以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら、本実施形態に係る車両用空調装置10について説明する。車両用空調装置10は、車両(全体は不図示)に搭載され、当該車両の車室内における空調を行うための装置である。車両用空調装置10は、空調ケース200と、ブロア250と、粒子フィルタ240と、熱交換部260と、粒子検知部300と、制御装置100と、報知部140と、を備えている。
空調ケース200は、空調対象である空気を車室内に案内するための管状の部材である。空調ケース200の内側では、図1における左側から右側に向かう方向に空気が流れる。空調ケース200には、内気導入部210と、外気導入部220と、フェイスダクト270と、フットダクト280と、が形成されている。
内気導入部210は、車室内の空気(内気)を空調ケース200の内側に取り入れるための導入口である。外気導入部220は、車室外の空気(外気)を空調ケース200の内側に取り入れるための導入口である。内気導入部210及び外気導入部220は、空調ケース200のうち上流側部分において並ぶように形成されている。
内気導入部210と外気導入部220との間には内外気切り換えドア230が設けられている。内外気切り換えドア230は、内気導入部210のみが開かれている状態(図1)と、外気導入部220のみが開かれている状態と、を切り換えるためのドアである。内気導入部210のみが開かれている状態は、車室内から取り入れられた内気が空調されて車室内に吹き出される状態である。このような状態となる車両用空調装置10の動作モードのことを、以下では「内気循環モード」とも表記する。外気導入部220のみが開かれている状態は、車室外から取り入れられた外気が空調されて車室内に吹き出される状態である。このような状態となる車両用空調装置10の動作モードのことを、以下では「外気循環モード」とも表記する。内外気切り換えドア230の動作は、後述の制御装置100によって制御される。
フェイスダクト270及びフットダクト280は、いずれも、空調された空気を車室内に導くための排出口である。フェイスダクト270及びフットダクト280は、空調ケース200のうち下流側部分に形成されている。フェイスダクト270は、乗員の顔に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹き出し口(不図示)に繋がっている。フットダクト280は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すためのフット吹き出し口(不図示)に繋がっている。
フェイスダクト270の入口部分にはフェイスドア271が設けられている。フェイスドア271が図1のように開状態となっているときには、フェイスダクト270からフェイス吹き出し口に向けて空調風が供給される。同様に、フットダクト280の入口部分にはフットドア281が設けられている。フットドア281が開状態となっているときには、フットダクト280からフット吹き出し口に向けて空調風が供給される。フェイスドア271及びフットドア281のそれぞれの動作は制御装置100によって制御される。
尚、例えばフェイスダクト270の下流側が二つに分岐しており、その一方が窓の近傍に形成されたデフロスタ吹き出し口(不図示)に繋がっているような態様であってもよい。
ブロア250は、空調ケース200の内側において、車室に向けて空気を送り出すための送風機である。ブロア250の回転数、すなわち車両用空調装置10から吹き出される空調風の風量は、制御装置100によって制御される。
粒子フィルタ240は、空調ケース200を通過する空気から、当該空気に含まれる粒子を除去するためのフィルタである。粒子フィルタ240は、内気導入部210や外気導入部220よりも下流側であり、且つブロア250よりも上流側となる位置に設けられている。ここでいう「粒子」とは、例えばPM2.5のような微小粒子である。
熱交換部260は、冷媒などとの熱交換によって空調を行う部分である。熱交換部260は、ブロア250よりも下流側であり、且つフェイスダクト270やフットダクト280よりも上流側となる位置に設けられている。熱交換部260には、空気の除湿及び冷却を行うためのエバポレータや、空気の加熱を行うためのヒータコア、及び、これらを通過する空気の流量を調整するためのエアミックスドア等(いずれも不図示)が設けられている。尚、このような熱交換部260の構成としては公知のものを採用し得るので、その具体的な図示や説明は省略する。
粒子検知部300は、空気中における粒子を光学的に検知するためのセンサである。図1に示されるように、空調ケース200のうち粒子フィルタ240よりも下流側であり、且つブロア250よりも上流側となる位置には、導入管290の一端が接続されている。導入管290の他端は車室内に開放されている。粒子検知部300は、この導入管290の途中となる位置に設けられている。ブロア250が駆動されており、空調ケース200の内側を空気が流れているときには、空調ケース200側で生じる負圧により、導入管290においても空気の流れが生じる。つまり、車室内から導入管290を通って空調ケース200内に至るような空気の流れが生じる。粒子検知部300は、当該空気に含まれる粒子の濃度を測定し、当該濃度を電気信号により制御装置100に送信する。
粒子検知部300の内部構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、粒子検知部300の外郭をなすケース340から不図示の蓋を取り外し、当該ケース340の内部構成を示したものである。
ケース340は全体が略直方体状の容器である。ケース340のうち図2に示されている部分(つまり蓋以外の部分)は、平板部341と、側壁部330と、を有している。
平板部341は、その全体が略平板状に形成された部分である。平板部341には、入口301と出口302とが形成されている。入口301は、測定対象となる空気を導入管290から内部に導入するための開口である。出口302は、測定された後の空気を内部から導入管290へと排出するための開口である。
側壁部330は、平板部341の外周部近傍となる位置から、図2における紙面手前側に向けて伸びるように形成された壁である。側壁部330は矩形の枠体となっており、平板部341と共にケース340の内部空間を区画している。側壁部330は、不図示の蓋の内側に嵌め込まれる部分となっている。
図2に示されるように、ケース340の内側には、発光部310と受光部320とが配置されている。発光部310は、ケース340の内部において、入口301から流入した空気に光を照射するものである。当該光は、発光部310が有する第1レンズ311を介して発せられる。本実施形態では、発光部310としてLEDが用いられている。図2において符号LX1が付されている一点鎖線は、発光部310の光軸を示している。以下では、当該光軸のことを「光軸LX1」とも表記する。発光部310から発せられた光は、矢印で示されるように流れている空気に照射される。当該光の一部は、空気に含まれる粒子(つまり検知対象の粒子)に当たって散乱される。
受光部320は、上記のように散乱された光を受光し、その受光量に応じた信号を発する素子である。当該光は、受光部320が有する第2レンズ321を介して受光される。図2において符号LX2が付されている一点鎖線は、受光部320の光軸を示している。以下では、当該光軸のことを「光軸LX2」とも表記する。
光軸LX1と光軸LX2とは、空気が流れる経路の途中となる位置において互いに交差している。この交差している点及びその近傍を含む微小な領域は、粒子を検知するための検知領域DAとなっている。粒子検知部300は、この検知領域DAの粒子によって散乱された光のみを、受光部320が受光するように設計されている。これにより、受光部320による粒子の検知が正確に行われる。
仮に、検知領域DA以外の箇所からの反射光が受光部320に到達したり、入口301や出口302から侵入した光が受光部320に到達したりすると、粒子の検知が正確には行われなくなる。また、発光部310から照査された光以外の光が検知領域DAに到達した場合にも、やはり粒子の検知が正確には行われなくなる。このように、想定外の経路で検知領域DAや受光部320に到達し、粒子の検知に悪影響を及ぼしてしまう光のことを、以下では「迷光」とも称する。
迷光の影響を防止するために、ケース340の内側には複数のリブ331、332、333、34が形成されている。これらはいずれも、平板部341に対して垂直な壁となっており、平板部341から図2の紙面手前側に向けて伸びるように形成されている。
粒子検知部300は、受光部320で受光された光量に基づいた信号(具体的には電圧)を制御装置100に送信する。制御装置100は、当該信号に基づいて、車室内の空気における粒子濃度を取得することができる。
粒子検知部300には内部温度センサ350が設けられている。内部温度センサ350は、粒子検知部300の内部の温度を測定するための温度センサである。ここでいう「粒子検知部300の内部の温度」とは、粒子検知部300のうち、通過する空気が触れる部分の温度のことである。当該温度のことを、以下では「内部温度」とも表記する。内部温度センサ350は、ケース340のうち、空気が通る流路とは反対側(図2では紙面奥側)となる位置に設けられている。内部温度センサ350で測定された内部温度は制御装置100へと送信される。
内部温度センサ350が設けられている位置は、空気流路の内面の温度(つまり、測定に影響するような結露が生じる部分の温度)を直接的又は間接的に測定できる位置なら、上記とは異なる位置であっても良い。例えば、ケース340の内側であって空気の流れを妨げないような位置に内部温度センサ350が設けられていても良い。
図1に戻って説明を続ける。制御装置100は、車両用空調装置10の全体の動作を制御するための装置である。制御装置100は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムとして構成されている。既に述べたように、制御装置100は、内外気切り換えドア230やブロア250等の動作を制御する。
このような態様に換えて、車両全体の制御を行うECUが、制御装置100の機能を有しているような態様であってもよい。つまり、車両用空調装置10の制御を行う制御装置100が、車両全体の制御を行うECUの一部として構成されているような態様であってもよい。
車両用空調装置10が搭載された車両には、粒子検知部300の他にも様々なセンサが設けられており、それぞれのセンサからの信号が制御装置100に入力されている。図1ではこれらのセンサのうち、外気温度センサ131と、外気湿度センサ132と、内気温度センサ133と、ドアセンサ134と、が示されている。
外気温度センサ131は、車両の外部の気温(以下では「外気温度」とも表記する)を測定するための温度センサである。外気温度センサ131は、例えば外気導入部220の途中となる位置に設けられている。外気温度センサ131で測定された外気温度は制御装置100へと送信される。
外気湿度センサ132は、車両の外部の湿度(以下では「外気湿度」とも表記する)を測定するための湿度センサである。外気湿度センサ132は、例えば外気導入部220の途中となる位置に設けられている。外気湿度センサ132で測定された外気湿度は制御装置100へと送信される。
内気温度センサ133は、車室内の気温(以下では「内気温度」とも表記する)を測定するための温度センサである。内気温度センサ133は、例えば内気導入部210の途中となる位置に設けられている。内気温度センサ133で測定された内気温度は制御装置100へと送信される。
ドアセンサ134は、車両に設けられた不図示のドア、つまり、乗員が車室内に出入りするために設けられたドアの開閉状態を検知するためのセンサである。車両には上記のドアが複数設けられており、ドアセンサ134はそれぞれのドアに設けられている。ドアセンサ134によって検知された各ドアの開閉状態は、制御装置100へと送信される。
制御装置100は、機能的な制御ブロックとして結露判定部110を備えている。結露判定部110は、粒子検知部300の内側において、検知される粒子濃度の値に影響を及ぼすような結露が発生しているか否かを判定する部分である。
粒子濃度の検知における結露の影響について、図3を参照しながら説明する。図3に示されるグラフの縦軸は、粒子検知部300から制御装置100へと出力される信号の値、つまり、空気中の粒子濃度によって変化する電圧値を示している。
図3の例では、時刻t01以降において、粒子検知部300の内側で結露が生じている。時刻t01以降では、第1レンズ311や第2レンズ321の表面で生じた結露によって光の経路が変化し、上記の電圧値が上昇している。電圧値の上昇は、時刻t01から時刻t02までの期間において生じている。
上記のような電圧値の上昇は、検知領域DAに、粒子を含んだ空気が流入している際においても同様に生じる。このため、結露に伴って図3に示されるような信号が制御装置100へと出力された場合には、実際には粒子濃度が上昇していないにも拘らず、粒子濃度が上昇したとの誤判定を制御装置100が行ってしまう恐れがある。
そこで、本実施形態ではこのような誤判定を防止するために、制御装置100が上記の結露判定部110を有することとしている。結露が発生しているか否かを結露判定部110が判定するので、制御装置100は、粒子検知部300から送信される信号が、正確な粒子濃度を示すものであるか否か(つまり、結露の影響を受けたものであるか否か)を判定することができる。
尚、既に述べたように制御装置100は、粒子検知部300から出力される信号に基づいて粒子濃度を判定する。粒子濃度の時間変化については図示を省略するが、図3に示されるものと同様の時間変化となる。以下では、粒子検知部300から制御装置100へと出力される電圧値、及び、当該電圧値に基づいて算出された粒子濃度の値、のいずれか一方を含むものとして、「出力値」の語を用いる。
本発明者らが実験等によって確認したところによれば、粒子検知部300の内部における結露発生量が大きくなるほど、粒子検知部300から出力される上記出力値の最大値が大きくなるという知見が得られている。図4には、結露発生量と、出力値(電圧値)の最大値との関係が示されている。結露発生量(横軸)がある程度大きくなると、出力値の最大値(縦軸)は、通常の粒子濃度に対応する値よりも大きくなる。尚、出力値が、電圧値ではなく粒子濃度の値である場合においても、図4に示されるものと同様の関係となる。
また、本発明者らによれば、結露が発生した際における粒子検知部300の出力値の時間変化は、粒子濃度が高くなったときにおける通常の時間変化に比べて大きくなる、という知見も得られている。後に説明するように、結露判定部110は、以上のような知見等に基づいて、粒子検知部300の内部で結露が発生しているか否かを判定する。
図1に戻って説明を続ける。報知部140は、粒子検知部300によって検知された粒子濃度を、結露判定部110による判定結果と共に車両の乗員に報知するためのものである。本実施形態の報知部140は、車室内に設けられたタッチパネル画面として構成されている。つまり、本実施形態においては、乗員に対する粒子濃度等の報知が視覚的に行われる。このような態様に換えて、乗員に対する報知が例えば音声等によって行われるような態様であってもよい。
制御装置100によって行われる処理の内容について、図5を参照しながら説明する。図5に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、制御装置100によって繰り返し実行される。
最初のステップS01では、粒子検知部300からの出力値が取得される。ここでは、変動する電圧値(又は粒子濃度の値)の最大値が、出力値として取得される。ステップS01に続くステップS02では、ステップS01で取得された出力値に基づいて、粒子検知部300の内部において結露が発生しているか否かが判定される。当該判定は、既に述べたように結露判定部110によって行われる。当該判定のために行われる処理の具体的な内容について、図6を参照しながら説明する。
当該判定の最初に行われるステップS11では、図5のステップS01で取得された出力値が、所定の閾値TH1よりも大きいか否かが判定される。閾値TH1は、検知される粒子濃度の値に影響を及ぼすような結露が生じた際において、粒子検知部300から制御装置100へと出力される出力値よりも小さな値として、予め設定された閾値である。このような閾値TH1としては、通常の(極端ではない)粒子濃度が検知された際における出力値よりも大きな値であり、且つ、第1レンズ311や第2レンズ321の表面で上記のような結露が生じた際における出力値よりも小さな値、が設定されることが好ましい。
出力値が閾値TH1よりも大きい場合には、ステップS12に移行する。ステップS12に移行したということは、通常の粒子濃度が検知されたにしては大きな出力値の信号が、粒子検知部300から出力されたということである。そこで、ステップS12では「結露が発生している」との判定がなされる。
一方、出力値が閾値TH1以下であった場合には、ステップS13に移行する。ステップS13に移行したということは、結露が生じた場合の値よりも小さな出力値の信号が、粒子検知部300から出力されたということである。そこで、ステップS13では「結露が発生していない」との判定がなされる。
図5に戻って説明を続ける。ステップS02において「結露が発生している」と判定された場合には、ステップS03に移行する。ステップS03では、結露によって粒子濃度の測定が正確には行われていないことを示すダイアグ信号が、制御装置100から、車両制御用のECU(不図示)に向けて出力される。これに伴い、報知部140では、結露が生じている旨を示す文字列(つまり結露判定部110による判定結果)が画面上に表示される。
尚、報知部140による上記の報知は、制御装置100から報知部140に対して直接送信される信号に基づいて行われてもよく、車両制御用のECUから報知部140に対して送信される信号に基づいて行われてもよい。
ステップS02において「結露が発生していない」と判定された場合、又はステップS03の処理が行われた後には、ステップS04に移行する。ステップS04では、報知部140の画面に、出力値に応じた粒子濃度を表示する処理が行われる。ここで表示される粒子濃度は、結露の影響によって不正確な値となっている可能性がある。しかしながら、結露が生じている場合における報知部140の画面には、上記のように結露が生じている旨を示す文字列もあわせて表示されている。このため、当該表示を見た乗員に、表示されている粒子濃度が正確ではないことを認識させることができる。
尚、ステップS03においてダイアグ信号が出力されている場合には、ステップS04では、(不正確な)粒子濃度の値を表示しないこととしてもよい。つまり、結露が生じているときには、報知部140による粒子濃度の報知を一時的に停止することとしてもよい。
ステップS04に続くステップS05では、ステップS01と同様に、粒子検知部300からの出力値が再度取得される。ステップS05に続くステップS06では、結露判定部110により、粒子検知部300の内部の結露が解消したか否かが判定される。ここでは、ステップS05で取得された出力値が閾値TH1以下となっていれば、結露が解消したと判定される。つまり、本実施形態のステップS06において行われる判定の方法は、ステップS02で行われる判定の方法と同じである。
結露が解消したと判定された場合には、ステップS07に移行するステップS07では、制御装置100に向けたダイアグ信号の出力が停止される。これにより、ステップS03以降において報知部140で行われていた、結露が生じている旨を示す文字列の表示が停止される。
ステップS06において、結露が解消していないと判定された場合には、特段の処理を行うことなく、図5に示される一連の処理を終了する。報知部140では、結露が生じている旨を示す文字列の表示が継続される。
以上に説明したように、本実施形態に係る車両用空調装置10では、粒子検知部300からの出力値が所定の閾値TH1よりも大きい場合に、結露判定部110が、粒子検知部300において結露が発生していると判定する。結露が生じているか否かの判定が、出力値の大きさに基づいて直接的に行われるので、不正確な粒子濃度の報知が乗員に行われてしまうことを確実に防止することができる。
尚、粒子濃度が増加した場合には、乗員への粒子濃度の報知が行われるだけでなく、制御装置100によって粒子除去制御が実行されることとしてもよい。粒子除去制御とは、内気循環モードに切り換えた後、ブロア250の回転数を増加させることにより、粒子フィルタ240によって除去される粒子の量を増加させる制御である。
この場合、結露が生じていないと結露判定部110によって判定された場合にのみ、上記の粒子除去制御が実行されることとすればよい。これにより、実際には粒子濃度が増加していないにも拘らず、粒子除去制御が無駄に実行されてしまうような事態を防止することができる。
第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、制御装置100によって実行される処理のうち、図5のステップS02において実行される処理において第1実施形態と異なっている。図7に示される一連の処理は、当該ステップS02において、図6に示される一連の処理に換えて実行される処理である。
当該処理の最初のステップS21では、出力値の時間変化率が所定の閾値TH2よりも大きいか否かが判定される。「出力値の時間変化率」は、単位時間あたりにおける出力値の上昇量のことである。この時間変化率を算出するために、図5のステップS01では、単一の出力値を取得するのではなく、所定期間に亘って複数の出力値を取得することとすればよい。
上記の閾値TH2は、検知される粒子濃度の値に影響を及ぼすような結露が生じた際において、生じる出力値の時間変化率よりも小さな値として、予め設定された閾値である。このような閾値TH2としては、通常の(極端ではない)粒子濃度が検知された際における出力値の時間変化率よりも大きな値であり、且つ、第1レンズ311や第2レンズ321の表面で上記のような結露が生じた際における出力値の時間変化率よりも小さな値、が設定されることが好ましい。
出力値の時間変化率が閾値TH2よりも大きい場合には、ステップS22に移行する。ステップS22に移行したということは、測定された出力値の時間変化率が、通常の粒子濃度が検知された場合の時間変化率よりも大きいということである。そこで、ステップS22では「結露が発生している」との判定がなされる。
一方、出力値の時間変化率が閾値TH2以下であった場合には、ステップS23に移行する。ステップS23に移行したということは、測定された出力値の時間変化率が、結露が生じた場合における出力値の時間変化率よりも小さいということである。そこで、ステップS23では「結露が発生していない」との判定がなされる。
以上に説明したように、本実施形態に係る車両用空調装置10では、粒子検知部300からの出力値の時間変化率が所定の閾値TH2よりも大きい場合に、結露判定部110が、粒子検知部300において結露が発生していると判定する。このような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、制御装置100によって実行される処理のうち、図5のステップS06において実行される処理の内容において第1実施形態と異なっている。図8に示される一連の処理は、当該ステップS06において実行される処理の具体的な内容である。
最初のステップS31では、図5のステップS05で取得された出力値が、所定の解除値TH3以下であるか否かが判定される。解除値TH3は、ステップS02において結露が発生していると判定されるよりも前の時点に取得され記憶されていた、粒子検知部300からの出力値である。例えば、図3の時刻t01よりも前の時点における出力値である。
このような解除値TH3としては、結露発生前に1回取得された出力値がそのまま用いられてもよく、結露発生前に複数回取得された出力値の平均値が用いられてもよい。
ステップS31において、出力値が解除値TH3以下であった場合には、ステップS33に移行する。ステップS33に移行したということは、結露の発生に伴って上昇していた出力値が、結露発生前の値以下まで下がったということである。このため、ステップS33では「結露が解消した(つまり現時点では結露が発生していない)」との判定がなされる。
ステップS31において、出力値が解除値TH3よりも大きかった場合には、ステップS32に移行する。ステップS32に移行したということは、結露の発生に伴って上昇していた出力値が、未だ結露発生前の値までは下がっていないということである。このため、ステップS32では「結露が解消していない(つまり現時点でも結露が発生している)」との判定がなされる。
以上のように、本実施形態の結露判定部110は、図5のステップS02で結露が発生していると判定した後において、粒子検知部300からの出力値が所定の解除値TH3以下となった場合に、結露が解消したと判定する。このように、結露が解消したとの判定に用いられる閾値が、図6のステップS11で用いられる閾値TH1とは別に設定された閾値であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
第4実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、制御装置100によって実行される処理のうち、図5のステップS06において実行される処理の内容において第1実施形態と異なっている。図9に示される一連の処理は、当該ステップS06において実行される処理の具体的な内容である。
最初のステップS41では、外気温度センサ131によって測定された外気温度が取得される。尚、ステップS41における外気温度の取得は、上記とは異なる態様において行われてもよい。例えば、制御装置100が外部のクラウドサーバーと通信を行うことにより、車両の周囲における外気温度をクラウドサーバーから取得することとしてもよい。
ステップS41に続くステップS42では、内気温度センサ133によって測定された内気温度が取得される。ステップS42に続くステップS43では、内部温度センサ350によって測定された内部温度が取得される。ステップS43に続くステップS44では、内気循環モードであるか否かが判定される。内気循環モードである場合にはステップS45に移行する。
ステップS45では、ステップS42で取得された内気温度が、ステップS43で取得された内部温度よりも低いか否かが判定される。内気温度が内部温度よりも低い場合にはステップS47に移行する。
ステップS45からステップS47に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は内気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度よりも低いということである。このため、粒子検知部300に導入される空気は、粒子検知部300の流路を区画する部分に触れることによってその温度を上昇させることとなる。このような状況においては、粒子検知部300の内部で結露が生じている可能性は低い。このため、ステップS47では「結露が解消した(つまり現時点では結露が発生していない)」との判定がなされる。
ステップS45において、内気温度が内部温度以上であった場合にはステップS46に移行する。ステップS45からステップS46に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は内気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度以上ということである。このため、粒子検知部300に導入される空気は、粒子検知部300の流路を区画する部分に触れることによってその温度を維持又は低下させることとなる。このような状況においては、粒子検知部300の内部で結露が解消している可能性が高い。このため、ステップS46では「結露が解消していない(つまり現時点でも結露が発生している)」との判定がなされる。
ステップS44において、内気循環モードではないと判定された場合、すなわち外気循環モードであると判定された場合には、ステップS48に移行する。ステップS48では、ステップS41で取得された外気温度が、ステップS43で取得された内部温度よりも低いか否かが判定される。外気温度が内部温度よりも低い場合にはステップS47に移行する。
ステップS48からステップS47に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は外気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度よりも低いということである。このため、ステップS45から移行した場合と同様に、ステップS47では「結露が解消した(つまり現時点では結露が発生していない)」との判定がなされる。
ステップS48において、外気温度が内部温度以上であった場合にはステップS46に移行する。ステップS48からステップS46に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は外気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度以上ということである。このため、ステップS45から移行した場合と同様に、ステップS46では「結露が解消していない(つまり現時点でも結露が発生している)」との判定がなされる。
以上のように、本実施形態の結露判定部110は、図5のステップS02で結露が発生していると判定した後において、粒子検知部300に導入される空気の温度が、粒子検知部300の内部の温度よりも低くなった場合に、結露が解消したと判定する。このような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
第5実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、制御装置100によって実行される処理のうち、図5のステップS06において実行される処理の内容において第1実施形態と異なっている。図10に示される一連の処理は、当該ステップS06において実行される処理の具体的な内容である。
最初のステップS51では、内部温度センサ350によって測定された内部温度が取得される。ステップS51に続くステップS52では、ステップS51で取得された内部温度が、所定の閾値TH4よりも大きいか否かが判定される。閾値TH4は、検知される粒子濃度の値に影響を及ぼすような結露が生じ得ない程度の温度を示す値として、予め設定された閾値である。内部温度が閾値TH4よりも大きい場合にはステップS54に移行する。
ステップS54に移行したということは、内部温度が高いために結露が残っている可能性が低いということである。このため、ステップS54では「結露が解消した(つまり現時点では結露が発生していない)」との判定がなされる。
ステップS52において、内部温度が閾値TH4以下であった場合にはステップS53に移行する。ステップS53に移行したということは、内部温度が低いために、結露が残っている可能性が高いということである。このため、ステップS53では「結露が解消していない(つまり現時点でも結露が発生している)」との判定がなされる。
以上のように、本実施形態の結露判定部110は、図5のステップS02で結露が発生していると判定した後において、粒子検知部300の内部の温度が所定の閾値TH4よりも高くなった場合に、結露が解消したと判定する。このような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
第6実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、制御装置100によって実行される処理のうち、図5のステップS06において実行される処理の内容において第1実施形態と異なっている。図11に示される一連の処理は、当該ステップS06において実行される処理の具体的な内容である。
最初のステップS61では、図5のステップS02において「結露が発生している」と判定された時点から、現時点までに所定期間が経過したか否かが判定される。所定期間が経過したと判定された場合にはステップS63に移行する。ステップS63では「結露が解消した(つまり現時点では結露が発生していない)」との判定がなされる。一方、ステップS61において所定期間が経過していないと判定された場合にはステップS62に移行する。ステップS62では「結露が解消していない(つまり現時点でも結露が発生している)」との判定がなされる。
尚、図5のステップS02において「結露が発生していない」と判定されていた場合には、時間の経過に拘らずステップS61からステップS63に移行する。
以上のように、本実施形態の結露判定部110は、図5のステップS02で結露が発生していると判定した後において所定期間が経過したときに、結露が解消したと判定する。このように、結露が解消している状況であることを直接は確認せず、一定の期間が経過したことをもって結露が解消していると判定するような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
第7実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、図5に示される一連の処理に換えて、図12に示される一連の処理が制御装置100により実行される。
最初のステップS71では、図5のステップS01と同様に、粒子検知部300からの出力値が取得される。ステップS71に続くステップS72では、ドアセンサ134からの信号に基づいて、いずれかのドアが開かれたか否かが判定される。いずれのドアも開かれなかった場合には、後述のステップS80に移行する。いずれかのドアが開かれ場合にはステップS73に移行する。
ステップS73では、外気湿度センサ132で測定された外気湿度が取得される。ステップS73に続くステップS74では、外気温度センサ131によって測定された外気温度が取得される。尚、ステップS73における外気湿度の取得、及びステップS74における外気温度の取得は、上記とは異なる態様において行われてもよい。例えば、制御装置100が外部のクラウドサーバーと通信を行うことにより、車両の周囲における外気湿度及び外気温度をそれぞれクラウドサーバーから取得することとしてもよい。
ステップS74に続くステップS75では、上記の外気湿度と外気温度とに基づいて外気水蒸気量が算出される。「外気水蒸気量」とは、外気導入部220から導入される外部の空気に含まれる水蒸気量、具体的には、単位体積の当該空気に含まれる水蒸気量のことである。外気水蒸気量の算出は、例えば、予め作成されたマップを参照することによって行われる。
ステップS75に続くステップS76では、内気温度センサ133によって測定された内気温度が取得される。ステップS76に続くステップS77では、上記の内気温度に基づいて内気飽和水蒸気量が算出される。「内気飽和水蒸気量」とは、単位体積の車室内の空気における飽和水蒸気量のことである。内気飽和水蒸気量の算出は、例えば、予め作成されたマップを参照することによって行われる。
ステップS77に続くステップS78では、ステップS75で算出された外気水蒸気量が、ステップS77で算出された内気飽和水蒸気量よりも大きいか否かが判定される。外気水蒸気量が内気飽和水蒸気量よりも大きい場合には、ステップS79に移行する。この場合、開放されたドアを介して車室内に流入した空気、の一部が粒子検知部300の内側に流入すると、当該空気に含まれる水蒸気量(つまり外気水蒸気量)が内気飽和水蒸気量を超えるため、粒子検知部300の内部で結露が生じるということである。
このため、ステップS79では、結露判定部110が「結露が発生している」と判定する。これと同時に、図5のステップS03と同様に、結露によって粒子濃度の測定が正確には行われていないことを示すダイアグ信号が、制御装置100から車両制御用のECUに向けて出力される。また、報知部140では、結露が生じている旨を示す文字列(つまり結露判定部110による判定結果)が画面上に表示される。その後、ステップS80に移行する。
ステップS78において、外気水蒸気量が内気飽和水蒸気量以下であった場合には、上記のようなダイアグ信号の出力を行うことなくステップS80に移行する。ステップS80では、図5のステップS04と同様に、報知部140の画面に、出力値に応じた粒子濃度を表示する処理が行われる。
ステップS80に続くステップS81では、ステップS79に移行した時点から、現時点までに所定期間が経過したか否かが判定される。所定期間が経過したと判定された場合にはステップS82に移行する。ステップS82では、結露判定部110が「結露が解消した(つまり現時点では結露が発生していない)」と判定する。これと同時に、図5のステップS07と同様に、制御装置100に向けたダイアグ信号の出力が停止される。また、報知部140では、結露が生じている旨を示す文字列の表示が停止される。
一方、ステップS81において所定期間が経過していないと判定された場合には、ダイアグ信号の出力を継続したまま、図12に示される一連の処理を終了する。尚、ステップS79を経ることなくステップS81に移行した場合には、そのまま図12に示される一連の処理を終了する。
以上のように、本実施形態の結露判定部110は、車両の外部の気温である外気温度と、車両の外部の湿度である外気湿度と、車室内の気温である内気温度と、に基づいて、粒子検知部300の内部で結露が発生しているか否かを判定する。具体的には、外気温度及び外気湿度に基づいて外気水蒸気量を算出し、内気温度に基づいて内気飽和水蒸気量を算出し、外気水蒸気量が内気飽和水蒸気量よりも大きいときに車両のドアが開放された場合に、粒子検知部300の内部で結露が発生していると判定する。これにより、ドアから侵入した外気によって結露が生じることを、結露判定部110がより確実に判定することができる。
第8実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。図13に示されるように、本実施形態では、制御装置100が状況判定部120を有している。状況判定部120は、粒子検知部300の内部で結露が発生し得ない状況であるか否か、を判定する部分である。
当該判定の具体的な態様について、図14を参照しながら説明する。図14に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、制御装置100によって繰り返し実行されるものである。当該処理は、図5に示される一連の処理に先立って行われる。ただし、後に説明するように、当該処理が行われているときの状況によっては、図5に示される一連の処理が実行されないこともある。
最初のステップS91では、外気温度センサ131によって測定された外気温度が取得される。尚、ステップS91における外気温度の取得は、上記とは異なる態様において行われてもよい。例えば、制御装置100が外部のクラウドサーバーと通信を行うことにより、車両の周囲における外気温度をクラウドサーバーから取得することとしてもよい。
ステップS91に続くステップS92では、内気温度センサ133によって測定された内気温度が取得される。ステップS92に続くステップS93では、内部温度センサ350によって測定された内部温度が取得される。
ステップS93に続くステップS94では、ステップS92で取得された内気温度が、ステップS93で取得された内部温度よりも低いか否かが判定される。内気温度が内部温度よりも低い場合にはステップS95に移行する。
ステップS95では、ステップS91で取得された外気温度が、ステップS93で取得された内部温度よりも低いか否かが判定される。外気温度が内部温度よりも低い場合にはステップS96に移行する。
ステップS96に移行したということは、内気循環モード及び外気循環モードのいずれの場合であっても、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度よりも低いということである。このため、粒子検知部300に導入される空気は、粒子検知部300の流路を区画する部分に触れることによってその温度を上昇させることとなる。このような状況においては、粒子検知部300の内部で結露が生じる可能性は低い。このため、ステップS96では「結露が発生し得ない状況である」との判定がなされる。当該判定は状況判定部120によってなされる。
ステップS96に続くステップS97では、図5のステップS01と同様に、粒子検知部300からの出力値が取得される。ステップS97に続くステップS98では、報知部140の画面に、出力値に応じた粒子濃度を表示する処理が行われる。その後、図14に示される一連の処理を終了する。この場合、図5に示される一連の処理は行われない。このため、結露判定部110による判定、すなわち結露が発生しているか否かの判定については行われない。
このように、本実施形態では、粒子検知部300に導入される空気の温度が、粒子検知部300の内部の温度よりも低い場合には、状況判定部120が「結露が発生し得ない状況である」と判定する。状況判定部120によって「結露が発生し得ない状況である」と判定された場合には、結露判定部110は、結露が発生しているか否かの判定を行わない。このため、結露が実際には発生していないにもかかわらず、結露が発生しているとの誤判定がなされてしまうようなことが確実に防止される。
ステップS94において内気温度が内部温度以上であった場合、もしくは、ステップS95において外気温度が内部温度以上であった場合には、ステップS99に移行する。ステップS99に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(内気温度又は外気温度)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度以上となる可能性がある。このため、ステップS99では「結露が発生し得る」との判定がなされる。
ステップS99に続くステップS100では、図5に示される一連の処理、すなわち第1実施形態と同様の処理が行われる。当該処理においては、既に述べたように、結露が発生しているか否かの判定が結露判定部110によって行われることとなる。このように、本実施形態では、状況判定部120によって「結露が発生し得る」との判定がなされた場合にのみ、結露が発生しているか否かの判定が結露判定部110によって行われる。尚、ステップS100において実行される処理は、上記のように第1実施形態と同様の処理であってもよいが、第2実施形態から第7実施形態までのいずれかと同様の処理であってもよい。
第9実施形態について説明する。以下では、上記の第8実施形態と異なる点について主に説明し、第8実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、図14に示される一連の処理に換えて、図15に示される一連の処理が制御装置100により実行される。
最初のステップS101では、外気温度センサ131によって測定された外気温度が取得される。尚、ステップS101における外気温度の取得は、上記とは異なる態様において行われてもよい。例えば、制御装置100が外部のクラウドサーバーと通信を行うことにより、車両の周囲における外気温度をクラウドサーバーから取得することとしてもよい。
ステップS101に続くステップS102では、内気温度センサ133によって測定された内気温度が取得される。ステップS102に続くステップS103では、内部温度センサ350によって測定された内部温度が取得される。
ステップS103に続くステップS104では、内気循環モードであるか否かが判定される。内気循環モードである場合にはステップS105に移行する。
ステップS105では、ステップS102で取得された内気温度が、ステップS103で取得された内部温度よりも低いか否かが判定される。内気温度が内部温度よりも低い場合にはステップS106に移行する。
ステップS105からステップS106に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は内気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度よりも低いということである。このため、粒子検知部300に導入される空気は、粒子検知部300の流路を区画する部分に触れることによってその温度を上昇させることとなる。このような状況においては、粒子検知部300の内部で結露が生じる可能性は低い。このため、ステップS106では「結露が発生し得ない状況である」との判定がなされる。当該判定は状況判定部120によってなされる。
ステップS106に続くステップS107では、図5のステップS01と同様に、粒子検知部300からの出力値が取得される。ステップS107に続くステップS108では、報知部140の画面に、出力値に応じた粒子濃度を表示する処理が行われる。その後、図15に示される一連の処理を終了する。この場合、図5に示される一連の処理は行われない。このため、結露判定部110による判定、すなわち結露が発生しているか否かの判定については行われない。
ステップS105において内気温度が内部温度以上であった場合には、ステップS110に移行する。ステップS105からステップS110に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は内気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度以上ということである。このため、ステップS110では「結露が発生し得る」との判定がなされる。
ステップS110に続くステップS111では、図14のステップS100と同様に、図5に示される一連の処理、すなわち第1実施形態と同様の処理が行われる。当該処理においては、既に述べたように、結露が発生しているか否かの判定が結露判定部110によって行われることとなる。尚、ステップS100において実行される処理は、上記のように第1実施形態と同様の処理であってもよいが、第2実施形態から第7実施形態までのいずれかと同様の処理であってもよい。
ステップS104において、内気循環モードではないと判定された場合、すなわち外気循環モードであると判定された場合には、ステップS109に移行する。ステップS109では、ステップS101で取得された外気温度が、ステップS103で取得された内部温度よりも低いか否かが判定される。外気温度が内部温度よりも低い場合にはステップS106に移行する。
ステップS109からステップS106に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は外気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度よりも低いということである。このため、粒子検知部300に導入される空気は、粒子検知部300の流路を区画する部分に触れることによってその温度を上昇させることとなる。このような状況においては、粒子検知部300の内部で結露が生じる可能性は低い。このため、ステップS106では「結露が発生し得ない状況である」との判定がなされる。当該判定は状況判定部120によってなされる。以降の処理は、既に述べたものと同じである。
ステップS109において外気温度が内部温度以上であった場合には、ステップS110に移行する。ステップS109からステップS110に移行したということは、導入管290を通って粒子検知部300に導入される空気の温度(この場合は外気温度に等しい)が、粒子検知部300の内部の温度である内部温度以上ということである。このため、ステップS110では「結露が発生し得る」との判定がなされる。以降の処理は、既の述べたものと同じである。
このように、本実施形態では第8実施形態(図14)と同様に、粒子検知部300に導入される空気の温度が、粒子検知部300の内部の温度よりも低い場合には、状況判定部120が「結露が発生し得ない状況である」と判定する。状況判定部120によって「結露が発生し得ない状況である」と判定された場合には、結露判定部110は、結露が発生しているか否かの判定を行わない。
本実施形態では、内気温度と内部温度との比較(ステップS105)と、外気温度と内部温度との比較(ステップS109)とが、内気循環モードであるか否かに応じて択一的に行われる。このような態様であっても、第8実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
これまでに述べたように、図9のステップS41、図12のステップS74、図14のステップS91、及び図15のステップS101における外気温度は、制御装置100が外部のクラウドサーバーから取得することとしてもよい。また、図12のステップS73における外気湿度についても同様に、制御装置100が外部のクラウドサーバーから取得することとしてもよい。
外気温度や外気湿度をこのように取得するための具体的な構成について、図16を参照しながら説明する。この例では、制御装置100が外部との無線通信を行うための装置として、車両には受信機141と送信機142とが設けられている。また、制御装置100には、機能的な制御ブロックの一つとして、結露判定部110のほかに情報取得部150を備えている。情報取得部150は、クラウドサーバー400から外気温度及び外気湿度を取得する処理を行う部分である。図13に示される第8実施形態のように、制御装置100が更に状況判定部120を備えているような態様であってもよい。
この例においては、大気の温度及び湿度のそれぞれを測定するための温湿度センサ431等が、車両が走行し得る道路の各地点に接地されている。図16には、地点Aに設置されている温湿度センサ431と、地点Bに設置されている温湿度センサ432と、地点Cに設置されている温湿度センサ433と、地点Dに設置されている温湿度センサ434と、が示されている。尚、各地点に接地されている温湿度センサ431等の数は4つよりも多いのであるが、図16ではこのうちの4つだけが図示されている。
それぞれの温湿度センサ431等で取得された大気の温度及び湿度は、地域ごとに設置された中継サーバー421等へと送信される。図16の例では、温湿度センサ431及び温湿度センサ432のそれぞれで取得された大気の温度及び湿度が、中継サーバー421へと送信される。また、温湿度センサ433及び温湿度センサ434のそれぞれで取得された大気の温度及び湿度が、中継サーバー422へと送信される。尚、接地された中継サーバー421等の数は2つよりも多いのであるが、図16ではこのうちの2つだけが図示されている。それぞれの中継サーバー421等へと情報を送信する温湿度センサ431等の数は、図16の例では2つずつとなっているのであるが、これとは異なる数であってもよい。
クラウドサーバー400は、クラウド上に設置されたサーバーであって、制御装置100との間で双方向の無線通信を行うことができるものである。また、クラウドサーバー400は、それぞれの中継サーバー421との間でも通信を行うことができる。クラウドサーバー400は、それぞれの中継サーバー421と通信を行うことにより、各地点で測定された大気の温度及び湿度を取得し記憶している。図16の例において、クラウドサーバー400は、温湿度情報Aと、温湿度情報Bと、温湿度情報Cと、温湿度情報Dと、を記憶している。
温湿度情報Aは、温湿度センサ431で取得された温度及び湿度、すなわち、地点Aにおける大気の温度及び湿度を示す情報である。温湿度情報Bは、温湿度センサ432で取得された温度及び湿度、すなわち、地点Bにおける大気の温度及び湿度を示す情報である。温湿度情報Cは、温湿度センサ433で取得された温度及び湿度、すなわち、地点Cにおける大気の温度及び湿度を示す情報である。温湿度情報Dは、温湿度センサ434で取得された温度及び湿度、すなわち、地点Dにおける大気の温度及び湿度を示す情報である。クラウドサーバー400は、図6に示された4つの温湿度センサ(431等)以外によって測定された温度及び湿度についても記憶している。
制御装置100が、クラウドサーバー400から情報を取得する方法について説明する。先ず、制御装置100は、現時点において車両が走行している位置を、車両に設けられたGPSシステム160から取得する。制御装置100は、当該位置を、送信機142からクラウドサーバー400へと送信する。当該処理は、制御装置100のうち情報取得部150によって行われる。
位置を受信したクラウドサーバー400は、当該位置に対応する地点に最も近い位置で測定された大気の温度及び湿度を、無線通信によって制御装置100へと送信する。例えば、上記の位置に最も近い地点が地点Aであった場合には、クラウドサーバー400は、温湿度情報Aを制御装置100へと送信する。
制御装置100の情報取得部150は、クラウドサーバー400から送信された温度及び湿度を、受信機141によって受信し取得する。これにより、制御装置100は、車両の周囲における外気温度及び外気湿度を取得することができる。
尚、以上に説明した制御装置100の構成や、外気温度及び外気湿度の取得方法は、これまでに説明したいずれの実施形態においても採用することができる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。