JP6913470B2 - 既存建物の床高さ変更方法 - Google Patents
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既存建物の内部に前記既存躯体から独立した支持用躯体を構築する支持用躯体構築工程と、
既存建物の床高さ変更エリアにおいて前記既存床構造部を前記既存躯体から切り離して高さ方向で移動させ、その既存床構造部を移動後の高さで前記支持用躯体に支持させる床構造部移動工程と、を備え、
前記床構造部移動工程において、前記既存床構造部を、前記床高さ変更エリアの中央側の既存柱が接続された状態のままで、前記既存柱ごと、前記既存躯体から切り離して高さ方向で移動させる点にある。
更に、本構成によれば、移動対象とする既存床構造部を既存柱の存在に制限されずに選定することが可能となり、既存建物の床高さ変更エリアの選択範囲を広げることができる。更に、移動対象とする既存床構造部に接続された既存柱を利用して支持用躯体を構築することも可能となり、更なる工期の短縮や工費の削減を図ることができる。
また、元の高さで残された既存屋根構造部は、既存床構造部及び支持用躯体から独立した状態で既存躯体に支持させるので、既存屋根構造部を含む既存建物の全体構成は極力維持しながら、移動対象とする既存床構造部を高さ方向で移動させて、既存建物の床の高さを変更することができる。
〔第1実施形態〕
図1は床高さ変更前の既存建物Tの一部を示している。同図1に示すように、既存建物Tは、既存躯体Kを構成する複数本の既存柱10どうしの間に既存床構造部20が架設された構造となっている。
この支持用躯体構築工程では、図2に示すように、既存建物Tの床高さ変更エリアPにおいて、既存建物Tの内部に既存躯体Kから独立した支持用躯体30を構築する。
支持用躯体30は、床高さ変更エリアPに対応する移動対象の既存床構造部20における外周側等の適所の下方に、既存躯体Kに接合しない状態で構築する。支持用躯体30は、高さ変更後の構造変更等を加味した状態で既存床構造部20を適切に支持可能な構造とし、その上端部の高さは、高さ変更後の既存床構造部20を接合して支持可能な高さh1に設定する。
なお、新設基礎部40は、独立基礎や連続基礎、ベタ基礎、杭基礎等の各種の構造を適宜に採用することができる。
支持用躯体構築工程に続く床構造部移動工程では、図3〜図5に示すように、既存床構造部20を、既存躯体Kを構成する既存柱10から切り離して高さ方向で移動させ、移動後の高さで支持用躯体30に支持させる。
そして、その支持状態で、既存床構造部20の外周部と既存柱10との接合部分を切断し、既存躯体Kから既存床構造部20を切り離す。
しかも、床の高さ変更部分を既存躯体Kから独立した支持用躯体30に固定するので、床の高さ変更が既存躯体Kの構造バランスに悪影響を与えるのを抑制することができる。また、支持用躯体30を既存基礎部から独立した新設基礎部40に支持させるので、床の高さ変更が既存躯体の構造バランスに悪影響を与えるのを一層抑制することができる。
したがって、床の高さ変更部分の設計自由度を実現することができ、既存建物Tの用途等の変更に広範囲に対応することができる。
前述の第1実施形態では、既存建物Tにおける一つの階の床の高さを変更する場合を例に示したが、既存建物Tにおける既存柱10にて接続された複数階分の床の高さを変更することもできる。
この第2実施形態では、図6〜図9に示すように、既存建物Tにおける図中の左右中央側の既存柱10Aで接続された複数階分(本例では二階分)の床の高さを変更する。以下、床高さ変更方法の第2実施形態の各工程について説明を加える。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同符号を記す等により、その説明は省略する。
この支持用躯体構築工程では、図6に示すように、既存建物Tの床高さ変更エリアPにおいて、既存建物Tの内部に既存躯体Kから独立した支持用躯体30を構築する。
支持用躯体30は、床高さ変更エリアPの外周側等の適所において、下階側の既存床構造部20Aの下方、及び、上階側の既存床構造部20Bと下階側の既存床構造部20Aとの間に構築する。
また、上階側の既存床構造部20Bと下階側の既存床構造部20Aとの間に構築する支持用躯体30Bは、下階側の既存床構造部20Aを反力支点として、高さ変更後の構造変更等を加味した状態で上階側の既存床構造部20Bを適切に支持可能な構造とし、その下端部を下階側の既存床構造部20Aに適宜の接合手段で接合し、その上端部を上階側の既存床構造部20Bに適宜の接合手段で接合する。
支持用躯体構築工程に続く床構造部移動工程では、図7〜図8に示すように、既存柱10Aで接続された複数階分の既存床構造部20を、中央側の既存柱10Aで接続したままで、既存躯体Kを構成する外周側の既存柱10B、及び、上方に位置する既存屋根構造部60から切り離して高さ方向で移動させ、移動後の高さで支持用躯体30に支持させる。
このとき、各既存床構造部20は、既存柱10Aが接続された状態のままで、既存柱10Bだけでなく、それの上方に位置する既存屋根構造部60からも切り離して移動されることになる。
そして、下階側の既存床構造部20Aよりも下階側の床等を反力支点とし、ジャッキ52の揚力を仮設支柱51を通じて下階側の既存床構造部20Aに作用させる状態で、複数階分の既存床構造部20を下方から支持する。
この床高さ変更方法によれば、既存建物Tの複数階分の既存床構造部20の高さ方向での移動を纏めて一括で行うので、既存建物Tの複数階分の床の高さの変更を短工期で実現することができる。
(1)前述の各実施形態では、支持用躯体構築工程において、既存基礎部から独立し新設基礎部40を構築する場合を例に示したが、新設基礎部40を構築するか否かは、床高さ変更部分の設計に応じて適宜に選択することができる。
20 既存床構造部
30 支持用躯体
40 新設基礎部
60 既存屋根構造部
K 既存躯体
T 既存建物
Claims (3)
- 既存躯体に既存床構造部が架設されている既存建物の床高さ変更方法であって、
既存建物の内部に前記既存躯体から独立した支持用躯体を構築する支持用躯体構築工程と、
既存建物の床高さ変更エリアにおいて前記既存床構造部を前記既存躯体から切り離して高さ方向で移動させ、その既存床構造部を移動後の高さで前記支持用躯体に支持させる床構造部移動工程と、を備え、
前記床構造部移動工程において、前記既存床構造部を、前記床高さ変更エリアの中央側の既存柱が接続された状態のままで、前記既存柱ごと、前記既存躯体から切り離して高さ方向で移動させる既存建物の床高さ変更方法。 - 前記支持用躯体構築工程において、前記既存躯体を支持する既存基礎部から独立した状態で新設基礎部を構築し、その新設基礎部に前記支持用躯体を支持させる請求項1記載の既存建物の床高さ変更方法。
- 前記床構造部移動工程において、前記既存床構造部を、それの上方に位置する既存屋根構造部から切り離して高さ方向に移動させ、元の高さで残された前記既存屋根構造部を、前記既存床構造部及び前記支持用躯体から独立した状態で前記既存躯体に支持させる請求項1又は2記載の既存建物の床高さ変更方法。
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