以下、本発明のホログラム構造体について説明する。
本発明のホログラム構造体は、反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域を有する部材であって、上記反射型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光が、表面に凹凸面を有する第1ホログラム層の上記凹凸面で反射した反射光を、第1光像に変換する領域であり、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光が、パターン状に配置された第2ホログラム層を透過した透過光を、第2光像に変換する領域であることを特徴とする部材である。
以下、本発明のホログラム構造体を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
図1は、本発明のホログラム構造体の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明のホログラム構造体100は、表面に凹凸面を有する第1ホログラム層1aと、第1ホログラム層1aの一方の面側に、パターン状に配置された第2ホログラム層1bとを有する。また、図1に示すホログラム構造体100は、第2ホログラム層1bの第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に配置された接着層2と、接着層2の第2ホログラム層1bとは反対側の面に配置されたセパレータ3と、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に配置された透明基材4とを有する例である。
なお、第2ホログラム層1bは、第1ホログラム層1aの凹凸面側にパターン状に配置されている。そのため、第1ホログラム層1aと接着層2との間に第2ホログラム層1bを有しない領域では、通常、第1ホログラム層1aの凹凸面を埋めるように、接着層2が配置される。
図2(a)、(b)および図3(a)、(b)は、本発明のホログラム構造体を説明するための説明図である。図2(a)に示すように、所定の絵柄が描画された原画像をフーリエ変換することで、フーリエ変換像10’が記録された反射型フーリエ変換ホログラム領域を有する第1ホログラム層1aを得ることができる。図2(b)に示すように、反射型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光L10を、第1ホログラム層1aの表面に形成された凹凸面に反射させて、図2(a)に示すような第1光像10へ変換することができる。また、図3(a)に示すように、所定の絵柄が描画された原画像をフーリエ変換することで、フーリエ変換像20’が記録された透過型フーリエ変換ホログラム領域を有する第2ホログラム層1bを得ることができる。図3(b)に示すように、透過型フーリエ変換ホログラム層1bは、点光源から入射した光L20を、第2ホログラム層1bによりパターン状に遮光させて、図3(a)に示すような第2光像20へ変換することができる。なお、図2(a)、(b)および図3(a)、(b)において説明していない符号については、上述した図1(a)、(b)と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本発明によれば、ホログラム構造体は、反射型フーリエ変換ホログラム領域を有することにより、点光源からの光を反射させて第1光像を表示することができるとともに、透過型フーリエ変換ホログラム領域を有することにより、点光源からの光を透過させて第2光像を表示することができる。したがって、点光源を観察者が視認する側から照射した場合には、点光源からの光は反射型フーリエ変換ホログラム領域により反射して観察者の目に入る。したがって、観察者は第1光像を視認することが可能となる。一方、点光源を観察者が視認する側とは反対側から照射した場合には、点光源からの光は透過型フーリエ変換ホログラム領域を透過して観察者の目に入る。したがって、観察者は第2光像を視認することが可能となる。このように、本発明のホログラム構造体は、観察者の照射方向に応じて、所定の光像を表示することが可能となる。そのため、例えば、第1光像または第2光像が表示されることを知らない場合には、第1光像または第2光像を視認することは困難であり、こういった理由から、高い偽造防止性を発揮することができ、真贋判定に好適である。また、本発明のホログラム構造体は、第1光像および第2光像を表示することができる。したがって、例えば、第1光像および第2光像が表示する絵柄により一つの意味合いをなす絵柄とする等、第1光像および第2光像が表示する絵柄をそれぞれ対応する絵柄とすることで、より高い偽造防止性を発揮することができ、真贋判定に好適なホログラム構造体とすることができる。
また、本発明によれば、第1ホログラム層による反射型フーリエ変換ホログラム領域、および第2ホログラム層による透過型フーリエ変換ホログラム領域の2種類のホログラム領域を有するため、仮に、一方のホログラム領域が破壊された場合であっても、他方のホログラム領域を用いることで、真贋判定等を行うことができる。
以下、本発明のホログラム構造体について詳細に説明する。
1.構成
本発明のホログラム構造体は、反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域を有する。
以下、本発明のホログラム構造体における反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域について説明する。
(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光が、表面に凹凸面を有する第1ホログラム層の凹凸面で反射した反射光を、第1光像に変換する領域である。
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域は、第1ホログラム層の表面の凹凸構造により、点光源から入射した光を複数の方向に回折し、原画像に基づく所望の第1光像へと変換することができる。すなわち、本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域は、フーリエ変換レンズとして機能する。なお、上記機能について、フーリエ変換レンズ機能と称して説明する場合がある。
反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視サイズは、本発明のホログラム構造体の用途に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。反射型フーリエ変換ホログラム領域の具体的な平面視サイズは、例えば、5mm角以上50mm角以下の範囲内であることが好ましく、中でも5mm角以上30mm角以下の範囲内であることが好ましく、特に5mm角以上15mm角以下の範囲内であることが好ましい。反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視サイズが上記下限であることにより、反射型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第1光像が視認しやすくなる。また、反射型フーリエ変換ホログラム領域により偽造防止性を向上させ、優れた意匠性を得ることができる。一方、反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視サイズが上記上限であることにより、本発明のホログラム構造体を低コストで製造することができる。また、反射型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第1光像に、所定の画像を組み合わせて表示するための印刷層を容易に形成することができる。
ここで、反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視サイズが5mm角以上であるとは、反射型フーリエ変換ホログラム領域が、5mm角の正方形の範囲を少なくとも含む平面視形状であることをいう。したがって、例えば、反射型フーリエ変換ホログラム領域が長方形である場合には、その短辺の長さが5mm以上であることをいい、一方、反射型フーリエ変換ホログラム領域が正方形である場合には、その1辺の長さが5mm以上であることをいう。
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域は、例えば、図4(a)に示すように、単一のフーリエ変換ホログラム領域R1により第1光像20が表示される領域であっても良く、図4(b)に示すように、フーリエ変換ホログラム領域R1を複数配列して拡大した大判のフーリエ変換ホログラム領域R2により第1光像20が表示される領域であっても良い。なお、図4(a)、(b)に示す第1光像20は、単一のフーリエ変換ホログラム領域R1または大判のフーリエ変換ホログラム領域R2に対し、点光源からの光を反射させた際に発現される絵柄を示している。本発明においては、反射型フーリエ変換ホログラム領域が、大判のフーリエ変換領域であることが好ましい。反射型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第1光像を拡大させることができ、より視認性を向上させることが可能となる。
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域が、例えば図4(a)で説明したように、単一のフーリエ変換ホログラム領域R1により第1光像20を表示する領域であるとき、当該単一のフーリエ変換ホログラム領域R1の平面視サイズは、高い精度で形成することができる程度の大きさであることが好ましい。具体的には、例えば、0.25mm角以上5mm角以下の範囲内であることが好ましい。なお、ここでの単一のフーリエ変換ホログラム領域の平面視サイズは、単一のフーリエ変換ホログラム領域を含む最小の正方形の大きさを指す。したがって、例えば、単一のフーリエ変換ホログラム領域が1辺1mmの正方形である場合の平面視サイズは、1mm角となり、また、単一のフーリエ変換ホログラム領域の平面視形状が直径1mmの円形状である場合の平面視サイズは1mm角となる。
本発明において、反射型フーリエ変換ホログラム領域を構成する単一のフーリエ変換ホログラム領域の平面視形状は、本発明のホログラム構造体の用途等に応じて、任意の形状を適宜選択することができる。単一のフーリエ変換ホログラム領域の具体的な平面視形状としては、例えば、正方形、長方形等の矩形状、台形状、三角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、円形状、楕円形状、星型形状、ハート型形状等が挙げられるが、容易に形成することができるといった観点から、矩形状であることが好ましい。
また、本発明においては、図4(a)に示すように、反射型フーリエ変換ホログラム領域が、単一のフーリエ変換ホログラム領域R1である場合、反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視形状は、上述した単一のフーリエ変換ホログラム領域の平面視形状に相当する。一方、図4(b)に示すように、反射型フーリエ変換ホログラム領域が、単一のフーリエ変換ホログラム領域R1を複数配列した大判のフーリエ変換ホログラム領域R2である場合、反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視形状は、本発明のホログラム構造体の用途等に応じて、任意の形状を適宜選択することができる。具体的な反射型フーリエ変換ホログラム領域の平面視形状としては、上述した単一のフーリエ変換ホログラム領域の平面視形状と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域は、後述する透過型フーリエ変換ホログラム領域と、平面視上重なる領域であっても良い。本発明においては、反射型フーリエ変換ホログラム領域の全面が、後述する透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なっていても良く、あるいは、反射型フーリエ変換ホログラム領域の一部が、後述する透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なっていても良い。図5(a)は、第1光像を表示するためのフーリエ変換像10’が記録された反射型フーリエ変換ホログラム領域の一部が、第2光像を表示するためのフーリエ変換像20’が記録された透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なったホログラム構造体100を示す概略平面図である。なお、図5(b)は、図5(a)のA−A線断面図であり、図5(c)は、図5(a)のB−B線断面図であり、図5(d)は、図5(a)のC−C線断面図である。ここで、図5(b)では、第1ホログラム層1aの凹凸面側に接着層2が配置された例を示しているが、例えば、第1ホログラム層1aの凹凸面側の全面を覆うように第2ホログラム層1bが配置されていても良い。この場合、第2ホログラム層1bは、反射型フーリエ変換ホログラム領域における第1ホログラム層1aの凹凸面で、光を好適に反射させるための反射層として機能することができる。なお、図5(b)〜(d)に示す符号については、上述した図1と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本発明においては、例えば、図5(a)に示すように、ホログラム構造体100における反射型フーリエ変換ホログラム領域Aが占める平面視上の割合は、所望の第1光像を表示することができる程度の割合を有していれば良く、ホログラム構造体の用途等に応じて適宜調整することができる。例えば、25%以上であることが好ましく、中でも50%以上であることが好ましい。また、図5(a)に示すように、反射型フーリエ変換ホログラム領域Aの一部が、後述する透過型フーリエ変換ホログラム領域Bと平面視上重なった領域Cを有する場合、全反射型フーリエ変換ホログラム領域Aを100%としたときに、反射型フーリエ変換ホログラム領域Aと透過型フーリエ変換ホログラム領域Bとが平面視上重なる領域Cの割合は、例えば、5%以上であることが好ましく、中でも25%以上であることが好ましく、特に50%以上であることが好ましい。本発明においては、全反射型フーリエ変換ホログラム領域における、反射型フーリエ変換ホログラム領域と透過型フーリエ変換ホログラム領域とが平面視上重なる領域の割合が、上述した所定の範囲内であることにより、ホログラム構造体の偽造防止性の更なる向上を図ることができる。ホログラム構造体において、第1光像を表示するための例えば図2(a)に示すフーリエ変換像10’と、第2光像を表示するための例えば図3(a)に示すフーリエ変換像20’とが平面視上重なることで、次のような効果を奏する。すなわち、例えば、第1光像および第2光像が表示する絵柄により一つの意味合いをなす絵柄とする等、第1光像および第2光像が表示する絵柄をそれぞれ対応する絵柄とすることで、より高い偽造防止性を発揮することができ、真贋判定に好適なホログラム構造体とすることができる。
(a)第1ホログラム層
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域では、点光源から入射した光が、表面に凹凸面を有する第1ホログラム層の凹凸面で反射した光を、第1光像に変換することができる。すなわち、反射型フーリエ変換ホログラム領域は、第1ホログラム層を有する。
本発明における第1ホログラム層は、少なくとも反射型フーリエ変換ホログラム領域に形成されていれば良いが、通常は、図5(a)のA−A線断面図である図5(b)、図5(a)のB−B線断面図である図5(c)、および図5(a)のC−C線断面図である図5(d)に示すように、反射型フーリエ変換ホログラム領域だけではなく、後述する透過型フーリエ変換ホログラム領域にも、第1ホログラム層1aが連続して形成される。ここで、「連続して形成」とは、第1ホログラム層が途切れることなく形成されていれば足り、単一の第1ホログラム層が一体として配置されていても良く、複数の第1ホログラム層が並列して配置されていても良い。本発明においては、製造上の観点から前者であることが好ましい。
このように、本発明における第1ホログラム層は、反射型フーリエ変換ホログラム領域にのみ形成される部材ではないが、第1ホログラム層を有する領域において、反射型フーリエ変換ホログラム領域であるか否かは、第1ホログラム層の表面が凹凸面であるかないかにより確認することができる。すなわち、本発明では、第1ホログラム層において凹凸面を有する領域が反射型フーリエ変換ホログラム領域に相当する。
反射型フーリエ変換ホログラム領域において、第1ホログラム層の表面に形成された凹凸面を構成する凹凸構造は、第1光像として表示される原画像のデータに基づいて多値化されたフーリエ変換像である。このような凹凸構造は、通常、図2(a)に示すように、特定の方向に並列して延びる曲線状または直線状の多数の凸部または凹部から構成される。
本発明における第1ホログラム層の表面に凹凸構造を形成して反射型フーリエ変換ホログラム領域を得る方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。すなわち、フーリエ変換像に対応した凹凸構造を有するマスター原版を形成する。次に、ポリエチレンテレフタレート等の基材上に、紫外線硬化樹脂等の樹脂材料を塗布して塗膜を形成し、次いで、上述したマスター原版の凹凸パターンを上記塗膜に凹凸構造を転写する方法が挙げられる。なお、マスター原版の凹凸パターンの転写を1回のみ行った場合には、単一のフーリエ変換ホログラム領域を得ることができる。一方、マスター原版の凹凸パターンの転写を複数回行った場合には、単一のフーリエ変換ホログラム領域が配列された所望の大きさを有する大判のフーリエ変換ホログラム領域を得ることができる。
また、上述したマスター原版の形成方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。すなわち、原画像の画像データを基に計算によりフーリエ変換像を形成する。次に、当該フーリエ変換像のデータを二値以上に多値化したデータを電子線描画用データへ変換し、当該電子線描画用データを所望の範囲まで配列させる。具体的には、電子線描画用データを縦および横方向に所定の数の電子線描画用データをそれぞれ配列させる。次いで、配列した電子線描画データを基に、電子線描画装置を用いてマスター原版を作成する方法が挙げられる。
本発明においては、例えば、フーリエ変換像のデータを二値化したデータを電子線描画用データへ変換してマスター原版を作成した場合、当該マスター原版を用いて得られる凹凸構造は、図6(a)に示すように2段の凹凸形状となる。一方、フーリエ変換像のデータを四値化したデータを電子線描画用データへ変換してマスター原版を作成した場合、当該マスター原版を用いて得られる凹凸構造は、図6(b)に示すように4段の凹凸形状となる。なお、4値化した場合であっても、部分的に1段や2段の凹凸形状を有する場合がある。本発明においては、フーリエ変換像のデータを多値化する場合、四値化以上とすることが好ましい。換言すると、第1ホログラム層の表面の凹凸構造が、4段以上であることが好ましい。より複雑な絵柄の第1光像を表示することができるからである。なお、図6(a)、(b)において説明していない符号については、上述した図1と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明において、第1ホログラム層の表面の凹凸構造が4段以上である場合、第1ホログラム層の凹凸面で反射した光により観察される第1光像は、1つの画像となる。一方、第1ホログラム層の表面の凹凸構造が2段である場合、第1ホログラム層の凹凸面で反射した光により観察される第1光像は、0次光を中心として鏡像関係にある2つの画像となる。
第1ホログラム層の表面に形成された凹凸構造の格子ピッチは、点光源から入射した光を所望の第1光像へ変換することができる程度であることが好ましい。具体的な凹凸構造の格子ピッチとしては、例えば、1.0μm以上80.0μm以下の範囲内であることが好ましい。なお、凹凸構造の格子ピッチとは、例えば、図6(a)、(b)の符号Pで示す距離をいう。
ここで、図7に示すように、ホログラム構造体100においてフーリエ変換像10’が記録された反射型フーリエ変換領域に対して、高さT1に配置された点光源から光を照射し、高さT2から観察者が反射型フーリエ変換ホログラム領域を観察する場合、観察者がフーリエ変換ホログラム領域の全領域で第1光像の全体像を観察するためには、格子ピッチは、以下の式(1)に基づいて設計することが好ましい。
P=nλ/(sinθ1+sinθ2) (1)
なお、上記式(1)において、λは回折光の波長、Pは凹凸構造の格子ピッチ、θ1は点光源から反射型フーリエ変換ホログラム領域の端部まで光が到達するときの入射角、θ2は反射型フーリエ変換ホログラム領域の端部から回折光が観察者に到達するための回折角、nは回折の次数である。
上述した格子ピッチの具体的な計算例について説明する。反射型フーリエ変換ホログラム領域が、1辺が15mmの正方形状であり、T1が50mm、T2が300mmであり、回折光の波長が550nmである場合、sinθ2は0.025、sinθ1は0.148と計算される。そうすると、観察者が反射型フーリエ変換ホログラム領域の全領域で第1光像の全体像を観察するために必要な格子ピッチPは、最短で3179nmと算出することができる。また、反射型フーリエ変換ホログラム領域が、1辺が15mmの正方形状であり、T1が1990mm、T2が2000mmであり、回折光の波長が550nmである場合、sinθ2は0.00374、sinθ1は0.00377と計算される。そうすると、観察者が反射型フーリエ変換ホログラム領域の全領域で第1光像の全体像を観察するために必要な格子ピッチPは、最短で73236nmと算出することができる。さらに、反射型フーリエ変換ホログラム領域が、1辺が10mmの正方形状であり、T1が60mm、T2が60mmであり、回折光の波長が550nmである場合、sinθ2は0.083、sinθ1は0.083と計算される。そうすると、観察者が反射型フーリエ変換ホログラム領域の全領域で第1光像の全体像を観察するために必要な格子ピッチPは、最短で3313nmと算出することができる。
第1ホログラム層の表面の凹凸構造の高低差は、入射した光を所望の第1光像に変換することができる程度であれば良く、特に限定されない。具体的な凹凸構造の高低差としては、例えば、0.01μm以上1.5μm以下の範囲内とすることができ、中でも0.05μm以上1.0μm以下の範囲内であることが好ましい。凹凸構造の高低差が上記範囲内であることにより、入射した光を安定的に所望の第1光像へと変換することが可能である。なお、ここでの凹凸構造の高低差とは、凹凸構造において最も高い凸部の表面から最も深い凹部の表面までの距離を指し、例えば、図6(a)、(b)の符号Dで示す距離とする。
本発明における第1ホログラム層は、反射型フーリエ変換ホログラム領域として表面に凹凸構造を形成することができ、所望のフーリエ変換レンズ機能を発揮することができる材料から構成されることが好ましい。また、本発明における第1ホログラム層は、所定の屈折率を示す材料から構成されることが好ましい。第1ホログラム層の屈折率は、本発明のホログラム構造体の用途等に応じて適宜選択することができるため、特に限定されない。また、第1ホログラム層の屈折率の基準となる波長は、例えば400nm以上750nm以下の範囲内から適宜選択することができ、特に限定されない。本発明においては、中でも、波長555nmにおける屈折率が1.3以上2.0以下の範囲内であることが好ましく、特に1.33以上1.8以下の範囲内であることが好ましい。なお、第1ホログラム層の屈折率は、例えば分光エリプソメーターを用いて測定することができる。
本発明における第1ホログラム層の材料としては、例えば、一般的なレリーフ型ホログラムの形成に用いられる樹脂材料が挙げられる。具体的な樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。
本発明における第1ホログラム層は、上述した材料以外にも、必要に応じてその他の材料を含んでいても良い。その他の材料としては、例えば、光重合開始剤、重合禁止剤、劣化防止剤、可塑剤、滑剤、染料や顔料等の着色剤、増量やブロッキング防止等の体質顔料や樹脂等の充填剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤が挙げられる。
本発明における第1ホログラム層の厚みは、第1ホログラム層が自己支持性を有する程度の厚みであることが好ましい。具体的な厚みとしては、例えば、0.05mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.1mm以上3mm以下の範囲内であることが好ましい。一方、第1ホログラム層が自己支持性を有さず、後述する透明基材上に形成される場合、第1ホログラム層の厚みは、例えば、0.1μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.5μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましい。ここで、第1ホログラム層の厚みとは、例えば、図5(b)〜(d)に示す符号D1aで示す距離をいう。
(b)第1光像
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光を、第1ホログラム層の表面に形成された凹凸面に反射させて、第1光像へ変換する領域である。
本発明における反射型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第1光像の絵柄は、例えば、パターン、線画、文字、図形、記号等とすることができ、ホログラム構造体の用途に応じて適宜選択することができる。本発明において、反射型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第1光像は、後述する透過型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第2光像と、同じ絵柄であっても良く、互いに相違する絵柄であっても良い。
本発明においては、例えば図2(b)に示すように、ホログラム構造体100の透明基材4側から点光源を照射すると、光L10が第1ホログラム層1aの凹凸面に反射する。これにより、透明基材4側の観察者は、図2(a)の符号10で示す星型の絵柄である第1光像を視認することが可能となる。なお、図示はしないが、例えば図2(b)におけるセパレータ3側から点光源を照射した場合であっても、点光源からの光は、第1ホログラム層1aの凹凸面の、第2ホログラム層1bに覆われていない領域で反射する。したがって、観察者は、第1ホログラム層1aと、第1ホログラム層1aの表面に接触する部材との間の屈折率差にもよるが、セパレータ3側から第1光像をある程度視認することが可能となる。本発明においては、第1光像をより鮮明に表示するという観点から、図2(b)に示すように、透明基材4側から点光源を照射して、透明基材4側から観察者が第1光像10を視認することが好ましい。点光源から照射された光を、反射型フーリエ変換ホログラム領域において第1ホログラム層の表面に形成された凹凸面により、十分に反射させることができる。したがって、点光源から照射された光を、第1光像の表示に十分に寄与させることができる。
また、例えば、図8(b)に示すように、後述する第2ホログラム層1bが、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に配置されている場合には、通常、第1ホログラム層1aおよび接着層2の界面に高屈折率層14が形成される。このようなホログラム構造体の場合、第1光像は、セパレータ3側から点光源を照射して、セパレータ3側から観察者が視認することが好ましい。第1ホログラム層1aと高屈折率層14との間の屈折率差により、点光源からの光を反射させることができるからである。なお、図8(b)に示すような構成の場合であって、透明基材4側から点光源を照射した場合であっても、点光源からの光は、第2ホログラム層1bが形成されていない開口領域から、第1ホログラム層1aの凹凸面へと入射し、反射する。したがって、第2ホログラム層1bが形成されていない開口領域の大きさにもよるが、観察者は透明基材4側からある程度第1光像を視認することが可能である。本発明においては、第1光像をより鮮明に表示するという観点から、上述のようにセパレータ3側から点光源を照射して、セパレータ3側から観察者が視認することが好ましい。透明基材4側から点光源を照射した場合には、第2ホログラム層1bが形成されていない開口領域から、第1ホログラム層1aへと光が入射するため、上記開口領域の大きさに応じて、第1ホログラム層1aへと入射する光量が制限される場合があるからである。なお、図8(b)についての詳細な説明は、後述する「(2)透過型フーリエ変換ホログラム領域」の項で説明するため、ここでの記載は省略する。
(c)その他
本発明において、反射型フーリエ変換ホログラム領域に光を照射する点光源としては、例えば、レーザー光源が挙げられる。点光源の波長は特に限定されず、反射型フーリエ変換ホログラム領域がフーリエ変換レンズ機能を良好に発揮できることが好ましい。本発明においては、点光源の波長が、一波長の単色光であっても良く、多波長を含む光であっても良く、さらには白色光であっても良い。
(2)透過型フーリエ変換ホログラム領域
本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光を、第1ホログラム層の一方の面側に配置された第2ホログラム層によりパターン状に遮光させて、第2光像へ変換する領域である。
本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光が、パターン状に配置された第2ホログラム層を透過した透過光を、第2光像に変換する領域である。すなわち、本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、フーリエ変換レンズとして機能する。なお、上記機能について、フーリエ変換レンズ機能と称して説明する場合がある。
本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、例えば図3(a)に示すように、第2ホログラム層がパターン状に形成されたフーリエ変換像20’が記録された領域である。本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域と同様に、単一のフーリエ変換ホログラム領域により第2光像が表示される領域であっても良く、単一のフーリエ変換ホログラム領域を複数配列して拡大した大判のフーリエ変換ホログラム領域により第2光像が表示される領域であっても良い。
なお、透過型フーリエ変換ホログラム領域の平面視サイズや平面視形状等の具体的な説明については、上述した「(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域と、平面視上重なる領域であっても良い。本発明においては、透過型フーリエ変換ホログラム領域の全面が、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なっていても良く、あるいは、透過型フーリエ変換ホログラム領域の一部が、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なっていても良い。図5(a)は、第2光像を表示するためのフーリエ変換像20’が記録された透過型フーリエ変換ホログラム領域の一部が、第1光像を表示するためのフーリエ変換像10’が記録された反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なったホログラム構造体100を示す概略平面図である。
本発明においては、例えば、図5(a)に示すように、ホログラム構造体100における透過型フーリエ変換ホログラム領域Bが占める平面視上の割合は、所望の第2光像を表示することができる程度の割合を有していれば良く、ホログラム構造体の用途等に応じて適宜調整することができる。例えば、25%以上であることが好ましく、中でも50%以上であることが好ましい。また、図5(a)に示すように、透過型フーリエ変換ホログラム領域Bの一部が、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域Aと平面視上重なった領域Cを有する場合、全透過型フーリエ変換ホログラム領域Bを100%としたとき、透過型フーリエ変換ホログラム領域Bと反射型フーリエ変換ホログラム領域Aとが平面視上重なる領域Cの割合は、所定の範囲内であることが好ましい。なお、上記割合については、上記「(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域」の項に記載した、全反射型フーリエ変換ホログラム領域Aを100%としたときの割合と同様とすることができる。したがって、ここでの記載は省略する。本発明においては、全透過型フーリエ変換ホログラム領域における、透過型フーリエ変換ホログラム領域と反射型フーリエ変換ホログラム領域とが平面視上重なる領域の割合が、上述した所定の範囲内であることにより、ホログラム構造体の偽造防止性の更なる向上を図ることができる。これは、ホログラム構造体において、第2光像を表示するための例えば図3(a)に示すフーリエ変換像20’と、第1光像を表示するための例えば図2(a)に示すフーリエ変換像10’とが平面視上重なることで、より複雑な構成とすることができ、模倣を困難とすることができるからである。
(b)第2ホログラム層
本発明における第2ホログラム層は、第1ホログラム層の一方の面側にパターン状に配置される部材である。
図8(a)、(b)は、本発明のホログラム構造体の例を示す概略断面図である。本発明においては、図8(a)に示すように、第2ホログラム層1bを、第1ホログラム層1aの凹凸面側に配置しても良く、あるいは、図8(b)に示すように、第2ホログラム層1bを、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に配置しても良い。本発明においては、中でも、図8(a)に示すように、第1ホログラム層1aの凹凸面側に、第2ホログラム層1bが配置されることが好ましい。本発明のホログラム構造体100を、透明基材4側から観察した際に、反射型フーリエ変換ホログラム領域において、第1ホログラム層の表面に形成された凹凸構造を、第2ホログラム層に遮られることなく十分に観察することができる。さらに透過型フーリエ変換ホログラム領域において、パターン状に配置された第2ホログラム層も十分に観察することができる。したがって、本発明のホログラム構造体を一方の面から観察することで、点光源からの光を反射させた場合には、反射型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第1光像を観察でき、点光源からの光を透過させた場合には、透過型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第2光像を観察できる。
一方、図8(b)に示すように、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に第2ホログラム層1bが配置されている場合には、通常、第1ホログラム層1aと第1ホログラム層1aの凹凸面側に接触する部材との間に高屈折率層14が形成される。そうすることで、第1ホログラム層1aと高屈折率層14との間の屈折率差により、第1ホログラム層1aの表面に形成された凹凸構造において、透明基材4側またはセパレータ3側の光源から照射された光を十分に反射させることが可能となる。これにより、反射型フーリエ変換ホログラム領域において、第1光像を良好に観察することが可能となる。また、図8(b)に示すホログラム構造体100において透過型フーリエ変換ホログラム領域により第2光像を観察する場合には、透明基材4側の光源から光を照射してセパレータ3側から観察しても良く、あるいはセパレータ3側の光源から光を照射して透明基材4側から観察しても良い。第2光像を観察するといった観点からは、光源からの光の照射方向および観察する方向は特に限定されない。なお、図8(b)に示すホログラム構造体100を用いて第1光像を観察するときの好ましい態様については、上記「(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域」の項に記載したため、ここでの記載は省略する。また、図8(a)、(b)において説明していない符号については、上述した図1と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
透過型フーリエ変換ホログラム領域においては、第1ホログラム層の一方の面側に配置される第2ホログラム層は、第2光像として表示される原画像のデータに基づいて多値化されたフーリエ変換像である。第2ホログラム層は、点光源から入射した光をパターン状に遮光させることができる部材である。換言すると、第2ホログラム層は、遮光性を有し、かつパターン状に配置される部材である。このような第2ホログラム層は、通常、図3(a)に示すように、特定の方向に並列して延びる曲線状または直線状の多数のパターンから構成される。
本発明における第2ホログラム層をパターン状に配置して透過型フーリエ変換ホログラム領域を得る方法としては、第2ホログラム層を第1ホログラム層の一方の面側に、点光源からの光を透過させた際に所望の第2光像を表示することができるように、パターン状に配置する方法であれば良く、第2ホログラム層に用いられる材料等に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、レーザー描画法、デメタ印刷法、レジスト印刷法およびマスク蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いて第2ホログラム層をパターン状に形成する方法が挙げられる。本発明においては、中でもレーザー描画法を用いて第2ホログラム層を形成することが好ましい。可変的なパターン形成を行うことができるため、偽造防止性が高く意匠性に優れたホログラム構造体を形成するのに好適である。
本発明においてパターン状に形成された第2ホログラム層のピッチは、点光源から入射した光を所望の第2光像へ変換することができる程度であることが好ましい。具体的な第2ホログラム層のピッチについては、上記「(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域 (a)第1ホログラム層」の項に記載した格子ピッチと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。なお、パターン状に形成された第2ホログラム層のピッチとは、例えば、図9の符号Pで示す距離をいう。
第2ホログラム層は、点光源から入射した光をパターン状に遮光するという機能を有する。したがって、第2ホログラム層の厚みは、点光源から入射した光を十分に遮光することができる程度の厚みであることが好ましく、第2ホログラム層に用いられる材料の種類や製造方法に応じて適宜選択することができる。本発明においては、例えば、第2ホログラム層の厚みが、0.01μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.03μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましい。なお、第2ホログラム層の厚みとは、例えば、図9の符号Dで示す距離をいう。
本発明においては、点光源から入射した光を、第2ホログラム層によりパターン状に遮光させて、第2光像へ変換する。ここで、「遮蔽する」とは、点光源から入射した光を完全に遮蔽する場合だけでなく、第2光像へ変換することができる程度に光を遮蔽する場合も含む。具体的には、第2ホログラム層の可視光線透過率が、90%以下であることが好ましく、中でも70%以下であることが好ましく、特に50%以下であることが好ましい。なお、第2ホログラム層の可視光線透過率は、例えば、JIS K7361−1に準拠したプラスチック−透明基材の全光透過率の試験方法により測定することができる。
また、本発明においては、第2ホログラム層が、点光源から入射した光を反射する反射性を有することが好ましい。例えば、図1に示すように、第1ホログラム層1aの凹凸面側に第2ホログラム層1bが配置され、かつ、図2(b)に示すように、透明基材4側から点光源を照射して、透明基材4側から観察者が第1光像を観察する場合に、より鮮明に第1光像を視認することができるからである。これは、点光源から入射した光が、第1ホログラム層1aの凹凸面を覆うように追従する第2ホログラム層1bにより効果的に反射するからと考えられる。第2ホログラム層の具体的な反射性としては、例えば、反射率が5%以上であることが好ましく、中でも10%以上であることが好ましく、特に15%以上であることが好ましい。なお、第2ホログラム層の反射率は、例えば、JIS K 7375に準拠して測定することができる。
本発明における第2ホログラム層の材料としては、点光源から入射した光を、パターン状に遮光させて、所望の第2光像へ変換することが可能な材料であれば良い。中でも、上述のような所定の遮光性を有する材料であることが好ましく、特に、上述のような所定の遮光性および反射性の両方を有する材料であることが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム、銀、金、ニッケル、銅、クロム、チタン、窒化チタン、炭化チタン、ニッケルクロム、ステンレス鋼、黄銅等が挙げられる。本発明においては、反射性および遮光性の観点から、特にアルミニウムを用いることが好ましい。
(c)第2光像
本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光を、第2ホログラム層によりパターン状に遮光させて、第2光像へ変換する領域である。
本発明における透過型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第2光像の絵柄は、例えば、パターン、線画、文字、図形、記号等とすることができ、ホログラム構造体の用途に応じて適宜選択することができる。本発明において、透過型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第2光像は、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第1光像と、同じ絵柄であっても良く、互いに相違する絵柄であっても良い。
本発明においては、例えば、図3(b)に示すように、ホログラム構造体100のセパレータ3側から点光源を照射することで、透明基材4側の観察者は、図3(a)の符号20で示す顔の絵柄である第2光像を視認することが可能となる。なお、図示はしないが、例えば図3(b)における透明基材4側から点光源を照射した場合であっても、点光源からの光は、第2ホログラム層1bによりパターン状に遮光される。したがって、観察者は、セパレータ3側から第2光像を視認することが可能となる。
また、例えば、図8(b)に示すように、第2ホログラム層1bが、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に配置されている場合には、第2光像は、セパレータ3側から点光源を照射して、透明基材4側から観察者が視認しても良く、あるいは、透明基材4側から点光源を照射して、セパレータ3側から観察者が視認しても良い。本発明においては、第1光像をより鮮明に表示するという観点から、透明基材4側から点光源を照射して、セパレータ3側から観察者が視認することが好ましい。なお、この理由については、上記「(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域 (b)第1光像」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(d)その他
本発明において、透過型フーリエ変換ホログラム領域に光を照射する点光源としては、例えば、レーザー光源が挙げられる。点光源の波長は特に限定されず、反射型フーリエ変換ホログラム領域がフーリエ変換レンズ機能を良好に発揮できることが好ましい。本発明においては、点光源の波長が、一波長の単色光であっても良く、多波長を含む光であっても良く、さらには白色光であっても良い。
(3)回折格子領域
本発明における回折格子領域は、回折絵柄を表示する領域である。また、回折格子領域は、反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重ならない領域に位置する。なお、ここでの回折格子領域は、レリーフ型ホログラム領域を包含する。
回折格子領域は、回折格子パターンを有する画素が複数集合した領域を指す。図10(a)は、回折格子パターンの一例を示す概略平面図である。図10(a)に示すように、本発明のホログラム構造体100は、少なくとも反射型フーリエ変換ホログラム領域A、透過型フーリエ変換ホログラム領域B、またはそれらが重なった領域Cにより、第1光像または第2光像が表示される領域を有するが、必要に応じて、回折格子絵柄を表示する回折格子パターン30が集合した回折格子領域を有していても良い。偽造防止性をより一層高め、優れた意匠性を有するホログラム構造体とすることができるからである。図10(b)に示すように、回折格子パターン30は、所定の線幅dを有する格子線31が、1つの画素に対応した大きさの閉領域32内に配置されている。格子線31は、所定のピッチpおよび所定角度θで配置される。なお、図示しないが、回折格子領域は、反射型フーリエ変換ホログラム領域と同一平面上に形成することが好ましい。具体的には、本発明における第1ホログラム層と同一平面上に、回折格子パターンが配置されていることが好ましい。また、このとき、第1ホログラム層において、反射型フーリエ変換ホログラム領域を形成するための凹凸面側と、回折格子パターンにおいて回折格子絵柄が記録された面側とが、同一面となるように設計することが好ましい。
回折格子パターンにおける格子線の線幅d、ピッチpおよび角度θは、回折格子領域に照射された光に回折が生じる程度の寸法値に適宜設定することができる。回折格子領域は、格子線の線幅d、ピッチpおよび角度θ等を様々な寸法値とした複数種類の回折格子パターンを集合させることで、所定の回折絵柄を表示することができる。なお、回折格子パターンの各種寸法値や配置等は、回折格子領域により表示しようとする原画像において、当該原画像を構成する多数の画素それぞれに割り付けられた画素値に応じて適宜決定する。なお、回折格子パターンの各種寸法値は、コンピュータに取り込まれた原画像の画像データに基づいて決定される。
なお、回折格子領域を構成する回折格子パターンについては、一般的な回折格子パターンと同様とすることができる。具体的には、本発明における回折格子パターンは、特開2008−191540号公報、特開2000−304912号公報、特開2008−077042号公報等に開示された一般的な回折格子パターンと同様とすることができる。したがって、ここでの詳細な説明は省略する。
本発明における回折格子領域は、反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重ならない領域に位置するが、これは次のようなことに起因する。すなわち、通常、回折格子領域を構成する回折格子パターンは、表面に凹凸構造を有する。そうすると、第1ホログラム層の表面に凹凸構造を有する反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なる領域には、表面に凹凸構造を有する回折格子領域を配置することは困難となる。このように、本発明における回折格子領域は、反射型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重ならない領域に位置するが、回折格子領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域は、平面視上重なった領域を有していても良い。
本発明における回折格子領域により表示される回折格子絵柄としては、例えば、パターン、線画、文字、図形、記号等が挙げられる。また、これらの回折格子絵柄は、反射型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第1光像や、透過型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第2光像の絵柄と、合わせて一つの絵柄が完成するように設計しても良い。この場合、偽造防止性の更なる向上を図ることができる。
本発明における回折格子絵柄は、平面的に絵柄を再生可能な平面回折格子絵柄であっても良く、立体的に絵柄を再生可能な立体回折格子絵柄であっても良く、あるいは、平面回折格子絵柄および立体回折格子絵柄の両方を組み合わせたものであっても良い。回折格子絵柄が平面回折格子絵柄または立体回折格子絵柄であることにより、より優れた意匠性を有するホログラム構造体とすることができる。
平面回折格子絵柄の表示方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。すなわち、回折光の振幅が同程度の回折格子パターンにより表示される方法が挙げられる。ここで、回折光の振幅を同程度とする方法としては、例えば、特許第4984938号公報に記載された方法と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
平面回折格子絵柄は、格子線の面積が同程度の回折格子パターンを敷き詰めることで表示することができる。また、格子線の面積として、どの程度の面積の格子線を有する回折格子パターンを用いるかについては、平面回折格子絵柄が再生可能であれば良く、再生される平面回折格子絵柄のサイズやカラー表示の有無等に応じて適宜設定することができる。
立体回折格子絵柄の形成方法としては、回折格子絵柄の端部側より中央部側に回折光の振幅が大きい回折格子パターンを配置する方法が挙げられる。こうすることで、参照光を照射した際に、回折格子絵柄が立体的に浮かび上がるように再生することができる。ここで、回折光の振幅を、端部側よりも中央部側が大きくなるように回折格子パターンを配置する方法としては、例えば、特許第4984938号公報に記載された方法と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域に対する回折格子領域の平面視上の割合は、回折格子領域により所望の回折格子絵柄を表示することができる程度の割合であることが好ましい。また、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域により表示される第1光像および第2光像、ならびに回折格子領域により表示される回折格子絵柄のそれぞれが、十分に視認することができる程度の割合であることが好ましい。回折格子絵柄が平面回折格子絵柄である場合の、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域に対する回折格子領域の割合は、例えば、1/4以上3/2以下の範囲内であることが好ましく、中でも1/2以上1以下の範囲内であることが好ましく、特に5/8以上7/8以下の範囲内であることが好ましい。一方、回折格子絵柄が立体回折格子絵柄である場合の、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域に対する回折格子領域の割合は、例えば、1/3以上3以下の範囲内であることが好ましく、中でも2/3以上2以下の範囲内であることが好ましく、特に1以上5/3以下の範囲内であることが好ましい。なお、上記割合において、「上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域に対する」とは、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域の合計の領域に対するという意味である。
回折格子パターンの平面視サイズは、表示される回折格子絵柄に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。例えば、5μm角以上100μm角以下の範囲内とすることができる。回折格子パターンの平面視サイズが上記範囲内であることにより、高精細な回折格子絵柄を表示することが可能となる。また、回折格子絵柄を表示する個々の回折格子パターンの存在を隠ぺいし、偽造防止性を高めることができる。
回折格子パターンの平面視形状は、再生される回折格子絵柄に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、上記「(1)反射型フーリエ変換ホログラム領域」の項に記載した単一のフーリエ変換ホログラム領域の平面視形状と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
回折格子パターンを形成する方法については、一般的に公知の方法と同様の方法を採用することができるため、ここでの記載は省略する。
回折格子絵柄の再生に用いられる参照光としては特に限定されず、一般的なホログラムに用いられる参照光と同様のものと用いることができる。具体的には、参照光としては可視光を含む光を用いることができる。例えば、参照光は、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域により変換される第1光像および第2光像の表示に用いられる点光源と同一の光を用いることができる。こうすることで、第1光像または第2光像の表示と同時に、回折格子絵柄を表示することができる。なお、参照光は、点光源に限らず、平行光等であっても良い。
(4)その他の構成
本発明のホログラム構造体は、上述した反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域を有する部材であるが、必要に応じてその他の構成を有していても良い。
以下、本発明のホログラム構造体に用いられるその他の構成について説明する。
(a)透明基材
本発明のホログラム構造体は、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に、透明基材を有していても良い。透明基材を有することにより、本発明のホログラム構造体の熱的強度または機械的強度を高めることができる。
ここで、「ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に、透明基材を有する」とは、ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に、直接透明基材が配置されている態様や、ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に、他の部材を介して透明基材が配置されている態様を包含する。
本発明における透明基材は、可視光透過率が80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。透明基材の可視光透過率が上記範囲内であることにより、ホログラム構造体の透明基材が配置された側から光を照射したときに、透明基材を介して、第1ホログラム層および第2ホログラム層まで、十分に光を透過させることができる。一方、ホログラム構造体の透明基材が配置された側とは反対側から光を照射したときには、透過型フーリエ変換ホログラム領域により変換された第2光像を、透明基材を介して表示することができる。なお、透明基材の可視光透過率については、例えば、JIS K7361−1に準拠したプラスチック−透明基材の全光透過率の試験方法により測定することができる。
本発明における透明基材は、ヘイズ値が比較的低いことが好ましい。具体的な透明基材のヘイズ値としては、例えば、0.01%以上5%以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.01%以上3%以下の範囲内であることが好ましく、特に、0.01%以上1.5%以下の範囲内であることが好ましい。透明基材のヘイズ値が上記範囲内であることにより、透明基材を介して第1光像や第2光像を、良好に表示することができる。なお、透明基材のヘイズ値については、例えば、JIS K7136に準拠して測定することができる。
本発明における透明基材の材料としては、上述したような所定の可視光透過率およびヘイズ値を有する材料を選択することが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂等の樹脂フィルム、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等のガラスが挙げられる。本発明においては、軽量かつ破損等の危険性が低いという観点から、樹脂フィルムを用いることが好ましく、複屈折性の面からポリカーボネートを選択することがより好ましい。
本発明における透明基材は、紫外線吸収剤、熱線吸収剤等を含んでいても良い。ホログラム構造体に紫外線および熱線等が当たることにより、ホログラム層が劣化することを抑制することできる。
本発明における透明基材の厚みは、第1ホログラム層および第2ホログラム層を支持することができる程度の剛性および強度を有することができる程度の厚みであることが好ましい。透明基材の厚みは、例えば、0.005mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.01mm以上1mm以下の範囲内であることが好ましい。また、透明基材の形状については、本発明のホログラム構造体の使用形態等に応じて適宜変更することができる。
本発明における透明基材は、他の部材との密着性を向上させるために、表面処理を施しても良い。透明基材への表面処理としては、例えば、コロナ処理が挙げられる。
(b)接着層
本発明のホログラム構造体は、例えば、少なくともいずれか一方の面に接着層を有していても良い。本発明においては、ホログラム構造体のいずれか一方の面に接着層を有することにより、本発明のホログラム構造体を、所定の位置に貼り付けることができる。また、ホログラム構造体の両面に接着層を有することにより、ホログラム構造体を、例えば、ポリカーボネート等の樹脂から形成されたカード、パスポートの個人情報のページ等に埋め込むことができる。なお、図1では、接着層2の最外層となる側の面にセパレータ3が配置された例である。
ここで、「本発明のホログラム構造体は、いずれか一方の面に接着層を有していても良い」とは、次のような態様を指す。具体的には、ホログラム層において、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に、接着層を有していても良い。また、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側の面、すなわち第1ホログラム層の凹凸面側に、接着層を有していても良い。なお、後者である場合には、ホログラム層の凹凸構造を埋めるように接着層を形成しても良いが、このとき、第1ホログラム層と接着層との間には所定の屈折率差があることが好ましい。第1ホログラム層の凹凸構造により、点光源からの光を反射させて、良好に第1光像へ変換することができるからである。
また、「第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に、接着層を有していても良い」とは、図示はしないが、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に接着層が形成されていても良いことや、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側とは反対側の面に透明基材を介して接着層が形成されていても良いことを指す。次に、「第1ホログラム層の凹凸構造が形成された側の面に、接着層を有していても良い」とは、例えば、図1に示すように、第1ホログラム層1aの凹凸構造が形成された側の面に接着層2が形成されていても良いことを指す。
本発明において、例えば、図1に示すように、第1ホログラム層1aの凹凸構造が形成された側の面に接着層2を有する場合、第1ホログラム層と接着層との間には、所定の屈折率差が必要である。ここで、「所定の屈折率差」とは、例えば、第1ホログラム層の凹凸構造により点光源からの光が散乱し、所望の第1光像を表示することができる程度の屈折率差であることが好ましい。
本発明における接着層は、透明性が高いことが好ましい。具体的には、可視光透過率が80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。接着層の可視光透過率が上記範囲内であることにより、接着層による光の遮蔽を抑制することできる。なお、接着層の可視光透過率は、例えば、JIS K7361−1に準拠するプラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法により測定することができる。
本発明における接着層は、ヘイズ値が比較的低いことが好ましい。具体的な接着層のヘイズ値としては、例えば、0.01%以上5%以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.01%以上3%以下の範囲内であることが好ましく、特に0.01%以上1.5%以下の範囲内であることが好ましい。接着層のヘイズ値が上記範囲内であることにより、接着層による光の遮蔽を抑制することできる。なお、接着層のヘイズ値は、例えば、JIS K7136に準拠して測定することができる。
本発明における接着層は、粘着性を有する粘着層であっても良く、密着性および再剥離性の双方の特性を有する再剥離密着層であっても良い。本発明における接着層が粘着層である場合には、本発明のホログラム構造体を構成する各部材同士を強固に貼り合せたり、または、ホログラム構造体を被着体へと強固に貼り合せたりすることができる。一方、本発明における接着層が再剥離密着層である場合には、本発明のホログラム構造体を所望の部材に貼り合せることができる。このような再剥離密着層は、被着体に粘着剤等による痕を残すことなく、容易に密着および剥離を繰り返すことができ、被着体への影響を最小限に抑えることができる。
本発明における接着層は、必要に応じて紫外線吸収剤や赤外線吸収剤を含んでいても良い。接着層中に紫外線吸収剤や赤外線吸収剤が含まれていることにより、本発明のホログラム構造体が紫外線や赤外線の照射により劣化することを抑制することができる。また、本発明における接着層は、粘着性付与剤や粘着性調整剤等を含んでいても良い。
本発明における接着層の厚みは、本発明のホログラム構造体の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。接着層の具体的な厚みとしては、例えば、1μm以上500μm以下の範囲内とすることが好ましく、中でも2μm以上50μm以下の範囲内とすることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲内であることにより、接着層による光の遮蔽を抑制することできる。
接着層の形成方法としては、所望の位置に接着層を配置することができる方法であれば良く、特に限定されない。例えば、所望の位置に接着層を構成する接着層形成用塗工液を直接塗布して乾燥させることで、接着層を形成する方法が挙げられる。接着層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、メイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法が挙げられる。
(c)セパレータ
本発明においては、ホログラム構造体の最外層に接着層を有する場合、当該接着層の最外層となる側の表面にセパレータを配置することが好ましい。換言すると、ホログラム構造体の最外層が接着性を有さない部材である場合には、特にセパレータを配置する必要はない。セパレータを有することにより、接着層の表面に異物等が付着することを防止することができる。また、ホログラム構造体を長尺状に作成し、これをロール状に巻く場合に、重なったホログラム構造体同士が互いに接着するのを防ぐことができる。
本発明におけるセパレータとしては、例えば、接着層を保護することができ、かつ接着層から容易に剥離することができる部材であれば良く、特に限定されない。このようなセパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド等から構成された樹脂層が挙げられる。
本発明におけるセパレータの厚みについては、本発明のホログラム構造体の種類や用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
本発明におけるセパレータは、接着層と接する側の面に、接着層との剥離操作を容易にするための剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処置としては、例えば、シリコーン処理、アルキッド処理等が挙げられる。
(d)高屈折率層
本発明においては、第1ホログラム層の凹凸面側に、必要に応じて高屈折率層を有していても良い。
本発明における高屈折率層は、例えば、酸化ジルコニウム、五酸化二アンチモン、アンチモンドープ酸化スズ等の高屈折率粒子とバインダー樹脂とを含む高屈折率層形成用樹脂組成物により形成することができる。また、高屈折率層は、それ自体が高屈折率であるポリマー単体により形成しても良く、化学蒸着法(CVD)や物理蒸着法(PVD)等の蒸着法により形成した酸化ジルコニウムおよび五酸化二アンチモン等の薄膜等であっても良い。本発明においては、中でも、高屈折率粒子とバインダー樹脂とを含む高屈折率層形成用樹脂組成物により、高屈折率層を形成することが好ましい。
高屈折率層に用いられる高屈折率粒子としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO;1.90)、酸化チタン(TiO2;2.3〜2.7)、酸化セリウム(CeO2;1.95)、酸化インジウムスズ(ITO;1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO;1.80)、酸化イットリウム(Y2O3;1.87)、酸化ジルコニウム(ZrO2;2.0)、五酸化アンチモン(Sb2O5;1.79)が好ましく挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。なお、上記かっこ内の数値は、屈折率を示す。
高屈折率粒子の平均粒径としては、例えば、5nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましく、中でも5nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、特に10nm以上80nm以下の範囲内であることが好ましい。高屈折率粒子の平均粒径が上記範囲内であることにより、高屈折率層の光透過性を損なうことなく、高屈折率粒子の分散状態が得られるからである。なお、本発明においては、平均粒径が上記範囲内であれば、高屈折率粒子が鎖状に連なっていても良い。
高屈折率粒子は、必要に応じて表面処理されていても良い。表面処理としては、例えば、シランカップリング剤を用いて、高屈折率粒子の表面の改質を行う処理が挙げられる。このような処理を施すことで、バインダー樹脂との親和性が向上し、高屈折率粒子を均一に分散させ、高屈折率粒子同士の凝集を抑制することができる。したがって、凝集由来の大粒子化による高屈折率層の光透過性の低下や、高屈折率層形成用樹脂組成物の塗布性や塗膜強度の低下を抑制することができる。
高屈折率粒子を分散させるバインダー樹脂やその他の添加剤、その他の詳細な説明については、例えば、特開2017−021293号公報に開示された内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(e)層間接着層
本発明のホログラム構造体は、ホログラム構造体を構成する各部材の層間を接着するための層間接着層を有していても良い。
このような層間接着層としては、例えば、2液硬化型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層、熱硬化型接着剤層、熱溶融型接着剤層等の公知の接着剤層を用いることができる。
本発明における層間接着層の厚みについては、ホログラム構造体を構成する各部材の大きさ等に応じて適宜調整することができるため、ここでの記載は省略する。
本発明における層間接着層は、反射型フーリエ変換ホログラム領域や透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なる場合には、所定の透明性を有することが好ましい。なお、具体的な透明性については、上記「(b)接着層」の項で記載した接着層の透明性と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(f)印刷層
本発明のホログラム構造体は、印刷層を有していても良い。ここでいう「印刷層」とは、インク等を用いて情報が印刷された層を指す。印刷層を有することにより、本発明のホログラム構造体の意匠性を更に優れたものとすることができる。
印刷層の材料としては、各種印刷方式により印刷することが可能な材料であれば良く、特に限定されない。例えば、ポリカーボネート類、ポリエステル類、セルロース誘導体、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリプロピレン系類、ポリエチレン系類、スチレン系類等が挙げられる。また、印刷層に用いられるインクとしては、通常、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の各種印刷法に用いられるインクが挙げられる。
印刷層の形成方法としては、例えば、平版印刷、凹版印刷、凸版印刷、孔版印刷の基本印刷法、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷、グラビアオフセット印刷、タコ印刷、インクジェット印刷、転写印刷、静電印刷、紫外線硬化印刷、焼き付け印刷、水なしオフセット印刷等が挙げられる。
本発明における印刷層は、ホログラム構造体に意匠性を付与する部材である。例えば、印刷層は、上述した第1光像や第2光像とは異なる情報を表示する部材であることが好ましい。印刷層が表示する情報は、本発明のホログラム構造体の用途等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、文字、記号、マーク、イラスト、キャラクター等の絵柄、会社名、商品名、セールスポイント、キャッチコピー、取扱い説明等の各種文字情報が挙げられる。
本発明における印刷層の配置位置は、第1光像および第2光像の表示を妨げないような位置であることが好ましい。具体的には、印刷層を、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された面側に配置しても良く、第1ホログラム層の凹凸構造が形成された面とは反対側に配置しても良い。なお、本発明のホログラム構造体が例えば図1に示すような構成を有する場合であって、印刷層を第1ホログラム層の凹凸構造が形成された面側に配置する場合、印刷層は、第1ホログラム層と第2第2ホログラム層との間に配置しても良く、あるいは第2ホログラム層の第1ホログラム層とは反対側の面に配置しても良い。
(g)任意の構成
本発明のホログラム構造体は、例えば、上述した透明基材上に紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等を有していても良い。このような任意の構成を有することにより、本発明のホログラム構造体を各種フィルタ等として用いることが可能となる。なお、紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等については、一般的に公知のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
2.ホログラム構造体の使用態様
本発明のホログラム構造体は、次のような使用態様を有する。なお、ホログラム構造体の使用態様の一例を、第1使用態様、第2使用態様および第3使用態様に分けて説明する。
(1)第1使用態様
本態様のホログラム構造体は、上記第1ホログラム層の凹凸面側に接着層を有し、ホログラムシールとして用いられることを特徴とする。
本態様のホログラム構造体は、例えば、上述した図1に示すように、第1ホログラム層1aの凹凸面側に接着層2を有することで、ホログラムシールとして用いることができる。具体的には、第1ホログラム層1aの凹凸面側であって、第2ホログラム層1bの第1ホログラム層1aとは反対側の面、いわゆるホログラム構造体の最外層として接着層2を有することが好ましい。
本態様のホログラム構造体をホログラムシールとして用いる場合、ホログラムシールは接着層を介して被着体に貼り付けられる。このときの被着体は、少なくとも透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なる領域において透明性を有していても良く、透明性を有していなくても良い。図11(a)に示すように、ホログラムシール100aを、少なくとも透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なる領域において透明性を有する被着体200に貼り付けた場合には、透明基材4側から点光源により光L10を反射させて第1光像を表示することができ、また、被着体200を介して点光源により光L20を透過させて第2光像を表示することができる。一方、図11(b)に示すように、ホログラムシール100aを、透明性を有しない被着体200に貼り付けた場合には、透明基材4側から点光源により光L10を反射させて第1光像を表示することができるが、被着体200を介して点光源より光L20を透過させることは困難となる。したがって、この場合には、図11(c)に示すように、ホログラムシール100aを被着体200から剥離して第2光像を表示することが好ましい。図11(a)〜(c)において説明していない符号については、上述した図1と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本態様において、被着体が透明性を有しない場合には、ホログラムシールを用いた真贋判定を行うことができ、偽造防止性の更なる向上を図ることが可能となる。具体的には、ホログラムシールを被着体から剥離し、点光源を透過させた際に初めて第2光像を表示することができるため、ホログラムシールが、第2光像を表示するための透過型フーリエ変換ホログラム領域を有することを隠ぺいすることができ、偽造防止性の更なる向上を図ることができる。
なお、本態様のホログラム構造体は、必要に応じて上記「1.構成 (4)その他の構成」の項に記載した構成を有していても良い。
本態様において用いられる接着層については、上記「1.構成 (4)その他の構成 (b)接着層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本態様のホログラム構造体をホログラムシールとして用いる場合の具体的な用途としては、例えば、チケット、ブランド品、製品の品質管理番号ラベル等に貼り付けて、真贋判定としての用途が挙げられる。
(2)第2使用態様
本態様のホログラム構造体は、上記第1ホログラム層の凹凸面側にヒートシール層を有し、上記第1ホログラム層の凹凸面とは反対側の面に剥離容易層を有し、上記剥離容易層の上記第1ホログラム層とは反対側の面に剥離用基材を有し、ホログラム転写箔として用いられることを特徴とする。
本態様のホログラム構造体は、例えば、図12に示すようにホログラム転写箔100bとして用いることができる。例えば、ホログラム転写箔100bは、第1ホログラム層1aの凹凸面側の最外層となる位置、すなわち、第2ホログラム層1bの第1ホログラム層1aとは反対側の面にヒートシール層5を有し、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に剥離容易層6を有し、剥離容易層6の第1ホログラム層1aとは反対側の面に剥離基材7を有する。
なお、本態様のホログラム構造体は、必要に応じて上記「1.構成 (4)その他の構成」の項に記載した構成を有していても良い。
以下、本態様のホログラム構造体に用いられる構成について説明する。
(a)ヒートシール層
本態様におけるヒートシール層は、ホログラム構造体を被着体に貼り付ける機能を有する。
本態様におけるヒートシール層は、ホログラム構造体を被着体に貼り付けることができれば良く、その材料については特に限定されない。具体的なヒートシール層の材料については、例えば、特開2014−16422号公報に開示された熱可塑性樹脂を含むヒートシール層が挙げられる。
(b)剥離用基材
本態様における剥離用基材は、ホログラム構造体を支持する部材である。また、本態様における剥離用基材は、上述したヒートシール層を用いてホログラム構造体を被着体に貼り付けた後に、ホログラム構造体から剥離される部材である。
剥離用基材は、透明性を有していても良く、透明性を有しなくても良い。なお、剥離用基材の材料や厚み等については、例えば、上記「1.構成 (4)その他の構成 (a)透明基材」の項に記載した透明基材の材料や厚みと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(c)剥離容易層
本態様における剥離容易層は、上述したヒートシール層を介してホログラム構造体を被着体に貼り付けた後に、ホログラム構造体から上述した剥離用基材を容易に剥離するための部材である。
本態様における剥離容易層は、例えば上記「1.構成 (4)その他の構成 (b)接着層」の項に記載した再剥離密着層と同様とすることができる。
本態様における剥離容易層の平面視上の配置位置としては、剥離容易層が所望の機能を発揮することができる位置であれば良く、特に限定されない。剥離容易層は、平面視上、剥離用基材の全面に配置されていれも良く、パターン状に配置されていても良い。
(3)第3使用態様
本態様のホログラム構造体は、情報記録媒体として用いられることを特徴とする。
本態様のホログラム構造体は、例えば、図13に示すように、情報記録媒体100cとして用いることができる。例えば、情報記録媒体100cは、第1ホログラム層1aの凹凸面側、すなわち、第2ホログラム層1bの第1ホログラム層1aとは反対側の面に、層間接着層8を介して裏面側保護層9aを有し、第1ホログラム層1aの凹凸面とは反対側の面に、中間基材11を有し、さらに、中間基材11の第1ホログラム層1aとは反対側の面に層間接着層8を介して表面側保護層9bを有する。
本態様のホログラム構造体を情報記録媒体として用いる場合の具体的な用途としては、例えば、クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード等のカード、社員証、運転免許証等の身分証明書、通帳やパスポート等が挙げられる。本態様においては、ホログラム構造体と平面視上重なる部材が所定の透明性を有する。ホログラム構造体に光源からの光を照射することで、第1光像または第2光像を表示するためである。
なお、本態様のホログラム構造体は、必要に応じて上記「1.構成 (4)その他の構成」の項に記載した構成を有していても良い。また、図13に示すように、中間基材や裏面側保護層、表面側保護層等を有していても良い。
以下、本態様のホログラム構造体に用いられる構成について説明する。
(a)表面側保護層および裏面側保護層
本態様における表面側保護層および裏面側保護層は、通常、少なくとも反射型フーリエ変換ホログラム領域および透過型フーリエ変換ホログラム領域と平面視上重なる領域において透明性を有する部材である。
本態様における表面側保護層および裏面側保護層に用いられる材料としては、例えば、ポリカーボネートが挙げられる。なお、表面側保護層および裏面側保護層に用いられる具体的な材料や厚み等については、上記「1.構成 (4)その他の構成 (a)透明基材」の項に記載した透明基材の材料や厚みと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本態様における表面側保護層および裏面側保護層は、ホログラム構造体を保護するという機能を有する。そのため、表面側保護層および裏面側保護層は、平面視上、ホログラム構造体の全面を覆うように形成されることが好ましい。
(b)中間基材
本態様における中間基材は、ホログラム構造体および表面側保護層等を支持するための部材である。このような中間基材は、上記「1.構成 (4)その他の構成 (a)透明基材」の項に記載した透明基材と兼用する部材であっても良い。
本態様における中間基材に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。なお、中間基材に用いられる具体的な材料や厚み等については、上記「1.構成 (4)その他の構成 (a)透明基材」の項に記載した透明基材の材料や厚みと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本態様における中間基材は、通常、平面視上、ホログラム構造体の全面を覆うように形成される。
(c)その他の構成
本態様におけるその他の構成としては、例えば、情報を記録する情報記録層が挙げられる。情報記録層としては、例えば、印刷により情報が記録された印刷層、磁気等により情報が記録された磁気層、集積回路(IC)チップを含むICチップ層等が挙げられる。その他にも、アンテナを含むアンテナ層等の機能層を有していても良い。
上述したその他の構成は、本態様のホログラム構造体による第1光像および第2光像の表示を妨げない位置に適宜配置することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例]
(マスター原版の形成)
合成石英の基板上に表面低反射クロム薄膜が積層されたフォトマスクブランク板(アルバック成膜株式会社製 マスクブランクス)を準備した。上記フォトマスクブランク板のクロム薄膜上に、ドライエッチング用レジストをスピンナーにより回転塗布した。ドライエッチング用レジストとしては日本ゼオン(株)製ZEP7000を使用し、400nmの厚みとなるように形成した。このレジスト層に対し、電子線描画装置(MEBES4500:ETEC社製)を用い、事前に計算機で作成したパターンを露光し、レジスト樹脂の露光部分を易溶化した。その後、現像液を噴霧(スプレー現像)して易溶化部分を除去し、レジストパターンを形成した。なお、パターンの格子ピッチは、3179nmとした。
続いて、形成されたレジストパターンを利用して、ドライエッチングによりレジストで被覆されていない部分のクロム薄膜をエッチング除去し、石英基板を露出させた。次いで、露出した石英基板をエッチングし、石英基板に凹部を形成した。その後、レジスト薄膜を溶解除去することにより、石英基板がエッチングされて生じた凹部と、石英基板およびクロム薄膜がエッチングされずに残存している凸部とを有するマスター原版を得た。また、マスター原版のサイズを150mm×150mm角とした。
(反射型フーリエ変換ホログラム領域の形成)
透明基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製 A4300)を準備した。この透明基材に、ホログラム層形成用組成物(UV硬化性アクリレート樹脂:屈折率1.52 測定波長633nm)を滴下し、上記組成物の塗膜を形成した。次いで、上記塗膜上に凹凸を有するマスター原版を積置し、押圧した。次に、マスター原版が積置された状態で活性放射線を照射して上記塗膜を硬化させた。その後、マスター原版を剥離させ、マスター原版の凹凸型を反転させた凹凸表面を有する第1ホログラム層を形成した。その後、マスター原版の積置、押圧、硬化および剥離を繰り返し、単一のフーリエ変換ホログラム領域を複数有する15mm角の反射型フーリエ変換ホログラム領域を形成した。反射型フーリエ変換ホログラム領域を有する第1ホログラム層の厚みは2μmである。
(透過型フーリエ変換ホログラム領域の形成)
次いで、反射型フーリエ変換ホログラム領域とは異なるフーリエ変換パターンが形成されたグラビア印刷版胴を用いて、水溶性インキをAl層表面に印刷した。ここで用いた水溶性インキは尾池アドバンストフィルム株式会社製 SL No14クリヤー(改)である。次いで、第1ホログラム層の凹凸面側の全面に膜厚100nmのAl層をスパッタリング法により形成した。次いで、Al層表面側を水洗したところ、水溶性インキが溶け落ちるのとともに、その水溶性インキ膜上に付着していたAl層も一緒に除去された。このようにして、Al層がパターン状に形成された第2ホログラム層を形成した。
[評価]
得られた本発明のホログラム構造体の透明基材側に点光源を配置し、透明基材側から目視で反射観察したところ、15mm角の反射型フーリエ変換ホログラム領域内に、フーリエ変換された第1ホログラム層による所定の画像、すなわち第1光像を視認性良く観察することがでた。また、第2ホログラム層側に点光源を配置し、透明基材側から透過観察したところ、第2ホログラム層による所定の画像、すなわち第2光像を視認性良く観察することができた。