本発明の実施の形態に係るエレベータについて図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
1.構成
図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムの構成の概要を示した図である。
エレベータシステムは、複数台のエレベータ30と、群管理制御装置5とを有している。
各エレベータ30は、乗りかご20と、乗りかご20を昇降させる昇降機構39と、釣合おもり38と、昇降機構39等の動作を制御するエレベータ制御装置10とを有している。エレベータ制御装置10は、例えば乗りかご20が昇降する塔内や、昇降機構39が配置される機械室に配置され、群管理制御装置5に接続され、群管理制御装置5と種々の信号を授受する。
群管理制御装置5は、複数台のエレベータ30の運行を統合的に制御する。
図2は、エレベータ乗場の外観を示した図である。
エレベータ乗場の壁100には、乗場扉101により開閉される乗場開口100aが設けられている。また、エレベータ乗場の壁100には、ホールランタン102、操作盤110、及び表示盤120が設けられている。
ホールランタン102は、乗りかご20が現在階に到着したことを報知する照明装置である。ホールランタン102は、乗りかご20が現在階に到着したときにエレベータ制御装置10から出力される信号に基づいて例えば所定回数点滅し、乗りかご20が現在階に到着したことを報知する。
操作盤110には、上方向の呼びの登録操作を受け付ける上方向呼びボタン111及び下方向の呼びの登録操作を受け付ける下方向呼びボタン112が設けられている。操作盤110は、上方向呼びボタン111または下方向呼びボタン112のうち操作されたボタンに対応する信号をエレベータ制御装置10に出力する。
表示盤120には、かご位置表示部121及び混雑状況表示部122が設けられている。
かご位置表示部121は、エレベータ制御装置10から出力される信号に基づいて、乗りかご20が現在位置する階床を示す数字と、乗りかご20の進行方向を示す矢印を表示する。かご位置表示部121は、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置により構成可能である。
混雑状況表示部122は、エレベータ制御装置10から出力される信号に基づいて、乗りかご20内の現在の混雑状況を表示する。混雑状況表示部122は、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置により構成可能である。混雑状況表示部122は、現在の混雑状況として、乗車中の乗客によるかご床の占有状況を示すかご床占有率Rc(後で詳述する)を示す数値を表示する。なお、混雑状況表示部122は、現在の混雑状況として、かご床占有率Rcに基づいて、乗客が現在の混雑状況を認識可能な態様のグラフィカルな画像を生成して表示してもよい。例えば、混雑状況に応じて増減する表示シンボルや、混雑状況に応じて色が変化する表示シンボルなどを含む画像を表示させてもよい。また、混雑状況表示部122は、混雑状況に応じて点灯状態が変化する複数のランプにより構成されてもよい。このような混雑状況表示部122を設けることで、乗客は乗りかご20に乗車する前に混雑状況を認識し、乗車するか否かなどの判断を行うことができる。
図3は、乗りかごの内部の外観を示した図である。
乗りかご20の内部の正面部には、かごドア21と、かごドア21により開閉される乗降口20aが設けられている。また、正面部の内面には、操作盤31と、スピーカ36と、かご位置表示部37が設けられている。図3では、かごドア21が、左右に開く左かごドア21Lと右かごドア21Rとの2枚扉で構成された例を示しているが、他の実施の形態で後述するように、かごドア21の構成はこれに限定されない。
操作盤31には、複数個の階床ボタンや、戸開ボタンや、戸閉ボタン等が設けられている。操作盤31は、複数個の階床ボタン、戸開ボタン、及び戸閉ボタンのうち操作されたボタンに対応する信号をエレベータ制御装置10に出力する。
かご位置表示部37は、エレベータ制御装置10から出力される信号に基づいて、乗りかご20が現在位置する階床を示す数字と、乗りかご20の進行方向を示す矢印を表示する。かご位置表示部37は、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置により構成可能である。
スピーカ36は、エレベータ制御装置10から出力される音声信号に基づいて、エレベータ利用に関する案内や注意を音声により報知する。
図4は、乗りかごの乗降口部分の水平断面を模式的に示した図である。図4(a)は、かごドア21が閉じた状態で示され、図4(b)は、かごドア21が開いた状態で示されている。
図3、図4に示すように、乗りかご20のかごドア21には、マルチビームセンサ50が設けられている。具体的に、左かごドア21Lの戸当たり部には、マルチビームセンサ50の投光部51が配置され、右かごドア21Rの戸当たり部には、マルチビームセンサ50の受光部52が配置されている。なお、左かごドア21Lの戸当たり部に、マルチビームセンサ50の受光部52が配置され、右かごドア21Rの戸当たり部に、マルチビームセンサ50の投光部51が配置されてもよい。また、他の実施の形態において後述するように、マルチビームセンサ50の配置はこれに限定されない。
投光部51は、上下方向に所定間隔で並べて配置された複数の投光器51aを有している。受光部52は、上下方向に所定間隔で並べて配置された複数の受光器52aを有している。複数個の投光器51aと複数個の受光器52aとは、乗降口20aが開放された状態で、乗降口20aを左右に跨いで対向する。投光器51aは、例えばLEDにより構成される。受光器52aは、例えばフォトダイオードにより構成される。
図5は、エレベータの制御システムのシステム構成を示したブロック図である。
エレベータ制御装置10には、群管理制御装置5、操作盤31、昇降モータ32、ドアモータ33、荷重検出部35、スピーカ36、かご位置表示部37、センサ制御装置60、操作盤110、かご位置表示部121、混雑状況表示部122が電気的に接続されている。センサ制御装置60には、マルチビームセンサ50が電気的に接続されている。
エレベータ制御装置10は、プロセッサ11、記憶部12、入出力インタフェース13を有する。エレベータ制御装置10は、コンピュータなどを利用して構成できる。
プロセッサ11は、プログラムに基づく演算処理を実行し、エレベータ制御装置10における後述する各種の機能を実現する。プロセッサ11は、例えばCPU、MPU、ASIC、FPGA、GPUを利用して構成される。
記憶部12は、プログラムや各種のデータを記憶している。プログラムには、プロセッサ11により実行されることでエレベータ制御装置10に後述する各種の機能を実現させるプログラムが含まれる。また、各種のデータには、上記プログラムが参照するデータ等が含まれる。また、各種のデータには、かご位置表示部37、かご位置表示部121、及び混雑状況表示部122に表示する各種の表示画面のデータや、スピーカ36から出力される音声のデータなどが含まれる。記憶部12は、例えばHDD、SSD、RAM、ROMを利用して構成される。
入出力インタフェース13は、外部機器との間で種々の電気信号を入出力するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、例えば、LANインタフェースや、USB、RS−232C/422/485などのシリアル通信用インタフェース、音声信号入出力端子、映像信号入出力端子、アナログ信号用入出力端子、接点信号用入出力端子、専用規格のインタフェース等を備えている。
入出力インタフェース13には、上述した群管理制御装置5、操作盤31、昇降モータ32、ドアモータ33、荷重検出部35、スピーカ36、かご位置表示部37、センサ制御装置60、操作盤110、かご位置表示部121、混雑状況表示部122が接続されている。
昇降モータ32は、昇降機構39を駆動し、乗りかご20を昇降させる。昇降モータ32は、エレベータ制御装置10から出力される駆動信号により駆動される。
ドアモータ33は、ドア開閉機構(図示せず)を駆動し、かごドア21を開閉させる。ドアモータ33は、エレベータ制御装置10から入力される駆動信号により駆動される。かごドア21が開閉されるとき、乗場の乗場扉101が機械的に連動して開閉する。
荷重検出部35は、乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出し、検出した荷重の大きさを示す信号をエレベータ制御装置10に出力する。具体的に、乗りかご20は図1に示すようにゴムなどの弾性体26を介してかごフレーム25に取り付けられ、荷重検出部35は、物体の荷重により沈み込む乗りかご20の床で圧縮された弾性体26の圧縮状態(例えば圧縮された弾性体の厚み)を検出することで、乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出する。荷重検出部35は、例えば、距離センサを用いて構成でき、この場合、乗りかご20の床の下面とかごフレーム25の下辺との間の上下方向距離を計測することで、圧縮された弾性体26の厚みを検出することができる。
センサ制御装置60は、マルチビームセンサ50が有する複数の投光器51a及び複数の受光器52aの投光(発光)動作及び受光動作を制御する。センサ制御装置60は、信号出力部の一例である。センサ制御装置60は、エレベータ制御装置10同様に、プロセッサ、記憶部、入出力インタフェースを有する。センサ制御装置60の記憶部には、マルチビームセンサ50の複数の投光器51a及び複数の受光器52aの投光(発光)動作及び受光動作を制御するためのプログラムや、エレベータ制御装置10との間で信号を授受するためのプログラムが格納されている。センサ制御装置60は、コンピュータなどを利用して構成できる。
エレベータ制御装置10は、操作盤31、荷重検出部35、センサ制御装置60、操作盤110等から入力される種々の信号に基づいて、昇降モータ32及びドアモータ33の駆動を制御するとともに、スピーカ36に音声信号を出力し、かご位置表示部37、かご位置表示部121、及び混雑状況表示部122に表示信号を出力する。
図6は、マルチビームセンサ50の構成を示した図である。
マルチビームセンサ50の投光部51は、上下方向に所定間隔Dhで並べて配置されたN個(i1〜iN)の投光器51aを有している。また、受光部52は、上下方向に所定間隔Dhで並べて配置されたN個(j1〜jN)の受光器52aを有している。以下では、N個の投光器51aを区別するために、上から順にi1〜iNの通し番号を付して、適宜、投光器i1〜iNと表記する。また、N個の受光器52aを区別するために、上から順にj1〜jNの通し番号を付して、適宜、受光器j1〜jNと表記する。同じ通し番号を有する投光器51aと受光器52aは、同じ高さ位置に配置されている。Nは任意であるが例えば40であり、所定間隔Dhは任意であるが例えば5cmである。
投光器i1〜iNの投光タイミング及び受光器j1〜jNの受光タイミングは、センサ制御装置60により、個別に制御される。
センサ制御装置60は、投光器i1〜iNに、上の投光器から順に1個ずつ、センサ光を投光させる。センサ制御装置60は、投光器ik(kは1〜Nの整数)にセンサ光を投光させたとき、同じ高さに配置された受光器jkと、受光器jkの上方の所定個mの受光器jk−1〜jk−mと、受光器jkの下方の所定個mの受光器jk+1〜jk+mのそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。つまり、センサ制御装置60は、投光器ikにセンサ光を投光させたとき、同じ高さに配置された受光器jkを中心とする合計2m+1個の受光器jk−m〜jk+mのそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。受光器jk−m〜jk+mを、以下適宜、投光器ikに対して所定の位置関係にある受光器jk−m〜jk+mという。なお、上端側及び下端側については位置関係上、合計2m+1個とならない場合がある。
図7は、センサ制御装置によるマルチビームセンサの投光/受光制御例を説明した図である。
図7では、所定個mが2個である例を示しており、センサ制御装置60は、投光器ik(kは1〜Nの整数)にセンサ光を投光させたとき、同じ高さに配置された受光器jkと、受光器jkの上方の2個の受光器jk−1〜jk−2と、受光器jkの下方の2個の受光器jk+1〜jk+2とのそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。図7(a)では、最も上の投光器i1にセンサ光を投光させたときを示しており、このとき、センサ制御装置60は、同じ高さに配置された受光器j1と、受光器j1の下方の2個の受光器j2〜j3のそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。図7(b)では、投光器i2にセンサ光を投光させたときを示しており、このとき、センサ制御装置60は、同じ高さに配置された受光器j2と、受光器j2の上方の受光器j1と、受光器j2の下方の2個の受光器j3〜j4のそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。図7(c)では、投光器i3にセンサ光を投光させたときを示しており、このとき、センサ制御装置60は、同じ高さに配置された受光器j3と、受光器j3の上方の2個の受光器j1〜j2と、受光器j3の下方の2個の受光器j4〜j5のそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。図7(d)では、投光器iNにセンサ光を投光させたときを示しており、このとき、センサ制御装置60は、同じ高さに配置された受光器jNと、受光器jNの上方の2個の受光器jN−1〜jN−2のそれぞれについて、センサ光が受光されたか否かを上側の受光器から順に判断する。
このように、投光器i1〜iNに、上の投光器から順に1個ずつセンサ光を投光させながら、投光させた投光器に対して所定の位置関係にある複数個の受光器についてそれぞれセンサ光が受光されたか否かを判断する。そして、センサ光を受光できない受光器に初めて行き当ったとき、受光できなかった受光器のセンサ番号を記憶する。投光器i1〜iNの全てについて、上述した所定の位置関係にある各受光器での受光状況の確認が完了すると、記憶されているセンサ番号のうち最も若い(小さい)センサ番号を示す信号、つまり記憶されているセンサ番号の受光器の高さ位置を示す信号(以下適宜「高さ信号」という)を出力する。センサ番号の記憶がなかった場合(すべての受光器でセンサ光を受光できた場合)は、すべての受光器がセンサ光を受光したことを示す高さ信号を出力する。以上の動作をセンサ制御装置60は、所定時間周期(例えば33ms)毎に繰り返す。なお、センサ光を受光できない受光器に初めて行き当った以降は、投光器にセンサ光を投光させることを省略してもよい。このような投光の省略を行っても、高さ信号の出力は上記所定時間周期(例えば33ms)で行う。なお、高さ信号は、デジタル形式の信号、アナログ形式の信号など、どのような形式の信号であってもよい。
図8及び図9は、マルチビームセンサでの遮光例を模式的に説明した図である。
図8に示すように、乗客が乗降口20a(マルチビームセンサ50)を通過したものとする。この通過時に、図9に示すように、マルチビームセンサ50の投光器i1〜iNが高い位置のものから順に1個ずつセンサ光を投光すると、いずれかの高さでセンサ光が乗客により遮られ受光器で受光されなくなる。図9では、遮光されたセンサ光を破線で示している。そして、投光器から投光されたセンサ光を受光しなかった受光器のうち最も高い位置にある受光器の高さ位置を示す高さ信号が所定時間周期(例えば33ms周期)でセンサ制御装置60から出力される。
2.動作
2−1.エレベータの基本的な動作
いずれかの階床の乗場の操作盤110の上方向呼びボタン111または下方向呼びボタン112が乗客により押されると、ボタンが押されたことが群管理制御装置5に伝達される。群管理制御装置5は、複数台のエレベータ30のうちのいずれか1台に呼びを割り当てて、割り当てたエレベータ30のエレベータ制御装置10に、上方向呼びボタン111または下方向呼びボタン112の操作があった階(目的階)に向かうことを指令する呼び応答指令を出力する。乗りかご20内の操作盤31の階床ボタンが乗客により押されると、押された階床ボタンに対応する階床を示す信号がエレベータ制御装置10に伝達される。エレベータ制御装置10は、群管理制御装置5から呼び応答指令を受信したり、操作盤31から、押された階床を示す信号を受信したりすると、対応する乗りかご20の昇降モータ32を制御し、乗りかご20を昇降させる。また、エレベータ制御装置10は、乗りかご20内の操作盤31の戸開ボタンや戸閉ボタンが押されたり、呼び応答指令の目的階または操作盤31で押された階床に乗りかご20が到着したりすると、乗りかご20のドアモータ33を制御し、かごドア21を開閉させる。
また、各エレベータ30のエレベータ制御装置10は、マルチビームセンサ50のセンサ制御装置60から出力される信号に基づいて、対応する乗りかご20のドアモータ33を制御し、かごドア21を開閉させる。例えば、かごドア21を閉める動作中に受信した高さ信号が所定回(例えば5回)連続して、センサ光が遮光されていることを示している場合、エレベータ制御装置10は、乗客が乗降口20a付近に存在していると判断し、かごドア21の移動方向を反転させてかごドア21を開かせる動作を行う。一方、かごドア21を閉める動作を行っているときに受信した高さ信号が、例えば1回や2回だけ、センサ光が遮光されていることを示し、その後、センサ光が遮光されていないことを示す状態に戻った場合には、かごドア21の向きは反転させずにかごドア21を閉じる動作を継続する。これは、例えば、乗降口20a付近の浮遊ゴミを検出したと考えられるためである。
また、各エレベータ30のエレベータ制御装置10は、マルチビームセンサ50のセンサ制御装置60から出力される高さ信号と、荷重検出部35から出力される荷重信号とに基づいて、エレベータ30の乗りかご20に乗降する乗客の乗客種別を判定する。エレベータ制御装置10は、乗客種別の判定結果と乗車毎の荷重に基づいて乗客毎の占有面積Sを求め、求めた占有面積Sに基づいてかご内の混雑状況を推定し、混雑状況を示す情報を乗場の混雑状況表示部122に表示させる。ここで、乗客種別とは、乗客の身長(高さ)や、体重(荷重の変化量)や、車椅子やショッピングカートなどの移動車の利用状況などに基づいて分類した乗客の種別である。本実施の形態では、乗客を「第1種子供」、「第2種子供」、「車椅子利用者」、「大人(移動車を伴わない)」、「第1種移動車を伴う大人」、「第2種移動車を伴う大人」、「複数人の大人」の7個の乗客種別のいずれかに分類する。これらの乗客種別の詳細については後述する。以下、乗客種別の判定処理等についてくわしく説明する。
2−2.乗客種別の判定処理等
図10〜図13は、乗客種別判定処理を説明した図である。
図10では、大人の乗客P1、P2が乗降口20aを順次通過した例を示している。乗客P1、P2が乗降口20aを通過している間、センサ制御装置60から所定時間(例えば33ms)周期で、受光器52aがセンサ光を受光していないことを示す高さ信号が出力される。高さ信号が示す高さ位置は、乗客の前後方向(通過方向)の上縁形状に応じて変動する。乗客P1が通過し終わってから乗客P2が通過し始めるまではいずれのセンサ光も遮られないため、センサ制御装置60は全ての受光器52aがセンサ光を受光していることを示す高さ信号を出力する。
図14は、エレベータ制御装置における、乗客種別判定に基づく混雑状況表示処理を説明したフローチャートである。
図14のフローチャートに基づく処理は、各エレベータ30について、乗りかご20がいずれかの階に到着してかごドア21が開いたときに開始される。
エレベータ制御装置10は、戸開していたかごドア21が戸閉したか否かを判断する(S1)。戸開していたかごドア21が戸閉するのは、例えば、乗りかご20が次の目的階に向けて出発するときである。
かごドア21が戸閉していない場合(S1でNO)、エレベータ制御装置10は、第3高さH3の受光器52aが、センサ光を受光したか否かを判断する(S2)。この判断は、図7により説明した処理、すなわち、投光器i1〜iNを上の投光器から順に1個ずつ投光させながら、受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aを探索した結果に基づいて行われる。より具体的に、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms周期で出力される高さ信号に基づいて、センサ光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aの高さを求め、求めた受光器52aの高さが第3高さH3以上の高さであるときは、第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断し、求めた受光器52aの高さが第3高さH3よりも低い高さであるときは、第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光したと判断する。ここで、第3高さH3は、乗客に伴って床面上で移動される移動車を適切に検出可能なように、移動車の上端の高さよりも低い高さに設定されている。また、第3高さH3は、乗降する乗客の脚の蹴り出しの影響が少ない高さに設定されている。具体的に、人の歩行時には脚の下部側ほど前後に多く蹴り出されるが、蹴り出した脚が検出されると、乗降口20aの通過時に蹴り出されている脚の量の影響を受けて、歩行中の大人などを判定するための乗客種別判定に用いられる第2遮光時間TA(図10参照。後で詳述する)が長くなったり、短くなったりして、第2遮光時間TAにばらつきが生じる。その結果、第2遮光時間TAなどに基づく乗客種別判定を適切に行えなくなる虞がある。これを抑制するため、本実施の形態では、第3高さH3を、移動車を適切に検出可能な限度でできるだけ高い高さに設定している。例えば、第3高さHは40cmに設定され、これにより、蹴り出しによる影響をできるだけ少なくして、シルバーカー、スーツケース、車椅子などの移動車を伴う乗客を適切に検出できる。
第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光している場合(S2でYES)、エレベータ制御装置10は、ステップS1の処理に戻る。
第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光しなくなった場合(S2でNO)、乗客が乗降口20aを通って乗降を開始したと推定されるので、エレベータ制御装置10は、乗降する乗客に関する乗客パラメータ取得処理(第2遮光時間TA,第1遮光時間TP,荷重W1,荷重W2,荷重W3,荷重の変化量Wc,ピーク数CPなどの取得処理)を実行する(S3)。図10の例では、例えば乗客P1に関して、時刻T1の時点で、第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断され、乗客パラメータ取得処理が開始されることとなる。乗客パラメータ取得処理について、図15と上記図10を参照して具体的に説明する。
図15は、エレベータ制御装置における乗客パラメータ取得処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TA,第1遮光時間TP,荷重W1,荷重W2,荷重W3,荷重の変化量Wc,ピーク数CP、フラグCなどのデータをそれぞれ初期化する(S101)。具体的には、これらをそれぞれ0(零)に設定する。
エレベータ制御装置10は、上記ステップS2において第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光しなくなったと判断された時刻T1の時点(第1時点)において荷重検出部35で計測された荷重Wを荷重W1として記憶する(S102)。
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの計時を開始する(S103)。
エレベータ制御装置10は、第4高さH4の受光器52aが、センサ光を受光したか否かを判断する(S104)。具体的に、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms周期で出力される高さ信号に基づいて、センサ光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aの高さを求め、求めた受光器52aの高さが第4高さH4以上の高さであるときは、第4高さH4の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断し、求めた受光器52aの高さが第4高さH4よりも低い高さであるときは、第4高さH4の受光器52aがセンサ光を受光したと判断する。ここで、第4高さH4は、第3高さH3を基準として、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定されている。第4高さH4の設定について上記図9を参照して詳しく説明する。
図9に示すように、本実施の形態のマルチビームセンサ50では、センサ光はメッシュ状に投光される。乗客が通過するときセンサ光が遮光される。図9では、遮光されたセンサ光は破線で示し、遮光されていないセンサ光は実線で示している。センサ光i3−j5、センサ光i4−j4、及びセンサ光i5−j3は、人の頭頂付近の同じ高さ位置で交差し、それぞれ遮光される。これらのセンサ光i3−j5、センサ光i4−j4、及びセンサ光i5−j3は、投光制御で説明したように、同時に投光されるのでなく上の投光器から個別に順に投光される。そして、これらのセンサ光i3−j5、センサ光i4−j4、及びセンサ光i5−j3のうち移動する人によって最初に遮光されたセンサ光に対応する受光器が、センサ光を受光しなかった受光器のうち最も高い位置の受光器であると判断され、その受光器の高さに対応する高さ信号がセンサ制御装置60から出力される。つまり、同じ高さの人であっても、通過タイミングによって、最初に遮光されるのがセンサ光i3−j5であったり、センサ光i4−j4であったり、センサ光i5−j3であったりする。したがって、同じ高さの人であっても、センサ光を最初に受光しなくなったと判断される受光器は、受光器j5となったり、受光器j4となったり、受光器j3となったりする。そして、同じ人が通過中であると想定される33ms後には、投光器i3、投光器i4、投光器i5のうち、最初に投光される投光器i3から投光されたセンサ光i3−j5を受光すべき受光器j5が、センサ光を受光しなかった受光器のうち最も高い位置の受光器であると判断される可能性が高い。このように、同じ高さの人が通過した場合でも、受光しなかった受光器の高さの判断に揺らぎが生じる。この揺らぎに対する対策をとらない場合には、第3高さH3の受光器がセンサ光を受光しなかったと判断された後、次の判断タイミングの33ms後には、第3高さH3の受光器がセンサ光を受光したと判断される場合がある。つまり、高さの判断にばたつきが生じる虞がある。これを考慮して第4高さH4を設けるとともに、第3高さH3と第4高さH4との高さ間隔を、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定している。本例のように所定個mが2個である場合、検知高さのばらつきは上述のように受光器j3と受光器j5との高さの差、つまり2×Dhとなる。そのため、第3高さH3を基準として、2×Dhよりも大きい例えば3×Dh分だけ下方にある受光器の高さを、第4高さH4とする。所定間隔Dhが例えば5cmであるとすると、第3高さH3と第4高さH4の上下間隔は15cmとなる。なお、本実施の形態のように構成することで、乗客の頭部の微小な凹凸に過敏に反応して第3高さH3の受光器がセンサ光を受光したり受光しなくなったりするばたつきについても抑制できる。
第4高さH4の受光器52aがセンサ光を受光していない場合(S104でNO)、エレベータ制御装置10は、フラグCの値が0であるか否かを判断する(S105)。
フラグCの値が0である場合(S105でYES)、エレベータ制御装置10は、第1高さH1の受光器52aがセンサ光を受光したか否かを判断する(S106)。具体的に、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms周期で出力される高さ信号に基づいて、センサ光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aの高さを求め、求めた受光器52aの高さが第1高さH1以上の高さであるときは、第1高さH1の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断し、求めた受光器52aの高さが第1高さH1よりも低い高さであるときは、第1高さH1の受光器52aがセンサ光を受光したと判断する。ここで、第1高さH1は、人が乗っている車椅子を押す大人(後述する第1種移動車を伴う大人)の乗客を適切に検出可能なように、図11(c)に示すように、車椅子に乗る人(P3)の頭頂高さよりも高く、かつ立った状態の大人(P4)の頭頂高さよりも低い高さに設定されている。これは、第1高さH1が、車椅子に乗る人(P3)の頭頂高さよりも低いと、第2遮光時間TAの間に、車椅子に乗る人(P3)とそれを押す人(P4)とのそれぞれについて、第1遮光時間TPが検出されることとなり、つまり2回検出されることとなり、連続乗降する複数人の大人との判別ができなくなる。そこで、人が乗っている車椅子を押す大人の乗客(第1種移動車を伴う大人)を適切に検出可能なように、本実施の形態では、第1高さH1を、車椅子に乗った状態の、成人平均身長よりも高い第1所定身長の人の頭頂高さよりも高く、かつ立った状態の、成人平均身長よりも低い第2所定身長の人の頭頂高さよりも低い高さに設定している。第1所定身長は、例えば180cmである。第2所定身長は、例えば150cmである。より具体的には、例えば、第1高さH1は、車椅子の座面高さ(例えば45cm)に第1所定身長の人(例えば身長180cmの人)の座高(例えば180cm×0.54)を加算した高さ(約140cm)よりも高いが、第2所定身長の150cmよりも低い、145cmに設定する。
第1高さH1の受光器52aがセンサ光を受光している場合(S106でYES)、エレベータ制御装置10は、ステップS104の処理に戻る。
第1高さH1の受光器52aがセンサ光を受光していない場合(S106でNO)、エレベータ制御装置10は、第1遮光時間TPの計時を開始し(S107)、フラグCの値として1を設定する(S108)。図10の場合、例えば乗客P1に関しては、時刻T2の時点で、第1高さH1の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断され、第1遮光時間TPの計時が開始されることとなる。
フラグCの値が0でない場合(S105でNO)、エレベータ制御装置10は、ステップS106〜S108をバイパスする。
エレベータ制御装置10は、第2高さH2の受光器52aがセンサ光を受光したか否かを判断する(S109)。具体的に、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms周期で出力される高さ信号に基づいて、センサ光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aの高さを求め、求めた受光器52aの高さが第2高さH2以上の高さであるときは、第2高さH2の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断し、求めた受光器52aの高さが第2高さH2よりも低い高さであるときは、第2高さH2の受光器52aがセンサ光を受光したと判断する。ここで、第2高さH2は、第1高さH1を基準として、第3高さH3と第4高さH4と同様の高さ関係で、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定されている。
図15に戻り、第2高さH2の受光器52aがセンサ光を受光していない場合(S109でNO)、エレベータ制御装置10は、ステップS104の処理に戻る。
第2高さH2の受光器52aがセンサ光を受光している場合(S109でYES)、エレベータ制御装置10は、第1遮光時間TPの計時を停止する(S110)。上記図10の場合、例えば乗客P1に関しては、時刻T3の時点で第2高さH2の受光器52aがセンサ光を受光していると判断され、第1遮光時間TPの計時が停止されることとなる。
エレベータ制御装置10は、ピーク数CPに1を加算し(S111)、ステップS104の処理に戻る。
ステップS104において、第4高さH4の受光器52aがセンサ光を受光している場合(S104でYES)、エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの計時を停止する(S112)。図10の場合、例えば乗客P1に関しては、時刻T4の時点で、第4高さH4の受光器52aがセンサ光を受光していないと判断され、第2遮光時間TAの計時が停止されることとなる。
エレベータ制御装置10は、荷重検出部35から出力される荷重信号が示す荷重の微分値を求め、求めた微分値が0(零)か否かを判断する(S113)。
荷重の微分値が0(零)でない場合(S113でNO)、エレベータ制御装置10は、荷重の微分値が0(零)であると判断される(S113でYES)まで、ステップS113の判断を繰り返す。
荷重の微分値が0(零)である場合(S113でYES)、エレベータ制御装置10は、荷重検出部35で現在計測されている荷重Wを荷重W2として記憶する(S114)。図10の場合、例えば乗客P1に関しては、第2遮光時間TAの計測が完了した時刻T4の後において荷重の波形に矢印Pcで示すような極値点が初めて生じた時刻T5の時点(第2時点)で、荷重の微分値が0(零)になったと判断され、時刻T5の時点(第2時点)で計測された荷重Wが荷重W2として記憶される。
エレベータ制御装置10は、乗客の乗降の際に計測された荷重の変化量Wcを求める。具体的には、エレベータ制御装置10は、荷重W2から荷重W1を減算した値の絶対値|W2−W1|を、乗降した乗客による荷重の変化量Wc(図10参照)とする(S115)。
ここで、乗降した乗客による荷重の変化量Wcの計測終了時期を、図10に示すように、第2遮光時間TAの計測が完了した時刻T4の後において荷重の波形に矢印Pcで示すような極値点が初めて生じた(荷重の微分値が初めて0(零)となった)時刻T5の時点(第2時点)とした理由について説明する。前述したように乗りかご20の床はゴムなどの弾性体26(バネ要素)を介してかごフレーム25に取り付けられ、荷重検出部35は、例えば物体の荷重により沈み込む乗りかご20の床で圧縮された弾性体26の圧縮状態(例えば圧縮された弾性体26の厚み)を検出することで、乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出する。この場合、乗客の乗降時には、荷重の変化がなくなるまでの間において計測値に振動(変動)が発生する。乗降した乗客について正確な荷重を取得(計測)するには、時刻T5の時点(第2時点)よりも後の、計測値に振動(変動)がなくなった時点(荷重W3で安定した時点)、あるいは次の乗客P2に関して第3高さH3の受光器が受光しなくなった時刻T11の時点(以下適宜、「第3時点T11」という)を、計測終了時期とすることが考えられるが、これらの場合、荷重の変化量の計測終了時期が時刻T5よりも遅くなり、乗客種別の判定や、それに基づく占有面積の計算や、占有面積に基づく混雑状況表示の更新も遅くなる。また、図10では乗客P1と乗客P2が時間的に離れたタイミングで通過しているが、仮に乗客P1と乗客P2の通過タイミングが時間的にあまり離れていないと、乗客P1による荷重変化(振動)がなくなる前に、乗客P2による荷重変化(振動)が発生し、乗客P1による荷重変化量及び乗客P2による荷重変化量を適切に取得できなくなる。これを避けるため、本実施の形態では、時刻T5の時点(第2時点)を、荷重の変化量Wcの計測終了時期としている。さらに、時刻T5の後の安定状態のときの荷重の変化量Waに基づいて、占有面積の補正や、補正後の占有面積に基づく混雑状況表示の更新などを行うようにしている。
エレベータ制御装置10は、図15のフローチャートの処理を完了すると、図14のフローチャートのステップS4の処理を実行する。
具体的に、エレベータ制御装置10は、第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光しなくなったのが戸開後において初めてであるか否かを判断する(S4)。
第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光しなくなったのが戸開後において初めてである場合(S4でYES)、エレベータ制御装置10は、ステップS3で取得された乗客パラメータ(第2遮光時間TA,第1遮光時間TP,荷重W1,荷重W2,荷重W3,荷重の変化量Wc,ピーク数CP等)に基づいて、乗降した乗客の乗客種別の判定を行う(S5)。乗客種別判定処理について、図16を参照して説明する。
図16は、エレベータ制御装置における乗客種別判定処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、第1遮光時間TPが0(零)か否かを判断する(S201)。第1遮光時間TPが0(零)となるのは、乗客の身長が、図11(a)や図11(b)に示すように第1高さH1よりも低い場合である。図11(a)は乗客が子供である場合の高さ波形の一例を示し、図11(b)は乗客が例えば車椅子に乗車している人である場合の高さ波形の一例を示している。
第1遮光時間TPが0(零)である場合(S201でYES)、エレベータ制御装置10は、荷重の変化量Wcが45[kg]以下であるか否かを判断する(S202)。45[kg]は、荷重の第1変化量の一例である。
荷重の変化量Wcが45[kg]以下である場合(S202でYES)、エレベータ制御装置10は、荷重の変化量Wcが31[kg]以下であるか否かを判断する(S203)。31[kg]は、第1種子供よりも小柄な第2種子供であることを判定する閾値としての荷重の第2変化量の一例である。
エレベータ制御装置10は、荷重の変化量Wcが31[kg]以下でない場合(S203でNO)、乗降した乗客の乗客種別が「第1種子供」であると判定し(S205)、荷重の変化量Wcが31[kg]以下である場合(S203でYES)、乗降した乗客の乗客種別が「第2種子供」であると判定する(S204)。
荷重の変化量Wcが45[kg]以下でない場合(S202でNO)、エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗客種別が、「車椅子利用者」であると判定する(S206)。「車椅子利用者」とは、車椅子に乗っている人である。車椅子に乗っている人が大人であるか子供であるかは問わない。
第1遮光時間TPが0(零)でない場合(S201でNO)、エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に複数人の大人の乗客が連続乗降したか否かを判断する(S207)。例えば、エレベータ制御装置10は、ピーク数CPが2以上であるか否かを判断する。ピーク数CPが2以上となるのは、例えば図12に示すように、第2遮光時間TAの間に、第1遮光時間TPが2回以上計測された場合である。図12では、3人の大人P11、P12、P13の乗降により、ピーク数CPが3となったときの高さ波形の一例を示している。複数人の大人が連続乗降すると、これらの乗客の歩行中に前後に蹴り出した脚が重なり、第2遮光時間TAが乗客毎に分離されない場合があるが、このような場合に、ピーク数CPをカウントすることにより、複数人の大人の乗客が連続乗降したことを適切に判断できる。
なお、複数人の大人が連続乗降したことの判断は、ピーク数CPに基づく判断以外の方法で行われてもよい。例えば、図13に示すように、第2遮光時間TAの間に、第1遮光時間TPは1回しか計測されていないが、第1高さH1よりも高い位置で計測高さの上下変動が発生し、その下降量Δy1及び上昇量Δy2が所定量(例えば成人の平均頭部長程度の長さ)以上であるときは、その谷Vの位置の前後に乗客P21、P22が存在していると判断してもよい。すなわち、第2遮光時間TAの間に、第1高さH1よりも高い位置でピークが形成された後で、計測高さが前記所定量以上低くなり、その後さらに計測高さが前記所定量以上高くなることが発生したときは、谷Vの数+1の人数(複数人)の大人の乗客が乗降したと判断してもよい。
あるいは、エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に荷重検出部35で検出された荷重の変化量を小柄な成人の体重相当の所定荷重(例えば50[kg])で除算して小数点以下を切り捨てた値Nを求め、その値Nが2以上であるときは、複数人の大人が連続乗降したと判断してもよい。なお、この方法では、第4高さH4の受光器52aがセンサ光を受光した時点(S104でYES)での荷重W4を検出する。そして、荷重W1と荷重W4との差を、第2遮光時間TAの間に荷重検出部35で検出された荷重の変化量とする。なお、第2遮光時間TAの間に荷重検出部35で検出された荷重の変化量に、上記所定荷重の半分の値(例えば25[kg])を加算した値を、上記所定荷重で除算して小数点以下を切り捨てた値Nを求め、その値Nが2以上であるときは、複数人の大人が連続乗降したと判断してもよい。この方法によれば、複数人の大人の乗客の中に、上記所定荷重よりも軽い乗客が含まれている場合でも、乗客の人数を適切に求めることができる。
複数人の大人が連続乗降したと判断される場合(S207でYES)、エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗客種別が「複数人の大人」であると判定する(S213)。
複数人の大人が連続乗降したとは判断されない場合(S207でNO)、エレベータ制御装置10は、第1遮光時間TPと第2遮光時間TAとの比としての、第1遮光時間TPを第2遮光時間TAで除算した値が0.55以上であるか否かを判断する(S208)。第1遮光時間TPを第2遮光時間TAで除算した値は、乗客が、床面上で移動される移動車(後述する第1種移動車や第2種移動車)を伴っているか否かにより大きく変わる。例えば、床面上で移動される移動車を伴わない大人の乗客については、例えば図10の乗客P1において例示するように、第2遮光時間TAは、第1遮光時間TPよりも若干長い程度の時間であり、除算した値は0.55よりも大きな値をとることが多い。これに対し、床面上で移動される移動車を伴う大人の乗客については、図11(c)の車椅子を伴う(押す)大人の乗客において例示するように、第2遮光時間TAは、第1遮光時間TPに対して何倍も長い時間となり、除算した値は0.55よりも小さな値をとる。
ステップS208の判断に基づき、除算した値が0.55以上である場合(S208でYES)、エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗客種別が、「移動車を伴わない大人」であると判定する(S209)。以下では、「移動車を伴わない大人」を単に「大人」という場合がある。移動車とは、乗客により床面上で手押し移動または手引き移動される車であり、後述する第1移動車及び第2移動車を含む。
これに対し、除算した値が0.55以上でない場合(S208でNO)、エレベータ制御装置10は、荷重の変化量Wcが200[kg]以下であるか否かを判断する(S210)。200[kg]は、移動車が第1種移動車と第2種移動車とのいずれであるかを区別するための荷重の変化量の一例である。この荷重の変化量は、例えば150[kg]でもよい。
荷重の変化量Wcが200[kg]以下である場合(S210でYES)、エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗客種別が、「第1種移動車を伴う大人」であると判定する(S211)。第1種移動車は、乗客により床面上で手押し移動または手引き移動される移動車であって、例えば、車椅子、台車、ショッピングカート、ベビーカー、キャリーバッグ等である。
荷重の変化量Wcが200[kg]以下でない場合(S210でNO)、エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗客種別が、「第2種移動車を伴う大人」であると判定する(S212)。第2種移動車は、乗客により床面上で手押し移動または手引き移動される移動車であって、例えば、重量物を積載した台車などである。
エレベータ制御装置10は、図16のフローチャートによる乗客種別判定処理を完了すると、図14のフローチャートのステップS6の占有面積算出処理を実行する。
具体的に、エレベータ制御装置10は、乗客パラメータ取得処理(S3)で取得された乗客パラメータのうち荷重の変化量Wc,ピーク数CPと、乗客種別判定処理(S5)で判定された乗客種別とに基づいて、乗降した乗客の占有面積S[m2]を求める。例えば、以下の数式1〜6のうち乗客種別に応じた数式に荷重の変化量Wcやピーク数CPを適宜代入して占有面積Sを求める。数式1〜6は、乗客種別の判定結果に応じた所定計算式の一例である。
(a)大人または第1種子供
S=Wc×0.0026+0.07 ・・・(1)
(b)第2種子供
S=0.15 ・・・(2)
(c)車椅子に乗る車椅子利用者
S=0.76 ・・・(3)
(d)第1種移動車を伴う大人
S=Wc×0.007+0.027 ・・・(4)
(e)第2種移動車を伴う大人
S=0.76 ・・・(5)
(f)複数人の大人
S=Wc×0.0026+0.07×CP ・・・(6)
ここで、本願発明者は、乗客が男性か女性かによって荷重の変化量Wcと占有面積Sとの相関は異なる相関を有し、女性の方が、変化量Wcに対応する占有面積Sが大きくなるとの知見を得た。しかし、男女差は軽微であり、男性と女性を区別するには画像認識なども必要となる。そこで、本実施の形態では、大人または第1種子供についての数式(1)として、女性についての相関に基づく計算式を用いている。なお、男性と女性を簡易に区別できる手段を別途実装した場合には、男性と女性のそれぞれについて、大人または第1種子供についての数式を設定してもよい。男性と女性とを区別する場合における男性についての計算式は、数式(1´)となる。
S=Wc×0.0022+0.09 ・・・(1´)
なお、数式1を用いて占有面積Sを算出することは、占有面積Sの算出方法の一例であり、これ以外の方法で占有面積Sを算出してもよい。例えば、図17に示すような、荷重の変化量Wcと乗客の占有面積Sとを対応付けて記録した記憶テーブルを記憶部12に記憶させておき、検出された荷重の変化量Wcに対応する占有面積Sを、記憶テーブルを参照することで求めてもよい。なお、図17では、荷重の変化量Wc[kg]を1kg単位で設定しているが、例えば0.5kg単位や2kg単位で設定してもよい。また、男女の占有面積Sを区別する場合には、記憶テーブルにおいて男女別に占有面積Sを記録すればよい。
ここで、数式1は、占有面積Sを荷重の変化量Wcに基づいて簡易かつ近似的に得られるように発明者が作成した数式であるが、この数式を導く前提となった基本的な考え方について図18を参照して説明する。
図18は、荷重の変化量Wcに基づいて占有面積を算出する方法の基本的な考え方を説明した図である。
まず、乗客の乗降の際に検出された荷重の変化量Wc[kg]、つまり乗客の体重相当量に基づいて、乗降した乗客をかご床面に投影した人体面積Sb[m2]を数式(7)により求める(S301)。ここで、W0は成人の平均体重[kg]、S0は成人の平均人体面積[m2]である。日本人の成人男性の平均体重W0は65[kg]、平均人体面積は0.1[m2]であるものする。日本人の成人女性の平均体重W0は52[kg]、平均人体面積は0.08[m2]であるものとする。本算出方法では、人体面積Sbは体重に比例関係にあるものとしている。
Sb=Wc/W0×S0 ・・・(7)
次に、人体面積Sb[m2]に基づいて、乗降した乗客の胸厚Lb[m]と肩幅Ls[m]を数式8、9により計算する(S302)。ここで、上方から見た人体の形状は、胸厚Lb:肩幅Ls=1:2の関係を有する矩形であると仮定する。これらの数式によると、平均体重の日本人成人男性の胸厚Lb0は0.22[m]、肩幅Ls0は0.44[m]となる。また、平均体重の日本人成人女性の胸厚Lb0は0.21[m]、肩幅Ls0は0.41[m]となる。
Lb=√(Sb/2) ・・・(8)
Ls=Lb×2 ・・・(9)
次に、乗客の胸厚Lb[m]と肩幅Ls[m]に基づいて、乗降した乗客の占有領域の前後方向長さL1[m]と幅方向長さL2[m]を数式10、11により計算する(S303)。数式(10)におけるLbp[m]は、前後方向で隣接する乗客との間にパーソナルスペースとして確保する離間距離であり、例えば0.2[m]である。数式(11)におけるLsp[m]は、幅方向で隣接する乗客との間にパーソナルスペースとして確保する離間距離であり、例えば0.1[m]である。なお、0.2[m]及び0.1[m]という値は一例であり、より大きな数値に設定すれば、エレベータ乗車中の圧迫感をより少なくできる。
L1=Lb+Lbp ・・・(10)
L2=Ls+Lsp ・・・(11)
次に、占有領域の前後方向長さL1[m]と幅方向長さL2[m]に基づいて、乗客の占有面積S[m2]を数式12により計算する(S304)。
S=L1×L2 ・・・(12)
エレベータ制御装置10は、図14のステップS6において占有面積Sの算出を完了すると、ステップS7の乗降方向の判定処理を実行する(S7)。ステップS7の乗降方向の判定処理について、図19を参照して詳しく説明する。
図19は、エレベータ制御装置における乗降方向判定処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、図14のステップS3の乗客パラメータ取得処理で取得された荷重W2から荷重W1を減算した値が0以上であるか否かを判断する(S401)。
減算した値が0以上である場合(S401でYES)、つまり乗客の乗降によりかご内の荷重が増加した場合、エレベータ制御装置10は、乗客が乗りかご20に乗車したと判定する(S402)。
減算した値が0以上でない場合(S401でNO)、つまり乗客の乗降によりかご内の荷重が減少した場合、エレベータ制御装置10は、乗客が乗りかご20から降車したと判定する(S403)。
エレベータ制御装置10は、乗客の乗降方向の判定を完了すると、図14のステップS8の合計占有面積ΣSの算出処理を実行する。具体的に、エレベータ制御装置10は、かご内に乗車している全乗客についての占有面積Sの合計である合計占有面積ΣSを算出する(S8)。ステップS8の合計占有面積ΣSの算出処理について、図20を参照して詳しく説明する。
図20は、エレベータ制御装置における合計占有面積ΣSの算出処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗降方向が乗車方向であるか否かを判断する(S501)。
乗降方向が乗車方向である場合(S501でYES)、エレベータ制御装置10は、今回乗降した乗客を考慮した合計占有面積ΣSを数式13により算出する(S502)。
ΣS=前制御周期の合計占有面積ΣS+今回の乗客の占有面積S ・・・(13)
乗降方向が乗車方向でない場合(S501でNO)、つまり降車方向である場合、エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣSを数式14により求める(S503)。
ΣS=前制御周期の合計占有面積ΣS−今回の乗客の占有面積S ・・・(14)
エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣSの算出処理を完了すると、図14のステップS9の乗客種別毎の合計人数の算出処理を実行する(S9)。
具体的に、エレベータ制御装置10は、ステップS9において、かご内に乗車している乗客の種別毎の合計人数を算出する(S9)。例えば、ステップS7の乗降方向判定結果が乗車方向である場合には、ステップS5での乗客種別判定で判定された乗客種別の合計人数に1を加算し、乗降方向判定結果が降車方向である場合には、ステップS5での乗客種別判定で判定された乗客種別の合計人数から1を減算することで、乗客種別毎の合計人数を求める。なお、本ステップS9では、ステップS10の処理で必要な車椅子利用者、第1種移動車を伴う大人、及び第2種移動車を伴う大人の合計人数のみを求めてもよい。なお、第1種移動車を伴う大人が、車椅子を押す大人である場合、車椅子に人が乗っている場合でも、人数を1人とカウントする。
エレベータ制御装置10は、ステップS9の乗客種別毎の合計人数の算出処理を完了すると、図14のステップS10の合計占有面積ΣSの適正化補正処理を実行する(S10)。ステップS10の合計占有面積ΣSの適正化補正処理について、図21を参照して詳しく説明する。
図21は、エレベータ制御装置における合計占有面積ΣSの適正化補正処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、現在計測されている荷重(現在の荷重)が、空かご時に計測される荷重値相当の第1荷重未満か否かを判断する(S601)。空かご時の荷重相当の第1荷重とは、乗客数が0(零)のときに荷重検出部35で計測される荷重に例えば20[kg]程度の所定荷重を加算した荷重値である。
現在の荷重が第1荷重未満である場合(S601でYES)、エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣS及びかご床占有率Rcを0にリセットする(S602)。
現在の荷重が第1荷重未満でない場合(S601でNO)、エレベータ制御装置10は、現在の荷重が大人1人だけが乗車しているときに計測される荷重相当の第2荷重未満であるか否かを判断する(S603)。第2荷重は、例えば70[kg]である。
現在の荷重が第2荷重未満でない場合(S603でNO)、エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣS及びかご床占有率Rcの補正を行わない。
現在の荷重が第2荷重未満である場合(S603でYES)、エレベータ制御装置10は、車椅子利用者、第1種移動車を伴う大人、及び第2種移動車を伴う大人に分類される3つの乗客種別に属する乗客(これらの乗客種別の乗客を総称して以下適宜「移動車乗客」という)が乗車中か否かを判断する(S604)。具体的に、車椅子利用者、第1種移動車を伴う大人、及び第2種移動車を伴う大人に分類される乗客種別に属する乗客の合計人数がいずれも0であるときは、これらの乗客が乗車中でないと判断し、少なくとも1つの合計人数が0でないときは、移動車乗客が乗車中であると判断する。
移動車乗客が乗車中である場合(S604でYES)、エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣS及びかご床占有率Rcの補正を行わない。これにより、他の乗客種別と比べて荷重の変化量Wcに対する占有面積Sが相対的に大きくなる移動車乗客が乗車しているときに、合計占有面積ΣSが過少補正されることが抑制される。
移動車乗客が乗車中でない場合(S604でNO)、エレベータ制御装置10は、現在の荷重に基づいて乗客が大人(移動車を伴わない)の場合の合計占有面積ΣS及びかご床占有率Rcを算出し、算出した値に補正する(S605)。
エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣSの適正化補正処理を完了すると、図14のステップS11のかご床占有率算出処理を実行する。
具体的に、エレベータ制御装置10は、かご内の乗客のかご床占有率Rcを数式14により算出する(S11)。すなわち、合計占有面積ΣSをかご床面積Sfで除算してかご床占有率Rcを算出する。
Rc=ΣS/かご床面積Sf ・・・(14)
エレベータ制御装置10は、乗場の混雑状況表示部122に混雑状況を表示させる(S12)。このとき、混雑状況表示部122は、現在の混雑状況として例えばかご床占有率Rcを表示する。なお、表示された内容は、次の制御周期でステップS12またはS20が実行されて更新されるまで、継続表示される。
エレベータ制御装置10は、上述のようにして求めた占有面積S、合計占有面積ΣS、乗客種別毎合計人数、及びかご床占有率Rcを記憶部12に記憶させて(S13)、ステップS1に戻る。なお、記憶部12に、占有面積S、合計占有面積ΣS、乗客種別毎合計人数、及びかご床占有率Rcのデータが既に記憶されている場合は、記憶されているデータを、直近に求めたデータで更新する処理を行う。
上述したステップS4で、第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光しなくなったのが戸開後において初めてでない場合(S4でNO)、エレベータ制御装置10は、直前の乗客の占有面積Sの補正量である差分面積ΔSの算出処理を行う(S14)。例えば、戸開後において、図10に示されるように乗客P1に引き続いて乗客P2が乗降を開始し、乗客P2の乗降により第3高さH3の受光器52aがセンサ光を受光しなくなった場合(時刻T11の時点(第3時点))、直前の乗客について差分面積ΔSの算出処理が行われる。ステップS14の差分面積ΔSの算出処理について、図22を参照して詳しく説明する。
図22は、エレベータ制御装置10における直前の乗客の占有面積Sの補正のための差分面積ΔSの算出処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、今回の乗客に関して時刻T11の時点(第3時点)で荷重検出部35で計測された荷重W3と、直前の乗客に関して時刻T1の時点(第1時点)で計測された荷重W1とに基づいて、直前の乗客に関する補正用荷重変化量Waを数式15により求める(S701)。
Wa=|W3−W1| ・・・(15)
エレベータ制御装置10は、直前の乗客に関して判定済の乗客種別と、直前の乗客に関して数式15で求められた補正用荷重変化量Waとに基づいて、直前の乗客に関する補正後占有面積Saを算出する(S702)。補正後占有面積Saは、補正前の占有面積S同様に、数式1〜6などを利用して算出する。
エレベータ制御装置10は、直前の乗客に関して最初に求められた占有面積Sと、補正後占有面積Saとの差分面積ΔSを数式16により算出する(S703)。
ΔS=Sa−S ・・・(16)
エレベータ制御装置10は、差分面積ΔSの算出を完了すると、図14のステップS15の合計占有面積ΣSの補正処理を実行する。
具体的に、エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣSを差分面積ΔSに基づいて補正する(S15)。すなわち、数式17のように、現在の合計占有面積ΣSに差分面積ΔSを加算して、補正後の合計占有面積ΣSを求める。
補正後のΣS=現在のΣS+ΔS ・・・(17)
エレベータ制御装置10は、ステップS15の合計占有面積ΣSの補正処理を完了すると、補正後の合計占有面積ΣSに基づいて、上述したステップS5以後の処理を実行する。
図14のステップS1においてかごドア21が戸閉したと判断した場合(S1でYES)、判断した時点(第4時点)で、エレベータ制御装置10は、ステップS16〜S20の処理を実行する。ステップS16、S17の処理は、上述したステップS14、S15と同様の処理である。ステップS18、S19、S20の処理は、上述したステップS10、S11、S12と同様の処理である。これらの処理により、乗場の混雑状況表示部122における混雑状況の表示が更新される(S20)。
ステップS20の処理まで実行すると、エレベータ制御装置10は、合計占有面積ΣS及びかご床占有率Rcを記憶部12に記憶させる(S21)。なお、記憶部12に、合計占有面積ΣS、及びかご床占有率Rcのデータが既に記憶されている場合は、記憶されているデータを、直近に求めたデータで更新する処理を行う。
エレベータ制御装置10は、戸閉中のかごドア21が戸開したか否かを判断する(S22)。戸閉中のかごドア21が戸開するのは、例えば、昇降していた乗りかご20が目的階に到着したときである。
かごドア21が戸開した場合(S22でYES)、エレベータ制御装置10は、ステップS1に戻る。
かごドア21が戸開していない場合(S22でNO)、エレベータ制御装置10は、ステップS22の処理を再度実行する。
(実施の形態のまとめ)
1.第1遮光時間と第2遮光時間と荷重の変化量に基づく乗客種別判定
(1)
本実施の形態のエレベータ30は、
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aの上下方向に並べて配置された複数個の投光器51aと、乗降口20aの上下方向に並べて配置された複数個の受光器52aとを有し、乗降口20aが開放された状態で複数個の投光器51aと複数個の受光器52aとが乗降口20aを左右に跨いで対向するマルチビームセンサ50と、
投光器51aから投光されたセンサ光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aの高さ位置を示す信号を出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出する荷重検出部35と、
エレベータ制御装置10(制御部の一例)と、を備える。
エレベータ制御装置10は、
乗客の乗降の際にセンサ制御装置60から出力される信号に基づいて、第1高さH1に位置する受光器52aがセンサ光を受光しなくなってから第1高さH1よりも低い第2高さH2に位置する受光器52aがセンサ光を受光する状態に戻るまでの第1遮光時間TPと、第2高さH2よりも低い第3高さH3に位置する受光器52aがセンサ光を受光しなくなってから第3高さH3よりも低い第4高さH4に位置する受光器52aがセンサ光を受光する状態に戻るまでの第2遮光時間TAとを計測し、
第1遮光時間TPと、第2遮光時間TAと、乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcとに基づいて、乗降した乗客の乗客種別を判定する。
この構成によれば、エレベータに一般に備えられるセンサ(マルチビームセンサ50や荷重検出部35)を利用して、画像処理などを行うことなく、簡単な処理で種々の乗客の乗客種別を判別できる。
(2)
第1高さH1は、車椅子に乗った状態の、成人平均身長よりも高い第1所定身長の人の頭頂高さよりも高く、かつ立った状態の、成人平均身長よりも低い第2所定身長の人の頭頂高さよりも低い高さに設定されている、
これにより、歩行して乗りかご20に乗降する大人については、第1遮光時間TPが計測されるが、車椅子に乗って乗りかご20に乗降する大人については、第1遮光時間TPが計測されず零となる。そのため、第1遮光時間TPの長さまたは有無に基づいて、歩行して乗りかご20に乗降する大人と車椅子に乗って乗りかご20に乗降する大人を区別することができる。
(3)
複数個の投光器51a及び受光器52aは、上下方向に所定間隔Dhで並べて配置され、
エレベータ制御装置10は、一個の投光器51aにセンサ光を投光させたときに、同じ高さに配置された受光器52aと、当該受光器52aの上方の所定個mの受光器52aと、同じ高さに配置された受光器52aの下方の所定個mの受光器52aとのそれぞれについて、投光されたセンサ光が受光されたか否かを判断し、
第2高さH2は、第1高さH1を基準として、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定されている。
これにより、第1遮光時間TPを精度よく計測することができる。
(4)
第3高さH3は、乗客に伴って床面上で移動される移動車の上端の高さよりも低い高さに設定されている。
これにより、床面上で移動される移動車を伴って乗客が乗りかご20に乗降する際に、移動車を適切に検出することができる。
(5)
複数個の投光器51a及び受光器52aは、上下方向に所定間隔Dhで並べて配置され、
エレベータ制御装置10は、一個の投光器51aにセンサ光を投光させたときに、同じ高さに配置された受光器52aと、当該受光器52aの上方の所定個mの受光器52aと、同じ高さに配置された受光器52aの下方の所定個mの受光器52aとのそれぞれについて、投光されたセンサ光が受光されたか否かを判断し、
第4高さH4は、第3高さH3を基準として、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定されている。
これにより、第2遮光時間TAを精度よく計測することができる。
(6)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測されず零であり、かつ乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcが第1変化量(例えば45[kg])以下であるときは、乗降した乗客の乗客種別が、第1種子供であると判定する。
これにより、第1種子供を判別することができる。
(7)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測されず零であり、かつ乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcが第1変化量よりも小さい第2変化量(例えば31[kg])以下であるときは、乗降した乗客の乗客種別が、第2種子供であると判定する。
これにより、第2種子供を判別することができる。
(8)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測されず零であり、かつ乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcが第1変化量以下でないときは、乗降した乗客の乗客種別が、車椅子に乗る車椅子利用者であると判定する。
これにより、車椅子に乗る車椅子利用者を判別することができる。
(9)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測され、かつ第1遮光時間TPと第2遮光時間TAとの比としての第1遮光時間TPを第2遮光時間TAで除算した値が所定値(例えば0.55)以上であるときは、乗降した乗客の乗客種別が、床面上で手押し移動または手引き移動される移動車(例えば、車椅子、台車、ショッピングカート、ベビーカー、キャリーバッグ等)を伴わない大人であると判定する。
これにより、床面上で移動される移動車を伴わない大人を判別することができる。
(10)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測され、かつ第1遮光時間TPと第2遮光時間TAとの比としての第1遮光時間TPを第2遮光時間TAで除算した値が所定値(例えば0.55)以上でないときは、乗降した乗客の乗客種別が、床面上で手押し移動または手引き移動される移動車を伴う大人であると判定する。
これにより、床面上で移動される移動車を伴う大人を判別することができる。
(11)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが複数回計測されたときは、乗降した乗客の乗客種別が、複数回と同じ複数人の大人であると判断する。
これにより、複数人の大人を判別することができる。
(12)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に、センサ制御装置60から出力される信号が示す高さ位置が、第1高さ位置よりも高い位置でピークを形成した後で成人の平均頭部長程度の所定長以上低くなり、その後さらに所定長以上高くなったときは、乗降した乗客の乗客種別が、複数人の大人であると判断する。
これにより、複数人の大人を判別することができる。
(13)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcを成人の平均体重よりも小さい所定荷重で除算して得られた値の小数点以下を切り捨てた値Nが2以上の整数であるときは、乗降した乗客の乗客種別が、複数人の大人であると判断する。
これにより、複数人の大人を判別することができる。
(14)
エレベータ制御装置10は、乗客種別の判定結果と乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcとに基づいて、乗降した乗客の占有面積Sを求める。
これにより、乗りかご20へ乗客が乗降する際の荷重の変化量Wc、つまり乗客の体重の近似値に基づいて、乗客毎に占有面積Sを精度よく求めることができる。
(15)
エレベータ制御装置10は、乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcを、乗客種別の判定結果に応じた所定計算式(例えば数式(1)〜(6))に代入することにより、乗降した乗客の占有面積Sを求める。
これにより、乗降した乗客の占有面積Sを、乗客種別の判定結果に応じた所定計算式により簡単に求めることができる。
(16)
エレベータ制御装置10は、
乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化方向に基づいて、乗降した乗客の乗降方向を判定し、
乗降する乗客毎に求めた占有面積Sと、乗客の乗降方向とに基づいて、乗りかご20に乗車している全乗客の占有面積の和である合計占有面積ΣSを求め、
求めた合計占有面積ΣSとかご床面積Sfとに基づいて、乗りかご20内の混雑状況を示すかご床占有率Rcを求める。
これにより、乗りかご20内の混雑状況を示すかご床占有率Rcを求めることができる。
(17)
乗場に配置される混雑状況表示部122(表示部の一例)をさらに備え、
エレベータ制御装置10は、かご床占有率Rcに基づいて、混雑状況表示部122に、乗りかご20内の混雑状況を示す表示を行わせる。
これにより、乗客が、乗りかご20に乗車する前に乗場で乗りかご20内の混雑状況を知ることができる。
2.第1遮光時間と第2遮光時間の比に基づく乗客種別判定
(1)
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aの上下方向に並べて配置された複数個の投光器51aと、乗降口20aの上下方向に並べて配置された複数個の受光器52aとを有し、乗降口20aが開放された状態で複数個の投光器51aと複数個の受光器52aとが乗降口20aを左右に跨いで対向するマルチビームセンサ50と、
投光器51aから投光されたセンサ光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置にある受光器52aの高さ位置を示す信号を出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
エレベータ制御装置10(制御部の一例)と、を備え、
エレベータ制御装置10は、
乗客の乗降の際にセンサ制御装置60から出力される信号に基づいて、第1高さH1に位置する受光器52aがセンサ光を受光しなくなってから第1高さH1よりも低い第2高さH2に位置する受光器52aがセンサ光を受光する状態に戻るまでの第1遮光時間TPと、第2高さH2よりも低い第3高さH3に位置する受光器52aがセンサ光を受光しなくなってから第3高さH3よりも低い第4高さH4に位置する受光器52aがセンサ光を受光する状態に戻るまでの第2遮光時間TAとを計測し、
第1遮光時間TPと第2遮光時間TAとの比に基づいて、乗降した乗客の乗客種別を判定する。
これにより、マルチビームセンサ50を利用して、種々の乗客の乗客種別を判別できる。
(2)
第1高さH1は、車椅子に乗った状態の、成人平均身長よりも高い第1所定身長の人の頭頂高さよりも高く、かつ立った状態の、成人平均身長よりも低い第2所定身長の人の頭頂高さよりも低い高さに設定されている。
これにより、歩行して乗りかご20に乗降する大人については、第1遮光時間TPが計測されるが、車椅子に乗って乗りかご20に乗降する大人については、第1遮光時間TPが計測されず零となる。そのため、第1遮光時間TPの長さに基づいて、歩行して乗りかご20に乗降する大人と車椅子に乗って乗りかご20に乗降する大人を区別することができる。
(3)
複数個の投光器51a及び受光器52aは、上下方向に所定間隔Dhで並べて配置され、
エレベータ制御装置10は、一個の投光器51aにセンサ光を投光させたときに、同じ高さに配置された受光器52aと、当該受光器52aの上方の所定個mの受光器52aと、同じ高さに配置された受光器52aの下方の所定個mの受光器52aとのそれぞれについて、投光されたセンサ光が受光されたか否かを判断し、
第2高さH2は、第1高さH1を基準として、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定されている。
これにより、第1遮光時間TPを精度よく計測することができる。
(4)
第3高さH3は、乗客に伴って床面上で移動される移動車の上端の高さよりも低い高さに設定されている。
これにより、床面上で移動される移動車を伴って乗客が乗りかご20に乗降する際に、移動車を適切に検出することができる。
(5)
複数個の投光器51a及び受光器52aは、上下方向に所定間隔Dhで並べて配置され、
エレベータ制御装置10は、一個の投光器51aにセンサ光を投光させたときに、同じ高さに配置された受光器52aと、当該受光器52aの上方の所定個mの受光器52aと、同じ高さに配置された受光器52aの下方の所定個mの受光器52aとのそれぞれについて、投光されたセンサ光が受光されたか否かを判断し、
第4高さH4は、第3高さH3を基準として、所定個mと所定間隔Dhとに基づいて設定されている。
これにより、第2遮光時間TAを精度よく計測することができる。
(6)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測され、かつ第1遮光時間TPと第2遮光時間TAとの比としての第1遮光時間TPを第2遮光時間TAで除算した値が所定値(例えば0.55)以上であるときは、乗降した乗客の乗客種別が、床面上で移動される移動車を伴わない大人であると判定する。
これにより、床面上で移動される移動車を伴わない大人を判別することができる。
(7)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測され、かつ第1遮光時間TPと第2遮光時間TAとの比としての第1遮光時間TPを第2遮光時間TAで除算した値が零よりも大きいが所定値(例えば0.55)以上でないときは、乗降した乗客の乗客種別が、床面上で移動される移動車を伴う大人であると判定する。
これにより、床面上で移動される移動車を伴う大人を判別することができる。
(8)
エレベータ制御装置10は、第2遮光時間TAの間に第1遮光時間TPが計測されず零であるときは、乗降した乗客の乗客種別が子供、または車椅子に乗る乗客であると判定する。
これにより、子供や車椅子に乗る乗客を判別することができる。
3.荷重に基づく乗客占有面積の推定
(1)
乗りかご20と、
乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出する荷重検出部35と、
エレベータ制御装置10(制御部の一例)と、を備え、
エレベータ制御装置10は、乗りかご20への乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcに基づいて、乗降した乗客の占有面積Sを推定する。
これにより、乗りかご20へ乗客が乗降する際の荷重の変化量Wc、つまり乗りかご20へ乗降する各乗客の体重相当量に基づいて占有面積Sを乗客毎に精度よく求めることができる。そのため、かご内の混雑状況を精度よく推定することができる。
(2)
エレベータ制御装置10は、
荷重の変化量Wcに基づいて、乗降した乗客の肩幅及び胸厚を推定し、
推定した肩幅に所定の横方向離間距離を加算して占有領域の横方向長さを求め、
推定した胸厚に所定の前後方向離間距離を加算して占有領域の前後方向長さを求め、
横方向長さと前後方向長さとを乗算することにより、乗降した乗客の占有面積Sを求める。
これにより、荷重の変化量Wcに基づいて、乗降した乗客毎に精度よく占有面積Sを求めることができる。
(3)
エレベータ制御装置10は、荷重の変化量Wcを所定計算式(例えば数式(1))に代入することにより、乗降した乗客の占有面積Sを求める。
これにより、乗降した乗客の占有面積Sを所定計算式により簡単に求めることができる。
(4)
荷重の変化量Wcと乗客の占有面積Sとを対応付けて記録した記憶テーブルを備え、
エレベータ制御装置10は、検出された荷重の変化量Wcに基づいて記憶テーブルを参照することにより、乗降した乗客の占有面積Sを求める。
これにより、乗降した乗客の占有面積Sを、記憶テーブルを参照することにより簡単に求めることができる。
(5)
エレベータ制御装置10は、
乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化方向に基づいて、乗降した乗客の乗降方向を判定し、
乗降する乗客毎に求めた占有面積Sを、乗客の乗降方向に応じて加算または減算することにより、乗りかご20に乗車中の全乗客の合計占有面積ΣSを求め、
求めた合計占有面積ΣSとかご床面積Sfとに基づいて、乗りかご20内の混雑状況を示すかご床占有率Rcを求める。
これにより、乗りかご20内の混雑状況を示すかご床占有率Rcを求めることができる。
(6)
乗場に配置される混雑状況表示部122(表示部の一例)をさらに備え、
エレベータ制御装置10は、かご床占有率Rcに基づいて、混雑状況表示部122に、乗りかご20内の混雑状況を示す表示を行わせる。
これにより、乗客が、乗りかご20に乗車する前に乗場で乗りかご20内の混雑状況を知ることができる。
4.荷重の微分値に基づく荷重計測終了時期の設定
(1)
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aが開放された状態で乗降口20aを左右に跨いで対向するように配置された投光器51a及び受光器52aを有するマルチビームセンサ50(光電センサの一例)と、
投光器51aから投光されたセンサ光の受光器52aでの受光状態を示す信号を出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出する荷重検出部35と、
エレベータ制御装置10(制御部の一例)と、を備え、
エレベータ制御装置10は、受光状態と、乗りかご20への乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化量Wcに基づいて、乗降した乗客の乗客種別を判定し、
荷重の変化量Wcは、乗りかご20への乗客の乗降により第3高さH3の受光器52a(第1受光器)がセンサ光を受光しなくなった第1時点T1から、第3高さH3の受光器52a(第1受光器)に対して所定の高さ関係にある第4高さH4の受光器52a(第2受光器)が受光する状態に戻った後、荷重検出部35で検出された荷重の微分値が零となった第2時点T5までの荷重の変化量Wcである。
これにより、マルチビームセンサ50の検出結果だけでなく、荷重検出部35で検出される荷重を利用して、乗降した乗客の乗客種別をより精度よく判定することができる。また、できるだけ早いタイミングで、乗降した乗客の乗客種別を判定することができる。
(2)
エレベータ制御装置10は、第1時点T1から第2時点T5までの荷重の変化量Wcと、乗客種別判定結果とに基づいて、乗降した乗客の占有面積Sを求める。
これにより、乗降した乗客の占有面積Sを乗客毎に精度よく求めることができる。
(3)
エレベータ制御装置10は、乗りかご20への次の乗客の乗降により第3高さH3の受光器52a(第1受光器)がセンサ光を受光しなくなった第3時点T11で、第1時点T1から第3時点T11までの荷重の変化量Waと、直前の乗客についての乗客種別判定結果とに基づいて、直前に乗降した乗客の占有面積Sを補正する。
これにより、次の乗客の乗降があった第3時点T11で、その直前に乗降した乗客の占有面積Sの精度をより高めることができる。
(4)
エレベータ制御装置10は、乗りかご20への次の乗客の乗降がないまま戸閉された第4時点で、第1時点T1から第4時点までの荷重の変化量Wcと、直前の乗客についての乗客種別判定結果とに基づいて、直前に乗降した乗客の占有面積Sを補正する。
これにより、次の乗客の乗降がないまま戸閉された第4時点で、その直前に乗降した乗客の占有面積の精度をより高めることができる。
(5)
エレベータ制御装置10は、
乗客の乗降の際に荷重検出部35で検出された荷重の変化方向に基づいて、乗降した乗客の乗降方向を判定し、
乗降する乗客毎に求めた占有面積Sと、乗客の乗降方向とに基づいて、乗りかご20に乗車している全乗客の占有面積の和である合計占有面積ΣSを求める。
これにより、乗りかご20に乗車中の全乗客の合計占有面積ΣSを精度よく求めることができる。
(6)
エレベータ制御装置10は、荷重検出部35で検出された荷重が空かご時に検出される荷重相当の第1荷重未満であるときは、合計占有面積ΣSを零にリセットする。
これにより、乗降する乗客毎に求めた占有面積Sの誤差により合計占有面積ΣSに誤差が累積しても、荷重検出部35で検出された荷重が空かご時に検出される荷重相当の第1荷重未満であるときに、合計占有面積ΣSが零にリセットされる。そのため、誤差の累積が適切に解消され、合計占有面積ΣSの精度の低下を抑制することができる。
(7)
エレベータ制御装置10は、荷重検出部35で検出された荷重が、第1荷重以上の荷重で、かつ床面上で移動される移動車を伴わない大人の乗客種別に属する乗客が1人だけ乗車しているときに検出される荷重相当の第2荷重未満であるときは、検出された荷重に基づいて、移動車を伴わない大人の乗客種別に属する乗客が1人だけ乗車しているものとして占有面積Sを求め、合計占有面積ΣSを、求めた占有面積Sの値に補正する。
これにより、乗降する乗客毎に求めた占有面積Sの誤差により合計占有面積ΣSに誤差が累積しても、乗客が1人だけと推定されるときに、合計占有面積ΣSが、乗客が1人だけのときの占有面積Sに補正される。そのため、誤差の累積が軽減され、合計占有面積ΣSの精度の低下を抑制することができる。
(8)
エレベータ制御装置10は、移動車乗客(移動車を伴う所定乗客(車椅子利用者、第1種移動車を伴う大人、及び第2種移動車を伴う大人))の乗車人数をカウントし、
エレベータ制御装置10は、荷重検出部35で検出された荷重が第1荷重以上でかつ第2荷重未満であるときでも、移動車乗客の乗車人数が零でないときは、合計占有面積ΣSを補正しない。
これにより、移動車乗客が乗車している間は、乗客が0人または1人だけのとき相当の合計占有面積ΣSへの補正が行われない。そのため、他の乗客種別と比べて荷重の変化量Wcに対する占有面積Sが相対的に大きくなる車椅子利用者や移動車を伴う大人が乗車しているときに、合計占有面積ΣSが過少補正されることが抑制される。
(9)
エレベータ制御装置10は、求めた合計占有面積ΣSとかご床面積Sfとに基づいて、乗りかご20内の混雑状況を示すかご床占有率Rcを求める。
これにより、乗りかご20内の混雑状況を示すかご床占有率Rcを求めることができる。
(10)
乗場に配置される混雑状況表示部122(表示部の一例)をさらに備え、
エレベータ制御装置10は、かご床占有率Rcに基づいて、混雑状況表示部122に、乗りかご20内の混雑状況を示す表示を行わせる。
これにより、乗客が乗りかご20に乗車する前に乗場で乗りかご20内の混雑状況を知ることができる。
(他の実施の形態)
前記実施の形態において、本発明の複数の態様を説明した。しかし、本発明の具体的態様は、上述した実施の形態に限られず、これらの実施の形態を組み合わせたものとすることもできる。
前記実施の形態では、複数台のエレベータを有するエレベータシステムを例示したが、本発明は、1台のエレベータを有するエレベータシステムにも適用できる。
前記実施の形態では、乗客種別の判定結果に基づいて、乗客毎の占有面積Sを求め、求めた占有面積Sに基づいてかご内の混雑状況を推定し、混雑状況を示す情報を乗場の混雑状況表示部122に表示させるエレベータを説明した。しかし、本発明における乗客種別の判定結果は、エレベータに関する他の制御にも利用できる。例えば、乗客種別の判定結果に応じて、エレベータ30の各種設備の動作の制御を行ってもよい。例えば、乗客種別の判定結果に基づいて、かご内の空調設備のON/OFFや、風向き調整や、温度調整などを行ってもよい。また、乗客種別の判定結果に基づいて、乗客種別に応じた(適した)音声や音楽をスピーカから出力させてもよい。また、乗客種別の判定結果に基づいて、乗客種別に適したドア制御、群管理における配車制御を行ってもよい。また、乗車した乗客が第1種子供や第2種子供の一人だけであると判定したときに、エレベータ制御装置10から管理人室などに通報を行ってもよい。
前記実施の形態では、マルチビームセンサ50は、第1高さH1、第2高さH2、第3高さH3、第4高さH4以外の高さにも合計でN組の投光器及び受光器を有している。しかし、本発明では、マルチビームセンサは、N組の投光器及び受光器の全てを有していなくてもよく、例えば、第1高さ、第2高さ、第3高さ、第4高さに、4組の投光器及び受光器を有しているだけでもよい。
前記実施の形態では、本発明におけるマルチビームセンサの一例として、同数の投光器51aと受光器52aを有するマルチビームセンサ50を例示した。しかし、本発明におけるマルチビームセンサは、高さ位置の検出に支障がない限り、異なる数の投光器と受光器を有していてもよい。例えば、投光器が受光器よりも数個多くまたは少なくてもよい。
前記実施の形態では、マルチビームセンサ50が配置される部材が乗りかご20のかごドア21である構成を例示した。しかし、本発明において、マルチビームセンサ50が配置される部材はかごドア21に限定されない。例えば、図23、図24に示すように、乗りかご20の乗降口20aの左右の側部に、マルチビームセンサ50が設けられてもよい。例えば、乗降口20aの左側の側部に、マルチビームセンサ50の投光部51が配置され、右側の側部に、マルチビームセンサ50の受光部52が配置されてもよい。なお、特に図示しないが、乗降口20aの右側の側部に、マルチビームセンサ50の投光部51が配置され、左側の側部に、マルチビームセンサ50の受光部52が配置されてもよい。また、図25に示すように、かごドア21が1枚扉で構成されている場合には、かごドア21の戸当たり部に、マルチビームセンサ50の投光部51が配置され、乗降口20aの右側の側部(戸当たり部)に、マルチビームセンサ50の受光部52が配置されてもよい。あるいは、図25とは逆に、かごドア21の戸当たり部に、マルチビームセンサ50の受光部52が配置され、乗降口20aの右側の側部(戸当たり部)に、マルチビームセンサ50の投光部51が配置されてもよい。また、特に図示しないが、かごドア21が1枚扉の場合においても2枚扉の場合同様に、乗降口20aの左右の側部の一方に、マルチビームセンサ50の投光部51が配置され、他方の側部に、マルチビームセンサ50の受光部52が配置されてもよい。
前記実施の形態では、本発明における荷重検出部として、乗りかご20の床で圧縮された弾性体26の圧縮状態(例えば圧縮された弾性体の厚み)を検出する荷重検出部35を例示した。しかし、本発明における荷重検出部はこれに限定されない。エレベータの仕様によっては、図26に示すように、乗りかご20を吊る主ロープ27の一端部が建物床などの構造体に固定具28で固定され、他端部がコイルバネなどの弾性体131を介して固定具29で固定される場合がある。このような構成のエレベータでは、弾性体131の圧縮状態を荷重検出部135で検出することで、乗りかご20の床上に存在する物体の荷重を検出することができる。荷重検出部135としては、例えば、荷重検出部135と建物床との上下方向距離を計測する距離センサなどを利用することができる。
前記実施の形態では、本発明における制御装置として、エレベータ制御装置10を例示した。しかし、本発明における制御装置は、物理的に分離された複数の制御装置で構成されてもよい。例えば、前記実施の形態では占有面積の演算はエレベータ制御装置10で行われるが、占有面積の演算を行う部分を占有面積演算装置として物理的に分離し、例えば乗りかご20の上部に配置してもよい。