JP6913834B1 - トーチ及びその走査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中心に位置するフィラーワイヤの周囲で非消耗電極を回転自在に配置するのに好適なトーチを提供する。【解決手段】フィラーワイヤWを先端に向けて送給するワイヤガイド2と、ワイヤガイド2の周囲を囲んだ状態で、ワイヤガイド2の軸回りに回転自在に取り付けられた回転筒3と、回転筒3を先端側から突出させた状態で、回転筒3を内側に保持するトーチボディ4と、ワイヤガイド2の先端側の周囲を囲んだ状態で、回転筒3の先端側に取り付けられると共に、シールドガスGを先端から放出するトーチノズル7とを備え、トーチノズル7には、フィラーワイヤWの先端に向かって延在する非消耗電極Tが設けられ、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きが回転筒3の回転により変更自在とされている。【選択図】図2

Description

本発明は、トーチ及びその走査方法に関する。
従来より、金属や非鉄金属などを母材として用いた構造物(被溶接物)の溶接には、例えばTIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)又はプラズマアーク溶接等のGTAW(Gas Tungsten Arc welding)と呼ばれる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。また、MIG溶接(Metal Inert Gas welding)、MAG溶接(Metal Active Gas welding)又は炭酸ガスアーク溶接等のGMAW(Gas Metal Arc welding)と呼ばれる消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。
これらの溶接方法では、一般に溶接トーチを使用し、電極と被溶接物(母材)との間でアークを発生させて、このアークの熱により被溶接物を溶かして溶融池(プール)を形成しながら溶接が行われる。また、溶接中は電極の周囲を囲むトーチノズルからシールドガスを放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断しながら溶接が行われる。
ところで、近年では、アーク溶接を応用した金属積層造形技術(WAAM:Wire and Arc Additive Manufacturing)の開発も進められている。金属積層造形技術では、溶接トーチを面内で走査し、母材と非消耗電極との間で発生するアークの熱により造形用材料となるフィラーワイヤを溶融させながら、この造形用材料を目的の形状に合わせて積層していく。これにより、立体的な金属積層造形物を形成することが可能である。
TIG溶接では、トーチの中心に位置する非消耗電極に対してフィラーワイヤを横方向から非消耗電極の先端に向けて挿入するのが一般的である。また、フィラーワイヤは、トーチの走査方向の前方又は後方から挿入される。このため、溶接トーチを面内で走査する際は、この溶接トーチの走査方向に合わせてフィラーワイヤの挿入方向を変更する必要がある。
これに対して、トーチの中心から溶接ワイヤを送給しながら、溶接ワイヤの周囲で電極を回転又はオシレートさせるTIG溶接方法が提案されている(下記特許文献1を参照。)。また、下記特許文献1には、トーチ本体に回転自在に支持された電極と、当該電極を回転又はオシレートさせる超音波モータと、当該トーチ本体の軸心に配設されて溶接ワイヤの供給に供される絶縁管とを備えた溶接トーチが記載されている。
特開平5−57447号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の溶接トーチでは、フィラーワイヤの周囲で回転する電極の先端をフィラーワイヤの先端に向かって屈曲させた特殊な電極を用いている。この場合、汎用のタングステン電極棒を用いることは不可能である。また、電極の先端が消耗した場合、このような特殊な電極を丸ごと交換する必要がある。さらに、電極は、この電極を回転させる超音波モータに直接取り付けられた構造を有しており、この電極への給電方法も不明確である。
したがって、上述した特許文献1に記載のTIG溶接方法を金属積層造形技術に適用することは困難であり、コスト面から見ても実施は困難である。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、中心に位置するフィラーワイヤの周囲で非消耗電極を回転自在に配置するのに好適なトーチ、並びに、そのようなトーチを走査するのに好適なトーチの走査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 フィラーワイヤを先端に向けて送給するワイヤガイドと、
前記ワイヤガイドの周囲を囲んだ状態で、前記ワイヤガイドの軸回りに回転自在に取り付けられた回転筒と、
前記回転筒を先端側から突出させた状態で、前記回転筒を内側に保持するトーチボディと、
前記ワイヤガイドの先端側の周囲を囲んだ状態で、前記回転筒の先端側に取り付けられると共に、シールドガスを先端から放出するトーチノズルとを備え、
前記トーチノズルには、前記フィラーワイヤの先端に向かって延在する非消耗電極が設けられ、
前記非消耗電極の前記フィラーワイヤと対向する向きが前記回転筒の回転により変更自在とされていることを特徴とするトーチ。
〔2〕 前記トーチノズルには、前記非消耗電極を着脱自在に取り付ける電極取付部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載のトーチ。
〔3〕 前記電極取付部は、前記トーチノズルに着脱自在に取り付けられた電極取付部材を含み、
前記非消耗電極は、前記電極取付部材に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔2〕に記載のトーチ。
〔4〕 前記電極取付部において、前記非消耗電極の長さが調節自在とされていることを特徴とする前記〔2〕又は〔3〕に記載のトーチ。
〔5〕 前記電極取付部において、前記非消耗電極の傾きが調節自在とされていることを特徴とする前記〔2〕〜〔4〕の何れか一項に記載のトーチ。
〔6〕 前記非消耗電極が前記トーチノズルに直接取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載のトーチ。
〔7〕 前記回転筒の周囲を囲んだ状態で、前記トーチボディに取り付けられると共に、冷却液が循環される流路が設けられた冷却ブロックを備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載のトーチ。
〔8〕 前記トーチノズルは、前記冷却ブロックと熱的に接続されると共に、前記冷却ブロックと電気的に接続されていることを特徴とする前記〔7〕に記載のトーチ。
〔9〕 前記冷却ブロックと前記トーチノズルとの間には、互いに摺接しながら給電される給電部が設けられていることを特徴とする前記〔8〕に記載のトーチ。
〔10〕 前記ワイヤガイドと前記回転筒との間で流通されるシールドガスを先端から放出することを特徴とする前記〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載のトーチ。
〔11〕 前記ワイヤガイドの先端側には、前記フィラーワイヤを先端から送り出すコンタクトチップが着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕〜〔10〕の何れか一項に記載のトーチ。
〔12〕 前記回転筒を回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔11〕の何れか一項に記載のトーチ。
〔13〕 前記〔1〕〜〔12〕の何れか一項に記載のトーチの走査方法であって、
前記非消耗電極の前記フィラーワイヤと対向する向きを変更した後に、前記トーチを走査することを特徴とするトーチの走査方法。
〔14〕 前記〔1〕〜〔12〕の何れか一項に記載のトーチの走査方法であって、
前記トーチを走査している間に、前記非消耗電極の前記フィラーワイヤと対向する向きを変更することを特徴とするトーチの走査方法。
〔15〕 前記〔1〕〜〔12〕の何れか一項に記載のトーチの走査方法であって、
前記フィラーワイヤの周囲で前記非消耗電極を回転させながら、前記トーチを走査することを特徴とするトーチの走査方法。
以上のように、本発明によれば、中心に位置するフィラーワイヤの周囲で非消耗電極を回転自在に配置するのに好適なトーチ、並びに、そのようなトーチを走査するのに好適なトーチの走査方法を提供することが可能である。
本発明の一実施形態に係るトーチの構成を示す側面図である。 図1に示すトーチの構成を示す分解側面図である。 図1に示すトーチの構成を示す断面図である。 トーチノズルに電極取付部を介して非消耗電極が取り付けられた状態を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るトーチの走査方法を説明するための模式図である。 本発明の第2の実施形態に係るトーチの走査方法を説明するための模式図である。 本発明の第3の実施形態に係るトーチの走査方法を説明するための模式図である。 フィラーワイヤに対する非消耗電極の位置関係を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(トーチ)
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1〜図4に示すトーチ1の構成について説明する。
なお、図1は、トーチ1の構成を示す側面図である。図2は、トーチ1の構成を示す分解側面図である。図3は、トーチ1の構成を示す断面図である。図4は、回転筒3の先端側に取り付けられたトーチノズル7に電極取付部21を介して非消耗電極Tが取り付けられた状態を示す側面図である。
本実施形態のトーチ1は、図1〜図4に示すように、中心に位置するフィラーワイヤWの周囲で非消耗電極Tを回転自在に配置したものである。具体的に、このトーチ1は、ワイヤガイド2と、回転筒3と、トーチボディ4と、回転駆動機構5と、冷却ブロック6と、トーチノズル7とを備えている。
ワイヤガイド2は、先端に向けてフィラーワイヤWを送給するものであり、軸線方向に貫通する中心孔(図示せず。)を有した略円筒状の長尺部材からなる。なお、ワイヤガイド2の材質には、例えば、真鍮や銅、銅合金、炭素鋼、ステンレス鋼、チタンなどの金属や、セラミックスなどを挙げることができる。
ワイヤガイド2は、トーチボディ4の中心部を貫通した状態で、トーチボディ4の内側に保持されている。また、ワイヤガイド2の基端側は、フィラーワイヤWを自動で送給するワイヤ送給装置(図示せず。)と接続されている。これにより、ワイヤガイド2は、フィラーワイヤWを中心孔を通して先端側へと送給する。
なお、フィラーワイヤWについては、特に限定されるものではなく、その用途に合わせたフィラーワイヤWを適宜選択して用いることが可能である。
ワイヤガイド2の先端側には、シールドガスGを噴出する複数の噴出孔2aが周方向に並んで設けられている。一方、ワイヤガイド2の基端側には、シールドガスGを導入するホース(図示せず。)が接続される接続部2bが設けられている。
なお、シールドガスGについては、特に限定されるものではなく、例えばアルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の不活性ガスや、アルゴン(Ar)に水素(H)、ヘリウム(He)、窒素(N)等のガスを添加した混合ガスを用いることができる。また、アルゴン(Ar)とヘリウム(He)との混合ガスに水素(H)、窒素(N)等のガスを添加した混合ガスを用いることができる。また、シールドガスGについては、上述した組成のガスの他に、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)とヘリウム(He)との混合ガスに、例えば炭酸ガス(CO)や酸素(O)等の酸化性ガスを添加したものを用いてもよい。
ワイヤガイド2の先端には、フィラーワイヤWを先端から送り出すコンタクトチップ8が着脱自在に取り付けられている。コンタクトチップ8は、軸線方向に貫通する中心孔8aを有する略円筒状の部材からなる。コンタクトチップ8は、この中心孔8aを通してフィラーワイヤWを先端から送り出すことが可能となっている。
コンタクトチップ8は、ワイヤガイド2の先端側に螺合により取り付けられている。これにより、コンタクトチップ8にスパッタ等が付着した際や、中心孔8aが変形や摩耗した際に、このコンタクトチップ8を取り外して清掃したり、交換したりすることが可能である。
コンタクトチップ8には、特注品(専用品)に限らず、市販品(汎用品)を用いることができる。なお、コンタクトチップ8の材質には、例えば、銅や銅合金、セラミックスなどを挙げることができる。
回転筒3は、軸線方向に貫通する中心孔3aを有する略円筒状の部材からなる。なお、回転筒3の材質には、例えば、真鍮や銅、銅合金、炭素鋼、ステンレス鋼、チタンなどの金属を挙げることができる。
回転筒3は、中心孔3aの内側にワイヤガイド2を配置し、ワイヤガイド2の周囲を囲んだ状態で、トーチボディ4の内側に保持されている。また、回転筒3は、軸線方向に並んで配置された複数(本実施形態では2つ)のベアリング9a,9bを介してワイヤガイド2の軸回りに回転自在に取り付けられている。
ワイヤガイド2と回転筒3との間には、複数の噴出孔2aから噴出されたシールドガスGが流通するガス流路(隙間)Rが形成されている。これにより、ワイヤガイド2の先端側の周囲からシールドガスGを放出することが可能となっている。
トーチボディ4は、絶縁樹脂からなる第1のリング部材10、第2のリング部材11、第3のリング部材12及びスリーブ部材13を有している。また、トーチボディ4は、金属からなる第1のフレーム部材14、第2のフレーム部材15及び一対の支柱16を有している。
トーチボディ4は、第1のリング部材10と第2のリング部材11との間に第1のフレーム部材14を挟み込んだ状態で、第2のリング部材11の内側にベアリング9aを保持している。また、トーチボディ4は、第3のリング部材12とスリーブ部材13との間に第2のフレーム部材15を挟み込んだ状態で、第3のリング部材12の内側にベアリング9bを保持している。第1のフレーム部材14と第2のフレーム部材15とは、一対の支柱16を介して連結されている。
トーチボディ4は、スリーブ部材13の内側にワイヤガイド2を保持している。したがって、ワイヤガイド2と回転筒3との間は、スリーブ部材13を介して電気的に絶縁されている。
回転駆動機構5は、回転筒3を回転させるものであり、駆動モータ(図示せず。)の回転軸17に取り付けられた駆動ギア18と、回転筒3に取り付けられた被動ギア19とが互いに噛合された構成を有している。回転軸17は、第1のフレーム部材14と第2のフレーム部材15との間で回転自在に支持されている。
回転駆動機構5では、駆動モータによる回転軸17の回転駆動を駆動ギア18から被動ギア19へと伝達することで、回転筒3をワイヤガイド2の軸回りに回転させることが可能となっている。
冷却ブロック6は、回転筒3を冷却するものであり、回転筒3の先端側の周囲を囲んだ状態で、トーチボディ4の先端側(第1のリング部材10)に取り付けられている。
冷却ブロック6には、冷却水Lが循環される液流路6aと、液流路6aに冷却水Lを供給する入側の接続部6bと、液流路6aから冷却水Lを排出する出側の接続部(図示せず。)とが設けられている。冷却ブロック6では、これらの接続部6bに冷却装置(チラー)が接続されることによって、液流路6a内の冷却水Lが循環されることになる。なお、冷却ブロック6の材質には、例えば、真鍮や銅、銅合金、炭素鋼、ステンレス鋼、チタンなどの導電性の金属などを挙げることができる。
トーチノズル7は、概略円筒状の部材からなる。なお、トーチノズル7の材質には、例えば銅や銅合金、炭素鋼、ステンレス鋼などの導電性の金属などを挙げることができる。
トーチノズル7は、フィラーワイヤWの先端側の周囲を囲んだ状態で、回転筒3の先端側に取り付けられている。これにより、トーチノズル7は、回転筒3と共にワイヤガイド2の軸回りに回転自在となっている。また、トーチノズル7の先端からは、ワイヤガイド2の複数の噴出孔2aから噴出されたシールドガスGが放出される。
トーチノズル7は、冷却ブロック6と熱的に接続されると共に、冷却ブロック6と電気的に接続されている。冷却ブロック6とトーチノズル7との間には、互いに摺接しながら給電される給電部20が設けられている。すなわち、冷却ブロック6とトーチノズル7との間では、互いに対向する面が摺接されると共に、この互いに摺接する給電部20を介して給電が行われる。
なお、給電部20では、上述した冷却ブロック6とトーチノズル7との互いに摺接される面での摺接抵抗を低減するため、何れか一方の摺接面に溝部を設けた構成としてもよい。また、溝部以外にも、互いの摺接面積を減らす形状としてもよい。
トーチノズル7には、非消耗電極Tを着脱自在に取り付ける電極取付部21が設けられている。電極取付部21は、回転筒3の先端側に着脱自在に取り付けられた電極取付部材22を有し、この電極取付部材22に対して非消耗電極Tが着脱自在に取り付けられた構造を有している。
電極取付部材22は、トーチノズル7の一部を切り欠く切欠部7aの内側に配置されて、トーチノズル7に対してネジ止めにより着脱自在に取り付けられている。なお、電極取付部材22の材質には、例えば、真鍮や銅、銅合金、炭素鋼、ステンレス鋼、チタンなどの導電性の金属などを挙げることができる。
非消耗電極Tは、電極取付部材22に対してネジ止めにより着脱自在に取り付けられている。非消耗電極Tには、特注品(専用品)ではなく、市販品(汎用品)を用いることができる。なお、非消耗電極Tは、例えばタングステンなどの融点の高い金属材料を用いて形成された長尺状の電極棒からなる。また、非消耗電極Tには、タングステンの他に、例えば酸化トリウムや酸化ランタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物を添加したものを用いることができる。
電極取付部21では、電極取付部材22に対する非消耗電極Tの取付位置を変更することで、この非消耗電極Tの長さが調節自在とされている。また、電極取付部21では、トーチノズル7に対する電極取付部材22の取付角度を変更することで、非消耗電極Tの傾きが調節自在とされている。なお、非消耗電極Tの傾きは、フィラーワイヤWに対して10°〜45°程度である。また、非消耗電極Tは、トーチノズル7に直接取り付けられた構成とすることも可能である。
以上のような構成を有する本実施形態のトーチ1では、電極取付部21からフィラーワイヤWの先端に向かって延在する非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きが回転筒3の回転により変更自在とされている。
本実施形態のトーチ1では、上述した電極取付部21において、トーチノズル7に取り付けられた電極取付部材22に対して非消耗電極Tが着脱自在に取り付けられている。また、上述した給電部20において、冷却ブロック6とトーチノズル7との間で互いに摺接しながら給電が行われる。
これにより、本実施形態のトーチ1では、トーチノズル7に対して非消耗電極Tを容易に取り付けることができ、なお且つ、この非消耗電極Tに対する電力の供給を確実に行うことが可能である。
また、本実施形態のトーチ1では、上述した電極取付部21において、電極取付部材22に対する非消耗電極Tの取付位置や、トーチノズル7に対する電極取付部材22の取付角度を変更することで、この非消耗電極Tの長さや傾きを調節することが可能である。
さらに、本実施形態のトーチ1では、非消耗電極Tの特注品(専用品)ではなく、非消耗電極Tの市販品(汎用品)を用いることができ、この非消耗電極Tの交換も容易である。
したがって、本実施形態のトーチ1は、中心に位置するフィラーワイヤWの周囲で非消耗電極Tを回転自在に配置するのに好適なものとして、一般的なTIG溶接に限らず、例えば、金属積層造形技術(WAAM)や肉盛溶接などに好適に用いることが可能である。また、突合溶接や重ね溶接、隅肉溶接などの全ての継手形状に使用できる。
特に、金属積層造形技術(WAAM)では、トーチ1を面内で走査し、母材と非消耗電極Tとの間で発生するアークの熱により造形用材料となるフィラーワイヤWを溶融させながら、この造形用材料を目的の形状に合わせて積層していく。
本実施形態のトーチ1では、中心に位置するフィラーワイヤWに対して非消耗電極Tを横方向からフィラーワイヤWの先端に向けて挿入している。このとき、非消耗電極Tは、トーチ1の走査方向の前方又は後方から挿入される。
したがって、本実施形態のトーチ1では、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きをトーチ1の走査方向に合わせて変更できるため、立体的な金属積層造形物を精度良く形成することが可能である。
なお、トーチ1を走査する場合は、トーチ1を保持するグリップ等をトーチ1の位置制御ロボット(図示せず。)に取り付けた構成とすればよい。
(トーチの走査方法)
次に、上記トーチ1の走査方法について、図5〜図7を参照しながら具体的に説明する。
なお、図5〜図7は、トーチ1の走査方法を説明するための模式図である。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係るトーチ1の走査方法は、図5に示すように、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きを変更した後に、トーチ1を走査することを特徴とする。
すなわち、この走査方法では、トーチ1の走査を開始する前に、トーチ1の走査方向の前方又は後方から非消耗電極Tが挿入されるように、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きを変更する。これにより、トーチ1の走査方向に合わせて、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きを確実に変更することが可能である。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係るトーチ1の走査方法は、図6に示すように、トーチ1を走査している間に、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きを変更することを特徴とする。
すなわち、この走査方法では、トーチ1の走査中に、トーチ1の走査方向の変更に合わせて、トーチ1の走査方向の前方又は後方から非消耗電極Tが挿入されるように、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きを変更する。これにより、トーチ1の走査方向に合わせて、非消耗電極TのフィラーワイヤWと対向する向きを速やかに変更することが可能である。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係るトーチ1の走査方法は、図7に示すように、フィラーワイヤWの周囲で非消耗電極Tを回転させながら、トーチを走査することを特徴とする。
すなわち、この走査方法では、トーチ1の走査中に、フィラーワイヤWの周囲で非消耗電極Tを回転させることで、トーチ1の走査方向の変更に合わせることなく、トーチ1の走査を行うことが可能である。
なお、非消耗電極Tの回転については、非消耗電極Tを一方向に回転させる場合に限らず、非消耗電極Tを両方向に交互に回転(往復回転)させることも可能である。
また、フィラーワイヤWに対する非消耗電極Tの位置関係については、上述した図5〜図7に示すように、非消耗電極Tの先端がフィラーワイヤWの先端(中心)に向いている場合に限らず、例えば図8に示すように、非消耗電極Tの先端がフィラーワイヤWの先端からずれていてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記回転駆動機構5については、上述した構成に限らず、例えば、プーリ機構を用いた構成や、駆動モータ23が回転筒3を直接駆動する構成であってもよい。
また、本発明では、ワイヤガイド2を溶接用電源と電気的に接続し、ホットワイヤーとしてもよい。さらに、ワイヤガイド2として、市販の消耗電極式(MIG、MAG)のトーチを用いてもよい。市販の消耗電極式のトーチを用いる場合、そのトーチノズルを外して用いればよい。
また、本発明は、上述した非消耗電極式のトーチに限らず、消耗電極式(MIG、MAG)のトーチに適用することも可能である。
1…トーチ 2…ワイヤガイド 3…回転筒 4…トーチボディ 5…回転駆動機構 6…冷却ブロック 7…トーチノズル 8…コンタクトチップ 9a,9b…ベアリング 10…第1のリング部材 11…第2のリング部材 12…第3のリング部材 13…スリーブ部材 14…第1のフレーム部材 15…第2のフレーム部材 16…支柱 17…回転軸 18…駆動ギア 19…被動ギア 20…給電部 21…電極取付部 22…電極取付部材 R…ガス流路 W…フィラーワイヤ T…非消耗電極 G…シールドガス L…冷却水(冷却液)

Claims (15)

  1. フィラーワイヤを先端に向けて送給するワイヤガイドと、
    前記ワイヤガイドの周囲を囲んだ状態で、前記ワイヤガイドの軸回りに回転自在に取り付けられた回転筒と、
    前記回転筒を先端側から突出させた状態で、前記回転筒を内側に保持するトーチボディと、
    前記ワイヤガイドの先端側の周囲を囲んだ状態で、前記回転筒の先端側に取り付けられると共に、シールドガスを先端から放出するトーチノズルとを備え、
    前記トーチノズルには、前記フィラーワイヤの先端に向かって延在する非消耗電極が設けられ、
    前記非消耗電極の前記フィラーワイヤと対向する向きが前記回転筒の回転により変更自在とされていることを特徴とするトーチ。
  2. 前記トーチノズルには、前記非消耗電極を着脱自在に取り付ける電極取付部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトーチ。
  3. 前記電極取付部は、前記トーチノズルに着脱自在に取り付けられた電極取付部材を含み、
    前記非消耗電極は、前記電極取付部材に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のトーチ。
  4. 前記電極取付部において、前記非消耗電極の長さが調節自在とされていることを特徴とする請求項2又は3に記載のトーチ。
  5. 前記電極取付部において、前記非消耗電極の傾きが調節自在とされていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のトーチ。
  6. 前記非消耗電極が前記トーチノズルに直接取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のトーチ。
  7. 前記回転筒の周囲を囲んだ状態で、前記トーチボディに取り付けられると共に、冷却液が循環される流路が設けられた冷却ブロックを備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のトーチ。
  8. 前記トーチノズルは、前記冷却ブロックと熱的に接続されると共に、前記冷却ブロックと電気的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のトーチ。
  9. 前記冷却ブロックと前記トーチノズルとの間には、互いに摺接しながら給電される給電部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のトーチ。
  10. 前記ワイヤガイドと前記回転筒との間で流通されるシールドガスを先端から放出することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のトーチ。
  11. 前記ワイヤガイドの先端側には、前記フィラーワイヤを先端から送り出すコンタクトチップが着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載のトーチ。
  12. 前記回転筒を回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のトーチ。
  13. 請求項1〜12の何れか一項に記載のトーチの走査方法であって、
    前記非消耗電極の前記フィラーワイヤと対向する向きを変更した後に、前記トーチを走査することを特徴とするトーチの走査方法。
  14. 請求項1〜12の何れか一項に記載のトーチの走査方法であって、
    前記トーチを走査している間に、前記非消耗電極の前記フィラーワイヤと対向する向きを変更することを特徴とするトーチの走査方法。
  15. 請求項1〜12の何れか一項に記載のトーチの走査方法であって、
    前記フィラーワイヤの周囲で前記非消耗電極を回転させながら、前記トーチを走査することを特徴とするトーチの走査方法。
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