JP6914676B2 - スケール除去剤、および、スケール除去方法 - Google Patents

スケール除去剤、および、スケール除去方法 Download PDF

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本発明は、水中のカルシウム成分やマグネシウム成分等の硬度成分により生じるスケールの除去方法、および、そのために用いられるスケール除去剤に関する。
スケールは、水中のカルシウム成分やマグネシウム成分等の硬度成分が水の蒸発により濃縮され、これらが水と接する伝熱面に析出することによって生成することが知られている。このような伝熱面におけるわずかな量のスケール付着であってもボイラ等の効率の低下を招くので、スケール除去は重要な課題である。
このようなスケールを除去するスケール除去技術として、特許文献1では、ボイラ運転中に、ボイラ水系にカルボキシル基を含む高分子化合物やキレート剤等のスケール除去剤を添加し、さらにボイラ水の蒸発量を通常運転における蒸発量に比べて少量とした上で、発生した蒸気を全て系外へ排出させ、かつ、ボイラブロー量を通常運転時のボイラブロー量に比べて多くすることによるスケール除去方法が提案されている。
この方法における温度条件としては、ボイラ水系の温度を100℃以上とすることが記載されている。そして、特許文献1の実施例では0.7MPaの運転圧力で試験が実施されている。このように特許文献1記載の技術では、スケール除去のために発生蒸気の排出と高ブロー量による熱エネルギーやボイラ水の消費が多くなる。そして、スケール除去作業中はボイラを通常通りに運転することができず、発生した蒸気の運用に制約を受けると云う問題があった。さらに、EDTAなどのキレート剤は、ボイラや配管に用いられている鉄と反応し、可溶化させる懸念がある。
一方、特許文献2では、重量平均分子量が20000を超え170000以下のポリアクリル酸やその塩を蒸気発生設備内の水に、または蒸気発生設備の給水に添加する蒸気発生設備のスケール除去方法が提案されている。
この技術ではスケール除去のために、通常と異なる特別な運転をする必要はないが、ボイラの運転圧力が0.2MPaより低いと十分なスケール除去効果が得られないとされている。すなわち、特許文献2に記載の技術では、ボイラを稼働させて一定圧力以上に昇圧しないと所望のスケール除去性能が得られないので、運転負荷に応じて稼働・停止を繰り返すボイラではスケール除去の効率が落ちると云う問題がある。
特開2013−22535号公報 特開2015−150484号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決する、すなわち、スケールの除去において、必ずしも100℃以上の処理温度を必要せず、稼働・停止を繰り返すボイラ水系であっても、系内に付着したスケールを効率よく除去可能なスケール除去剤、および、当該スケール除去剤を用いたスケール除去方法を提供することを目的とする。
本願発明のスケール除去剤(1)は、ボイラ水系に硬度成分が混入して生じるスケールの除去に用いるスケール除去剤において、13000以上17000以下の分子量を有する、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体および/またはその塩を第1の有効成分として、および、2000以上11000以下の分子量を有するポリアクリル酸および/またはその塩を第2の有効成分として含有することを特徴とする。
本発明のスケール除去剤(2)は、上記構成に加え、前記第1の有効成分100質量部に対して、前記第2の有効成分を1質量部以上10000質量部以下含有することができる。
本発明のスケール除去剤は、上記構成に加え、前記スケールが、稼働・停止を繰り返すボイラ水系に付着したスケールである構成とすることができる。
本発明のスケール除去剤は、上記構成に加え、ボイラ稼働中と併せて、ボイラ停止中にもスケール除去処理にも用いるスケール除去剤である構成とすることができる。
本願発明のスケール除去方法は、ボイラ水系に硬度成分が混入して生じるスケールの除去方法において、上記スケール除去剤(1)またはスケール除去剤(2)を、前記第1の有効成分および第2の有効成分の水中における合計濃度が1mg/L以上1000mg/L以下となるように、前記ボイラ水系に添加することを特徴とする。
本発明のスケール除去方法は、上記構成に加えて、前記スケールがカルシウムを含むスケールであってもよい。
本発明のスケール除去方法は、上記構成に加えて、前記スケールが、稼働・停止を繰り返すボイラ水系に付着したスケールであってもよい。
本発明のスケール除去方法は、上記構成に加えて、ボイラ稼働中と併せて、ボイラ停止中にもスケール除去処理を行う構成とすることができる。
本願発明のスケール除去剤は、ボイラ水系に硬度成分が混入して生じるスケールの除去に用いるスケール除去剤において、13000以上17000以下の分子量を有する、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体および/またはその塩を第1の有効成分として、および、2000以上11000以下の分子量を有するポリアクリル酸および/またはその塩を第2の有効成分として含有する構成により、必ずしも100℃以上の処理温度を必要とせずに、スケールの除去が可能となり、かつ、第2の有効成分を含有することにより、より高いスケール除去能力を付与することができる。
本願発明のスケール除去方法は、ボイラ水系に硬度成分が混入して生じるスケールの除去方法おいて、上記スケール除去剤を、第1の有効成分および第2の有効成分の水中における合計濃度が1mg/L以上1000mg/L以下となるようにボイラ水系に添加することにより、安定したスケール除去能力を得ることが可能となる。
また、本発明のスケール除去方法では、稼働・停止を繰り返すボイラ水系において、停止直後の余熱状態あるいは室温でもスケール除去効果を得ることができる。
本発明のスケール除去方法を実施したボイラ水系のボイラ内部の写真である。図1(1)実施前のボイラ内部の写真である。図1(2)実施開始1ヶ月後のボイラ内部の写真である。図1(3)実施開始2ヶ月後のボイラ内部の写真である。
(スケール除去剤)
本発明のスケール除去剤は、13000以上17000以下の分子量を有する、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体および/またはその塩(以下、「AA/AMPS」とも云う。)を第1の有効成分として含有するものである(以下、分子量が13000以上17000以下のAA/AMPSを「特定分子量のAA/AMPS」とも云う。)。ここで、スケール防止剤の成分として用いるAA/AMPS中に、この特定分子量のAA/AMPSが含まれないと本発明の効果を得ることが困難となる。
本発明の実施においては、この特定分子量のAA/AMPSの含有率の高いAA/AMPSを用いることが好ましく、たとえば、用いる全AA/AMPS中の上記の特定分子量のAA/AMP含有量を1質量%以上とし、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上とするが、可能であれば、AA/AMPSとして特定分子量のAA/AMPSのみを用いるとより高いスケール除去効果が得られる。
なお、上記の特定分子量のAA/AMPSのうち、特に14000以上17000以下の分子量を有するAA/AMPSがより高いスケール除去能を有するので、この範囲の分子量を有するAA/AMPSの含有率の高いAA/AMPSを用いることが好ましい。
本発明では上記のような特定分子量のAA/AMPSに加え、2000以上11000以下の分子量を有するポリアクリル酸および/またはその塩(以下、「特定分子量のポリアクリル酸」とも云う。)を第2の有効成分として含有することができる。ここで、この範囲の分子量を有するポリアクリル酸を含有するものでないとポリアクリル酸の添加による相乗効果が十分に発揮されない。そのために、本発明の実施においては、この特定分子量のポリアクリル酸の含有率のできるだけ高いポリアクリル酸を用いることが好ましく、たとえば、用いる全ポリアクリル酸中の特定分子量のポリアクリル酸含有量が10質量%以上、より好ましくは50質量%以上のポリアクリル酸などが挙げられるが、可能であれば、ポリアクリル酸として特定分子量のポリアクリル酸のみを用いるとより高いポリアクリル酸併用の効果が得られる。
特定分子量のAA/AMPSに特定分子量のポリアクリル酸を併用する場合、特定分子量のAA/AMPS100質量部に対して、特定分子量のポリアクリル酸を1質量部以上10000質量部以下含有させることが、これらの有効成分の併用の効果が十分に得られるので好ましい。より好ましい含有量比は、AA/AMPS100質量部に対して、5質量部以上400質量部以下である。
本発明のスケール除去剤には、上述のように特定分子量のAA/AMPSが本発明の効果が得られる量、配合されていればよい。そして、特定分子量のAA/AMPS以外の、分子量が13000未満、および/または、17000超のAA/AMPSが、同時に含まれていてもよく、その場合も本発明に含まれる。
また、本発明のスケール除去剤には、そのスケール除去効果が損なわれない限りにおいて、他の成分が添加されていてもよく、たとえば、他の防食剤、スケール防止剤、復水処理剤、pH調整剤、スライムコントロール剤、消泡剤等、具体的には、上記の特定分子量のポリアクリル酸以外のポリアクリル酸またはその塩、ポリメタクリル酸またはその塩、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマまたはその塩、ポリマレイン酸またはその塩、スチレンスルホン酸とマレイン酸とのコポリマまたはその塩、ホスフィン酸またはその塩、亜硝酸塩、亜鉛塩、錫塩、モリブデン酸またはその塩、ヒドラジン、カルボヒドラジド、ジエチルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミン、メチルエチルケトオキシム、没食子酸、タンニン、リグニン、リグニンスルホン酸、糖類、亜硫酸塩、エリソルビン酸またはその塩、アスコルビン酸またはその塩、オキシカルボン酸またはその塩、燐酸またはその塩、アミノトリメチレンホスホン酸またはその塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸またはその塩、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸またはその塩、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、ニトリロ三酢酸またはその塩、アミノメチルプロパノール、オクタデシルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−メトキシプロピルアミン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、フェルラ酸、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、二酸化塩素、クロラミンT、クロラミンB等の酸化剤、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、トリ−n−ブチル−n−ヘキサデシルホスホニウムクロライド、トリ−n−ブチル−n−ドデシルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩化合物、塩化ベンザルコニウム等の四級アンモニウム塩化合物、メチレンビスチオシアネート、ジメチル尿素、ジクロログリオキシム、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)等のビス型第四アンモニウム塩、ポリ(2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレンジクロライド]等のヨーネンポリマー、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1、2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン等のイソチアゾリン化合物、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、メチル−N−ベンゾイミダゾール−2−カーバメート、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、ピリジンチオール−1−オキサイドのナトリウム塩、その他、シリコーン系やアルコール系の消泡剤などの一種または二種以上を挙げることができ、その場合も本発明に含まれる。
本発明のスケール除去剤は、室温においてもスケール除去効果が得られるため、その用途はボイラ水系に限定されず、冷温水系、冷却水系等、広くスケールの付着した水系におけるスケール除去用途に用いることができる。
(スケール除去方法)
本発明のスケール除去方法は、カルシウム、マグネシウム等の硬度成分が水系に混入して生じるスケールの除去方法である。本発明のスケール除去方法は、本発明のスケール除去剤に含まれる第1の有効成分および第2の有効成分、すなわち、特定分子量のAA/AMPSと、この特定分子量のAA/AMPSに必要に応じて配合される特定分子量のポリアクリル酸との水中における合計濃度が、1mg/L以上1000mg/L以下となるように、本発明のスケール除去剤を水系に添加するものである。この濃度範囲よりも低い添加量であると十分な効果が得られにくく、また、この濃度範囲を超えて添加しても濃度増加による効果の増大はほぼ見込まれず、このとき、処理が高コストとなる。より好ましい濃度範囲は5mg/L以上500mg/L以下である。第1の有効成分および第2の有効成分の水中における濃度は、所望のスケール除去効果に合わせて上記範囲内で適宜設定すればよく、コストを抑えることができることから、低濃度(例えば、100mg/L未満程度)になるように添加することが好ましい。なお、本発明のスケール除去剤の適用水系が稼働中のボイラ水系などのブローを行う水系の場合、継続してスケール除去処理を行うためには、所定の添加濃度が維持されるように、スケール除去剤を追加添加する必要がある。
本発明のスケール除去剤は、その特定の構成により、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等のカルシウムを含むスケールに対して特に高いスケール除去効果が得られる。
本発明のスケール除去剤は、たとえば80℃程度の温度での処理で高いスケール除去効果が得られ、また、室温ないし40℃と云う低い温度領域の処理でもスケール除去効果が得られるので、必ずしも100℃以上の温度で処理を行う必要がない。このため、停止中のボイラをスケール除去の目的だけのために加温する必要がなく、スケール除去処理における加熱に要するエネルギーの消費の抑制が可能となる。また、通常の使用状態で運転されているボイラの給水に添加するだけでスケール除去効果を得ることができ、スケール除去のための特別な運転は不要である。
本発明のスケール除去剤は、比較的低温で、たとえば室温での処理であってもスケール除去効果が得られるので、発生蒸気の使用状況に応じて稼働・停止を繰り返すボイラ水系に応用した場合、ボイラ停止後に水温が下がる過程でも、さらに、水温が室温まで下がっても、本発明の効果を奏することが可能である。
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のスケール除去剤およびスケール除去方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のスケール除去剤およびスケール除去方法を適宜改変することができる。このような改変によってもなお、本発明のスケール除去剤およびスケール除去方法を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
以下に、本発明のスケール除去剤およびスケール除去方法についての実施例を示す。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
<炭酸カルシウム溶解試験>
1L(リットル)ビーカー中のイオン交換水1000mL(ミリリットル)に、スケールのモデル物質として粒状の炭酸カルシウム1g、および、表1〜4にその添加濃度および分子量範囲を示す、各薬品(AA/AMPS、ポリアクリル酸、あるいは、ポリメタクリル酸)を添加したのち、水酸化ナトリウムによりpHを11.0に調整したものを試験液とした。各試験液を80℃に保ちながら攪拌し、攪拌開始から24時間後に、0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してろ液を得た。ろ液中のカルシウム濃度を原子吸光光度法で測定し、炭酸カルシウム濃度(表1〜4中「24時間後のろ液の炭酸カルシウム濃度(mg/L)」)に換算した。結果を表1〜4に併せて記載する。なお、表1〜4中、「薬品の分子量」の欄の「−」前後の数字はそれぞれ、添加したポリマーの分子量の下限値および上限値を示し、括弧内にはその質量平均分子量を記載した。なお、本試験において、ろ液中のカルシウム濃度が高いほど炭酸カルシウムの溶解能が高い、すなわち、スケール除去効果が高いとみなすことができる。
Figure 0006914676
Figure 0006914676
Figure 0006914676
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表1〜4により、特定分子量のAA/AMPSである、13000以上14000以下の分子量を有するAA/AMPS、13000以上17000以下の分子量を有するAA/AMPS、あるいは、14000以上17000以下の分子量を有するAA/AMPSをそれぞれ添加した本発明の実施例の系では、同濃度になるように添加した比較例と比べて、低濃度での添加であっても、高い炭酸カルシウム溶解能が発揮されることが理解される。
これらの系に対して、比較例での炭酸カルシウム溶解能は低く、たとえAA/AMPSを添加した系であっても、特定分子量のAA/AMPSを含まない系では、十分な炭酸カルシウム溶解能が得られなかった。
さらに、上記3種類の特定分子量のAA/AMPSにそれぞれ、特定分子量のポリアクリル酸である、2000以上3000以下の分子量を有するポリアクリル酸、5000以上7000以下の分子量を有するポリアクリル酸、あるいは、9000以上11000以下の分子量を有するポリアクリル酸を併用した系においては、特定分子量のAA/AMPSを単独で添加した場合の結果に比べて相乗効果的に、より高い炭酸カルシウム溶解能が得られることがわかる。すなわち、特定分子量のAA/AMPSを単独で添加した場合、特定分子量のポリアクリル酸を単独で添加した場合の、ろ液中のカルシウム濃度を単に合計した量よりも多くの量のカルシウムが溶解しており、特定分子量のAA/AMPSと特定分子量のポリアクリル酸を併用することによる相乗効果が示された。
一方、ポリアクリル酸を併用した系であっても、特定分子量のポリアクリル酸を含まない場合には、ポリアクリル酸併用による相乗効果が得られない結果となった。
また、表2に示すように、イオン交換水に上記3種類の特定分子量のAA/AMPSそれぞれを濃度100mg/Lとなるように添加した系に、特定分子量のポリアクリル酸である、2000以上3000以下の分子量を有するポリアクリル酸、5000以上7000以下の分子量を有するポリアクリル酸、あるいは、9000以上11000以下の分子量を有するポリアクリル酸を、それぞれ20mg/L、200mg/Lの添加濃度で併用した以外は同様にして炭酸カルシウム溶解試験を実施した結果、これらの3種類の特定分子量のAA/AMPSと3種類の特定分子量のポリアクリル酸の単独添加の結果に比べて相乗効果的に、より高い炭酸カルシウム溶解能が得られることが確認された。
<室温および40℃での炭酸カルシウム溶解試験>
次に、室温での炭酸カルシウム溶解性について検討を行った。本試験では、室温を25℃に設定した。実験条件としては、攪拌時の温度を80℃ではなく、25℃に保ったこと以外は、表1中の実施例−2、実施例−4、実施例−7、実施例−10、実施例−15、実施例−21、表3中の比較例−1、比較例−14、および、比較例−17とそれぞれ同様にして炭酸カルシウム溶解実験を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0006914676
表5より、本発明のスケール除去剤は、常温においても炭酸カルシウム溶解能が高いことが理解される。
また、同様にして、ただし、攪拌時の温度を40℃とした場合には、本発明の実施例ではそれぞれ25℃での処理よりもより多くの炭酸カルシウムが溶解されること、そして、比較例では25℃での結果と同様なレベルの、低い炭酸カルシウム溶解効果しか得られないことが確認された。
これらの結果により、従来のスケール除去処理では効果がないとされていた、室温ないし40℃での処理であってもスケール除去効果が得られることが確認された。
<実際のボイラでの試験>
本発明のスケール除去剤を、実際に連続運転しているボイラ水系に適用した。このボイラの運転条件を表6に示す。なお、表6中の「AA/AMPS濃度」は、分子量が13000以上17000以下のAA/AMPSのボイラ水への添加濃度を示す。
Figure 0006914676
まず、試験開始直前に稼働中のボイラのボイラ水を採取した。
試験では分子量が13000以上17000以下のAA/AMPSのボイラ水中の濃度を当初は20〜30mg/Lに60日間維持し、この間、10日ごとにボイラ水を採取した。その後、濃度を40〜50mg/Lとした以外は同様に維持し、この間、同様にボイラ水を採取した。これらのボイラ水をそれぞれ0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ろ液中のカルシウム濃度、および、マグネシウム濃度を原子吸光光度法により分析した。結果を表7に示す。
Figure 0006914676
表7より、実施例のスケール除去剤によればAA/AMPSを20〜30mg/Lの濃度に維持することにより良好なスケール除去効果が得られ、さらに、その後、AA/AMPSの維持濃度を40〜50mg/Lへ上昇させることにより、その効果がより高いものとなることが理解される。そして、このスケール除去剤は、カルシウム含有スケールのみならず、マグネシウム含有スケールに対しても除去効果が得られることも判る。
<除去効果の視認による確認>
運転中のボイラ内部に付着しているスケールの除去効果を写真で確認した。このときのボイラ運転条件は、常用圧力が1.6MPa、軟化水を給水してブロー率を5%とし、12時間稼働・12時間停止を繰り返す間欠運転で、スケール除去剤である14000以上17000以下の分子量を有するAA/AMPSのボイラ水中の濃度を20〜30mg/Lに維持した。
AA/AMPS添加前のボイラ内部の写真を図1(1)に、AA/AMPS添加開始後1ヶ月後の写真を図1(2)に、AA/AMPS添加開始後2ヶ月後の写真を図1(3)にそれぞれ示す。
これらの写真により、添加開始前は白いスケールによりボイラの缶壁が覆われて視認できない状態であったが(図1(1)参照。)、添加開始1ヶ月後にはスケールがほとんど除去されて缶壁(図1(2)の薄灰色部分。)が視認できるようになり、そして、添加開始2ヶ月後にはより多くスケールが除去されている(図1(3)参照。)ことが理解される。

Claims (7)

  1. ボイラ水系に硬度成分が混入して生じるスケールの除去に用いるスケール除去剤において、
    13000以上17000以下の分子量を有する、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体および/またはその塩を第1の有効成分として、および、2000以上11000以下の分子量を有するポリアクリル酸および/またはその塩を第2の有効成分として含有し、少なくともボイラ停止中のスケール除去処理に用いることを特徴とするスケール除去剤。
  2. 前記第1の有効成分100質量部に対して、前記第2の有効成分を1質量部以上10000質量部以下含有することを特徴とする請求項1に記載のスケール除去剤。
  3. ボイラ停止後でボイラ水の温度が室温から100℃未満で使用するスケール除去剤であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスケール除去剤。
  4. 前記アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体および/またはその塩が14000以上17000以下の分子量を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスケール除去剤。
  5. ボイラ水系に硬度成分が混入して生じるスケールの除去方法において、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスケール除去剤を、前記第1の有効成分および前記第2の有効成分の水中における合計濃度が1mg/L以上1000mg/L以下となるように、前記ボイラ水系に添加し、少なくともボイラ停止中のスケール除去処理に用いることを特徴とするスケール除去方法。
  6. ボイラ停止後でボイラ水の温度が室温から100℃未満である前記ボイラ水系のスケール除去処理に用いることを特徴とする請求項5に記載のスケール除去方法。
  7. 前記スケールがカルシウムを含むスケールであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスケール除去方法。
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