JP6911323B2 - 感光性樹脂組成物、硬化膜、パターン硬化膜の製造方法及び電子部品 - Google Patents
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Description
(1)(a)アルカリ可溶性樹脂と、
(b)感光剤と、
(c)溶剤と、
(d)加熱により架橋又は重合し得る架橋剤と、
(e)溶解阻害剤
とを含み、前記(e)溶解阻害剤が、下記式(1)で示される構造を有するアンモニウム塩、又は下記式(2)で示される構造を有するホスホニウム塩である感光性樹脂組成物。
(2)前記(e)溶解阻害剤のアンモニウム塩が、下記式(3)で示される構造を有するアンモニウム塩である(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3)前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、ポリイミド、ポリアミド酸、ポリベンゾオキサゾール、又はポリヒドロキシアミドを含む(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、下記式(4)又は(5)で示される構造単位を有する(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(5)前記(b)感光剤が、光により酸を発生する感光剤である(1)〜(4)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(6)前記(d)架橋剤が、メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物である(1)〜(5)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(7)さらに、(f)加熱により酸を発生し得る熱酸発生剤を含む(1)〜(6)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化膜。
(9)パターン化されている請求項8に記載の硬化膜。
(10)(1)〜(7)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥し、感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光し、パターン樹脂膜を形成する工程と、
前記パターン樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像し、加熱処理する工程
とを含む、パターン硬化膜の製造方法。
(11)前記加熱処理工程において、加熱処理温度が250℃以下である(10)に記載のパターン硬化膜の製造方法。
(12)前記加熱処理工程において、加熱処理温度が200℃以下である(10)に記載のパターン硬化膜の製造方法。
(13)(8)又は(9)に記載の硬化膜を用いた、層間絶縁膜。
(14)(8)又は(9)に記載の硬化膜を用いた、表面保護膜。
(15)(13)に記載の層間絶縁膜又は(14)に記載の表面保護膜を有する電子部品。
まず、本発明による感光性樹脂組成物について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は(a)アルカリ可溶性樹脂と、(b)感光剤と、(c)溶剤と、(d)加熱により架橋又は重合し得る架橋剤と、(e)溶解阻害剤を含有する。
本明細書において、それぞれ単に(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分と記す場合がある。以下、各成分について説明する。
(a)成分は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液に可溶な樹脂である。一般には、濃度が2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が用いられるので、(a)成分は、この水溶液に対して可溶性であることが好ましい。
炭素数1〜30又は炭素数2〜30の脂肪族構造としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の脂肪族化合物(アルカン、アルケン、アルキン)が挙げられる。上記の脂肪族構造は置換基により置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
置換もしくは無置換の脂肪族構造としては、例えば、後述するポリベンゾオキサゾール前駆体原料であるジカルボン酸類、ジアミン類の残基が挙げられる。
U’及びV’の2価の有機基は、上記式(4)のUの2価の有機基と同じである。
ジアミン類は、上記の化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジカルボン酸類は、上記の化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
具体的には、ジカルボン酸類をジハライド誘導体に変換後、ジアミン類との反応を行うことにより合成できる。ジハライド誘導体としては、ジクロリド誘導体が好ましい。
感光剤とは、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して形成した感光性樹脂膜に光を照射した場合に、光に反応して、照射部と未照射部の現像液に対する溶解性に差異を付与する機能を有するものである。本発明において(b)成分として用いられる感光剤は特に制限はないが、光により酸を発生するもの(光酸発生剤)であることが好ましい。
(c)成分としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン等が挙げられ、通常、感光性樹脂組成物中の他の成分を充分に溶解できるものであれば特に制限はない。この中でも各成分の溶解性と樹脂膜形成時の塗布性に優れる観点から、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドを用いることが好ましい。
(d)成分は、感光性樹脂組成物を塗布、露光及び現像後にパターン樹脂膜を加熱処理する工程において、ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリベンゾオキサゾールと反応(架橋反応)するものであり、又は架橋剤自身が重合する。これにより、感光性樹脂組成物を比較的低い温度、例えば250℃以下で硬化した場合も、良好な機械特性、薬液耐性及びフラックス耐性を付与させることができる。
これらの基がベンゼン環に結合している化合物、N位がメチロール基又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂又は尿素樹脂が好ましい。また、これらの基がフェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合している化合物は、現像する際に露光部の溶解速度が増加して感度が向上させることができる点でより好ましい。
式(X)〜(XIV)の中でも、式(XIV)で示される化合物を用いると、感光性樹脂組成物を250℃以下の低温で硬化した場合に優れた薬液耐性を有する硬化膜が得られるため好ましい。また、式(XIII)で示される化合物を用いると、得られる硬化物が耐熱性に優れるため好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物である(e)成分を含有する。(e)成分は(a)成分の溶解性を阻害することで、残膜厚や現像時間を調整するのに役立つ。
感光性樹脂組成物は、さらに、(f)成分として加熱により酸を発生し得る熱酸発生剤(熱潜在酸発生剤)を含むことができる。熱酸発生剤を使用すると、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働くので好ましい。また、(a)成分として約280℃以下での脱水閉環率が高い樹脂を用いたとき、酸熱発生剤を併用することにより、脱水環化反応をさらに低温化できるので、低温での硬化でも硬化後の膜の物性が、高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる。
これらも280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際して分解し、触媒として働くことができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(a)〜(f)成分に加えて、さらに必要に応じて(1)シランカップリング剤、(2)溶解促進剤、(3)界面活性剤又はレベリング剤等のその他の成分を含んでもよい。
通常、シランカップリング剤は、感光性樹脂組成物を塗布、露光、現像後に加熱処理する工程において、(a)成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体と反応して架橋する、又は加熱処理する工程においてシランカップリング剤自身が重合すると推定される。これにより、得られる硬化膜と基板との密着性をより向上させることができる。特に分子内にウレア結合を有するシランカップリング剤を用いることにより、250℃以下の低温下で硬化を行った場合も基板との密着性をさらに高めることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解性をより促進させるために、溶解促進剤を含んでもよい。溶解促進剤としては、例えばフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。フェノール性水酸基を有する化合物は、感光性樹脂組成物に加えることで、アルカリ水溶液を用いて現像する際に露光部の溶解速度が増加し感度が上がり、また、パターン形成後の樹脂膜の硬化時に樹脂膜の溶融を防ぐことができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、塗布性(例えばストリエーション(膜厚のムラ)の抑制)、及び現像性の向上のために、界面活性剤又はレベリング剤を含んでもよい。
また、本発明の樹脂組成物は、(a)〜(f)成分から本質的になってもよい。ここで「本質的になる」とは、例えば(a)〜(f)成分が90質量%以上、95質量%以上、又は98質量%以上であることを意味する。
本発明の硬化膜は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化膜である。本発明の硬化膜は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることで得られる。
本発明の硬化膜は、パターン化されていてもよい(以下、パターン化された硬化膜を「パターン硬化膜」とも呼ぶ)。
また、本発明のパターン硬化膜の製造方法は、上述の感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥し、感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光し、パターン樹脂膜を形成する工程と、前記パターン樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像し、加熱処理する工程とを含む。
本実施形態の半導体装置は、多層配線構造を有している。層間絶縁層1の上にはA1配線層2が形成され、その上部にはさらに絶縁層3(例えばP−SiN層)が形成され、さらに素子の表面保護膜4が形成されている。配線層2のパット部5からは再配線層6が形成され、外部接続端子であるハンダ、金等で形成された導電性ボール7との接続部分である、コア8の上部まで伸びている。さらに表面保護層4の上には、カバーコート層9が形成されている。再配線層6は、バリアメタル10を介して導電性ボール7に接続されているが、この導電性ボール7を保持するためには、カラー11が設けられている。このような構造のパッケージを実装する際には、さらに応力を緩和するために、アンダーフィル12を介することもある。
本発明の電子部品は、上述した感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜又はパターン硬化膜を有するため信頼性が高い。電子部品としては、半導体装置、多層配線板等の各種電子デバイスなどを含む。
合成例1
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、セバシン酸ジクロリド9.56g(40mmol)を10分間で滴下した後、60分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーIとする)。ポリマーIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は31,600、分散度は2.0であった。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所社製L4000 UV
ポンプ :株式会社日立製作所社製L6000
株式会社島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5×2本
溶離液 :THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/l)、H3PO4(0.06mol/l)
流速 :1.0ml/min、検出器:UV270nm
合成例1で使用したセバシン酸ジクロリドを、ドデカン二酸ジクロリドとした以外は、合成例1と同様に合成を行い、ポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーIIとする)。合成例1と同様に標準ポリスチレン換算により求めたポリマーIIの重量平均分子量は33,100、分散度は2.0であった。
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド11.86g(40mmol)を10分間で滴下した後、室温に戻し3時間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーIIIとする)。合成例1と同様にGPC法標準ポリスチレン換算により求めたポリマーIIIの重量平均分子量は22,400、分散度は3.2であった。
表1,2に示した成分及び配合量にて感光性樹脂組成物を調製した。表1,2の配合量は、(a)成分であるポリマー100質量部に対する、(b)〜(f)成分の質量部である。
尚、用いた各成分は以下の通りである。
BLO:γ−ブチロラクトン
EL:乳酸エチル
NMP:N−メチルピロリドン
E2:テトラブチルホスホニウムクロリド
E3:ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド
E4:トリメチルフェニルアンモニウムブロミド
E5:ジフェニルヨードニウムニトラート
尚、E5は本発明の(e)成分ではない。
F1:2,4,6−トリメチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート
実施例1〜13及び比較例1〜5で調製した感光性樹脂組成物について、感光特性を評価した。具体的には、各例で調製した感光性樹脂組成物を、それぞれシリコン基板上にスピンコートして乾燥膜厚が7〜12μmの感光性樹脂膜を形成した。得られた感光性樹脂膜に、プロキシミティ露光機(ウシオ電機株式会社製,UX−1000SM−XJ01)を用いて、i線換算で100〜1000mJ/cm2照射して、露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液にて露光部のシリコン基板が露出するまで現像した後、水でリンスして、パターン樹脂膜を得た。
得られたパターン樹脂膜について、以下の評価を実施した。結果を表1,2に示す。尚、評価後、パターン樹脂膜は200℃で硬化した。
上記で作製したパターン樹脂膜を顕微鏡で観察した。ライン幅/スペース幅=5μm/5μmのパターンが得られたものをA、パターンが得られなかったものをBと評価した。
上記で作製したパターン樹脂膜でライン幅/スペース幅=5μm/5μmのパターンが得られた時間を評価した。
実施例1〜13及び比較例1〜5で調製した感光性樹脂組成物について、感光性樹脂膜を成膜、硬化し、得られた硬化膜の薬液耐性を評価した。具体的には、各例で調製した感光性樹脂組成物を、それぞれシリコン基板上にスピンコートして、乾燥膜厚が7〜12μmの感光性樹脂膜を形成した。続いて、感光性樹脂膜付きシリコン基板を、光洋サーモシステム社製イナートガスオーブン(INH−9CD−S)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱して硬化膜(硬化後膜厚5〜10μm)を得た。得られた硬化膜について、以下の評価を実施した。結果を表1,2に示す。
上記のようにして得られた硬化膜を薬液(アセトン、N−メチルピロリドン)中に23℃で10分間浸漬した後、硬化膜表面を光学顕微鏡で観察した。薬液に浸漬する前後の膜厚の差から、浸漬による膜厚変化が1μm以内のものをA(特に良好)、2μm以内のものをB(良好)、浸漬により硬化膜表面にクラックが発生したものをC(実用レベルである)、浸漬により全て溶解したものをD(実用レベルではない)と示した。
2 Al配線層
3 絶縁層
4 表面保護層
5 配線層のパット部
6 再配線層
7 導電性ボール
8 コア
9 カバーコート層
10 バリアメタル
11 カラー
12 アンダーフィル
Claims (14)
- 前記(b)感光剤が、光により酸を発生する感光剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(d)架橋剤が、メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、(f)加熱により酸を発生し得る熱酸発生剤を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化膜。
- パターン化されている請求項7に記載の硬化膜。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥し、感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光し、パターン樹脂膜を形成する工程と、
前記パターン樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像し、加熱処理する工程
とを含む、パターン硬化膜の製造方法。 - 前記加熱処理工程において、加熱処理温度が250℃以下である請求項9に記載のパターン硬化膜の製造方法。
- 前記加熱処理工程において、加熱処理温度が200℃以下である請求項9に記載のパターン硬化膜の製造方法。
- 請求項7又は8に記載の硬化膜を用いた、層間絶縁膜。
- 請求項7又は8に記載の硬化膜を用いた、表面保護膜。
- 請求項12に記載の層間絶縁膜又は請求項13に記載の表面保護膜を有する電子部品。
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