JP6912997B2 - 含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、純度が高い含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を収率よく得られる製造方法を提供することを目的とする。
なお、本発明において、純度が高いとは、還元反応に由来する不純物(アミノ基がヒドロキシル基に置換されたもの)が少ないことを意味する。
含フッ素脂肪族アミド(A’)を還元して得られた含フッ素脂肪族アミン(A)において、還元剤としては、金属水素化物(例、水素化アルミニウム、水素化アルミニウムリチム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、シアノ水素化ホウ素リチウム、ジヒドロ−ビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウム等)、ボラン錯体(例えば、ボラン−THF錯体及びカテコールボラン等)、ジブチルアルミニウムヒドリド及びこれら金属水素化物とルイス酸(例えば、塩化アルミニウム、4塩化チタン、塩化コバルト及びボロントリフルオリド等)との混合物等が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、水素化ホウ素化合物(D)及びアルミニウム塩(E)の存在下で含フッ素脂肪族アミド(A’)を還元して得られたものが好ましい。
M(BH4)n (1)
一般式(1)において、Mはn価の陽イオンとなり得る金属又は原子団を表し、nは1〜3の整数を表す。
Mとしては、1価の陽イオンとなりうるもの{アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)、オニウム等}、2価の陽イオンとなりうるもの{アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)}、3価の陽イオンとなりうるもの{アルミニウム等}等が挙げられる。
オニウムとしては、アンモニウム、第四級アンモニウム(炭素数1〜24の炭化水素基を有するものが含まれ、具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム及びトリメチルベンジルアンモニウム等)、ホスホニウム(水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を有するものが含まれ、具体的には、テトラブチルホスホニウム及びテトラフェニルホスホニウ等)、スルホニウム(水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を有するものが含まれ、具体的には、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム及びトリフェニルスルホニウム等)等が挙げられる。
Mとしては、反応性及び反応後の精製のしやすさの観点から、ナトリウムが好ましい。
(D)としては、反応性及び反応後の精製のしやすさの観点から、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
(D)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)としては、反応性及び(E)の安定性の観点から、塩化アルミニウムが好ましい。
(E)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
通常のアミド化合物の還元反応においては、(D):(E)が9:3で用いられるが、上記範囲とすることにより、含フッ素脂肪族アミドを反応率高く安全に還元することができ、純度の高い含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を得ることができるので好ましい。
なお、(D)を9モルに対して(E)が4モル以上であると、還元反応の反応率が高く好ましい。また、(D)を9モルに対して(E)が10モル以下であると、反応後のクエンチ工程で余剰の(E)から大量の水素が発生して危険な作業をする必要がない。また、反応液が酸性に偏ることなく、生成した含フッ素脂肪族アミンが反応溶媒に溶解し、還元剤及びろ過残渣から分離するのが容易である。
NH2CO−Rf−CONH2 (2)
一般式(2)中、Rfはエーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロ直鎖アルキレン基又はエーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロ分岐アルキレン基を表す。
NH2CO−(CF2)r−CONH2 (3)
一般式(3)中、rは1〜20の整数を表す。
アミド化合物の還元反応においては、(D)と(A’)中のアミド基とのモル比は3/4{9/12}で行われるのが通常であるが、上記範囲とすることで、より反応率が高く、フッ素が脱離したもの等の不純物が少なく、高純度の含フッ素脂肪族アミンを得ることができるので好ましい。
エーテル溶媒としては、炭素数4〜8のエーテル化合物が含まれ、具体的には、非環状エーテル溶媒{ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテル等}及び環状エーテル溶媒{1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフラン等}等が挙げられる。
エーテル溶媒としては、(A’)の溶解性及び高沸点の観点から、非環状エーテル溶媒が好ましく、さらに好ましくはジエチレングリコールジメチルエーテルである。
(1)反応容器に水素化ホウ素化合物(D)、アルミニウム塩(E)、含フッ素脂肪族アミド(A’)及びエーテル溶媒を添加して反応溶液とし、25〜100℃、攪拌下、(A’)の還元反応を行う。
(2)(A’)の還元反応開始から5〜50時間後、水を加え、還元反応を終了させ、さらにアルカリ性の水溶液を加えpHを6〜10に調整する。
反応の終了及びpH調整には、一般的なアルカリ性の水溶液が用いられるが、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である。水酸化ナトリウム水溶液を用いると、生成した含フッ素脂肪族アミン(A)を完全にフリーアミンとすることができ、エーテル溶媒に対して溶解度が高くなり、完全に溶解させることができるので好ましい。
NH2−CH2−Rf−CH2−NH2 (4)
一般式(4)中、Rfはエーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロ直鎖アルキレン基又はエーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロ分岐アルキレン基を表す。
NH2−CH2−(CF2)r−CH2−NH2 (5)
一般式(5)中、rは1〜20の整数を表す。
本発明において、含フッ素脂肪族アミン(A)を他の塩(フッ化塩、硝酸塩、炭酸塩及び硫酸塩等)でなく、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩とするのは、経時安定性に優れていること、イソシアネート化する際に塩置換することなくホスゲン化することができることから好ましいためである。
また、塩化水素を用いて含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を製造するのは、目的の塩と同種のイオン(塩化物イオン)を用いることで、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の溶解性を効率よく変化させることができるためである。したがって、本発明においては、塩化水素の濃度を調整することにより、還元反応に由来する不純物(アミノ基がヒドロキシル基に置換されたもの)等のわずかな溶解度の差しかない不純物を効率よく除くことができ、純度が高く、収率よく含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を製造することができる。
工程(1)において、(X)の作製直後における溶液(X)中の(B)の濃度は、溶液(X)の重量を基準として、1〜10重量%であるが、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度及び収率の観点から、好ましくは1.5〜8重量%である。
(B)の濃度が1重量%未満であると、収率高く含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を得ることができず、10重量%より多いと、純度の高い含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を得ることができない。
工程(1)において、(X)の作製直後における溶液(X)中の(A)の濃度は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度及び収率の観点から、溶液(X)の重量を基準として、1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜4.5重量%である。
なお、(X)の作製直後における溶液(X)中においては、(A)中のアミノ基と塩化水素とが塩を形成しておらず、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩とはなっていないとする。
エーテル溶媒としては、上述のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
高極性溶媒とは、SP値が8〜25の有機溶媒が含まれ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン及びアセトニトリル等が挙げられる。
なお、SP値はFedors法(Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14、No.2 P.147〜154)に記載の方法で算出される値である。
溶液(X)中の水の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(X)の重量を基準として、1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜20重量%である。
溶液(X)中のエーテル溶媒の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(X)の重量を基準として、10〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜95重量%である。
溶液(X)中の高極性溶媒の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(X)の重量を基準として、0〜60重量%が好ましい。
(X)の作製直後における溶液(X)中のモル分率により求める水及び有機溶媒の平均SP値は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、6〜20が好ましく、さらに好ましくは8〜18である。
工程(I)において、溶液(X)の温度が上記温度である時間は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の収率及び純度の観点から、工程(I)のうち80%以上の時間であり、さらに好ましくは90%以上の時間である。
工程(I)の時間のうち、はじめの20%が上記範囲外の温度(例えば40℃を超える温度)であっても、80%以上の時間において上記範囲内であれば、収率及び純度に大きな違いはない。
工程(I)において、(A){(A)中のアミノ基がアンモニウムクロライド基になっているものを含む}に(B)を作用させる時間は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の収率及び純度の観点から、10分間〜24時間が好ましく、さらに好ましくは15分間〜24時間である。
固液分離の方法としては、ろ別、遠心分離等で沈殿させた後に上澄みをデカンテーションにより除去する等が挙げられる。
有機溶媒としては、SP値が8〜25の溶媒が含まれ、具体的にはアセトン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
有機溶媒としては、上述の通りであり、好ましいものも同様である。
溶液(F’)中の有機溶媒の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、(F’)の重量を基準として、40〜60重量%が好ましい。
溶液(F’)中の水の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、(F’)の重量を基準として、40〜60重量%が好ましい。
なお、(F)中に溶解することにより、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(C)は、含フッ素脂肪族アミン(A)と塩化水素(B)とに解離しているとする。
高極性溶媒とは、SP値が8〜15の有機溶媒が含まれ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テロラヒドロフラン、アセトン及びアセトニトリル等が挙げられる。
溶液(G)中の水の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(G)の重量を基準として、35〜95重量%が好ましい。
溶液(G)中の高極性溶媒の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(G)の重量を基準として、0〜50重量%が好ましい。
溶液(G)中の塩化水素(B)の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度及び収率の観点から、(G)の重量を基準として、5〜15重量%が好ましい。
工程(II)において、溶液(H)の温度が上記温度である時間は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の収率及び純度の観点から、工程(II)のうち80%以上の時間であり、さらに好ましくは90%以上の時間である。
工程(II)の時間のうち、はじめの20%が上記範囲外の温度(例えば40℃を超える温度)であっても、80%以上の時間において上記範囲内であれば、収率及び純度に大きな違いはない。
工程(II)において、(A){(A)中のアミノ基がアンモニウムクロライド基になっているものを含む}に(B)を作用させる時間は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の収率及び純度の観点から、10分間〜24時間が好ましく、さらに好ましくは15分間〜24時間である。
溶液(F)と溶液(G)とを混合した直後の溶液(H)中の含フッ素脂肪族アミン(A)の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度及び収率の観点から、溶液(H)の重量を基準として、3〜20重量%が好ましい。
溶液(H)中の水の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(H)の重量を基準として、30〜85重量%が好ましい。
溶液(H)中の高極性溶媒の含有量は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、溶液(H)の重量を基準として、0〜50重量%が好ましい。
溶液(F)と溶液(G)とを混合した直後の溶液(H)中のモル分率により求める水及び有機溶媒の平均SP値は、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度の観点から、6〜20が好ましく、さらに好ましくは8〜18である。
なお、水溶液(F)と溶液(G)とを混合した直後の溶液(H)中においては、含フッ素脂肪族アミン(A)と塩化水素(B)とに解離しているとする。
また、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度及び収率の観点から、工程(II)の回数は、1〜5回が好ましい。
また、得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を用いれば、純度の高い含フッ素脂肪族アミン及び含フッ素脂肪族イソシアネートを得ることができる。
本発明の製造方法により得られる含フッ素脂肪族アミン塩酸塩は、不純物が少ないので、これを脱塩化水素して得られる含フッ素脂肪族アミンも純度が高い。
圧力は、化合物の熱安定性の観点から、10〜50torrが好ましく、さらに好ましくは10〜20torrである。
温度は、化合物の熱安定性の観点から、60〜120℃が好ましく、さらに好ましくは80〜100℃である。
含フッ素脂肪族イソシアネートは、純度が高いので、実験用だけでなく、医療用及び電子用として有用である。
<含フッ素脂肪族アミン(A1)を含有するろ過上澄み液(1)の製造>
ガラス製の容器に、ジエチレングリコールジメチルエーテル2100部を入れ、テトラヒドロホウ素ナトリウム170部(4.5モル部)とオクタフルオロヘキサンジアミド288部(和光純薬工業(株)製)(アミド基のモル数として2モル部)とを加え、全体が均一になるまで分散させた液(I)を作成した。また、別のガラス製の容器に、ジエチレングリコールジメチルエーテル2200部を入れ、ゆっくりと塩化アルミニウム300部(2.25モル部)を加え、全体が均一になるまで分散させた液(II)を作成した。液(I)に液(II)を、20〜30℃で発泡、発熱が激しくならない速度で滴下した。全量滴下後、65〜75℃に昇温し、20時間反応させた。
ついで、水140部を加えた後に、25%水酸化ナトリウム水溶液を580部投入し、pHを8.0に調整し、含フッ素脂肪族アミン反応液(1)を得た。含フッ素脂肪族アミン反応液(1)をろ紙(アドバンテックNo.2)でろ過し、固形分である無機塩等を取り除き、含フッ素脂肪族アミン(A1)としてオクタフルオロヘキサンジアミンを5.25重量%含有する5200部のろ過上澄み液(1)を得た。
<含フッ素脂肪族アミン(A2)を含有するろ過上澄み液(2)の製造>
製造例1において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて、「ドデカフルオロヘプタンジアミド388部(アミド基のモル数として2モル部)」を使用する以外は全て同様にして、含フッ素脂肪族アミン(A2)としてドデカフルオロヘプタンジアミンを6.86重量%含有するろ過上澄み液(2)を5300部得た。
<含フッ素脂肪族アミン(A1)を含有するろ過上澄み液(3)の製造>
製造例1の液(I)についてテトラヒドロホウ素ナトリウムを「170部(4.5モル部)」に代えて「85部(2.25モル部)」とし、液(II)において、塩化アルミニウムを「266部(2モル部)」に代えて「500部(3.75モル部)」とし、イオン交換水を「575部」に代えて「1415部」投入する以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン(A1)としてオクタフルオロヘキサンジアミンを4.50重量%含有するろ過上澄み液(3)を6000部得た。
<含フッ素脂肪族アミン(A3)を含有するろ過上澄み液(4)の製造>
製造例1において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて、「テトラフルオロブタンジアミド188部(アミド基のモル数として2モル部)」を使用する以外は全て同様にして、含フッ素脂肪族アミン(A3)としてテトラフルオロブタンジアミンを2.79重量%含有するろ過上澄み液(4)を5100部得た。
<含フッ素脂肪族アミン(A4)を含有するろ過上澄み液(5)の製造>
製造例1において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて、「ヘキサデカフルオロデカンジアミド588部(アミド基のモル数として2モル部)」を使用する以外は全て同様にして、含フッ素脂肪族アミン(A4)としてヘキサデカフルオロデカンジアミンを8.49重量%含有するろ過上澄み液(5)を5400部得た。
工程(I)として、製造例1で得た含フッ素脂肪族アミン(A1)としてオクタフルオロヘキサンジアミンを含有する20℃のろ過上澄み液(1)5200部に、20℃のイソプロパノールを3400部と20℃の35重量%塩化水素水溶液700部(6.8モル部)を加えて、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を析出させるために恒温機で20℃に温調した。1時間後、析出してきた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(C1)をろ紙(アドバンテックNo.2)でろ取し、アセトン1000部で洗浄し、回収し、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(1)を260部得た。
得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(1)の純度をガスクロマトグラフィーにより、下記測定法により測定した。また、得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(1)の量から、収率を算出した。結果を表1に示す。
工程(I)における収率(%)=(回収したアミン塩酸塩量/分子量)/(仕込んだ含フッ素脂肪族アミドのモル数)×100
実施例1において、工程(I)におけるろ過上澄み液の種類及び量、塩化水素水溶液の量、有機溶媒の種類及び量並びに溶液(X)の温調温度を表1に記載の通り変更する以外は同様にして実施し、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(2)〜(11)を得て、純度及び収率を算出した。結果を表1に示す。
装置:GC−2010(島津製作所製)
使用カラム:ZB−5 キャピラリーカラム(島津製作所製)
検出器:FID
注入量:0.5μL
気化室温度 :240℃
出器温度 :260℃
カラムオーブンプログラム:60℃で10分間ホールド後、20℃/minで250℃まで昇温後、250℃で11分間ホールド
キャリアガス:He
なお、出現したピーク物質の量は、単純面積百分率法により求めた。
実施例1において、工程(I)における塩化水素水溶液の量を表1に記載の通り変更する以外は同様にして実施し、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(1’)〜(2’)を得た。得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度を下記測定法により測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得た含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(1)100部を、工程(II)として、30℃のイオン交換水78部及びイソプロパノール722部に溶解後、25℃の35.5重量%の塩化水素溶液570部を添加し溶液(H)とし、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩を析出させるために25℃の恒温機に1時間放置後、析出した含フッ素脂肪族アミン塩酸塩をろ紙(アドバンテックNo.2)で回収し、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(12)を得た。得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度を上記測定法により測定した。また、得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(12)の量から、下記収率を算出した。結果を表2に示す。
工程(II)におけるアミン塩酸塩の収率(2)(%)=(実施例12で回収した含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の量/分子量)/(最初の工程(II)で仕込んだ含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の量/分子量)
全工程での収率(3)(%)=収率(1)×収率(2)/100
実施例12において、使用するアミン塩酸塩の種類及び量、イオン交換水の量、有機溶剤の種類及び量、溶液(H)の温調温度並びに塩化水素水溶液の量を表2に記載の通り変更する以外は同様にして実施し、含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(13)〜(26)を得て、得られた含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の純度及び収率を算出した。結果を表2に示す。
また、表2の結果から、工程(II)を行うことにより、収率はやや落ちるものの、さらに純度の高いアミン塩酸塩が得られることが分かる。
Claims (10)
- 含フッ素脂肪族アミン(A)、塩化水素(B)、有機溶媒及び水を含む溶液(X)中で、(A)に(B)を作用させて含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(C)を得る工程(I)を含む含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法であって、
溶液(X)の作製直後における溶液(X)中の(B)の濃度が、(X)の重量を基準として1〜10重量%であり、
含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(C)を固液分離し、(C)を有機溶媒及び水を含む溶液(F’)中に溶解した溶液(F)と、塩化水素(B)を含む溶液(G)とを混合して溶液(H)とし、(C)を沈殿させる工程(II)を含む含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。 - 溶液(X)の作製直後における溶液(X)中の含フッ素脂肪族アミン(A)のアミノ基と塩化水素(B)とのモル比{(A):(B)}が1:3〜1:25である請求項1に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 溶液(X)の作製直後における溶液(X)中のモル分率により求める水及び有機溶媒の平均SP値が6〜20である請求項1又は2に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 工程(I)のうち80%以上の時間において、溶液(X)の温度が10〜40℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 工程(II)を1〜5回行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 溶液(F)と溶液(G)とを混合した直後の溶液(H)中のモル分率により求める水及び有機溶媒の平均SP値が6〜20である請求項1〜5のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 溶液(F)と溶液(G)とを混合した直後の溶液(H)中の塩化水素(B)の濃度が、(H)の重量を基準として8〜20重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 溶液(F)と溶液(G)とを混合した直後の溶液(H)中の塩化水素(B)と含フッ素脂肪族アミン塩酸塩(C)に由来するアミノ基(−NH2)とのモル比{(B):(−NH2)}が5:1〜22:1である請求項1〜7のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
- 含フッ素脂肪族アミン(A)が下記一般式(5)で表される化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
NH2−CH2−(CF2)r−CH2−NH2 (5)
[一般式(5)において、rは1〜20の整数を表す。] - 含フッ素脂肪族アミン(A)が、水素化ホウ素化合物(D)及びアルミニウム塩(E)の存在下に含フッ素脂肪族アミド(A’)を還元して得た含フッ素脂肪族アミンである請求項1〜9のいずれか1項に記載の含フッ素脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。
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