JP5699724B2 - スケール防止剤及びスケール防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スケール防止剤及びスケール防止方法に関する。より詳しくは、ボイラや蒸気発生装置などの高温水系で用いられるスケール防止剤及びスケール防止方法に関する。
近年、エネルギーコストを削減するため、系外にブローされる水の量を減らして、高濃度で運転する水系システムが増加している。このような水系システムでは、水中のカルシウム、マグネシウム、シリカ及び鉄などのスケール成分も高濃度となるため、これらの成分がスケール化して析出することにより、熱効率の低下や閉塞などを引き起こすことがある。
特に、ボイラ水系では、ボイラ缶内に持ち込まれたスケール成分は、熱負荷の高い伝熱面でスケール化して付着するため、鋼材の過熱による膨張、湾曲、破裂や熱効率の低下を引き起こす原因となる。また、伝熱面へのスケールの付着は、伝熱阻害を引き起こし、エネルギーロスが生じるため、燃料費の増加にもつながる。
このため、ボイラ水系などの高温水系システムでは、スケールの付着を防止するために、原水中の硬度成分であるカルシウムやマグネシウムを軟水器によって取り除き、軟水化したものを給水としている。また、スケール防止剤を添加することにより、缶内に持ち込まれたスケール成分の系内への付着を抑制すると共に、ブローによってこれらの成分を系外に排出する水処理方法も行われている。
ここで、「スケール防止剤」とは、水系システムに持ち込まれたスケール成分の析出を抑制するものであり、従来、リン酸三ナトリウムやトリポリリン酸ナトリウムなどのリン酸塩、又はポリアクリル酸塩などの高分子化合物が使用されている。
例えば、ボイラ水系においては、タンニン類、リグニン類及び糖類のうち少なくとも1種の天然物系腐食抑制剤と共に、スケール防止剤として、ホスホン酸又はその塩と、不飽和カルボン酸重合体を添加するボイラ水の処理方法が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の処理方法では、3種類の薬剤を併用することにより、炭酸カルシウム系、リン酸カルシウム系及び水酸化鉄系のスケールを防止している。
また、特に炭酸カルシウム系のスケールの付着を抑制する目的で、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸及びイタコン酸のうち1種以上のモノマーと、それ以外の水溶性モノマーを水溶液重合して得られ、数平均分子量が400〜1000の共重合体又はその塩を含有するスケール防止剤も提案されている(特許文献2参照)。
更に、蒸気発生設備用として、分子量が20000〜70000のポリアクリル酸塩を少なくとも含有するスケール防止剤が提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3に記載のスケール防止剤は、カルシウム及びマグネシウムなどの硬度成分やシリカに優れた効果を示すため、高濃度運転が可能となり、エネルギーコストを削減することができる。
一方、スプレーノズルの腐食及び閉塞を防止するため、熱間圧延工程用の直接冷却水系に、塩素剤と共にスケール防止剤を添加する処理方法が提案されている(特許文献4参照)。この特許文献4に記載の処理方法では、スケール防止剤として、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸系化合物又は分子量約1000〜10000の水溶性アクリル酸系共重合体を使用している。
特開平6−108274号公報 特開2001−252692号公報 特開2010−172816号公報 特開平8−155529号公報
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題がある。即ち、単独成分で構成されている従来のスケール防止剤は、硬度成分、シリカ及び鉄のいずれかのスケール成分に対する効果が劣るという問題点がある。例えば、ポリアクリル酸塩の場合、特許文献1の比較例に示されているように、単独で使用すると、硬度成分やシリカに由来するスケールに比べて、水酸化鉄などの鉄系スケールの防止効果が低い。
このように、スケール防止剤の効果が低い成分が水系に含まれていると、その効果が低い成分がスケール化してしまうだけでなく、スケール化する際にその他の成分も巻き込むため、その他の成分に対する効果も低下させることとなる。この問題を解決する方法としては、特許文献1に記載の方法のように、効果が異なる複数の薬剤を併用することが考えられるが、例えばタンニン、リグニン又は糖類を併用した場合、ボイラ水が着色するという問題点がある。ボイラ水の着色は、排水時に問題になったり、キャリーオーバーすることによって蒸気ドレンが着色し、これにより蒸気加熱対象も着色して品質が低下したりする。
そこで、本発明は、硬度成分、シリカ及び鉄の全てのスケール成分に対して析出抑制効果が高く、従来よりもスケール防止効果が優れたスケール防止剤及びスケール防止方法を提供することを主目的とする。
本発明者は、前述した課題を解決するために、鋭意実験研究を行った結果、カルボキシル基を含有する高分子化合物は、分子量によってその性能が異なり、特に比較的低分子量のものは、鉄の分散性に優れることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明に係るスケール防止剤は、硬度成分、シリカ及び鉄が共存する高温水系用のスケール防止剤であって、質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である第1のポリアクリル酸ナトリウム、質量平均分子量が2.0×10〜7.0×10である第2のポリアクリル酸ナトリウムと、を少なくとも含有するものである。
ここで、「高温水系」とは、ボイラ、温水ボイラ、蒸気発生装置及び冷却水系などのように、系内の水温が40〜250℃の高温となる水系である。
本発明においては、第1のポリアクリル酸ナトリウムによって、特に、鉄の分散性が向上し、第2のポリアクリル酸ナトリウムにより、特に、硬度成分及びシリカの分散性が向上する。このように、全てのスケール成分を、優劣なく分散することにより、スケール防止効果が低い成分が、他の成分を巻き込んでスケール化することも防止できる。その結果、水系中に、硬度成分、シリカ及び鉄が共存する場合でも、高いスケール防止効果が得られる
本発明に係るスケール防止方法は、硬度成分、シリカ及び鉄が共存する高温水系に、少なくとも、質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である第1のポリアクリル酸ナトリウム、質量平均分子量が2.0×10〜7.0×10である第2のポリアクリル酸ナトリウムと、を添加する。
このスケール防止方法では、前記第1のポリアクリル酸ナトリウム及び前記第2のポリアクリル酸ナトリウムの添加濃度を、それぞれ1〜500mg/Lとすることができる
本発明によれば、低分子量のカルボキシル基含有高分子化合物と、高分子量のカルボキシル基含有高分子化合物を併用しているため、水系中に、硬度成分、シリカ及び鉄が共存する場合でも、優れたスケール防止効果が得られる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係るスケール防止剤について説明する。本実施形態のスケール防止剤は、ボイラや蒸気発生装置などの高温水系において、スケールの発生を防止するものであり、少なくとも、分子量が異なる2種類のカルボキシル基含有高分子化合物を含有している。
[高分子量ポリマー成分(Mw:2.0×10〜7.0×10)]
本実施形態のスケール防止剤に含有される2種類のカルボキシル基含有高分子化合物のうち、「高分子量ポリマー成分」は、質量平均分子量(Mw)が2.0×10〜7.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物である。分子量がこの範囲のカルボキシル基含有高分子化合物は、カルシウム及びマグネシウムなどの硬度成分やシリカの分散性に優れ、これらがスケール化することを防止する効果がある。
ただし、この高分子量ポリマー成分は、硬度成分やシリカに比べて鉄の分散性が低いため、鉄を多く含む水系に単独で使用すると、十分なスケール防止効果が得られない。更に、鉄がスケール化する際に、他の成分も巻き込むため、系全体のスケール防止効果が低下することもある。
また、高分子量ポリマー成分として、質量平均分子量(Mw)が2.0×10未満又は7.0×10を超えるカルボキシル基含有高分子化合物を使用すると、硬度成分やシリカの分散性が低下するため、十分なスケール防止効果が得られなくなる。更に、質量平均分子量(Mw)が7.0×10を超えるカルボキシル基含有高分子化合物は、冷却水系などの低温の条件で使用すると、ゲル化によりスケール分散効果が低下することもある。
一方、高分子量ポリマー成分として使用するカルボキシル基含有高分子化合物としては、例えば、アクリル酸若しくはその塩、メタクリル酸若しくはその塩、イタコン酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、フマル酸若しくはその塩を、モノマー単位とするポリマー又はコポリマーなどが挙げられる。これらのカルボキシル基含有高分子化合物の中でも、硬度成分及びシリカの分散性の観点から、ポリアクリル酸塩を使用することが好ましく、特に、ポリアクリル酸ナトリウムを使用すると、より高いスケール防止効果が得られる。
[低分子量ポリマー成分(Mw:1.0×10〜1.0×10)]
一方、「低分子量ポリマー成分」は、質量平均分子量(Mw)が1.0×10〜1.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物である。分子量がこの範囲のカルボキシル基含有高分子化合物は、鉄の分散性に優れ、鉄スケールの発生を抑制する効果がある。
ただし、この低分子量ポリマー成分は、硬度成分やシリカの分散性が低いため、単独で使用すると、これらのスケール化を十分に抑制することができないため、硬度成分やシリカが、鉄を巻き込んでスケール化してしまう。
また、低分子量ポリマー成分として、質量平均分子量(Mw)が1.0×10を超えるカルボキシル基含有高分子化合物を使用すると、鉄の分散効果が十分に得られない。更に、蒸気発生設備内は高温・高圧の条件となるため、熱分解によりポリマーの分子量が低下することがある。このため、低分子量ポリマー成分に質量平均分子量(Mw)が1.0×10未満のカルボキシル基含有高分子化合物を使用すると、その分子量低下により鉄の分散性が低下し、鉄スケール抑制効果が不十分となる。
一方、低分子量ポリマー成分として使用するカルボキシル基含有高分子化合物としては、例えば、アクリル酸若しくはその塩、メタクリル酸若しくはその塩、イタコン酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、フマル酸若しくはその塩を、モノマー単位とするポリマー又はコポリマーなどが挙げられる。これらのカルボキシル基含有高分子化合物の中でも、鉄分散性の観点から、ポリアクリル酸塩を使用することが好ましく、特に、ポリアクリル酸ナトリウムを使用すると、より高いスケール防止効果が得られる。
[その他の成分]
本実施形態のスケール防止剤は、前述した各成分に加えて、アルカリ剤、脱酸素剤及び防食剤などを配合することもできる。
アルカリ剤は、給水系の腐食防止や給水系のスライム抑制の効果がある。本実施形態のスケール防止剤に配合されるアルカリ剤の種類は、特に限定されるものではなく、水系処理に用いることが可能なアルカリを1種又は2種以上適宜選択して使用することができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、この中でも、給水配管の腐食防止及び給水系のスライム抑制の観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの苛性アルカリが好適である。
また、脱酸素剤は、水系中の溶存酸素を低減し、カルボン酸含有高分子化合物の経時的な分解を抑制する効果がある。本実施形態のスケール防止剤に配合される脱酸素剤の種類は、特に限定されるものではなく、水系中の溶存酸素を低減する作用を有するものであればよく、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
具体的には、ヒドラジン、亜硫酸又はその塩、重亜硫酸又はその塩、タンニン系物質、タンニンとアルカリを配合して生成する没食子酸等の多価フェノール類、糖類や糖とアルカリの反応物、グルコン酸又はその塩やαグルコヘプトン酸又はその塩などの糖のアルドン酸又はその塩、エリソルビン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、1−アミノピロリジンや1−アミノ−4−メチルピペラジンなどのN−置換アミノ基を有する複素環化合物、ジエチルヒドロキシルアミンやイソプロピルヒドロキシルアミンなどのヒドロキシアミン類及びカルボヒドラジドなどが挙げられる。
これらの脱酸素剤の中でも、安全性が高く、缶水への着色が少なく、かつポリアクリル酸塩の分解抑制効果が高いエリソルビン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩が好適である。
防食剤は、給水系及び高温水系の腐食を防止する目的で添加される。本実施形態のスケール防止剤に配合される防食剤の種類は、特に限定されるものではなく、給水系及び高温水系において腐食防止効果が得られるものであればよく、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
具体的には、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸及びアルドン酸などの有機酸又はその塩を使用することができる。ここで、アルドン酸塩には、アルドースのアルデヒド基だけが酸化されて生成するヒドロキシモノカルボン酸塩の全てを含み、例えば、グルコン酸、α−グルコヘプトン酸、マンノン酸、マンノヘプトン酸、ガラクトン酸及びガラクトヘプトン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。また、これらの防食剤の中でも、腐食防止効果の観点から、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、α−グルコヘプトン酸又はその塩が好ましい。
以上詳述したように、本実施形態のスケール防止剤は、硬度成分及びシリカの分散性が特に優れている質量平均分子量(Mw)が2.0×10〜7.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物(高分子量ポリマー成分)と、鉄の分散性が特に優れている質量平均分子量(Mw)が1.0×10〜1.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物(低分子量ポリマー成分)を併用しているため、全てのスケール成分に対して、優れたスケール防止効果が得られる。
これにより、スケール防止効果が低い成分が、他の成分を巻き込んでスケール化することを防止できるため、水系中に、硬度成分、シリカ及び鉄が共存する場合でも、高いスケール防止効果が得られる。本実施形態のスケール防止剤は、特に、これらスケール成分が高濃度で存在している高温水系に有効である。
そして、本実施形態のスケール防止剤は、伝熱面を清浄に保つことによる設備保全だけでなく、スケール成分が高濃度の水系でも良好に作用するため、ブロー量を減らした高濃縮運転や鉄を含むドレンを回収することによる熱エネルギーの回収が可能となり、エネルギーコストを削減することもできる。更に、本実施形態のスケール防止剤は、タンニン、リグニン及び糖類などと併用しない限り、ボイラ水が着色による問題も生じない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るスケール防止方法について説明する。本実施形態のスケール防止方法は、前述した第1の実施形態のスケール防止剤を使用して、高温水系のスケールを防止するものである。そして、処理対象の水系に、少なくとも、質量平均分子量(Mw)が2.0×10〜7.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物(高分子量ポリマー成分)と、質量平均分子量(Mw)が1.0×10〜1.0×10のカルボキシル基含有高分子化+合物(低分子量ポリマー成分)とを添加する。
[高分子量ポリマー成分添加量]
高分子量ポリマー成分の添加量は、処理対象の水系に含まれるスケール成分、特に、硬度成分及びシリカの濃度に応じて、適宜設定することができるが、例えば、1〜500mg/Lとすることが望ましい。なお、高分子量ポリマー成分の添加量が1mg/L未満の場合は、スケール防止効果が不足することがあり、また、500mg/Lを超えて添加すると、経済性が劣る他、高温水系が泡立ちやすくなることがあり、キャリーオーバーの発生が懸念されることがある。
[低分子量ポリマー成分添加量]
一方、低分子量ポリマー成分の添加量は、処理対象の水系に含まれるスケール成分、特に、鉄の濃度に応じて、適宜設定することができるが、1〜500mg/Lとすることが望ましい。なお、低分子量ポリマー成分の添加量が1mg/L未満の場合は、スケール防止効果が不足することがあり、また、500mg/Lを超えて添加すると、経済性が劣る他、高温水系が泡立ちやすくなることがあり、キャリーオーバーの発生が懸念されることがある。
なお、これら高分子量ポリマー成分及び低分子量ポリマー成分は、予め混合されているものを使用することもできるが、それぞれ個別に水系に添加してもよい。また、その添加位置は、特に限定されるものではなく、例えば、給水タンク、補給水、復水若しくはこれらが混合した給水ラインなどに添加したり、又は、ボイラ缶内に直接添加したりすることが可能である。
一方、高分子量ポリマー成分及び低分子量ポリマー成分と共に、アルカリ剤を添加する場合、その添加量は、特に限定されるものではなく、給水の水質、併用する清缶剤などの水処理薬剤からのアルカリ発生量、ポリアクリル酸塩濃度とのバランスなどに応じて適宜設定することができる。
同様に、脱酸素剤を添加する場合も、その添加量は、特に限定されるものではなく、水系に添加されるカルボキシル基含有高分子化合物の濃度などに応じて、適宜設定することができる。なお、本実施形態のスケール防止方法においては、特に、給水中の溶存酸素濃度に応じて脱酸素剤を添加し、ボイラや蒸気発生設備の缶水中に、脱酸素剤成分が残留するようにすることが好ましい。
また、防食剤を添加する場合も、その添加量は、特に限定されるものではなく、給水の水質や高温水系の濃縮倍数などに応じて、適宜設定することができる。
以上詳述したように、本実施形態のスケール防止方法は、質量平均分子量(Mw)が2.0×10〜7.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物(高分子量ポリマー成分)と、質量平均分子量(Mw)が1.0×10〜1.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物(低分子量ポリマー成分)を併用しているため、水系中に、硬度成分、シリカ及び鉄が共存する場合でも、優れたスケール防止効果が得られる。
なお、本実施形態のスケール防止方法における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態のスケール防止方法は、ボイラなどのスケール付着が起こる水系システムに適用可能であり、あらゆる給水種に適用することができる。更に、ボイラ水系に適用する場合は、ボイラの種類は特に限定されるものではなく、特殊循環ボイラ、水管ボイラ、丸ボイラ及び排熱回収ボイラなど、あらゆるボイラに適用することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、本発明の範囲で調製した実施例1〜10のスケール防止剤と、参考例C及びDのスケール防止剤と、本発明の範囲から外れる比較例1〜9のスケール防止剤を使用して、ボイラ試験を行い、そのスケール防止効果を比較した。その際、スケール防止剤に使用した高分子化合物を下記表1に示す。
Figure 0005699724
また、試験条件は、圧力:0.7MPa、蒸発量:8L/時間、試験時間:48時間とし、ブロー量は濃縮倍率が10倍又は20倍となるように、適宜調整した。給水は、野木町水とその軟化水を混合し、Ca硬度が15mgCaCO/L、Mg硬度が7mgCaCO/L、シリカが25mgSiO/L、Mアルカリ度が30mgCaCO/L)となるように調整し、更に、鉄として水酸化鉄を3mgFe/Lとなるように加えた。
そして、ボイラの給水ラインに、実施例及び比較例の各スケール防止剤を、所定量添加し、ボイラを48時間運転した後、伝熱チューブ(ステンレス製、表面積200cmを3本)を取りだした。次に、付着したスケールを掻き取って、スケール付着量を測定し、給水から持ち込まれたスケール成分(硬度成分、シリカ、鉄)の総量と、測定したスケール付着量から、スケール排出率(%)を求めた。その結果を、下記表2にまとめて示す。
Figure 0005699724
上記表2に示すように、質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10ポリアクリル酸ナトリウムと、質量平均分子量が2.0×10〜7.0×10ポリアクリル酸ナトリウムとを併用した実施例1〜10のスケール防止剤は、これらを単独で使用した比較例1〜3,5〜7,9のスケール防止剤、及び分子量が本発明の範囲から外れるポリアクリル酸ナトリウムを使用した比較例4,8のスケール防止剤に比べて、硬度成分、シリカ及び鉄が共存するボイラ水系において、これらスケール成分を効果的に排出できた。
これにより、実施例1〜10のスケール防止剤は、比較例1〜9のスケール防止剤よりも、スケール防止効果が優れていることが確認された。また、実施例10及び比較例9に示されるように、本発明のスケール防止剤は、ブロー量を減らした高濃縮運転においても、従来のスケール防止剤に比べて、優れたスケール防止効果が得られることが確認された。
次に、本発明の参考例として、構造又は分子量が異なる高分子化合物を使用して、鉄の分散効果を評価した。その際、試験液には、高温水系の水質を模擬し、pH:11.8、塩化物イオン:300mg/L、硫酸イオン:300mg/L、水酸化鉄:20mgFe/Lに調整したものを使用した。この試験液:1.0Lに、下記表3に示す評価素剤(高分子化合物)を所定量添加し、オートクレーブ(容量1.5L)にて、圧力1.0MPaで、20時間処理した。加熱後に、サンプルをよく撹拌し、100mL比色管に移し、24時間静置した後、上澄みを採取した。そして、加熱終了後と、24時間静置後の吸光度(650nm)から、鉄の分散率を求めた。その結果を、下記表4にまとめて示す。
Figure 0005699724
Figure 0005699724
上記表4に示すように、質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10のカルボキシル基含有高分子化合物は、それよりも分子量が大きいカルボキシル基含有高分子化合物よりも、水酸化鉄の分散効果が優れていることが確認された。その中でも、特に、質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10のポリアクリル酸塩が、鉄分散性に優れていた。

Claims (3)

  1. 硬度成分、シリカ及び鉄が共存する高温水系用のスケール防止剤であって、
    質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である第1のポリアクリル酸ナトリウムと、
    質量平均分子量が2.0×10〜7.0×10である第2のポリアクリル酸ナトリウムと、
    を少なくとも含有するスケール防止剤。
  2. 硬度成分、シリカ及び鉄が共存する高温水系に、少なくとも、
    質量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である第1のポリアクリル酸ナトリウムと、
    質量平均分子量が2.0×10〜7.0×10である第2のポリアクリル酸ナトリウムと、
    を添加するスケール防止方法。
  3. 前記第1のポリアクリル酸ナトリウム及び前記第2のポリアクリル酸ナトリウムの添加濃度を、それぞれ1〜500mg/Lとする請求項に記載のスケール防止方法。
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