JP6910929B2 - フッ素樹脂粒子含有のレジストインキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、撥水性および撥油性を有する上塗り層に水分および油分の保持機能を付与するための矩形断面パターンの形成方法などに関し、特に撥水性および撥油性を有する上塗り層の下に矩形断面の凹凸を有するパターン層を形成し、前記上塗り層に断面が矩形である2次パターンを形成することにより水分および油分の保持機能を付与することができる矩形断面パターンの形成方法、前記形成方法により形成された矩形断面パターンを有する被覆基材および前記形成方法に用いられるレジストインキ組成物に関する。
一般にフライパンなどの調理器具の表面には、食材や調味料などの付着を防止する目的でフッ素樹脂コーティングが施される。フッ素樹脂は、耐熱性があり、食材などの付着を防止するためには好適な材料であるが、強力な撥水性および撥油性を有しているため、水や油を調理器具の表面に万遍なく引き伸ばして行き渡らせることができず、食材に加熱ムラや焼きムラを生じさせるという問題があった。
また、フッ素樹脂コーティングが施された調理器具は、その表面にさらに模様や文字などを印刷しようとしても、それらの輪郭を形成するエッジ部の角が崩れてしまうので、模様や文字の鮮明性、鮮鋭性が低下してしまうという問題があった。
さらに、特表2014−530259号公報(特許文献1)には、チキソトロープ剤として非晶質シリカ粒子を含有し、ポリアミドイミドを本質的に含ませないことにより、印刷パターンの解像度、鮮明性を向上させたフルオロポリマーからなるインク組成物、前記インク組成物を用いて形成されたパターンを含む被覆基材およびその製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のインク組成物は、フッ素樹脂コーティングが施された基材上にパターン印刷をするために使用し、本質的にフルオロポリマーを含むものであるから、強力な撥水性および撥油性を有しており、調理器具上での水や油の伸延性、保持性は改善されないでいるという問題があった。すなわち、特許文献1に記載のインク組成物を用いた被覆基材においても、水や油を調理器具の表面に万遍なく引き伸ばして行き渡らせることができず、食材に加熱ムラや焼きムラを生じさせるという問題があった。
特表2014−530259号公報
そこで、本発明は、フッ素樹脂コーティング等により撥水性および撥油性を有する上塗り層が施された被覆基材において、水分および油分の保持機能を付与することができるパターンの形成方法、前記方法により形成されたパターンを有する被覆基材および前記方法に用いられるレジストインキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、フッ素樹脂コーティング等により撥水性および撥油性を有する上塗り層へ形成する凹凸パターンおよび前記パターンを形成するのに適したインキ組成物等について鋭意検討を重ねた結果、撥水性および撥油性を有する上塗り層が施された被覆基材において、前記上塗り層へ断面が矩形であるパターンを形成すると、前記上塗り層と水や油との接触角が小さくなるなどの要因により、前記上塗り層が水分および油分の保持機能を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、本質的に撥水性および撥油性を有するが、水分および油分を保持することができる上塗り層を形成するための方法として、
基材を準備するステップと、
前記基材の上に下塗り組成物を塗布し、乾燥させて、下塗り層を形成するステップと、
前記下塗り層の上に少なくともフッ素樹脂粒子を含有するレジストインキ組成物を塗布し、乾燥させてレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層を所望のパターンに露光し、現像させて、矩形断面の凹凸を有するパターン層を形成するステップと、
前記パターン層の上に撥水性および撥油性を有する上塗り組成物を塗布し、乾燥させて、上塗り層を形成するステップとを含み、そして
前記上塗り層に形成された2次パターンは、前記パターン層の凹凸パターンに由来し、且つ2次パターンの断面が矩形であることを特徴とする矩形断面パターンの形成方法が提供される。
本発明では、撥水性および撥油性を有する上塗り層に形成される水分および油分を保持するための2次パターンは、前記上塗り層の上に新たなパターン層を積層するように形成するのではなく、上塗り層の下に予め2次パターンの原型となるパターン層を形成しておき、パターン層の上に上塗り層を形成することにより、パターン層の凹凸パターンを上塗り層へ転写して形成するという方法が採用される。その採用理由を以下に説明する。
上塗り層の上に新たなパターン層を積層するように2次パターンを形成させた場合、パターン層の凹凸パターンのエッジ部分は、欠けたり、丸味を帯びたり又は傾斜等することによりその角が取れてしまう結果、断面視において、凹凸パターンの断面が矩形でなくなる。また、平面視においても、パターン層の凹凸パターンのエッジ部分は直進性を失い、鋸歯状のエッジが形成される。
このため、パターン層が撥水性および撥油性を有していると、パターン層と水や油との接触角が大きくなるなどの要因により、例えばフライパン等に形成したパターン層を傾斜させると、水分や油分を定位置で保持することができないという不都合を招くことになる。
一方、上塗り層の下に予め2次パターンの原型となるパターン層を形成しておき、パターン層の上に上塗り層を形成することにより、パターン層の凹凸パターンを上塗り層へ転写して形成させた場合は、パターン層の凹凸パターンに由来して上塗り層に形成された2次パターンのエッジ部分は、欠けたり、丸味を帯びたり又は傾斜等することがなく、断面視において、2次パターンの断面を矩形とすることができる。また、平面視においても、パターン層の2次パターンのエッジ部分は優れた直進性を有することができる。
このため、2次パターンの原型となる、上塗り層の下に形成されるパターン層の凹凸パターンは、当然にその断面が矩形でなければならないので、本発明では、パターン層の形成にはレジストインキ組成物が使用され、そしてパターン層は、露光、現像によって矩形断面に凹凸パターン化される。
このように、本発明によれば矩形断面を有する上塗り層が撥水性および撥油性を有していても、パターン層と水や油との接触角が小さくなるなどの要因により、例えばフライパン等に形成された2次パターンを有する上塗り層を傾斜させても、水分や油分を定位置で保持することができるという優れた効果を奏する。
なお、本発明において、「パターンの断面が矩形である」とは、ある平面層の上に形成された凹凸パターンの端面が、別言すれば凹凸パターンの上面から平面層の表面まで延びた凹凸パターンの端面(縦断面)が、凹凸パターンの上面(横断面)および平面層の表面(横断面)と略直角に交わっていることを意味している。また、凹凸パターンは、主にパターン層の断面形状に基づく用語であり、同じパターン層の平面形状に基づく用語としては線形パターンとも呼ぶこともできるので、本発明では、凹凸パターンと線形パターンは同義の用語として取り扱っている。
本発明では、上塗り層との層間密着性を向上させ、さらに上塗り層へ、その下部のパターン層の凹凸パターンに由来する矩形断面を有する2次パターンを形成させるため、パターン層の形成に用いるレジストインキ組成物には、少なくともフッ素樹脂粒子を配合している。層間密着性を向上させ、矩形断面を形成するのに有用なフッ素樹脂粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)であることが好ましく、層間密着性は、FEP、PFA、PTFEの順に良い。
本発明では、フッ素樹脂粒子の平均一次粒子径は10μm以下であることが好ましく、また、フッ素樹脂粒子はレジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることが好ましい。フッ素樹脂粒子の配合量が30重量部を超えると、フッ素樹脂粒子が凹凸パターン又は線形パターンの形状に影響を与えるため、露光によりレジスト層に形成する凹凸パターン又は線形パターンの解像性が著しく低下する。一方、フッ素樹脂粒子の配合量が実質的にゼロまたは1重量部より少なくなると、パターン層を中心とした塗膜全体の密着性が著しく低下する。
本発明で使用されるレジストインキ組成物には、フッ素樹脂粒子の他に、さらにアルカリ可溶光硬化性樹脂と、アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂と、光反応モノマーと、光重合開始剤と、着色顔料と、分散剤と、そして消泡剤およびレベリング剤から選ばれた1種以上の添加剤を配合することができる。
すなわち、本発明で使用されるレジストインキ組成物は、撥水性および撥油性を有する上塗り層に断面が矩形である2次パターンを形成するために、前記上塗り層の下に配置される矩形断面の凹凸を有するパターン層を形成するためのレジストインキ組成物であって、前記レジストインキ組成物は、フッ素樹脂粒子と、アルカリ可溶光硬化性樹脂と、アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂と、光反応モノマーと、光重合開始剤と、着色顔料と、分散剤と、そして消泡剤およびレベリング剤から選ばれた1種以上の添加剤を含んでいることを特徴としている。
光反応モノマーは、紫外線による硬化速度を調整するために用いられ、光重合開始剤は、感光アルカリ可溶ポリマーと光反応モノマーに対して紫外線によって反応し、硬化させるために用いられ、着色顔料は、耐熱による変色防止の観点からカーボンブラック又は無機顔料が用いられ、分散剤は、一般的に顔料の分散を促進させるために用いられ、そして消泡剤、レベリング剤は、一般的にハジキ、泡等を防止し、外観を良くするために用いられる。
1.アルカリ可溶光硬化性樹脂
本発明のアルカリ可溶型レジストインキ組成物に使用するアルカリ可溶光硬化性樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂から選ばれた1種以上の化合物と不飽和カルボン酸との反応物を有機多塩基酸無水物と反応させることにより得られるものであれば特に限定されるものではないが、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた生成物に有機多塩基酸無水物を反応させたものであることが好ましい。
(1)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、2官能以上の多官能性エポキシ樹脂であればいずれでも使用可能であり、エポキシ当量は特に制限されないが、1000以下が好ましく、100〜500が特に好ましい。多官能性エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学社製:jER152、jER154、新日鉄住金化学社製:YDCN−638)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製:YDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5、YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704、YDCN−704A)などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製:jER828、jER1001、jER1002、jER1003、jER1004、jER1005)などのフェノール型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独または混合して用いることもできる。
(2)不飽和カルボン酸
不飽和カルボン酸は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等を代表例とするエネルギー線に活性な不飽和結合を分子内に有するカルボン酸含有物であって、これらの1種または2種以上を用いることができる。
エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応により得られる(メタ)アクリレート化合物は、アクリル酸を単独で反応させたものであってもよいし、メタクリル酸を単独で反応させたものであってもよく、またはアクリル酸とメタクリル酸の両方を反応させたものであってもよい。
エポキシ化合物とアクリル酸および/またはメタクリル酸の使用割合は、エポキシ基を全て反応させるという観点から、アクリル酸及び/またはメタクリル酸(アクリル酸とメタクリル酸の両方を用いている場合は両社の合計)を1当量以上の量で用いる必要がある。また、生成される(メタ)アクリレート化合物の保管安定性を保つこと及び過剰なアクリル酸を残存させないという観点から、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、アクリル酸および/またはメタクリル酸を1.0〜1.5当量の量で用いることが好ましい。
(3)反応溶媒
エポキシ化合物とアクリル酸および/またはメタクリル酸との反応は、溶媒を用いずに行ってもよいが、反応を円滑に行う観点から、不活性な有機溶媒中で行うことが好ましい。その際に用いることができる有機溶媒としては、例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
(4)触媒
エポキシ化合物の一部のエポキシ基と、アクリル酸および/またはメタクリル酸との反応は触媒を用いずに行ってもよいが、反応速度を速くできることから、酸付加触媒を用いて行うことが好ましい。酸付加反応触媒としては、4級オニウム塩、3級アミンおよび3級ホスフィンが好ましく、これらの1種または2種以上を用いることができる。
4級オニウム塩の具体例としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニムブロマイドなどを挙げることができる。
3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン;ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミンなどのジアルキルアリールアミン;トリエタノールアミンなどを挙げることができる。
3級ホスフィンの具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリシクロアルキルホスフィン;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどトリアルキルホスフィンなどを挙げることができる。
上記の酸付加反応触媒は、単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。そのなかでも、酸付加触媒としては、反応活性、ハロゲンが敬遠される点から、トリフェニルホスフィンが好ましく用いられる。
エポキシ基と、アクリル酸および/またはメタクリル酸との反応を、酸付加反応触媒を用いて行う場合は、酸付加触媒の使用量は、アクリル酸および/またはメタクリル酸(アクリル酸とメタクリル酸の両方を用いる場合は両者の合計)1モルに対して、0.0001〜1.0モルであることが好ましく、0.001〜0.1モルであることがより好ましい。
(5)重合禁止剤
また、エポキシ化合物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させるにあたり、重合禁止剤を添加してもまたは添加しなくてもよく、重合禁止剤を添加した場合は、反応により生成するエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の重合を防ぐことができる。反応の際に使用する重合禁止剤は特に限定されるものではないが、例えばヒドロキノン、p−メトキシフェノール、p−ゼンゾキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエンなどを挙げることができる。重合禁止剤は1種類のみを使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤を添加する場合は、アクリル酸および/またはメタクリル酸(アクリル酸とメタクリル酸の両方を用いる場合は両者の合計)1モルに対して、重合禁止剤を0.0005〜0.005モルの割合で添加することが好ましく、0.001〜0.005モルの割合で添加することがより好ましい。
エポキシ化合物とアクリル酸および/またはメタクリル酸などのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は特に限定されず、例えば、エポキシ化合物とアクリル酸および/またはメタクリル酸を適当な反応溶媒中で加熱することにより反応させることができる。また、エポキシ化合物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させる際の温度としては、反応の促進、副生物の生成抑制などの観点から、50〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。また、反応時間は、通常、4〜20時間が好ましく、6〜12時間がより好ましい。
(6)有機多塩基酸無水物
有機多塩基酸無水物は、エポキシ化合物とアクリル酸および/またはメタクリル酸などのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応で生成された水酸基に反応し、樹脂に遊離のカルボキシル基を持たせるものである。使用する有機多塩基酸無水物は特に限定されるものでなく、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。有機多塩基酸無水物としては、飽和多塩基酸の無水物、不飽和多塩基酸の無水物が挙げられ、例えば、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水琥珀酸、無水イタコン酸などが挙げられ、これらの1種または2種以上用いることができる。
2.アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂
本発明のアルカリ可溶型レジストインキ組成物において、アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーとカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを共重合させることにより得ることができる。アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂は、得られたレジスト膜の熱による黄変などの変色を抑制するために使用される。
(1)(メタ)アクリレートモノマー
本発明に使用できる(メタ)アクリレートモノマーとしては、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、スチレン、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンモノメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−エチルヘキシルアクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどを挙げることができる。なお、メタクリレート系共重合体は、必要に応じて単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
(2)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマー
本発明に使用できるカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸の他、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物等を挙げることができる。
(3)重合開始剤
本発明に使用できる重合開始剤としては、2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのニトリル系アゾ化合物(ニトリル系アゾ系重合開始剤);ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などの非ニトリル系アゾ化合物(非ニトリル系アゾ系重合開始剤);t−ヘキシルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、サクシニックペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、1,1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物(パーオキサイド系重合開始剤)及び過酸化水素などが挙げられる。
(4)溶媒
本発明に使用できる溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また重合した後、一塩基、二塩基、多塩基酸を反応させてもよく、用いた場合は現像性を向上させることができる。
3.フッ素樹脂粒子
本発明のアルカリ可溶型レジストインキ組成物において、フッ素樹脂粒子は、上塗り層との層間密着性を向上させ、さらに上塗り層へ、その下部のパターン層の凹凸パターンに由来する矩形断面を有する2次パターンを形成するために使用される。層間密着性を向上させ、矩形断面を形成するのに有用なフッ素樹脂粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)であることが好ましい。
好適なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)としては、例えばダイキン工業株式会社製のL−2、L−5F、L−5、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製のTLP 10F−1、MP−1300J、旭硝子株式会社製のL−150J、L−170J、L−172J、L−173J、株式会社喜多村製のKTL−2N、KTL−8N、住友スリーエム株式会社製のTF−9201、TF−9205、TF−9207などが挙げられる。ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)としては、例えばデュポン株式会社製のMJ−102、MJ−103、MJ−104、MJ−301、MJ−302などが挙げられる。四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)としては、例えば株式会社喜多村のKB−0FJなどが挙げられる。
4.光反応モノマー
光反応モノマーは、紫外線による硬化速度を調整するために用いられ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトリールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどのアクリレート化合物を使用することができる。
光反応モノマーは、レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることが好ましい。光反応モノマーの配合量が30重量部を超えると、アクリレーと化合物の乾燥性が悪いためにレジスト層を露光した時のタック性が低下し、また、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性も低下する。一方、光反応モノマーの配合量が実質的にゼロまたは1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が進まなくなるためにレジスト層が硬化不足となり、現像時に溶解してしまうという、露光する際に必要となる感度を得られなくなる。
5.光重合開始剤
光重合開始剤および光重合開始助剤は、感光アルカリ可溶ポリマーと光反応モノマーに対して紫外線によって反応し、硬化させるために用いられ、光重合開始剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製のイルガキュア907、イルガキュアTPO、イルガキュア819、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュアOX01、イルガキュアOX02などを使用することができ、また光重合開始助剤としては、ランブソンジャパン株式会社製のspeedcureDETX−S、speedcureITX、speedcureCPTXなどを使用することができる。
光重合開始剤は、レジストインキ組成物100重量部に対して0.1〜1.0重量部含まれていることが好ましい。光重合開始剤の配合量が1.0重量部を超えると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。一方、光重合開始剤の配合量が実質的にゼロまたは0.1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が進まなくなるためにレジスト層が硬化不足となり、現像時に溶解してしまうという、露光する際に必要となる感度を得られなくなる。
また、光重合開始助剤は、レジストインキ組成物100重量部に対して0.01〜0.2重量部含まれていることが好ましい。光重合開始助剤の配合量が0.2重量部を超えると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。一方、光重合開始助剤の配合量が実質的にゼロまたは0.01重量部より少なくなると、紫外線による反応性が進まなくなるためにレジスト層が硬化不足となり、現像時に溶解してしまうという、露光する際に必要となる感度を得られなくなる。
6.着色顔料
着色顔料は、耐熱による変色防止の観点からカーボンブラック又は無機顔料が用いられ、着色顔料としてカーボンブラックを適用する場合は、pH7以下のものが分散性が良く、例えば三菱化学株式会社製の#5、#10、#20、#25、#30、#30L、#32、#40、#44、#45、#45L、#47、#52、#85、#95、#260などを使用することができる。
着色顔料としてカーボンブラックを配合する場合は、レジストインキ組成物100重量部に対して0.1〜5重量部含まれていることが好ましい。カーボンブラックの配合量が5重量部を超えると、紫外線の透過が悪くなるためにレジスト層形成時の感度、解像性が低下し、また形成されたパターン層中のフッ素含有量も相対的に少なくなることから、上塗り層との層間密着性も低下する。一方、カーボンブラックの配合量が実質的にゼロまたは0.1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。
着色顔料として無機顔料を適用する場合は、例えば白色顔料としては、塩素法ルチル型酸化チタンで石原産業株式会社製のタイペークCR−50、タイペークCR−57、タイペークCR−80、タイペークCR−90、タイペークCR−9 3、タイペークCR−95、タイペークCR−97、タイペークCR−60、タイペークCR−63、タイペークCR−67、タイペークCR−58、タイペークCR−85などを使用することができる。また、その他の無機着色顔料としては、C.I.Pigment Black 11,26,27及び28、C.I.Pigment Red 101、C.I.Pigment Yellow 42及び53、C.I.Pigment Blue 28、C.I.Pigment Green 17及び50なども使用することができる。
また、着色顔料として無機顔料を配合する場合は、レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることが好ましい。無機顔料の配合量が30重量部を超えると、紫外線の透過が悪くなるためにレジスト層形成時の感度、解像性が低下し、また形成されたパターン層中のフッ素含有量も相対的に少なくなることから、上塗り層との層間密着性も低下する。一方、無機顔料の配合量が実質的にゼロまたは1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。
7.分散剤
分散剤は、一般的に顔料の分散を促進させるために用いられる。分散剤としては酸価を有するものが好ましく、例えばビックケミー株式会社製のAnti−Terra−U、Anti−Terra−U100、Anti−Terra−204、Anti−Terra−205、Disperbyk−101、Disperbyk−102、Disperbyk−106、Disperbyk−110、Disperbyk−111、Disperbyk−130、Disperbyk−140、Disperbyk−142、Disperbyk−145、Disperbyk−170、Disperbyk−171、Disperbyk−174、Disperbyk−180、Disperbyk−2001、Disperbyk−2025、Disperbyk−2070、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−P105、BYK−9076、BYK−220Sなどを使用することができる。
分散剤は、酸価が50〜200mgKOH/gであることが好ましく、そしてレジストインキ組成物100重量部に対して0〜10重量部含まれていることがより好ましい。分散剤の配合量が10重量部を超えると、酸価をもつ分散剤は高分子ポリマーが多く含むために乾燥性が悪く、レジスト層を露光した時のタック性が低下する。
8.消泡剤、レベリング剤
消泡剤、レベリング剤は、一般的にハジキ、泡等を防止し、外観を良くするために用いられ、例えばビックケミー株式会社製のBYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358N、BYK−361N、BYK−392などを使用することができる。
消泡剤およびレベリング剤から選ばれた1種以上の添加剤は、レジストインキ組成物100重量部に対して0〜5重量部含まれていることが好ましい。これらの添加剤の配合量が5重量部を超えると、レジストインキ組成物の表面張力が低下し過ぎるために、最終的には上塗り層の外観にハジキ(Cissing)やヘコミ(Cratering)等の欠陥を生じる。
なお、ハジキ(Cissing)やヘコミ(Cratering)は塗装又は印刷工程で発生する塗膜欠陥の一つであり、塗装後から乾燥過程にかけてインキや塗液中、気液界面、もしくは被覆基材/インキ界面に低い表面張力を有する部位(汚染部位)が存在すると、そこを中心にインキがはじかれてくぼみが発生する。一般的に被覆基材の表面が見えるほどくぼんでいるものをハジキ、被覆基材の表面まで到達していないものをヘコミ(又はヘコ)と言うが、ヘコミも含めてハジキと言う場合もある。
9.溶剤
溶剤は、一般的に乾燥速度や粘度を調整するために用いられ、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、トルエンなどの芳香族系溶媒を使用することができる。
そして、本発明では、上述した矩形断面パターンの形成方法およびレジストインキ組成物を使用することにより、矩形断面の凹凸を有するパターン層は、下塗り層の上にフッ素樹脂粒子を含有するレジストインキ組成物を塗布し、乾燥させてレジスト層を形成し、そしてレジスト層を所望のパターンに露光し、現像することにより形成され、そして最終的には、矩形断面パターン(2次パターン)が形成された3コート層を有する被覆基材が提供される。
本発明によれば、本発明のフッ素樹脂粒子を含有するレジストインキ組成物を使用して、本発明の矩形断面パターン(2次パターン)の形成方法を利用することにより、上塗り層の下に矩形断面の凹凸を有するパターン層を形成し、前記上塗り層に断面が矩形である2次パターンを形成することができるので、上塗り層が撥水性および撥油性を有する場合であっても、水分および油分の保持機能を有する上塗り層で被覆された被覆基材を得ることができる。
本発明の矩形断面を有するテストパターンを示す平面図である。 本発明の実施例1及び比較例16〜18の被覆基材の凹凸パターンの平面写真、断面写真および親油性、親水性の評価結果を示したパターン評価図である。 本発明の矩形断面を有するパターン層の厚みとパターン幅(A幅又はL/S)が親油性に及ぼす影響について示したグラフである。 本発明の矩形断面を有するパターン層の厚みとパターン幅(A幅又はL/S)が親水性に及ぼす影響について示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る矩形断面パターンの形成方法、前記矩形断面パターンの形成方法に用いるレジストインキ組成物、前記矩形断面パターンの形成方法および前記レジストインキ組成物を用いて形成された矩形断面パターンを有する被覆基材について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
1.レジストインキ組成物の作製
(1)アルカリ可溶光硬化性樹脂
温度計、攪拌器、滴下ロート、および還流冷却器を備えたフラスコに、クレゾールノボラック樹脂(新日鉄住金化学製YDCN−704、エポキシ当量=208g/eq)400gと、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルアセテートを232gとを加え、加熱溶解させた。続いて、これに重合禁止剤としてハイドロキノンを0.3g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを13g加えた。この混合物を60〜100℃に加熱し、アクリル酸140gを徐々に滴下し、酸価が5mgKOH/g以下となるまで、約10時間反応させた。この反応生成物を、60〜90℃にまで冷却した後、テトラヒドロ無水フタル酸を145g、プロピレングリコールモノメチルアセテートを235g加え、赤外吸光分析により、酸無水物の吸収ピーク(1770及び1850cm−1)が無くなるまで、約4時間反応させた。このようにして得られたプロピレングリコールモノメチルアセテート溶液は、不揮発分が60重量%、固形物の酸価が70mgKOH/gであった。
(2)アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂
還流冷却器を備えたフラスコ中にて、モノマー成分であるメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(重量比:0.80/0.20)、溶媒のジエチレングリコールモノブチルエーテル、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリルを窒素雰囲気下、70〜120℃で10時間反応させることにより、本合成例のアクリル系共重合体を得た。このようにして得られたポリマー溶液は、不揮発分が40重量%、固形物の酸価が132 mgKOH/g、重量平均分子量が19000であった。
(3)実施例1〜7のレジストインキ組成物
上記アルカリ可溶光硬化性樹脂およびアクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂を用いて、表1に従ってフッ素樹脂粒子、光反応モノマー、光重合開始剤、着色顔料、分散剤、消泡剤およびレベリング剤を配合し攪拌を行い、ロールミルにて分散を行った後、溶剤で希釈することにより実施例1〜7のレジストインキ組成物を作製した。
表1に、実施例1〜7で用いたレジストインキの各組成の配合量を示す。
Figure 0006910929
(4)比較例1〜15のレジストインキインキ組成物
上記アルカリ可溶光硬化性樹脂およびアクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂を用いて、表2,3に従ってフッ素オリゴマー、体質顔料、光反応モノマー、光重合開始剤、着色顔料、分散剤、消泡剤およびレベリング剤を配合し攪拌を行い、ロールミルにて分散を行った後、溶剤で希釈することにより比較例1〜15のレジストインキ組成物を作製した。
表2に、比較例1〜7で用いたレジストインキの各組成の配合量を示す。
Figure 0006910929
表2に示されているとおり、比較例1,2のレジストインキは、フッ素樹脂粒子の代わりにフッ素オリゴマー(「F−430」DIC株式会社製)、体質顔料(「B−30」堺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
比較例3のレジストインキは、フッ素樹脂粒子の配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して34.3重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
比較例4,5のレジストインキは、光反応モノマーの配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して34.7重量部、0重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
比較例6,7のレジストインキは、光重合開始剤の配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して1.2重量部、0重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
なお、フッ素樹脂粒子の代わりに用いるフッ素界面活性剤は、有機高分子の末端にフッ素基を持つオリゴマー又はポリマーである。例えば、DIC株式会社製のメガファックF−430、F−444、F−552、F−553、株式会社ネオス製のフタージェント212P、208G、FTX−218、220P、228Pなどが挙げられる。また、体質顔料としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム(「B−30」堺化学工業株式会社製)、カオリン、タルク、シリカなどが挙げられる。
表3に、比較例8〜15で用いたレジストインキの各組成の配合量を示す。
Figure 0006910929
表3に示されているとおり、比較例8,9のレジストインキは、光重合開始助剤の配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して0.3重量部、0重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
比較例10,11のレジストインキは、着色顔料としてのカーボンブラックの配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して6.6重量部、0重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
比較例12,13のレジストインキは、着色顔料としての酸化チタンの配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して35.7重量部、0重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
比較例14のレジストインキは、分散剤の配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して11.3重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量であり、比較例15のレジストインキは、消泡剤の配合量をレジストインキ組成物100重量部に対して5.7重量部に変更したこと以外は、基本的に実施例1のレジストインキと同じ組成、略同じ配合量である。
2.凹凸パターンを有する被覆基材の作製
(1)試験片
縦75mm×横50mm×厚み1mmのアルミニウム板をアルミナ粉にてブラスト処理することにより、試験片を準備した。
(2)下塗り層の形成
塗料としてナヴァロンNAX−111(オキツモ株式会社製)を用い、エアースプレー方式により塗布量100〜150g/m(乾燥後の膜厚10〜15μm)となるように、試験片へ塗布した。下塗り塗料を塗布した試験片を熱風乾燥炉に入れ、80℃×10分の条件にて予備乾燥を行うことにより、試験片の表面に下塗り層を形成した。
(3)中塗り層の形成
a)レジスト層の形成
表1〜3に示された実施例1〜7、比較例1〜15のレジストインキを用い、エアースプレー方式により塗布量50〜150g/m(乾燥後の膜厚5〜15μm)となるように、下塗り層が形成された試験片へ塗布した。レジストインキを塗布した試験片を熱風乾燥炉に入れ、80℃×30分の条件にて予備乾燥を行うことにより、試験片の下塗り層の上に実施例1〜7、比較例1〜15のレジスト層を形成した。
b)パターン層の形成
実施例1〜7、比較例1〜15のレジスト層を形成した試験片を500mJ/cm(露光機:アイグラフィックス株式会社製ECS-4011GX、ランプ:メタルハライドランプM04-L41)露光し、液温30℃の1%炭酸ナトリウムを用いて、水圧0.25MPa・sの条件で60秒間水洗することにより現像を行い、実施例1〜7、比較例1〜15のパターン層を形成した。なお、下塗り層の上に形成したパターン層の凹凸パターンは、ラインアンドスペース(L/S)=1/1mmのマイラーフィルムを用いて、図1に示される各方形の一辺の長さ(A幅)が1mmであり、且つ各方形同士の間隔(A幅)も1mmである複数の方形の凹部(黒塗り部分)からなる凹凸パターンを形成した。
(3)上塗り層の形成
塗料としてナヴァロンNA201(オキツモ株式会社製)を用い、エアースプレー方式により塗布量100〜150g/m(乾燥後の膜厚10〜15μm)となるように、パターン層が形成された試験片へ塗布した。上塗り塗料を塗布した試験片を熱風乾燥炉に入れ、80℃×10分の条件にて予備乾燥を行うことにより、試験片のパターン層の上に実施例1〜7、比較例1〜15のレジスト層の上塗り層を形成した。
(4)被覆基材の作製
下塗り層、パターン層、上塗り層を形成した実施例1〜7、比較例1〜15の試験片を熱風乾燥炉に入れ、380℃×20分の条件にて焼成を行うことにより、実施例1〜7、比較例1〜15の被覆基材を作製した。
3.パターン層(中塗り層)および被覆層(3コート層)の性状評価
2コート層であるパターン層(中塗り層)まで形成した実施例1〜7および比較例1〜15の試験片の性状、被覆層(3コート層)まで形成した実施例1〜7および比較例1〜15の被覆基材の性状を以下の試験方法によって評価した。
(1)パターン層(中塗り層)の性状評価方法
a)タック性
プレキュア後に室温まで冷却した後、ポリエステル素材で作成されたマイラーフィルムを貼り付けて露光した後、異常がないか確認を行った。
○:塗膜からフィルムを剥がした時、粘着感等の異常がない
△:塗膜からフィルムを剥がした時、若干の粘着感はあるが塗膜の剥がれ等の異常がない
×:塗膜からフィルムを剥がした時、粘着感があり塗膜の剥がれがある
b)解像性
ラインアンドスペース(L/S、図1のA幅)で200/200、190/190、180/180、170/170、160/160、150/150、140/140、130/130、120/120、110/110、100/100、90/90、80/80、70/70、60/60、50/50、40/40、30/30、20/20μmのライン部以外が銀塩で遮光されたマイラーフィルムを用いて塗膜上に貼り付け、露光し各工程を行い、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製 VK-9700)を用いて測定を行い評価した。
○:L/S 100/100μm未満まで現像できていた
△:L/S 100/100〜150/150μm未満まで現像できていた
×:L/S 150/150〜200/200μm未満まで現像できていた
c)感度
ステップタブレット(STOUFFER 21−STEP)を用いて、塗膜上に貼り付け、露光し各工程を行い、現像された所までの数値を読み取り評価を行った。
(2)被覆層(3コート層)の評価方法
a)外観
外観を目視にて確認行った。
〇:外観に異常が見られなかった
×:ハジキ等の異常が見られた
b)白色度
外観を目視にて確認し、白色であるかの確認を行った。
○:白色である
△:若干黄色に変色している
×:白色ではない。
c)密着性
JIS K5400 8.5.2に準じて碁盤目状にクロスカットを入れ、次にセロハン粘着テープ(JIS Z1522に規定したもの)によるテーピング剥離後の剥がれの状態を目視により確認した。その結果を次に示すように評価した。
◎:100個のクロスカット部分のうちの全てに全く変化が見られない。
○:100個のクロスカット部分のうち1〜10箇所に剥がれを生じた。
△:100個のクロスカット部分のうち11〜50箇所に剥がれを生じた。
×:100個のクロスカット部分のうち51〜100箇所に剥がれを生じた
d)硬度
JIS K5400 8.4.2に準じて鉛筆硬度にて塗膜が破壊するまでの硬度を目視にて確認した。
e)耐食性
JIS K5400 9.1に準じて塩水噴霧試験100時間(クロスカット有り)を行い、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
f)耐熱性
200℃の熱風乾燥炉に試験片を入れ、100時間加熱を行った後、密着性の評価を行い確認した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
g)耐衝撃性
JIS K5400 8.3.2に準じて、デュポン式 1/2inch×500g×50cmの条件で試験後、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
h)耐沸騰水性
90℃以上の沸騰水に試験片を入れ、100時間浸漬した後、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
h)耐酸性
10%硫酸水溶液に試験片を20℃で30分間浸漬した後、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
i)耐アルカリ性
10%水酸化ナトリウム水溶液に試験片を20℃で30分浸漬した後、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
j)耐溶剤性
キシレンに試験片を20℃で16時間浸漬した後、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
k)耐摩耗性
JIS S2010に準じて、塗装面を200±5℃に加熱し280±20gの荷重をかけ金属ヘラで摺動を1万回行った後、塗膜の状態を評価した(試験機:東和工業株式会社製 摺動試験機)。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
l)離型性
JIS S2010に準じて、卵・ソース・ケチャップ・砂糖等を試験片に滴下し、250℃/30分加熱後、濡れ布巾等で拭いた後、塗膜の状態を評価した。
○:塗膜に異常は見られない
△:塗膜に若干の異常が見られた
×:塗膜の剥がれが見られた
(3)評価結果
上記の試験方法により、2コート層であるパターン層(中塗り層)まで形成した実施例1〜7、比較例1〜15の試験片の評価結果および被覆層(3コート層)まで形成した実施例1〜7、比較例1〜15の被覆基材の評価結果を以下の表4〜6に示す。
表4に、実施例1〜7の2コート層であるパターン層(中塗り層)および被覆層(3コート層)の性状評価結果を示す。
Figure 0006910929
表5に、比較例1〜7の2コート層であるパターン層(中塗り層)および被覆層(3コート層)の性状評価結果を示す。
Figure 0006910929
表6に、比較例8〜15の2コート層であるパターン層(中塗り層)および被覆層(3コート層)の性状評価結果を示す。
Figure 0006910929
実施例1〜7および比較例1〜3により、フッ素樹脂粒子は、レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることが好ましい。フッ素樹脂粒子の配合量が30重量部を超えると、フッ素樹脂粒子が凹凸パターン又は線形パターンの形状に影響を与えるため、露光によりレジスト層に形成する凹凸パターン又は線形パターンの解像性が著しく低下する。一方、フッ素樹脂粒子の配合量が実質的にゼロまたは1重量部より少なくなると、パターン層を中心とした塗膜全体の密着性が著しく低下する。
実施例1〜7および比較例4,5により、光反応モノマーは、レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることが好ましい。光反応モノマーの配合量が30重量部を超えると、アクリレート化合物の乾燥性が悪いためにレジスト層を露光した時のタック性が低下し、また、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性も低下する。一方、光反応モノマーの配合量が実質的にゼロまたは1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が進まなくなるためにレジスト層が硬化不足となり、現像時に溶解してしまうという、露光する際に必要となる感度を得られなくなる。
実施例1〜7および比較例6,7により、光重合開始剤は、レジストインキ組成物100重量部に対して0.1〜1.0重量部含まれていることが好ましい。光重合開始剤の配合量が1.0重量部を超えると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。一方、光重合開始剤の配合量が実質的にゼロまたは0.1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が進まなくなるためにレジスト層が硬化不足となり、現像時に溶解してしまうという、露光する際に必要となる感度を得られなくなる。
実施例1〜7および比較例8,9により、光重合開始助剤は、レジストインキ組成物100重量部に対して0.01〜0.2重量部含まれていることが好ましい。光重合開始助剤の配合量が0.2重量部を超えると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。一方、光重合開始助剤の配合量が実質的にゼロまたは0.01重量部より少なくなると、紫外線による反応性が進まなくなるためにレジスト層が硬化不足となり、現像時に溶解してしまうという、露光する際に必要となる感度を得られなくなる。
実施例1〜7および比較例10,11により、着色顔料としてカーボンブラックを配合する場合は、レジストインキ組成物100重量部に対して0.1〜5重量部含まれていることが好ましい。カーボンブラックの配合量が5重量部を超えると、紫外線の透過が悪くなるためにレジスト層形成時の感度、解像性が低下し、また形成されたパターン層中のフッ素含有量も相対的に少なくなることから、上塗り層との層間密着性も低下する。一方、カーボンブラックの配合量が実質的にゼロまたは0.1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。
実施例1〜7および比較例12,13により、着色顔料として無機顔料を配合する場合は、レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることが好ましい。無機顔料の配合量が30重量部を超えると、紫外線の透過が悪くなるためにレジスト層形成時の感度、解像性が低下し、また形成されたパターン層中のフッ素含有量も相対的に少なくなることから、上塗り層との層間密着性も低下する。一方、無機顔料の配合量が実質的にゼロまたは1重量部より少なくなると、紫外線による反応性が早くなり過ぎるために線形パターンの太り、線幅の拡大化が発生してレジスト層に形成する線形パターンの解像性が低下する。
実施例1〜7および比較例14により、分散剤は、酸価が50〜200mgKOH/gであることが好ましく、そしてレジストインキ組成物100重量部に対して0〜10重量部含まれていることがより好ましい。分散剤の配合量が10重量部を超えると、酸価をもつ分散剤は高分子ポリマーが多く含むために乾燥性が悪く、レジスト層を露光した時のタック性が低下する。
実施例1〜7および比較例15により、消泡剤は、レジストインキ組成物100重量部に対して0〜5重量部含まれていることが好ましい。消泡剤の配合量が5重量部を超えると、レジストインキ組成物の表面張力が低下し過ぎるために、最終的には上塗り層の外観にハジキ(Cissing)やヘコミ(Cratering)等の欠陥を生じる。
4.被覆層(3コート層)のパターン形成方式の評価
上述した「2.凹凸パターンを有する被覆基材の作製」において、同じ凹凸パターンを有するが、中塗り層(パターン層)のパターン形成方式を、それぞれに露光現像方式、パット印刷方式、スクリーン印刷方式へと変更した実施例1、比較例16、比較例17の被覆基材と、露光現像方式であるが、凹凸パターンを有さない比較例18の被覆基材を準備した。
(1)実施例1の被覆基材
実施例1の被覆基材は、上記「2.凹凸パターンを有する被覆基材の作製」にて説明したものである。すなわち、被覆層(3コート層)の凹凸パターンは、図1に示される各方形の一辺の長さ(A幅)が1mmであり、且つ各方形同士の間隔(A幅)も1mmである中塗り層(パターン層)の凹凸パターンに基づいて形成されている。
(2)比較例16の被覆基材
比較例16の被覆基材は、中塗り層(パターン層)の形成方式をパット印刷へ変更したこと以外は、すべて実施例1と同じ方法により作製した。
具体的には、表1に示された実施例1のレジストインキを用い、ラインアンドスペース(L/S)=1/1mmのスタンプを用いて、図1に示される各方形の一辺の長さ(A幅)が1mmであり、且つ各方形同士の間隔(A幅)も1mmである複数の方形の凹部(黒塗り部分)からなる凹凸パターンを形成した。レジストインキを塗布した試験片を熱風乾燥炉に入れ、80℃×30分の条件にて予備乾燥を行った後、500mJ/cm(露光機:アイグラフィックス株式会社製ECS-4011GX、ランプ:メタルハライドランプM04-L41)露光することにより、比較例16のパターン層を形成した。
(3)比較例17の被覆基材
比較例17の被覆基材は、中塗り層(パターン層)の形成方式をスクリーン印刷へ変更したこと以外は、すべて実施例1と同じ方法により作製した。
具体的には、表1に示された実施例1のレジストインキを用い、スクリーン(ポリエステル材100メッシュ)を用いて、図1に示される各方形の一辺の長さ(A幅)が1mmであり、且つ各方形同士の間隔(A幅)も1mmである複数の方形の凹部(黒塗り部分)からなる凹凸パターンを形成した。レジストインキを塗布した試験片を熱風乾燥炉に入れ、80℃×30分の条件にて予備乾燥を行った後、500mJ/cm(露光機:アイグラフィックス株式会社製ECS-4011GX、ランプ:メタルハライドランプM04-L41)露光することにより、比較例17のパターン層を形成した。
(4)比較例18の被覆基材
比較例18の被覆基材は、露光現像により凹凸パターンを形成しなかったこと以外は、すべて実施例1と同じ方法により作製した。
上述した実施例1、比較例16〜18の被覆基材の作製方法を表7に示す。
Figure 0006910929
(4)被覆層(3コート層)のパターン形成方式の評価
被覆層(3コート層)を形成した実施例1および比較例16〜18の被覆基材のパターン形成方式を以下の試験方法によって評価した。
a)評価方法
直進性、矩形性の評価については、実施例1および比較例16〜18の被覆基材において、パターン(特にエッジ部)の平面形状における直進性およびパターン(特にエッジ部)の断面形状における矩形性は、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製 VK-9700)を用いて測定を行った。
また、親油性(油分の保持機能)、親水性(水分の保持機能)の評価については、実施例1および比較例16〜18の被覆基材の初期重量を測定した。次に、実施例1および比較例16〜18の被覆基材をサラダ油又は水に浸漬した後に試験片を取り出し、垂直に立てて10分間放置した。放置後に試験片の重量を測定し、サラダ油又は水の残存量(10分間放置後の被覆基材の重量−被覆基材の初期重量)を算出することにより、サラダ油又は水の残存量が多いほど親油性又は親水性が良好であると評価した。
b)評価結果
図2に、被覆層(3コート層)を形成した実施例1および比較例16〜18の被覆基材の直進性、矩形性および親油性、親水性の評価結果を示す。
直進性については、図2の対物レンズ20倍を使用した平面写真より、中塗り層(パターン層)の形成方式としてスクリーン印刷方式を採用した比較例16の被覆基材およびパット印刷方式を採用した比較例17の被覆基材は、いずれも平面形状において被覆層に形成された凹凸パターンのエッジ部分が鋸歯状であるのに対して、中塗り層(パターン層)の形成方式として露光・現像方式を採用した実施例1の被覆基材は、凹凸パターンのエッジ部分が略直線状となっており、比較例16,17の被覆基材に比べて優れた直進性を有していることが判った。
また、矩形性については、同じく図2の対物レンズ20倍を使用した断面写真より、比較例16,17の被覆基材は、断面形状においても被覆層に形成された凹凸パターンのエッジ部分が欠けたり、丸味を帯びたり、或いは傾斜面を形成すること等により凹凸パターンの断面が矩形でないのに対して、実施例1の被覆基材は、凹凸パターンのエッジ部分が欠けたり、丸味を帯びたり、或いは傾斜面を形成することがなく、凹凸パターンの断面が矩形となっていることが判った。なお、ここで「パターンの断面が矩形である」とは、中塗り層(パターン層)の端面(縦断面)が、中塗り層(パターン層)の上面(横断面)および下塗り層(中塗り層の下部層)の表面(横断面)と略直角に交わる態様を意味している。
親油性、親水性については、中塗り層(パターン層)の形成方式として露光・現像方式を採用した実施例1の被覆基材は、中塗り層(パターン層)の形成方式としてスクリーン印刷方式を採用した比較例16の被覆基材、パット印刷方式を採用した比較例17の被覆基材および凹凸パターンを形成しなかった比較例18の被覆基材に比べて、約15〜50倍の高い親油性(油分の保持機能)および約13〜26倍の高い親水性(水分の保持機能)を有していることが判った。
このように、表面層が撥水性および撥油性有する組成の塗膜であるにも拘らず、実施例1の被覆基材が比較例16〜18の比較基材に比べて高い親油性(油分の保持機能)および高い親水性(水分の保持機能)を有する詳細な理由は定かではないが、例えば被覆層(3コート層)が高い直進性および矩形断面を有することにより、水や油との接触角が小さくなっていること等が考えられる。
5.被覆層(3コート層)のパターン形状による親油性、親水性の評価
被覆層(3コート層)の凹凸パターンは、図1に示される各方形の一辺の長さがAmmであり、且つ各方形同士の間隔もAmm(この長さと間隔の比を「ラインアンドスペース(L/S)」と呼ぶこともある。)である凹凸パターンを中塗り層(パターン層)に形成することにより形作られている。
このため、上記「2.凹凸パターンを有する被覆基材の作製」の中で述べた実施例1の被覆基材において、パターン幅(A幅)を1mmピッチで1〜10mmまで、そして中塗り層(パターン層)の厚みを5,10,15μmと変更することにより、被覆層(3コート層)の凹凸パターン形状(A幅の大きさ)が親油性(油分の保持機能)および親水性(水分の保持機能)に及ぼす影響について評価した。なお、親油性および親水性の評価方法は、上記「(4)被覆層(3コート層)のパターン形成方式の評価」の中に記載した親油性および親水性の評価方法と同じである。
表8に、被覆層(3コート層)の凹凸パターンのラインアンドスペース(図1のA幅)の違いによる親油性および親水性の評価結果を示す。
Figure 0006910929
表8に示される被覆層(3コート層)を有する被覆基材の中で、図3には、中塗り層(パターン層)の厚みが5,10,15μmの場合におけるパターン幅(A幅)が親油性に及ぼす影響について示されており、図4には、中塗り層(パターン層)の厚みが5,10,15μmの場合におけるパターン幅(A幅)が親水性に及ぼす影響について示されている。
親油性(サラダ油残存量)については、表8及び図3より、凹凸パターンのA幅(ラインアンドスペース)が小さいほど高くなる傾向にあるが、A幅が約4mmより小さい領域では、その変化率(勾配)は小さくなることが判った。また、親油性は中塗り層(パターン層)の膜厚が厚いほど、別言すれば凹凸パターンの深さが深いほど高くなることが判った。
また、親水性(水残存量)については、表8及び図4より、凹凸パターンのA幅(ラインアンドスペース)が小さいほど高くなる傾向にあり、特にA幅が約7mmより小さい領域では、中塗り層(パターン層)の膜厚が厚いほど親水性(水残存量)の変化率(勾配)が大きくなることが判った。逆に言えば、凹凸パターンのA幅が約10mmに達すると親水性は著しく低下し、殆ど有効に水分を保持することができなくなることが判った。また、親水性も中塗り層(パターン層)の膜厚が厚いほど、別言すれば凹凸パターンの深さが深いほど高くなるが、A幅が約7mmより小さい領域では、中塗り層(パターン層)の膜厚の違いによる差が大きくなる傾向にあることが判った。
6.被覆層(3コート層)のパターン形状による耐摩耗性の評価
上述したように、被覆層(3コート層)における凹凸パターンのパターン幅(A幅)が小さいほど優れた親油性および親水性を得られたことから、パターン幅(A幅)が1mmである実施例1の被覆基材とパターン幅(A幅)が0.5mmである実施例8の被覆基材を準備し、さらに凹凸パターンを形成しなかった上述の比較例18の被覆基材を準備して、それらの被覆基材にサラダ油を滴下した場合の被覆層(3コート層)の耐摩耗性について評価した。
実施例1の被覆基材は、上記「2.凹凸パターンを有する被覆基材の作製」にて説明したものである。すなわち、実施例1の被覆層(3コート層)の凹凸パターンのパターン幅(A幅)は1mmである。実施例8の被覆基材は、パターン幅(A幅)が0.5mmであること以外は、すべて実施例1と同じ条件で作製した被覆基材である。また、比較例18の被覆基材は、上記「4.被覆層(3コート層)のパターン形成方式の評価」にて説明したものであり、被覆層(3コート層)には凹凸パターンが形成されていない。
実施例1,8の被覆基材および比較例18の被覆基材の耐摩耗性の評価は、各被覆基材にサラダ油を滴下した後、表面性試験機(神東科学株式会社製 荷重:0.1kgf、移動速度:4200mm/min、移動距離:20mm、相手材:SUSφ10mm球)を用いて、試験初期と、10000回往復後の摩擦係数を測定することにより評価を行った。その結果を下記の表9に示す。
Figure 0006910929
表9より、実施例1,8の被覆基材は、摩耗試験後においても比較例18の被覆基材に比べて摩擦係数が小さく、優れた耐摩耗性を有していることが判った。また、パターン幅(A幅)が0.5mm実施例8の被覆基材は、試験初期の摩擦係数に対する摩耗試験後の摩擦係数の変化率が、パターン幅(A幅)が1mm実施例1の被覆基材よりも小さいことから、極めて高い親油性(油分保持機能)を有していることが判った。

Claims (12)

  1. 基材を準備するステップと、
    前記基材の上に下塗り組成物を塗布し、乾燥させて、下塗り層を形成するステップと、
    前記下塗り層の上に少なくともフッ素樹脂粒子を含有するレジストインキ組成物を塗布し、乾燥させてレジスト層を形成するステップと、
    前記レジスト層を所望のパターンに露光し、現像させて、矩形断面の凹凸を有するパターン層を形成するステップと、
    前記パターン層の上に撥水性および撥油性を有する上塗り組成物を塗布し、乾燥させて、上塗り層を形成するステップとを含み、そして
    前記上塗り層に形成された2次パターンは、前記パターン層の凹凸パターンに由来し、且つ2次パターンの断面が矩形であり、且つ前記上塗り層は、前記上塗り層に形成された2次パターンにより水分および油分の保持機能を有することを特徴とする矩形断面パターンの形成方法。
  2. 前記フッ素樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)であることを特徴とする請求項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  3. 前記フッ素樹脂粒子は、前記レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  4. 前記レジストインキ組成物は、前記フッ素樹脂粒子の他に、さらにアルカリ可溶光硬化性樹脂と、アクリル系共重合体からなる熱硬化性樹脂と、光反応モノマーと、光重合開始剤と、着色顔料と、分散剤と、そして消泡剤およびレベリング剤から選ばれた1種以上の添加剤を含んでいることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  5. 前記光反応モノマーは、前記レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることを特徴とする請求項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  6. 前記光重合開始剤は、前記レジストインキ組成物100重量部に対して0.1〜1.0重量部含まれていることを特徴とする請求項又はに記載の矩形断面パターンの形成方法。
  7. さらに、光重合開始助剤が前記レジストインキ組成物100重量部に対して0.01〜0.2重量部含まれていることを特徴とする請求項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  8. 前記着色顔料としてのカーボンブラックは、前記レジストインキ組成物100重量部に対して0.1〜5重量部含まれていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  9. 前記着色顔料としての無機顔料は、前記レジストインキ組成物100重量部に対して1〜30重量部含まれていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  10. 前記分散剤は、酸価が50〜200mgKOH/gであり、そして前記レジストインキ組成物100重量部に対して0〜10重量部含まれていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  11. 前記添加剤は、前記レジストインキ組成物100重量部に対して0〜5重量部含まれていることを特徴とする請求項ないし10のいずれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法。
  12. 請求項1ないし11のいずいれか1項に記載の矩形断面パターンの形成方法により形成された矩形断面パターンを有する被覆基材。
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