実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置とその作製方法について図1〜図37を用いて説明する。
≪表示装置とその作製方法の概要≫
本発明の一態様は、第1の基板と第2の基板の間に、第1の表示素子及び第2の表示素子を有する表示装置の作製方法である。
本実施の形態の表示装置は、可視光を反射する第1の表示素子と、可視光を透過する第2の表示素子とを有する。
本実施の形態の表示装置は、第1の表示素子が反射する光と、第2の表示素子が透過する光のうち、いずれか一方または両方により、画像を表示する機能を有する。
第1の表示素子には、外光を反射して表示する素子を用いることができる。このような素子は光源を持たないため、表示の際の消費電力を極めて小さくすることが可能となる。
第1の表示素子には、代表的には反射型の液晶素子を用いることができる。または、第1の表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、光干渉方式のMEMS素子の他、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子などを用いることができる。
第2の表示素子には、光源からの光を透過して表示する素子を用いることができる。第2の表示素子として、代表的には透過型の液晶素子を用いることができる。光源としてはバックライトを用いることができる。
本実施の形態の表示装置は、第1の表示素子のみを用いて画像を表示する第1のモード、第2の表示素子のみを用いて画像を表示する第2のモード、並びに、第1の表示素子及び第2の表示素子を用いて画像を表示する第3のモードを有し、これらのモードを自動または手動で切り替えて使用することができる。
第1のモードでは、第1の表示素子と外光を用いて画像を表示する。第1のモードは光源が不要であるため、極めて低消費電力なモードである。例えば、表示装置に外光が十分に入射されるとき(明るい環境下など)は、第1の表示素子が反射した光を用いて表示を行うことができる。例えば、外光が十分に強く、かつ外光が白色光またはその近傍の光である場合に有効である。第1のモードは、文字を表示することに適したモードである。また、第1のモードは、外光を反射した光を用いるため、目に優しい表示を行うことができ、目が疲れにくいという効果を奏する。
第2のモードでは、第2の表示素子と光源を用いて画像を表示する。第2のモードでは、第2の表示素子による透過光を利用して画像を表示する。そのため、照度や外光の色度によらず、極めて鮮やかな(コントラストが高く、且つ色再現性の高い)表示を行うことができる。例えば、夜間や暗い室内など、照度が極めて低い場合などに有効である。また周囲が暗い場合、明るい表示を行うと使用者が眩しく感じてしまう場合がある。これを防ぐために、第2のモードでは輝度を抑えた表示を行うことが好ましい。これにより、眩しさを抑えることに加え、消費電力も低減することができる。第2のモードは、鮮やかな画像(静止画及び動画)などを表示することに適したモードである。
第3のモードでは、第1の表示素子による反射光と、第2の表示素子による透過光の両方を利用して表示を行う。第1のモードよりも鮮やかな表示をしつつ、第2のモードよりも消費電力を抑えることができる。例えば、室内照明下や、朝方や夕方の時間帯など、照度が比較的低い場合、外光の色度が白色ではない場合などに有効である。
このような構成とすることで、周囲の明るさによらず視認性が高く、利便性の高い表示装置を実現できる。具体的には、外光下でも室内でも視認性が高く、利便性の高い表示装置を実現できる。
本実施の形態では、第1の表示素子として、反射型の液晶素子を作製し、第2の表示素子として透過型の液晶素子を作製する例を示す。
第1の表示素子は、第1の画素電極、第1の共通電極、及び第1の液晶層を有する。第2の表示素子は、第2の画素電極、第2の共通電極、及び第2の液晶層を有する。
本実施の形態の表示装置の作製方法は、第1の基板上に第1の共通電極を形成する工程と、第2の基板上に第2の共通電極を形成する工程と、作製基板上に第1の層を形成する工程と、第1の層上に第2の層を形成する工程と、第2の層上に第1の画素電極を形成する工程と、第1の画素電極上に絶縁層を形成する工程と、絶縁層上に第2の画素電極を形成する工程と、第2の共通電極と第2の画素電極との間に第2の液晶層を配置した状態で、作製基板と第2の基板とを貼り合わせることで、第2の表示素子を形成する工程と、光を照射することで、第1の層と第2の層とを分離する工程と、第1の共通電極と第1の画素電極との間に第1の液晶層を配置した状態で、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせることで、第1の表示素子を形成する工程と、を有する。
本実施の形態の表示装置では、第1の表示素子と、第2の表示素子とが、それぞれ独立に形成される。そのため、各表示素子の設計の自由度を高めることができる。例えば、第1の液晶層は、反射型の表示素子に適した液晶材料を用いて形成することができる。同様に、第2の液晶層は、透過型の表示素子に適した液晶材料を用いて形成することができる。また、第1の表示素子と、第2の表示素子とで、セルギャップ、リタデーション等をそれぞれ独立に決定することができる。
1つの液晶層を用いて、反射型の液晶素子と透過型の液晶素子を形成する場合、液晶層中にセルギャップの異なる領域が形成されることで、配向不良が生じやすくなる。本実施の形態では、2つの表示素子がそれぞれ液晶層を有するため、このような配向不良を抑制でき、表示素子の開口率を大きくすることができる。
また、第1の表示素子と第2の表示素子とで、駆動方法をそれぞれ独立に決定できる。例えば、第1の表示素子は、反射型の表示素子に適したモードで駆動することができる。同様に、第2の表示素子は、透過型の表示素子に適したモードで駆動することができる。例えば、反射型の表示素子と透過型の表示素子のうち一方をVAモードで駆動し、他方をTNモードで駆動することができる。これにより、コントラストを高めることができる。
ここで、第1の表示素子を有する表示パネルと、第2の表示素子を有する表示パネルとを単に貼り合わせる構成では、第1の表示素子と第2の表示素子との間に、ガラスや樹脂などの厚い層(主に基板として用いられる層)が存在するため、第1の表示素子と第2の表示素子との間の距離を狭くすることが困難である。
一方、本実施の形態の表示装置の作製方法では、作製基板を剥離し、作製基板から第2の基板に、第1の画素電極及び第2の表示素子、さらにはトランジスタ等を転置する工程を有する。そして、第1の共通電極が設けられた第1の基板と、第2の基板とを、第1の液晶層を挟んで貼り合わせることで、一対の基板間に第1の表示素子と第2の表示素子とを配置することができる。これにより、第1の表示素子と第2の表示素子との間に厚い基板などが存在せず、第1の表示素子と第2の表示素子との距離を近づけることができる。例えば、第1の表示素子が反射型の液晶素子であり、第2の表示素子が透過型の液晶素子である場合、2つの液晶素子の厚さ方向の距離を30μm未満、好ましくは10μm未満、さらに好ましくは5μm未満とすることができる。なお、上記厚さ方向の距離とは、例えば、反射型の液晶素子が有する反射電極と、透過型の液晶素子が有する画素電極との間の最短距離である。
第1の表示素子は、第1の基板側に反射光を射出する。第2の表示素子は、第1の基板側に透過光を射出する。第1の表示素子と第2の表示素子との距離が近いと、第1の基板と第2の表示素子との距離も近くなり、第2の表示素子の輝度を高めることができる。また、第2の表示素子を透過した光の減衰及び消光を抑制できる。これにより、表示装置の光取り出し効率を高めることができる。または、第1の表示素子及び第2の表示素子を同時に用いて表示する場合、あるいは交互に用いて表示する場合において、第1の表示素子を用いた表示と第2の表示素子を用いた表示との間に生じる視差を少なくすることができる。
本実施の形態の表示装置の作製方法では、作製基板上に、まず、第1の画素電極を形成し、その後に、トランジスタや第2の表示素子等を形成することが好ましい。これにより、トランジスタや第2の表示素子等に起因する凹凸の影響を受けず、第1の画素電極を平坦に形成することができる。
第1の画素電極を平坦に形成することで、液晶の初期配向のばらつきを低減でき、表示不良を抑制できる。また、トランジスタと第1の画素電極のコンタクト部においても、第1の画素電極は平坦であるため、コンタクト部における液晶の配向不良を抑制できる。そのため、液晶の配向不良に起因する開口率の縮小を抑制できる。
例えば、液晶の初期配向が揃いにくい領域を表示に用いると、コントラストが低下することがある。また、隣接する2つの画素間に、液晶の初期配向が揃いにくい領域が生じた場合は、当該領域を遮光層等で覆うことでコントラストの低下を抑制できるが、開口率が低下することがある。一方、本実施の形態の表示装置の作製方法では、第1の画素電極を平坦に形成できるため、配向膜も平坦に形成できる。ラビング処理等の配向処理での不良が発生しにくく、第1の画素電極の端部においても初期配向を揃えやすくなる。隣接する2つの画素間に、液晶の初期配向が揃いにくい領域が生じることを抑制できる。したがって、開口率を高めることができ、表示装置の高精細化が容易となる。
また、当該凹凸の影響を抑制するためにトランジスタや第2の表示素子等と、第1の画素電極との間に平坦化機能を有する絶縁膜を厚く設ける必要がなくなる。そのため、第1の表示素子と第2の表示素子の距離を近づけることができる。
第1の画素電極と第2の表示素子の距離を近づけることができるため、表示装置における高い視野角特性と、第1の表示素子の高い開口率を両立することができる。また、第1の表示素子と第2の表示素子の合算開口率を高めることができる。また、表示装置の薄型化が可能となる。
または、本実施の形態の表示装置の作製方法は、第1の作製基板上に第1の剥離層を形成する工程と、第1の剥離層上に第1の共通電極を形成する工程と、第2の基板上に第2の共通電極を形成する工程と、第2の作製基板上に第2の剥離層を形成する工程と、第2の剥離層上に第1の画素電極を形成する工程と、第1の画素電極上に絶縁層を形成する工程と、絶縁層上に第2の画素電極を形成する工程と、第2の共通電極と第2の画素電極との間に第2の液晶層を配置した状態で、第2の作製基板と第2の基板とを貼り合わせることで、第2の表示素子を形成する工程と、第2の剥離層を用いて、第2の作製基板と第2の基板とを分離する工程と、第1の共通電極と第1の画素電極との間に第1の液晶層を配置した状態で、第1の作製基板と第2の基板とを貼り合わせることで、第1の表示素子を形成する工程と、第1の剥離層を用いて、第1の作製基板と第2の基板とを分離する工程と、第1の基板と第2の基板との間に第1の表示素子を配置した状態で、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる工程と、を有する。第1の剥離層及び第2の剥離層のうち一方または双方は、第1の層と、第1の層上の第2の層を有するように形成される。第2の作製基板と第2の基板とを分離する工程、及び、第1の作製基板と第2の基板とを分離する工程のうち一方または双方では、光が照射されることで、第1の層と第2の層とが分離する。
表示面側の基板である第1の基板の厚さは十分に薄いことが好ましい。第1の基板には、例えば、厚さ0.1mm以上0.5mm未満、好ましくは0.1mm以上0.3mm以下のガラス基板、厚さ1μm以上200μm以下の樹脂基板などを適用することが好ましい。これにより、画像のボケを低減し、画像を鮮明に表示することができる。
一方、第1の基板の厚さが薄いと、表示装置の作製工程中に製造装置間または製造装置内の搬送が困難となり、表示装置の作製の歩留まりが低下する恐れがある。
本実施の形態の表示装置の作製方法では、第1の作製基板と第2の基板との間に第1の表示素子と第2の表示素子とを配置した後、第1の作製基板を第2の基板から剥離し、第2の基板と第1の基板とを貼り合わせる。第1の作製基板上に、第1の共通電極、さらには、検出素子、着色層等を形成し、あとから第1の基板に転置する。第1の作製基板は表示装置の構成要素ではないため、耐熱性や厚さなど、製造工程に合った耐熱性、及び製造装置に合った厚さの材料を選択することができる。そのため、表示装置の作製工程において、基板の搬送が容易であり、また、十分に高い温度で良質な膜を形成することができる。また、厚さの薄い第1の基板を用いることができ、表示装置の表示品位を高めることができる。
<光学部材>
第1の基板の、第2の基板側の面とは逆側の面(外側の面)には、光学部材として、偏光板、位相差板、光拡散層、反射防止部材、集光フィルムなどのうち一つまたは複数を設けることができる。また、光学部材以外の機能性部材としては、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜などが挙げられる。
光拡散層は、反射型の液晶素子の反射電極で反射した光を拡散する機能を有する。当該機能により、反射型の液晶素子でも自然な発色を行うことができる。また、白紙に近い白色を表示させることができる。
晴天時の屋外などの強光下では、表示面における外光反射が強く、表示装置の内部から放たれる光(表示)の視認性が低下する。反射防止部材を設けることで、強光下において、表示面の外光反射を十分に抑えることができ、さらに視認性を向上させることができる。
反射防止部材としては、反射防止層(AR(Anti‐Reflection)層ともいう)、低反射層(LR(Low‐Reflection)層ともいう)、及び防眩層(AG(Anti‐Glare)層、ノングレア層ともいう)等が挙げられる。
AR層は、光の干渉作用を利用して、外光の正反射(鏡面反射)を低減する機能を有する。
AR層は、第1の基板の屈折率と異なる屈折率を有する材料で形成される。AR層は、例えば、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化シリコンなどを用いて単層または積層で形成することができる。
AG層は、入射した外光を拡散させることにより、正反射(鏡面反射)を低減する機能を有する。
AG層の形成方法としては、表面に微細な凹凸を設ける方法、屈折率の異なる材料を混合する方法、または、双方を組み合わせる方法などが挙げられる。例えば、透光性を有する樹脂に、セルロース繊維などのナノファイバ、酸化シリコンなどの無機ビーズ、または樹脂ビーズなどを混合して、AG層を形成することができる。
また、AR層に重ねてAG層を設けてもよい。AR層とAG層を積層して設けることで、外光の反射や映り込みを防ぐ機能をより高めることができる。AR層及びAG層のうち一方又は双方を用いることにより、表示装置の表面の外光反射率を1%未満、好ましくは0.3%未満とするとよい。
<トランジスタのチャネル形成領域>
本実施の形態の表示装置は、トランジスタのチャネル形成領域に、金属酸化物を有することが好ましい。金属酸化物は、酸化物半導体として機能することができる。
トランジスタのチャネル形成領域に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly−Silicon))を用いる場合、500℃から550℃程度の温度をかける必要があるため、樹脂層に耐熱性が求められる。また、レーザ結晶化の工程でのダメージを緩和するため、樹脂層の厚膜化が必要となることがある。
一方、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタは、350℃以下、さらには300℃以下で形成することができる。そのため、樹脂層に高い耐熱性は求められない。したがって、樹脂層の耐熱温度を低くすることができ、材料の選択の幅が広がる。
また、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタは、レーザ結晶化の工程が不要である。LTPSを用いる場合に比べて、工程が簡略化でき好ましい。
ただし、本発明の一態様の表示装置は、トランジスタのチャネル形成領域に、金属酸化物を有する構成に限定されない。例えば、本実施の形態の表示装置は、トランジスタのチャネル形成領域に、シリコンを用いることができる。シリコンとしては、アモルファスシリコンまたは結晶性シリコンを用いることができる。結晶性シリコンとしては、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン等が挙げられる。
チャネル形成領域にシリコンを用いる場合、LTPSを用いることが好ましい。LTPSなどの多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、かつアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
≪分離方法の概要≫
本実施の形態の表示装置の作製方法は、光の照射を用いた分離工程を有する。当該工程における分離方法について説明する。なお、本発明の一態様の表示装置の作製方法は、他の分離方法を用いた分離工程を有してもよい。例えば、分離工程が複数回行われる場合、光の照射を用いた分離工程は、1回以上行われる。すべての分離工程を、同じ分離方法で行うことで、材料や製造装置等を同一にでき、コストが削減できることがある。また、分離工程によって分離方法を変えることで、分離に要する力に差をつけることができる場合がある。これにより、所望のタイミングで所望の界面で分離が生じるよう制御できることがある。
本実施の形態では、まず、作製基板上に第1の材料、ここでは金属酸化物層を形成する。次に、金属酸化物層上に、第2の材料、ここでは樹脂層を形成する。そして、光を照射することで、金属酸化物層と樹脂層とを分離する。
金属酸化物層と樹脂層とを分離する際に、光を用いると好ましい。光は、金属酸化物層と樹脂層との界面またはその近傍(界面または界面近傍とも記す)に照射されることが好ましい。また、光は、金属酸化物層中に照射されてもよい。また、光は、樹脂層中に照射されてもよい。なお、本明細書等において、「AとBとの界面またはその近傍」、「AとBとの界面または界面近傍」とは、少なくともAとBとの界面を含み、AとBとの界面から、AまたはBのいずれか一方の厚さの20%以内の範囲を含むものとする。
光を照射することで、金属酸化物層と樹脂層との界面(さらには金属酸化物層中及び樹脂層中)を加熱し、金属酸化物層と樹脂層との密着性(接着性)を低くすることができる。さらには金属酸化物層と樹脂層とを分離することができる。
<光の照射>
次に、光の照射について説明する。
ランプ、レーザ装置等を用いて光を照射することができる。
線状レーザ装置を用いてレーザ光を照射することが好ましい。低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly−Silicon))等の製造ラインのレーザ装置を使用することができるため、これらの装置の有効利用が可能である。線状レーザは、矩形長尺状に集光(線状レーザビームに成形)して、金属酸化物層と樹脂層との界面に光を照射する。
光は、波長領域が180nm以上450nm以下を有するように照射されることが好ましい。光は、波長領域が308nmまたはその近傍を有するように照射されることがより好ましい。
光のエネルギー密度は、250mJ/cm2以上400mJ/cm2以下が好ましく、250mJ/cm2以上360mJ/cm2以下がより好ましい。
レーザ装置を用いて光を照射する場合、同一箇所に照射されるレーザ光のショット数は、1ショット以上50ショット以下とすることができ、1ショットより多く10ショット以下が好ましく、1ショットより多く5ショット以下がより好ましい。
ビームの短軸方向の両端には、光の強度が低い部分が存在する。そのため、当該光の強度が低い部分の幅以上、一つのショットと次のショットの間にオーバーラップする部分を設けることが好ましい。そのため、レーザ光のショット数は、1.1ショット以上とすることが好ましく、1.25ショット以上とすることがより好ましい。
なお、本明細書中、レーザ光のショット数とは、ある点(領域)に照射されるレーザ光の照射回数を指し、ビーム幅、スキャン速度、周波数、またはオーバーラップ率などで決定される。また、線状のビームをあるスキャン方向に移動させているパルスとパルスの間、即ち、一つのショットと次のショットの間にオーバーラップする部分があり、その重なる比率がオーバーラップ率である。なお、オーバーラップ率が100%に近ければ近いほどショット数は多く、離れれば離れるほどショット数は少なくなり、スキャン速度が速ければ速いほどショット数は少なくなる。
上記のレーザ光のショット数が1.1ショットとは、連続する2つのショットの間にビームの10分の1程度の幅のオーバーラップを有することを示し、オーバーラップ率10%といえる。同様に、1.25ショットとは、連続する2つのショットの間にビームの4分の1程度の幅のオーバーラップを有することを示し、オーバーラップ率25%といえる。
ここで、LTPSのレーザ結晶化の工程で照射する光のエネルギー密度は高く、例えば350mJ/cm2以上400mJ/cm2以下が挙げられる。また、レーザのショット数も多く必要であり、例えば10ショット以上100ショット以下が挙げられる。
一方、本実施の形態において、金属酸化物層と樹脂層とを分離するために行う光の照射は、レーザ結晶化の工程で用いる条件よりも低いエネルギー密度、または少ないショット数で行うことができる。そのため、レーザ装置での処理可能な基板枚数を増やすことができる。また、レーザ装置のメンテナンスの頻度の低減など、レーザ装置のランニングコストの低減が可能となる。したがって、表示装置などの作製コストを低減することができる。
また、光の照射が、レーザ結晶化の工程で用いる条件よりも低いエネルギー密度、または少ないショット数で行われることから、基板がレーザ光の照射による受けるダメージを低減できる。そのため、基板を一度使用しても、強度が低下しにくく、基板を再利用できる。したがって、コストを抑えることが可能となる。
また、本実施の形態では、作製基板と樹脂層との間に金属酸化物層を配置する。金属酸化物層を用いることで、金属酸化物層を用いない場合に比べて、光の照射を、低いエネルギー密度、または少ないショット数で行うことができることがある。
作製基板を介して光を照射する際、作製基板の光照射面にゴミなどの異物が付着していると、光の照射ムラが生じ、剥離性が低い部分が形成され、金属酸化物層と樹脂層とを分離する工程の歩留まりが低下することがある。そのため、光を照射する前、または光を照射している間に、光照射面を洗浄することが好ましい。例えば、アセトンなどの有機溶剤、水等を用いて作製基板の光照射面を洗浄することができる。また、エアナイフを用いて気体を噴きつけてもよい。これにより、光の照射ムラを低減し、分離の歩留まりを向上させることができる。
<樹脂層>
樹脂層を薄く形成することで、低コストで表示装置を作製できる。また、表示装置の軽量化及び薄型化が可能となる。また、表示装置の可撓性を高めることができる。例えば、樹脂層の厚さは、0.1μm以上5μm以下としてもよい。
樹脂層の可視光の透過性は特に限定されない。例えば、有色の層であってもよく、透明の層であってもよい。ここで、表示装置の表示面側に樹脂層が位置する場合、樹脂層が着色している(有色である)と、光取り出し効率が低下する、取り出される光の色味が変わる、表示品位が低下する等の不具合が生じることがある。樹脂層の厚さが薄いと、樹脂層の可視光の透過性を高めることができ好ましい。
また、樹脂層は、ウエットエッチング装置、ドライエッチング装置、アッシング装置等を用いて除去することができる。特に、酸素プラズマを用いたアッシングを行って樹脂層を除去することが好適である。樹脂層の厚さが薄いと、樹脂層を除去する工程にかかる時間を短縮でき好ましい。
本実施の形態では、作製基板と樹脂層との間に金属酸化物層を有する。金属酸化物層が光を吸収する機能を有するため、樹脂層の光の吸収率が低くても、光照射による効果が得られる。したがって、可視光の透過率が高い樹脂層を用いることができる。そのため、表示装置の表示面側に樹脂層が位置していても、高い表示品位を実現できる。また、表示品位を高めるために、着色している(有色の)樹脂層を除去する工程を削減できる。また、樹脂層の材料の選択の幅が広がる。
樹脂層の波長450nm以上700nm以下の範囲の光の透過率の平均値は、70%以上100%以下が好ましく、80%以上100%以下が好ましく、90%以上100%以下がより好ましい。
本実施の形態では、樹脂層の耐熱温度以下の温度で、トランジスタ等を形成する。樹脂層の耐熱性は、例えば、加熱による重量減少率、具体的には5%重量減少温度等で評価できる。本実施の形態の剥離方法及び表示装置の作製方法では、工程中の最高温度を低くすることができる。例えば、本実施の形態では、樹脂層の5%重量減少温度を、200℃以上650℃以下、200℃以上500℃以下、200℃以上400℃以下、または200℃以上350℃以下とすることができる。そのため、材料の選択の幅が広がる。なお、樹脂層の5%重量減少温度は、650℃より高くてもよい。
≪表示装置の構成例1≫
以下では、図1及び図2を用いて表示装置300Aについて説明する。
図1は、表示装置300Aの斜視概略図である。表示装置300Aは、基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。図1では、基板361を破線で明示している。
表示装置300Aは、表示部362、回路364、配線365等を有する。図1では表示装置300AにIC(集積回路)373及びFPC372が実装されている例を示している。そのため、図1に示す構成は、表示装置300A、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
回路364としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
配線365は、表示部362及び回路364に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC372を介して外部から、またはIC373から配線365に入力される。
図1では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip on Film)方式等により、基板351にIC373が設けられている例を示す。IC373は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、表示装置100及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
図1には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の表示素子が有する電極311bがマトリクス状に配置されている。電極311bは、可視光を反射する機能を有し、液晶素子180の反射電極として機能する。
また、図1に示すように、電極311bは開口451を有する。さらに表示部362は、電極311bよりも基板351側に、透過型の液晶素子170を有する。液晶素子170からの光は、電極311bの開口451を介して基板361側に射出される。液晶素子170の表示領域の面積と開口451の面積とは等しくてもよい。液晶素子170の表示領域の面積と開口451の面積のうち一方が他方よりも大きいと、位置ずれに対するマージンが大きくなるため好ましい。
図2に、図1で示した表示装置300Aの、FPC372を含む領域の一部、回路364を含む領域の一部、及び表示部362を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
図2に示す表示装置300Aは、基板351と基板361の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、液晶素子180、液晶素子170、絶縁層220、着色層131等を有する。基板361と絶縁層220は接着層141を介して接着されている。基板351と絶縁層220は接着層142を介して接着されている。
図2の表示部362では、基板361よりも外側に偏光板135aが設けられ、基板351よりも外側に偏光板135b及びバックライトユニット65が設けられている例を示している。例えば、基板351から基板361までの積層構造を、表示装置または表示パネルと呼ぶことができる。また、この積層構造に、偏光板135a、偏光板135b、及びバックライトユニット65を加えた積層構造を、表示モジュールと呼ぶことができる。
基板361には、着色層131、遮光層132、絶縁層121、及び液晶素子180の共通電極として機能する電極113、配向膜133b、絶縁層117等が設けられている。基板361の外側の面には、偏光板135aを有する。絶縁層121は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層121により、電極113の表面を概略平坦にできるため、液晶層112の配向状態を均一にできる。絶縁層117は、液晶素子180のセルギャップを保持するためのスペーサとして機能する。
液晶素子180は反射型の液晶素子である。液晶素子180は、画素電極として機能する電極311a及び電極311bと、液晶層112と、電極113とが積層された積層構造を有する。電極311aの基板351側に接して、可視光を反射する電極311bが設けられている。電極311bは開口451を有する。電極311a及び電極113は可視光を透過する。液晶層112と電極311aの間に配向膜133aが設けられている。液晶層112と電極113の間に配向膜133bが設けられている。
液晶素子180において、電極311bは可視光を反射する機能を有し、電極113は可視光を透過する機能を有する。基板361側から入射した光は、偏光板135aにより偏光され、電極113、液晶層112を透過し、電極311bで反射する。そして液晶層112及び電極113を再度透過して、偏光板135aに達する。このとき、電極311bと電極113の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板135aを介して射出される光の強度を制御することができる。また光は着色層131によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
図2に示すように、開口451には可視光を透過する電極311aが設けられていることが好ましい。これにより、開口451と重なる領域においてもそれ以外の領域と同様に液晶層112が配向するため、これらの領域の境界部で液晶の配向不良が生じ、意図しない光が漏れてしまうことを抑制できる。
接続部207において、電極311bは、導電層221bを介して、トランジスタ206が有する導電層222aと電気的に接続されている。トランジスタ206は、液晶素子180の駆動を制御する機能を有する。
接着層141が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部252において、電極311aと同一の導電膜を加工して得られた電極311eと、電極113の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板361側に形成された電極113に、基板351側に接続されたFPC372から入力される信号または電位を、接続部252を介して供給することができる。
液晶素子170は、透過型の液晶素子である。液晶素子170は、画素電極として機能する電極191と、液晶層192と、電極193とが積層された積層構造を有する。電極191及び電極193は可視光を透過する。液晶層192と電極191の間に配向膜153aが設けられている。液晶層192と電極193の間に配向膜153bが設けられている。電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222aと接続されている。トランジスタ205は、液晶素子170の駆動を制御する機能を有する。
接着層142が設けられる一部の領域には、接続部253が設けられている。接続部253において、電極191と同一の導電膜を加工して得られた電極191aと、電極193の一部が、接続体244により電気的に接続されている。したがって、電極193に、FPC372から入力される信号または電位を、接続部253を介して供給することができる。
液晶素子170において、電極191及び電極193は可視光を透過する機能を有する。バックライトユニット65から射出された光は、偏光板135bにより偏光され、電極193、液晶層192、及び電極191を透過する。このとき、電極191と電極193の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板135aを介して射出される光の強度を制御することができる。
絶縁層117は、電極311bの開口451と重ねて設けられている。絶縁層117は、可視光を透過する。絶縁層117は、液晶素子170を透過する光の光路上に位置する。バックライトユニット65から射出され、偏光板135bで偏光され、液晶素子170を透過した光は、絶縁層117を透過し、偏光板135aに達する。これにより、液晶素子170を透過した光の偏光状態が、液晶層112によって変化してしまうことを防止できる。すなわち、液晶素子180に印加される電圧によって液晶層112の配向状態が変わっても、液晶素子170による表示は影響を受けない。なお、絶縁層117は、可視光を透過するため、液晶素子180の表示領域と重ねて配置してもよい。また、絶縁層117を透過した光は、着色層131によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
このような構成により、液晶素子170と、液晶素子180とをそれぞれ独立して駆動させることが可能となり、液晶素子170のみで画像を表示すること、液晶素子180のみで画像を表示すること、及び液晶素子170と液晶素子180の両方を同時に駆動させることにより画像を表示することを、それぞれ実現できる。
液晶素子180及び液晶素子170は、画素によって着色層の色を変えることで、様々な色を呈することができる。表示装置300Aは、液晶素子180及び着色層を用いて、カラー表示を行うことができる。表示装置300Aは、液晶素子170及び着色層を用いて、カラー表示を行うことができる。
カラー表示を実現するために、液晶素子170及び液晶素子180と組み合わせる着色層の色は、赤、緑、青の組み合わせだけでなく、黄、シアン、マゼンダの組み合わせであってもよい。例えば、液晶素子170と組み合わせる着色層の色を赤、緑、青とし、液晶素子180と組み合わせる着色層の色をシアン、マゼンダ、黄としてもよい。組み合わせる着色層の色は、目的または用途などに応じて適宜設定すればよい。液晶素子170と組み合わせる着色層と液晶素子180と組み合わせる着色層とがそれぞれ異なる色である場合、着色層131と液晶素子170の表示領域が重ならないよう、着色層131に開口を設けることが好ましい。また、液晶素子180を用いて白黒表示またはグレースケールでの表示を行う場合、着色層131を形成しなくてもよい。液晶素子170と組み合わせる着色層は、例えば、絶縁層213と絶縁層214の間に設けることができる。
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、いずれも絶縁層220の基板351側の面上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の工程を用いて作製することができる。
液晶素子180と電気的に接続される回路は、液晶素子170と電気的に接続される回路と同一面上に形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々の面上に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができる。また、2つのトランジスタを同一の工程で作製できるため、2つのトランジスタを別々の面上に形成する場合に比べて、作製工程を簡略化することができる。
液晶素子180の画素電極は、トランジスタが有するゲート絶縁層を挟んで、液晶素子170の画素電極とは反対に位置する。
ここで、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、オフ電流が極めて低いトランジスタを適用した場合や、トランジスタと電気的に接続される記憶素子を適用した場合などでは、液晶素子を用いて静止画を表示する際に画素への書き込み動作を停止しても、階調を維持させることが可能となる。すなわち、フレームレートを極めて小さくしても表示を保つことができる。本発明の一態様では、フレームレートを極めて小さくでき、消費電力の低い駆動を行うことができる。
絶縁層220の基板351側には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層212、絶縁層213、及び絶縁層214は、それぞれ、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、平坦化層としての機能を有する。なお、トランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、単層であっても2層以上であってもよい。
各トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示装置を実現できる。
トランジスタ205及びトランジスタ206は、ゲートとして機能する導電層221a、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、並びに、半導体層231を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
トランジスタ201は、トランジスタ205及びトランジスタ206の構成に加えて、ゲートとして機能する導電層223を有する。
トランジスタ201には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。このような構成とすることで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示装置を大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。
表示装置が有するトランジスタの構造に限定はない。回路364が有するトランジスタと、表示部362が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路364が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよく、2種類以上の構造が組み合わせて用いられていてもよい。同様に、表示部362が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよく、2種類以上の構造が組み合わせて用いられていてもよい。
導電層223には、酸化物を含む導電性材料を用いることが好ましい。導電層223を構成する導電膜の成膜時に、酸素を含む雰囲気下で成膜することで、絶縁層212に酸素を供給することができる。成膜ガス中の酸素ガスの割合を90%以上100%以下の範囲とすることが好ましい。絶縁層212に供給された酸素は、後の熱処理により半導体層231に供給され、半導体層231中の酸素欠損の低減を図ることができる。
特に、導電層223には、低抵抗化された金属酸化物を用いることが好ましい。このとき、絶縁層213に水素を放出する絶縁膜、例えば窒化シリコン膜等を用いることが好ましい。絶縁層213の成膜中、またはその後の熱処理によって導電層223中に水素が供給され、導電層223の電気抵抗を効果的に低減することができる。
基板351の基板361と重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線365が接続層242を介してFPC372と電気的に接続されている。接続部204は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、電極311aと同一の導電膜を加工して得られた電極311cが露出している。これにより、接続部204とFPC372とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
接続層242としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)等を用いることができる。
偏光板135a及び偏光板135bとして、例えば、円偏光板を用いることができる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。また、偏光板の種類に応じて、液晶素子180に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすれる。また、目的、用途、素子構成などによっては、円偏光板に代えて直線偏光板を用いてもよい。
基板351及び基板361には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、有機樹脂などを用いることができる。基板351及び基板361に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
表示装置を構成する基板の厚さは、それぞれ、十分に薄いことが好ましい。基板には、例えば、厚さ0.1mm以上0.5mm未満、好ましくは0.1mm以上0.3mm以下のガラス基板、厚さ1μm以上200μm以下の樹脂基板などを適用することが好ましい。基板の厚さを薄くすることで、表示装置の薄型化及び軽量化が可能となる。また、表示面側の基板の厚さを薄くすることで、画像のボケを低減し、画像を鮮明に表示することができる。
例えば、液晶素子170及び液晶素子180は、それぞれ、ゲスト・ホスト液晶モードを用いて駆動することが好ましい。ゲスト・ホスト液晶モードを用いる場合、偏光板を用いなくてよい。偏光板による光の吸収を低減できるため、光取り出し効率を高め、表示装置の表示を明るくすることができる。
例えば、図2において、液晶素子170を、ゲスト・ホスト液晶モードを用いて駆動し、液晶素子180を、その他のモードを用いて駆動する場合は、偏光板135bを設けなくてよい。
例えば、図2において、液晶素子170及び液晶素子180の双方を、ゲスト・ホスト液晶モードを用いて駆動する場合は、偏光板135a及び偏光板135bの双方を設けなくてよい。
液晶材料は、二色性色素を有することが好ましい。なお、二色性色素を含む液晶材料をゲスト・ホスト液晶という。ゲスト・ホスト液晶は、具体的には、分子の長軸方向に大きな吸光度を有し、長軸方向と直交する短軸方向に小さな吸光度を有する材料を、二色性色素に用いることができる。好ましくは、10以上の二色性比を有する材料を二色性色素に用いることができ、より好ましくは、20以上の二色性比を有する材料を二色性色素に用いることができる。
例えば、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素等を、二色性色素に用いることができる。または、ホモジニアス配向した二色性色素を含む二層の液晶層を、配向方向が互いに直交するように重ねた構造を、液晶材料を含む層に用いることができる。これにより、全方位について光を吸収しやすくすることができる。または、コントラストを高めることができる。
また、相転移型ゲスト・ホスト液晶や、ゲスト・ホスト液晶を含む液滴を高分子に分散した構造を、液晶材料に用いてもよい。
液晶素子170及び液晶素子180は、ゲスト・ホスト液晶モードに限定されず、それぞれ、TN(Twisted Nematic)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、垂直配向(VA)モードなどの駆動方法を用いて駆動してもよい。
垂直配向モードとしては、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
液晶素子170及び液晶素子180には、それぞれ、その他、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばIPS(In−Plane−Switching)モード、VA−IPSモード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、TBA(Transverse Bend Alignment)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
液晶材料としては、ポジ型の液晶またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
偏光板135aよりも外側に、フロントライトを設けてもよい。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用いることが好ましい。LEDを備えるフロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
また、液晶素子170及び液晶素子180の一方または双方は、液晶層中に隔壁を有していてもよい。当該隔壁は、液晶素子が有する一対の電極(または一対の配向膜)を接着する機能を有する。隔壁により、液晶素子が有する一対の電極(または一対の配向膜)の密着性を高めることができる。したがって、液晶素子を作製した後に行う作製基板の分離工程の歩留まりを高めることができる。液晶素子の非表示領域と重ねて隔壁を配置することが好ましい。隔壁として、例えば、ポリマーウォール(ポリマー壁ともいう)を用いることができる。
≪表示装置の作製方法例1≫
以下では、図3〜図11を用いて、表示装置300Aの作製方法について説明する。
なお、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法や、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法を使ってもよい。
表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
表示装置を構成する薄膜を加工する際には、リソグラフィ法等を用いて加工することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成してもよい。または、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法と、がある。
リソグラフィ法において光を用いる場合、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
[ステップS1:作製基板14を準備する]
まず、作製基板14を準備する(図3及び図4(A))。
作製基板14は、搬送が容易となる程度に剛性を有し、かつ作製工程にかかる温度に対して耐熱性を有する。作製基板14に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、樹脂、半導体、金属または合金などが挙げられる。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
作製基板14の厚さは、例えば、0.5mm以上1mm以下であり、具体的には0.5mmや0.7mmが挙げられる。
[ステップS2:金属酸化物層20を形成する]
次に、作製基板14上に、金属酸化物層20を形成する(図3及び図4(B1))。または、作製基板14上に、金属層19と金属酸化物層20とを積層する(図4(B2))。
金属層19には、各種金属や合金等を用いることができる。
金属酸化物層20には、各種金属の酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiOx)、酸化モリブデン、酸化アルミニウム、酸化タングステン、シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO)、インジウム亜鉛酸化物、In−Ga−Zn酸化物等が挙げられる。
そのほか、金属酸化物としては、酸化インジウム、チタンを含むインジウム酸化物、タングステンを含むインジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、チタンを含むITO、タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムを含むZnO、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ネオジム、酸化スズ、酸化ビスマス、チタン酸塩、タンタル酸塩、ニオブ酸塩等が挙げられる。
金属酸化物層20の形成方法に特に限定は無い。例えば、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法、ゾルゲル法、電気泳動法、スプレー法等を用いて形成することができる。
金属層を成膜した後に、当該金属層に酸素を導入することで、金属酸化物層20を形成することができる。このとき、金属層の表面のみ、または金属層全体を酸化させる。前者の場合、金属層に酸素を導入することで、金属層19と金属酸化物層20との積層構造が形成される(図4(B2))。
例えば、酸素を含む雰囲気下で金属層を加熱することで、金属層を酸化させることができる。酸素を含むガスを流しながら金属層を加熱することが好ましい。金属層を加熱する温度は、100℃以上500℃以下が好ましく、100℃以上450℃以下がより好ましく、100℃以上400℃以下がより好ましく、100℃以上350℃以下がさらに好ましい。
金属層は、トランジスタの作製における最高温度以下で加熱されることが好ましい。これにより、表示装置の作製における最高温度が高くなることを防止できる。トランジスタの作製における最高温度以下とすることで、トランジスタの作製工程における製造装置などを流用することが可能となるため、追加の設備投資などを抑制することができる。したがって、生産コストが抑制された表示装置とすることができる。例えば、トランジスタの作製温度が350℃までである場合、加熱処理の温度は350℃以下とすることが好ましい。
または、金属層の表面にラジカル処理を行うことで金属層を酸化させることができる。ラジカル処理では、酸素ラジカル及びヒドロキシラジカルのうち少なくとも一方を含む雰囲気に、金属層の表面を曝すことが好ましい。例えば、酸素または水蒸気(H2O)のうち一方または双方を含む雰囲気でプラズマ処理を行うことが好ましい。
金属酸化物層20の表面または内部に、水素、酸素、水素ラジカル(H*)、酸素ラジカル(O*)、ヒドロキシラジカル(OH*)等を含ませることで、金属酸化物層20と樹脂層23との分離に要する力を低減できる。このことからも、金属酸化物層20の形成に、ラジカル処理もしくはプラズマ処理を行うことは好適である。
金属層の表面にラジカル処理もしくはプラズマ処理を行うことで金属層を酸化させる場合、金属層を高温で加熱する工程が不要となる。そのため、表示装置の作製における最高温度が高くなることを防止できる。
または、酸素雰囲気下で、金属酸化物層20を形成することができる。例えば、酸素を含むガスを流しながら、スパッタリング法を用いて金属酸化物膜を成膜することで、金属酸化物層20を形成できる。この場合も、金属酸化物層20の表面にラジカル処理を行うことが好ましい。ラジカル処理では、酸素ラジカル、水素ラジカル、及びヒドロキシラジカルのうち少なくとも1種を含む雰囲気に、金属酸化物層20の表面を曝すことが好ましい。例えば、酸素、水素、または水蒸気(H2O)のうち一つまたは複数を含む雰囲気でプラズマ処理を行うことが好ましい。
ラジカル処理は、プラズマ発生装置またはオゾン発生装置を用いて行うことができる。
例えば、酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、水プラズマ処理、オゾン処理等を行うことができる。酸素プラズマ処理は、酸素を含む雰囲気下でプラズマを生成して行うことができる。水素プラズマ処理は、水素を含む雰囲気下でプラズマを生成して行うことができる。水プラズマ処理は、水蒸気(H2O)を含む雰囲気下でプラズマを生成して行うことができる。特に水プラズマ処理を行うことで、金属酸化物層20の表面または内部に水分を多く含ませることができ好ましい。
酸素、水素、水(水蒸気)、及び不活性ガス(代表的にはアルゴン)のうち2種以上を含む雰囲気下でのプラズマ処理を行ってもよい。当該プラズマ処理としては、例えば、酸素と水素とを含む雰囲気下でのプラズマ処理、酸素と水とを含む雰囲気下でのプラズマ処理、水とアルゴンとを含む雰囲気下でのプラズマ処理、酸素とアルゴンとを含む雰囲気下でのプラズマ処理、または酸素と水とアルゴンとを含む雰囲気下でのプラズマ処理などが挙げられる。プラズマ処理のガスの一つとして、アルゴンガスを用いることで金属層または金属酸化物層20にダメージを与えながら、プラズマ処理を行うことが可能となるため好適である。
2種以上のプラズマ処理を大気に暴露することなく連続で行ってもよい。例えば、アルゴンプラズマ処理を行った後に、水プラズマ処理を行ってもよい。
そのほか、酸素、水素、水等の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法等を用いることができる。
金属層19の厚さは、1nm以上100nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましく、1nm以上20nm以下がより好ましい。
金属酸化物層20の厚さは、例えば、1nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がより好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。なお、金属層を用いて金属酸化物層20を形成する場合、最終的に形成される金属酸化物層20の厚さは、成膜した金属層の厚さよりも厚くなることがある。
分離前または分離中に、金属酸化物層20と樹脂層23との界面に水を含む液体を供給することで、分離に要する力を低減させることができる。
金属酸化物層20は、表面張力が小さく、水を含む液体に対する濡れ性が高いことが好ましい。金属酸化物層20の表面全体に水を含む液体を行き渡らせ、分離界面に水を含む液体を容易に供給できる。金属酸化物層20全体に水が広がることで、均一な剥離ができる。
金属酸化物層20と当該液体との接触角が小さいほど、液体供給による効果を高めることができる。具体的には、金属酸化物層20の水を含む液体との接触角は、0°より大きく60°以下が好ましく、0°より大きく50°以下がより好ましい。なお、水を含む液体に対する濡れ性が極めて高い場合(例えば接触角が約20°以下の場合)には、接触角の正確な値の取得が困難なことがある。金属酸化物層20は、水を含む液体に対する濡れ性が高いほど好適であるため、上記接触角の正確な値が取得できないほど、水を含む液体に対する濡れ性が高くてもよい。
金属酸化物層20には、酸化チタン、酸化タングステン等が好適である。酸化チタンを用いると、酸化タングステンよりもコストを低減でき、好ましい。
[ステップS3:樹脂層23を形成する]
次に、金属酸化物層20上に、第1の層24を形成する(図4(C))。そして、第1の層24に対して加熱処理を行うことで、樹脂層23を形成する(図3及び図4(D))。
第1の層24は、各種樹脂材料(樹脂前駆体を含む)を用いて形成することができる。
第1の層24は、熱硬化性を有する材料を用いて形成することが好ましい。
第1の層24は、感光性を有する材料を用いて形成してもよく、感光性を有さない材料(非感光性の材料ともいう)を用いて形成してもよい。
感光性を有する材料を用いると、フォトリソグラフィ法により、第1の層24の一部を除去し、所望の形状の樹脂層23を形成することができる。具体的には、第1の層24を成膜した後、溶媒を除去するための熱処理(プリベーク処理)を行い、その後フォトマスクを用いて露光を行う。続いて、現像処理を施すことで、不要な部分を除去することができる。
また、第1の層24または樹脂層23上にレジストマスク、ハードマスク等のマスクを形成し、エッチングすることで、所望の形状の樹脂層23を形成することができる。この方法は、非感光性の材料を用いる場合に特に好適である。
例えば、樹脂層23上に無機膜を形成し、無機膜上にレジストマスクを形成する。レジストマスクを用いて、無機膜をエッチングした後、無機膜をハードマスクに用いて、樹脂層23をエッチングすることができる。
ハードマスクとして用いることができる無機膜としては、各種無機絶縁膜や、導電層に用いることができる金属膜及び合金膜などが挙げられる。
マスクを極めて薄い厚さで形成し、エッチングと同時にマスクを除去することができると、マスクを除去する工程を削減でき、好ましい。
第1の層24は、ポリイミド樹脂またはポリイミド樹脂前駆体を含む材料を用いて形成されることが好ましい。第1の層24は、例えば、ポリイミド樹脂と溶媒を含む材料、またはポリアミック酸と溶媒を含む材料等を用いて形成できる。ポリイミドは、表示装置の平坦化膜等に好適に用いられる材料であるため、成膜装置や材料を共有することができる。そのため本発明の一態様の構成を実現するために新たな装置や材料を必要としない。
具体的には、樹脂層23は、構造式(100)で表される化合物(オキシジフタル酸)の残基を有することが好ましい。
樹脂層23には、オキシジフタル酸またはオキシジフタル酸誘導体を含む酸成分と、芳香族アミンまたは芳香族アミン誘導体を含むアミン成分と、を用いて得られるポリイミド樹脂が好適である。オキシジフタル酸誘導体としては、例えば、オキシジフタル酸無水物が挙げられる。
そのほか、第1の層24の形成に用いることができる樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
第1の層24は、スピンコータを用いて形成することが好ましい。スピンコート法を用いることで、大判基板に薄い膜を均一に形成することができる。
第1の層24は、粘度が5cP以上500cP未満、好ましくは5cP以上100cP未満、より好ましくは10cP以上50cP以下の溶液を用いて形成することが好ましい。溶液の粘度が低いほど、塗布が容易となる。また、溶液の粘度が低いほど、気泡の混入を抑制でき、良質な膜を形成できる。
そのほか、第1の層24の形成方法としては、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等が挙げられる。
加熱処理は、例えば、加熱装置のチャンバーの内部に、酸素、窒素、及び希ガス(アルゴンなど)のうち一つまたは複数を含むガスを流しながら行うことができる。または、加熱処理は、大気雰囲気下で加熱装置のチャンバー、ホットプレート等を用いて行うことができる。
大気雰囲気下や酸素を含むガスを流しながら加熱を行うと、樹脂層23が酸化により着色し、可視光に対する透過性が低下することがある。
そのため、窒素ガスを流しながら、加熱を行うことが好ましい。これにより、樹脂層23の可視光に対する透過性を高めることができる。
加熱処理により、樹脂層23中の脱ガス成分(例えば、水素、水等)を低減することができる。特に、樹脂層23上に形成する各層の作製温度以上の温度で加熱することが好ましい。これにより、トランジスタの作製工程における、樹脂層23からの脱ガスを大幅に抑制することができる。
例えば、トランジスタの作製温度が350℃までである場合、樹脂層23となる膜を350℃以上450℃以下で加熱することが好ましく、400℃以下がより好ましく、375℃以下がさらに好ましい。これにより、トランジスタの作製工程における、樹脂層23からの脱ガスを大幅に抑制することができる。
加熱処理の温度は、トランジスタの作製における最高温度以下とすることが好ましい。トランジスタの作製における最高温度以下とすることで、トランジスタの作製工程における製造装置などを流用することが可能となるため、追加の設備投資などを抑制することができる。したがって、生産コストが抑制された表示装置とすることができる。例えば、トランジスタの作製温度が350℃までである場合、加熱処理の温度は350℃以下とすることが好ましい。
トランジスタの作製における最高温度と、加熱処理の温度を等しくすると、加熱処理を行うことで表示装置の作製における最高温度が高くなることを防止でき、かつ樹脂層23の脱ガス成分を低減できるため、好ましい。
処理時間を長くすることで、加熱温度が比較的低い場合であっても、加熱温度がより高い条件の場合と同等の剥離性を実現できる場合がある。そのため、加熱装置の構成により加熱温度を高められない場合には、処理時間を長くすることが好ましい。
加熱処理の時間は、例えば、5分以上24時間以下が好ましく、30分以上12時間以下がより好ましく、1時間以上6時間以下がさらに好ましい。なお、加熱処理の時間はこれに限定されない。例えば、加熱処理を、RTA(Rapid Thermal Annealing)法を用いて行う場合などは、5分未満としてもよい。
加熱装置としては、電気炉や、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって被処理物を加熱する装置等、様々な装置を用いることができる。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。RTA装置を用いることによって、処理時間が短縮することができるので、量産する上で好ましい。また、加熱処理はインライン型の加熱装置を用いて行ってもよい。
なお、加熱処理により、樹脂層23の厚さは、第1の層24の厚さから変化する場合がある。例えば、第1の層24に含まれていた溶媒が除去されることや、硬化が進行し密度が増大することにより、体積が減少し、第1の層24よりも樹脂層23が薄くなる場合がある。
加熱処理を行う前に、第1の層24に含まれる溶媒を除去するための熱処理(プリベーク処理ともいう)を行ってもよい。プリベーク処理の温度は用いる材料に応じて適宜決定することができる。例えば、50℃以上180℃以下、80℃以上150℃以下、または90℃以上120℃以下で行うことができる。または、加熱処理がプリベーク処理を兼ねてもよく、加熱処理によって、第1の層24に含まれる溶媒を除去してもよい。
樹脂層23は、可撓性を有する。作製基板14は、樹脂層23よりも可撓性が低い。
樹脂層23の厚さは、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層を薄く形成することで、低コストで表示装置を作製できる。また、表示装置の軽量化及び薄型化が可能となる。また、表示装置の可撓性を高めることができる。低粘度の溶液を用いることで、樹脂層23を薄く形成することが容易となる。ただし、これに限定されず、樹脂層23の厚さは、10μm以上としてもよい。例えば、樹脂層23の厚さを10μm以上200μm以下としてもよい。樹脂層23の厚さを10μm以上とすることで、表示装置の剛性を高めることができるため好適である。
樹脂層23の熱膨張係数は、0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることが好ましく、0.1ppm/℃以上20ppm/℃以下であることがより好ましく、0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることがさらに好ましい。樹脂層23の熱膨張係数が低いほど、加熱により、トランジスタ等を構成する層にクラックが生じることや、トランジスタ等が破損することを抑制できる。
[ステップS4:トランジスタを形成する]
次に、樹脂層23上に、トランジスタを含む被剥離層を形成する。
被剥離層として、例えば、絶縁層、機能素子(トランジスタ、表示素子など)を設けることができる。
被剥離層は、樹脂層23の耐熱温度以下で形成する。上記加熱処理の温度より低い温度で形成することが好ましい。
樹脂層23上に絶縁層31を形成することが好ましい(図4(E))。
絶縁層31は、樹脂層23に含まれる不純物が、後に形成するトランジスタや表示素子に拡散することを防ぐバリア層として用いることができる。例えば、絶縁層31は、樹脂層23を加熱した際に、樹脂層23に含まれる水分等がトランジスタや表示素子に拡散することを防ぐことが好ましい。そのため、絶縁層31は、バリア性が高いことが好ましい。
絶縁層31としては、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などを用いることができる。絶縁層31は、単層または積層で形成することができる。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜、及び窒化アルミニウムなどが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜などが挙げられる。特に、樹脂層23上に窒化シリコン膜を形成し、窒化シリコン膜上に酸化シリコン膜を形成することが好ましい。
なお、本明細書等において「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものをいう。また、本明細書等において、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものをいう。
無機絶縁膜は、成膜温度が高いほど緻密でバリア性の高い膜となるため、高温で形成することが好ましい。絶縁層31の成膜時の基板温度は、室温(25℃)以上350℃以下が好ましく、100℃以上300℃以下がさらに好ましい。
絶縁層31を設けず、樹脂層23上に直接、機能素子を形成してもよい。
次に、絶縁層31上に電極311a、電極311c、及び電極311eを形成する(図5(A))。そして、電極311a上に電極311bを、電極311c上に電極311dを、電極311e上に電極311fを形成する。電極311bは、電極311a上に開口451を有する。電極311aは、可視光を透過する導電材料を用いて形成する。電極311bは、可視光を反射する導電材料を用いて形成する。
表示装置が有する電極及び導電層は、それぞれ、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することで形成できる。
表示装置が有する電極及び導電層には、それぞれ、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、もしくはタングステン等の金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。または、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、タングステンを含むインジウム酸化物、タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、チタンを含むインジウム酸化物、チタンを含むITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムを含むZnO、またはシリコンを含むITO等の透光性を有する導電性材料を用いてもよい。また、不純物元素を含有させる等して低抵抗化させた、多結晶シリコンもしくは酸化物半導体等の半導体、またはニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。また、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。また、不純物元素を含有させた酸化物半導体等の半導体を用いてもよい。または、銀、カーボン、もしくは銅等の導電性ペースト、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを用いて形成してもよい。導電性ペーストは、安価であり、好ましい。導電性ポリマーは、塗布しやすく、好ましい。
次に、絶縁層220を形成する(図5(A))。そして、絶縁層220に電極311bに達する開口及び電極311dに達する開口を設ける。
絶縁層220としては、絶縁層31に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。また、アクリル、エポキシなどの樹脂を用いてもよい。
次に、絶縁層220上に、トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206を形成する(図3及び図5(A))。また、絶縁層220上には、接続部204及び接続部207も形成する(図5(A))。
表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート構造またはボトムゲート構造のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、第14族の元素、化合物半導体または酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体、またはインジウムを含む酸化物半導体等を適用できる。
ここでは、半導体層231として金属酸化物層を有する、ボトムゲート構造のトランジスタを作製する場合を示す。金属酸化物は、酸化物半導体として機能することができる。
本実施の形態において、トランジスタの半導体には、酸化物半導体を用いる。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
トランジスタ205及びトランジスタ206において、導電層221aの一部はゲートとして機能し、絶縁層211の一部はゲート絶縁層として機能し、導電層222aの一部は、ソースまたはドレインの一方として機能し、導電層222bの一部は、ソースまたはドレインの他方として機能する。トランジスタ201は、トランジスタ205及びトランジスタ206の構成に導電層223及び絶縁層212を追加した構成であり、2つのゲートを有する。トランジスタ201において、導電層221aの一部及び導電層223の一部はゲートとして機能し、絶縁層211の一部及び絶縁層212の一部はゲート絶縁層として機能する。
各トランジスタ及び各接続部の作製方法を具体的に説明する。
まず、絶縁層220上に、導電層221a、導電層221b、及び導電層221cを形成する。ここで、絶縁層220の開口を介して、導電層221bと電極311bとが接続し、導電層221cと電極311dとが接続する。
続いて、絶縁層211を形成する。絶縁層211としては、絶縁層31に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。
続いて、半導体層231を形成する。本実施の形態では、半導体層231として、金属酸化物層を形成する。金属酸化物層は、金属酸化物膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該金属酸化物膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することで形成できる。
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。
金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
金属酸化物膜は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく。3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、PLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
続いて、導電層222a、導電層222b、及び配線365を形成する。導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、半導体層231と接続される。ここで、トランジスタ206が有する導電層222aは、導電層221bと電気的に接続される。これにより、接続部207では、電極311bと導電層222aを電気的に接続することができる。また、配線365は、導電層221cと電気的に接続される。これにより、接続部204では、配線365と電極311dを電気的に接続することができる。
なお、導電層222a及び導電層222bの加工の際に、レジストマスクに覆われていない半導体層231の一部がエッチングにより薄膜化する場合がある。
以上のようにして、トランジスタ205、トランジスタ206、接続部204、及び接続部207を作製できる。
次に、トランジスタ206等を覆う絶縁層212を形成し、絶縁層212上に導電層223を形成する。
絶縁層212は、絶縁層211と同様の方法により形成することができる。
以上のようにして、トランジスタ201を作製できる。
次に、絶縁層213を形成する。絶縁層213は、絶縁層211と同様の方法により形成することができる。
また、絶縁層212として、酸素を含む雰囲気下で成膜した酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等の酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。さらに、当該酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜上に、絶縁層213として、窒化シリコン膜などの酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層することが好ましい。酸素を含む雰囲気下で形成した酸化物絶縁膜は、加熱により多くの酸素を放出しやすい絶縁膜とすることができる。このような酸素を放出する酸化絶縁膜と、酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層した状態で、加熱処理を行うことにより、金属酸化物層に酸素を供給することができる。その結果、金属酸化物層中の酸素欠損、及び金属酸化物層と絶縁層212の界面の欠陥を修復し、欠陥準位を低減することができる。これにより、信頼性の高い表示装置を実現できる。
次に、絶縁層213上に絶縁層214を形成する(図5(B))。
絶縁層214は、後に形成する表示素子の被形成面を有する層であるため、平坦化層として機能することが好ましい。絶縁層214は、絶縁層220に用いることのできる樹脂または無機絶縁膜を援用できる。
次に、絶縁層212、絶縁層213、及び絶縁層214に、トランジスタ205が有する導電層222aに達する開口を形成する。
[ステップS5:液晶素子170を形成する]
次に、液晶素子170を形成する(図3、図5(B)、及び図6)。液晶素子170は、共通電極と画素電極との間に液晶層を配置した状態で、作製基板14と基板351とを貼り合わせることで形成される。
作製基板14上には、液晶素子170の画素電極として機能する電極191及び電極191aを形成する。ここで、トランジスタ205が有する導電層222aと電極191とが接続する。電極191及び電極191aは、可視光を透過する導電材料を用いて形成する。そして、電極191上に配向膜153aを形成する。
また、基板351上には、液晶素子170の共通電極として機能する電極193を形成する。電極193は、可視光を透過する導電材料を用いて形成する。そして、電極193上に配向膜153bを形成する。
配向膜153a及び配向膜153bは、それぞれ、樹脂等の薄膜を形成した後に、ラビング処理を行うことで形成できる。
以上の工程が完了した作製基板14及び基板351を、接着層142を用いて貼り合わせる(図6)。作製基板14及び基板351は、配向膜153aと配向膜153bの間に液晶層192を挟んだ状態で貼り合わせる。
図6に示す液晶素子170は、一部が画素電極として機能する電極191と、液晶層192と、一部が共通電極として機能する電極193とが積層された構成を有する。液晶素子170は、電極311bの開口451と表示領域とが重なるように作製される。
接続部253では、接続体244を介して、電極193と電極191aとが電気的に接続される。
接着層142には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤等の各種硬化型接着剤を用いることができる。
基板351には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板351には、ガラス、石英、樹脂、金属、合金、半導体等の各種材料を用いてもよい。基板351には、可撓性を有する程度の厚さのガラス、石英、樹脂、金属、合金、半導体等の各種材料を用いてもよい。
接続体244としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体244として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体244は、図6等に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体244と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
接続体244は、接着層142に覆われるように配置することが好ましい。例えば硬化前の接着層142に、接続体244を分散させておけばよい。
以上のようにして、液晶素子170を形成することができる(図3及び図6)。
[ステップS6:光を照射する・分離する]
次に、金属酸化物層20と樹脂層23とを分離する(図3、図7、及び図8)。これにより、作製基板14上に作製したトランジスタ、液晶素子170等を、基板351に転置することができる。
図7では、レーザ光55を照射する例を示す。レーザ光55は、例えば、図7においては、左側から右側に走査される線状レーザビームで、その長軸は、その走査方向及びその入射方向(上から下)に垂直である。レーザ装置において、作製基板14が上側にくるように積層体を配置する。積層体には、積層体(作製基板14)の上側からレーザ光55が照射される。
レーザ光55は、作製基板14を介して金属酸化物層20と樹脂層23との界面またはその近傍に照射されることが好ましい。また、レーザ光55は、金属酸化物層20中に照射されてもよく、樹脂層23中に照射されてもよい。
金属酸化物層20は、レーザ光55を吸収する。樹脂層23は、レーザ光55を吸収してもよい。
作製基板14と金属酸化物層20の積層構造におけるレーザ光55の吸収率は、50%以上100%以下が好ましく、75%以上100%以下がより好ましく、80%以上100%以下がさらに好ましい。当該積層構造が、レーザ光55の大半を吸収することで、金属酸化物層20と樹脂層23との界面で確実に剥離することが可能となる。また、樹脂層23が光から受けるダメージを低減できる。
レーザ光55の照射により、金属酸化物層20と樹脂層23の密着性もしくは接着性が低下する。レーザ光55の照射により、樹脂層23が脆弱化されることがある。
レーザ光55としては、少なくともその一部が作製基板14を透過し、かつ金属酸化物層20に吸収される波長の光を選択して用いる。レーザ光55は、可視光線から紫外線の波長領域の光であることが好ましい。例えば波長が180nm以上450nm以下の光、好ましくは200nm以上400nm以下の光、より好ましくは波長が250nm以上350nm以下の光を用いることができる。
レーザ光55は、金属酸化物層20のエネルギーギャップよりも高いエネルギーを有することが好ましい。例えば、酸化チタンのエネルギーギャップは、約3.2eVである。したがって、金属酸化物層20に酸化チタンを用いる場合、光は、3.2eVより高いエネルギーを有することが好ましい。
特に、波長308nmのエキシマレーザを用いると、生産性に優れるため好ましい。エキシマレーザは、LTPSにおけるレーザ結晶化にも用いるため、既存のLTPS製造ラインの装置を流用することができ、新たな設備投資を必要としないため好ましい。波長308nmの光のエネルギーは、約4.0eVである。つまり、金属酸化物層20に酸化チタンを用いる場合、波長308nmのエキシマレーザは好適である。また、Nd:YAGレーザの第三高調波である波長355nmのUVレーザなどの固体UVレーザ(半導体UVレーザともいう)を用いてもよい。固体レーザはガスを用いないため、エキシマレーザに比べて、ランニングコストを低減でき、好ましい。また、ピコ秒レーザ等のパルスレーザを用いてもよい。
レーザ光55として、線状のレーザ光を用いる場合には、作製基板14と光源とを相対的に移動させることでレーザ光55を走査し、剥離したい領域に亘ってレーザ光55を照射する。
図8では、金属酸化物層20と樹脂層23との界面で分離が生じる例を示す。金属酸化物層20と樹脂層23との密着性もしくは接着性が低下することで、金属酸化物層20と樹脂層23との界面で分離が生じる。また、脆弱化された樹脂層23中で分離が生じる場合もある。
ここで、分離時に、分離界面に水や水溶液など、水を含む液体を添加し、該液体が分離界面に浸透するように分離を行うことで、分離を容易に行うことができる。また、分離時に生じる静電気が、トランジスタなどの機能素子に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電気により破壊されるなど)を抑制できる。
供給する液体としては、水(好ましくは純水)、中性、アルカリ性、もしくは酸性の水溶液や、塩が溶けている水溶液が挙げられる。また、エタノール、アセトン等が挙げられる。また、各種有機溶剤を用いてもよい。
分離界面に液体を供給した場合は、分離により露出した被剥離層の表面を乾燥してもよい。
分離前に、樹脂層23の一部を作製基板14から分離することで、分離の起点を形成してもよい。例えば、作製基板14と樹脂層23との間に、刃物などの鋭利な形状の器具を差し込むことで分離の起点を形成してもよい。または、基板351側から鋭利な形状の器具で樹脂層23を切り込み、分離の起点を形成してもよい。または、レーザアブレーション法等のレーザを用いた方法で、分離の起点を形成してもよい。
[ステップS7−1:樹脂層23を除去するか判断する]
分離後、樹脂層23を除去する場合は、ステップS7−2に進む。樹脂層23を除去しない場合は、ステップ8に進む。樹脂層23を除去しない場合、工程を削減でき好ましい。
本作製方法例1では、樹脂層23を除去する場合を説明する。電極311a、電極311c、及び電極311eのうち一つ又は複数を露出する必要がある場合などに、樹脂層23を除去することが好ましい。
[ステップS7−2:樹脂層23を除去する]
次に樹脂層23を除去する(図3及び図9(A))。さらに、絶縁層31を除去してもよい(図9(A))。
樹脂層23及び絶縁層31を除去することで、表示装置の薄型化及び軽量化が可能となる。
樹脂層23及び絶縁層31が厚く設けられていると、表示装置に入射された光の多くが樹脂層23で吸収されてしまう。そのため、画素の反射率が低下し、表示が暗くなってしまう。反射型の液晶素子の駆動電圧が一定の場合、樹脂層23及び絶縁層31が厚いほど、液晶層にかかる電界が弱くなり、表示のコントラストが低下する。樹脂層23及び絶縁層31の厚さを変えずに表示のコントラストを高めるためには、反射型の液晶素子の駆動電圧を高くする必要がある。したがって、樹脂層23及び絶縁層31を除去することが好ましい。
なお、樹脂層23及び絶縁層31の厚さが十分に薄い場合など、樹脂層23及び絶縁層31を完全に除去しなくてもよいこともある。
また、絶縁層31のバリア性が高い場合、絶縁層31を残存させることで、トランジスタ及び液晶素子170に不純物が入り込むことを抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。絶縁層31の厚さは、50nm以上300nm以下が好ましく、100nm以上200nm以下がより好ましい。
例えば、図9(B)に示すように、電極311c及び電極311eが露出するように、絶縁層31の一部を除去してもよい。
また、基板361と貼り合わせる前に、基板351上に、液晶素子180の画素電極として機能する電極311bと重ねて、配向膜133aを形成する。配向膜133aは、後に液晶層112と接する層である。配向膜133aは、樹脂等の薄膜を形成した後に、ラビング処理を行うことで形成できる。
[ステップS8:液晶素子180を形成する]
次に、液晶素子180を形成する(図3)。液晶素子180は、共通電極と画素電極との間に液晶層を配置した状態で、基板351と基板361とを貼り合わせることで形成される。
基板351と貼り合わせる前に、基板361上に、液晶素子180の共通電極として機能する電極113等を形成する。
図10を用いて、基板361上に電極113等を形成する工程について説明する。
まず、基板361上に、着色層131及び遮光層132を形成する。表示部362には、着色層131は、感光性の材料を用いて形成することで、フォトリソグラフィ法等により島状に加工することができる。遮光層132は、金属または樹脂等を用いて形成することができる。なお、基板361上にバリア性の高い絶縁層を形成した後、当該絶縁層上に着色層131及び遮光層132を形成してもよい。
基板361は表示面側に位置する基板である。そのため、基板361には、可視光を透過する材料を用いる。例えば、上述した作製基板14または基板351に用いることができる材料のうち、可視光を透過する材料を適用することができる。
次に、着色層131及び遮光層132上に、絶縁層121を形成する。
絶縁層121は、平坦化層として機能することが好ましい。絶縁層121には、アクリル、エポキシなどの樹脂を好適に用いることができる。
絶縁層121には、無機絶縁膜を適用してもよい。絶縁層121としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
次に、電極113を形成する。電極113は、可視光を透過する導電材料を用いて形成する。
次に、電極113上に、絶縁層117を形成する。絶縁層117には、有機絶縁膜を用いることが好ましい。
次に、電極113及び絶縁層117上に、配向膜133bを形成する。配向膜133bは、樹脂等の薄膜を形成した後に、ラビング処理を行うことで形成できる。
以上の工程が完了した基板361及び基板351を、接着層141を用いて貼り合わせる(図11)。基板361及び基板351は、配向膜133aと配向膜133bの間に液晶層112を挟んだ状態で貼り合わせる。接着層141は、接着層142に用いることのできる材料を援用できる。
図11に示す液晶素子180は、一部が画素電極として機能する電極311a及び電極311bと、液晶層112と、一部が共通電極として機能する電極113とが積層された構成を有する。液晶素子180は、着色層131と重なるように作製される。
接続部252では、接続体243を介して、電極113と電極311eとが電気的に接続される。
接続体243は、接続体244に用いることのできる材料を援用できる。接続体243は、接着層141に覆われるように配置することが好ましい。例えば硬化前の接着層141に、接続体243を分散させておけばよい。
[ステップS9:実装する]
その後、FPC372やICなどを電気的に接続させることができる。また、偏光板135a、偏光板135b等の光学部材を配置することができる。
以上により、図2に示す表示装置300Aを作製することができる。
≪表示装置の構成例2≫
以下では、図12〜図14を用いて、表示装置300Aとは異なる構成の表示装置について説明する。なお、表示装置300Aと同様の部分について詳細な説明は省略する。
図12に、表示装置300Bの断面図を示す。表示装置300Bは、基板361、偏光板135a、及び偏光板135bを有さず、接着層392、基板390、及び反射防止部材396を有する。それ以外の構成は、表示装置300Aと同様である。表示装置300Bは、液晶素子170及び液晶素子180の双方にゲスト・ホスト液晶モードで動作する液晶材料を用いる場合の構成例である。
図13に、表示装置300Cの断面図を示す。表示装置300Cは、基板361を有さず、接着層392、光拡散層136、基板390、及び反射防止部材396を有する。また、表示装置300Cは、偏光板135aの位置が表示装置300Aと異なる。それ以外の構成は、表示装置300Aと同様である。表示装置300Cは、液晶素子170及び液晶素子180の双方にTNモードで動作する液晶材料を用いる場合の構成例である。
表示面側の基板である基板(ここでは基板390)の厚さは十分に薄いことが好ましい。基板390には、例えば、厚さ0.1mm以上0.5mm未満、好ましくは0.1mm以上0.3mm以下のガラス基板、厚さ1μm以上200μm以下の樹脂基板などを適用することが好ましい。これにより、画像のボケを低減し、画像を鮮明に表示することができる。
表示装置300B及び表示装置300Cは、作製基板上で着色層131、電極113等を作製し、作製基板から基板351にこれらを転置した後、接着層392を用いて基板351に基板390を貼り合わせることで作製される。そのため、基板390に作製工程に耐えうる高い耐熱性や高い剛性が求められない。また、基板を薄くする工程、代表的には研磨工程を削減することができる。研磨工程を削減することで、表示装置の作製の歩留まりを高めることができる。
なお、上述の表示装置300Aは、基板361上に直接、着色層131、電極113等を形成することで作製される構成である。このような構成の場合は、基板351と基板361とを貼り合わせた後に、基板361の厚さを研磨等により薄くすることが好ましい。
液晶素子170及び液晶素子180の双方にゲスト・ホスト液晶モードで動作する液晶材料を用いることにより、光拡散層及び偏光板を省略することができる。よって、表示装置の生産性を高めることができる。また、光拡散層及び偏光板を設けないことにより、表示装置の表示を明るくすることができる。よって、表示装置の視認性を高めることができる。
図14に、表示装置300Dの断面図を示す。表示装置300Dは、基板361、偏光板135a、及び偏光板135bを有さず、タッチセンサ、接着層392、基板390、及び反射防止部材396を有する。それ以外の構成は、表示装置300Aと同様である。なお、液晶素子170及び液晶素子180の動作モードによっては、偏光板及び光拡散層のうち一方又は双方を設ける。
本発明の一態様では、タッチセンサが搭載された表示装置(入出力装置、タッチパネルともいう)を作製することができる。
表示装置が有するタッチセンサを入力装置の一例ということもできる。入力装置は表示部と重ねて設けられ、ユーザーが表示部をタッチする動作を電気信号に変換して出力する機能を有する。
本発明の一態様の表示装置が有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い。指またはスタイラス等の被検知体の近接または接触を検知することのできる様々なセンサを、検知素子として適用することができる。
例えばセンサの方式としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式等様々な方式を用いることができる。
本実施の形態では、静電容量方式の検知素子を有する表示装置を例に挙げて説明する。
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多点検出が可能となるため好ましい。
本発明の一態様の表示装置は、別々に作製された表示パネルと検知素子とを貼り合わせる構成、表示パネルが有する一対の基板の一方または双方に検知素子を構成する電極等を設ける構成等、様々な構成を適用することができる。
検知素子の配線及び電極として、可視光を透過する導電層を用いることができる。また、当該配線及び当該電極として、より抵抗が低く大型の表示装置にも適用可能なメタルメッシュを用いることが好ましい。なお、一般的に金属は反射率が大きい材料であるが、酸化処理などを施すことにより暗色にすることができる。したがって、基板390側から視認した場合においても、外光の反射による視認性の低下を抑えることができる。
また、当該配線及び当該電極を、金属層と反射率の小さい層(「暗色層」ともいう。)の積層で形成してもよい。暗色層の一例としては、酸化銅を含む層、塩化銅または塩化テルルを含む層などがある。また、暗色層を、Ag粒子、Agファイバー、Cu粒子等の金属微粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン等のナノ炭素粒子、並びに、PEDOT、ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子などを用いて形成してもよい。
入力装置は、トランジスタ、液晶素子180、及び液晶素子170のうち少なくとも一つの製造工程とは別工程で作製することができるため、それぞれの要素の歩留りを向上させることができる。
図14に示す表示装置300Dは、導電層331、絶縁層332、導電層333、導電層334、電極113a、電極311g、電極311h等を有する。
導電層334を挟んで設けられた2つの導電層333は、導電層331を介して電気的に接続される。導電層331と導電層334は、絶縁層332によって互いに電気的に絶縁されている。
導電層333は、電極113aと電気的に接続されている。電極113aは、電極113と同一の導電膜、同一の工程で形成することができる。接続部254において、電極113aは、接続体243を介して、電極311gと電気的に接続されている。これにより、基板390側に設けられたタッチセンサに、基板351側に接続されたFPC(FPC372またはそれとは異なるFPC)から入力される信号または電位を、接続部254を介して供給することができる。
≪表示装置の作製方法例2≫
表示装置の作製方法例1で説明したステップS1からステップS9までの工程のうち、ステップS8の工程を変更することで、表示装置300B、表示装置300C、及び表示装置300Dを作製することができる。表示装置300B、表示装置300C、及び表示装置300Dを作製する場合、ステップS8は、下記ステップS11からステップS18までの工程を有する。以下では、図15〜図19を用いて、表示装置300Dの作製方法について説明する。なお、表示装置300Aの作製方法と同様の部分について詳細な説明は省略する。
[ステップS11:作製基板94を準備する]
まず、ステップS1(図3及び図4(A))と同様に、作製基板94を準備する(図15)。
[ステップS12:金属酸化物層90を形成する]
次に、ステップS2(図3及び図4(B1))と同様に、作製基板94上に、金属酸化物層90を形成する(図15)。
[ステップS13:樹脂層93を形成する]
次に、ステップS3(図3、図4(C)、及び図4(D))と同様に、金属酸化物層90上に第1の層を形成し、加熱処理を行うことで、樹脂層93を形成する(図15)。
[ステップS14:機能層を形成する]
次に、樹脂層93上に機能層を形成する(図15及び図16(A))。なお、表示装置300Bまたは表示装置300Cを作製する場合の断面図を図16(B)に示す。図16(B)は、機能層が検知素子を有さない場合の断面図ともいえる。
まず、図16(A)に示すように、樹脂層93上に、導電層331を形成する。なお、樹脂層93上にバリア性の高い絶縁層を形成した後、当該絶縁層上に導電層331を形成してもよい。
そして、導電層331を覆う絶縁層332を形成する。次に、絶縁層332に導電層331に達する開口を形成する。そして、絶縁層332上に、導電層333及び導電層334を形成する。導電層333は、絶縁層332の開口を介して導電層331と電気的に接続される。
ここでは、検知素子の配線及び電極にメタルメッシュを用いる例を示すため、検知素子を液晶素子180及び液晶素子170を用いた表示領域以外の部分に形成する。なお、検知素子の配線及び電極を、可視光を透過する導電材料を用いて形成する場合、当該配線及び当該電極を表示領域に配置してもよい。
次に、導電層333及び導電層334を覆う絶縁層335を形成する。絶縁層332及び絶縁層335としては、それぞれ、無機絶縁膜及び樹脂等を用いることができる。
次に、絶縁層335上に着色層131及び遮光層132を形成する。なお、図16(B)に示すように、機能層に検知素子を設けない場合は、樹脂層93上に着色層131及び遮光層132を形成する。
なお、樹脂層93上にバリア性の高い無機絶縁膜を形成し、当該無機絶縁膜上に検知素子、着色層、遮光層等を形成してもよい。
次に、着色層131及び遮光層132上に、絶縁層121を形成する。次に、絶縁層121及び絶縁層335に導電層333に達する開口を形成する。
次に、電極113及び電極113aを形成する。電極113aは、絶縁層121及び絶縁層335の開口を介して、導電層333と電気的に接続される。
次に、電極113上に、絶縁層117を形成する。
次に、電極113及び絶縁層117上に、配向膜133bを形成する。配向膜133bは、樹脂等の薄膜を形成した後に、ラビング処理を行うことで形成できる。
[ステップS15:液晶層112を封止する]
以上の工程が完了した作製基板94と、ステップS8までの工程が完了した基板351を、接着層141を用いて貼り合わせる(図14及び図17)。作製基板94及び基板351は、配向膜133aと配向膜133bの間に液晶層112を挟んだ状態で貼り合わせる。
接続部254では、接続体243を介して、電極113aと電極311gとが電気的に接続される。
[ステップS16:光照射・分離]
次に、ステップS7(図3、図7、及び図8)と同様に、金属酸化物層90と樹脂層93とを分離する(図15及び図18)。これにより、作製基板94上に作製した検知素子、着色層131等を、基板351に転置することができる。
なお、液晶素子180において、電極と液晶層の密着性が低いことがある。そのため、作製基板94を、人間の手、治具、ローラ等を用いて引き剥がそうとすると、液晶素子180中で膜剥がれが生じ、液晶素子180が破壊される恐れがある。本実施の形態では、光照射を行うことで、金属酸化物層90と樹脂層93とを分離することができる。作製基板94を強い力で引き剥がす必要がないため、液晶素子180中の膜剥がれを抑制し、分離の歩留まりを高めることができる。
[ステップS17−1:樹脂層93を除去するか判断する]
分離後、樹脂層93を除去する場合は、ステップS17−2に進む。樹脂層93を除去しない場合は、ステップ18に進む。樹脂層93は、表示素子よりも表示面側に位置する層であるため、樹脂層93を除去することで、表示装置の表示品位を向上できることがある。樹脂層93の透光性の程度、厚さの程度によっては、樹脂層93を除去しなくてもよい。
本作製方法例2では、樹脂層93を除去する場合を説明する。
[ステップS17−2:樹脂層93を除去する]
ステップS8−2(図3及び図9(A))と同様の方法で、樹脂層93を除去することができる(図15)。
[ステップS18:基板390を貼り合わせる]
次に、接着層392を用いて、基板351と基板390とを貼り合わせる(図15及び図19)。反射防止部材396が設けられた基板390を基板351と貼り合わせることができる。または、基板351と基板390とを貼り合わせた後に、基板390上に反射防止部材396を設けてもよい。
以上のように、図3のステップS8において、図15のステップS11からステップS18を行う。
その後、ステップS9(図3)において、FPC372やICなどを電気的に接続させることができる。
以上により、図14に示す表示装置300Dを作製することができる。
≪表示装置の構成例3≫
以下では、図20を用いて、表示装置300Aとは異なる構成の表示装置について説明する。なお、表示装置300Aと同様の部分について詳細な説明は省略する。
図20に、表示装置300Eの断面図を示す。表示装置300Eは、基板361、偏光板135a、及び偏光板135bを有さず、絶縁層91a、接着層97、絶縁層91b、タッチセンサ、接着層392、基板390、及び反射防止部材396を有する。また、表示装置300Eは、FPC及び接続体を少なくとも2つずつ有する(FPC372a、FPC372b、接続層242a、及び接続層242b)。それ以外の構成は、表示装置300Aと同様である。なお、液晶素子170及び液晶素子180の動作モードによっては、偏光板及び光拡散層のうち一方又は双方を設ける。
表示装置300Eは、導電層331、絶縁層332、導電層333、導電層334、導電層336等を有する。
導電層334を挟んで設けられた2つの導電層333は、導電層331を介して電気的に接続される。導電層331と導電層334は、絶縁層332によって互いに電気的に絶縁されている。
導電層333は、導電層336と電気的に接続されている。導電層336は、導電層331と同一の導電膜、同一の工程で形成することができる。導電層336は、接続層242bを介して、FPC372bと電気的に接続されている。
≪表示装置の作製方法例3≫
以下では、図21〜図29を用いて、表示装置300Eの作製方法について説明する。なお、表示装置300Aの作製方法と同様の部分について詳細な説明は省略する。
表示装置の作製方法例1で説明したステップS1からステップS9までの工程のうち、ステップS8の工程を変更することで、表示装置300Eを作製することができる。表示装置300Eを作製する場合、ステップS8は、ステップS21からステップS27までの工程と、ステップS31からステップS37までの工程と、ステップS28の工程を有する。ステップS21からステップS27までの工程と、ステップS31からステップS37までの工程と、は、それぞれ独立に行うことができる。ステップS27及びステップS37の後に、ステップS28を行う。
[ステップS21:作製基板94aを準備する]
まず、ステップS1(図3及び図4(A))と同様に、作製基板94aを準備する(図21)。
[ステップS22:金属酸化物層90aを形成する]
次に、ステップS2(図3及び図4(B1))と同様に、作製基板94a上に、金属酸化物層90aを形成する(図21)。
[ステップS23:樹脂層93aを形成する]
次に、ステップS3(図3、図4(C)、及び図4(D))と同様に、金属酸化物層90a上に第1の層を形成し、加熱処理を行うことで、樹脂層93aを形成する(図21)。
[ステップS24:第1の機能層を形成する]
次に、樹脂層93a上に第1の機能層を形成する(図21及び図22)。
まず、樹脂層93a上に、絶縁層91aを形成することが好ましい。絶縁層91aはバリア性の高い無機絶縁膜を有するように形成されることが好ましい。
次に、絶縁層91a上に着色層131及び遮光層132を形成する。次に、着色層131及び遮光層132上に、絶縁層121を形成する。次に、電極113を形成する。次に、電極113上に、絶縁層117を形成する。次に、電極113及び絶縁層117上に、配向膜133bを形成する。これらの形成方法の詳細は、作製方法例1を参照できる。
[ステップS25:液晶層112を封止する]
ステップS24の工程が完了した作製基板94aと、ステップS8までの工程が完了した基板351を、接着層141を用いて貼り合わせる(図21及び図23)。作製基板94a及び基板351は、配向膜133aと配向膜133bの間に液晶層112を挟んだ状態で貼り合わせる。
[ステップS26:光を照射する・分離する]
次に、ステップS7(図3、図7、及び図8)と同様に、金属酸化物層90aと樹脂層93aとを分離する(図21及び図24)。
[ステップS27−1:樹脂層93aを除去するか判断する]
分離後、樹脂層93aを除去する場合は、ステップS27−2に進む。樹脂層93aを除去しない場合は、ステップ28に進む。樹脂層93aは、表示素子よりも表示面側に位置する層であるため、樹脂層93aを除去することで、表示装置の表示品位を向上できることがある。樹脂層93aの透光性の程度、厚さの程度によっては、樹脂層93aを除去しなくてもよい。
本作製方法例3では、樹脂層93aを除去する場合を説明する。
[ステップS27−2:樹脂層93aを除去する]
ステップS8−2(図3及び図9)と同様の方法で、樹脂層93aを除去することができる(図25)。
以上のように、ステップS21からステップS27を行うことで、作製基板94a上に作製した電極113、着色層131等を、基板351に転置することができる。
また、ステップS21からステップS27とは独立して、下記ステップS31からステップS37を行う。
[ステップS31:作製基板94bを準備する]
まず、ステップS1(図3及び図4(A))と同様に、作製基板94bを準備する(図21)。
[ステップS32:金属酸化物層90bを形成する]
次に、ステップS2(図3及び図4(B1))と同様に、作製基板94b上に、金属酸化物層90bを形成する(図21)。
[ステップS33:樹脂層93bを形成する]
次に、ステップS3(図3、図4(C)、及び図4(D))と同様に、金属酸化物層90b上に第1の層を形成し、加熱処理を行うことで、樹脂層93bを形成する(図21)。
[ステップS34:第2の機能層を形成する]
次に、樹脂層93b上に第2の機能層を形成する(図21及び図26(A))。
まず、樹脂層93b上に、絶縁層91bを形成することが好ましい。絶縁層91bはバリア性の高い無機絶縁膜を有するように形成されることが好ましい。
次に、絶縁層91b上に、導電層331及び導電層336を形成する。そして、導電層331及び導電層336を覆う絶縁層332を形成する。次に、絶縁層332に導電層331及び導電層336に達する開口を形成する。そして、絶縁層332上に、導電層333及び導電層334を形成する。導電層333は、絶縁層332の開口を介して導電層331と電気的に接続される。また、導電層333は、絶縁層332の開口を介して導電層336と電気的に接続される。
また、表示装置に偏光板及び光拡散層のうち一方または双方を設ける場合、図26(B)に示すように、絶縁層332、導電層331、及び導電層336上に、光拡散層136を設け、光拡散層136上に偏光板135aを設けることができる。
[ステップS35:基板390を貼り合わせる]
次に、接着層392を用いて、作製基板94bと基板390とを貼り合わせる(図21及び図27(A))。ここでは、反射防止部材396が設けられた基板390を用いる。
[ステップS36:光を照射する・分離する]
次に、ステップS7(図3、図7、及び図8)と同様に、金属酸化物層90bと樹脂層93bとを分離する(図21、図27(B)、及び図28(A))。
[ステップS37−1:樹脂層93bを除去するか判断する]
分離後、樹脂層93bを除去する場合は、ステップS37−2に進む。樹脂層93bを除去しない場合は、ステップ28に進む。樹脂層93bは、表示素子よりも表示面側に位置する層であるため、樹脂層93bを除去することで、表示装置の表示品位を向上できることがある。樹脂層93bの透光性の程度、厚さの程度によっては、樹脂層93bを除去しなくてもよい。
本作製方法例3では、樹脂層93bを除去する場合を説明する。
[ステップS37−2:樹脂層93bを除去する]
ステップS8−2(図3及び図9)と同様の方法で、樹脂層93bを除去することができる(図28(B))。
以上のように、ステップS31からステップS37を行うことで、作製基板94b上に作製した検知素子を、基板390に転置することができる。
[ステップS28:第1の機能層と第2の機能層を貼り合わせる]
ステップS27までが完了した基板351と、ステップS37までが完了した基板390を、接着層141を用いて貼り合わせる(図21及び図29)。
以上のように、図3のステップS8において、図21に示すステップを行う。
その後、ステップS9(図3)において、FPC372a、FPC372b、及びICなどを電気的に接続させることができる。
以上により、図20に示す表示装置300Eを作製することができる。
≪表示装置の構成例4≫
以下では、図30及び図31を用いて、表示装置300Aとは異なる構成の表示装置について説明する。なお、表示装置300Aと同様の部分について詳細な説明は省略する。
図30に、表示装置300Fの断面図を示す。表示装置300Fは、樹脂層23及び絶縁層31を有する。電極311cは、樹脂層23及び絶縁層31に設けられた開口を介して、接続層242と電気的に接続されている。同様に、電極311eは、樹脂層23及び絶縁層31に設けられた開口を介して、接続体243と電気的に接続されている。それ以外の構成は、表示装置300Aと同様である。なお、液晶素子180の動作モードによっては、偏光板及び光拡散層のうち一方又は双方を設ける。
図31に、表示装置300Gの断面図を示す。表示装置300Gは、表示装置300Fに比べて樹脂層23の厚さが薄い。また、表示装置300Gは、配向膜133aを有していない。それ以外の構成は、表示装置300Fと同様である。表示装置300Gでは、樹脂層23が配向膜として機能する。電極311cは、樹脂層23及び絶縁層31に設けられた開口を貫通して、接続層242と電気的に接続されている。同様に、電極311eは、樹脂層23及び絶縁層31に設けられた開口を貫通して、接続体243と電気的に接続されている。樹脂層23の表面から電極311c及び電極311eは突出している。
≪表示装置の作製方法例4≫
以下では、図3及び図32〜図34を用いて、表示装置300F及び表示装置300Gの作製方法について説明する。なお、表示装置300Aの作製方法と同様の部分について詳細な説明は省略する。
[ステップS1:作製基板14を準備する]
まず、作製基板14を準備する(図3)。
[ステップS2:金属酸化物層20を形成する]
次に、作製基板14上に、金属酸化物層20を形成する(図3)。
[ステップS3:樹脂層23を形成する]
次に、金属酸化物層20上に、第1の層を形成する。そして、第1の層に対して加熱処理を行うことで、樹脂層23を形成する(図3及び図32(A))。
ここでは、樹脂層23に金属酸化物層20に達する開口を設ける。
後述の通り、樹脂層23に開口を設けた部分では、金属酸化物層20と導電層との界面で分離が生じる。樹脂層23の1つの開口の大きさが小さいほど、金属酸化物層20と導電層との界面での分離が容易となり、歩留まりを高めることができる。例えば、樹脂層23に設けられる1つの開口の面積は、10μm四方よりも小さいことが好ましく、5μm四方以下がより好ましく、3μm四方以下がさらに好ましい。また、樹脂層23に複数の開口を設ける場合、隣接する2つの開口の最短距離が長いほど、金属酸化物層20と導電層との界面での分離が容易となり、歩留まりを高めることができる。例えば、隣接する2つの開口の最短距離は、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がより好ましく、50μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましい。
図32(A)では、樹脂層23に開口部を1つ図示したが、当該開口部に小さな開口が複数設けられていてもよい。複数の開口はマトリクス状など規則的に配置されていても、不規則に配置されていてもよい。
感光性を有する材料を用いる場合、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて、所望の形状の樹脂層23を形成することができる。
非感光性の材料を用いる場合、例えば、マスクを用いてエッチングすることで、所望の形状の樹脂層23を形成することができる。
[ステップS4:トランジスタを形成する]
次に、樹脂層23上に、トランジスタを含む被剥離層を形成する。
樹脂層23上に絶縁層31を形成することが好ましい(図32(B))。
図32(B)に示すように、絶縁層31には、金属酸化物層20に達する開口を形成する。
次に、絶縁層31上に電極311a、電極311c、及び電極311eを形成する(図32(B))。そして、電極311a上に電極311bを、電極311c上に電極311dを、電極311e上に電極311fを形成する。電極311bは、電極311a上に開口451を有する。
電極311c及び電極311eは、それぞれ、樹脂層23及び絶縁層31に設けられた開口を介して、金属酸化物層20と接する。
その後、絶縁層220から絶縁層214までを形成する。これらの工程の詳細は、作製方法例1を参照できる。
[ステップS5:液晶素子170を形成する]
次に、液晶素子170を形成する(図3)。これにより、図32(C)に示す積層構造を作製することができる。
[ステップS6:光を照射する・分離する]
次に、金属酸化物層20と樹脂層23とを分離する(図3及び図33)。樹脂層23の開口部では、金属酸化物層20と電極311cの界面、金属酸化物層20と電極311eの界面で、分離が生じる。これにより、作製基板14上に作製したトランジスタ、液晶素子170等を、基板351に転置することができる。
[ステップS7−1:樹脂層23を除去するか判断する]
分離後、樹脂層23を除去する場合は、ステップS7−2に進む。樹脂層23を除去しない場合は、ステップ8に進む。
表示装置300Fを作製する場合、樹脂層23の除去工程は不要である。
表示装置300Gを作製する場合、樹脂層23の一部を除去してもよい。具体的には、樹脂層23を配向膜として機能させるために適した厚さまで薄くしてもよい。
[ステップS7−2:樹脂層23を除去する]
図34に、樹脂層23の一部を除去し、樹脂層23の厚さを薄くした例を示す。樹脂層23の一部が除去されることで、電極311cの一部及び電極311eの一部が突出する。
[ステップS8:液晶素子180を形成する]
次に、液晶素子180を形成する(図3)。
[ステップS9:実装する]
その後、FPC372やICなどを電気的に接続させることができる。また、偏光板135a、偏光板135b等の光学部材を配置することができる。
以上により、図30に示す表示装置300F及び図31に示す表示装置300Gをそれぞれ作製することができる。
≪表示装置の構成例5≫
以下では、図35を用いて、表示装置300Aとは異なる構成の表示装置について説明する。なお、表示装置300Aと同様の部分について詳細な説明は省略する。
図35に表示装置300Hの断面図を示す。表示装置300Hは、トランジスタの構造が表示装置300Aと異なる。それ以外の構成は、表示装置300Aと同様である。
表示装置300Aが有するトランジスタ205及びトランジスタ206は、BGTC(Bottom Gate Top Contact)型である。一方、表示装置300Hが有するトランジスタ205及びトランジスタ206は、(Top Gate Self Align)型である。
具体的には、表示装置300Hが有するトランジスタ205及びトランジスタ206は、ゲートとして機能する導電層223、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211b、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、並びに、半導体層231を有する。
表示装置300Hが有するトランジスタ201は、トランジスタ205及びトランジスタ206の構成に加えて、ゲートとして機能する導電層221aと、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211aを有する。
≪表示装置の構成例6≫
以下では、図36を用いて、表示装置300Aとは異なる構成の表示装置について説明する。なお、表示装置300Aと同様の部分について詳細な説明は省略する。
図36に表示装置300Jの断面図を示す。
配向膜133aと配向膜133bの間に液晶層112が挟持されるように、基板351と基板361とが貼り合わされている。液晶素子180は、電極311a、電極311b、電極311c、液晶層112、電極113を有する。
液晶素子180の画素電極として、配向膜133a側から、電極311a、電極311b、及び電極311cがこの順で積層されている。電極311aの端部と電極311cの端部は、電極311bの端部よりも外側に位置し、互いに接している。電極311a及び電極311cには、可視光を透過する導電膜を用いる。電極311bには、可視光を反射する導電膜を用いる。電極311bには、開口451が設けられている。開口451は液晶素子170の表示領域と重なる。
配向膜133aと液晶素子180の画素電極との間には絶縁層115が形成されている。絶縁層115は、バリア性が高いことが好ましい。絶縁層115には、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの窒素を含むシリコン膜が好適である。
電極311cと導電層224とは、絶縁層220aを介して重なる。導電層224は、絶縁層220bに設けられた開口を介して導電層203と電気的に接続されている。導電層224及び導電層203は容量素子の一方の電極として機能する。導電層224は、絶縁層220bを介して、トランジスタ205及びトランジスタ206と重なる。トランジスタ206のソースまたはドレインは、接続部207において、電極311cと電気的に接続されている。トランジスタ205のソースまたはドレインは、導電層228を介して、液晶素子170の電極191と電気的に接続される。各トランジスタは、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶縁層225、及び絶縁層215で覆われている。これらのうち1つまたは複数の絶縁層のバリア性が高いことが好ましい。図36では、絶縁層213及び絶縁層225にバリア性が高い材料を用いる例を示す。絶縁層213は、絶縁層220a、絶縁層220b、絶縁層212等に設けられた開口の端部を覆って設けられる。絶縁層225は、絶縁層214に設けられた開口の端部を覆って設けられる。被覆膜226は、可視光を反射する膜である。被覆膜226は、液晶素子170からの透過光の一部を反射して、開口451側に供給する機能を有する。レンズ227は、液晶素子170からの透過光を透過する機能を有する。レンズ227は、液晶素子170の表示領域と重なる。液晶素子170は、電極191、液晶層192、及び電極193を有する。液晶層192は配向膜153aと配向膜153bとの間に挟持されている。液晶素子170には、基板351を介して、バックライトユニット65から光が入射される。
表示装置は、絶縁層115から絶縁層215まで多くの絶縁膜を有する。そこで、開口451と重ねて、1層以上の絶縁層にも開口を形成することで、液晶素子170からの透過光が入射する層の数を減らすことができる。これにより、透過光の取り出し効率を高めることができる。透過光が通過する領域に、屈折率の差が大きい界面が生じないことが好ましい。図36では、絶縁層220a及び絶縁層220bなどに、開口451と重なる開口が形成されている例を示す。
基板361の一方の面に、着色層131、絶縁層121、絶縁層232、電極113、絶縁層117、及び配向膜133bが設けられている。絶縁層121は、オーバーコートとして機能する。絶縁層232には、バリア性の高い絶縁膜が好適である。電極113は、液晶素子180の共通電極として機能する。絶縁層117は、液晶素子180のセルギャップを保持するためのスペーサとして機能する。絶縁層117は、可視光を透過する。絶縁層117は、液晶素子170からの透過光を透過する。
<レーザ照射ユニット>
次に、図37(A)、(B)を用いて、レーザ照射ユニットの一例を説明する。
図37(A)、(B)に示す積層体56は、例えば被剥離体56aと支持体56bが積層された構成を有する。積層体56は、被剥離体56aと支持体56bとの間で剥離が生じる。被剥離体56aは例えば樹脂層を有し、支持体56bは例えば作製基板を有する。
搬送ローラ644は、積層体56を搬送することができる。積層体56を搬送する搬送機構は、搬送ローラに限られず、ベルトコンベア、または搬送ロボット等を用いてもよい。また、搬送機構上のステージに、積層体56を配置してもよい。
レーザ照射ユニット610は、積層体56にレーザを照射するユニットである。レーザとしては、例えば波長308nmの紫外光を出力するエキシマレーザなどを用いることができる。また、高圧水銀ランプやUV−LEDなどを用いてもよい。
図37(A)に示すように、積層体56は、上側に支持体56bが位置する状態で、レーザ照射ユニット610に搬送される。
エキシマレーザは高出力のパルスレーザであり、光学系にてビームを線状に整形することができる。線状ビームのレーザ光の照射位置において基板を移動させることで基板全体または必要箇所にレーザ光を照射することができる。なお、線状ビームは、用いる基板の一辺と同等以上の長さとすれば、基板を一方向に移動するのみで基板全体にレーザ光を照射することができる。パルスレーザの発振周波数は、1Hz以上300Hz以下が好ましく、60Hz近傍がより好ましい。
エキシマレーザ装置には、レーザ発振器を一つ搭載した装置の他、二つ以上のレーザ発振器を搭載する装置を用いることもできる。複数のレーザ発振器を搭載する装置においては、それぞれのレーザ発振器から同期されて出力されたレーザ光を光学系にて合成する(重ね合わす)ことで高エネルギー密度のレーザ光を得ることができる。したがって、本実施の形態の用途においては、第3.5世代(600mm×720mm)以上、第6世代ガラス基板(1500mm×1850mm)以上、第7世代(1870mm×2200mm)以上、または第8世代ガラス基板(2160mm×2460mm)以上のサイズの処理を行うこともできる。また、複数のレーザ発振器を搭載する装置では、それぞれのレーザ発振器から出力されるレーザ光が互いに出力ばらつきを補完するため、1パルス毎の強度ばらつきが少なくなり、歩留りの高い処理を行うことができる。なお、複数の発振器に替えて、複数のエキシマレーザ装置を用いてもよい。
図37(A)にエキシマレーザを用いたレーザ照射ユニット610の一例を示す。二つのレーザ発振器を有するエキシマレーザ装置660から出力されたレーザ光610a、610bは光学系635にて合成される。さらに光学系635にて横長に伸張されたレーザ光610cは、ミラー650を介してレンズ680に入射する。レンズ680を透過したレーザ光610dはレーザ光610cに比べて縮小される。このとき、レーザ光610dが、積層体56が有する加工領域640に支持体56b(例えばガラス基板)を介して照射されるようにする。以下では、レーザ光610dのうち、加工領域640に照射される部分を、線状ビーム610eと記す。
なお、ここでは二つのレーザ発振器を有する例を示したが、一つのレーザ発振器を有する構成としてもよく、これにより、装置を簡略化できる。また、三つ以上のレーザ発振器を有する構成としてもよく、これにより線状ビーム610eの強度を高めることができる。
そして、搬送ローラ644により図中の矢印方向に積層体56を移動させることで、加工領域640に線状ビーム610eを照射することができる。
図37(A)に示すように、積層体56を搬送ローラ644により一定の速度で搬送しながら線状ビーム610eを照射することにより、プロセス時間を短縮することが可能となる。なお、積層体56を少なくとも一方向に移動可能なステージに配置し、ステージを動かしながら線状ビーム610eを照射してもよい。なお、ステージを用いる場合には、進行方向に対して横方向、及び高さ方向に移動可能なステージを用い、線状ビーム610eの焦点の位置や深さを調整できる構成とすることが好ましい。なお、図37(A)では、積層体56を移動させることで、線状ビーム610eを照射する構成について例示したがこれに限定されない。例えば、積層体56を固定し、エキシマレーザ装置660などを移動させて、積層体56に線状ビーム610eを照射してもよい。
図37(A)では、線状ビーム610eが照射される加工領域640が、積層体56の端部よりも内側に位置する例を示している。これにより、加工領域640の外側の領域は密着性が高い状態を維持するため、搬送時に剥離が生じてしまうことを抑制できる。なお、線状ビーム610eの幅が積層体56の幅と等しい、または積層体56の幅よりも大きくてもよい。その場合、積層体56全体に線状ビーム610eが照射することができる。
図37(B)に、線状ビーム610eが積層体56の加工領域640に照射される様子を示す。積層体56は、作製基板58と、第1の層57aと、第2の層57bとを有する。ここで、作製基板58と第2の層57bを含む部分が支持体56bに相当し、第1の層57aを含む部分が被剥離体56aに相当する。
例えば、第1の層57aが上記樹脂層23に相当し、第2の層57bが上記金属酸化物層20に相当する。
レーザ光610dは、作製基板58を透過し、線状ビーム610eは、第1の層57aと第2の層57bの界面、またはその近傍に照射されることが好ましい。特に、線状ビーム610eは、第1の層57aと第2の層57bの界面、またはその近傍に焦点が位置することが好ましい。
また、第1の層57aと第2の層57bとの界面に線状ビーム610eの焦点が位置することで、第1の層57aと第2の層57bとの界面に存在しうる水が気化し、水の体積が急激に膨張する場合がある。この場合、水の体積の膨張に伴い、第1の層57aと第2の層57bとの界面、またはその近傍で剥離現象が生じると推定される。
なお、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、アモルファスシリコン膜を結晶化させる技術がある。当該技術の場合、アモルファスシリコン膜の内部にレーザ光の焦点を合わせる。しかしながら、本発明の一態様においては、図37(B)に示すように、レーザ光(ここでは、線状ビーム610e)の焦点は、第1の層57aと、第2の層57bとの界面またはその近傍である。このように本発明の一態様は、レーザ光の焦点位置がアモルファスシリコン膜を結晶化させる技術と相違している。
また、線状ビーム610eの焦点深度が十分に大きい(深い)場合、第1の層57aと第2の層57bの界面またはその近傍だけでなく、第1の層57aの厚さ方向全体、第2の層57bの厚さ方向全体、または第1の層57aと第2の層57bの両方の厚さ方向全体に亘って、線状ビーム610eの焦点が位置する場合がある。
なお、エキシマレーザとしては、波長308nmまたはそれよりも波長が長いものを用いることが好ましい。波長308nm以上であれば、支持体56bにガラス基板を用いた場合においても加工に必要なレーザ光を十分に透過させることができる。
<その他の分離方法について>
本実施の形態の表示装置の作製方法で用いることができるその他の分離方法について説明する。
例えば、光の照射を用いた分離方法を用いる場合、金属酸化物層を設けず、作製基板に直接樹脂層を形成してもよい。
また、物理的に分離する方法を用いてもよい。このとき、例えば、作製基板上に剥離層を形成し、剥離層上に被剥離層を形成することが好ましい。剥離層としては、例えば、タングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の酸化物を含む層の積層構造を用いることができる。例えば、高融点金属材料を含む金属層を形成し、該金属層の表面を酸素プラズマ処理などにより酸化させることで当該積層構造を形成できる。
被剥離層のうち、剥離層に接する層として、無機絶縁膜を形成することが好ましい。そして無機絶縁膜上に機能素子を形成することが好ましい。剥離層及び無機絶縁膜を形成した支持基板に、垂直方向に引っ張る力を加えることで、剥離層と無機絶縁膜とを分離することができる。
物理的に分離する方法においても、分離時に、分離界面に水や水溶液など、水を含む液体を添加し、該液体が分離界面に浸透するように分離を行うことで、分離を容易に行うことができる。また、分離時に生じる静電気が、トランジスタなどの機能素子に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電気により破壊されるなど)を抑制できる。
以上のように、本実施の形態の表示装置の作製方法を用いて、周囲の明るさによらず視認性が高く、利便性の高い表示装置を作製することができる。本実施の形態の表示装置の作製方法では、作製基板上に、金属酸化物層と樹脂層とを積層し、光を照射することによって樹脂層の金属酸化物層に対する剥離性を制御する。したがって、高い歩留まりで表示装置を作製できる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について図38〜図40を用いて説明する。
<表示装置の概念>
本発明の一態様を適用して作製できる表示装置としては、例えば、ハイブリッドディスプレイが挙げられる。ハイブリッドディスプレイは、ハイブリッド表示を行うことができる。
ハイブリッド表示とは、1つのパネルにおいて、反射光と透過光とを併用して、色調または光強度を互いに補完して、文字または画像を表示する方法である。または、ハイブリッド表示とは、同一画素または同一副画素において、複数の表示素子からそれぞれの光を用いて、文字及び/または画像を表示する方法である。ただし、ハイブリッド表示を行っているハイブリッドディスプレイを局所的にみると、複数の表示素子のいずれか一を用いて表示される画素または副画素と、複数の表示素子の二以上を用いて表示される画素または副画素と、を有する場合がある。
なお、本明細書等において、上記構成のいずれか1つまたは複数の表現を満たすものを、ハイブリッド表示という。
また、ハイブリッドディスプレイは、同一画素または同一副画素に複数の表示素子を有する。なお、複数の表示素子としては、例えば、光を反射する反射型素子と、光を透過する透過型素子とが挙げられる。なお、反射型素子と、透過型素子とは、それぞれ独立に制御することができる。ハイブリッドディスプレイは、表示部において、反射光、及び透過光のいずれか一方または双方を用いて、文字及び/または画像を表示する機能を有する。
<表示装置の構成例>
本実施の形態の表示装置は、第1の表示素子を有する第1の画素と、第2の表示素子を有する第2の画素とをそれぞれ複数有する。第1の画素と第2の画素は、それぞれ、マトリクス状に配置されることが好ましい。
第1の画素と第2の画素は、同数且つ同ピッチで、表示領域内に配置されていることが好ましい。このとき、隣接する第1の画素と第2の画素を合わせて、画素ユニットと呼ぶことができる。これにより、後述するように複数の第1の画素のみで表示された画像と、複数の第2の画素のみで表示された画像、並びに複数の第1の画素及び複数の第2の画素の両方で表示された画像のそれぞれは、同じ表示領域に表示することができる。なお、第1の画素と第2の画素は、数及びピッチの一方または双方が異なってもよい。
第1の画素及び第2の画素は、それぞれ、1つ以上の副画素を有する構成とすることができる。例えば、画素には、副画素を1つ有する構成(白色(W)など)、副画素を3つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(W)の4色、または、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)の4色など)を適用できる。
本実施の形態の表示装置は、第1の画素と第2の画素のどちらでも、フルカラー表示を行う構成とすることができる。または、本実施の形態の表示装置は、第1の画素では白黒表示またはグレースケールでの表示を行い、第2の画素ではフルカラー表示を行う構成とすることができる。第1の画素を用いた白黒表示またはグレースケールでの表示は、文書情報など、カラー表示を必要としない情報を表示することに適している。
また、本発明の一態様の表示装置は、さまざまな規格の色域を再現することができる。例えば、テレビ放送で使われるPAL(Phase Alternating Line)規格及びNTSC(National Television System Committee)規格、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、プリンタなどの電子機器に用いる表示装置で広く使われているsRGB(standard RGB)規格及びAdobe RGB規格、HDTV(High Definition Television、ハイビジョンともいう)で使われるITU−R BT.709(International Telecommunication Union Radiocommunication Sector Broadcasting Service(Television) 709)規格、デジタルシネマ映写で使われるDCI−P3(Digital Cinema Initiatives P3)規格、UHDTV(Ultra High Definition Television、スーパーハイビジョンともいう)で使われるITU−R BT.2020(REC.2020(Recommendation 2020))規格などの色域を再現することができる。
図38(A)に、表示装置10Aのブロック図を示す。
表示装置10Aは、表示部14Aを有する。表示部14Aは、マトリクス状に配置された複数の画素ユニット30Aを有する。画素ユニット30Aは、第1の画素31pと、第2の画素32pを有する。
図38(A)では、第1の画素31pが白色(W)に対応する表示素子31Wを有する例を示している。表示素子31Wは、外光の反射を利用した表示素子である。
図38(A)では、第2の画素32pが赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に対応する表示素子を有する場合の例を示している。
図38(A)に示す第2の画素32pは、赤色(R)に対応する表示素子32R、緑色(G)に対応する表示素子32G、青色(B)に対応する表示素子32Bを有する。表示素子32R、32G、32Bはそれぞれ、光源の光を透過する表示素子である。
図38(B)に、表示装置10Bのブロック図を示す。
表示装置10Bは、表示部14Bを有する。表示部14Bは、マトリクス状に配置された複数の画素ユニット30Bを有する。画素ユニット30Bは、第1の画素31pと、第2の画素32pを有する。
図38(B)では、第1の画素31pが赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に対応する表示素子を有する例を示している。
図38(B)に示す第1の画素31pは、赤色(R)に対応する表示素子31R、緑色(G)に対応する表示素子31G、及び青色(B)に対応する表示素子31Bを有する。表示素子31R、表示素子31G、及び表示素子31Bは、それぞれ外光を反射して表示する素子である。表示素子31Rは、外光を反射し、赤色の光Rrを表示面側に射出する。表示素子31G、表示素子31Bも同様に、それぞれ緑色の光Grまたは青色の光Brを、表示面側に射出する。
図38(B)に示す第2の画素32pの構成は、図38(A)と同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
<画素ユニットの構成例>
図38(C)は、画素ユニット30Aの構成例を示す模式図である。
第1の画素31pは、表示素子31Wを有する。表示素子31Wは、外光を反射して表示する素子である。表示素子31Wは外光を反射し、白色の光Wrを表示面側に射出する。
第2の画素32pは、表示素子32R、表示素子32G、表示素子32Bを有する。表示素子32R、表示素子32G、及び表示素子32Bは、それぞれ可視光を透過する素子である。表示素子32Rは赤色の光Rtを、表示面側に射出する。表示素子32G、表示素子32Bも同様に、それぞれ緑色の光Gtまたは青色の光Btを、表示面側に射出する。
続いて、図39(A)〜(C)を用いて、画素ユニット30Aによる表示モードについて説明する。
図39(A)は、第1の画素31pを駆動させることにより、反射光のみを用いて表示を行うモード(第1のモード)に対応する。画素ユニット30Aは、例えば外光の照度が十分に高い場合などでは、第2の画素32pを駆動させずに、第1の画素31pからの光のみを用いることにより、反射光である光35rを表示面側に射出することができる。これにより、極めて低消費電力な駆動を行うことができる。また、目に優しい表示を行うことができる。
図39(B)は、第2の画素32pを駆動させることにより、透過光のみを用いて表示を行うモード(第2のモード)に対応する。画素ユニット30は、例えば外光の照度が極めて小さい場合などでは、第1の画素31pを駆動させずに、第2の画素32pからの光(光Rt、光Gt、及び光Bt)のみを混色させることにより、所定の色の光35tを表示面側に射出することができる。これにより鮮やかな表示を行うことができる。また外光の照度が小さい場合に輝度を低くすることで、使用者が感じる眩しさを抑えると共に消費電力を低減できる。
図39(C)は、第1の画素31pと第2の画素32pの両方を、同一期間内にそれぞれ駆動させることで表示を行うモード(第3のモード)に対応する。画素ユニット30は、光Wrと、光Rt、光Gt、及び光Btの4つの光を混色させることにより、反射光と透過光とが混在した所定の色の光35trを表示面側に射出することができる。
図38(D)は、画素ユニット30Bの構成例を示す模式図である。画素ユニット30Bにおいても、上記3種類の表示モードを行うことができる。
図38(D)は、第1の画素31pと第2の画素32pの両方を駆動させることで表示を行うモード(第3のモード)に対応する。画素ユニット30Bは、光Rr、光Gr、光Br、光Rt、光Gt、及び光Btの6つの光を混色させることにより、反射光と透過光とが混在した所定の色の光35trを表示面側に射出することができる。
このとき、光35trが所定の輝度及び色度の光となるような、光Rr、光Gr、光Br、光Rt、光Gt、及び光Btの6つの光それぞれの輝度の組み合わせは、多数存在する。そこで、同じ輝度及び色度の光35trを実現する6つの光それぞれの輝度(階調)の組み合わせのうち、第1の画素31pから射出される光Rr、光Gr及び光Brの輝度(階調)が最も大きくなる組み合わせを選択することが好ましい。これにより、色再現性を犠牲にすることなく、消費電力を低減することができる。
<表示装置の動作モード>
次に、第1の表示素子及び第2の表示素子で行うことができる動作モードについて、図40を用いて説明を行う。
なお、以下では、通常のフレーム周波数(代表的には60Hz以上240Hz以下)で動作する通常動作モード(Normal mode)と、低速のフレーム周波数で動作するアイドリング・ストップ(IDS)駆動モードと、を例示して説明する。
なお、IDS駆動モードとは、画像データの書き込み処理を実行した後、画像データの書き換えを停止する駆動方法のことをいう。一旦画像データの書き込みをして、その後、次の画像データの書き込みまでの間隔を延ばすことで、その間の画像データの書き込みに要する分の消費電力を削減することができる。IDS駆動モードは、例えば、通常動作モードの1/100乃至1/10程度のフレーム周波数とすることができる。静止画は、連続するフレーム間でビデオ信号が同じである。よって、IDS駆動モードは、静止画を表示する場合に特に有効である。IDS駆動を用いて画像を表示させることで、消費電力が低減されるとともに、画面のちらつき(フリッカー)が抑制され、眼精疲労も低減できる。
図40(A)〜図40(C)は、画素回路、及び、通常駆動モードとIDS駆動モードを説明するタイミングチャートである。なお、図40(A)では、第1の表示素子501(ここでは反射型の液晶素子)と、第1の表示素子501に電気的に接続される画素回路506と、を示している。また、図40(A)に示す画素回路506では、信号線SLと、ゲート線GLと、信号線SL及びゲート線GLに接続されたトランジスタM1と、トランジスタM1に接続される容量素子CsLCとを示している。
トランジスタM1は、データD1のリークパスと成り得る。よって、トランジスタM1のオフ電流は小さいほど好ましい。トランジスタM1としては、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物を有するトランジスタを用いることが好ましい。金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)または酸化物半導体(oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。以下、トランジスタの代表例として、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)を用いて説明する。OSトランジスタは、多結晶シリコンなどを用いたトランジスタよりも非導通状態時のリーク電流(オフ電流)が極めて低い特徴を有する。トランジスタM1にOSトランジスタを用いることでノードND1に供給された電荷を長期間保持することができる。
なお、図40(A)に示す回路図において、液晶素子LCはデータD1のリークパスとなる。したがって、適切にIDS駆動を行うには、液晶素子LCの抵抗率を1.0×1014Ω・cm以上とすることが好ましい。
なお、上記OSトランジスタのチャネル領域には、例えば、In−Ga−Zn酸化物、In−Zn酸化物などを好適に用いることができる。また、上記In−Ga−Zn酸化物としては、代表的には、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]近傍の組成を用いることができる。
図40(B)は、通常駆動モードでの信号線SL及びゲート線GLにそれぞれ与える信号の波形を示すタイミングチャートである。通常駆動モードでは通常のフレーム周波数(例えば60Hz)で動作する。1フレーム期間を期間T1からT3までで表すと、各フレーム期間でゲート線GLに走査信号を与え、信号線SLからデータD1をノードND1に書き込む動作を行う。この動作は、期間T1からT3までで同じデータD1を書き込む場合、または異なるデータを書き込む場合でも同じである。
一方、図40(C)は、IDS駆動モードでの信号線SL及びゲート線GLに、それぞれ与える信号の波形を示すタイミングチャートである。IDS駆動では低速のフレーム周波数(例えば1Hz)で動作する。1フレーム期間を期間T1で表し、その中でデータの書き込み期間を期間TW、データの保持期間を期間TRETで表す。IDS駆動モードは、期間TWでゲート線GLに走査信号を与え、信号線SLのデータD1を書き込み、期間TRETでゲート線GLをローレベルの電圧に固定し、トランジスタM1を非導通状態として一旦書き込んだデータD1を保持させる動作を行う。なお、低速のフレーム周波数としては、例えば、0.1Hz以上60Hz未満とすればよい。
IDS駆動モードは、上述した第1のモード、第2のモード、または第3のモードと組み合わせることで、さらなる低消費電力化を図ることができるため有効である。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の、より具体的な構成例について図41〜図43を用いて説明する。
図41(A)は、表示装置700のブロック図である。表示装置700は、表示部701、回路GD、及び回路SDを有する。表示部701は、マトリクス状に配列した複数の画素710を有する。
表示装置700は、複数の配線G11、複数の配線G12、複数の配線ANO、複数の配線CSCOM、複数の配線S1、及び複数の配線S2を有する。複数の配線G11、複数の配線G12、複数の配線ANO、及び複数の配線CSCOMは、それぞれ、矢印Rで示す方向に配列した複数の画素710及び回路GDと電気的に接続する。複数の配線S1及び複数の配線S2は、それぞれ、矢印Cで示す方向に配列した複数の画素710及び回路SDと電気的に接続する。
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、反射型の液晶素子を駆動する回路GD及び回路SDと、透過型の液晶素子を駆動する回路GD及び回路SDとを、別々に設けてもよい。
画素710は、反射型の液晶素子と、透過型の液晶素子を有する。
図41(B1)、(B2)に、画素710が有する電極761の構成例を示す。電極761は、反射型の液晶素子の反射電極として機能する。電極761には、開口751が設けられている。
図41(B1)、(B2)には、電極761と重なる領域に位置する透過型の液晶素子760を破線で示している。透過型の液晶素子760は、電極761が有する開口751と重ねて配置されている。これにより、透過型の液晶素子760が透過する光は、開口751を介して表示面側に射出される。
図41(B1)では、矢印Rで示す方向に隣接する画素710が異なる色に対応する副画素である。
図41(B2)では、矢印Cで示す方向に隣接する画素710が異なる色に対応する副画素である。
非開口部の総面積に対する開口751の総面積の比の値が小さいほど、反射型の液晶素子を用いた表示を明るくすることができる。また、非開口部の総面積に対する開口751の総面積の比の値が大きいほど、透過型の液晶素子760を用いた表示を明るくすることができる。
開口751の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口751を隣接する画素に寄せて配置してもよい。
回路GDには、シフトレジスタ等の様々な順序回路等を用いることができる。回路GDには、トランジスタ及び容量素子等を用いることができる。回路GDが有するトランジスタは、画素710に含まれるトランジスタと同じ工程で形成することができる。
回路SDは、配線S1と電気的に接続される。回路SDには、例えば、集積回路を用いることができる。具体的には、回路SDには、シリコン基板上に形成された集積回路を用いることができる。
例えば、COG方式またはCOF方式等を用いて、画素710と電気的に接続されるパッドに回路SDを実装することができる。具体的には、異方性導電膜を用いて、パッドに集積回路を実装できる。
図42は、画素710の構成例を示す回路図である。図42では、隣接する2つの画素710を示している。
画素710は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子740、スイッチSW2、スイッチSW2、容量素子C2、及び液晶素子760等を有する。また、画素710には、配線G11、配線G12、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に接続されている。また、図42では、液晶素子740と電気的に接続する配線VCOM1、及び液晶素子760と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
図42では、スイッチSW1及びスイッチSW2にトランジスタを用いた場合の例を示している。
スイッチSW1のゲートは、配線G11と接続されている。スイッチSW1のソース及びドレインのうち一方は、配線S1と接続され、他方は、容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子740の一方の電極と接続されている。容量素子C1の他方の電極は、配線CSCOMと接続されている。液晶素子740の他方の電極は、配線VCOM1と接続されている。
スイッチSW2のゲートは、配線G12と接続されている。スイッチSW2のソース及びドレインのうち一方は、配線S2と接続され、他方は、容量素子C2の一方の電極、及び液晶素子760の一方の電極と接続されている。容量素子C2の他方の電極は、配線CSCOMと接続されている。液晶素子760の他方の電極は、配線VCOM2と接続されている。
配線G11には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子740が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
配線G12には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2には、所定の電位を与えることができる。配線S2には、液晶素子760が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。
図42に示す画素710は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G11及び配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子740による光学変調を利用して表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G12及び配線S2に与える信号により駆動し、液晶素子760による光学変調を利用して表示することができる。また両方のモードで駆動する場合には、配線G11、配線G12、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
なお、図42では一つの画素710に、一つの液晶素子740と一つの液晶素子760とを有する例を示している。このとき、画素710は1つの副画素として機能する。または、液晶素子760を時間階調法により駆動することで、透過モードまたは両方のモードで表示する際に、1つの画素710でフルカラーの表示が可能である。
図43は、1つの画素710に1つの反射型の液晶素子740と3つの透過型の液晶素子(液晶素子760r、液晶素子760g、及び液晶素子760b)を有する例を示している。液晶素子760r、液晶素子760g、及び液晶素子760bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を透過する、透過型の液晶素子である。図43に示す画素710は、透過モードまたは両方のモードで表示する際に、3つの透過型の液晶素子によりフルカラーの表示が可能である。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、タッチセンサの駆動方法の例について、図面を参照して説明する。
<センサの検知方法の例>
図44(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図44(A)では、パルス電圧出力回路551、電流検出回路552を示している。なお図44(A)では、パルス電圧が与えられる電極521、電流の変化を検知する電極522をそれぞれ、X1−X6、Y1−Y6のそれぞれ6本の配線として示している。また図44(A)は、電極521及び電極522が重畳することで形成される容量553を図示している。なお、電極521と電極522とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路551は、X1−X6の配線に順にパルス電圧を印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量553を形成する電極521と電極522の間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量553の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接または接触を検出することができる。
電流検出回路552は、容量553での相互容量の変化による、Y1乃至Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1乃至Y6の配線では、被検知体の近接または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
なお、パルス電圧出力回路551及び電流検出回路552の一方または両方を、図1等に示す基板351上または基板361上に形成してもよい。例えば、表示部362や回路364などと同時に形成すると、工程を簡略化できることに加え、タッチセンサの駆動に用いる部品数を削減することができるため好ましい。また、パルス電圧出力回路551及び電流検出回路552の一方または両方を、IC373に実装してもよい。
特に、基板351に形成されるトランジスタとして、チャネルが形成される半導体層に多結晶シリコンや単結晶シリコンなどの結晶性シリコンを用いると、パルス電圧出力回路551や電流検出回路552等の回路の駆動能力が向上し、タッチセンサの感度を向上させることができる。
図44(B)には、図44(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図44(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また図44(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<表示装置の駆動方法例>
図45(A)は、表示装置の構成例を示すブロック図である。図45(A)ではゲート駆動回路GD(走査線駆動回路)、ソース駆動回路SD(信号線駆動回路)、複数の画素pixを有する表示部を示している。なお図45(A)では、ゲート駆動回路GDに電気的に接続されるゲート線x_1乃至x_m(mは自然数)、ソース駆動回路SDに電気的に接続されるソース線y_1乃至y_n(nは自然数)に対応して、画素pixではそれぞれに(1,1)乃至(n,m)の符号を付している。
図45(B)は、図45(A)で示す表示装置におけるゲート線及びソース線に与える信号のタイミングチャート図である。図45(B)では、1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換える場合と、データ信号を書き換えない場合と、に分けて示している。なお図45(B)では、帰線期間等の期間を考慮していない。
1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換える場合、x_1乃至x_mのゲート線には、順に走査信号が与えられる。走査信号がHレベルの期間である水平走査期間1Hでは、各列のソース線y_1乃至y_nにデータ信号Dが与えられる。
1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換えない場合、ゲート線x_1乃至x_mに与える走査信号を停止する。また水平走査期間1Hでは、各列のソース線y_1乃至y_nに与えるデータ信号を停止する。
1フレーム期間ごとにデータ信号を書き換えない駆動方法は、特に、画素pixが有するトランジスタとしてチャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を適用する場合に有効である。酸化物半導体が適用されたトランジスタはシリコン等の半導体が適用されたトランジスタに比べて極めてオフ電流を小さくすることが可能である。そのため、1フレーム期間ごとにデータ信号の書き換えを行わずに前の期間に書き込んだデータ信号を保持させることができ、例えば1秒以上、好ましくは5秒以上に亘って画素の階調を保持することもできる。
また、画素pixが有するトランジスタとしてチャネルが形成される半導体層に多結晶シリコンなどを適用する場合には、画素が有する保持容量の大きさをあらかじめ大きくしておくことが好ましい。保持容量が大きいほど、画素の階調を長時間に亘って保持することができる。保持容量の大きさは、保持容量に電気的に接続するトランジスタや表示素子のリーク電流に応じて設定すればよいが、例えば、1画素あたりの保持容量を5fF以上5pF以下、好ましくは10fF以上5pF以下、より好ましくは20fF以上1pF以下とすると、1フレーム期間ごとにデータ信号の書き換えを行わずに前の期間に書き込んだデータ信号を保持させることができ、例えば数フレームまたは数10フレームの期間に亘って画素の階調を保持することが可能となる。
<表示部とタッチセンサの駆動方法の例>
図46(A)乃至(D)は、一例として図44(A)、(B)で説明したタッチセンサと、図45(A)、(B)で説明した表示部を1sec.(1秒間)駆動する場合に、連続するフレーム期間の動作について説明する図である。なお図46(A)では、表示部の1フレーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)、タッチセンサの1フレーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)とした場合について示している。
本発明の一態様の表示装置は、表示部の動作とタッチセンサの動作は互いに独立しており、表示期間と平行してタッチ検知期間を設けることができる。そのため図46(A)に示すように、表示部及びタッチセンサの1フレーム期間を共に16.7ms(フレーム周波数:60Hz)と設定することができる。また、タッチセンサと表示部のフレーム周波数を異ならせてもよい。例えば図46(B)に示すように、表示部の1フレーム期間を8.3ms(フレーム周波数:120Hz)と設定し、タッチセンサの1フレーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)とすることもできる。また、図示しないが、表示部のフレーム周波数を33.3ms(フレーム周波数:30Hz)としてもよい。
また表示部のフレーム周波数を切り替え可能な構成とし、動画像の表示の際にはフレーム周波数を大きく(例えば60Hz以上または120Hz以上)し、静止画像の表示の際にはフレーム周波数を小さく(例えば60Hz以下、30Hz以下、または1Hz以下)することで、表示装置の消費電力を低減することができる。またタッチセンサのフレーム周波数を切り替え可能な構成とし、待機時と、タッチを感知した時とでフレーム周波数を異ならせてもよい。
また本発明の一態様の表示装置は、表示部におけるデータ信号の書き換えを行わずに、前の期間に書き換えたデータ信号を保持することで、表示部の1フレーム期間を16.7msよりも長い期間とすることができる。そのため、図46(C)に示すように、表示部の1フレーム期間を1sec.(フレーム周波数:1Hz)と設定し、タッチセンサの1フレーム期間を16.7ms(フレーム周波数:60Hz)とすることもできる。
なお、表示部におけるデータ信号の書き換えを行わずに、前の期間に書き換えたデータ信号を保持する構成については、先に説明のIDS駆動モードを参照することができる。なお、IDS駆動モードについては、表示部におけるデータ信号の書き換えを特定の領域だけ行う、部分IDS駆動モードとしてもよい。部分IDS駆動モードとは、表示部におけるデータ信号の書き換えを特定の領域だけ行い、それ以外の領域においては、前の期間に書き換えたデータ信号を保持する構成である。
また、本実施の形態に開示するタッチセンサの駆動方法によれば、図46(C)に示す駆動を行う場合、継続してタッチセンサの駆動を行うことができる。そのため、図46(D)に示すようにタッチセンサにおける被検知体の近接または接触を検知したタイミングで、表示部のデータ信号を書き換えることもできる。
ここで、タッチセンサのセンシング期間に表示部のデータ信号の書き換え動作を行うと、データ信号の書き換え時に生じるノイズがタッチセンサに伝わることで、タッチセンサの感度を低下させてしまう恐れがある。したがって、表示部のデータ信号の書き換え期間と、タッチセンサのセンシング期間とをずらすように駆動することが好ましい。
図47(A)では、表示部のデータ信号の書き換えと、タッチセンサのセンシングとを交互に行う例を示している。また、図47(B)では、表示部のデータ信号の書き換え動作を2回行うごとに、タッチセンサのセンシングを1回行う例を示している。なお、これに限られず3回以上の書き換え動作を行うごとにタッチセンサのセンシングを1回行う構成としてもよい。
また、画素pixに適用されるトランジスタに、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いる場合、オフ電流を極めて低減することが可能なため、データ信号の書き換えの頻度を十分に低減することができる。具体的には、データ信号の書き換えを行った後、次にデータ信号を書き換えるまでの間に、十分に長い休止期間を設けることが可能となる。休止期間は、例えば0.5秒以上、1秒以上、または5秒以上とすることができる。休止期間の上限は、トランジスタに接続される容量や表示素子等のリーク電流によって制限されるが、例えば1分以下、10分以下、1時間以下、または1日以下などとすることができる。
図47(C)では、5秒間に1度の頻度で表示部のデータ信号の書き換えを行う例を示している。図47(C)では、表示部はデータ信号を書き換えたのち、次のデータ信号の書き換え動作までの期間は、書き換え動作を停止する休止期間が設けられている。休止期間では、タッチセンサがフレーム周波数iHz(iは表示装置のフレーム周波数以上、ここでは0.2Hz以上)で駆動することができる。また図47(C)に示すように、タッチセンサのセンシングを休止期間に行い、表示部のデータ信号の書き換え期間には行わないようにすると、タッチセンサの感度を向上させることができ好ましい。また、図47(D)に示すように、表示部のデータ信号の書き換えとタッチセンサのセンシングを同時に行うと、駆動のための信号を簡略化することができる。
また、表示部のデータ信号の書き換え動作を行わない休止期間では、表示部へのデータ信号の供給を停止するだけでなく、ゲート駆動回路GD及びソース駆動回路SDの一方または双方の動作を停止してもよい。さらに、ゲート駆動回路GD及びソース駆動回路SDの一方または双方への電力供給を停止してもよい。このようにすることで、ノイズをより低減し、タッチセンサの感度をさらに良好なものとすることができる。また、表示装置の消費電力をさらに低減することができる。
また、表示装置として、先に説明のハイブリッドディスプレイを用いる場合、上述のIDS駆動モード、または部分IDS駆動モードと、上述のタッチセンサの駆動方法と、を組み合わせることができる。また、ハイブリッドディスプレイを用いる場合、複数の表示素子は、それぞれ独立してIDS駆動モードまたは部分IDS駆動モードを行うことができる。ハイブリッドディスプレイを用いる場合、以下のような駆動方法を実現できる。
例えば、上記ハイブリッドディスプレイが反射型素子と、透過型素子とを有する場合、反射型素子にて白黒の画像を表示させる。その後、反射型素子をIDS駆動モードにし、ゲート駆動回路GD及びソース駆動回路SDの一方または双方への電力供給を停止する。その後、タッチセンサのセンシングを行い、当該センシングが行われていない領域の反射型素子を部分IDS駆動モードへと移行させる。その後、部分IDS駆動モードが行われていない領域の透過型素子を駆動させる。その後、当該透過型素子を駆動させている、ゲート駆動回路GD及びソース駆動回路SDの一方または双方への電力供給を停止させて、透過型素子を部分IDS駆動モードへと移行する。
上記のような駆動方法を行うことで、消費電力を低減させ、且つタッチセンサの検出感度が高められた優れた表示装置を実現することができる。
本発明の一態様の表示装置は、2つの基板で表示部とタッチセンサが挟持された構成を有する。よって、表示部とタッチセンサの距離を極めて近づけることができる。このとき、表示部の駆動時のノイズがタッチセンサに伝搬しやすくなり、タッチセンサの感度が低下してしまう恐れがある。本実施の形態で例示した駆動方法を適用することで、薄型化と高い検出感度を両立した、タッチセンサを有する表示装置を実現できる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができる金属酸化物について説明する。以下では特に、金属酸化物とCAC(Cloud−Aligned Composite)の詳細について説明する。
CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OSまたはCAC−metal oxideを、トランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OSまたはCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−OSまたはCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
CAC−OSは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状またはパッチ状ともいう。
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、及びZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、及びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、及びOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)O3(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC(c−axis aligned crystal)構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC−OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC−OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、及びc軸方向の配向は見られないことが分かる。
またCAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、及び断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
また例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
本発明の一態様により、平面を有し、信頼性の高い電子機器を作製できる。また、本発明の一態様により、曲面を有し、信頼性の高い電子機器を作製できる。また、本発明の一態様により、可撓性を有し、信頼性の高い電子機器を作製できる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、本発明の一態様の表示装置は、外光の強さによらず、高い視認性を実現することができる。そのため、携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電子書籍端末などに好適に用いることができる。
図48(A)、(B)に示す携帯情報端末800は、筐体801、筐体802、表示部803、及びヒンジ部805等を有する。
筐体801と筐体802は、ヒンジ部805で連結されている。携帯情報端末800は、折り畳んだ状態(図48(A))から、図48(B)に示すように展開させることができる。これにより、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により、視認性に優れる。
携帯情報端末800には、ヒンジ部805により連結された筐体801と筐体802に亘って、フレキシブルな表示部803が設けられている。
本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示部803に用いることができる。これにより、高い歩留まりで携帯情報端末を作製することができる。
表示部803は、文書情報、静止画像、及び動画像等のうち少なくとも一つを表示することができる。表示部に文書情報を表示させる場合、携帯情報端末800を電子書籍端末として用いることができる。
携帯情報端末800を展開すると、表示部803が大きく湾曲した形態で保持される。例えば、曲率半径1mm以上50mm以下、好ましくは5mm以上30mm以下に湾曲した部分を含んで、表示部803が保持される。表示部803の一部は、筐体801から筐体802にかけて、連続的に画素が配置され、曲面状の表示を行うことができる。
表示部803は、タッチパネルとして機能し、指やスタイラスなどにより操作することができる。
表示部803は、一つのフレキシブルディスプレイで構成されていることが好ましい。これにより、筐体801と筐体802の間で途切れることのない連続した表示を行うことができる。なお、筐体801と筐体802のそれぞれに、ディスプレイが設けられる構成としてもよい。
ヒンジ部805は、携帯情報端末800を展開したときに、筐体801と筐体802との角度が所定の角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好ましい。例えば、ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満であることが好ましく、代表的には、90度、120度、135度、150度、または175度などとすることができる。これにより、携帯情報端末800の利便性、安全性、及び信頼性を高めることができる。
ヒンジ部805がロック機構を有すると、表示部803に無理な力がかかることなく、表示部803が破損することを防ぐことができる。そのため、信頼性の高い携帯情報端末を実現できる。
筐体801及び筐体802は、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク等を有していてもよい。
筐体801または筐体802のいずれか一方には、無線通信モジュールが設けられ、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity:登録商標)などのコンピュータネットワークを介して、データを送受信することが可能である。
図48(C)に示す携帯情報端末810は、筐体811、表示部812、操作ボタン813、外部接続ポート814、スピーカ815、マイク816、カメラ817等を有する。
本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示部812に用いることができる。これにより、高い歩留まりで携帯情報端末を作製することができる。
携帯情報端末810は、表示部812にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部812に触れることで行うことができる。
また、操作ボタン813の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部812に表示される画像の種類の切り替えを行うことができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
また、携帯情報端末810の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯情報端末810の向き(縦か横か)を判断して、表示部812の画面表示の向きを自動的に切り替えることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部812に触れること、操作ボタン813の操作、またはマイク816を用いた音声入力等により行うこともできる。
携帯情報端末810は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。携帯情報端末810は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
図48(D)に示すカメラ820は、筐体821、表示部822、操作ボタン823、シャッターボタン824等を有する。またカメラ820には、着脱可能なレンズ826が取り付けられている。
本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示部822に用いることができる。これにより、高い歩留まりでカメラを作製することができる。
ここではカメラ820を、レンズ826を筐体821から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ826と筐体821とが一体となっていてもよい。
カメラ820は、シャッターボタン824を押すことにより、静止画または動画を撮像することができる。また、表示部822はタッチパネルとしての機能を有し、表示部822をタッチすることにより撮像することも可能である。
なお、カメラ820は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することができる。または、これらが筐体821に組み込まれていてもよい。
図49(A)〜(E)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチまたは操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008等を有する。
本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示部9001に好適に用いることができる。これにより、高い歩留まりで電子機器を作製することができる。
図49(A)〜(E)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図49(A)〜(E)に示す電子機器が有する機能はこれらに限定されず、その他の機能を有していてもよい。
図49(A)は腕時計型の携帯情報端末9200を、図49(B)は腕時計型の携帯情報端末9201を、それぞれ示す斜視図である。
図49(A)に示す携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図49(B)に示す携帯情報端末9201は、図49(A)に示す携帯情報端末と異なり、表示部9001の表示面が湾曲していない。また、携帯情報端末9201の表示部の外形が非矩形状(図49(B)においては円形状)である。
図49(C)〜(E)は、折り畳み可能な携帯情報端末9202を示す斜視図である。なお、図49(C)が携帯情報端末9202を展開した状態の斜視図であり、図49(D)が携帯情報端末9202を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図49(E)が携帯情報端末9202を折り畳んだ状態の斜視図である。
携帯情報端末9202は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9202が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9202を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9202は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。