以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述され構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示す燃料供給システム10には燃料噴射弁5が含まれている。燃料供給システム10は、内燃機関であるディーゼル機関20の燃焼室22に、燃料噴射弁5によって燃料を供給する。燃料供給システム10は、フィードポンプ12、高圧燃料ポンプ13、コモンレール14、機関制御装置17、及び燃料噴射弁5等から構成されている。
フィードポンプ12は、燃料タンク11内に収容された電動式のポンプである。フィードポンプ12は、燃料タンク11内に貯留されている軽油等の燃料に、燃料の蒸気圧よりも高いフィード圧を与える。フィードポンプ12は、燃料配管12aによって高圧燃料ポンプ13と接続されている。フィードポンプ12は、所定のフィード圧を与えた液相状態の燃料を高圧燃料ポンプ13に供給する。
高圧燃料ポンプ13は、ディーゼル機関20に取り付けられており、当該ディーゼル機関の出力軸によって駆動される。高圧燃料ポンプ13は、燃料配管13aによってコモンレール14と接続されている。高圧燃料ポンプ13は、フィードポンプ12によって供給された燃料をさらに昇圧し、コモンレール14に供給する高圧燃料をつくり出す。高圧燃料ポンプ13は、機関制御装置17と電気的に接続された電磁弁を有している。電磁弁の開閉が機関制御装置17によって制御されることにより、高圧燃料ポンプ13からコモンレール14に供給される燃料の圧力は、所定の圧力に調節される。
コモンレール14は、クロムモリブデン鋼等の金属材料からなる管状の部材である。コモンレール14には、ディーゼル機関の気筒数に応じた複数の分岐部14aが形成されている。各分岐部14aは、供給配管14dによって、複数の燃料噴射弁5のうちのいずれかに接続されている。コモンレール14は、高圧燃料ポンプ13から供給される高圧燃料を一時的に蓄え、圧力を保持したまま複数の燃料噴射弁5に分配する。
コモンレール14には、コモンレールセンサ14b及び圧力レギュレータ14cが設けられている。コモンレールセンサ14bは、機関制御装置17に電気的に接続されており、燃料の圧力及び温度を検出して当該機関制御装置17に出力する。圧力レギュレータ14cは、コモンレール14の他方の端部に取り付けられている。圧力レギュレータ14cは、コモンレール14内の燃料の圧力を一定に保持すると共に、余剰分の燃料を減圧して低圧側に排出する。圧力レギュレータ14cから排出された余剰燃料は、コモンレール14及び燃料タンク11間を接続している余剰配管14eを通じて、燃料タンク11に戻される。
機関制御装置17は、演算回路としてのプロセッサ、RAM、及び書き換え可能な不揮発性の記憶媒体を含むマイクロコンピュータ等によって構成されている。機関制御装置17は、コモンレールセンサ14bに加えて、ディーゼル機関20の回転速度を検出する回転速度センサ等、種々のセンサと電気的に接続されている。機関制御装置17は、これらの各センサからの情報に基づいて、高圧燃料ポンプ13の電磁弁及び各燃料噴射弁5の弁機構を制御するための制御信号を、高圧燃料ポンプ13及び各燃料噴射弁5に出力する。
燃料噴射弁5は、燃料噴射装置であり、燃焼室22に直接的に燃料を噴射する。燃料噴射弁5は、ディーゼル機関20の燃焼室22を形成するヘッド部材21の挿入孔に挿入された状態で、当該ヘッド部材21に取り付けられている。燃料噴射弁5は、供給配管14dから供給された高圧燃料を、噴孔44から燃焼室22に噴射する。燃料噴射弁5は、噴孔44からの高圧燃料の噴射を制御する弁機構を備えている。弁機構は、機関制御装置17からの制御信号に基づいて作動する圧力制御弁38(図2等参照)と、噴孔44を開閉する主弁部50と、を含んでいる。燃料噴射弁5は、噴孔44を開閉するために、供給配管14dから供給される高圧燃料の一部を使用する。こうした燃料は、低圧側である戻り配管14fに排出され、余剰配管14eを通じて燃料タンク11に戻される。
燃料噴射弁5は、図2に示すように、アクチュエータ部30、制御ボデー40、ノズルニードル60、フローティングプレート70及びコネクタ部90を備えている。制御ボデー40は、燃料噴射弁5の中心線Cが延びた方向(以下、軸線方向とも言う)においてノズルニードル60とコネクタ部90との間に設けられている。制御ボデー40及びノズルニードル60は、全体として円柱状に形成されており、制御ボデー40及びノズルニードル60の各外周面に対するそれぞれの中心線は、燃料噴射弁5の中心線Cに一致している。なお、ノズルニードル60が噴孔弁体に相当する。
アクチュエータ部30は、制御ボデー40内に収容されている。図3に示すように、アクチュエータ部30は、ソレノイドコイル31、アーマチャ32、制御弁体33、ケース体34及び制御スプリング35を有している。アクチュエータ部30においては、ソレノイドコイル31、アーマチャ32及び制御弁体33を含んで電磁弁が構成されている。アーマチャ32は、制御弁体33を保持する弁体保持部32aを有しており、この弁体保持部32aは、噴孔側に向けて延びている。この電磁弁においては、駆動電流をソレノイドコイル31へ流して電磁力を生じさせると、その電磁力により電磁弁等のアーマチャ32が吸引され、制御弁体33が開弁作動する。一方、ソレノイドコイル31への通電を停止すると、アーマチャ32は制御スプリング35の弾性力により押し下げられ、制御弁体33は閉弁作動する。
ケース体34は、アクチュエータ部30の外周面を形成している。ケース体34は、金属材料により全体として円筒状に形成されており、その内部空間にソレノイドコイル31、アーマチャ32の一部及び制御スプリング35を収容している。ケース体34の内部空間は噴孔側に向けて開放されており、この開放部分からアーマチャ32の弁体保持部32aが突出している。アクチュエータ部30においては、アーマチャ32の動作に関係なく、弁体保持部32aと共に制御弁体33がケース体34から露出した状態になっている。
燃料噴射弁5においては、制御弁体33が、後述する制御シート部46aと共に圧力制御弁38を形成している。アクチュエータ部30には、パルス信号等の制御信号が指令信号として機関制御装置17から入力される。アクチュエータ部30は、制御信号に基づいて制御弁体33を変位させることにより、圧力制御弁38を開閉する。制御弁体33が開弁作動することで制御シート部46aから離間した場合、圧力制御弁38が開弁状態に移行する。制御弁体33が閉弁作動することで制御シート部46aに着座した場合、圧力制御弁38が閉弁状態に移行する。
図2に示すように、制御ボデー40は、噴孔44、流入通路52、流出通路54、供給通路55、排出通路57(図4参照)及び圧力制御室53を形成している。噴孔44は、燃焼室22(図1参照)へ挿入される制御ボデー40の挿入方向の先端部に形成されている。先端部は、円錐状又は半球状に形成されている。噴孔44は、制御ボデー40の内側から外側に向けて放射状に複数設けられている。噴孔44を通じて、高圧燃料が燃焼室22内に噴射される。噴孔44を通過することにより、高圧燃料は、微粒化及び拡散して空気と混合し易い状態となる。
供給通路55は、供給配管14d(図1参照)と噴孔44とを連通させており、供給配管14dを通じて供給される高圧燃料を、噴孔44に流通させる。流入通路52は、供給通路55から分岐しており、圧力制御室53に繋がっていることで、供給通路55からの高圧燃料を圧力制御室53に流入させる。流出通路54は、圧力制御弁38と圧力制御室53とを繋げている。流出通路54は、圧力制御弁38の開弁により、圧力制御室53内の燃料を戻り配管14f(図1参照)に流出させる。排出通路57(図4参照)は、流出通路54と戻り配管14fとを接続している。なお、供給通路55を高圧燃料が流れる高圧通路と称し、排出通路57を高圧燃料よりも圧力が低くなった低圧燃料が流れる低圧通路と称することができる。
圧力制御室53は、制御ボデー40の内部においてノズルニードル60を挟んで噴孔44の反対側に位置している。圧力制御室53は、流入通路52からの高圧燃料の流入と、流出通路54を通じた燃料の流出とによって圧力を変動させる。こうした燃料の圧力を用いて、圧力制御室53は、ノズルニードル60の移動を制御する。
制御ボデー40は、ノズルボデー41、シリンダ56、オリフィスプレート46、ホルダ48及びリテーニングナット49等によって構成されている。ノズルボデー41、オリフィスプレート46、及びホルダ48は、ヘッド部材21(図1参照)への挿入方向の先端部側から、この順序で並んでいる。
ノズルボデー41は、クロムモリブデン鋼等の金属材料よって形成された有底円筒状の部材である。ノズルボデー41には、噴孔44と、供給通路55の一部とが形成されている。ノズルボデー41は、ノズルニードル収容室43及びシート部45を有している。
ノズルニードル収容室43は、ノズルボデー41によって外周側を区画された円筒穴である。ノズルニードル収容室43は、ノズルニードル60を収容している。ノズルニードル収容室43は、ノズルボデー41の軸方向に沿って形成されている。ノズルニードル収容室43は、ノズルボデー41のオリフィスプレート46側の端面に開口している。ノズルニードル収容室43は、供給通路55を形成している。
シート部45は、供給通路55に臨むノズルボデー41の内周壁によって円錐状に形成されている。シート部45は、先端部の内側に位置しており、ノズルニードル60の先端と接触する。シート部45は、ノズルニードル収容室43の開口から挿入される長尺形状の切削工具によって機械加工される。シート部45の形成に用いられる切削工具には、先端に加工反力を受けても実質的に変形しないような高い剛性が必要とされる。
シリンダ56は、金属材料によって円筒状に形成されている。シリンダ56は、オリフィスプレート46及びノズルニードル60と共に圧力制御室53を区画している。シリンダ56は、ノズルボデー41の内周側に、当該ノズルボデー41と同軸となるよう配置されている。シリンダ56は、軸方向の一方の端面をオリフィスプレート46に接触させている。シリンダ56は、ノズルニードル60を軸方向に沿って摺動させる。
オリフィスプレート46は、クロムモリブデン鋼等の金属材料よって円盤状に形成されている。オリフィスプレート46には、流入通路52及び流出通路54と、供給通路55の一部とが形成されている。オリフィスプレート46は、制御シート部46a及び当接壁面部47を有している。
制御シート部46aは、ホルダ48側を向くオリフィスプレート46の頂面に形成されている。制御シート部46aは、制御弁体33と共に圧力制御弁38を形成している。圧力制御弁38は、流出通路54と戻り配管14f(図1参照)との間の連通及び遮断を切り換える。
当接壁面部47は、ノズルニードル60側を向くオリフィスプレート46の底面に形成されている。当接壁面部47は、オリフィスプレート46の底面のうちで、シリンダ56によって囲まれた円形状の領域である。当接壁面部47は、圧力制御室53を区画している。当接壁面部47には、圧力制御室53に高圧燃料を流入させる流入通路52の噴孔側端部と、圧力制御室53から燃料を流出させる流出通路54の噴孔側端部とが形成されている。当接壁面部47には、圧力制御室53内を軸方向に往復変位するフローティングプレート70が当接する。
ホルダ48は、クロムモリブデン鋼等の金属材料よりなる筒状の部材である。供給通路55は、ホルダ48に設けられたホルダ供給路55aと、ホルダ供給路55aと噴孔44とを接続する噴孔供給路55bとを有している。ホルダ供給路55aは、ホルダ48の噴孔側端面から反噴孔側に向けて延びており、噴孔供給路55bは、オリフィスプレート46の反噴孔側端面から噴孔側に向けて延びている。ホルダ48とオリフィスプレート46とは互いに当接しており、この当接部分において、ホルダ供給路55aと噴孔供給路55bとが互いに連通している。なお、本実施形態では、噴孔44側のことを噴孔側と称し、噴孔44とは反対側のことを反噴孔側と称する。
供給通路55は、ホルダ供給路55aを供給配管14d(図1参照)に接続するための供給接続部55cを有している。ホルダ供給路55aの上流端部は、軸線方向においてホルダ48の中間位置に配置されており、供給接続部55cは、ホルダ供給路55aの上流端部からホルダ48の径方向外側に延びている。供給接続部55cは、ホルダ48の径方向外側に向けて開放されており、この開放部分に対して供給配管14d(図1参照)が接続されている。
リテーニングナット49は、金属材料よりなる二段円筒状の部材である。リテーニングナット49は、ノズルボデー41の外周面に引っ掛かった状態でホルダ48に羅着されていることで、オリフィスプレート46を介してノズルボデー41とホルダ48とを連結している。リテーニングナット49を連結部材と称することもできる。リテーニングナット49は、ノズルボデー41を介してオリフィスプレート46を噴孔側からホルダ48に押し付けた状態になっている。リテーニングナット49は、その内周側に突出した段差部49aを有しており、この段差部49aがノズルボデー41の外周面に引っ掛かっている。
ノズルニードル60は、高速度工具鋼等の金属材料によって全体として円柱状に形成されている。ノズルニードル60は、ノズルボデー41の内部において、当該ノズルボデー41の軸方向に沿って往復移動する。ノズルニードル60は、金属製の線材を螺旋状に巻設したリターンスプリング66により、シート部45に向けて付勢されている。ノズルニードル60はフェース部65を有している。
フェース部65は、ノズルニードル60の両端部のうちで、シート部45と対向する一方の端部に形成されている。フェース部65は、先端に向かうに従って外径の減少する円錐状に形成されている。フェース部65は、ノズルニードル60の変位により、シート部45に離着座する。フェース部65は、噴孔44を開閉する主弁部50をシート部45と共に形成している。
ノズルニードル60における反噴孔側の端面は、オリフィスプレート46及びシリンダ56と共に圧力制御室53を区画している。ノズルニードル60は、圧力制御室53から受ける燃料圧力の変動により、フェース部65をシート部45へ離着座させる。
フローティングプレート70は、金属材料によって円盤状に形成されている。フローティングプレート70は、圧力制御室53内に配置されている。フローティングプレート70は、ノズルボデー41の軸方向に沿って往復変位する。フローティングプレート70は、流出通路54から流出しようとする圧力制御室53内の燃料の圧力により、当接壁面部47に押し付けられる。こうして流出通路54に向けて吸引されたフローティングプレート70は、流入通路52の噴孔側端部を閉じる。その結果、流入通路52から圧力制御室53への高圧燃料の流入が妨げられる。
フローティングプレート70には、連通孔が形成されている。連通孔は、フローティングプレート70の径方向の中心に設けられている。連通孔は、軸方向に沿ってフローティングプレート70を貫通している。フローティングプレート70は、流入通路52の噴孔側端部を閉じた状態下においても、所定の流量の燃料を、連通孔を通じて圧力制御室53から流出通路54へと流出させることができる。
コネクタ部90は、ホルダ48を挟んでノズルボデー41とは反対側に設けられている。コネクタ部90は、ホルダ48の反噴孔側端部に対して固定されており、コネクタ部90やホルダ48にストッパ等が設けられていることでホルダ48に対して相対的に回転しないようになっている。燃料噴射弁5は、コネクタ部90にケーブルのプラグ部が装着されることで、このケーブルを介して機関制御装置17に電気的に接続される。機関制御装置17から出力された制御信号がケーブルを介して燃料噴射弁5に入力され、アクチュエータ部30の動作制御が機関制御装置17により行われる。
燃料噴射弁5は、アクチュエータ部30とコネクタ部90とを電気的に接続したリード線91を有している。アクチュエータ部30は、コネクタ部90から噴孔側に離間した位置に配置されており、リード線91は、ホルダ48の内部を貫通した状態でアクチュエータ部30とコネクタ部90とにかけ渡されており、軸線方向に直線的に延びている。ホルダ48は、軸線方向に延びたホルダ孔92を有しており、リード線91は、このホルダ孔92に挿通されている。この場合、ホルダ孔92がリード挿入孔に相当する。
図2、図3に示すように、ホルダ孔92には、リード線91が挿通されているだけでなく、アクチュエータ部30も挿入されている。ホルダ孔92は、ホルダ48の噴孔側端面から反噴孔側に向けて延びた第1孔部93と、第1孔部93から反噴孔側に向けて延びた第2孔部94とを有している。第1孔部93には、アクチュエータ部30が挿入されており、第2孔部94にはリード線91が挿通されている。第2孔部94は第1孔部93より細くなっており、第1孔部93と第2孔部94との境界部には、噴孔側を向いたホルダ段差面92aが形成されている。ホルダ段差面92aは噴孔側を向いており、アクチュエータ部30は、ホルダ段差面92aに引っ掛かっていることで第2孔部94側に移動することが規制されている。なお、第1孔部93が収容部に相当する。また、アクチュエータ部30とノズルボデー41とが並ぶ並び方向が軸線方向に相当する。
ホルダ孔92の中心線C1は、燃料噴射弁5の中心線Cに平行に延びているものの、この中心線Cから径方向にずれた位置にある。第1孔部93及び第2孔部94は、いずれも断面円形状になっており、これら孔部93,94の中心線はホルダ孔92の中心線C1に一致している。ホルダ段差面92aは円環状になっており、このホルダ段差面92aの中心線もホルダ孔92の中心線C1に一致している。ホルダ段差面92aの外径はアクチュエータ部30の反噴孔側端部の外径より大きくなっており、ホルダ段差面92aの内径はアクチュエータ部30の反噴孔側端部の外径より小さくなっている。これにより、アクチュエータ部30がホルダ段差面92aに引っ掛かる構成が実現されている。
コネクタ部90は、円柱状に形成されており、このコネクタ部90の中心線もホルダ孔92の中心線C1に一致している。アクチュエータ部30の中心線もホルダ孔92の中心線C1に一致している。アクチュエータ部30においては、その中心線にソレノイドコイル31の中心線が一致している。なお、アクチュエータ部30の外周面とホルダ孔92の内周面との間には隙間が生じており、アクチュエータ部30がホルダ48に対して径方向に相対的に移動することで、アクチュエータ部30の中心線はホルダ孔92の中心線C1からずれることになる。
ホルダ孔92は、第1孔部93及び第2孔部94に加えて、第3孔部95を有している。第3孔部95は、ホルダ48の反噴孔側端面から噴孔側に向けて延びており、第2孔部94に連通している。第3孔部95には、コネクタ部90の一部が反噴孔側から入り込んでいる。
第1孔部93には、アクチュエータ部30に加えてスペーサ80も挿入されている。スペーサ80は、第1孔部93の内部において、アクチュエータ部30とオリフィスプレート46との間に挟み込まれている。上述したように、オリフィスプレート46が噴孔側からホルダ48に押し付けられた状態になっていることに起因して、スペーサ80はアクチュエータ部30に噴孔側から押し付けられた状態になっている。その結果、アクチュエータ部30も、ホルダ段差面92aに押し付けられた状態になっている。スペーサ80は、アーマチャ32の弁体保持部32aが挿入された保持孔80aを有している。保持孔80aは、スペーサ80を軸線方向に貫通している。
第1孔部93においては、アクチュエータ部30が押圧部材97を介してホルダ段差面92aに引っ掛かった状態になっている。押圧部材97は、軸線方向に弾性変形可能なバネやゴム等により形成されており、弾性変形した状態でアクチュエータ部30とホルダ段差面92aとの間に挟まった状態になっている弾性部材である。押圧部材97としては皿バネが挙げられる。アクチュエータ部30は、押圧部材97によりスペーサ80に向けて押圧された状態になっている。この場合、アクチュエータ部30がホルダ48に対して軸線方向に相対的に移動することが規制されている。すなわち、アクチュエータ部30は軸線方向における押圧部材97の付勢力でホルダ48に対して固定されている。
また、第1孔部93においては、アクチュエータ部30がホルダ48に対して周方向に相対的に回動することが規制されている。第1孔部93は、第1孔部93の噴孔側端部から反噴孔側に向けて延びた下側孔部93aと、下側孔部93aから反噴孔側に向けて延びた上側孔部93bとを有している。上側孔部93bは下側孔部93aとホルダ段差面92aとを接続している。アクチュエータ部30がホルダ48に対して相対的に回動する場合、アクチュエータ部30の中心線に沿って延びた仮想線が回動の軸線になりやすいと考えられる。
図3、図4に示すように、アクチュエータ部30は、ケース体34から径方向外側に向けて突出したアクチュエータ突部101を有しており、ホルダ48は、上側孔部93bの内周面が径方向外側に向けて凹んだホルダ溝部102を有している。ホルダ溝部102にアクチュエータ突部101が入り込んだ状態になっていることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の回動が規制されている。ケース体34の周方向において、アクチュエータ突部101の幅寸法はホルダ溝部102の幅寸法と同じ又はそれより若干小さくなっている。この場合、アクチュエータ突部101の側面がホルダ溝部102の内周面に引っ掛かることで、アクチュエータ突部101がホルダ溝部102に対して周方向に相対的に回動しない又は僅かに回動するに過ぎない状態になっている。
なお、アクチュエータ突部101は中実の凸部であり、回動規制部に相当する。ホルダ溝部102は凹部であり、引っ掛かり部に相当する。また、図4においては、アクチュエータ部30についてケース体34の内部構造の図示を省略している。さらに、アクチュエータ突部101は中空になっていてもよい。
アクチュエータ突部101及びホルダ溝部102は、軸線方向に直交する方向において、ホルダ供給路55a及び排出通路57に横並びに配置されている。アクチュエータ突部101及びホルダ溝部102は、ケース体34の外周面からホルダ供給路55a及び排出通路57とは反対側に向けて延びている。この場合、アクチュエータ突部101及びホルダ溝部102は、ケース体34を挟んでホルダ供給路55a及び排出通路57とは反対側に配置されている。また、この場合、アクチュエータ突部101及びホルダ溝部102は、ホルダ孔92の中心線C1を挟んで燃料噴射弁5の中心線Cとは反対側に配置されている。
ホルダ48においては、燃料噴射弁5の中心線Cを挟んでホルダ孔92の中心線C1とは反対側の肉厚が、ホルダ孔92の中心線C1を挟んで燃料噴射弁5の中心線Cとは反対側の肉厚に比べて厚くなっている。この構成では、ホルダ供給路55a及び排出通路57は、ホルダ48において肉厚が比較的厚い部分に配置されている。このため、ホルダ48において周方向の一部の強度が、ホルダ供給路55aや排出通路57の存在によって著しく低くなっている、ということが生じにくくなっている。例えば、燃料噴射弁5の中心線Cとホルダ孔92の中心線C1とが一致している構成では、ホルダ48においてホルダ供給路55aや排出通路57が配置された部分の強度が著しく低くなることが懸念される。
図3、図5に示すように、アクチュエータ突部101は球面を有しており、球体の一部がケース体34の外周面から突出した形状になっている。ケース体34は、アクチュエータ突部101を支持している突支持部材34aを有している。突支持部材34aは、ケース体34において軸線方向の中間位置に配置されており、アクチュエータ突部101は、軸線方向において突支持部材34aの中間位置に配置されている。突支持部材34aは、下側孔部93aと上側孔部93bとの境界部を軸線方向に跨ぐ位置に配置されている。
ケース体34の径方向において、ホルダ溝部102の深さ寸法は、ケース体34の外周面からのアクチュエータ突部101の突出寸法と同じ又はそれよりも大きくなっている。その一方で、ホルダ溝部102の深さ寸法及びアクチュエータ突部101の突出寸法は、下側孔部93aの直径と上側孔部93bの直径との差の1/2より小さくなっている。これにより、ケース体34がアクチュエータ突部101を有していても、アクチュエータ部30を第1孔部93に挿入することが可能になっている。
ケース体34の外周面と上側孔部93bの内周面との間にはOリング104が設けられている。Oリング104は、合成樹脂材料等により弾性変形可能に形成された環状部材であり、ケース体34の外周面に設けられた保持溝105に入り込んだ状態で、保持溝105の底面と上側孔部93bの内周面の両方に密着している。保持溝105は、ケース体34の外周面が径方向内側に凹むことで形成されており、ケース体34の外周を周方向に一周している。Oリング104を、ホルダ孔92での気密性を保持する機能や、アクチュエータ部30がホルダ48に対して軸線方向に相対的に移動することを規制する機能を有している。なお、Oリング104は環状規制部に相当する。
保持溝105は、アクチュエータ突部101よりも反噴孔側に設けられている。具体的には、保持溝105は、突支持部材34aの反噴孔側に設けられており、突支持部材34aの反噴孔側端面が保持溝105の内周面の一部を形成している。ケース体34においては、最も太い部分が保持溝105よりも噴孔側に配置されている。この構成では、燃料噴射弁5の製造時において、Oリング104を保持溝105に装着する際に、ケース体34をリード線91側からOリング104の内側に通すと考えられる。この場合、Oリング104にアクチュエータ突部101を乗り越えさせる必要がない。
ホルダ溝部102は、軸線方向に延びており、Oリング104と下側孔部93aとの接触部分よりも噴孔側に配置されている。この場合、ホルダ溝部102は、保持溝105よりも噴孔側にあり、Oリング104とホルダ溝部102とが交差した状態にはなっていない。このため、周方向の全体においてOリング104が上側孔部93bの内周面に接触している。ホルダ溝部102は、上側孔部93b側に延びていることで噴孔側に向けて開放されている。この場合、ホルダ48の径方向において、ホルダ溝部102の凹み寸法は、下側孔部93aの直径と上側孔部93bの直径との差の1/2と同じ又はそれより小さくなっている。凹み寸法が差の1/2と同じ構成では、ホルダ溝部102が下側孔部93aの反噴孔側端部まで到達しており、凹み寸法が差の1/2より小さい構成では、ホルダ溝部102が下側孔部93aから反噴孔側に離間している。
図6〜図9に示すように、リード線91は、導電性の高い芯線91aと、絶縁性の高い被覆91bとを有しており、芯線91aが被覆91bにより覆われている。本実施形態では、ホルダ孔92に挿通されたリード線91が複数あり、それぞれのリード線91が芯線91a及び被覆91bを1つずつ有している。本実施形態では、2本のリード線91がホルダ孔92の径方向に並べられている。被覆91bは、芯線91aの中間部分を覆っており、芯線91aにおいては噴孔側端部及び反噴孔側端部のそれぞれが被覆91bに覆われずに露出した状態になっている。
アクチュエータ部30はアクチュエータターミナル107を有しており、リード線91における噴孔側に露出した部分がアクチュエータターミナル107に圧着等により接続されている。アクチュエータターミナル107は、ケース体34の反噴孔側端部から反噴孔側に向けて延びている。なお、アクチュエータターミナル107がターミナル部に相当する。
図2に示すように、コネクタ部90はコネクタターミナル108を有しており、リード線91における反噴孔側に露出した部分がコネクタターミナル108に圧着等により接続されている。コネクタターミナル108は、噴孔側に向けて延びている。コネクタ部90は、反噴孔側に向けて凹んだコネクタ凹み部90aを有している。このコネクタ凹み部90aには、リード線91において芯線91a及び被覆91bの両方が入り込んだ状態になっており、芯線91aとコネクタターミナル108との接続部分が配置されている。
アクチュエータターミナル107及びコネクタターミナル108は、いずれも導電性の高い材料により形成されている。また、これらターミナル107,108は、リード線91よりも強度や硬度が高くなっており、リード線91に比べて変形しにくくなっている。
図6〜図9に示すように、燃料噴射弁5は、リード線91を保護する保護部材としてブッシュ110を有している。ブッシュ110は、合成樹脂材料等により形成され、弾性を有する弾性部材になっている。ブッシュ110は、全体として長尺状の円柱状に形成されており、軸線方向に延びている。ブッシュ110は、第1孔部93〜第3孔部95にかけ渡された状態になっている。軸線方向において、ブッシュ110の長さ寸法は、第2孔部94の長さ寸法より大きい一方で、リード線91の長さ寸法より小さくなっている。
ブッシュ110は、リード線91が挿通されたブッシュ孔111を有している。ブッシュ孔111は、ブッシュ110を軸線方向に貫通しており、複数のリード線91のそれぞれに個別に設けられている。この場合、1つのブッシュ孔111には1本のリード線91が挿通されている。本実施形態では、2本のリード線91に合わせて2つのブッシュ孔111が設けられており、これらブッシュ孔111は、ブッシュ110の径方向に並べられている。ブッシュ110は、隣り合うブッシュ孔111を仕切る孔仕切部112を有している。孔仕切部112は、隣り合うブッシュ孔111の間において軸線方向に延びており、ブッシュ110の噴孔側端部と反噴孔側端部とにかけ渡された状態になっている。なお、ブッシュ110が覆い部に相当し、ブッシュ孔111が覆い孔に相当する。
ブッシュ孔111は、ブッシュ110の反噴孔側から噴孔側に向けて延びた細孔部111aと、細孔部111aよりも太く拡張された拡張孔部111bとを有している。拡張孔部111bは、細孔部111aから噴孔側に向けて延びており、ブッシュ110の噴孔側端部に到達している。拡張孔部111bには、リード線91及びアクチュエータターミナル107の両方が収容されている一方で、細孔部111aには、リード線91だけが収容されている。軸線方向において、拡張孔部111bの長さ寸法は、細孔部111aの長さ寸法に比べて小さい一方で、ケース体34からのアクチュエータターミナル107の延出寸法、及び芯線91aの露出部分の長さ寸法より大きくなっている。ブッシュ110の噴孔側端面はケース体34の反噴孔側端面に重ねられており、接着剤等により接合されている。
次に、燃料噴射弁5の製造方法について図2、図3を参照しつつ説明する。ここでは、アクチュエータ部30やホルダ48の組み付け手順について説明することになる。
まず、アクチュエータ部30を製造した後、アクチュエータターミナル107にリード線91を接続し、リード線91をその自由端からブッシュ110のブッシュ孔111に挿入することで、リード線91をブッシュ110で覆う。そして、ブッシュ110ごとリード線91をその自由端からホルダ48孔に挿入することで、アクチュエータ部30も押圧部材97と共にホルダ孔92に挿入する。この場合、アクチュエータ部30及びリード線91を回動させることで、アクチュエータ突部101とホルダ溝部102との位置合わせを行い、アクチュエータ突部101をホルダ溝部102に挿入する。
その後、リード線91をコネクタターミナル108に接続する作業、及びコネクタ部90をホルダ48に固定する作業を行う。また、ホルダ孔92にスペーサ80を挿入した状態で、リテーニングナット49を用いてオリフィスプレート46及びノズルボデー41をホルダ48に固定する。この場合、押圧部材97を弾性変形させるために、オリフィスプレート46及びノズルボデー41をホルダ48に押し付けた状態になるように、リテーニングナット49をホルダ48に対して締め付ける。
ここまで説明した本実施形態によれば、アクチュエータ突部101がホルダ溝部102に引っ掛かった状態になっているため、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される。この場合、アクチュエータ部30がホルダ48に対して回動することで、リード線91がねじれたりリード線91に過剰に張力がかかったりする、ということが生じにくくなっているため、リード線91を適正な状態で保つことができる。したがって、機関制御装置17から出力された制御信号がリード線91からアクチュエータ部30に適正な状態では入力されず、噴孔44からの燃料噴射が適正に行われない、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、ホルダ48がホルダ孔92を有しているため、リード線91をホルダ孔92に通すことで、アクチュエータターミナル107とコネクタターミナル108とをリード線91を介して電気的に接続することができる。ところが、この構成では、コネクタ部90に対してアクチュエータ部30が相対的に回動することが懸念される。すなわち、アクチュエータターミナル107がコネクタターミナル108に対して相対的に回動することが懸念される。
ここで、燃料噴射弁5がヘッド部材21に取り付けられた状態では、ヘッド部材21に対してホルダ48が固定されることで、ヘッド部材21に対するホルダ48の相対的な回動は規制される。また、コネクタ部90にプラグ部が装着されることで、プラグ部やヘッド部材21に対するコネクタ部90の相対的な回動も規制される。これらのことにより、ディーゼル機関20においては、コネクタ部90がホルダ48に対して相対的に回動しにくくなっている。一方、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動は、上述したようにアクチュエータ突部101とホルダ溝部102との引っ掛かりにより規制される。以上のように、コネクタ部90及びアクチュエータ部30のそれぞれがホルダ48に対して相対的に回動しないようになっているため、アクチュエータターミナル107がコネクタターミナル108に対して相対的に回動することを規制できる。これにより、リード線91がねじれることやリード線91に過剰な張力がかかることを抑制できる。
本実施形態によれば、アクチュエータ突部101とホルダ溝部102とが引っ掛かった構成がアクチュエータ部30と共にホルダ孔92に収容されている。この場合、アクチュエータ突部101やホルダ溝部102の存在に合わせて、ホルダ48の外周面の形状や、スペーサ80及びオリフィスプレート46の形状を変更する、という必要がない。このため、例えば、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制されていない燃料噴射弁について、大きな設計変更を行わなくてもアクチュエータ突部101及びホルダ溝部102を付与することが可能になる。
本実施形態によれば、凸部が凹部に入り込んだ構成を実現する上で、ホルダ48に設けられたホルダ溝部102が凹部とされている。ここで、ホルダ48は、アクチュエータ部30のケース体34に比べて肉厚が厚いため、凹部の形状や大きさに関する自由度を比較的高くすることができる。これに対して、ケース体34については、ホルダ孔92に収容する観点からしても肉厚が薄く、凹部の形状や大きさに関する制限が大きいと考えられる。したがって、凹部であるホルダ溝部102をホルダ48に設け、凸部であるアクチュエータ突部101をアクチュエータ部30に設けることで、凸部が凹部に入り込んだ構成を実現する上で設計自由度を高めることができる。
本実施形態によれば、アクチュエータ部30においてケース体34がアクチュエータ突部101を有している。このため、例えば、ケース体34に収容されたソレノイドコイル31等の被収容部材がアクチュエータ突部101を有する構成とは異なり、アクチュエータ突部101を有する被収容部材と有していない被収容部材とが相対的に回動するということが回避される。このため、被収容部材同士が位置ずれしてアクチュエータ部30の動作精度が低下するということを回避できる。
本実施形態によれば、ホルダ溝部102が噴孔側に向けて開放されているため、アクチュエータ部30をホルダ孔92に挿入する際に、アクチュエータ突部101をホルダ溝部102に入り込ませる作業を容易化することができる。
本実施形態によれば、アクチュエータ突部101がOリング104よりも噴孔側に配置されている。この場合、燃料噴射弁5の製造時において、Oリング104をアクチュエータ部30に装着する際に、Oリング104にアクチュエータ突部101を乗り越えさせる必要がない。このため、Oリング104がアクチュエータ突部101に接触することでOリング104に傷が付くことや、Oリング104を無理に伸ばすことでOリング104の弾性が低下すること、Oリング104の装着作業の困難性が高くなること、などを抑制できる。
本実施形態によれば、ホルダ溝部102は、ホルダ孔92の中心線C1を挟んでホルダ供給路55aや排出通路57とは反対側に配置されている。このように、ホルダ孔92の径方向において、ホルダ溝部102がホルダ供給路55aや排出通路57から十分に離間した位置に配置されているため、ホルダ溝部102の存在によってホルダ48の強度が低下するということが生じにくくなっている。
本実施形態によれば、燃料噴射弁5の中心線Cに対してホルダ孔92の中心線C1がずれている。この構成では、ディーゼル機関20から燃料噴射弁5に振動が加えられた場合に、燃料噴射弁5全体の振動が、ホルダ孔92内のアクチュエータ部30及びリード線91には遠心力になって付与されやすい。このため、例えば、中心線C,C1が一致している構成に比べて、アクチュエータ部30やリード線91は、ホルダ孔92内を径方向に移動しながらホルダ48に対して相対的に回動しやすいと考えられる。したがって、アクチュエータ突部101とホルダ溝部102とが引っ掛かる構成が、中心線C,C1がずれている構成に適用されることは、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動を規制する上で効果的である。
本実施形態によれば、アクチュエータ部30とホルダ48との間に設けられた押圧部材97が縮むように弾性変形している。このため、軸線方向において、押圧部材97がアクチュエータ部30をスペーサ80に向けて押し付けたような状態になっていることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な移動が規制されている。ところが、燃料噴射弁5に加えられる振動に軸線方向の成分が含まれていると、アクチュエータ部30に押されることで押圧部材97の僅かな伸縮が繰り返し発生することが懸念される。すなわち、押圧部材97によるアクチュエータ部30の押し付けが一時的に弱まった状態が繰り返し発生することが懸念される。このように押し付けが弱まったタイミングでは、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が発生しやすくなってしまう。これに対して、本実施形態によれば、アクチュエータ突部101がホルダ溝部102に引っ掛かっている。このため、押圧部材97によるアクチュエータ部30の押し付けが弱まった状態が発生したとしても、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動を確実に規制できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、アクチュエータ突部101がOリング104よりも噴孔側に設けられていたが、第2実施形態では、アクチュエータ突部101がOリング104よりも反噴孔側に設けられている。本実施形態については、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図10に示すように、Oリング104が入り込んだ保持溝105が、アクチュエータ突部101よりも噴孔側に設けられている。また、アクチュエータ突部101を支持する突支持部材34aは、上記第1実施形態のように保持溝105よりも噴孔側に設けられているのではなく、保持溝105よりも反噴孔側に設けられている。この構成では、突支持部材34aの噴孔側端面が保持溝105の内周面の一部を形成している。
本実施形態では、ホルダ溝部102がアクチュエータ突部101と共に、Oリング104及び保持溝105より反噴孔側に設けられている。ホルダ孔92において上側孔部93bの内周面は、噴孔側を向いた段差面を有している。この段差面を上側段差面115と称すると、上側段差面115は、Oリング104及び保持溝105よりも反噴孔側に設けられており、ホルダ溝部102は、上側段差面115から反噴孔側に向けて延びている。このように、本実施形態では、アクチュエータ突部101がOリング104より反噴孔側に配置されていても、Oリング104とホルダ溝部102とが交差してはおらず、周方向の全体においてOリング104が上側孔部93bの内周面に接触している。
ホルダ48の径方向において、ホルダ溝部102の凹み寸法は、上側段差面115の段差寸法と同じ又はそれより小さくなっている。この場合、ホルダ溝部102の内部空間は、上側段差面115を介して噴孔側に向けて開放されている。このため、上記第1実施形態と同様に、アクチュエータ突部101をホルダ溝部102に容易に入り込ませることができる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、アクチュエータ部30が回動規制部としてのアクチュエータ突部101を有し、ホルダ48が引っ掛かり部としてのホルダ溝部102を有していた。これに対して、本実施形態では、図11〜図14に示すように、ブッシュ110が回動規制部としてのブッシュ突部121を有し、ホルダ48が引っ掛かり部としての第2孔溝部122を有している。第2孔溝部122にブッシュ突部121が入り込んでいることで、ホルダ48に対するブッシュ110の回動が規制されている。なお、第2孔溝部をホルダ溝部と称することもできる。
ブッシュ突部121は、ブッシュ110から径方向に突出しており、軸線方向において第1孔部93から反噴孔側に離間した位置から反噴孔側に向けて延びている。図12に示すように、ブッシュ突部121は、軸線方向においてアクチュエータターミナル107とリード線91の被覆91bとにかけ渡されている。この場合、ブッシュ突部121の一部が、ブッシュ110の径方向においてアクチュエータターミナル107と芯線91aとの接続部分に重複している。また、ブッシュ突部121の全体が、ブッシュ110の径方向において拡張孔部111bに重複する位置に配置されており、細孔部111aとは重複していない。
図11に示すように、第2孔溝部122は、第2孔部94の内周面が径方向外側に向けて凹むことで形成されている。第2孔溝部122は、上記第1実施形態のホルダ溝部102と同様に、凹部であり、引っ掛かり部に相当する。第2孔溝部122は、軸線方向に延びており、第1孔部93から反噴孔側に離間した位置に配置されている。ホルダ48の径方向において、第2孔溝部122の凹み寸法は、第2孔部94の直径と上側孔部93bの直径との差の1/2より小さくなっており、第2孔溝部122の内部空間は噴孔側に向けて開放されている。軸線方向において、ブッシュ突部121の長さ寸法は第2孔溝部122の長さ寸法より小さくなっており、ブッシュ突部121の全体が第2孔溝部122に収容されている。
ブッシュ突部121及び第2孔溝部122は、軸線方向においてホルダ供給路55a及び供給接続部55cのいずれよりも反噴孔側に配置されている。また、ブッシュ突部121及び第2孔溝部122は、上記第1実施形態と同様に、ホルダ孔92の中心線C1を挟んでホルダ供給路55aとは反対側に配置されている。
図13、図14に示すように、ブッシュ110の径方向において、2つのブッシュ孔111が並ぶ方向とは直交する方向において、ブッシュ突部121がブッシュ110の外周面から突出している。この場合、ブッシュ110の肉部において孔仕切部112が接続された部分からブッシュ突部121が延びており、ブッシュ突部121が延びている方向と、孔仕切部112が延びている方向とが同じになっている。このため、例えば、ブッシュ突部121がブッシュ孔111を挟んで孔仕切部112の反対側に配置された構成に比べて、ブッシュ110によるブッシュ突部121の支持強度が高くなっている。なお、図14においては、ブッシュ110とホルダ孔92との分解図を示しており、リード線91の図示を省略している。
本実施形態によれば、ブッシュ突部121が第2孔溝部122に引っ掛かった状態になっているため、ホルダ48に対するブッシュ110の相対的な回動が規制される。しかも、ブッシュ110がリード線91に沿って延びているため、リード線91及びブッシュ110がねじれにくくなっている。このため、コネクタ部90に対してアクチュエータ部30が相対的に回動することを、ブッシュ突部121と第2孔溝部122とが互いに引っ掛かった構成とブッシュ110自身の強度とにより規制できる。このため、リード線91がねじれたりリード線91に過剰に張力がかかったりすることを抑制できる。
本実施形態によれば、互いに独立した複数のブッシュ孔111のそれぞれにリード線91が通されている。この場合、例えば、複数のリード線91の全てが1つのブッシュ孔111に通された構成とは異なり、複数のリード線91がブッシュ孔111の内周面に個別に引っ掛かることで、複数のリード線91に対するブッシュ110の相対的な回動が規制される。このため、ホルダ48に対するブッシュ110の相対的な回動をブッシュ突部121により規制することで、ホルダ48に対するリード線91やアクチュエータ部30の相対的な回動も規制することができる。
本実施形態によれば、ブッシュ孔111には、リード線91に加えてアクチュエータターミナル107も収容されている。この場合、アクチュエータターミナル107がブッシュ孔111の内周面に引っ掛かりやすいため、アクチュエータターミナル107がブッシュ110に対して相対的に回動するということをブッシュ110により直接的に規制できる。
本実施形態によれば、ブッシュ突部121が径方向においてアクチュエータターミナル107と重複する位置に配置されている。このため、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動がブッシュ突部121により規制される場合に、その規制による外力がブッシュ突部121からアクチュエータターミナル107に付与されやすくなっている。したがって、アクチュエータターミナル107の硬度がリード線91の硬度より高いという構成を利用して、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動の規制機能を高めることができる。
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、ホルダ孔92においては、第1孔部93の中心線と第2孔部94の中心線とが互いに一致していたが、第4実施形態では、これら中心線が一致していない。図15、図16に示すように、ホルダ孔92において、第1孔部93の中心線C2と第2孔部94の中心線C3とが、互いに平行に延びている一方でホルダ孔92の径方向にずれている。また、アクチュエータ部30の中心線Caとブッシュ110の中心線Cbとも、互いに平行に延びている一方でアクチュエータ部30の径方向にずれている。径方向において、アクチュエータ部30の中心線Caとブッシュ110の中心線Cbとの離間距離Dは、第1孔部93の中心線C2と第2孔部94の中心線C3との離間距離と同じになっている。
図16、図17に示すように、ブッシュ110は、本体部110a及び大径部110bを有している。大径部110bは、本体部110aよりも太く、アクチュエータターミナル107と芯線91aとの接続部分を覆っている。大径部110bは、ブッシュ110の噴孔側端部から反噴孔側に向けて延びており、軸線方向での長さ寸法が拡張孔部111bの長さ寸法より大きくなっている。この場合、拡張孔部111b全体が大径部110bにより形成されていることになる。本体部110aは、大径部110bから反噴孔側に向けて延びており、ブッシュ110の反噴孔側端部まで達している。ブッシュ110においては、噴孔側の大径部110bと反噴孔側の本体部110aとが軸線方向に並べられている。
大径部110bは、本体部110aよりも外径が大きいことに起因して、本体部110aよりも曲がりにくくなっており、強度や硬度が高いと言える。また、大径部110bがアクチュエータターミナル107と芯線91aとの接続部分を保護するという観点からも、大径部110bには本体部110aよりも高い強度が付与されている。なお、第1孔部93がアクチュエータ挿入孔に相当し、第2孔部94が覆い挿入孔に相当する。また、大径部110bが太い部に相当する。
図15、図16に示すように、ホルダ孔92において、上側孔部93bの直径L1は第2孔部94の直径L2より大きい。直径L1は、上側孔部93bにおいて最も細い部分の直径であり、直径L2は、第2孔部94において最も細い部分の直径である。また、アクチュエータ部30の外径Laは、ブッシュ110の大径部110bの外径Lbより大きい。外径Laは、アクチュエータ部30において上側孔部93bに収容された部分のうち最も太い部分の外径である。大径部110bの外径Lbは本体部110aの外径Lcより大きい。大径部110bの外径Lb及び本体部110aの外径Lcは、それぞれ均一になっている。
燃料噴射弁5においては、ブッシュ110が第2孔部94の内周面に引っ掛かった状態になることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される、という構成になっている。この構成を実現するために、離間距離Dや直径L1,L2、外径La,Lbが適宜設定されている。ここでは、第2孔部94の直径L2が、大径部110bの外径Lbより大きく、且つ大径部110bの外径Lbと中心線C2,C3の離間距離Dとの和より小さい値に設定されている。すなわち、Lb<L2<Lb+Dという関係が成り立っている。この設定では、ブッシュ110の大径部110bが第2孔部94の内周面に引っ掛かることで、アクチュエータ部30の回動が規制される。
本実施形態によれば、第1孔部93と第2孔部94とで中心線がずれ、且つアクチュエータ部30とブッシュ110とで中心線がずれている。このため、ブッシュ110の外周面がホルダ孔92の内周面に引っ掛かることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動を規制できる。これにより、上記第1実施形態と同様に、リード線91を適正な状態で保つことができる。
本実施形態によれば、大径部110bの外周面が第2孔部94の内周面に引っ掛かるため、本体部110aに比べて強度が高い大径部110bを利用してホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動を規制できる。このため、ブッシュ110において第2孔部94の内周面に引っ掛かる部分が変形してしまってアクチュエータ部30の回動を規制できない、ということを回避できる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1として、上記第1,2実施形態において、アクチュエータ突部101及びホルダ溝部102は、ホルダ48の周方向においてどの位置に設けられていてもよい。例えば、図18に示すように、アクチュエータ突部101及びホルダ溝部102が、燃料噴射弁5の中心線Cを挟んでホルダ孔92の中心線C1とは反対側に配置された構成とする。この構成では、ホルダ溝部102がホルダ供給路55aと共に、ホルダ48の外周部において比較的肉厚の厚い部分に配置されているため、ホルダ溝部102の存在によってホルダ48の強度が低下するということが生じにくくなっている。これは、ホルダ48においては肉厚の厚い部分ほど強度が高くなりやすいためである。
また、ホルダ溝部102は、ホルダ48の径方向においてホルダ供給路55aや排出通路57に重複しない位置に配置されていることが好ましい。この構成によれば、ホルダ溝部102とホルダ供給路55aや排出通路57とが径方向に重複した部分についてホルダ48の強度や硬度が部分的に不足する、ということを回避できる。
変形例2として、上記第1,2実施形態において、アクチュエータ部30が有する回動規制部が凸部とされ、ホルダ48が有する引っ掛かり部が凹部とされていたが、回動規制部が凹部とされ、引っ掛かり部が凸部とされてもよい。また、回動規制部及び引っ掛かり部の両方が凸部とされていてもよい。要は、回動規制部と引っ掛かり部とが互いに引っ掛かることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される構成であればよい。
なお、アクチュエータ部30及びホルダ孔92がそれぞれ径方向に偏平した形状(例えば楕円)になっていてもよい。この構成では、アクチュエータ部30の外周面の曲率が小さい部分がホルダ孔92の内周面の曲率が小さい部分に引っ掛かることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される。この場合、アクチュエータ部30の外周面とホルダ孔92の内周面とが引っ掛かった部分について、アクチュエータ部30側の部分が回動規制部に相当し、ホルダ48側の部分が引っ掛かり部に相当する。
変形例3として、上記第1,2実施形態において、回動規制部としてのアクチュエータ突部101の突出方向や、引っ掛け部としてのホルダ溝部102の凹み方向が軸線方向になっていてもよい。この構成でも、アクチュエータ突部101がホルダ溝部102に入り込んでいることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される。なお、ホルダ溝部102である引っ掛け部は、凹部であればよく、溝状に延びていなくてもよい。
変形例4として、上記第1,2実施形態において、ホルダ溝部102が噴孔側ではなく反噴孔側に向けて開放されていてもよい。この構成は、アクチュエータ部30がその噴孔側端部からホルダ孔92に挿入される構成に適用されることが好ましい。
変形例5として、上記第1,2実施形態において、ホルダ溝部102が軸線方向に開放されていなくてもよい。この構成でも、アクチュエータ部30がホルダ孔92に挿入される際に、ケース体34やホルダ48が僅かに変形することで、アクチュエータ突部101は、ホルダ48におけるホルダ溝部102を区画する部分を乗り越えてホルダ溝部102に到達できる。また、アクチュエータ突部101が径方向に変位可能な構成にすることで、アクチュエータ突部101が、ホルダ溝部102を区画する部分を乗り越えてホルダ溝部に到達できる。
変形例6として、上記第1,2実施形態において、リード線91にブッシュ110が装着されていなくてもよい。この場合、リード線91は1本でもよい。ここでは、複数の芯線91aがまとめて1つの被覆91bにより被覆されたリード線91は1本とする。
変形例7として、上記第1,2実施形態において、アクチュエータ突部101は、引っ掛かり部としてのホルダ溝部102に引っ掛かる形状であれば、球体に限られない。例えば、アクチュエータ突部101は、軸線方向に長尺状に延びていてもよく、矩形状でもよい。
変形例8として、上記第1,2実施形態において、アクチュエータ突部101とホルダ溝部102とが複数組設けられていてもよい。例えば、アクチュエータ突部101がケース体34の周方向に複数設けられ、ホルダ溝部102がホルダ48の周方向に複数設けられた構成とする。この構成では、複数のアクチュエータ突部101のそれぞれがホルダ溝部102に引っ掛かることで、アクチュエータ部30の回動が規制される。
変形例9として、上記第3実施形態において、ブッシュ突部121及び第2孔溝部122は、ブッシュ110の周方向においてどの位置に設けられていてもよい。ただし、ホルダ供給路55aや排出通路57が第2孔溝部122よりも反噴孔側まで延びている構成では、第2孔溝部122がブッシュ110の径方向においてホルダ供給路55aや排出通路57に重複しない位置に配置されていることが好ましい。この構成によれば、ホルダ48の強度や硬度が部分的に不足するということを回避できる。
変形例10として、上記第3実施形態において、ブッシュ110が有する回動規制部が凸部とされ、ホルダ48が有する引っ掛かり部が凹部とされていたが、回動規制部が凹部とされ、引っ掛かり部が凸部とされていてもよい。また、回動規制部及び引っ掛かり部の両方が凸部とされていてもよい。さらに、ブッシュ110及びホルダ孔92のそれぞれが径方向に偏平した形状になっていてもよい。
変形例11として、上記第3実施形態において、回動規制部としてのブッシュ突部121の突出方向や、引っ掛け部としての第2孔溝部122の凹み方向が軸線方向になっていてもよい。この構成でも、ブッシュ突部121が第2孔溝部122に入り込んでいることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される。なお、第2孔溝部122である引っ掛け部は、凹部であればよく、溝状に延びていなくてもよい。
変形例12として、上記第3実施形態において、第2孔溝部122が噴孔側ではなく反噴孔側に向けて開放されていてもよい。この構成は、アクチュエータ部30及びブッシュ110がその噴孔側端部からホルダ孔92に挿入される構成に適用されることが好ましい。
変形例13として、第3実施形態において、第2孔溝部122が軸線方向に開放されていなくてもよい。この構成でも、ブッシュ110がホルダ孔92に挿入される際に、ブッシュ110やブッシュ突部121が変形することで、ブッシュ突部121は、ホルダ48における第2孔溝部122を区画する部分を乗り越えて第2孔溝部122に到達できる。
変形例14として、上記第3実施形態において、軸線方向においてブッシュ突部121がリード線91とアクチュエータターミナル107との接続部分から離間した位置に配置されていてもよい。また、ブッシュ突部121は、軸線方向においてブッシュ110全体に設けられていてもよい。
変形例15として、上記第3実施形態において、ブッシュ突部121と第2孔溝部122とが複数組設けられていてもよい。例えば、ブッシュ突部121がブッシュ110の周方向に複数設けられ、第2孔溝部122がホルダ48の周方向に複数設けられた構成とする。この構成では、複数のブッシュ突部121のそれぞれが第2孔溝部122に引っ掛かることで、アクチュエータ部30の回動が規制される。
変形例16として、上記第1〜3実施形態では、アクチュエータ部30がホルダ孔92に収容されていたが、アクチュエータ部30はホルダ孔92に収容されていなくてもよい。例えば、アクチュエータ部30がホルダ48よりも噴孔側に配置された構成とする。この構成では、アクチュエータ部30のケース体34の反噴孔側端面とホルダ48の噴孔側端面とが対向しており、ケース体34の反噴孔側端面に回動規制部が設けられ、ホルダ48の噴孔側端面に引っ掛かり部が設けられている。この構成でも、回動規制部が引っ掛かり部に引っ掛かることで、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制される。
変形例17として、上記第1,2,4実施形態において、リード線91がホルダ孔92を通っていなくてもよい。例えば、アクチュエータ部30がホルダ48の噴孔側ではなく、ホルダ48の反噴孔側に配置された構成とする。この構成では、ホルダ孔92にアクチュエータ部30が収容されている一方で、リード線91及びブッシュ110はホルダ孔92に通されずにアクチュエータ部30とコネクタ部90とを接続している。この構成でも、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の相対的な回動が規制されることで、コネクタ部90に対するアクチュエータ部30の相対的な回動も規制されるため、リード線91のねじれや引っ張られを抑制できる。
変形例18として、上記第4実施形態において、大径部110bが軸線方向においてブッシュ110の中間位置に配置されていてもよい。この場合でも、大径部110bが芯線91aとアクチュエータターミナル107との接続部分を覆っていることが好ましい。
変形例19として、上記第4実施形態において、ブッシュ110の太さが均一にされていてもよい。例えば、ブッシュ110が本体部110a及び大径部110bのうち一方を有する構成とする。
変形例20として、上記第4実施形態において、ホルダ孔92において、第2孔部94の直径L2が上側孔部93bの直径L1より大きくてもよい。要は、第2孔部94の直径L2と上側孔部93bの直径L1とが異なっていれば、上側孔部93bの中心線C2と第2孔部94の中心線C3とがずれていることで、ブッシュ110の外周面が第2孔部94の内周面に引っ掛かる、という構成を実現できる。この構成では、ブッシュ110の大径部110bの外径Lbがアクチュエータ部30の外径Laより大きくなっている必要がある。
変形例21として、上記第4実施形態において、上側孔部93bの直径L1が下側孔部93aの直径と同じ又はこれより大きくなっていてもよい。
変形例22として、上記各実施形態において、アクチュエータ部30はケース体34を有していなくてもよい。例えば、上記第1,2実施形態においては、アクチュエータ部30においてソレノイドコイル31等の電磁弁を構成する部材がアクチュエータ突部101を有する構成とする。
変形例23として、上記各実施形態では、複数のブッシュ孔111のそれぞれにリード線91が1本ずつ挿通されていたが、1つのブッシュ孔111に複数のリード線91が挿通されていてもよい。この場合でも、複数のブッシュ孔111のそれぞれに少なくとも1つのリード線91が挿通されていることで、リード線91に対してブッシュ110がその周方向に回動することが規制される。このため、ブッシュ110の存在によってリード線91がねじれにくくなる。
変形例24として、上記1〜4実施形態は、互いに組み合わせてもよい。例えば、上記第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、アクチュエータ突部101がOリング104の噴孔側及び反噴孔側のそれぞれに設けられた構成とする。また、上記第1実施形態と上記第3実施形態とを組み合わせて、アクチュエータ部30及びブッシュ110のそれぞれが回動規制部としてのアクチュエータ突部101及びブッシュ突部121を有する構成とする。この構成では、ホルダ48が引っ掛かり部としてホルダ溝部102及び第2孔溝部122をそれぞれ有している。この構成によれば、アクチュエータ部30及びブッシュ110のそれぞれについてホルダ48に対して相対的に回動することが個別に規制されるため、これらリード線91がねじれや引っ張られをより確実に抑制できる。
さらに、上記第1,3,4実施形態を組み合わせて、アクチュエータ部30及びブッシュ110のそれぞれが回動規制部を有し、且つ第1孔部93の中心線C2と第2孔部94の中心線C3とがずれた構成とする。この構成では、アクチュエータ突部101とホルダ溝部102との引っ掛かり、及びケース体34の外周面とホルダ孔92の内周面との引っ掛かりによりの両方により、ホルダ48に対するアクチュエータ部30の回動がより確実に規制される。しかも、ブッシュ突部121と第2孔溝部122との引っ掛かりに寄っても、ホルダ48に対するブッシュ110及びアクチュエータ部30の回動が規制される。したがって、リード線91がねじれたり引っ張られたりすることを更に確実に抑制できる。
変形例25として、燃料噴射弁5が取り付けられる内燃機関は、ディーゼル機関に限らず、オットーサイクル機関やガソリンエンジン等であってもよい。