JP6912643B1 - 軟質材固定用の締結具 - Google Patents

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Abstract

【課題】デッキプレートのような基材に断熱材等の軟質材を固定するための締結具において、構造を簡単化しつつ締結強度と緩み止め効果とを向上させる。【解決手段】締結具は、ドリルねじ等の自己穿孔機能付きビスと、断熱材等の軟質材17に重なるワッシャー15とから成っている。ビスにおける頭部3の座面7は複数の稜線7aを有する多角形になっている一方、ワッシャー15には、ビスの角形座面7と嵌合する角形のテーパ状筒部16が形成されている。締結後にビスが緩むためには、ビスがワッシャー15に対して回転する必要があり、ビスが回転するためには、座面7の稜線7aによってワッシャー15を押し下げねばならないが、ワッシャー15は既に軟質材に食い込んでいるため、ワッシャー15を軟質材に更に食い込ませることはできない。すなわち、軟質材の弾性復元力によってビスの戻り回転が阻止される。よって、緩み止め効果が高い。【選択図】図2

Description

本願発明は、断熱材のように弾性に抗して圧縮変形する軟質材の固定に使用する締結具に関するものである。
建物などに圧縮変形する断熱材が使用されており、この断熱材は、建物の基材にビス及びワッシャーによって固定されていることが多い。例えば、建物の屋根部を構成するデッキプレート(折板)の上面に無機系や樹脂系の断熱材を配置して、この断熱材をワッシャー及びビスで固定することが行われている(例えば特許文献1)。或いは、木造住宅の内断熱構造として、断熱材をコンパネ材等の木製基材にビス及びワッシャーで固定することが行われている。
ワッシャーは金属板製である場合と特許文献1のように樹脂製である場合とがあるが、いずれにしても、ワッシャーの外径はビスの頭部の外径の数倍の大きさに設定されており、断熱材を広い面積で押さえ保持している。
基材が金属板製である場合は、ビスは先端にドリル部を形成したドリルねじが使用されていることが多く、基材が木製である場合は、ビスは先端を先窄まりに形成してねじ山を尖端から立ち上げた揉み切りタイプになっていることが多い(木製基材に固定するビスにおいても、基材の割れを防止するためビスの先端にドリル部を形成することは行われている。)。
特開昭60−159412号公報
建物や構造物において、断熱材等の軟質材(ワーク)をデッキプレート等の基材に固定した場合の問題として、締結後のビスの緩みが挙げられる。
緩みの原因は多々ある。例えば、風によって、軟質材が構造材から離反する方向に押されることが原因になっていることがある。風圧によって軟質材が弾性に抗して圧縮変形し、弾性復元力によって戻る、という動きを繰り返すことによってビスに振動が作用すると、ビスが加速度的に緩みやすくなってしまう。空調機器の振動が基材を伝ってビスに作用することによっても、緩みが発生することがある。
本願発明はこのような現状を背景に成されたものであり、軟質材の性質を利用して簡単な構造で緩みを防止できる締結具を提供せんとするものである。
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は締結具に関するもので、この締結具は、
ねじ山を設けた軸部の基端に頭部が形成されて前記軸部の先端には自己穿孔部が形成されたビスと、前記ビスの軸部が貫通する中心穴を有して軟質材に重なるワッシャーとから成り、
前記ビスにおける頭部の座面は前記軸部に向けて縮径したテーパ状に形成されている一方、前記ワッシャーは前記ビスにおける頭部の外径の数倍の外径であり、このワッシャーの中央部に、前記ビスにおける頭部の座面に重なるテーパ状筒部が形成されている」
という基本構成になっている。
そして、締結具は、上記基本構成において、
「前記ビスにおける頭部の座面は、複数の平面が稜線を介して繋がった断面多角形に形成されている一方、
前記ワッシャーのテーパ状筒部は、前記ビスにおける頭部の座面と面接触して重なるように前記ビスにおける頭部の座面と同じ角数の平面が谷線を介して連続的に繋がった多角形に形成されており
前記ビスのねじ込み終期に、前記ワッシャーは回転不能に保持されて前記軟質材が圧縮変形することにより、前記ビスにおける座面の稜線が前記ワッシャーのテーパ状筒部に当接したまま回転することが許容されている
という特徴を備えている。
請求項1の好適な展開例として、請求項2の発明では、
「前記ビスのねじ山には、当該ねじ山を全体的に又は部分的に分断する切欠き溝の群が周方向に分かれて複数条形成されている」
という構成になっている。
更に、請求項2の発明の好適な展開例として、請求項3では、
「前記ビスにおける切欠き溝の条数は、前記頭部における座面の角数及び前記ワッシャーにおけるテーパ状筒部の角数と一致している」
という構成になっている。
請求項4の発明は、請求項1と同じ基本構成において、
前記ビスにおける頭部の座面は、軸心側に凹んだ複数の凹面が稜線を介して繋がった断面多角形に形成されている一方、
前記ワッシャーのテーパ状筒部は、前記ビスにおける頭部の座面と面接触して重なるように前記ビスにおける頭部の座面と同じ角数の凸面が谷線を介して連続的に繋がった多角形に形成されており、
前記ビスのねじ込み終期に、前記ワッシャーは回転不能に保持されて前記軟質材が圧縮変形することにより、前記ビスにおける座面の稜線が前記ワッシャーのテーパ状筒部に当接したまま回転することが許容されている」
という構成になっている。
本願発明においても、基材が金属板製である場合は、ビスは、先端にドリル部を形成したドリルねじを使用するのが好適であり、基材が木製である場合は、ビスは先端を尖らせた揉み切りタイプを使用するのが好適であるが、基材が金属板製である場合は、状況によってはタッピンねじも使用可能である。
ワッシャーは金属板製又は合成樹脂製であるが、いずれにしても、リブ等の補強手段を設けたり、ワーク(軟質材)に対する回転阻止手段を設けたりすることができる。また、本願発明では、ワークが軟質材と硬質材との積層構造になっている場合も含んでおり、この場合、ワッシャーは硬質材に重なっていてもよい。
ビスが緩もうとする(戻り回転しようとする)と、ワッシャーもビスと一緒に緩もうとするが、本願発明において、ワッシャーの外径はビスの頭部の外径よりも遥かに大きいため、ワッシャーの戻り回転に対する抵抗は非常に大きい。従って、振動等によってビスに戻り回転の外力が作用しても、ワッシャーはビスと一緒に連れ回転することはなく、ビスが戻り回転する(緩む)ためには、ビスがワッシャーに対して戻り回転しなければならない。
しかるに、本願発明では、ビスの座面とワッシャーのテーパ状筒部とは多角形に形成されて嵌合しているため、ビスが戻り回転するためにはワッシャーを押し下げねばならず、そのためには、ワッシャーで軟質材を圧縮変形させなければならないが、ワッシャーは軟質材と広い面積で重なっているため、軟質材を圧縮変形させることは困難であることが多い。
すなわち、軟質材の弾性復元力がワッシャーを介してビスの戻り回転に対する抵抗として作用しているのであり、これにより、ビスの緩みを著しく抑制できる。しかも、ビスの座面とワッシャーのテーパ状筒部とを多角形に形成するだけの構造であるため、構造は簡単であってコスト抑制及び汎用性に優れている。
請求項2のように、ビスの雄ねじに切欠き溝の群を形成すると、切り粉の排出を容易化できてねじ込み抵抗を低減できる利点がある。また、実施形態で詳述するように、基材が金属板製である場合には切欠き溝によって緩みを抑制することも可能であり、従って、ビスの緩み防止効果を助長できる利点がある。
このようにビスの雄ねじに切欠き溝を形成する場合、請求項3のように、切欠き溝の条数と座面及びテーパ状筒部の角数とを一致させると、切欠き溝による緩み防止機能と、角形座面及び角形テーパ状筒部による緩み抑制機能とが同時に作用するため、ビスの緩みに対する抵抗を増大させて、緩み抑制効果を更に向上できる利点がある。
第1実施形態を示す図で、(A)は切欠き溝の大部分を省略した正面図、(B)はねじ部を示す部分的な図(写真)、(C)は平面図、(D)は部分的な拡大図、(E)は(D)のE−E視断面図、(F)はビスの頭部とワッシャーとの分離斜視図、(G)はワッシャーを裏返した状態での斜視図である。 (A)は使用状態の概略縦断面図、(B)は使用状態の詳細な縦断面図、(C)は締結作業初期の縦断面図、(D)は(B)のD−D視断面図、(E)は緩み止めの作用を示す図である。 (A)はねじ込みきった状態での要部縦断面図、(B)は切欠き溝の部分の拡大図、(C)は姿勢を変えた別例の切欠き溝の拡大図、(D)は更に切欠き溝の別例の斜視図である。 他の実施形態を示す図である。
(1).ドリルねじの構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、ビスとしてドリルねじを使用している。ドリルねじは鋼やステンレス等の金属製であり、図1(A)(B)に示すように、軸1とその先端(一端)に設けたドリル部2(自己穿孔部)と、軸1の基端(他端)に設けた頭部3とから成っており、軸1には1条のねじ山4より成るねじ部が形成されている。以下では、方向を特定するため便宜的に上下の文言を使用するが、ドリル部2が下に位置して頭部3が上に位置していると定義している。従って、平面視では頭部3の頂面が現れる。
ドリル部2は従来から知られた形状のものであり、一対の縦溝5と一対の切り刃6とが形成されており、ドリル部2の先端にはチゼルエッジが形成されている。縦溝5はねじ部の先端部まで延びており、ねじ山4の始端部が縦溝5によって分断されている。
頭部3は下窄まりテーパ形の座面7を有する皿タイプになっており、頂面にはドライバビット(図示せず)が係合する四角形の係合溝(リセス)8を形成している。係合溝8は十字形などの他の形態であってもよい。
座面7は、軸心と直交した平面で切断した平断面視において8角形になっている。従って、放射方向に延びる8本の稜線7aが周方向に並んでおり、隣り合った稜線の間は平端面になっている。すなわち,8つの平面が稜線を介して周方向に連続して配置されている。
なお、隣り合った稜線7aの間の部位を軸心側に凹んだ凹面に形成することも可能である。
図1(D)に示すように、ねじ山4は、稜線を糸面に形成しているが基本的に断面三角形になっており(正確には断面形状は台形になっている)、軸心Oと直交した平面と進み側フランク9とが成す角度θ1が、軸心Oと直交した平面と追い側フランク10とが成す角度θ2よりも大きい角度になっている。例えば、θ1は30〜35°、θ2は0〜10°程度に設定できる。θ1+θ2がねじ山4の角度になるが、このねじ山4の角度は35〜45°程度に設定している。
図1(D)に、ねじ山4の付け根の幅寸法(山の厚さ)Wとねじ山4の高さHとを表示しているが、W<Hの関係になっている(両者は略同じであってもよい。)。従って、ねじ山4は、ねじ込み対象の薄金属板製基材11に対して食い込みやすい形状になっている。
隣り合ったねじ山4の間には、帯状の谷面12が存在している。谷面12の溝幅Eはねじ山4の最大幅Wよりも小さくなっている。谷面11の外径D1(図3(A)参照)は、ドリル部2の回転外径D2(図2(B)参照)よりも少し大径に設定されている。従って、基材11に形成された下穴は谷面12によって押し広げ拡径される。谷面12の溝幅Eは、基材11の板厚tよりも小さい寸法になっている。例えば、基材11の板厚tが1.0mmであると、溝幅Eは0.8mm程度に設定されている。
なお、基材11の板厚tは様々であるが、本実施形態では、基材11の板厚tに対応して溝幅Eなどを設定している。すなわち、建物の構造材は各メーカーにおいて規格化されていることが普通であり、各社の規格において板厚が共通していることも普通である。そこで、本願発明では、規格に応じて数値を選択しているのであり、これにより、多くの構造材に適用できる。
ねじ山4は、その始端から徐々に高さを高くしている。従って、図1(A)に示すように、ねじ部は、ねじ山4の高さが変化しているテーパ部4aを有しており、テーパ部4aよりも後続の部位は、外径が一定したストレート部になっている。
軸1の首下部には、ねじ山4が存在しないねじ無し部13が僅かに存在しているが、ねじ山4の終端を軸部1の上端まで延ばしてよいし、長い長さのねじ無し部13があってもよい。
ねじ山4には、これを周方向に分断するような状態で軸方向に延びる(点在する)V形の切欠き溝14が、周方向に離れて複数条形成されている(図2(C)(D)では切欠き溝14は省略している。)。図示の形態では、切欠き溝14の深さはねじ山4の高さよりも低くなっている。従って、図1(E)に示すように、切欠き溝14の底14aは、谷面12まで至ることなくねじ山4の中途高さに位置しているが、切欠き溝14の底14aを谷面12に至らせてもよい。そして、隣り合った切欠き溝14の底14aの縁間の間隔Lは、基材11の板厚tと略同じか大きい寸法に設定している。
切欠き溝14の始端は、テーパ部12の終端部から始まっている。従って、ねじ山4のうちテーパ部4aの箇所の大部分には切欠き溝14は形成されていない。また、切欠き溝14は、ねじ山4と同じ方向に傾斜するように軸心回りに捩じれた姿勢(螺旋姿勢)になっており、軸心に対するリード角は非常に小さくなっている(半周程度のねじれで10山かそれ以上を通過するようになっている。)。
なお、基材11の板厚tが1.0mmである場合の好適な寸法として、ねじ山4の外径を約7mm、谷径D1を約4.2mm、ピッチPを約1.8mm、ドリル部2の回転外径D2を3.4mm程度に設定できる。長さは任意に設定される。
ドリルねじは、ワッシャー15とセットで使用される。すなわち、ドリルねじとワッシャー15とで締結具が構成されている。実施形態のワッシャー15は金属板製で円形に形成されており、ドリルねじにおける頭部3の外径の数倍(5倍程度)の外径になっている。そして、中央部に、ドリルねじにおける角形の座面7と重なり合う平面視(或いは底面視)8角形のテーパ状筒部16が形成されている。従って、テーパ状筒部16は8条の谷線16aを有して、隣り合った谷線16aの間は平坦面になっている。テーパ状筒部16には、ドリルねじの軸部1が貫通する中心穴16bが空いている。
既述のとおり、座面7のうち隣り合った稜線7aの間の部位を凹面に形成することが可能であるが、この場合は、テーパ状筒部16については、隣り合った谷線16aの間の部位を内向きに湾曲して膨れた凸面に形成したらよい。なお、ワッシャー15の外形は、正方形や正6角形、正8角形等の正多角形に形成してもよい。正多角形に形成した場合、コーナー部を下向きに折り曲げて係止部と成すことも可能である。ワッシャー15の外径(多角形の場合は外接円の直径)は、ドリルねじの頭部3の外径の3倍以上あるのが好ましい。
(2).施工状態・ドリルねじ自体の緩み防止効果
本実施形態の締結具は、様々な現場(構造体)に使用できる。例えば、図2(A)(B)に示すように、軟質材の一例として断熱材17を基材の一例としてのデッキプレート18に固定することに使用できる。施工後は、ドリルねじの頭部3とワッシャー15と断熱材17とは、防水シート19で覆われている。
施工において、ドリルねじは、ドリル部2の穿孔作用とねじ部のねじ込み作用とによって断熱材17に進入していき、次いで、図2(C)に示すように、デッキプレート18にドリル部2によって下穴20が空けられ、次いで、ねじ山4のねじ込みに伴い、下穴20が谷面12によって押し広げられて拡径されていくと共に、ねじ山4が下穴20の内周縁部21に食い込んでいき、やがて、頭部3がワッシャー15に強く当接してねじ込みが停止される。
断熱材17は、ワッシャー15の押圧作用によって少し圧縮変形する。従って、締結後の状態では、ワッシャー15は、断熱材17にめり込んだ状態(埋め込まれた状態)になっている。従って、ワッシャー15は、断熱材17の弾性復元力によって上向きに押圧(付勢)されており、この押圧作用により、ワッシャー15と断熱材17との間に強い摩擦抵抗が生じている。
本実施形態では、D1<D2であることとE<Tであることとにより、図3に示すように、まず、デッキプレート18の内周縁部21は潰れ変形しつつねじ部の谷面12にきっちり嵌合して上下方向の動き(曲がり変形)が規制されると共に、強制的な押し広げ(拡径)による肉の移動によって、内周縁部21の一部が厚肉部21aになる。
更に述べると、ねじ部のねじ込みに際して、内周縁部21はねじ込み初期において上下方向に変形して一部がねじ部の谷に入り込んだ食い込み部21bとなり、その状態で拡径作用を受けることにより、軸心Oを挟んで食い込み部21bと反対側に位置した部位に強い押圧力が作用して厚肉部21aになると云える。つまり、下穴20の半分程度がねじ部の谷に対して強く突っ張った食い込み部21bになることにより、内周縁部21は食い込み部21bと反対側に逃げて厚肉部21aが形成されると云える。
そして、厚肉部21aにねじ山4がしっかりと食い込むことにより、高い締結力と緩み止め効果が発揮されると共に、下穴20の雌ねじが潰れてねじ部が空回りしてしまうストリッピング現象も防止できる。
更に、本実施形態では、切欠き溝14のうちねじ込み方向に向いた進み側端面14bが切り刃として作用することにより、ねじ込みに要する力を低減できると共に、内周縁部21の厚肉部21aに対するねじ山4の食い込みを良好ならしめて、雌ねじ形成機能を向上できる。この場合、切欠き溝14は8条形成されており、隣り合った切欠き溝14の軸方向の高さはP/8になるため、半周程度の範囲で、少なくとも3条又は4条の切欠き溝14がデッキプレート18における下穴20の内周に重なっている。
このため、切欠き溝14は下穴20の内周面と頻繁に重なって、切欠き溝14の進み側端面14bによる切削機能を確実化できる。切欠き溝14の追い側端面14cは緩みに対して抵抗として作用するが、複数の切欠き溝14の追い側端面14cが特に厚肉部21aの箇所で下穴20に突っ張っているため、高い緩み止め効果を発揮できる。
付言すると、厚肉部21aは弾性変形しつつ雌ねじが形成されており、ねじ込みが終わると弾性復元力(スプリングバック)が作用するが、弾性復元力によって厚肉部21aが切欠き溝14に食い込んで、切欠き溝14の進み側端面14bがねじ戻しに対して強い抵抗として作用する。
図3(C)に示すように、切欠き溝14はねじ山4の傾斜方向と逆方向に傾斜させることも可能であるが、実施形態のように切欠き溝14をねじ山4と同じ方向に傾斜させると、図3(B)に矢印24で示すように、ドリルねじをねじ戻そうとすると(上昇させようとすると)、切欠き溝14の追い側面14cがデッキプレート18を下向きに押すように作用するため、ドリルねじの緩みに対する抵抗作用が発揮されると解される。よって、緩み止め効果にも優れていると云える。
図3(D)に示すように、ねじ山4は、2本の稜線4b,4cを有する溝付き方式に形成することも可能であり、図示の例では、切欠き溝14は追い側フランクの箇所のみに形成している。切欠き溝14は、谷面12まで至っているが、点線で示すように、中途高さで終わらせてもよい。
切欠き溝14はねじ山4の全体を分断するように形成することも可能であるが、図示のように追い側フランクの箇所のみに形成すると、基材10,18を谷部に押し込む機能が高くなるため、緩み防止効果を向上できる。また、切欠き溝14は進み側フランクの箇所のみに形成することも可能であるが、図示の例のように、追い側フランクの箇所に形成すると、ねじ戻しに対して切欠き溝14が抵抗として作用する機能が高くなるため、緩み止め効果を更に向上できる利点がある。追い側フランクの箇所に切欠き溝14を形成する場合は、追い側フランクの角度θ2は、5〜10°程度でよい。
(3).ワッシャーとドリルねじとの緩み防止協働作用
既述のとおり、ワッシャー15は断熱材17に押し込まれた状態になる。従って、ねじ込み抵抗は大きいが、既述のとおり、本実施形態のドリルねじはデッキプレート18に対して高い締結力を有するため、デッキプレート18に形成された雌ねじが潰れる現象を生じることなく、ワッシャー19を断熱材17に強く押し付けてしっかりとねじ込むことができる。すなち、ワッシャー15は回転不能に保持しつつ、断熱材17を圧縮変形させて、ドリルねじの稜線7aをワッシャー15のテーパ状筒部16に当接させた状態で回転させることかできる。
そして、ドリルねじが戻り回転しようとすると、ワッシャー15にも戻り回転の外力が作用するが、ワッシャー15はドリルねじの頭部3の外側に広く張り出しているため、ワッシャー15と断熱材17との間には大きな摩擦抵抗が生じており、従って、ドリルねじが緩むためには、回転不能に保持されたワッシャー15に対してドリルねじのみが戻り回転する必要である。
従って、ドリルねじが緩み回転しようとすると、ドリルねじの座面7の稜線7aがワッシャー15におけるテーパ状筒部16面を乗り越えねばならず、すると、ねじの緩みに際しては、ワッシャー15によって断熱材17を圧縮変形させねばならないが、ワッシャー15は大きな面積があることにより、断熱材17を押し込むことに大きな抵抗が発生するため、ワッシャー15によって断熱材17を圧縮変形させることは困難であり、従って、格段に高い緩み止め効果を得ることができる。
実施形態のように、切欠き溝14の条数と角形座面7及び角形テーパ状筒部16との角数を一致させると、切欠き溝14の引っ掛かりによる緩み止め効果と、稜線7aの乗り越え困難性による緩み止め効果とが同時に発揮されるため、緩み防止効果を格段に向上できて好適である。
本実施形態では、座面7の稜線7aによってテーパ状筒部16が押されることにより、座面7とテーパ状筒部16との噛み合いが変わっていく。従って、ねじ込み抵抗と緩み防止効果とは、座面7及びテーパ状筒部16の角数が少ないほど高くなる。他方、ねじ込み抵抗及び緩み防止効果は、断熱材17等の軟質ワークの弾性変形率にも依存している。従って、断熱材17等の軟質ワークの弾性変形率を考慮して、頭部3の座面7及びワッシャー19のテーパ状筒部16の角数を設定したらよい。一般的には、角数は5〜10程度が好ましいといえる。
(4).他の実施形態
図4では、ワッシャー15の別例を示している。このうち図4(A)に示す実施形態では、金属板製のワッシャー15に、放射状リブ23と環状リブ24とを形成している。リブ23,24は下向きに突出するように(軟質材に食い込むように)膨出形成されている。リブ23,24の存在により、ワッシャー15の剛性が高くなると共に、軟質材との摩擦抵抗も増大できる。ワッシャー15を合成樹脂製にした場合は、リブ23,24は下向きに突出させたらよい。リブを設ける場合、そのパターンは任意に選択できる。
図4(B)に示す実施形態では、ワッシャー15の外周に、軟質材に食い込む下向きの環状フランジ25を形成している。この実施形態でも、環状フランジ25によって剛性が向上すると共に、軟質材と間の摩擦力も向上できる。図4(B)の実施形態と図4(A)の実施形態とを組み合わせてもよい。図示していないが、ワッシャー15の外周縁に、軟質材に食い込む三角形の爪を周方向に適宜間隔で形成することも可能である。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。既に述べたが、ビスは揉み切りタイプのねじ(木ねじ)であってもよい。揉み切りタイプの場合、高さが相違する複数状のねじ山を形成することも可能である。いずれにおいても、切欠き溝は無くてもよい。ビスにおけるねじ山の形状は通常の三角形であってもよいし、各寸法は用途に応じて設定できる。
また、本願発明は、角形座面と角形テーパ状筒部との特徴により、デザイン的にも優れた形態になっている。従って、意匠登録の対象にもなり得る。この場合、ビス及びワッシャーのそれぞれについて、個別に全体意匠としての登録対象になることはもとより、角形の座面及び角形のテーパ状筒部の箇所を特徴として、部分意匠として登録を受けることも可能である。
本願発明は、軟質材用の締結具に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 ビスの例であるドリルねじを構成する軸部
2 ドリル部(自己穿孔部)
3 頭部
4 ねじ山
7 頭部の座面
7a 稜線
10 基材(相手材)
14 切欠き溝
15 ワッシャー
16 テーパ状筒部
16a 谷線
16b 中心穴
17 軟質材の一例として断熱材
18 基材の一例としてのデッキプレート
20 下穴

Claims (4)

  1. ねじ山を設けた軸部の基端に頭部が形成されて前記軸部の先端には自己穿孔部が形成されたビスと、前記ビスの軸部が貫通する中心穴を有して軟質材に重なるワッシャーとから成り、
    前記ビスにおける頭部の座面は前記軸部に向けて縮径したテーパ状に形成されている一方、前記ワッシャーは前記ビスにおける頭部の外径の数倍の外径であり、このワッシャーの中央部に、前記ビスにおける頭部の座面に重なるテーパ状筒部が形成されている構成であって、
    前記ビスにおける頭部の座面は、複数の平面が稜線を介して繋がった断面多角形に形成されている一方、
    前記ワッシャーのテーパ状筒部は、前記ビスにおける頭部の座面と面接触して重なるように前記ビスにおける頭部の座面と同じ角数の平面が谷線を介して連続的に繋がった多角形に形成されており
    前記ビスのねじ込み終期に、前記ワッシャーは回転不能に保持されて前記軟質材が圧縮変形することにより、前記ビスにおける座面の稜線が前記ワッシャーのテーパ状筒部に当接したまま回転することが許容されている、
    軟質材固定用の締結具。
  2. 前記ビスのねじ山には、当該ねじ山を全体的に又は部分的に分断する切欠き溝の群が周方向に分かれて複数条形成されている、
    請求項1に記載した軟質材固定用の締結具。
  3. 前記ビスにおける切欠き溝の条数は、前記頭部における座面の角数及び前記ワッシャーにおけるテーパ状筒部の角数と一致している、
    請求項2に記載した軟質材固定用の締結具。
  4. ねじ山を設けた軸部の基端に頭部が形成されて前記軸部の先端には自己穿孔部が形成されたビスと、前記ビスの軸部が貫通する中心穴を有して軟質材に重なるワッシャーとから成り、
    前記ビスにおける頭部の座面は前記軸部に向けて縮径したテーパ状に形成されている一方、前記ワッシャーは前記ビスにおける頭部の外径の数倍の外径であり、このワッシャーの中央部に、前記ビスにおける頭部の座面に重なるテーパ状筒部が形成されている構成であって、
    前記ビスにおける頭部の座面は、軸心側に凹んだ複数の凹面が稜線を介して繋がった断面多角形に形成されている一方、
    前記ワッシャーのテーパ状筒部は、前記ビスにおける頭部の座面と面接触して重なるように前記ビスにおける頭部の座面と同じ角数の凸面が谷線を介して連続的に繋がった多角形に形成されており、
    前記ビスのねじ込み終期に、前記ワッシャーは回転不能に保持されて前記軟質材が圧縮変形することにより、前記ビスにおける座面の稜線が前記ワッシャーのテーパ状筒部に当接したまま回転することが許容されている、
    軟質材固定用の締結具。
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