JP2017082546A - 防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】防水シートに揚力が作用してもねじ部材が緩む方向に回動することを抑制可能な防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材を提供すること。【解決手段】本発明に係る防水シート固定具は、ねじ部材と、前記ねじ部材が挿通される貫通孔を区画する板状部材と、を備え、前記板状部材は、前記貫通孔に挿通された前記ねじ部材により防水下地に対して固定されると共に、前記板状部材を挟んで前記防水下地とは反対側に敷設される防水シートを固定可能であり、前記板状部材は、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された状態で、前記板状部材に対する前記ねじ部材の相対的な回動を規制する回動規制部を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材に関する。
従来から、防水シート固定構造として、ねじ部材と、ねじ部材を挿通する挿通孔が区画され、ねじ部材により防水下地に対して固定される板状部材としてのディスク部材と、を備える防水シート固定具を用いたものが知られている。この種の防水シート固定構造では、ディスク部材をねじ部材により防水下地に対して固定した後、防水シートをディスク部材に固定する。このような防水シート固定構造は、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示の防水シート固定構造で用いられる防水シート固定具は、防水下地に固定自在な第1部材と、防水シートに固定自在な板状の第2部材と、第1部材と第2部材とを、第2部材の厚み方向に沿う軸芯周りに相対回転自在に連結する回転連結機構と、を備えたディスク部材を備えるものである。
ところで、特許文献1の防水シート固定具によれば、防水シートに作用する揚力により防水シートが上下移動を繰り返し第2部材に回転力が作用したとしても、この回転力は回転連結機構により吸収され、第1部材にそのまま伝わることはないが、防水シートが上方に移動すると、第1部材及び第2部材を介して、ねじ部材を上方に引き抜く力が作用することがある。
ねじ部材は、防水下地に対して螺合により固定されているため簡単には引き抜けないが、引き抜き方向の力が継続的に繰り返し作用すると、ねじ部材が緩む方向に回転することがある。かかる場合には、緩む方向に徐々に回転したねじ部材が防水シートを突き上げ、防水シートと、板状部材としてのディスク部材との間の固定状態を解除してしまうおそれや、防水シートを突き破ってしまうおそれがある。
そこで本発明の目的は、防水シートに揚力が作用してもねじ部材が緩む方向に回動することを抑制可能な防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材を提供することである。
本発明の第1の態様としての防水シート固定具は、ねじ部材と、前記ねじ部材が挿通される貫通孔を区画する板状部材と、を備え、前記板状部材は、前記貫通孔に挿通された前記ねじ部材により防水下地に対して固定されると共に、前記板状部材を挟んで前記防水下地とは反対側に敷設される防水シートを固定可能であり、前記板状部材は、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された状態で、前記板状部材に対する前記ねじ部材の相対的な回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とするものである。
本発明の1つの実施形態として、前記回動規制部は、前記ねじ部材が前記貫通孔に前記所定深さまで挿通された状態で、前記ねじ部材の側壁と当接して前記ねじ部材の回動を規制する、前記貫通孔を区画する内壁により構成されていることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記ねじ部材は、雄ねじ部が少なくとも一部に形成された本体部と、前記本体部の基端側に設けられ、前記本体部の外面よりも径方向の外側に突出する突出部を有する基端部と、を備え、前記回動規制部は、前記貫通孔を区画する内壁のうち、前記ねじ部材の中心軸線回りの周方向における前記ねじ部材と前記板状部材との相対位置に応じて突出部が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部により構成されていることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記基端部は、前記ねじ部材の基端を構成する頭部と、前記頭部と前記本体部との間に位置する多角柱状の柱状部と、を備え、前記突出部は、前記柱状部の一部であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記基端部は、前記ねじ部材の基端を構成する多角柱状の頭部を備え、前記突出部は、前記頭部の一部であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記板状部材には、前記板状部材の外縁よりも内側の位置で、前記外縁よりも前記板状部材の厚み方向の少なくとも一方側に向かって突出する突部が形成されていることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記ねじ部材を第1ねじ部材とし、前記貫通孔を第1貫通孔とした場合には、前記板状部材は、第2ねじ部材を挿通可能な第2貫通孔を区画していることが好ましい。
本発明の第2の態様としての防水シート固定構造は、防水下地と、前記防水下地に対して固定された防水シート固定具と、前記防水下地及び前記防水シート固定具を覆うように敷設され、前記防水シート固定具に固定される防水シートと、を備える防水シート固定構造であって、前記防水シート固定具は、ねじ部材と、前記ねじ部材が挿通される貫通孔を区画する板状部材と、を備え、前記板状部材は、前記貫通孔に挿通された前記ねじ部材により前記防水下地に対して固定されていると共に、敷設された前記防水シートが固定されており、前記板状部材は、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された状態で、前記板状部材に対する前記ねじ部材の相対的な回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とするものである。
本発明の1つの実施形態として、前記防水下地は、建物の軸組架構に固定されている支持部材と、前記支持部材と前記防水シートとの間に配置されている断熱部材と、を備え、前記ねじ部材は、前記断熱部材を貫通し、前記支持部材に対して固定されていることが好ましい。
本発明の第3の態様としての板状部材は、防水シートを固定可能であると共に、ねじ部材により防水下地に対して固定される板状部材であって、前記ねじ部材を挿通可能な貫通孔を区画すると共に、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された際に前記ねじ部材の回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、防水シートに揚力が作用してもねじ部材が緩む方向に回動することを抑制可能な防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材を提供することができる。
以下、本発明に係る防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
図1は、本発明に係る防水シート固定構造の一実施形態としての防水シート固定構造1を示すものであり、図1に示す防水シート固定構造1は、建物の屋上階に敷設される防水シート30の固定構造を示す図である。
まず、図1に示す防水シート固定構造1が適用される建物の一例を説明する。建物としては、例えば、鉄骨造の軸組みを有する2階建ての工業化住宅とすることができる。このような建物は、例えば、地盤に固定された鉄筋コンクリート造の基礎構造体と、柱や梁などの軸組部材で構成された軸組架構を有し、基礎構造体に固定された上部構造体と、で構成される。なお、軸組架構を構成する軸組部材は、予め規格化(標準化)されたものであり、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。
基礎構造体は、軸組架構の鉛直方向下方に位置し、軸組架構を支持する。基礎構造体は、例えば、鉄筋コンクリート造の断面T字状の布基礎である。
上部構造体は、複数の柱及び柱間に架設された複数の梁から構成される軸組架構と、この軸組架構の外周部に配置される外周壁と、軸組架構の梁上に固定される各階の床部材と、を備える。
外周壁は、外装部材、断熱部材及び内装部材を備える。外装部材としては、例えば、軽量発泡コンクリート(以下、「ALC」と記載する。「ALC」とは「autoclaved light weight concrete」の略である。)のパネルを用いることができ、このパネルを軸組架構の外周部の周囲に連接することにより、外周壁の外皮層を形成することができる。また、断熱部材としては、例えば、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂系のものを用いることができ、断熱部材を外皮層の屋内側に、外皮層に沿って配置することにより断熱層を形成することができる。内装部材としては、例えば、石膏ボードを用いることができ、内装部材を軸組架構の外周部の屋内側に連接することにより、内皮層を形成することができる。なお、断熱部材及び外装部材を建設現場において別途連接させることにより、上述した断熱層及び外皮層を別々に形成するようにしてもよいが、外装部材や断熱部材をビス等の締結部材により予め一体化した複合パネルを形成し、この複合パネルを軸組架構の外周部の周囲に連接させることにより、上述した断熱層及び外皮層を形成するようにしてもよい。
各階の床部材は、建物の軸組架構に固定される板状の支持部材を備える。支持部材としては、例えば、ALCパネルを用いることができる。1階及び2階の床部材については、この支持部材上に仕上げ材等が敷設されることにより、床仕上げ面が形成される。
屋上階の床部材は、上述した支持部材に加えて、この支持部材の鉛直方向上方に設けられる断熱部材及び防水シートを少なくとも備える。図1は、この屋上階の床部材における防水シート固定構造1を示すものであり、以下、防水シート固定構造1の詳細を説明する。
図1に示すように、防水シート固定構造1は、防水下地10と、この防水下地10に対して固定された防水シート固定具20と、防水下地10及び防水シート固定具20を覆うように敷設され、防水シート固定具20に固定される防水シート30と、を備えている。なお、図1では、鉛直方向下方から上方に向かって、防水下地10、防水シート固定具20の後述する板状部材22、防水シート30の順に積層されている。
防水下地10は、建物の軸組架構の梁に固定されている支持部材11と、この支持部材11と防水シート30との間に配置されている断熱部材12と、を備えている。
より具体的に、図1に示す防水下地10は、複数の梁間に架設され、梁に対して固定されている板状の支持部材11と、この支持部材11上に敷設されている板状の断熱部材12と、この断熱部材12上に敷設された板状の調湿部材13と、この調湿部材13上に敷設されたシート状の不燃部材14と、を備えている。なお、板状の支持部材11は、支持部材11の厚み方向が鉛直方向上方及び下方となるように梁間に架設されており、断熱部材12、調湿部材13及び不燃部材14は、支持部材11の鉛直方向上側に積層されている。
本実施形態の支持部材11はALCパネルであり、このALCパネルを屋上階の床面積に応じて複数敷き詰めることにより、屋上支持層が形成されている。なお、支持部材11はALCパネルに限られるものではなく、例えば、波状の形状を有する折板としてもよい。板状の支持部材11の厚みは、例えば75〜150mmとすることができる。
本実施形態の断熱部材12はフェノールフォームであり、このフェノールフォームを支持部材11上に複数敷き詰めることにより、屋上断熱層が形成されている。なお、断熱部材12はフェノールフォームに限られるものではなく、発泡樹脂系のものを用いることができ、例えば、ポリスチレンフォームやウレタンフォーム等を用いてもよい。断熱部材12の厚みは、例えば50〜80mmとすることができる。
本実施形態の調湿部材13は吸放湿性のあるインシュレーションボードであり、このインシュレーションボードを屋上断熱層上に複数敷き詰めることにより、屋上調湿層が形成されている。調湿部材13の厚みは、例えば50〜80mmとすることができる。
本実施形態の不燃部材14はガラス繊維クロスであり、このガラス繊維クロスを屋上調湿層上に敷設することにより、屋上絶縁層が形成されている。シート状の不燃部材14の厚みは、例えば0.1〜0.3mmとすることができる。断熱部材12と後述する防水シート30との間に不燃部材14を介在させることにより、防水シート30に含まれる可塑剤が断熱部材12や調湿部材13に吸収されることを抑制することができると共に、隣家の火災時等において、火の粉により防水シート30から調湿部材13及び断熱部材12へと火が燃え広がることを抑制することができる。
ここで、本実施形態の防水下地10は調湿部材13により構成された屋上調湿層を含むものであるが、屋上調湿層を有さない防水下地としてもよい。かかる場合には、断熱部材12により形成された屋上断熱層に、不燃部材14により形成された屋上絶縁層が直接積層される。
なお、支持部材11、断熱部材12、調湿部材13及び不燃部材14を順次敷設することにより防水下地10を形成してもよいが、支持部材11、断熱部材12、調湿部材13及び不燃部材14を積層させてビス等の締結部材により予め一体化した複合パネルを形成し、複数の複合パネルを連接させて敷設することにより、防水下地10を形成するようにしてもよい。
図1に示すように、防水シート固定具20は、ねじ部材21と、このねじ部材21が挿通される貫通孔22aを区画する板状部材22と、を備えており、防水下地10に対して固定されている。
図2は、防水シート固定具20を示す斜視図であり、ねじ部材21と板状部材22とが分離した状態を示している。また、図3(a)の上側の図は、板状部材22単体の平面図であり、図3(a)の下側の図は、板状部材22単体の側面図である。更に、図3(b)はねじ部材21単体の側面図である。なお、図3(a)に示す板状部材22の平面図は、板状部材22を、図1において鉛直方向上側から見た場合の図である。
図2、図3(b)に示すように、ねじ部材21は、雄ねじ部21a1が少なくとも一部に形成された略円柱状の本体部21aと、この本体部21aの基端側に設けられ、本体部21aの外面よりも径方向の外側に突出する突出部21b1を有する基端部21bと、を備えている。
本体部21aは、雄ねじ部21a1が設けられているねじ部23と、このねじ部23の基端側に連続し、ねじ山が設けられていない円柱状の胴部24と、を備えている。ねじ部23は、ねじ部材21の先端部を構成しており、ねじ部材21の先端、すなわち、ねじ部23の先端は頂部を形成するように鋭利に尖っている。円柱状の胴部24は、ねじ部23における基端側の谷部外径(ねじ部23のねじ山間の溝底での外径)と略等しい外径を有している。
基端部21bは、ねじ部材21の基端を構成する頭部25と、この頭部25と本体部21aとの間に位置する多角柱状の柱状部26と、を備えている。本実施形態の頭部25は、ねじ部材21の基端から先端に向かって縮径する円錐台形状の外形を有している。また、本実施形態の柱状部26は、ねじ部材21の先端側で上述した胴部24と連続すると共に、ねじ部材21の基端側で頭部25と連続するものであり、所謂「角根」と呼ばれる四角柱状の外形を有している。なお、図3(b)に示すように、本体部21a及び基端部21bの中心軸線O1は一致しており、ねじ部23、胴部24、柱状部26及び頭部25は直線状に配置されている。
ここで、本実施形態の柱状部26は、本体部21aよりも太く構成されている。換言すれば、本実施形態の柱状部26は、本体部21aの外面よりも径方向の外側にフランジ状に突出する突出部21b1を有している。
なお、頭部25は、柱状部26よりも更に太い部分を有している。換言すれば、頭部25は、柱状部26よりも径方向の外側に向かって更に突出する部分を有しており、この突出する部分は、ねじ部材21が板状部材22の貫通孔22aに挿通される際に、板状部材22の後述するフランジ部27a及び周壁部27bのテーパー状の内面の少なくとも一方に突き当たり、ねじ部材21が貫通孔22aから抜け落ちることを防ぐ抜け止め部として機能するものである。本実施形態の頭部25では、少なくとも円錐台形状の大径底面の外縁が、柱状部26よりも径方向の外側に突出しており、図1では、ねじ部材21が板状部材22の貫通孔22aに挿通される際は、頭部25のテーパー状の側面が、板状部材22の周壁部27bの内面に突き当たっている状態を例示している。
また、ねじ部材21は、例えば、鉄鋼材、ステンレス、アルミ、チタン等の金属材料により形成することができる。
図1、図2、図3(a)に示すように、板状部材22は円盤状の外形を有するものであり、厚み方向の一方側から見た場合の略中央部に、厚み方向に貫通する貫通孔22aが形成されている。図1に示すように、板状部材22は、貫通孔22aに挿通されたねじ部材21を防水下地10に締結することにより、防水下地10に対して固定される。より具体的に、板状部材22は、貫通孔22aに挿通されると共に、防水下地10の不燃部材14、調湿部材13及び断熱部材12を貫通したねじ部材21の先端部に位置するねじ部23を支持部材11に螺入することにより、防水下地10に対して位置が固定される。
また、防水シート30は、板状部材22がねじ部材21により防水下地10に対して固定されている状態において、板状部材22を挟んで防水下地10とは反対側、すなわち、板状部材22の鉛直方向上側の表面(以下、板状部材22の「上面」と記載する。)上に敷設される。この敷設された防水シート30は、板状部材22の上面に対して、熱融着等により固定される。つまり、防水シート30は、防水シート固定具20を介して、防水下地10に対して位置が固定される。
なお、図1、図2、図3(a)に示すように、貫通孔22aを区画する内壁には、貫通孔22aの内側に向かって突出し、貫通孔22aの空間を狭めるフランジ部27aが設けられている。したがって、板状部材22の上面側から、上面とは反対側の面(以下、板状部材22の「下面」と記載する。)側に向かって、ねじ部材21を貫通孔22aに挿通していくと、図1に示すように、ねじ部材21の頭部25は貫通孔22a内に入り込み、頭部25が板状部材22の上面から外方に突出しないようにすることができる。なお、本実施形態の貫通孔22aは、上述したフランジ部27aと、頭部25の形状に合わせてフランジ部27aに向かって縮径するテーパー状の内面を有する周壁部27bと、により区画されている。そして、ねじ部材21を貫通孔22aに挿通する際は、抜け止め部としての頭部25のテーパー状の側面が、フランジ部27aの上面及び周壁部27bのテーパー状の内面の少なくとも一方に突き当たることにより、ねじ部材21が挿通孔22aから抜け落ちることを防ぐと共に、頭部25を貫通孔22a内に保持することができる。
また、本実施形態の板状部材22の外縁部28には、板状部材22の外縁28aよりも内側の位置で、外縁28aよりも板状部材22の厚み方向の一方側としての鉛直方向下方に向かって突出する環状の突部29が形成されている。突部29により、板状部材22の外縁28aと、防水下地10の最外面である不燃部材14との間に間隙を形成することができる。そのため、外縁28aを不燃部材14と非接触状態にすることができる。
更に、板状部材22は、ねじ部材21が貫通孔22aに所定深さまで挿通された状態で、板状部材22に対するねじ部材21の相対的な回動を規制する回動規制部40を備えている。回動規制部40の詳細は後述する。
板状部材22は、鋼板や樹脂により形成することができるが、板状部材22を鋼板により成形する場合には、防水シート30に対して熱融着できるように、樹脂を表面に被覆した樹脂被覆鋼板とすることが好ましい。なお、防水シート30の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニルが挙げられる。したがって、板状部材22を樹脂被覆鋼板とする場合には、鋼板の表面に、例えばポリ塩化ビニル等の防水シート30と同材料の樹脂を被覆することが好ましい。
防水シート30は、上述したように、防水下地10に対してねじ部材21により固定された板状部材22の上面側に敷設され、板状部材22の上面に熱融着により固定される。防水シート30は、板状部材22が存在しない位置では、防水下地10上を覆っているが、防水下地10に対して固定されていない。
以下、防水シート固定具20の板状部材22に設けられた回動規制部40についての詳細を説明する。
上述したように、板状部材22は、ねじ部材21が貫通孔22aに所定深さまで挿通された状態で、板状部材22に対するねじ部材21の相対的な回動を規制する回動規制部40を備えている。そのため、防水シート固定具20を、ねじ部材21が板状部材22の貫通孔22aに所定深さまで挿通された状態で、防水下地10に対して固定すれば、板状部材22上に敷設される防水シート30が揚力等により波打ち、ねじ部材21に引き抜ける方向の外力が作用したとしても、回動規制部40により、ねじ部材21が板状部材22に対して相対的に回動しないため、ねじ部材21が防水下地10とのねじ結合が緩む方向に回動し難くなる。
また、本実施形態の回動規制部40は、ねじ部材21が貫通孔22aに所定深さまで挿通された状態で、ねじ部材21の側壁と当接してねじ部材21の回動を規制する、貫通孔22aを区画する内壁により構成されている。つまり、本実施形態では、ねじ部材21が貫通孔22aに所定深さまで挿通された状態で、ねじ部材21の側壁のうち貫通孔22a内に位置する部分が、貫通孔22aを区画する内壁と当接することにより、ねじ部材21の板状部材22に対する回動が制限される。このような構成とすれば、ねじ部材21を板状部材22の貫通孔22aに所定深さまで挿通する動作のみにより、ねじ部材21の板状部材22に対する回動を規制することができ、比較的簡単な操作で、ねじ部材21が板状部材22に対して回動しない状態を実現することができる。
更に、本実施形態の回動規制部40は、貫通孔22aを区画する内壁のうち、ねじ部材21の中心軸線O1回りの周方向C(図2参照)におけるねじ部材21と板状部材22との相対位置に応じて、ねじ部材21の基端部21bに設けられた突出部21b1が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部41により構成されている。
具体的に、本実施形態の回動規制部40は、貫通孔22aを区画する内壁のうち、ねじ部材21の中心軸線O1回りの周方向Cにおけるねじ部材21と板状部材22との相対位置に応じて、柱状部26の突出部21b1が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部41としてのフランジ部27aの内側端面により構成されている。本実施形態のフランジ部27aの内側端面は、図3(a)の平面視において、略四角形の形状を有しており、四角柱状の柱状部26の突出部21b1(図2、図3(b)参照)は、ねじ部材21と板状部材22との周方向Cにおける相対位置を合わせる、すなわち、柱状部26の4つの側面を、フランジ部27aの内側端面が形成する4つの端面(図3(a)の平面視で各辺を構成する4つの端面)に対向するように周方向Cの位置を合わせることにより、貫通孔22aのうち、フランジ部27aの4つの端面により区画された部分に挿通可能となる。この一方で、柱状部26の4つの角部を、フランジ部27aの内側端面が形成する4つの端面に対向するように周方向Cの位置を合わせると、柱状部26は、貫通孔22aのうち、フランジ部27aの4つの端面により区画された部分に挿通することができなくなる。
そして、柱状部26が、貫通孔22aのうちフランジ部27aの4つの端面により区画された部分に挿通された状態で、ねじ部材21を板状部材22に対して周方向Cに回動させようとすると、ねじ部材21の側壁としての柱状部26の突出部21b1の部分の側壁が、貫通孔22aの内壁としてのフランジ部27aの内側端面と当接し、ねじ部材21が板状部材22に対して相対的に回動することが制限される。つまり、本実施形態では、貫通孔22aを区画する内壁により上述した挿通規制部41が構成されており、この挿通規制部41としての貫通孔22aを区画する内壁が、ねじ部材21の板状部材22に対する回動を規制する回動規制部40を構成している。
ここで、本実施形態において、「ねじ部材21が貫通孔22aに所定深さまで挿通された状態」とは、図1に示すように、ねじ部材21の頭部25が、板状部材22のフランジ部27a又は周壁部27bの内面に突き当たる状態を意味しており、ねじ部材21の頭部25が、板状部材22のフランジ部27a又は周壁部27bの内面に突き当たった状態において、柱状部26の突出部21b1は、貫通孔22aのうち挿通規制部41により区画される部分、すなわち、フランジ部27aの内側端面により区画される部分に挿通された状態となっている。
なお、本実施形態の突出部21b1は、柱状部26の一部であり、本実施形態の挿通規制部41は、柱状部26の外形に合わせた形状になっているが、これらの構成に限られるものではなく、ねじ部材21の本体部21aの外面よりも径方向外側に突出する突出部と、ねじ部材21の中心軸線O1回りの周方向Cにおけるねじ部材21と板状部材22との相対位置に応じて、突出部が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部と、を備えるものであればよい。したがって、突出部21b1が、多角柱状の柱状部の一部により構成されていなくてもよい。但し、本実施形態のように、突出部21b1を多角柱状の柱状部の一部により構成すれば、突出部及び挿通形成部を比較的簡易な構成で実現することができるため好ましい。
また、本実施形態のように、突出部21b1を柱状部26の一部により構成する場合であっても、柱状部26の形状は、所謂「角根」と呼ばれる四角柱状の外形を有するものに限られない。したがって、例えば、柱状部26を、三角柱状、五角柱状、六角柱状などの他の多角柱形状とすることも可能である。
更に、本実施形態の突出部21b1は、ねじ部材21の基端部21bにおける柱状部26の一部であるが、ねじ部材21の基端部21bの別の箇所に設けてもよい。突出部21b1を基端部21bの別の箇所に設ける構成の一例については後述する(図7参照)。
また更に、本実施形態の突出部21b1は、ねじ部材21の基端部21bに設けられているが、ねじ部23よりもねじ部材21の基端側であればよく、例えば胴部24に設ける構成としてもよい。但し、本実施形態のように、ねじ部材21の基端部21bに突出部21b1を設ける構成とすれば、板状部材22の厚みを薄い構成としつつ、ねじ部材21の頭部25が板状部材22から外方に突出しない構成が実現し易くなるため好ましい。
次に、図1、図2に示す防水シート固定具20を、防水下地10に対して固定する固定方法について説明する。図4は、防水シート固定具20を防水下地10に対して固定する直前の状態を示す図である。
上述したように、ねじ部材21を板状部材22の貫通孔22a(図2等参照)に所定深さまで挿通させた状態では、ねじ部材21が板状部材22に対して相対的に回動することが規制されるため、ねじ部材21及び板状部材22の一方を中心軸線O1回りに回動させると、他方が共回りする。したがって、図4に示すように、防水シート固定具20を防水下地10に対して固定する際は、ねじ部材21の柱状部26(図2等参照)が、貫通孔22aのうち板状部材22のフランジ部27a(図2等参照)の内側端面により区画される空間に嵌り込んだ状態、すなわち、ねじ部材21の板状部材22に対する相対的な回動が規制された状態として、板状部材22を中心軸線O1回りに回動させることにより(図4の矢印参照)、ねじ部材21を共回りさせて、ねじ部材21を防水下地10に絞め込む。このようにすれば、図1に示すように、ねじ部材21の頭部25が板状部材22の貫通孔22a内に収容された状態、かつ、ねじ部材21の板状部材22に対する相対的な回動が規制された状態で、防水シート固定具20を、防水下地10に対して固定することができる。
なお、図1に示すように、ねじ部材21の頭部25が板状部材22の貫通孔22a内に収容された状態、かつ、ねじ部材21の板状部材22に対する相対的な回動が規制された状態で、防水シート固定具20が防水下地10に対して固定されていればよく、ねじ部材21と板状部材22とを共回りさせるように柱状部26を挿通規制部41の内側に嵌め込むタイミングは、ねじ部材21のねじ部23を防水下地10の上面(本実施形態では不燃部材14の上面)に挿通させる際、ねじ部材21のねじ部23を防水下地10の支持部材11に絞め込み始める際、支持部材11への締め込みが完了する直前など、各種タイミングを採用することができる。
ただし、いずれのタイミングであっても、防水シート固定具20の防水下地10に対する固定が完了する直前では、ねじ部材21及び板状部材22を共回りさせて、ねじ部23を支持部材11に捻じ込むことになる。かかる場合には、ねじ部材21の捻じ込みが完了する直前、すなわち、板状部材22が防水下地10の最外面とねじ部材21の頭部25とに挟み込まれて板状部材22が防水下地10の最外面に密着した状態になる直前で、板状部材22のうち防水下地10と対向する面と、防水下地10の最外面とが摺動することになる。ここで、板状部材22の外縁28aには成形時にバリが生じることがあり、このようなバリは、防水下地10の最外面を切り裂くおそれがある。特に、板状部材22を鋼板や樹脂被覆鋼板で成形する場合には、打ち抜き加工時に、外縁28aに鋭利なバリが生じ易いため、防水下地10の最外面がバリにより切り裂かれ易い。また、本実施形態のガラス繊維クロスのように、防水下地10の最外面が薄肉のシートである場合には、バリによる切り裂きがより一層発生し易い。
これに対して本実施形態の板状部材22は、上述したように、外縁28aよりも防水下地10側に向かって突出する突部29(図3(a)等参照)が設けられている。そのため、加工時において外縁28aに鋭利なバリが形成された場合であっても、突部29によって、外縁28aと防水下地10の最外面との間に間隙が確保される。したがって、外縁28aにバリが形成されていたとしても、防水シート固定具20の防水下地10に対する固定作業時に、外縁28aが防水下地10と摺動し難くなり、防水下地10がバリにより切り裂かれることを抑制することができる。
なお、外縁28aに形成され得るバリは、鉛直方向上方に突出する場合もある。かかる場合には、板状部材22上に敷設される防水シート30がバリにより傷つけられるおそれがある。そのため、本実施形態の板状部材22は、外縁28aよりも防水下地10側に向かって突出する突部29を有するものであるが、突部29に代えて又は突部29に加えて、外縁28aよりも内側の位置に、外縁28aよりも防水シート30側、すなわち鉛直方向上方に向かって突出する突部を設けるようにしてもよい。つまり、板状部材22には、板状部材22の外縁28aよりも内側の位置で、外縁28aよりも板状部材22の厚み方向の少なくとも一方側に向かって突出する突部が形成されていることが好ましい。但し、板状部材22の外縁28aにおいて形成され得るバリの突出方向にかかわらず、防水下地10及び防水シート30が傷付けられる又は切り裂かれることを抑制するため、板状部材22の厚み方向の一方側に突出する突部と、厚み方向の他方側に突出する別の突部と、を共に設けておくことが特に好ましい。
また、本実施形態の突部29は、板状部材22の厚み方向の一方側に突出する一続きの環状リブにより形成されているが、この構成に限られるものではなく、例えば、外縁28aの近傍で板状部材22の厚み方向の一方側に突出する複数の突起や、一続きではなく間欠的に同心円状に配置された複数のリブなどにより突部29を構成してもよい。
次に、上述した防水シート固定具20の変形例としての防水シート固定具50について説明する。図5は、防水シート固定具50により、防水シート30が防水下地10に対して固定されている防水シート固定構造1´を示す図である。また、図6は、防水シート固定具50の板状部材52の平面図である。なお、図5では、鉛直方向下方から上方に向かって、防水下地10、防水シート固定具50の板状部材52、防水シート30の順に積層されている。また、図6に示す板状部材52の平面図は、板状部材52を、図5において鉛直方向上側から見た場合の図である。
図5、図6に示すように、防水シート固定具50は、板状部材52が、ねじ部材21とは別のねじ部材51を挿通可能な、貫通孔22aとは別の貫通孔52aを区画している点で、上述した防水シート固定具20の構成と相違しており、他の構成は上述した防水シート固定具20と同様である。なお、ねじ部材21とねじ部材51とを区別するため、説明の便宜上、ねじ部材21を「第1ねじ部材21」と記載し、ねじ部材51を「第2ねじ部材51」と記載する。また、貫通孔22aと貫通孔52aとを区別するため、説明の便宜上、貫通孔22aを「第1貫通孔22a」と記載し、貫通孔52aを「第2貫通孔52a」と記載する。
第1貫通孔22aは、板状部材52の略中央に形成されており、第2貫通孔52aは、第1貫通孔22aよりも外周側に形成されている。防水シート固定具50の板状部材52に第2貫通孔52aが形成されていることにより、板状部材52を、第1貫通孔22aに挿通される第1ねじ部材21と第2貫通孔52aに挿通される第2ねじ部材51とにより、防水下地10の支持部材11に対して固定することができる。そのため、第1ねじ部材21が板状部材52に対して相対的に回動することのみならず、第2貫通孔52aに挿通され防水下地10に固定された第2ねじ部材51により、第1ねじ部材21が板状部材52を共回りさせながら緩む方向に回動してしまうことをも抑制することができる。これにより、防水シート30のうち板状部材52に熱溶着されている部分と、板状部材52に熱溶着されていない部分との境界の位置で、板状部材52の回動により、防水シート30に亀裂が生じてしまうことを抑制することができる。なお、板状部材52が比較的小型の構成の場合には、板状部材が大型の構成と比較して第1ねじ部材21と共回りし易いため、板状部材52を、第2貫通孔52aが形成された図5及び図6に示す構成とすることが特に好ましい。
また、図5に示す防水シート固定具50は、第1ねじ部材21及び板状部材52を備える構成であるが、これに加えて、第2ねじ部材51を備える構成としてもよい。
最後に、上述した防水シート固定具20の別の変形例としての防水シート固定具60について説明する。図7は、防水シート固定具60のねじ部材61と板状部材62とを別々に示す斜視図である。また、図8(a)の上側の図は、板状部材62の平面図であり、図8(a)の下側の図は、板状部材62の側面図である。図8(b)は、ねじ部材61の側面図である。
図7、図8に示す防水シート固定具60は、上述した防水シート固定具20及び50と比較して、ねじ部材の基端部の構成及び板状部材の回動規制部の構成が相違しているが、その他の構成は同様である。以下、防水シート固定具60のねじ部材61の基端部61bの構成、及び板状部材62の回動規制部70の構成について主に説明し、上述した防水シート固定具20及び50と同様の構成については説明を省略する。
ねじ部材61は、雄ねじ部61a1が少なくとも一部に形成された略円柱状の本体部61aと、この本体部61aの基端側に設けられ、本体部61aの外面よりも径方向の外側に突出する突出部61b1を有する基端部61bと、を備えている。本体部61aの構成は、上述した防水シート固定具20のねじ部材21の本体部21aの構成と同様である。ねじ部材61の基端部61bは、本体部61aの基端側に連続し、ねじ部材61の基端を構成する多角柱状の頭部65を備えている。なお、図8(b)に示すように、本体部61a及び基端部61bの中心軸線O1は一致している。
図7、図8に示す頭部65は、六角柱状の形状を有しており、本体部61aよりも太く構成されている。換言すれば、頭部65は、本体部61aの外面よりも径方向の外側にフランジ状に突出する突出部61b1を有している。
図7、図8に示すように、板状部材62の中央部には貫通孔62aが形成されており、貫通孔62aの内壁には、貫通孔62aの内側に向かって突出し、貫通孔62aの空間を狭めるフランジ部67aが設けられている。したがって、板状部材62の上面側から、上面とは反対側の面(以下、板状部材62の「下面」と記載する。)側に向かって、ねじ部材61を貫通孔62aに挿通していくと、ねじ部材61の頭部65は貫通孔62a内に入り込み、頭部65が板状部材62の上面から外方に突出しないようにすることができる。なお、貫通孔62aは、上述したフランジ部67aと、図8(a)の平面視において頭部65の形状に合わせて六角形に形成された内面を有する周壁部67bと、により区画されている。そして、ねじ部材61を貫通孔62aに挿通する際は、抜け止め部としての頭部65の下面が、フランジ部67aの上面に突き当たることにより、ねじ部材61が挿通孔62aから抜け落ちることを防ぐと共に、頭部65を貫通孔62a内に保持することができる。
ここで、図7及び図8に示す板状部材62の回動規制部70は、貫通孔62aを区画する内壁のうち、ねじ部材61の中心軸線O1回りの周方向C(図7参照)におけるねじ部材61と板状部材62との相対位置に応じて、ねじ部材61の基端部61bとしての頭部65に設けられた突出部61b1が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部71により構成されている。
具体的に、図7及び図8に示す回動規制部70は、貫通孔62aを区画する内壁のうち、ねじ部材61の中心軸線O1回りの周方向Cにおけるねじ部材61と板状部材62との相対位置に応じて、頭部65の突出部61b1が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部71としての周壁部67bの内面により構成されている。周壁部67bの内面は、図8(a)の平面視において、六角形の形状を有しており、六角柱状の頭部65の突出部61b1は、ねじ部材61と板状部材62との周方向Cにおける相対位置を合わせる、すなわち、頭部65の6つの側面を、周壁部67bの内面における6つの平面(図8(a)の平面視で各辺を構成する6つの平面)に対向するように周方向Cの位置を合わせることにより、貫通孔62aのうち、周壁部67bの内面により区画された部分に挿通可能となる。この一方で、頭部65の6つの角部を、周壁部67bの内面における6つの平面に対向するように周方向Cの位置を合わせると、頭部65は、貫通孔62aのうち、周壁部67bの内面により区画された部分に挿通することができなくなる。
そして、頭部65の突出部61b1が、貫通孔62aのうち周壁部67bの内面により区画された部分に挿通された状態で、ねじ部材61を板状部材62に対して周方向Cに回動させようとすると、ねじ部材61の側壁としての頭部65の突出部61b1の部分の側壁が、貫通孔62aの内壁としての周壁部67bの内面と当接し、ねじ部材61が板状部材62に対して相対的に回動することが制限される。つまり、貫通孔62aを区画する内壁により上述した挿通規制部71が構成されており、この挿通規制部71としての貫通孔62aを区画する内壁が、ねじ部材61の板状部材62に対する回動を規制する回動規制部70を構成している。
なお、図7及び図8に示す防水シート固定具60において、「ねじ部材61が貫通孔62aに所定深さまで挿通された状態」とは、ねじ部材61の頭部65が、板状部材62のフランジ部67aに突き当たる状態を意味しており、ねじ部材61の頭部65が、板状部材62のフランジ部67aに突き当たった状態において、頭部65の突出部61b1は、貫通孔62aのうち挿通規制部71により区画される部分、すなわち、周壁部67bの内面により区画される部分に挿通された状態となっている。
このように、突出部を柱状部の一部で構成するもの(図1〜図6参照)に限らず、図7に示す防水シート固定具60のように、突出部61b1を、ねじ部材61の頭部65の一部で構成することも可能である。
本発明に係る防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材は、上述した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図7に示す防水シート固定具60の板状部材62に、図5及び図6に示す第2貫通孔52aを形成することも可能である。また、図7及び図8で示すねじ部材61の頭部65は、六角柱状の形状を有するものであるが、例えば、頭部65を、三角柱状、五角柱状、八角柱状などの他の多角柱形状にしてもよい。更に、上述したねじ部材21、51及び61は、本体部の一部に、ねじ山のない胴部を備えるものであるが、本体部を、例えば、ねじ山が設けられたねじ部のみで構成することも可能である。
本発明は、防水シート固定具、防水シート固定構造及び板状部材に関する。
1、1´:防水シート固定構造
10:防水下地
11:支持部材
12:断熱部材
13:調湿部材
14:不燃部材
20:防水シート固定具
21:ねじ部材(第1ねじ部材)
21a:本体部
21a1:雄ねじ部
21b:基端部
21b1:突出部
22:板状部材
22a:貫通孔(第1貫通孔)
23:ねじ部
24:胴部
25:頭部
26:柱状部
27a:フランジ部
27b:周壁部
28:外縁部
28a:外縁
29:突部
40:回動規制部
41:挿通規制部
50:防水シート固定具
51:ねじ部材(第2ねじ部材)
52:板状部材
52a:貫通孔(第2貫通孔)
60:防水シート固定具
61:ねじ部材
61a:本体部
61a1:雄ねじ部
61b:基端部
61b1:突出部
62:板状部材
62a:貫通孔
65:頭部
67a:フランジ部
67b:周壁部
70:回動規制部
71:挿通規制部
C:周方向
O1:中心軸線
10:防水下地
11:支持部材
12:断熱部材
13:調湿部材
14:不燃部材
20:防水シート固定具
21:ねじ部材(第1ねじ部材)
21a:本体部
21a1:雄ねじ部
21b:基端部
21b1:突出部
22:板状部材
22a:貫通孔(第1貫通孔)
23:ねじ部
24:胴部
25:頭部
26:柱状部
27a:フランジ部
27b:周壁部
28:外縁部
28a:外縁
29:突部
40:回動規制部
41:挿通規制部
50:防水シート固定具
51:ねじ部材(第2ねじ部材)
52:板状部材
52a:貫通孔(第2貫通孔)
60:防水シート固定具
61:ねじ部材
61a:本体部
61a1:雄ねじ部
61b:基端部
61b1:突出部
62:板状部材
62a:貫通孔
65:頭部
67a:フランジ部
67b:周壁部
70:回動規制部
71:挿通規制部
C:周方向
O1:中心軸線
Claims (10)
- ねじ部材と、
前記ねじ部材が挿通される貫通孔を区画する板状部材と、を備え、
前記板状部材は、前記貫通孔に挿通された前記ねじ部材により防水下地に対して固定されると共に、前記板状部材を挟んで前記防水下地とは反対側に敷設される防水シートを固定可能であり、
前記板状部材は、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された状態で、前記板状部材に対する前記ねじ部材の相対的な回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とする防水シート固定具。 - 前記回動規制部は、前記ねじ部材が前記貫通孔に前記所定深さまで挿通された状態で、前記ねじ部材の側壁と当接して前記ねじ部材の回動を規制する、前記貫通孔を区画する内壁により構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の防水シート固定具。
- 前記ねじ部材は、雄ねじ部が少なくとも一部に形成された本体部と、前記本体部の基端側に設けられ、前記本体部の外面よりも径方向の外側に突出する突出部を有する基端部と、を備え、
前記回動規制部は、前記貫通孔を区画する内壁のうち、前記ねじ部材の中心軸線回りの周方向における前記ねじ部材と前記板状部材との相対位置に応じて突出部が挿通可能な状態と挿通できない状態とに変化する挿通規制部により構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の防水シート固定具。 - 前記基端部は、前記ねじ部材の基端を構成する頭部と、前記頭部と前記本体部との間に位置する多角柱状の柱状部と、を備え、
前記突出部は、前記柱状部の一部であることを特徴とする、請求項3に記載の防水シート固定具。 - 前記基端部は、前記ねじ部材の基端を構成する多角柱状の頭部を備え、
前記突出部は、前記頭部の一部であることを特徴とする、請求項3に記載の防水シート固定具。 - 前記板状部材には、前記板状部材の外縁よりも内側の位置で、前記外縁よりも前記板状部材の厚み方向の少なくとも一方側に向かって突出する突部が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の防水シート固定具。
- 前記ねじ部材を第1ねじ部材とし、前記貫通孔を第1貫通孔とした場合には、
前記板状部材は、第2ねじ部材を挿通可能な第2貫通孔を区画していることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の防水シート固定具。 - 防水下地と、
前記防水下地に対して固定された防水シート固定具と、
前記防水下地及び前記防水シート固定具を覆うように敷設され、前記防水シート固定具に固定される防水シートと、を備える防水シート固定構造であって、
前記防水シート固定具は、ねじ部材と、前記ねじ部材が挿通される貫通孔を区画する板状部材と、を備え、
前記板状部材は、前記貫通孔に挿通された前記ねじ部材により前記防水下地に対して固定されていると共に、敷設された前記防水シートが固定されており、
前記板状部材は、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された状態で、前記板状部材に対する前記ねじ部材の相対的な回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とする防水シート固定構造。 - 前記防水下地は、建物の軸組架構に固定されている支持部材と、前記支持部材と前記防水シートとの間に配置されている断熱部材と、を備え、
前記ねじ部材は、前記断熱部材を貫通し、前記支持部材に対して固定されていることを特徴とする、請求項8に記載の防水シート固定構造。 - 防水シートを固定可能であると共に、ねじ部材により防水下地に対して固定される板状部材であって、
前記ねじ部材を挿通可能な貫通孔を区画すると共に、前記ねじ部材が前記貫通孔に所定深さまで挿通された際に前記ねじ部材の回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とする板状部材。
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