JP6940975B2 - アフターシールド治具及び溶接システム - Google Patents

アフターシールド治具及び溶接システム Download PDF

Info

Publication number
JP6940975B2
JP6940975B2 JP2017094220A JP2017094220A JP6940975B2 JP 6940975 B2 JP6940975 B2 JP 6940975B2 JP 2017094220 A JP2017094220 A JP 2017094220A JP 2017094220 A JP2017094220 A JP 2017094220A JP 6940975 B2 JP6940975 B2 JP 6940975B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
nozzle
torch
welded
shield gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017094220A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018187664A (ja
Inventor
勝則 和田
勝則 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Nippon Sanso Corp filed Critical Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority to JP2017094220A priority Critical patent/JP6940975B2/ja
Publication of JP2018187664A publication Critical patent/JP2018187664A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6940975B2 publication Critical patent/JP6940975B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)

Description

本発明は、アフターシールド治具及び溶接システムに関する。
金属や非鉄金属などを母材として用いた構造物(被溶接物)の溶接には、従来よりTIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)又はプラズマアーク溶接等のGTAW(Gas Tungsten Arc welding)と呼ばれる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。
また、MIG溶接(Metal Inert Gas welding)、MAG溶接(Metal Active Gas welding)又は炭酸ガスアーク溶接等のGMAW(Gas Metal Arc welding)と呼ばれる消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。なお、消耗電極式のガスシールドアーク溶接は、消耗電極となる溶接ワイヤーの送給を自動で行いながら、溶接を手動で行うため、半自動アーク溶接とも呼ばれている。
これらの溶接方法では、一般に溶接用トーチを使用し、電極と被溶接物との間でアークを発生させて、このアークの熱により被溶接物を溶かして溶融池(プール)を形成しながら、溶接が行われる。また、溶接中は電極の周囲を囲むトーチノズルからシールドガスを放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断しながら溶接が行われる。
ところで、トーチノズルから放出されるシールドガスだけでは溶接直後に形成される溶接ビートの酸化を抑えきれない場合がある。その場合、トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって溶接ビードの周囲を囲むアフターシールド治具を設けて、このアフターシールド治具から放出されるアフターシールドガスによって、溶接直後に形成される溶接ビートを大気(空気)から遮断しながら、溶接することが行われている(例えば、特許文献1,2を参照。)。特に、チタン溶接では、チタンの酸化によって溶接部分の強度が低下する傾向が大きいことから、アフターシールドガスを用いた溶接方法が多用されている。
特開平7−100650号公報 特開2006−175475号公報
ところで、上記特許文献1には、溶接トーチの後方に配置されるフロントユニットと、フロントユニットの後部に連結される少なくとも一つの延長ユニットと、延長ユニットの後部に連結されるリヤユニットとからなり、延長ユニットに対して溶接部分の周囲にシールドガスを供給するアフターシールド装置が開示されている。
しかしながら、このアフターシールド装置では、溶接部分が平面状である場合に対応可能であるが、溶接部分が曲面状である場合には、この溶接部分に対する追従性が悪くなるため、対応が困難となってしまう。
一方、上記特許文献2には、トレーラーを薄肉金属片にて底面開放の半割筒体形状に形成して変形可能となし、トレーラー内に、薄肉金属片にて筒体形状に形成して変形可能となした不活性ガス放射パイプを可動可能に配設した溶接用アフターシールド治具が開示されている。
しかしながら、この溶接用アフターシールド治具では、トレーラー内に筒体形状の不活性ガス放射パイプが配設されているため、配管などの曲面に対する溶接において、対応可能な配管の径に制限がある。特に、小径の配管の溶接には、対応が困難である。
上述した配管や容器などの被溶接物の曲面に対してアフターシールドを行う場合には、安価で簡便な構造が求められる。また、被溶接物の曲面とアフターシールド治具との隙間をできるだけ狭くする必要がある。このため、従来のアフターシールド治具では、被溶接物に対する位置合わせが大変である。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡便な構造を有しつつ、被溶接物の形状に対する位置合わせが容易なアフターシールド治具、並びにそのようなアフターシールド治具を備えた溶接システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 トーチノズルからシールドガスを放出しながら、被溶接物との間でアークを発生させることにより溶接を行う溶接用トーチの前記トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって、前記被溶接物の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出するアフターシールド治具であって、
前記溶接線方向に対応して並んで配置される複数のノズル部と、
前記複数のノズル部を互いに連結した状態で支持する支持機構と、
前記支持機構を前記溶接用トーチに取り付ける取付機構とを備え、
前記支持機構は、少なくとも前記ノズル部から前記被溶接物に向けて放出されるアフターシールドガスの向きと、前記ノズル部から前記被溶接物までの間隔とを前記ノズル部毎に変更自在な状態で、前記各ノズル部を支持していることを特徴とするアフターシールド治具。
〔2〕 前記支持機構は、前記各ノズル部を保持する複数の保持部と、
前記アフターシールドガスの向きを変更する方向に対応して前記各保持部を回動自在に支持する複数の回動支持部と、
前記被溶接物との間隔を変更する方向に対応して前記各保持部をスライド自在に支持する複数のスライド支持部とを有することを特徴とする前記〔1〕に記載のアフターシールド治具。
〔3〕 前記支持機構は、前記各保持部に取り付けられた複数の回転ローラを有して、前記複数の回転ローラが前記被溶接物の面上で回転しながら、前記ノズル部から前記被溶接物までの間隔を一定に保つように、前記複数のスライド支持部が前記各保持部をスライド自在に支持することを特徴とする前記〔2〕に記載のアフターシールド治具。
〔4〕 前記支持機構は、前記アフターシールドガスの向きを変更する方向に対応して前記各ノズル部を回動自在に保持する複数の回動ドラムを有して、
互いに隣り合う前記回動ドラムの回動軸を連結部を介して連結することによって、互いに隣り合う一方の回動ドラムに対して他方の回動ドラムを周方向に周回自在に支持していることを特徴とする前記〔1〕に記載のアフターシールド治具。
〔5〕 前記支持機構は、前記各ノズル部を保持する複数の保持部と、
前記複数の保持部のうち、互いに隣り合う一方の保持部と他方の保持部とを連結する連結部とを有し、
前記連結部は、長孔が設けられた連結部材を含み、前記長孔を通して締結ネジを前記一方の保持部と前記他方の保持部との何れか一方又は両方に設けられたネジ孔に締結する構造を有することを特徴とする前記〔1〕に記載のアフターシールド治具。
〔6〕 前記ノズル部は、汎用の溶接用トーチにおいて使用されるトーチノズルを含むことを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載のアフターシールド治具。
〔7〕 トーチノズルからシールドガスを放出しながら、被溶接物との間でアークを発生させることにより溶接を行う溶接用トーチと、
前記トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって、前記被溶接物の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出するアフターシールド治具と、
前記溶接用トーチと溶接ケーブルを介して接続されて、前記溶接用トーチへの電力並びにシールドガスの供給を行う溶接用電源装置と、
前記アフターシールド治具の各々のノズル部に対してアフターシールドガスを供給するアフターシールドガス供給装置とを備え、
前記アフターシールド治具として、前記〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載のアフターシールド治具を用いることを特徴とする溶接システム。
〔8〕 前記溶接用トーチに取り付けられるフィラーガイドを有して、前記フィラーガイドの先端から前記被溶接物の溶融池に向かってフィラーワイヤーを送給するワイヤー送給装置を備えることを特徴とする前記〔7〕に記載の溶接システム。
〔9〕 前記複数のノズル部のうち、少なくとも前記溶接用トーチのトーチノズルに最も近いノズル部に対して、他のノズル部に供給されるアフターシールドガスよりも熱伝導性の高いアフターシールドガスを供給することを特徴とする前記〔7〕又は〔8〕に記載の溶接システム。
〔10〕 前記複数のノズル部のうち、少なくとも前記溶接用トーチのトーチノズルに最も近いノズル部に供給されるアフターシールドガスの流速が、他のノズル部に供給されるアフターシールドガスの流速よりも高いことを特徴とする前記〔7〕〜〔9〕の何れか一項に記載の溶接システム。
〔11〕 トーチノズルからシールドガスを放出しながら、被溶接物との間でアークを発生させることにより溶接を行う溶接用トーチと、
前記トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって、前記被溶接物の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出するアフターシールド治具と、
前記溶接用トーチと溶接ケーブルを介して接続されて、前記溶接用トーチへの電力並びにシールドガスの供給を行う溶接用電源装置と、
前記アフターシールド治具の各々のノズル部に対してアフターシールドガスを供給するアフターシールドガス供給装置とを備え、
前記アフターシールド治具として、前記〔2〕,〔3〕,〔5〕の何れか一項に記載のアフターシールド治具を用いる溶接システムであって、
前記複数の保持部のうち、前記溶接用トーチのトーチノズルに最も近い保持部に汎用の溶接用トーチをトーチノズルと共に取り付けることによって、前記被溶接物との間で別々のアークを発生させながら溶接を行うことを特徴とする溶接システム。
以上のように、本発明によれば、簡便な構造を有しつつ、被溶接物の形状に対する位置合わせが容易なアフターシールド治具、並びにそのようなアフターシールド治具を備えた溶接システムを提供することが可能である。
本発明の一実施形態に係る溶接システムの概略構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係るアフターシールド治具を用いて平板状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す斜視図である。 図2に示すアフターシールド治具を用いて平板状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 図2に示すアフターシールド治具を用いて円筒状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す斜視図である。 図2に示すアフターシールド治具を用いて円筒状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 図2に示すアフターシールド治具に回転ローラが取り付けられた場合の円筒状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態に係るアフターシールド治具を用いて平板状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す斜視図である。 図7に示すアフターシールド治具を用いて平板状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 図7に示すアフターシールド治具を用いて円筒状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 本発明の第3の実施形態に係るアフターシールド治具を用いて平板状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 図10に示すアフターシールド治具を用いて円筒状の被溶接物に対して溶接を行う状態を示す側面図である。 図10に示すアフターシールド治具を用いて被溶接物に対して複合溶接を行う状態を示す斜視図である。 実施例1における溶接ビートの状態を示す写真である。 比較例1における溶接ビートの状態を示す写真である。 比較例2における溶接ビートの状態を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
〔溶接システム〕
先ず、本発明の一実施形態に係る溶接システムとして、例えば図1に示す溶接システム100について説明する。なお、図1は、溶接システム100の概略構成を示す模式図である。
本実施形態の溶接システム100は、図1に示すように、溶接用トーチ20と、ワイヤー送給装置30と、溶接用電源装置40と、アフターシールド治具50と、アフターシールドガス供給装置60と、制御装置70とを概略備えている。
溶接用トーチ20は、従来より一般に使用されている非消耗式の溶接トーチ(TIG溶接用トーチ)であり、被溶接物(母材)Sとの間でアークを発生させる非消耗電極21と、アークによって生じた被溶接物Sの溶融池(プール)に向かってシールドガスを放出するトーチノズル22とを概略有している。
ワイヤー送給装置30は、溶接用トーチ20に取り付けられたフィラーガイド31を有し、フィラーガイド31の先端から被溶接物Sの溶融池に向かってフィラーワイヤーWを送給する。また、ワイヤー送給装置30は、制御ケーブル32を介して制御装置70と電気的に接続されている。
溶接用電源装置40は、従来より一般に使用されている直流式及び/又は交流式のTIG溶接用電源装置であり、溶接用トーチ20と溶接ケーブル41を介して接続されて、溶接用トーチ20への電力並びにシールドガスの供給を行う。また、溶接用電源装置40は、制御ケーブル42を介して制御装置70と電気的に接続されている。
なお、溶接用トーチ20の冷却方式については、水冷式と空冷式の何れであってもよい。水冷式の場合は、冷却装置(チラー)を設けて、冷却水(冷却液)の循環により溶接用トーチ20を冷却することができる。
溶接用電源装置40では、マイナス(−)端子側に溶接ケーブル41を介して非消耗電極21が電気的に接続され、且つ、プラス(+)端子側に母材側ケーブル43を介して被溶接物Sが電気的に接続されている。
アフターシールド治具50は、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって、被溶接物Sの溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
アフターシールドガス供給装置60は、ガスホース61を介してアフターシールド治具50に対してアフターシールドガスを供給する。また、アフターシールドガス供給装置60は、制御ケーブル62を介して制御装置70と電気的に接続されている。なお、アフターシールドガス供給装置60としては、アフターシールドガスが供給可能なものであればよく、例えば、ガスボンベや、工場内ガス供給設備、ガス発生装置(例えば、PSAガス発生装置)、ガス混合器など、何れも利用することが可能である。
制御装置70は、ワイヤー送給装置30、溶接用電源装置40及びアフターシールドガス供給装置60を制御するものであり、溶接電流やフィラーワイヤーWの送給速度、シールドガス及びアフターシールドガスの流速(流量)などを溶接条件に合わせて制御する。
以上のような構成を有する溶接システム100では、溶接用トーチ20を用いて、被溶接物Sと非消耗電極21との間でアークを発生させながら、このアークの熱により被溶接物Sを溶かして溶融池(プール)を形成しながら溶接が行われる。
溶接中は、非消耗電極21の周囲を囲むトーチノズル22からシールドガスを放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断しながら溶接が行われる。また、溶接中は、被溶接物Sの溶融池に向かってフィラーワイヤーWを自動で送給し、アーク中でフィラーワイヤーWを溶融させながら溶接が行われる。さらに、アフターシールド治具50から放出されるアフターシールドガスによって、溶接直後に形成される溶接ビートを大気(空気)から遮断しながら溶接が行われる。
シールドガス及びアフターシールドガスとしては、被溶接物S1の材質に合わせて適宜選択して使用すればよく、例えばアルゴンやヘリウムといった不活性ガスを単体若しくは複数の不活性ガスを混合して用いることができる。さらに、これらのシールドガスに水素や窒素等を添加することも可能である。
また、シールドガス及びアフターシールドガスとして同じガスを用いる場合は、アフターシールドガス供給装置60を省略し、溶接用電源装置40から溶接用トーチ20及びアフターシールド治具50へのシールドガス及びアフターシールドガスの供給を行ってもよい。また、溶接用電源装置40から溶接用トーチ20へとシールドガスを供給するシールドガス供給配管の途中から分岐してアフターシールド治具50へとアフターシールドガスを供給するアフターシールドガス供給配管を設けてもよい。
〔アフターシールド治具〕
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態に係るアフターシールド治具として、例え図2〜図5に示すアフターシールド治具1Aについて説明する。なお、図2は、アフターシールド治具1Aを用いて平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う状態を示す斜視図である。図3は、アフターシールド治具1Aを用いて平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う状態を示す側面図である。図4は、アフターシールド治具1Aを用いて円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う状態を示す斜視図である。図5は、アフターシールド治具1Aを用いて円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う状態を示す側面図である。
本実施形態のアフターシールド治具1Aは、図2〜図5に示すように、上記溶接システム100が備えるアフターシールド治具50として用いられるものであり、溶接線方向に対応して並んで配置される複数(図2及び図3では3つ、図4及び図5で2つ)のノズル部2と、複数のノズル部2を互いに連結した状態で支持する支持機構3Aと、支持機構3Aを溶接用トーチ20に取り付ける取付機構4Aとを備えている。
複数のノズル部2は、汎用の溶接用トーチにおいて使用されるトーチノズル5と、このトーチノズルの内側に取り付けられるコレットボディ6とを含み、それぞれのコレットボディ6にアフターシールドガスを導入するガスホース7が各々接続されることによって、トーチノズル5の先端からアフターシールドガスを放出する構成となっている。なお、ガスホース7は、アフターシールドガス供給装置60のガスホース61と同じか、ガスホース61から分岐された構成となっている。
なお、ノズル部2では、トーチノズル5から放出されるアフターシールドガスを整流するガスレンズがコレットボディ6の外周部に一体に取り付けられたガスレンズ付コレットボディを用いてもよい。また、消音目的に使われる多孔質状の焼結金属からなるサイレンサーが取り付けられた構成であってもよい。
ノズル部2については、上述した汎用の溶接用トーチにおいて使用されるトーチノズル5及びコレットボディ6を用いる(流用する)ことで、より安価に構成することが可能である。一方、ノズル部2については、上述した汎用のものを用いて構成した場合に限らず、専用のものを用いて構成してもよい。
支持機構3Aは、各ノズル部2から被溶接物S1,S2に向けて放出されるアフターシールドガスの向きと、各ノズル部2から被溶接物S1,S2までの間隔とをノズル部2毎に変更自在な状態で、各ノズル部2を支持している。
具体的に、この支持機構3Aは、各ノズル部2を保持する複数の保持部8と、アフターシールドガスの向きを変更する方向に対応して各保持部8を回動自在に支持する複数の回動支持部9と、被溶接物S1,S2との間隔を変更する方向に対応して各保持部8をスライド自在に支持する複数のスライド支持部10とを有している。
保持部8は、例えばステンレス鋼などの金属や非鉄金属、又はセラミックス等を用いて円筒状に形成されたリング部材8aを有し、このリング部材8aの内側にトーチノズル5(ノズル部2)を嵌め込んだ状態で、リング部材8aを半径方向に貫通するネジ孔(図示せず。)に締結ネジ8bを締結することによって、トーチノズル5(ノズル部2)をリング部材8aに固定する構成となっている。
回動支持部9は、各ノズル部2を保持するリング部材8a(保持部8)の外周面から突出された回動軸9aを有し、この回動軸9aを後述する鉛直ロッド10aの下端側に軸支することによって、この回動軸9aの軸回りにリング部材8a(保持部8)を回動自在に支持している。
スライド支持部10は、例えばステンレス鋼などの金属や非鉄金属、又はセラミックス等を用いて長尺円柱状に形成された複数の鉛直ロッド10a及び水平ロッド10bを有している。
複数の鉛直ロッド10aは、鉛直方向に延長して配置されると共に、各ノズル部2を保持する複数の保持部8に各々に対応して、水平方向に並んで配置されている。各鉛直ロッド10aの下端側には、回動軸9aを介してリング部材8a(保持部8)が回動自在に取り付けられている。
水平ロッド10bは、水平方向に延長して配置されると共に、ジョイント部10cを介して複数の鉛直ロッド10bを上下方向にスライド自在に支持している。また、水平ロッド10bに対する鉛直ロッド10bの固定は、ジョイント部10cに設けられた締結ネジ(図示せず。)により行うことができる。
支持機構3Aでは、回動軸9aの軸回りにリング部材8a(保持部8)を回動させることによって、ノズル部2から放出されるアフターシールドガスの向きを変更(調節)することが可能である。
また、支持機構3Aでは、複数の鉛直ロッド10bを上下方向にスライドさせることによって、ノズル部2と被溶接物S1,S2との間隔を変更(調節)することが可能である。
さらに、支持機構3Aでは、鉛直ロッド10aをジョイント部10cと共に水平ロッド10bの延長方向にスライドさせることによって、隣り合うノズル部2の間隔を変更(調節)することが可能である。
取付機構4Aは、例えばステンレス鋼などの金属や非鉄金属、又はセラミックス等を用いて全体として円筒状に形成された取付リング11を有している。水平ロッド10bの基端側は、この取付リング11に片持ち支持された状態でネジ止め等により取り付けられている。
取付機構4Aは、半割とされた取付リング11により溶接用トーチのトーチボディを挟み込んだ状態で、この半割とされた取付リング11の両端を貫通する一対のネジ孔(図示せず。)に一対の締結ネジ12を締結することによって、支持機構3Aを溶接用トーチ20に取り付ける構成となっている。
以上のような構成を有するアフターシールド治具1Aを用いて、図2及び図3に示す平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2から被溶接物S1の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
このとき、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって並ぶ各ノズル部2の向きをトーチノズル22側に向けて傾けている。また、各ノズル部2から被溶接物S1までの間隔を一定に保つように、被溶接物S1の平面形状に合わせて各ノズル部2の間隔が調整されている。これにより、被溶接物S1の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを適切に放出することができ、この溶接ビートを大気(空気)から遮断し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
一方、図4及び図5に示す円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2から被溶接物S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
このとき、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって並ぶ各ノズル部2の向きをトーチノズル22側に向けて傾けている。また、各ノズル部2から被溶接物S2までの間隔を一定に保つように、被溶接物S2の曲面形状に合わせて各ノズル部2の間隔が調整されている。これにより、被溶接物S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを適切に放出することができ、この溶接ビートを大気(空気)から遮断し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
以上のように、本実施形態のアフターシールド治具1Aでは、簡便な構造を有しつつ、被溶接物S1,S2に対する位置合わせが容易なことから、形状の異なる被溶接物S1,S2に対してアフターシールドガスを適切に放出し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
また、本実施形態のアフターシールド治具1Aを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2のうち、少なくとも溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近いノズル部2に対して、他のノズル部2に供給されるアフターシールドガスよりも熱伝導性の高いアフターシールドガスを供給するようにしてもよい。
この場合、熱伝導性の高いアフターシールドガスに、例えばヘリウム又はヘリウムを含む混合ガスを用いることで、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードから熱を早く取り除くことが可能である。一方、全てのノズル部2に対して熱伝導性の高いアフターシールドガスを供給した場合、コストが高くなることから、溶接用トーチのトーチノズルから離れたノズル部2には、比較的安価なアルゴン、水素又はこれらの混合ガスなどを供給すればよい。
また、本実施形態のアフターシールド治具1Aを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2のうち、少なくとも溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近いノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速が、他のノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速よりも高くなるように、各ノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速を異ならせてもよい。この場合も、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードから熱を早く取り除くことが可能である。
支持機構3Aは、図6に示すように、各保持部8に耐熱性の回転ローラ13を取り付けることによって、各回転ローラ13が被溶接物S2の面上で回転しながら、各ノズル部2から被溶接物S2までの間隔を一定に保つように、複数の鉛直ロッド10aが各保持部8を上下方向にスライド自在に支持する構成としてもよい。
この構成の場合、水平ロッド10に対する複数の鉛直ロッド10aの固定を行わずに、水平ロッド10に対して複数の鉛直ロッド10aをスライド自在とすることで、被溶接物S2の形状に合わせて、この被溶接物S2に対する各ノズル部2の位置合わせを自動で行わせることが可能である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図7〜図9に示すアフターシールド治具1Bについて説明する。なお、図7は、アフターシールド治具1Bを用いて平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う状態を示す斜視図である。図8は、アフターシールド治具1Bを用いて平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う状態を示す側面図である。図9は、アフターシールド治具1Bを用いて円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う状態を示す側面図である。また、以下の説明では、上記アフターシールド治具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態のアフターシールド治具1Bは、上記アフターシールド治具1Aの代わりに、上記溶接システム100が備えるアフターシールド治具50として用いられるものである。具体的に、このアフターシールド治具1Bは、図7〜図9に示すように、溶接線方向に対応して並んで配置される複数(図7及び図8では3つ、図9で2つ)のノズル部2と、複数のノズル部2を互いに連結した状態で支持する支持機構3Bと、支持機構3Bを溶接用トーチに取り付ける取付機構4Bとを備えている。
支持機構3Bは、アフターシールドガスの向きを変更する方向に対応して、各ノズル部2を回動自在に保持する複数の回動ドラム14を有している。各回動ドラム14は、例えばステンレス鋼などの金属や非鉄金属、又はセラミックス等を用いて円柱状に形成されたドラム本体14aを有している。ドラム本体14aには、その外周面の中央部を直径方向に貫通する保持孔14bが設けられている。また、ドラム本体14aの両端の中央部には、回転軸14cが軸線方向に突出して設けられている。
回動ドラム14は、保持孔14bの内側にトーチノズル5(ノズル部2)を嵌め込んだ状態で、ドラム本体14aの一端側から軸線方向に貫通するネジ孔(図示せず。)に締結ネジ14dを締結することによって、トーチノズル5(ノズル部2)をドラム本体14aに固定する構成となっている。
また、支持機構3Bは、互いに隣り合う回動ドラム14の回動軸14cを連結部15となる連結アーム15aを介して連結した構成となっている。これにより、互いに隣り合う一方の回動ドラム14に対して他方の回動ドラム14が周方向に周回自在に支持されている。
支持機構3Bでは、回動軸14cの軸回りにドラム本体14a(回動ドラム14)を回動させることによって、ノズル部2から放出されるアフターシールドガスの向きを変更(調節)することが可能である。
また、支持機構3Bでは、一方の回動ドラム14に対して他方の回動ドラム14が周方向に周回させることによって、ノズル部2と被溶接物S1,S2との間隔を変更(調節)することが可能である。
取付機構4Bは、溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近い回動ドラム14の回転軸14cを軸支する鉛直ロッド16aと、この鉛直ロッド16をジョイント部16cを介して上下方向にスライド自在に支持する水平ロッド16bとを有して、水平ロッド16bを上記取付リング11にネジ止め等により取り付けることによって、上述した取付リング11を介して支持機構3Bを溶接用トーチ20に取り付ける構成となっている。
以上のような構成を有するアフターシールド治具1Bを用いて、図7及び図8に示す平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2から被溶接物S1の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
このとき、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって並ぶ各ノズル部2の向きをトーチノズル22側に向けて傾けている。また、各ノズル部2から被溶接物S1までの間隔を一定に保つように、被溶接物S1の平面形状に合わせて各ノズル部2の間隔が調整されている。これにより、被溶接物S1の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを適切に放出することができ、この溶接ビートを大気(空気)から遮断し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
一方、図9に示す円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2から被溶接物S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
このとき、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって並ぶ各ノズル部2の向きをトーチノズル22側に向けて傾けている。また、各ノズル部2から被溶接物S2までの間隔を一定に保つように、被溶接物S1の曲面形状に合わせて各ノズル部2の間隔が調整されている。これにより、被溶接物S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを適切に放出することができ、この溶接ビートを大気(空気)から遮断し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
以上のように、本実施形態のアフターシールド治具1Bでは、簡便な構造を有しつつ、被溶接物S1,S2に対する位置合わせが容易なことから、形状の異なる被溶接物S1,S2に対してアフターシールドガスを適切に放出し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
また、本実施形態のアフターシールド治具1Bを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、上記アフターシールド治具1Aを用いた場合と同様に、複数のノズル部2のうち、少なくとも溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近いノズル部2に対して、他のノズル部2に供給されるアフターシールドガスよりも熱伝導性の高いアフターシールドガスを供給するようにしてもよい。この場合、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードから熱を早く取り除くことが可能である。
本実施形態のアフターシールド治具1Bを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、上記アフターシールド治具1Aを用いた場合と同様に、複数のノズル部2のうち、少なくとも溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近いノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速が、他のノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速よりも高くなるように、各ノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速を異ならせてもよい。この場合も、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードから熱を早く取り除くことが可能である。
また、本実施形態のアフターシールド治具1Bを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、上記アフターシールド治具1Aを用いた場合と同様に、複数の保持部8のうち、溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近い保持部8に汎用の溶接用トーチ20Aをトーチノズル5と共に取り付けることによって、被溶接物S1,S2との間で別々のアークを発生させながら溶接を行うことも可能である。この場合、例えばプラズマアーク溶接とTIG溶接とを組み合わせた複合溶接や、TIG溶接とMIG溶接とを組み合わせた複合溶接などを行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図10及び図11に示すアフターシールド治具1Cについて説明する。なお、図10は、アフターシールド治具1Cを用いて平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う状態を示す側面図である。図11は、アフターシールド治具1Cを用いて円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う状態を示す側面図である。また、以下の説明では、上記アフターシールド治具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態のアフターシールド治具1Cは、上記アフターシールド治具1Aの代わりに、上記溶接システム100が備えるアフターシールド治具50として用いられるものである。具体的に、このアフターシールド治具1Cは、図10及び図11に示すように、溶接線方向に対応して並んで配置される複数(図10では3つ、図11で2つ)のノズル部2と、複数のノズル部2を互いに連結した状態で支持する支持機構3Cと、支持機構3Cを溶接用トーチに取り付ける取付機構4Cとを備えている。
支持機構3Cは、各ノズル部2を保持する複数の保持部8と、複数の保持部8のうち、互いに隣り合う一方の保持部8と他方の保持部8とを連結する連結部17とを有している。
連結部17は、例えばステンレス鋼などの金属や非鉄金属、又はセラミックス等を用いて平板状に形成された連結部材18を有し、この連結部材18には、長孔18aが長手方向に沿って設けられている。連結部17は、長孔18aを通して締結ネジ18bを一方の保持部8と他方の保持部8とにそれぞれ設けられたネジ孔(図示せず。)に締結することによって、互いに隣り合う一方の保持部8と他方の保持部8とを連結部材18を介して連結する構成となっている。
支持機構3Cでは、連結部材18の傾斜する角度によって、ノズル部2から放出されるアフターシールドガスの向きを変更(調節)することが可能である。また、連結部材18の傾斜する角度は、連結部材18の折り曲げる角度によって調整することが可能である。
また、支持機構3Cでは、長孔18aが形成された範囲で連結部材18に対する一方又は他方の保持部8の締結位置を変更することによって、ノズル部2と被溶接物S1,S2との間隔を変更(調節)することが可能である。
なお、本実施形態の支持機構3Cでは、上述した長孔18aを通して一方の保持部8と他方の保持部8とにそれぞれ設けられたネジ孔に締結ネジ18bを締結する構成となっているが、長孔18aを通して一方の保持部8と他方の保持部8との何れか一方に設けられたネジ孔に締結ネジ18bを締結する構成であればよい。
取付機構4Cは、例えばステンレス鋼などの金属や非鉄金属、又はセラミックス等を用いて平板状に形成された取付部材19を有し、この取付部材19には、長孔19aが長手方向に沿って設けられている。取付機構4Cは、この長孔18aを通して締結ネジ19bを溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近い保持部8に設けられたネジ孔(図示せず。)に締結することによって、この保持部8を取付部材19に取り付けた構成となっている。
取付機構4Cは、この取付部材19を上記取付リング11にネジ止め等により取り付けることによって、上述した取付リング11を介して支持機構3Cを溶接用トーチ20に取り付ける構成となっている。
また、取付機構4Cでは、取付部材19の傾斜する角度によって、ノズル部2から放出されるアフターシールドガスの向きを変更(調節)することが可能である。また、取付部材19の傾斜する角度は、取付部材19の折り曲げる角度によって調整することが可能である。
さらに、取付機構4Cでは、長孔18aが形成された範囲で取付部材18に対する保持部8の締結位置を変更することによって、ノズル部2と被溶接物S1,S2との間隔を変更(調節)することが可能である。
以上のような構成を有するアフターシールド治具1Cを用いて、図10に示す平板状の被溶接物S1に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2から被溶接物S1の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
このとき、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって並ぶ各ノズル部2の向きをトーチノズル22側に向けて傾けている。また、各ノズル部2から被溶接物S1までの間隔を一定に保つように、被溶接物S1の平面形状に合わせて各ノズル部2の間隔が調整されている。これにより、被溶接物S1の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを適切に放出することができ、この溶接ビートを大気(空気)から遮断し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
一方、図11に示す円筒状の被溶接物S2に対して溶接を行う場合には、複数のノズル部2から被溶接物S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する。
このとき、溶接用トーチ20のトーチノズル22から溶接線方向の後方に向かって並ぶ各ノズル部2の向きをトーチノズル22側に向けて傾けている。また、各ノズル部2から被溶接物S2までの間隔を一定に保つように、被溶接物S1の曲面形状に合わせて各ノズル部2の間隔が調整されている。これにより、被溶接物S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを適切に放出することができ、この溶接ビートを大気(空気)から遮断し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
以上のように、本実施形態のアフターシールド治具1Cでは、簡便な構造を有しつつ、被溶接物S1,S2に対する位置合わせが容易なことから、形状の異なる被溶接物S1,S2に対してアフターシールドガスを適切に放出し、溶接ビートの酸化を抑えることが可能である。
また、本実施形態のアフターシールド治具1Cを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、上記アフターシールド治具1Aを用いた場合と同様に、複数のノズル部2のうち、少なくとも溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近いノズル部2に対して、他のノズル部2に供給されるアフターシールドガスよりも熱伝導性の高いアフターシールドガスを供給するようにしてもよい。この場合、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードから熱を早く取り除くことが可能である。
本実施形態のアフターシールド治具1Cを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、上記アフターシールド治具1Aを用いた場合と同様に、複数のノズル部2のうち、少なくとも溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近いノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速が、他のノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速よりも高くなるように、各ノズル部2に供給されるアフターシールドガスの流速を異ならせてもよい。この場合も、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードから熱を早く取り除くことが可能である。
また、本実施形態のアフターシールド治具1Cを用いて、被溶接物S1,2に対して溶接を行う場合には、図12に示すように、複数の保持部8のうち、溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近い保持部8に汎用の溶接用トーチ20Aをトーチノズル5と共に取り付けることによって、被溶接物S1,S2との間で別々のアークを発生させながら溶接を行うことも可能である。
この場合、例えばプラズマアーク溶接とTIG溶接とを組み合わせた複合溶接や、TIG溶接とMIG溶接とを組み合わせた複合溶接などを行うことができる。なお、上記アフターシールド治具1A,1Bを用いた場合も同様に、溶接用トーチ20のトーチノズル22に最も近い保持部8又は回動ドラム14に汎用の溶接用トーチ20Aをトーチノズル5と共に取り付けることによって、被溶接物S1,S2との間で別々のアークを発生させながら溶接を行うことが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記アフターシールド治具1A〜1Cを溶接用トーチに取り付ける取付機構4A〜4Cについては、上述した構成に必ずしも限定されるものではなく、任意の取り付け構造を採用することが可能である。
また、上記アフターシールド治具1A〜1Cでは、ノズル部2の数を増やすことによって、被溶接物S1,S2の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出する範囲を広げることができ、溶接ビードの酸化を抑制することが可能である。
また、上記溶接用トーチ20については、上述した非消耗式の溶接トーチ(TIG溶接用トーチ)を用いた場合に限らず、被溶接物S1,S2に対してプラズマアークを放出するプラズマアーク溶接用トーチや、MIG溶接用トーチなどの消耗式の溶接トーチなどを用いることが可能である。溶接用電源装置40についても、使用する溶接用トーチ20に合わせたものを使用すればよい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、上記アフターシールド治具1Aを用いて、平板状の被溶接物S1に対して突合せ溶接を行った。その溶接後の写真を図13に示す。
なお、実施例1では、被溶接物として、板厚4mmのSUS304からなる鋼板を用いた。また、プラズマガス(パイロットガス)として、アルゴンを用い、シールドガスとして、アルゴンを用いた。
図13に示すように、実施例1では、溶接ビートの酸化を抑えることができた。
(比較例1)
比較例1では、上記アフターシールド治具1Aを構成するノズル部2を1つのみとし、平板状の被溶接物S1に対して突合せ溶接を行った。その溶接後の写真を図14に示す。なお、それ以外の溶接条件については、実施例1と同様である。
図14に示すように、比較例1では、溶接ビートの酸化を十分に抑えることができなかった。
(比較例2)
比較例2では、上記アフターシールド治具1Aを省略し、平板状の被溶接物S1に対して突合せ溶接を行った。その溶接後の写真を図15に示す。なお、それ以外の溶接条件については、実施例1と同様である。
図15に示すように、比較例2では、溶接ビートの酸化を抑えることができなかった。
1A,1B,1C…アフターシールド治具 2…ノズル部 3A,3B,3C…支持機構 4A,4B,4C…取付機構 5…トーチノズル 6…コレットボディ 7…ガスホース 8…保持部 9…回動支持部 9a…回転軸 10…スライド支持部 10a…鉛直ロッド 10b…水平ロッド 10c…ジョイント部 11…取付リング 12…締結ネジ 13…回転ローラ 14…回動ドラム 14a…ドラム本体 14b…保持孔 14c…回転軸 14d…締結ネジ 15…連結部 15a…連結アーム 16…鉛直ロッド 17…連結部 18…連結部材 18a…長孔 18b…締結ネジ 19…取付部材 19a…長孔 19b…締結ネジ 20…溶接用トーチ 21…非消耗電極 22…トーチノズル 30…ワイヤー送給装置 31…フィラーガイド 40…溶接用電源装置 50…アフターシールド治具 60…アフターシールドガス供給装置 70…制御装置 100…溶接システム S…被溶接物 S1…平板状の被溶接物 S2…円筒状の被溶接物

Claims (11)

  1. トーチノズルからシールドガスを放出しながら、被溶接物との間でアークを発生させることにより溶接を行う溶接用トーチの前記トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって、前記被溶接物の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出するアフターシールド治具であって、
    前記溶接線方向に対応して並んで配置される複数のノズル部と、
    前記複数のノズル部を互いに連結した状態で支持する支持機構と、
    前記支持機構を前記溶接用トーチに取り付ける取付機構とを備え、
    前記支持機構は、少なくとも前記ノズル部から前記被溶接物に向けて放出されるアフターシールドガスの向きと、前記ノズル部から前記被溶接物までの間隔とを前記ノズル部毎に変更自在な状態で、前記各ノズル部を支持していることを特徴とするアフターシールド治具。
  2. 前記支持機構は、前記各ノズル部を保持する複数の保持部と、
    前記アフターシールドガスの向きを変更する方向に対応して前記各保持部を回動自在に支持する複数の回動支持部と、
    前記被溶接物との間隔を変更する方向に対応して前記各保持部をスライド自在に支持する複数のスライド支持部とを有することを特徴とする請求項1に記載のアフターシールド治具。
  3. 前記支持機構は、前記各保持部に取り付けられた複数の回転ローラを有して、前記複数の回転ローラが前記被溶接物の面上で回転しながら、前記ノズル部から前記被溶接物までの間隔を一定に保つように、前記複数のスライド支持部が前記各保持部をスライド自在に支持することを特徴とする請求項2に記載のアフターシールド治具。
  4. 前記支持機構は、前記アフターシールドガスの向きを変更する方向に対応して前記各ノズル部を回動自在に保持する複数の回動ドラムを有して、
    互いに隣り合う前記回動ドラムの回動軸を連結部を介して連結することによって、互いに隣り合う一方の回動ドラムに対して他方の回動ドラムを周方向に周回自在に支持していることを特徴とする請求項1に記載のアフターシールド治具。
  5. 前記支持機構は、前記各ノズル部を保持する複数の保持部と、
    前記複数の保持部のうち、互いに隣り合う一方の保持部と他方の保持部とを連結する連結部とを有し、
    前記連結部は、長孔が設けられた連結部材を含み、前記長孔を通して締結ネジを前記一方の保持部と前記他方の保持部との何れか一方又は両方に設けられたネジ孔に締結する構造を有することを特徴とする請求項1に記載のアフターシールド治具。
  6. 前記ノズル部は、汎用の溶接用トーチにおいて使用されるトーチノズルを含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアフターシールド治具。
  7. トーチノズルからシールドガスを放出しながら、被溶接物との間でアークを発生させることにより溶接を行う溶接用トーチと、
    前記トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって、前記被溶接物の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出するアフターシールド治具と、
    前記溶接用トーチと溶接ケーブルを介して接続されて、前記溶接用トーチへの電力並びにシールドガスの供給を行う溶接用電源装置と、
    前記アフターシールド治具の各々のノズル部に対してアフターシールドガスを供給するアフターシールドガス供給装置とを備え、
    前記アフターシールド治具として、請求項1〜6の何れか一項に記載のアフターシールド治具を用いることを特徴とする溶接システム。
  8. 前記溶接用トーチに取り付けられるフィラーガイドを有して、前記フィラーガイドの先端から前記被溶接物の溶融池に向かってフィラーワイヤーを送給するワイヤー送給装置を備えることを特徴とする請求項7に記載の溶接システム。
  9. 前記複数のノズル部のうち、少なくとも前記溶接用トーチのトーチノズルに最も近いノズル部に対して、他のノズル部に供給されるアフターシールドガスよりも熱伝導性の高いアフターシールドガスを供給することを特徴とする請求項7又は8に記載の溶接システム。
  10. 前記複数のノズル部のうち、少なくとも前記溶接用トーチのトーチノズルに最も近いノズル部に供給されるアフターシールドガスの流速が、他のノズル部に供給されるアフターシールドガスの流速よりも高いことを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の溶接システム。
  11. トーチノズルからシールドガスを放出しながら、被溶接物との間でアークを発生させることにより溶接を行う溶接用トーチと、
    前記トーチノズルから溶接線方向の後方に向かって、前記被溶接物の溶接直後に形成される溶接ビードに対してアフターシールドガスを放出するアフターシールド治具と、
    前記溶接用トーチと溶接ケーブルを介して接続されて、前記溶接用トーチへの電力並びにシールドガスの供給を行う溶接用電源装置と、
    前記アフターシールド治具の各々のノズル部に対してアフターシールドガスを供給するアフターシールドガス供給装置とを備え、
    前記アフターシールド治具として、請求項2,3,5の何れか一項に記載のアフターシールド治具を用いる溶接システムであって、
    前記複数の保持部のうち、前記溶接用トーチのトーチノズルに最も近い保持部に汎用の溶接用トーチをトーチノズルと共に取り付けることによって、前記被溶接物との間で別々のアークを発生させながら溶接を行うことを特徴とする溶接システム。
JP2017094220A 2017-05-10 2017-05-10 アフターシールド治具及び溶接システム Active JP6940975B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017094220A JP6940975B2 (ja) 2017-05-10 2017-05-10 アフターシールド治具及び溶接システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017094220A JP6940975B2 (ja) 2017-05-10 2017-05-10 アフターシールド治具及び溶接システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018187664A JP2018187664A (ja) 2018-11-29
JP6940975B2 true JP6940975B2 (ja) 2021-09-29

Family

ID=64479070

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017094220A Active JP6940975B2 (ja) 2017-05-10 2017-05-10 アフターシールド治具及び溶接システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6940975B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7301296B2 (ja) * 2019-02-13 2023-07-03 株式会社ダイテック 材、溶接方法、及び溶接装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02114175U (ja) * 1989-03-02 1990-09-12
JPH0342377U (ja) * 1989-08-29 1991-04-22

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018187664A (ja) 2018-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9035221B2 (en) Tandem gas metal arc welding system
JP2009530112A (ja) 溶接のための装置及び方法
EP2042257A2 (en) Method for controlling weld quality
JP2013018047A (ja) 溶接用位置決め装置、溶接装置及び溶接方法
JP6940975B2 (ja) アフターシールド治具及び溶接システム
US20160121423A1 (en) Tig welding torch
JP6965470B1 (ja) 配管の自動溶接又は溶断装置
JP6149245B2 (ja) 溶接装置
KR101875337B1 (ko) 회동형 용접장치
WO2022158584A1 (ja) トーチ及びその走査方法
KR101473663B1 (ko) 티그 용접기용 용접토치
US20170355033A1 (en) Weld overlay system
JP6963699B1 (ja) トーチ及びその走査方法
KR101789918B1 (ko) 회동형 용접장치
KR101783120B1 (ko) 용접장치
JP2024004688A (ja) アフターシールド治具及び溶接装置
JP6763752B2 (ja) 溶接用トーチ及びワイヤー狙いガイド
JP2023096588A (ja) トーチ及びその走査方法
EP4338880A1 (en) Welding or additive manufacturing torch with shield gas screen
JP2003053541A (ja) ワイヤ送給装置、溶接装置及び溶接方法
KR20030006186A (ko) 원호 용접용 극소 협개선 미그 용접장치
JP6818172B1 (ja) 溶接用トーチ
JP7198067B2 (ja) 水平隅肉アーク溶接方法
US11712761B2 (en) Methods and apparatus of welding using electrodes with coaxial powder feed
JPH05237663A (ja) Tig溶接トーチ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200204

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20201106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6940975

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150