体積抵抗率の逆数を計算し、導電率を求めた。
[導電性ポリマー(A)の製造]
2−アミノアニソール−4−スルホン酸1molを0℃で、4mol/Lのトリエチルアミン水溶液(水:アセトニトリル=3:7)300mlに溶解し、モノマー溶液を得た。
別途、ペルオキソ二硫酸アンモニウム1molを水/アセトニトリル=3:7の溶液1Lに溶解し、酸化剤溶液を得た。
続いて、酸化剤溶液を5℃に冷却しながら、酸化剤溶液中にモノマー溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに攪拌した後、反応生成物を遠心濾過器にて濾別した。
さらに、反応生成物をメタノールにて洗浄した後、乾燥させ、前記一般式(1)で表される単位(式(1)中、Rがスルホン酸基であり、R〜Rが水素原子であり、Rがメトキシ基である。)を有する導電性ポリマー(A)の粉末185gを得た。
得られた導電性ポリマー(A)のスルホン酸基と塩を形成している塩基性化合物(トリエチルアミンおよびアンモニア)の含有量は16.7質量%であった。
得られた導電性ポリマー(A)5質量部を水95質量部に25℃で溶解させ、導電性ポリマー水溶液(A−1)を得た。
得られた導電性ポリマー水溶液(A−1)100質量部に対して、50質量部となるように酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライト」)をカラムに充填し、該カラムに導電性ポリマー水溶液(A−1)をSV=8の流量で通過させて陽イオン交換処理を行い、精製された導電性ポリマー水溶液(A−2)を得た。
得られた導電性ポリマー水溶液(A−2)において、導電性ポリマー(A)の割合は4.5質量%であった(溶媒100質量部に対して、導電性ポリマー(A)が4.7質量部である。)。また、導電性ポリマー水溶液(A−2)中の導電性ポリマー(A)のスルホン酸基と塩を形成している塩基性化合物(トリエチルアミンおよびアンモニア)の含有量は0.1質量%以下であった。
[実施例1−1、比較例1−1〜1−3]
精製された導電性ポリマー水溶液(A−2)に、導電性ポリマー(A)の単位(モノマーユニット)1molに対して、化合物(B2)として表1に示す量のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)を添加し、導電性組成物を調製した。
得られた導電性組成物についてXPSスペクトルを測定し、S1の比率およびS2の比率を求めた。結果を表1に示す。
また、得られた導電性組成物を用いて導電体を製造し、加熱処理後の導電体の導電率を測定した。結果を表1に示す。
さらに、得られた測定結果から、X軸にTrisの添加量(mol当量)、Y軸(右)に面積比率(%)、Y軸(左)に導電率をプロットしたグラフを作成した。該グラフを図4に示す。
[実施例2−1〜2−2、比較例2−1〜2−2]
精製された導電性ポリマー水溶液(A−2)に、導電性ポリマー(A)の単位(モノマーユニット)1molに対して、水酸化物(B1)として表2に示す量の水酸化リチウム(LiOH)を添加し、導電性組成物を調製した。
得られた導電性組成物についてXPSスペクトルを測定し、S1の比率およびS2の比率を求めた。結果を表2に示す。また、実施例2−2で得られた導電性組成物における導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルを図1に、該S2pナロースペクトルをS1成分とS2成分とに波形分離して得られるスペクトルを図2に示す。
また、得られた導電性組成物を用いて導電体を製造し、加熱処理後の導電体の導電率を測定した。結果を表2に示す。
さらに、得られた測定結果から、X軸にLiOHの添加量(mol当量)、Y軸(右)に面積比率(%)、Y軸(左)に導電率をプロットしたグラフを作成した。該グラフを図5に示す。
Figure 2014005315
Figure 2014005315
表1、2および図4、5の結果から明らかなように、塩基性化合物(B)であるTris、LiOHの添加量が増えると、S1の比率は増加し、S2の比率は減少した。
また、S1の比率が45〜75%であり、S2の比率が25〜55%である導電性組成物を用いた実施例1−1、2−1〜2−2の場合、加熱処理後の導電体の導電率が高く、各実施例で用いた導電性組成物は優れた耐熱性を有していた。
対して、S1の比率が45%未満または75%超であり、S2の比率が25%未満または55%超である導電性組成物を用いた比較例1−1〜1−3、2−1〜2−2の場合、加熱処理後の導電体の導電率は1S/cm未満と低く、各比較例で用いた導電性組成物は耐熱性に劣っていた。
このように、本発明によれば、導電性および耐熱性に優れる導電性組成物が得られる。しかも、本発明の導電性組成物は、実際に耐熱性試験を行わなくてもXPSスペクトルの測定を行うことで耐熱性を判断できる。よって、本発明によれば、導電体を加熱処理した後でも高い導電性を発現できる塩基性化合物(B)の添加量を事前に予測できるので、高耐熱性導電材料の開発を効率化できる。
X:S1成分の領域
Y:S2成分の領域

Claims (2)

  1. スルホン酸基を有する導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物において、
    下記工程(I)〜(V)を含む評価方法により算出したS1の比率が45〜75%、S2の比率が25〜55%である、導電性組成物。
    (I)基材上に導電性組成物を塗布し、120℃で10分間乾燥して導電性ポリマー膜を形成する工程。
    (II)X線光電子分光法(XPS)により、工程(I)で得られた導電性ポリマー膜のXPSスペクトルを測定し、導電性ポリマーのスルホン酸基のS2pナロースペクトルを求める工程。
    (III)工程(II)で得られたS2pナロースペクトルについて、束縛エネルギーが168.6eV、半価幅FWHMが2.10eVであるS1成分と、束縛エネルギーが167.8eV、半価幅FWHMが2.36eVであるS2成分とに波形分離する工程。
    (IV)工程(III)で波形分離したS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)とを求める工程。
    (V)工程(IV)で求めたS1成分の領域の面積(S1)とS2成分の領域の面積(S2)との合計を100としたときのS1とS2の比率を求める工程。
  2. 前記導電性ポリマー(A)は下記一般式(1)で表される単位を有する、請求項1に記載の導電性組成物。
    Figure 2014005315
    式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる。ここで、酸性基とはスルホン酸基またはカルボキシ基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つはスルホン酸基である。
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