JP6913500B2 - 積層型圧電素子、および積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

積層型圧電素子、および積層型圧電素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層型圧電素子とその製造方法に関する。
圧電体は、粉体状の圧電材料を平板状に成形したものを焼結させたセラミックスである。そして、圧電素子は、圧電体の表裏両面に箔状の電極が形成された構造を基本としている。しかし、一枚の平板状の圧電体からなる単層型圧電素子では、圧電効果による変位や応力が小さい。もちろん、有効な圧電効果を得るために1枚の圧電体を厚くすることも考えられるが、圧電体を厚くすれば当然のことながら駆動電圧を高くする必要がある。そこで、単層型圧電素子を積層し、個々の単層型圧電素子の特性を積み重ねることができる積層型圧電素子が提案されている。そして、以下の特許文献1や2には、積層型圧電素子の構造や構成が記載されている。
特開2009−207254号公報 特開平7−193291号公報
従来の積層型圧電素子は、例えば、シート状に圧縮成形された圧電材料の表面に電極となる導電性ペーストを塗布したものを積層して得た積層体を焼成することで作製される。すなわち、層間に形成される内部電極を含めた積層型圧電素子が一体的な焼結体として作製される。しかし、導電性ペーストには、普通、融点が1100℃程度の銀ペーストを用いているため、積層体を低温で焼成する必要がある。低温で焼成すればセラミックとしての緻密性が低下し、圧電特性が低下する。圧電材料にガラスなどの添加物を加えて低温での焼成を可能にすることもできるが、圧電性に寄与しない添加物を加えれば、やはり、圧電特性が低下する。特にQmが低下する。例えば、進行波型超音波モーター(以下、超音波モーターとも言う)用の圧電素子には、高い比誘電率とともに高いQmが求められている。
また、積層型圧電素子では、外部に露出していない内部電極に駆動信号を印加する必要があるため、外部回路からの配線を内部電極に導通させる配線接続構造が必要となる。上記特許文献1に記載の発明では、積層体の側面に銀ペーストなどの導電性ペーストを塗布し、その導電性ペーストを内部電極の端面に接続させている。しかし、このような配線接続構造では導電性ペーストが剥離して断線が発生したり、不要な層間に導電性ペーストが流入して短絡が発生したりする可能性があった。また、圧電素子は、積層体の表面が絶縁されて製品として出荷される前に、導通試験などを行う必要がある。そして上記特許文献1に記載の圧電素子では、積層体の側面に導電性ペーストからなる外部電極が露出しており、試験者がその外部電極に触れる可能性もある。
さらに、超音波モーター用の圧電素子に用いられる積層型圧電素子では、円環状に一体成形された単層分の圧電素子が複数層分積層されてなり、各層の圧電素子は、圧電体の表面にA相、B相の駆動信号が印加される複数の扇状の分極領域に分割され、各分極領域にA相とB相の駆動信号を選択的に印加するためのステーター用電極が形成されている。また、裏面にはA相とB相に共通の円環状の接地用電極が形成されている。そして、ステーター用電極も内部電極として形成されている。そのため、積層型の圧電素子の側面に外部電極を形成する場合、A相とB相のステーター用電極が短絡しないように、導電性ペーストを、内部電極の形成位置に合わせて積層体の側面に精度良く塗布する工程が必要となる。そして、高い精度を要する工程は、積層型圧電素子の製造コストを増大させる。
また、特許文献2に記載の圧電素子は、所謂「ランジュバン振動子」であり、複数の円環状の単層型圧電素子が積層されて中空円筒状の積層体を構成し、その中空円筒状の積層体の中空部分にボルトの軸を挿入し、そのボルトをナットで締結することで積層型圧電素子を形成している。そのため、ボルトの頭部やナットが積層体の上層や下層から突出することになり、小型薄型化を達成することが難しい。もちろん、ボルトとナットが必要であり、部品コストも増大する。
そこで、本発明は、人が直接電極に接触する可能性を減少させるとともに、短絡が発生し難い配線接続構造と、小型薄型化に適した構造を備えた積層型圧電素子、およびこれらの構造を備えた積層型圧電素子の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、平板状の圧電体の表裏両面に電極が形成されてなる一層分の単層型圧電素子複数層積層さ、進行波型超音波モーターに用いられる積層型圧電素子であって、
前記単層型圧電素子は、円環状の平面形状を有し、表裏一方の面に扇状のステーター用電極と扇状の接地用電極とが平面形状に沿って配置され、表裏他方の面に前記平面形状に沿う円環状の接地用電極が形成され、
前記ステーター用電極、前記扇状の接地用電極、および前記円環状の接地用電極は、前記平面形状の外周と内周の周縁から間隙を有して配置され、
複数層分の前記単層型圧電素子は、同じ平面形状の電極が互いに対面するように上下方向に積層され、
各層の前記単層型圧電素子における所定の電極同士がビアを介して接続され、
各層の前記単層型圧電素子同士が絶縁性の接着剤によって接着されている、
ことを特徴とする積層型圧電素子としている。
本発明の範囲には、平板状の圧電体の表裏両面に電極が形成されてなる一層分の単層型圧電素子複数層積層さ、進行波型超音波モーターに用いられる積層型圧電素子の製造方法も含まれ、当該積層型圧電素子の製造方法に係る発明の一態様は、
圧電材料を含んで円環状の平面形状を有するグリーンシートを前記複数層分作製するグリーンシート作製ステップと、
作製した複数層分の前記グリーンシートについて、所定のグリーンシートの所定の位置に貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、
前記グリーンシートを焼成してセラミックスからなる圧電体を作製する圧電体焼成ステップと、
前記圧電体の表裏両面に電極を形成し、前記単層型圧電素子を作製する電極形成ステップと、
複数の前記単層型圧電素子を、前記貫通孔の位置を合わせて積層するとともに、層間を絶縁性の接着剤を用いて接着して積層体を作製する接着ステップと、
前記貫通孔に導電性ペーストを充填して、当該導電性ペーストを前記貫通孔の内面に焼き付けてビアを形成するビア形成ステップと、
前記圧電の表裏両面の電極間に電界を印加し、前記圧電体を分極させる分極ステップと、
を含み、
前記電極形成ステップでは、前記各層の前記単層型圧電素子における所定の電極同士がビアを介して接続されるように、前記圧電体の表裏一方の面に、円環状の前記平面形状に沿って扇状のステーター用電極と平扇状の接地用電極とを当該平面形状の外周と内周の周縁から間隙を設けて形成するとともに、前記圧電体の表裏他方の面に前記平面形状に沿う円環状の接地用電極を前記平面形状の外周と内周の周縁から間隙を設けて形成し、
前記接着ステップでは、複数層分の前記単層型圧電素子を、同じ平面形状の電極が互いに対面するように上下方向に積層する、
ことを特徴する積層型圧電素子の製造方法としている。
上記積層型圧電素子の製造方法において、
前記分極ステップを、前記接着ステップと前記ビア形成ステップの双方を実行した後に実行し、
当該分極ステップでは、前記ビアを介して前記単層型圧電素子の表裏に形成した前記電極間に電界を印加する、
ことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法とすればより好ましい。
本発明に係る積層型圧電素子によれば、人が電極に直接接触する可能性や、短絡の可能性を減少させ、小型薄型化を達成することができる。また、単層型圧電素子本発明に係る積層型圧電素子の製造方法によれば、小型薄型化が容易で、人が電極に直接接触する可能性や、短絡の可能性を減少させることができる積層型圧電素子を、より低コストで製造することができる。なお、その他効果については以下の記載で明らかにする。
本発明の一実施形態に係る積層型圧電素子の構造を示す図である。 上記実施形態に係る積層型圧電素子の分解斜視図である。 本発明の実施例に係る積層型圧電素子の製造方法を示す図である。 上記実施例に係る製造方法で作製した積層型圧電素子の断面を示す顕微鏡写真である。 本発明のその他の実施形態に係る積層型圧電素子の外観を示す図である。 上記その他の実施形態に係る積層型圧電素子の分解斜視図である。
本発明の実施形態について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===実施形態===
<圧電素子の構造>
本発明の実施形態として、進行波型超音波モーターに用いられる積層型圧電素子を挙げる。図1に、本実施形態に係る積層型圧電素子1の構造を示した。ここに示した積層型圧電素子1は、円環状の圧電体2の表裏両面に電極10が形成されてなる単層型圧電素子5を三層分積層させた構造を有している。そして、積層型圧電素子1を構成する単層型圧電素子5の積層方向を上下方向とすると、図1(A)は、積層型圧電素子1を上下一方の方向から見たときの外観を示す斜視図であり、図1(B)は、積層型圧電素子1を上下他方の方向から見たときの外観を示す斜視図である。ここでは、図1(A)を上方から見たときの斜視図として、便宜的に上下の各方向を規定した。また、図1(C)は積層型圧電素子1の断面を示す図である。
図1(A)に示したように、積層型圧電素子1の上面3には、円環を円周に沿って分割させてなる複数の扇状の電極10が形成されている。そして、各電極10にビア20が一つずつ形成されている。なお、図1(A)では、A相とB相のそれぞれの駆動信号が印加されるステーター用電極(11、12)が、斜線の向きが異なるハッチングで示されている。また、接地用電極13が編み目のハッチングで示されている。
図示したように、接地用電極13は、中心角θ1を有する扇状に形成されている。A相とB相のそれぞれのステーター用電極(以下、A相電極11、B相電極12とも言う)は、中心角θ2を有する扇状で、扇状の接地用電極(以下、扇状接地用電極13とも言う)の中心角θ1の等角二等分線に対して線対称となるようにA相電極11とB相電極12とが、それぞれ四つずつ形成されている。一方、本実施形態に係る積層型圧電素子1の下面4には、図1(B)に示したように、円環状の平面形状に沿う円環状の接地用電極(以下、円環状接地用電極14とも言う)が一つだけ形成されている。
図1(C)は、図1(A)、(B)におけるa−a矢視断面に相当し、積層型圧電素子1を、上下方向を含む面で切断したときの図である。そして、この図1(C)に示したように、積層型圧電素子1は、上方から下方に向かって、最上層の単層型圧電素子(以下、最上層圧電素子5aとも言う)、中間層の単層型圧電素子(以下、中間層圧電素子5bとも言う)、および最下層の単層型圧電素子(以下、最下層圧電素子5cとも言う)が、この順で積層されてなる。そして、積層型圧電素子1の上面3において、A相電極11、B相電極12、および扇状接地用電極13に形成されているビア(21、22,および23)は、それぞれ、各単層型圧電素子5における同じ種類の電極(11、12、および13)に接続されている。また、各単層型圧電素子5は、円環状接地用電極14と扇状接地用電極13とが圧電体2を介して表裏方向で接続されている。
なお、円環状接地用電極14は、ステーター用電極(11、12)に接続されるビア(21、22)に対して絶縁されている必要がある。そのため、円環状接地用電極14において、ステーター用電極(11、12)に接続されているビア(21、22)の周囲には間隙30が設けられている。そして、積層状態にある各単層型圧電素子5の層間(5a、5b、および5b、5c)が、上下方向のビア20の導通を妨げないように、絶縁性の接着剤40によって接着されている。
図2に、本実施例の積層型圧電素子1の分解斜視図を示した。ここでは積層型圧電素子1を単層型圧電素子5毎に分解して示した。図2(A)と、図2(B)は、最上層圧電素子5aを、上方から見た斜視図と、下方から見た斜視図とを示している。図2(C)と、図2(D)は、中間層圧電素子5bを、上方から見た斜視図と、下方から見た斜視図とを示している。そして、図2(E)と、図2(F)は、最下層圧電素子5cを、上方から見た斜視図と、下方から見た斜視図とを示している。
各層の単層型圧電素子(5a〜5c)は、表裏一方の面に扇状のA相電極11、B相電極12、および扇状接地用電極13が形成され、他方の面に円環状接地用電極14が形成されている。そして、上下方向で互いに対面する単層型圧電素子同士(5a、5b、および5b、5c)では、上下方向を法線とした面に対して対称となるように各電極(11〜14)が形成されている。また、各電極(11〜14)は、円環状の圧電体2の内外の周縁から離間して形成されている。
図2(A)〜図2(D)に示したように、最上層圧電素子5aと中間層圧電素子5bについては、A相電極11、B相電極12および扇状接地用電極13のそれぞれにビア(21〜23)が形成されており、図2(E)と(F)に示したように、最下層圧電素子5cについては、扇状接地用電極13に対応する位置にのみビア23が形成されている。
また、図2(B)と図2(C)に示したように、A相電極11あるいはB相電極12と円環状接地用電極14とが短絡しないように、中間層圧電素子5bの円環状接地用電極14については、A相電極11およびB相電極12に接続されるビア(21、22)の周囲に間隙30が形成されている。このようにして、上下方向で同じ領域に形成されているA相電極同士(11、11)、B相電極同士(12、12)、および扇状と円環状の接地用電極同士(13、13、または13、14、または14、14)が所定のビア(21、22,および23)を介して接続されている。そして、各単層型圧電素子同士(5a、5b、および5b、5c)を接着する絶縁性接着剤40は、ビア(21〜23)が形成されていない領域に介在している。
以上の構成を備えた本実施形態に係る積層型圧電素子1では、外部回路からの配線を、ビア(21〜23)を介して各電極(11〜15)に接続することができる。すなわち、圧電体2の側面に導電性ペーストを高い位置合わせ精度で塗布する必要がない。したがって、人が直接電極に接触したり、短絡が発生したりする可能性が極めて低い。しかも、圧電体2の側面に導電性ペーストからなる電極が無いことに加え、電極(11〜14)が、円環状の各単層型圧電素子5における内外の周縁から離間して形成されているため、電極(11〜14)のエッジが圧電体2の周縁に露出せず、人が直接電極に接触することを、より確実に防止できるようになっている。そして、各層の単層型圧電素子同士(5a、5bおよび5b、5c)が接着剤によって接着されていることで積層体の形状が維持されている。そのため、積層体の形状を維持するためのボルトやナットなどが不要となり、小型薄型化が可能となる。もちろん、ボルトやナットに掛かる部品コストも削減でき、積層型圧電素子を安価に提供することができる。
===積層型圧電素子の製造方法===
次に、上記実施形態に係る積層型圧電素子の製造方法を本発明の実施例として挙げる。本実施例に係る積層型圧電素子の製造方法は、周知のグリーンシート法を用いてセラミックスを作製する手順を基本としている。図3に積層型圧電素子1の作製手順を示した。まず、周知のドクターブレード法などを用い、粉体状の圧電体を含むスラリー状の圧電体材料を塗工してシート状にしたものを円環状に型抜きする。そして、その円環状のスラリーを乾燥させることで、円環状のグリーンシートを作製する(s1)。ここでは3枚の円環状のグリーンシートを作製する。次に、各円環状のグリーンシートのそれぞれについて、所定の位置にビア(21〜23)となる貫通孔を、パンチングマシーンなどを用いて形成し(s2)、その適所に貫通孔が形成されたグリーンシートを焼成し、焼結体である圧電体2を得る(s3)。なお、必要に応じ、圧電体を研磨するなどして、圧電体を所定の厚さに調整してもよい。
次に、上記の手順で作製した円環状の圧電体の表面と裏面に図2に示した配置と形状の各種電極(11〜14)を形成する。具体的には、スクリーン印刷法により、圧電体の表面と裏面に選択的に所定の形状となるように銀ペーストを印刷する(s4)。すなわち、図2に示した、最上層、中間層、および最下層の各層の単層型圧電素子(5a〜5c)における各電極(11〜14)の形状と配置に応じ、圧電体2の上面と下面に、所定の平面形状の銀ペーストが所定の位置に配置されるように印刷する。そして、銀ペーストが印刷された圧電体2を熱処理して銀ペーストを圧電体2の表層に焼き付け、電極(11〜14)を形成する(s5)。この時点で、分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)が完成する
各層に対応する分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)が完成したならば、その単層型圧電素子(5a〜5c)を積層し、層間を絶縁性の接着剤40を用いて接着する(s6)。ここでは、低粘度で、硬化状態で振動を吸収しない程度の適度な硬度を持ち、剥離強度が高く、かつ絶縁性の接着剤であるエポキシ系接着剤を用いた。もちろん、接着剤は、ビア20の導通を妨げないように、ビア20の形成領域を避けて塗布される。なお、分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)を積層する際には、ビア20の位置を基準にして位置合わせを行うことができる。あるいは円環状のグリーンシートの状態にあるときに、位置合わせ用のマークなどを円環の内周や外周の縁端面に刻んでおいてもよい。なお、位置合わせマークを設けておけば、積層工程の自動化がより容易となる。
分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)を積層したならば、ビア(21〜23)となる貫通孔に銀ペーストをスクリーン印刷法により、あるいはディスペンサを用いて充填し、分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)における電極(11〜14)と同様にして熱処理することで、貫通孔に充填した銀-ペーストを焼き付け、ビア(21〜23)を形成する(s7)。このようにして、分極前の積層型圧電素子1が完成する。そして、分極前の積層型圧電素子1を構成する各層の分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)を分極し(s8)、超音波モーター用の積層型圧電素子1を完成させる。分極の手順としては、例えば、分極前の積層型圧電素子1を所定の温度(例えば、100℃)のシリコンオイル中に浸漬するとともに、各ビア20にピンを立て、そのピンを介して各単層型圧電素子(5a〜5c)における表裏の電極間に所定の強度の電界(例えば、2kV/mm)を所定時間(例えば、15min)印加する。
図4に、上記実施例に係る製造方法で作製した積層型圧電素子1の断面の顕微鏡写真を示した。この図4に示したように、上下方向に三つの単層型圧電素子(5a〜5c)が積層されている。なお、図中では、各単層型圧電素子(5a〜5c)のステーター用電極(11、12)に接続されるビア(21、22)が示されている。
本実施例に係る積層型圧電素子の製造方法では、柔らかいグリーンシートの状態で最終的にビア(21〜23)となる貫通孔を形成している。そのため、安価なパンチングマシーンを用いて孔を容易に形成することができる。なお、焼成後の圧電体2に孔を開けることも可能であるが、焼成後の堅いセラミックスからなる圧電体2にビア(21〜23)となる孔を形成すると、孔の周囲が割れたり欠けたりすることがある。また、レーザー光を用いた孔開け装置を用いて耐熱性の高いセラミックスに孔を開ける場合では、高出力のレーザー光を照射できる孔開け装置が必要であり、製造設備に掛かるコストを増大させる。高出力のレーザー光を照射することで、孔の周囲が熱で変性したり焦げたりする可能性もある。さらに、本実施例に係る積層型圧電素子の製造方法では、単層型圧電素子(5a〜5c)を個別に分極する必要がなく、積層型圧電素子1を構成する複数の単層型圧電素子(5a〜5c)を一括して分極することができる。そのため、工数が削減し、製造コストを低減させることが可能となる。
===特性評価===
次に、上記実施形態に係る積層型圧電素子1の特性を評価するために、図1、図2に示した本発明の実施形態に係る積層型圧電素子1をサンプルとして作製した。また、実施形態に係るサンプルに対する特性比較用のサンプルとして、一つの単層型圧電素子のみからなる圧電素子も作製した。実施形態に係る積層型圧電素子1に対応するサンプルは、圧電体2の厚さが0.1mmの単層型圧電素子(5a〜5c)を3枚積層させてなる。また、特性比較用のサンプルは、圧電体の厚さが0.3mmである。さらに、実施形態に対応するサンプルとして、上述した製造方法に従って、分極前の積層型圧電素子1を分極させたサンプルと、各単層型圧電素子(5a〜5c)を分極させた後、その分極後の単層型圧電素子(5a〜5c)を積層することで作製したサンプルとを用意した。そして、それぞれのサンプルの圧電特性を調べた。ここでは、図1に示した積層型圧電素子1の上面3に形成されている一つのステーター用電極(11または12)に形成されているビア(21または22)と、扇状接地用電極13との間にインピーダンスアナライザの探針を接続し、一つのステーター用電極(11または12)に対応する分極領域についての、共振抵抗(Ω)、静電容量(nF)、および誘電損失(%)を測定した。なお静電容量と誘電損失については1kHzで測定したときの特性を採用した。
以下の表1に各サンプルの圧電特性を示した。
Figure 0006913500
表1に示したように、本実施例の積層型圧電素子に対応するサンプル1と2は、分極の手順が異なるものの、同様の共振抵抗、静電容量、および誘電損失を示した。一方、単層型圧電素子からなるサンプル3では、実質的な圧電体の厚さがサンプル1および2と同じであるものの、共振抵抗がサンプル1と2に対し2.5以上となった。また、静電容量と誘電損失はサンプル1および2と同等であった。以上より、本発明の実施例に係る圧電素子は、優れた圧電特性を有するものであることが確認できた。
===その他の実施例===
上記実施例に係る積層型圧電素子の製造方法では、単層型圧電素子(5a〜5c)を積層させてから分極工程(s8)を実施することで、三層分の単層型圧電素子を一括して分極でき、製造コストに優れた製造方法であると言える。もちろん、上記表1に示したサンプル1のように、単層型圧電素子(5a〜5c)の状態で分極し、分極後の単層型圧電素子(5a〜5c)を積層してもよい。
また、ビア20の形成手順についても上記製造方法に限らない。例えば、単層型圧電素子(5a〜5c)に電極(11〜14)となる銀ペーストを印刷する際、その銀ペーストが貫通孔に充填されるようにしてもよい。そして、分極前の単層型圧電素子(5a〜5c)を熱処理して電極(11〜14)となる銀ペーストとビア(21〜23)となる銀ペーストを同時に焼き付けてもよい。
積層型圧電素子1におけるビア(21〜23)の形成位置は、電極(11〜14)の形成領域内であればどこでもよいが、上記実施形態は、超音波モーター用の積層型圧電素子1であり、円環状の圧電体2では、振幅が外周側より内周側の方が小さくなることを考慮して円環状の圧電体2の内周側に設けている。
超音波モーター用の積層型圧電素子1では、ステーター用電極(11、12)を用いて圧電体2を分極するため、圧電体2には、上下方向から見て、複数の扇状の分極領域が形成されることになる。しかし、各分極領域には、A相とB相のいずれかの駆動信号が印加される。そこで、A相あるいはB相の駆動信号が印加されるステーター電極同士(11、11または12、12)をあらかじめ電気的に接続しておけば、ビア(21、22)は必要最小限の数で済む。
図5に、本発明のその他の実施例に係る積層型圧電素子101として、必要最小限の数のビア(21〜23)を備えた積層型圧電素子1の外観を示した。図5(A)は当該積層型圧電素子101を上方から見たときの斜視図であり、図5(B)は、積層型圧電素子101を下方から見たときの斜視図である。図5(A)に示したように、積層型圧電素子101の上面3には、ビア20が3個だけ形成されている。具体的には、4箇所に形成されているA相電極11のうちの一つと、4箇所に形成されているB相電極のうちの一つ、および扇状接地用電極13のそれぞれの形成領域にビア(21、22、および23)が形成されている。なお、図5(B)に示したように、積層型圧電素子101の下面4には円環状接地用電極14が形成されており、当該下面4には、先に図1に示した積層型圧電素子1と同様に、上面3の扇状接地用電極13と接続するビア23が形成されている。
図6に、図5に示した積層型圧電素子101を単層型圧電素子(5a〜5c)毎に分解した図を示した。図6(A)と、図6(B)は、最上層圧電素子5aを上方から見た斜視図と、下方から見た斜視図とを示している。図6(C)と、図6(D)は、中間層圧電素子5bを上方から見た斜視図と、下方から見た斜視図とを示している。そして、図6(E)と、図6(F)は、最下層圧電素子5cを上方から見た斜視図と下方から見た斜視図とを示している。
図6(A)〜(F)に示したように、ビア(21〜23)は三箇所にのみ形成されている。そして、図6(D)に示したように中間層圧電素子5bの下面に形成されているステーター用電極(11、12)において、A相あるいはB相の駆動信号が印加される電極同士(11、11および12、12)が、これらの電極(11、12)とは別に形成された配線用電極15で接続されている。この例では、焼き付け済みのステーター用電極(11、12)の表層に金属薄膜からなる配線用電極15が形成されている。なお、このような配線用電極15は、例えば、スパッタリングや蒸着などの方法によって形成することができる。もちろん、形成済みのステーター用電極(11、12)の表層に銀ペーストを再度塗布してもよい。ステーター用電極(11、12)となる銀ペーストを圧電体2に印刷する工程(図3、s4)において、配線用電極15も同時に印刷することもできる。すなわち、上下方向から見たときに、銀ペーストが、図6(D)に示したステーター用電極(11、12)と配線用電極15とを結合した平面形状となるように印刷することもできる。
なお、上記実施例に係る積層形圧電素子の製造方法では、ステーター用電極(11、12)や接地用電極(13、14)を、銀ペーストなどの導電性ペーストを印刷することで形成していたが、スパッタリングや蒸着などの方法によって形成してもよい。
なお、当然のことながら、本発明の実施形態に係る積層圧電素子は、上記の超音波モーター用のものに限らない。例えば、各種アクチュエータや振動子などの能動素子、あるいは振動センサーや変位センサーなどの受動素子など、あらゆる圧電素子の用途に適用することができる。
1,101 積層型圧電素子、2 圧電体、3 積層型圧電素子の上面、
4 積層型圧電素子の下面、5,5a〜5c 単層型圧電素子、10,電極、
11,12 ステーター用電極、13,14 接地用電極、15 配線用電極、
20〜23 ビア、40 接着剤

Claims (3)

  1. 平板状の圧電体の表裏両面に電極が形成されてなる一層分の単層型圧電素子複数層積層さ、進行波型超音波モーターに用いられる積層型圧電素子であって、
    前記単層型圧電素子は、円環状の平面形状を有し、表裏一方の面に扇状のステーター用電極と扇状の接地用電極とが平面形状に沿って配置され、表裏他方の面に前記平面形状に沿う円環状の接地用電極が形成され、
    前記ステーター用電極、前記扇状の接地用電極、および前記円環状の接地用電極は、前記平面形状の外周と内周の周縁から間隙を有して配置され、
    複数層分の前記単層型圧電素子は、同じ平面形状の電極が互いに対面するように上下方向に積層され、
    各層の前記単層型圧電素子における所定の電極同士がビアを介して接続され、
    各層の前記単層型圧電素子同士が絶縁性の接着剤によって接着されている、
    ことを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 平板状の圧電体の表裏両面に電極が形成されてなる一層分の単層型圧電素子複数層積層さ、進行波型超音波モーターに用いられる積層型圧電素子の製造方法であって、
    圧電材料を含んで円環状の平面形状を有するグリーンシートを前記複数層分作製するグリーンシート作製ステップと、
    作製した複数層分の前記グリーンシートについて、所定のグリーンシートの所定の位置に貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、
    前記グリーンシートを焼成してセラミックスからなる圧電体を作製する圧電体焼成ステップと、
    前記圧電体の表裏両面に電極を形成し、前記単層型圧電素子を作製する電極形成ステップと、
    複数の前記単層型圧電素子を、前記貫通孔の位置を合わせて積層するとともに、層間を絶縁性の接着剤を用いて接着して積層体を作製する接着ステップと、
    前記貫通孔に導電性ペーストを充填して、当該導電性ペーストを前記貫通孔の内面に焼き付けてビアを形成するビア形成ステップと、
    前記圧電の表裏両面の電極間に電界を印加し、前記圧電体を分極させる分極ステップと、
    を含み、
    前記電極形成ステップでは、前記各層の前記単層型圧電素子における所定の電極同士がビアを介して接続されるように、前記圧電体の表裏一方の面に、円環状の前記平面形状に沿って扇状のステーター用電極と平扇状の接地用電極とを当該平面形状の外周と内周の周縁から間隙を設けて形成するとともに、前記圧電体の表裏他方の面に前記平面形状に沿う円環状の接地用電極を前記平面形状の外周と内周の周縁から間隙を設けて形成し、
    前記接着ステップでは、複数層分の前記単層型圧電素子を、同じ平面形状の電極が互いに対面するように上下方向に積層する、
    ことを特徴する積層型圧電素子の製造方法。
  3. 請求項に記載の積層型圧電素子の製造方法において、
    前記分極ステップを、前記接着ステップと前記ビア形成ステップの双方を実行した後に実行し、
    当該分極ステップでは、前記ビアを介して前記単層型圧電素子の表裏に形成した前記電極間に電界を印加する、
    ことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
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