JP6470591B2 - 含フッ素脂肪族アミンの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、反応率が高く、純度の高い含フッ素脂肪族アミンを得ることができる含フッ素脂肪族アミンの製造方法を提供することを目的とする。
NH 2 CO(CF 2 )rCONH 2 (3)
[一般式(3)において、rは1〜20の整数を表す。]
M(BH4)n (1)
一般式(1)において、Mはn価の陽イオンとなり得る金属又は原子団を表し、nは1〜3の整数を表す。
Mとしては、1価の陽イオンとなりうるもの{アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)、オニウム等}、2価の陽イオンとなりうるもの{アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)}、3価の陽イオンとなりうるもの{アルミニウム等}等が挙げられる。
オニウムとしては、アンモニウム、第四級アンモニウム(炭素数1〜24の炭化水素基を有するものが含まれ、具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等)、ホスホニウム(水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を有するものが含まれ、具体的には、テトラブチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等)、スルホニウム(水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を有するものが含まれ、具体的には、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム等)等が挙げられる。
Mとしては、反応性及び反応後の精製のしやすさの観点から、ナトリウムが好ましい。
(A)として、反応性及び反応後の精製のしやすさの観点から、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
(A)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)としては、反応性及び(B)の安定性の観点から、塩化アルミニウムが好ましい。
(B)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NH2CO−Rf−CONH2 (2)
一般式(2)中、Rfはエーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロ直鎖アルキレン基又はエーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロ分岐アルキレン基を表す。
NH2CO(CF2)rCONH2 (3)
一般式(3)中、rは1〜20の整数を表す。rは、反応性の観点から、好ましくはrが2〜10であり、さらに好ましくは2〜8である。
通常の還元反応においては、(A)/(B)が3/1で行われる。しかしながら、本発明においては、(A)を9モルに対して(B)が4モル未満であると、還元反応の反応率が急激に減少してしまう。また、(A)を9モルに対して(B)が10モルより多いと、反応後のクエンチ工程で余剰の(B)から大量の水素が発生し危険であり、また反応液が酸性に偏るため、生成した含フッ素脂肪族アミンが反応溶媒に溶解できずに析出し、還元剤及びろ過残渣から分離しにくい。
通常のアミド化合物の還元反応においては、(A)と(C)中のアミド基とのモル比は3/4で行われるのが通常であるが、本発明においては、上記範囲とすることで、より反応率が高く、フッ素が脱離したもの等の不純物が少なく、高純度の含フッ素脂肪族アミンを得ることができる。
エーテル溶媒としては、炭素数4〜8のエーテル化合物が含まれ、具体的には、非環状エーテル溶媒{ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等}及び環状エーテル溶媒{1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフラン等}等が挙げられる。
エーテル溶媒としては、(B)の触媒活性、溶解性及び高沸点の観点から、非環状エーテル溶媒が好ましく、さらに好ましくはジエチレングリコールジメチルエーテルである。
(1)反応容器に水素化ホウ素化合物(A)、アルミニウム塩(B)、含フッ素脂肪族アミド(C)及びエーテル溶媒を添加して反応溶液とし、25〜100℃、攪拌下、工程(I)を行う。
(2)工程(I)開始から5〜50時間反応させる。
ガラス製の容器に、ジエチレングリコールジメチルエーテル2100重量部を入れ、テトラヒドロホウ素ナトリウム170重量部(4.5モル部)とオクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)とを加え、全体が均一になるまで分散させた液(I)を作成した。また、別のガラス製の容器に、ジエチレングリコールジメチルエーテル2200重量部を入れ、ゆっくりと塩化アルミニウム266重量部(2モル部)を加え、全体が均一になるまで分散させた液(II)を作成した。液(I)に液(II)を、20〜30℃で発泡、発熱が激しくならない速度で滴下した。全量滴下後、65〜75℃に昇温し、20時間反応させ、含フッ素脂肪族アミン反応液(1)を得た。
実施例1の液(I)において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて、「ドデカフルオロオクタンジアミド388重量部(アミド基のモル数として2モル部)」を使用する以外は全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(2)を得た。
実施例1の液(I)において、テトラヒドロホウ素ナトリウムを「170重量部(4.5モル部)」に代えて「85重量部(2.25モル部)」とし、「オクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて「オクタフルオロヘキサンジアミド324重量部(アミド基のモル数として2.25モル部)」とし、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「133重量部(1モル部)」とする以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(3)を得た。
実施例1の液(I)において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて「オクタフルオロヘキサンジアミド252重量部(アミド基のモル数として1.75モル部)」とし、液(II)において、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「666重量部(5モル部)」とし、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「2200重量部」に代えて「5000重量部」とする以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(4)を得た。
実施例1の液(I)において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて「オクタフルオロヘキサンジアミド339.5重量部(アミド基のモル数として1.75モル部)」とし、液(II)において、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「666重量部(5モル部)」とし、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「2200重量部」に代えて「5000重量部」とする以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(5)を得た。
実施例1の液(II)において、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「200重量部(1.5モル部)」とする以外は、すべて同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(1’)を得た。
実施例1の液(II)において、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「999重量部(7.5モル部)」とし、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「2200重量部」に代えて「5000重量部」とする以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(2’)を得た。
実施例1の液(I)において、テトラヒドロホウ素ナトリウムを「170重量部(4.5モル部)」に代えて「340重量部(9モル部)」とし、実施例1の液(II)において、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「400重量部(3モル部)」とし、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「2200重量部」に代えて「5000重量部」とする以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(3’)を得た。
実施例1の液(II)において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて、「ドデカフルオロオクタンジアミド388重量部(アミド基のモル数として2モル部)」、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「200重量部(1.5モル部)」とする以外は、すべて同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(4’)を得た。
実施例1の液(II)において、「オクタフルオロヘキサンジアミド288重量部(アミド基のモル数として2モル部)」に代えて、「ドデカフルオロオクタンジアミド388重量部(アミド基のモル数として2モル部)」、塩化アルミニウムを「266重量部(2モル部)」に代えて「999重量部(7.5モル部)」とし、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「2200重量部」に代えて「5000重量部」とする以外は、全て同様にして含フッ素脂肪族アミン反応液(5’)を得た。
含フッ素脂肪族アミン反応液(1)〜(5)及び(1’)〜(5’)をそれぞれ約0.02gに、0.002gの水を加えて反応をクエンチさせた後、12M塩酸水溶液0.02gを加え、重DMSO約0.45gを加え、さらに、内部標準としてヘキサフルオロベンゼン(−162ppm)を加え、19F−NMR測定を行った。下記式から、反応率(%)を算出した。結果を表1に示す。
反応率(%)=アミン由来ピーク面積X/{(アミン由来ピーク面積X)+(アミド由来ピーク面積Y)
アミン由来ピーク面積X:−122.0ppm〜−122.6ppmのピーク面積
アミド由来ピーク面積Y:−122.6ppm〜−130.0ppmのピーク面積
<19F−NMRの測定条件>
機器:AL−300(日本電子株式会社製)
周波数:400MHz
含フッ素脂肪族アミン反応液(1)〜(5)及び(1’)〜(5’)のそれぞれ1重量部に、0.1重量部の25重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後に、ろ過(アドバンテック(株)製、No.2)して、固形分を取り除いたのち、反応液上澄み液をメタノールに1重量%になるように溶解させ、LC/MS分析を実施して、目的の含フッ素脂肪族アミンと分子量が18小さいF置換物との比から、不純物含量(重量%)を測定した。結果を表1に示す。
装置:LCMS−8030(島津製作所製)
移動相:
A:10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20(v/v%)
B:アセトニトリル
A/B=80/20(一定)
流速:0.2mL/min
カラム;InnertSustainC18(粒子径:2.0μm×内径:2.1mm×長さ100mm)(ジーエルサイエンス製)
分析モード:オクタフルオロヘキサンジアミドの還元時
SIM(+)261.00、243.00
ドデカフルオロオクタンジアミドの還元時
SIM(+)381.00、363.00
イオン源:ESI(±)
注入量:0.5μL
一方、(A)と(B)とのモル比が9:4〜9:10と本発明の範囲内である実施例1〜5においては、反応率が80%以上と極めて高く、不純物含量が1.3%以下と極めて低いことが分かる。したがって、本発明の製造方法は、反応率が高く、純度の高い含フッ素脂肪族アミンを得ることができることがわかる。
Claims (4)
- 水素化ホウ素化合物(A)及びアルミニウム塩(B)の存在下に含フッ素脂肪族アミド(C)を還元する工程(I)を含む含フッ素脂肪族アミンの製造方法であって、
含フッ素脂肪族アミド(C)が下記一般式(3)で表される化合物であり、
(A)と(B)とのモル比{(A):(B)}が9:4〜9:10である含フッ素脂肪族アミンの製造方法。
NH 2 CO(CF 2 )rCONH 2 (3)
[一般式(3)において、rは1〜20の整数を表す。] - 工程(I)が、エーテル溶媒中で水素化ホウ素化合物(A)及びアルミニウム塩(B)の存在下に含フッ素脂肪族アミド(C)を還元するものであり、反応溶液の温度が25〜100℃である請求項1に記載の含フッ素脂肪族アミンの製造方法。
- 工程(I)において、水素化ホウ素化合物(A)と含フッ素脂肪族アミド(C)中のアミド基とのモル比{(A)/(C)中のアミド基}が、9/3.5〜9/9である請求項1又は2に記載の含フッ素脂肪族アミンの製造方法。
- 工程(I)において、含フッ素脂肪族アミド(C)に水素化ホウ素化合物(A)及びアルミニウム塩(B)を作用させる時間が5〜50時間である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素脂肪族アミンの製造方法。
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