以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、透光性を有する基板から歩留まり高く素子形成層を剥離し、可撓性を有する半導体装置を作製する方法について図1を用いて説明する。
図1(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に素子形成層104を形成する。
透光性を有する基板101としては、ガラス基板、石英基板、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いる。上記に挙げた透光性を有する基板101には、大きさや形状に制約がないため、例えば、透光性を有する基板101として、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。この利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。ここでは、透光性を有する基板101としてガラス基板を用いる。なお、透光性を有する基板101として、プラスチック基板を用いる場合、プラスチック基板表面に透光性を有する絶縁層を形成することが好ましい。絶縁層としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化アルミニウム等がある。プラスチック基板表面に透光性を有する絶縁層を形成することで、後に光触媒層を形成し、光触媒層に光を照射したときに、光触媒層が活性化し、プラスチック基板及び光触媒層の界面が分離されるのを回避することが可能である。
次に、透光性を有する基板101表面に光触媒層102を形成する。光触媒層102としては、酸化チタン(TiOx)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、チタン酸塩(MTiO3)、タンタル酸塩(MTaO3)、ニオブ酸塩(M4Nb6O17)(いずれもMは金属元素)、CdS、ZnSなどをあげることができる。また、酸化チタンの結晶構造としては、アナターゼ型、ルチル型、またはこれらの混合物を用いることができる。これらを、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法、ゾルゲル法、電気泳動法、スプレー法等により形成する。
また、光触媒層102として、金属や窒素をドーピングした酸化チタンを用いることができる。金属としては、白金(Pt)、銅(Cu)、クロム(Cr)、銀(Ag)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、コバルト(Ni)、亜鉛(Zn)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、金(Au)等がある。金属や窒素をドーピングした酸化チタンを用いて光触媒層102を形成することにより、紫外線ではなく、可視光、代表的は太陽光を用いて光触媒層102を活性化することが可能である。ここでは、酸化チタンを用いて光触媒層102を形成する。
光触媒層102の膜厚は0.5nm以上150nm以下、さらには1nm以上30nm以下とすることが好ましい。光触媒層102の膜厚が上記膜厚より薄いと、光が照射されても光触媒層102が活性化しない。このため、後に光触媒層102上に形成する有機化合物層103を形成し、光触媒層102に光を照射したとしても、光触媒層102及び有機化合物層103の界面において、光触媒層102及び有機化合物層103を分離することが困難である。一方、光触媒層102の膜厚が上記膜厚より厚いと、光触媒層102に光が照射され活性種が発生したとしても、光触媒層102及び有機化合物層103の界面に活性種が移動する前に失活してしまい、光触媒層102及び有機化合物層103を分離することが困難である。
次に、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。有機化合物層103としては、シアノエチルセルロース系樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの有機化合物を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾールを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。また、ポリイミド、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロイド、酢酸繊維素プラスチック、メチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ユリア樹脂等ここでは、ポリイミドを用いて有機化合物層103を形成する。
有機化合物層103の膜厚は、50nm以上5μm以下とすることが好ましい。有機化合物層103の膜厚を1μm以上5μm以下とすることで、後に形成される半導体装置において、有機化合物層103を基板代わりに用いることができる。この結果、基板の枚数を削減することが可能であり、コストダウンが可能である。
次に、有機化合物層103上に素子形成層104を形成する。素子形成層104としては、薄膜トランジスタ、フローティングゲート電極を有する薄膜トランジスタ、記憶素子、容量素子、抵抗素子、ダイオード等がある。また、素子形成層104には、EL素子、液晶素子、電子放出素子、電気泳動素子、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等、を有してもよい。
素子形成層104の表面に、可撓性を有する基板を設けてもよい。可撓性を有する基板としては、代表的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板を用いることができる。これらの基板を用いる場合、接着材を用いて素子形成層104上に可撓性を有する基板を設ける。また、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム等)と接着性有機樹脂フィルム(アクリル系有機樹脂、エポキシ系有機樹脂等)との積層フィルムなどを用いることもできる。これらの積層フィルムを用いる場合、素子形成層104表面に積層フィルムを熱圧着することにより、接着性有機樹脂フィルムが可塑化し接着材として機能する。
次に、図1(B)に示すように、透光性を有する基板101に光105を照射する。光105としては、光触媒層102を活性化させることが可能な波長の光を照射すればよい。また、光触媒層102を活性化させることが可能な波長のレーザ光を照射してもよい。代表的には、光触媒層102が酸化チタンで形成される場合は、光105として紫外線を用いればよい。また、光触媒層がCdSの場合は、光105として可視光を用いればよい。透光性を有する基板101を介して光触媒層102に光105を照射することにより、光触媒層102が活性化される。この結果、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。代表的に、酸化チタンを用いて図1(C)に示すように、光触媒層102を形成すると、光105の照射により酸化チタンの酸化力が高まり、光触媒層102及び有機化合物層103の界面における有機化合物層103の炭素―水素結合を分離する。この結果、有機化合物層103の表面が粗になるとともに、有機化合物層103の一部が二酸化炭素及び水となり脱ガス化が生じる。この結果、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図1(D)に示すように、素子形成層104及び有機化合物層103を含む半導体装置を作製することができる。なお、図1(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板106を設けて、図1(E)に示すような半導体装置を作製してもよい。
可撓性を有する基板106を用いることで、後に形成される半導体装置の機械的強度を高めることが可能である。また、外部からの汚染物質が半導体装置に混入することを回避することが可能である。
可撓性を有する基板106としては、素子形成層104の表面に設けることが可能な可撓性を有する基板と同様のものを適宜選択して用いることができる。
以上の工程により、光触媒層及び有機化合物層の界面において、光触媒反応を生じさせて、光触媒層及び有機化合物層を分離することが可能である。このため、従来の半導体プロセスを用いて形成した微細な構造の素子を有し、且つ可撓性を有する半導体装置を容易に作製することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、光触媒層102及び有機化合物層103の作製工程の異なる形態について図2を用いて説明する。
図2(A)に示すように、透光性を有する基板101上に有機化合物層103を形成し、有機化合物層103上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に素子形成層104を形成する。
本実施の形態では、透光性を有する基板101及び有機化合物層103を介して光触媒層102に光を照射するため、有機化合物層103は後に照射される光を透過することが可能な材料で形成する。代表的には、紫外線、可視光線、又は赤外線、これらのいずれかを透過することが可能な材料で形成する。透光性を有する有機化合物としては、ポリイミド、アクリル、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロイド、酢酸繊維素プラスチック、ポリエチレン、メチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ユリア樹脂等がある。
次に、図2(B)に示すように、透光性を有する基板101及び有機化合物層103を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図2(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図2(D)に示すように、素子形成層104及び光触媒層102を含む半導体装置を作製することができる。なお、図2(C)に示す剥離工程の後、光触媒層102の表面に可撓性を有する基板106を設けて、図2(E)に示すような半導体装置を作製してもよい。
以上の工程により、光触媒層及び有機化合物層の界面において、光触媒反応を生じさせて、光触媒層及び有機化合物層を分離することが可能である。このため、従来の半導体プロセスを用いて形成した微細な構造の素子を有し、且つ可撓性を有する半導体装置を容易に作製することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び2において、有機化合物層103の代わりに無機化合物の粒子が分散された有機化合物層112を用いて半導体装置を作製する形態について、図3を用いて説明する。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2を適用することもできる。
図3(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層112を形成し、有機化合物層112上に素子形成層104を形成する。なお、有機化合物層112は、有機化合物110に無機化合物の粒子111が分散される。
無機化合物の粒子111としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、フッ化バリウムマグネシウム等を用いることができる。有機化合物層103に無機化合物の粒子111が分散されることにより、有機化合物層114の機械的強度が高まるため、後に作製される半導体装置を湾曲させたときに断裂することを回避することができる。
次に、図3(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図3(C)に示すように、光触媒層102と、有機化合物110に無機化合物の粒子111が分散された有機化合物層112とが分離する。
以上の工程により、図3(D)に示すように、素子形成層104及び有機化合物110に無機化合物の粒子111が分散された有機化合物層112を含む半導体装置を作製することができる。なお、図3(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層112の表面に可撓性を有する基板106を設けて、図3(E)に示すような半導体装置を作製してもよい。
有機化合物層として、無機化合物の粒子が分散される有機化合物層を用いることで、光触媒層から分離された素子形成層は無機化合物の粒子が分散される有機化合物層を有する。このため、機械的強度の高い半導体装置を作製することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至3において、有機化合物層103や、有機化合物110に無機化合物の粒子111が分散された有機化合物層112の代わりに、有機化合物110に遮光性を有する粒子113が分散された有機化合物層114を用いて半導体装置を作製する形態について、図4を用いて説明する。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2及び3を適用することもできる。
図4(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層114を形成し、有機化合物層114上に素子形成層104を形成する。有機化合物層114は、有機化合物110に遮光性を有する粒子113が分散される。
遮光性を有する粒子113としては、280〜780nmの波長の範囲の光を吸収する粒子(光吸収体)や光を反射する粒子(光反射体)が好ましい。光を吸収する粒子としては、色素または紫外線吸収剤を用いることができる。色素の代表例としては、アゾ系、アントラキノン系、ナフトキノン系、イソインドリノン系、ペリレン系、インジゴ系、フルオレノン系、フェナジン系、フェノチアジン系、ポリメチン系、ポリエン系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、キナクリドン系、アクリジン系、フタロシアニン系、キノフタロシアニン系、カーボンブラック等がある。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物等がある。光を反射する粒子としては、代表的には、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)から選ばれた元素、または該元素を主成分とする合金材料、窒素化合物、酸素化合物、炭素化合物、ハロゲン化合物の単層、またはこれらの積層された粒子等がある。遮光性を有する粒子113は、有機化合物110に対して均一に分散されていてもよい。また、光触媒層102に接しない領域において特に濃度高く分散されていても良い。
有機化合物層114に遮光性を有する粒子111が分散されることにより、光触媒層102で吸収されずに透過した光を、有機化合物層114で吸収することができる。このため、光105が素子形成層104中の素子に照射されることを回避することが可能であり、光の照射による素子の破壊を防止することが可能である。
次に、図4(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図4(C)に示すように、光触媒層102と遮光性を有する粒子113を含む有機化合物層114とが分離する。
以上の工程により、図4(D)に示すように、素子形成層104及び遮光性を有する粒子113を含む有機化合物層114を含む半導体装置を作製することができる。なお、図4(C)に示す剥離工程の後、遮光性を有する粒子113を含む有機化合物層114の表面に可撓性を有する基板106を設けて、図4(E)に示すような半導体装置を作製してもよい。
以上の工程により、透光性を有する基板から光触媒層に光を照射して、光触媒層及び遮光性を有する有機化合物層を分離する際に、光触媒層に照射する光が素子形成層に入射することを回避することが可能である。この結果、光触媒層に照射する光により素子の特性が変化することを防止することが可能であり、信頼性が高く、且つ可撓性を有する半導体装置を作製することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4において、素子形成層104の構成の代表例を、図5を用いて説明する。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2乃至4のいずれを適用することもできる。本実施の形態では、素子形成層104に、第1の導電層、機能層123、及び第2の導電層で構成される素子126を有する形態について示す。
実施の形態1と同様に、図5(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に素子形成層を形成する。
次に、有機化合物層103上に絶縁層120を形成してもよい。絶縁層120は、有機化合物層103、光触媒層102、または透光性を有する基板101からの不純物や気体が素子形成層内に侵入するのを防止するために設ける。絶縁層120は、窒化珪素、酸化珪素、窒化アルミニウム等の単層又は積層構造で形成する。
絶縁層120上に第1の導電層121を形成する。次に、第1の導電層121の端部を覆うように絶縁層122を形成してもよい。次に、第1の導電層121上に機能層123を形成し、機能層123上に第2の導電層124を形成する。次に、第2の導電層124上に絶縁層125を形成してもよい。また、絶縁層125上に接着材127を介して可撓性を有する基板128を設けてもよい。ここでは、第1の導電層121、機能層123、及び第2の導電層124により、素子126を形成することができる。
素子126としては、機能層123に発光材料を有するEL(Electro Luminescence)素子、電圧の印加や光の照射により結晶状態や導電性や形状等が変化する材料を用いて形成した機能層123を有するメモリ素子、光の照射により電気特性が変化する半導体材料を用いて形成した機能層123を有するダイオードや光電変換素子、機能層123に誘電体層を有するキャパシタ等がある。
第1の導電層121及び第2の導電層124は、スパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法、電解メッキ法、無電解メッキ法等を用い、導電性の高い金属、合金、化合物等からなる単層または積層構造を用いて形成することができる。代表的には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物や、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが可能である。
仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物の代表例としては、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20atomic%の酸化亜鉛(ZnO)を含む酸化インジウム等が挙げられる。また、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化モリブデン(MoN)等を用いることも可能である。
仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、導電性化合物の代表例としては、元素周期表の1族または2族に属する金属、即ちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、アルミニウム(Al)およびこれらのいずれかを含む合金(MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Er)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
なお、素子126がEL素子、メモリ素子、ダイオード、または光電変換素子である場合、第1の導電層121または第2の導電層124は、ITO、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20atomic%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム−酸化スズ等の透光性を有する材料で形成される。また、第1の導電層121または第2の導電層124を可視光の透過率の低い材料(代表的には、上記に示すアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、及びこれらいずれかを含む合金)で形成するとしても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性を持たせることができる。
機能層123は、素子126の構成にあわせて適宜選択する。
絶縁層122としては、第1の導電層121の段差により生じる機能層123の段切れや各素子間における横方向への電界の影響を防止するために設ける。なお、絶縁層122の断面において、絶縁層122の側面は、第1の導電層121の表面に対して10度以上60度未満、好ましくは25度以上45度以下の傾斜角度を有することが好ましい。さらには、絶縁層122の上端部が湾曲していることが好ましい。
絶縁層122は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化アルミニウム等の無機絶縁物を用い、CVD法、スパッタリング法等の薄膜形成方法を用いて形成すことができる。また、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シロキサンポリマー等の高分子材料や有機樹脂等を用い、塗布法、印刷法、インクジェット法等により形成することができる。さらには、絶縁層122を、上記無機絶縁物、高分子材料、または有機樹脂のいずれかを用いて、単層または積層で形成することができる。
絶縁層125としては、保護膜として機能するものであり、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、窒化アルミニウム等を用い、CVD法、スパッタリング法等の薄膜形成方法を用いて形成すことができる。
接着材127としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
可撓性を有する基板128としては、実施の形態1で示した素子形成層104の表面に設けることが可能な可撓性を有する基板と同様のものを適宜選択して用いることができる。
次に、図5(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図5(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図5(C)に示すように、素子126及び有機化合物層103を含む半導体装置129を作製することができる。なお、図5(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図5(D)に示すような半導体装置131を作製してもよい。
また、図6(A)に示すように、素子126にスイッチング素子が接続されていてもよい。スイッチング素子としては、薄膜トランジスタ、MIM(Metal−Insulator−Metal)、ダイオード等がある。ここでは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ141を用いる形態を示す。
即ち、図6(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上にスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ141を形成する。次に、薄膜トランジスタ141の配線1405に接続する第1の導電層142を絶縁層140を介して形成する。なお、薄膜トランジスタ141の配線と第1の導電層142は絶縁層140を介して接続されているが、この構造に限定されず、薄膜トランジスタ141の配線によって第1の導電層142を形成してもよい。
ここで、薄膜トランジスタの構造について、図16(A)、(B)を参照して説明する。図16(A)は、スタガ型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。基板101上に光触媒層102及び有機化合物層103が設けられ、有機化合物層103上に薄膜トランジスタ141が設けられている。薄膜トランジスタ141は、ゲート電極1402、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403、ゲート電極及びゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403と重畳する半導体層1404、半導体層1404に接続する配線1405が形成されている。なお、半導体層1404の一部は、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403と配線1405に挟持される。
ゲート電極1402は、第1の導電層121と同様の材料及び手法により、形成することができる。また、液滴吐出法を用い、乾燥・焼成してゲート電極1402を形成することができる。また、有機化合物層103上に、微粒子を含むペーストを印刷法により印刷し、乾燥・焼成してゲート電極1402を形成することができる。微粒子の代表例としては、金、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれかを主成分とする微粒子でもよい。また、ITOなどの導電性酸化物を主成分とする微粒子でもよい。
ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403は、絶縁層120と同様の材料及び手法により形成することができる。また、有機化合物110に示した有機化合物層を適宜用いて形成することができる。
薄膜トランジスタの半導体層1404の材料としては、半導体材料を用いることが可能であり、シリコン、及びゲルマニウムの一つ以上を含む非晶質半導体層をスパッタリング法、CVD法等の薄膜形成方法を用いて形成することができる。また、有機化合物層103を耐熱性の高い材料を用いることにより、上記非晶質半導体層にレーザ光を照射して、結晶化した結晶性半導体層を用いることができる。さらには、半導体層1404として有機半導体を用いて形成することができる。
有機半導体としては多環芳香族化合物、共役二重結合系化合物、フタロシアニン、電荷移動型錯体等が挙げられる。例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン、6T(ヘキサチオフェン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、PTCDA(ペリレンカルボン酸無水化物)、NTCDA(ナフタレンカルボン酸無水化物)などを用いることができる。また、有機半導体トランジスタの半導体層1404の材料としては、有機高分子化合物等のπ共役系高分子、カーボンナノチューブ、ポリビニルピリジン、フタロシアニン金属錯体等が挙げられる。特に骨格が共役二重結合から構成されるπ共役系高分子である、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチエニレン、ポリチオフェン誘導体、ポリ(3アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレン誘導体又はポリパラフェニレンビニレン誘導体を用いると好ましい。
また、有機半導体トランジスタの半導体層1404の形成方法としては、基板に膜厚の均一な膜が形成できる方法を用いればよい。厚さは1nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下が望ましい。具体的な方法としては、蒸着法、電子ビーム蒸着法、塗布法等を用いることができる。
また、図16(B)に示すように、ゲート電極1402、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403、配線1405、ゲート電極及びゲート絶縁層として機能する絶縁層に重畳する半導体層1404が形成されていてもよい。また、配線1405の一部は、ゲート絶縁層として機能する絶縁層及び半導体層1404に挟持される。
図16(C)はトップゲート型の薄膜トランジスタの一例を示している。基板101上に光触媒層102及び有機化合物層103が設けられ、有機化合物層103上に薄膜トランジスタ141が設けられている。薄膜トランジスタ141は、有機化合物層103上に半導体層1302、無機絶縁物で形成されるゲート絶縁層1113が設けられている。ゲート絶縁層1113の上には、半導体層1302に対応してゲート電極1304が形成され、その上層に保護層として機能する絶縁層(図示しない)、層間絶縁層として機能する無機絶縁物層1114が設けられている。また、半導体層のソース領域及びドレイン領域1310それぞれに接続する配線1405が形成される。さらにその上層に、保護層として機能する絶縁層を形成しても良い。
半導体層1302は、結晶構造を有する半導体で形成される層であり、非単結晶半導体若しくは単結晶半導体を用いることができる。特に、非晶質珪素膜にレーザ光を照射して形成した結晶性半導体を適用することが好ましい。レーザ光を照射して結晶化する場合には、連続発振レーザ光の照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザ光の照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。キャリアのドリフト方向を、この結晶粒界が延びる方向に合わせることで、トランジスタにおける電界効果移動度を高めることができる。例えば、400cm2/V・sec以上を実現することができる。
なお、結晶性半導体層を有する薄膜トランジスタ141を形成する場合は、有機化合物層103は耐熱性の高い化合物で形成することが好ましい。耐熱性の高い有機化合物としては、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミドイミド等がある。
ゲート電極1304は金属又は一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、ゲート絶縁層1113やその下層の半導体層1302に拡散することを防ぐことができる。
半導体層1302、ゲート絶縁層1113、ゲート電極1304などを組み合わせて構成される薄膜トランジスタは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、シングルドレイン構造の薄膜トランジスタを示す。さらには、等価的には同電位のゲート電圧が印加されるトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層の上下をゲート電極で挟むデュアルゲート構造を適用することができる。
本実施の形態においては、無機絶縁物層1114を、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンなどの無機絶縁物で形成する。
無機絶縁物層1114の上に形成される配線1405は、ゲート電極1304と同じ層で形成される配線と交差して設けることが可能であり、多層配線構造を形成している。無機絶縁物層1114と同様に機能を有する絶縁層を複数積層して、その層上に配線を形成することで多層配線構造を形成することができる。配線1405はチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
次に、図6(A)の第1の導電層142の端部を覆う絶縁層143を形成する。次に、第1の導電層142及び絶縁層143に機能層144を形成し、機能層144上に第2の導電層145を形成する。第1の導電層142、絶縁層143、第2の導電層145はそれぞれ、図5の第1の導電層121、絶縁層122、第2の導電層124と同様に形成することができる。次に、第2の導電層145上に絶縁層を形成してもよい。また、第2の導電層145及び絶縁層143上に接着材146を介して可撓性を有する基板147を設けてもよい。ここでは、第1の導電層142、機能層123、及び第2の導電層145により、素子126を形成することができる。
次に、図6(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図6(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図6(C)に示すように、素子形成層及び有機化合物層103を含む半導体装置148を作製することができる。なお、図6(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図6(D)に示すような半導体装置149を作製してもよい。
ここで、本実施の形態で適用可能な素子126の構造について、以下に示す。
素子126がメモリ素子の場合、機能層123は電圧の印加や光の照射により、結晶状態や導電性、形状等が変化する材料を用いる。ここで、メモリ素子の構造について、図13を用いて以下に示す。
図13(A)に示すように、機能層123が有機化合物を含む層300で形成される。なお、有機化合物を含む層300は、単層で設けてもよいし、異なる有機化合物で形成された層複数を積層させて設けてもよい。
有機化合物を含む層300の厚さは、第1の導電層121及び第2の導電層124への電圧印加により記憶素子の電気抵抗が変化する厚さが好ましい。有機化合物を含む層の代表的な膜厚は、5nmから100nm、好ましくは10nmから60nmである。
有機化合物を含む層300は、正孔輸送性を有する有機化合物又は電子輸送性を有する有機化合物を用いて形成することができる。
正孔輸送性の有機化合物としては、例えば、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)の他、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス{N−[4−ジ(m−トリル)アミノ]フェニル−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、4,4’−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPB)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。また、上述した化合物の中でも、TDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、BBPB、TCTAなどに代表される芳香族アミン化合物は、正孔を発生しやすく、有機化合物として好適な化合物群である。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。
電子輸送性を有する有機化合物としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料を用いることができる。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。
また、図13(B)に示すように、有機化合物を含む層300と、第1の導電層121及び有機化合物を含む層300の間に形成される絶縁層301によって、機能層123を形成してもよい。
絶縁層301は、トンネル効果により第1の導電層または第2の導電層から有機化合物を含む層へ、正孔又は電子の電荷を注入する層である。絶縁層301は、所定の電圧において、トンネル効果により有機化合物を含む層300へ電荷を注入することが可能な厚さで形成する。絶縁層301の代表的な厚さは、1nm以上4nm以下、好ましくは1nm以上2nm以下の絶縁層である。絶縁層301の膜厚は、1nm以上4nm以下と極めて薄いため、絶縁層301においてトンネル効果が生じ、有機化合物を含む層300への電荷注入性が高まる。このため、絶縁層301は、厚さが4nmより厚くなると、絶縁層301におけるトンネル効果が生じず、有機化合物を含む層300への電荷注入が困難となり、記憶素子の書き込み時の印加電圧が上昇する。また、絶縁層301の膜厚は、1nm以上4nm以下と極めて薄いため、スループットが向上する。
絶縁層301は、熱的及び化学的に安定な無機化合物または有機化合物で形成する。
絶縁層301を形成する無機化合物の代表例としては、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、Sc2O3、ZrO2、HfO2、RfO2、TaO2、TcO2、MnO2、Fe2O3、CoO、PdO、Ag2O、Al2O3、Ga2O3、Bi2O3等に代表される絶縁性を有する酸化物が挙げられる。
また、絶縁層301を形成する無機化合物の代表例としては、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、BeF2、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、AlF3、NF3、SF6、AgF 、MnF3等に代表される絶縁性を有するフッ化物、LiCl、NaCl、KCl、BeCl2、CaCl2、BaCl2、AlCl3、SiCl4、GeCl4、SnCl4、AgCl、ZnCl2、TiCl4、TiCl3、ZrCl4、FeCl3、PdCl2、SbCl3、SbCl2、SrCl2、TlCl3、CuCl、CuCl2、MnCl2、RuCl2等に代表される絶縁性を有する塩化物、KBr、CsBr、AgBr、BaBr2、SiBr4、LiBr等に代表される絶縁性を有する臭化物、NaI、KI、BaI2、TlI3、AgI、TiI4、CaI2、SiI4、CsI等に代表される絶縁性を有するヨウ化物が挙げられる。
また、絶縁層301を形成する無機化合物の代表例としては、Li2CO3、K2CO3、Na2CO3、MgCO3、CaCO3、SrCO3、BaCO3、MnCO3、FeCO3、CoCO3 、NiCO3、CuCO3、Ag2CO3、ZnCO3等に代表される絶縁性を有する炭酸塩、Li2SO4、K2SO4、Na2SO4、MgSO4、CaSO4、SrSO4、BaSO4、Ti2(SO4)3、Zr(SO4)2、MnSO4、FeSO4、Fe2(SO4)3、CoSO4、Co2(SO4)3、NiSO4、CuSO4、Ag2SO4、ZnSO4、Al2(SO4)3、In2(SO4)3、SnSO4、Sn(SO4)2、Sb2(SO4)3、Bi2(SO4)3等に代表される絶縁性を有する硫酸塩、LiNO3、KNO3、NaNO3、Mg(NO3)2、Ca(NO3)2、Sr(NO3)2、Ba(NO3)2、Ti(NO3)4、Sr(NO3)2、Ba(NO3)2、Ti(NO3)4、Zr(NO3)4、Mn(NO3)2、Fe(NO3)2、Fe(NO3)3、Co(NO3)2、Ni(NO3)2、Cu(NO3)2、AgNO3、Zn(NO3)2、Al(NO3)3、In(NO3)3、Sn(NO3)2等に代表される絶縁性を有する硝酸塩、AlN、SiN等に代表される絶縁性を有する窒化物が挙げられる。なお、これらの無機化合物の組成は、厳密な整数比である必要はなく、ずれていても良い。
なお、絶縁層301を無機化合物で形成する場合、絶縁層の膜厚は、1nm以上2nm以下が好ましい。絶縁層の膜厚が3nm以上になると、書き込み時の印加電圧が上昇する。
絶縁層301を形成する有機化合物の代表例としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、ポリエステル、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、珪素樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等に代表される有機化合物が挙げられる。
絶縁層301の形成方法としては、蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いることができる。スピンコート法、ゾル−ゲル法、印刷法または液滴吐出法等を用いることができる。
また、図13(C)に示すように、機能層123を、絶縁層301の代わりに、凹凸を有する連続的な絶縁層302を用いてもよい。但し、この場合、絶縁層の凸部における厚さは1nm以上4nm以下、凹部における厚さは、1nm以上2nm未満であることが好ましい。
また、図13(D)に示すように、絶縁層301、302の代わりに、第1の導電層121上に分散された非連続な絶縁層303であってもよい。非連続な絶縁層303は、島状、縞状、網目状等の形状を有してもよい。
さらには、絶縁層301〜303の代わりに、絶縁性粒子を設けてもよい。このときの絶縁性粒子は、粒径は1nm以上4nm以下であることが好ましい。
さらには、有機化合物を含む層300及び第2の導電層124の間に、上記絶縁層301〜303または絶縁性粒子を設けてもよい。
第1の導電層及び有機化合物を含む層の間、または有機化合物を含む層及び第2の導電層の間に、厚さが4nm以下、好ましくは2nm以下の絶縁層を設けることにより、当該絶縁層にトンネル電流が流れるため、記憶素子の書き込み時の印加電圧及び電流値のばらつきを低減することが可能である。また、第1の導電層及び有機化合物を含む層の間、または有機化合物を含む層及び第2の導電層の間に、厚さが4nm以下、好ましくは2nm以下の絶縁層を設けることにより、トンネル効果による電荷注入性が上昇し、有機化合物を含む層の膜厚を厚くすることが可能であり、初期状態でのショートを防止することが可能である。この結果、記憶装置及び半導体装置の信頼性を向上させることが可能である。
また、上記構成とは異なる構成として、機能層123として、有機化合物を含む層300と、第1の導電層121及び有機化合物を含む層300の間もしくは第2の導電層124と有機化合物を含む層300の間に形成される整流作用を有する素子306によって、形成してもよい(図13(E))。整流作用を有する素子306とは、代表的には、ショットキーダイオード、PN接合を有するダイオード、PIN接合を有するダイオード、あるいはゲート電極とドレイン電極を接続したトランジスタである。もちろん、他の構成のダイオードでも構わない。ここでは、第1の導電層121と有機化合物を含む層300の間に、半導体層304、305を含むPN接合ダイオードを設けた場合を示す。半導体層304、305のうち、一方は一方はN型半導体であり、他方はP型半導体である。このように整流作用を有する素子を設けることにより、メモリ素子の選択性を向上させ、読み出しや書き込みのマージンを向上させることができる。
素子126がEL素子の場合、機能層123には発光材料を用いる。ここで、EL素子の構造について、図14を用いて以下に示す。
また、機能層123に、有機化合物を用いた発光機能を担う層(以下、発光層313と示す。)を形成することで、素子126は有機EL素子として機能する。
発光性の有機化合物としては、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2](ピコリナト)イリジウム(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2}(ピコリナト)イリジウム(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)、(アセチルアセトナト)ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2)イリジウム(略称:Ir(ppy)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3]イリジウム(略称:Ir(thp)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2)イリジウム(略称:Ir(pq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3]イリジウム(略称:Ir(btp)2(acac))などの燐光を放出できる化合物用いることもできる。
また、図14(A)に示すように、第1の導電層121上に正孔注入材料で形成される正孔注入層311、正孔輸送性材料で形成される正孔輸送層312、発光性の有機化合物で形成される発光層313、電子輸送性材料で形成される電子輸送層314、電子注入性材料で形成される電子注入層315、及び第2の導電層124で発光素子として機能する素子126を形成してもよい。
正孔輸送性材料は、図13(A)の有機化合物を含む層300で列挙した正孔輸送性材料を適宜用いることが出来る。
正孔注入性材料は、上記正孔輸送性材料の他、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリスチレンスルホン酸(略称:PSS)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(略称:PEDOT)やポリアニリン(略称:PAni)などを用いることもできる。また、酸化モリブデン(MoOx)、酸化バナジウム(VOx)、酸化ニッケル(NiOx)などの無機半導体の薄膜や、酸化アルミニウム(Al2O3)などの無機絶縁体の超薄膜も有効である。
ここで、電子輸送性材料は、図13(A)の有機化合物を含む層300で列挙した電子輸送性材料を適宜用いることが出来る。
電子注入材料としては、上述した電子輸送性材料の他に、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac)や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。さらに、上述した電子輸送性材料と、Mg、Li、Cs等の仕事関数の小さい金属とを共蒸着等により混合した材料を使用することもできる。
また、図14(B)に示すように、第1の導電層121、有機化合物及び有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される正孔輸送層316、発光層313、有機化合物及び有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層317、並びに第2の導電層124で発光素子として機能する素子126を形成してもよい。
有機化合物及び有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される正孔輸送層316は、有機化合物としては上記した正孔輸送性の有機化合物を適宜用いて形成する。また、無機化合物としては、有機化合物から電子を受け取りやすいものであれば何であってもよく、種々の金属酸化物または金属窒化物が可能であるが、周期表第4族乃至第12族のいずれかの遷移金属酸化物が電子受容性を示しやすく好適である。具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。また、上述した金属酸化物の中でも、周期表第4族乃至第8族のいずれかの遷移金属酸化物は電子受容性の高いものが多く、好ましい一群である。特に酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
有機化合物及び有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層317は、有機化合物としては上記した電子輸送性の有機化合物を適宜用いて形成する。また、無機化合物としては、有機化合物に電子を与えやすいものであれば何であってもよく、種々の金属酸化物または金属窒化物が可能であるが、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、希土類金属窒化物が電子供与性を示しやすく好適である。具体的には、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化エルビウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウム、窒化イットリウム、窒化ランタンなどが挙げられる。特に酸化リチウム、酸化バリウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
有機化合物及び無機化合物で形成される電子輸送層317又は正孔輸送層316は、電子注入・輸送特性が優れているため、第1の導電層121、第2の導電層124共に、ほとんど仕事関数の制限を受けることなく、種々の材料を用いることができる。また駆動電圧を低減することが可能である。
また、機能層123として、無機化合物を用いた発光機能を担う層(以下、発光層319という。)を有することで、素子126は無機EL素子として機能する。無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた電界発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる電界発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。以下に、無機EL素子の構造について示す。
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
固相法は、母体材料と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)等の3元系の混晶であってもよい。
局在型発光の発光中心として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、電荷補償として、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。
一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物と、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム(Al2S3)等を用いることができる。また、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅(Cu2S)、硫化銀(Ag2S)等を用いることができる。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅(CuCl)、塩化銀(AgCl)等を用いることができる。
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10atom%であればよく、好ましくは0.05〜5atom%の範囲である。
図14(C)は、機能層123が第1の絶縁層318、発光層319、及び第2の絶縁層320で構成される無機EL素子の断面を示す。
薄膜型無機ELの場合、発光層319は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
第1の絶縁層318及び第2の絶縁層320は、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。第1の絶縁層318及び第2の絶縁層320は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施の形態の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
なお、図示しないが、発光層と絶縁層、又は発光層と電極の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にし、かつ両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS、CuS、Cu2S、LiF、CaF2、BaF2、MgF2等を用いることができる。
また、図14(D)に示すように、機能層123が発光層319及び第1の絶縁層318で構成されてもよい。この場合、図14(D)においては、第1の絶縁層318は第2の導電層124及び発光層319の間に設けられている形態を示す。なお、第1の絶縁層318は第1の導電層121及び発光層319の間に設けられていてもよい。
さらには、機能層123が、発光層319のみで構成されてもよい。即ち、第1の導電層121、機能層123、第2の導電層124で素子126を構成してもよい。
分散型無機ELの場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の電界発光層を形成する。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕などによって粒子状に加工すればよい。バインダとは、粒子状の発光材料を分散した状態で固定し、電界発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって電界発光層中に均一に分散し固定される。
分散型無機ELの場合、電界発光層の形成方法は、選択的に電界発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む電界発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
図14(E)における素子は、第1の導電層121、機能層123、第2の導電層124を有し、機能層123が、発光材料326がバインダ325に分散された発光層及び絶縁層318で構成される。なお、絶縁層318は、図14(E)においては、第2の導電層124に接する構造となっているが、第1の導電層121に接する構造でもよい。また、素子は、第1の導電層121及び第2の導電層124それぞれに接する絶縁層を有してもよい。さらには、素子は、第1の導電層121及び第2の導電層124に接する絶縁層を有さなくてもよい。
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、有機材料や無機材料を用いることができる。また、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの有機樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。また光硬化型などを用いることができる。これらの樹脂に、チタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
また、バインダに用いる無機材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ZnSその他の無機材料を含む物質から選ばれた材料を用いることができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる電界発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。
作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが、本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒等を用いることができ、例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
無機EL発光素子は、発光層を挟持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
素子126がダイオードや光電変換素子の場合、機能層123には光の照射により電気特性が変化する材料を用いる。光の照射により電気特性が変化する材料としては、無機半導体材料や、有機化合物等で形成することができる。
無機半導体としては、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンゲルマニウム、微結晶シリコン、または微結晶シリコンゲルマニウム等をCVD法、スパッタリング法等により形成することができる。また、有機化合物としては、有機半導体材料を用いることが好ましく、代表的には、骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体等の可溶性の高分子材料を用いることができる。また、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより半導体層を形成することができる。なお、このような前駆体を経由する有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロホルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)等がある。さらには、機能層123を有機化合物で形成される電荷発生層及び電荷受容層の接合層とすることができる。
ここでは、機能層123を電荷発生層及び電荷受容層の接合層で形成する形態について図15を用いて説明する。
図15(A)に示すように、光電変換素子およびダイオードは、第1の導電層121と、電荷発生層321と、電荷受容層322と、第2の導電層124とを順次設けてなる積層構造である。
第1の導電層121又は第2の導電層124は、透光性を有する導電層で形成する。また、電荷発生層321及び電荷受容層322は、それぞれ図13(A)の有機化合物を含む層300で上記した正孔輸送性を有する有機化合物及び電子輸送性を有する有機化合物を適宜選択して形成すればよい。また、電子輸送性の有機化合物として、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、キノン類、メチルビオロゲン、フラーレン、或いはルテニウムや白金、チタン等を含む有機金属化合物等を用いても良い。ここでは、電荷発生層321として正孔輸送性を有する化合物を用いて形成し、電荷受容層322として、電子輸送性を有する化合物を用いて形成する。
また、図15(B)に示すように、電荷受容層322の代わりに、電子輸送性を有する有機化合物及び有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層323を用いて形成してもよい。電子輸送層323は、図14(B)で示す電子輸送性の有機化合物及び有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層317に示す化合物を適宜選択して形成することができる。
また、図15(C)に示すように、電荷発生層321の代わりに、電子輸送性を有する有機化合物及び有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される電子発生層324を用いて形成してもよい。電子発生層324は、図14(B)で示す電子輸送性の有機化合物及び有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される正孔輸送層316に示す化合物を適宜選択して形成することができる。
さらには、図15(D)に示すように、正孔輸送性を有する有機化合物及び有機化合物に対して電子受容性を有する無機化合物で形成される電子発生層324、及び電子輸送性を有する有機化合物及び有機化合物に対して電子供与性を有する無機化合物で形成される電子輸送層323を形成してもよい。
接合された電荷発生層及び電荷受容層により有機化合物を含む層を形成することにより、電荷発生層で生じた電子及び正孔を、光電流となる電子キャリア及び正孔キャリアとすることが可能である。この結果、光エネルギーから電気エネルギーへの変換することが可能な太陽電池及び光電変換装置を作製することが可能である。
また、電荷発生層又は電荷受容層に有機化合物と無機化合物を用いて形成すると、電子及び正孔の生成効率を向上させることが可能である。この結果、エネルギー変換効率の高い光電変換素子および太陽電池を実現することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4において、素子形成層104の構成の代表例を、図7及び8を用いて説明する。図7においては、パッシブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を示し、図8においては、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を示す。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2乃至4のいずれかを適用することもできる。本実施の形態では、素子形成層104が、第1の導電層、液晶層、及び第2の導電層で構成される液晶素子を有する形態について示す。
実施の形態1と同様に、図7(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に絶縁層120を形成してもよい。絶縁層120上に第1の導電層151を形成する。第1の導電層151は、平行に形成することが好ましい。次に、第1の導電層151上に配向膜として機能する絶縁層152を形成する。
また、上記と同様の工程により、可撓性を有する基板153上に第2の導電層154を形成し、第2の導電層上に配向膜として機能する絶縁層155を形成する。第2の導電層154も第1の導電層151と同様に、平行に形成することが好ましい。
配向膜として機能する絶縁層152、155は、ポリイミドやポリビニルアルコール等の高分子化合物層を印刷法、ロールコート法等で形成した後、ラビングすることにより形成することができる。また、SiOを基板に対して斜めから蒸着して形成することができる。また、光反応型の高分子化合物に偏光したUV光を照射し光反応型の高分子化合物を重合させて形成することができる。
第1の導電層151及び第2の導電層154は、実施の形態5に示す第1の導電層121及び第2の導電層124の材料及び作製方法を適宜用いることができる。なお、液晶表示装置が透光型液晶表示装置の場合は、第1の導電層151及び第2の導電層154を透光性を有する導電層で形成する。また、液晶表示装置が反射型液晶表示装置の場合は、第1の導電層151または第2の導電層154の一方を透光性を有する導電層で形成し、第1の導電層151または第2の導電層154の他方を、反射性を有する導電層で形成する。
また、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153の間隔を保つために、絶縁層152、155の間にスペーサを設けてもよい。また、絶縁層120上または可撓性を有する基板153上にスペーサを形成した後、絶縁層152または絶縁層155を形成してもよい。スペーサとしては、有機樹脂を塗布し、該有機樹脂を所望の形状、代表的には柱状又は円柱状にエッチングして形成する。また、スペーサとしてビーズスペーサを用いてもよい。
なお、第2の導電層154及び可撓性を有する基板153の間に着色層を設けてもよい。着色層は、カラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。
次に、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153をシール材157で貼り合わせる。また、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153の間に液晶層156を形成する。透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153は、第1の導電層151及び第2の導電層154が交差するように、シール材を用いて貼りあわせる。また、液晶層156は、毛細管現象を利用した真空注入法により、透光性を有する基板101、可撓性を有する基板153、及びシール材157で囲まれた領域に液晶材料を注入することにより形成することができる。また、透光性を有する基板101または可撓性を有する基板153の一方にシール材157を形成し、シール材に囲まれる領域に液晶材料を滴下した後、透光性を有する基板と可撓性を有する基板を、減圧下においてシール材で圧着することで液晶層156を形成することができる。
シール材157としては、熱硬化型のエポキシ樹脂、UV硬化型のアクリル樹脂、熱可塑方のナイロン、ポリエステル等を、ディスペンサ法、印刷法、熱圧着法等を用いて形成することができる。なお、シール材157には、フィラーが散布されることにより、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153の間隔を保つことができる。
可撓性を有する基板153としては、実施の形態1で示した素子形成層104の表面に設けることが可能な可撓性を有する基板と同様のものを適宜選択して用いることができる。
次に、図7(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図7(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図7(C)に示すように、液晶素子150及び有機化合物層103を含み、液晶表示装置として機能する半導体装置158を作製することができる。なお、図7(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図7(D)に示すような半導体装置159を作製してもよい。
また、図8(A)に示すように、素子形成層において、液晶素子162にスイッチング素子を接続してもよい。スイッチング素子としては、薄膜トランジスタ、MIM(Metal−Insulator−Metal)、ダイオード等がある。ここでは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ141を用いる形態を示す。
即ち、図8(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上にスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ141を形成する。次に、薄膜トランジスタ141の配線に接続する第1の導電層161を絶縁層160を介して形成する。なお、薄膜トランジスタ141の配線1405と第1の導電層161は絶縁層160を介して接続されているが、この構造に限定されず、薄膜トランジスタ141の配線によって第1の導電層161を形成してもよい。なお、第1の導電層161は、画素ごとに形成する。
また、可撓性を有する基板153上に第2の導電層154及び配向膜として機能する絶縁層155を形成する。第2の導電層154は、各画素の共通電極となるように、画素部全面に形成してもよい。
次に、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153をシール材157で貼り合わせる。また、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板153の間に液晶層156を形成する。
次に、図8(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図8(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図8(C)に示すように、液晶素子162及び有機化合物層103を含む半導体装置163を作製することができる。なお、図8(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図8(D)に示すような半導体装置164を作製してもよい。
以上の工程により、可撓性を有する半導体装置を作製することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4において、素子形成層104の構成の代表例を、図9及び10を用いて説明する。図9においては、電気泳動素子を有するパッシブマトリクス型電気泳動表示装置を作製する工程を示し、図10においては、電気泳動素子を有するアクティブマトリクス型電気泳動表示装置を作製する工程を示す。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2乃至4のいずれかを適用することもできる。電気泳動素子とは、マイクロカプセルの中にプラスとマイナスに帯電した黒と白の粒子を閉じ込めた物を第1の導電層及び第2の導電層の間に配置し、第1の導電層及び第2の導電層に電位差を生じさせて黒と白の粒子を電極間で移動させて表示を行う素子である。
実施の形態1と同様に、図9(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に絶縁層120を形成してもよい。次に、絶縁層120上に第1の導電層171を形成する。第1の導電層171は、平行に形成することが好ましい。
また、上記と同様の工程により、可撓性を有する基板172上に第2の導電層173を形成する。第2の導電層173も平行に形成することが好ましい。
第1の導電層171及び第2の導電層173は、実施の形態5に示す第1の導電層121及び第2の導電層124の材料及び作製方法を適宜用いることができる。
次に、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板172をシール材で貼り合わせる。また、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板172の間に電気泳動素子を形成する。透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板172は、第1の導電層171及び第2の導電層173が交差するように、シール材を用いて貼りあわせる。また、電気泳動素子は、第1の導電層171、マイクロカプセル170、第2の導電層173で構成される。また、マイクロカプセル170はバインダにより第1の導電層171及び第2の導電層173の間に固定される。
次に、マイクロカプセルの構造について、図17を用いて示す。図17(A)、及び(B)に示すように、マイクロカプセル170は微細な透明容器174内に透明の分散媒176及び帯電した黒色粒子175a及び白色粒子175bが分散される。なお、黒色粒子175aの代わりに、青色粒子、赤色粒子、緑色粒子、黄色粒子、青緑粒子、赤紫粒子を用いても良い。さらには、図17(C)及び(D)に示すように、微細な透明容器331内に着色した分散媒333及び白色粒子332が分散されるマイクロカプセル330を用いてもよい。なお、着色した分散媒333は、黒色、青色、赤色、緑色、黄色、青緑色、赤紫色のいずれかに着色している。また、一画素に青色粒子、赤色粒子、緑色粒子が分散されるマイクロカプセルをそれぞれ設けることで、カラー表示することができる。また、黄色粒子、青緑粒子、赤紫粒子が分散されるマイクロカプセルをそれぞれ設けることで、カラー表示することができる。また、一画素に青色、赤色、または緑色の分散媒に白色粒子または黒色粒子が分散されるマイクロカプセルを配列して設けることで、カラー表示することができる。また、一画素に黄色、青緑色、赤紫色の分散媒を有するマイクロカプセルを配列して設けることで、カラー表示することができる。
次に、電気泳動素子を用いた表示方法を示す。具体的には、図17(A)及び(B)を用いて、二色の粒子を有するマイクロカプセル170の表示方法について示す。ここでは、二色の粒子として白色粒子及び黒色粒子を用い、また透明な分散媒を有するマイクロカプセルについて示す。なお、二色の粒子の黒色粒子の代わりに他の色の粒子を用いてもよい。
マイクロカプセル170において、黒色粒子175aがプラスに帯電されているものとし、白色粒子175bがマイナスに帯電されているものとし、第1の導電層171及び第2の導電層173に電圧を印加する。ここでは、第2の導電層から第1の導電層の方向へ電界を生じさせると、図17(A)に示すように、第2の導電層173側に黒色粒子175aが泳動し、第1の導電層171側に白色粒子175bが泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層171側から見た場合には、白色に観察され、第2の導電層173側から見た場合には黒色に観察される。
一方、第1の導電層171から第2の導電層173の方向へ電圧が印加されると、図17(B)に示すように、第1の導電層171側に黒色粒子175aが泳動し、第2の導電層173側に白色粒子175bが泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層171側から見た場合には、白色に観察され、第2の導電層173側から見た場合には黒色に観察される。
次に、白色粒子を有し、且つ着色された分散媒を有するマイクロカプセル330の表示方法について示す。ここでは、分散媒が黒色に着色された例を示すが、他の色に着色された分散媒を用いても同様である。
マイクロカプセル330において、白色粒子332がマイナスに帯電されているものとし、第1の導電層171及び第2の導電層173に電圧を印加する。ここでは、第2の導電層から第1の導電層の方向へ電界を生じさせると、図17(C)に示すように、第1の導電層171側に白色粒子175bが泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層171側から見た場合には、白色に観察され、第2の導電層173側から見た場合には黒色に観察される。
一方、第1の導電層から第2の導電層の方向へ電界を生じさせると、図17(D)に示すように、第2の導電層173側に白色粒子175bが泳動する。この結果、マイクロカプセルを第1の導電層171側から見た場合には、白色に観察され、第2の導電層173側から見た場合には黒色に観察される。
ここで、電気泳動素子を用いて説明したが、この代わりにツイストボール表示方式を用いた表示装置を用いてもよい。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を第1の導電層及び第2の導電層の間に配置し、第1の導電層及び第2の導電層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
可撓性を有する基板172としては、実施の形態1で示した素子形成層104の表面に設けることが可能な可撓性を有する基板と同様のものを適宜選択して用いることができる。
次に、図9(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図9(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、図9(C)に示すように、電気泳動素子及び有機化合物層103を含む半導体装置177を作製することができる。なお、図9(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図9(D)に示すような半導体装置178を作製してもよい。
また、図10(A)に示すように、電気泳動素子にスイッチング素子を接続してもよい。スイッチング素子としては、薄膜トランジスタ、MIM(Metal−Insulator−Metal)、ダイオード等がある。ここでは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ141を用いる形態を示す。
即ち、図8(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に絶縁層120を形成し、絶縁層120上にスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ141を形成する。次に、薄膜トランジスタ141の配線に接続する第1の導電層181を絶縁層180を介して形成する。なお、薄膜トランジスタ141の配線と第1の導電層181は絶縁層180を介して接続されているが、この構造に限定されず、薄膜トランジスタ141の配線によって第1の導電層181を形成してもよい。なお、第1の導電層181は、画素ごとに形成する。
また、可撓性を有する基板172上に第2の導電層173を形成する。第2の導電層173は、各画素の共通電極となるように、画素部全面に形成してもよい。
次に、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板172をシール材で貼り合わせる。また、透光性を有する基板101及び可撓性を有する基板172の間に電気泳動素子を形成する。
次に、図10(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図10(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
電気泳動素子を有する表示装置やツイストボール表示方式の表示装置は、電界効果トランジスタを取り去った後も長期にわたって、電界印加時と同様の状態を保持する。よって、電源を切っても表示状態を維持することが可能である。このため低消費電力が可能で有る。
以上の工程により、電気泳動素子及び有機化合物層103を含む半導体装置182を作製することができる。なお、図10(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図10(D)に示すような半導体装置183を作製してもよい。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4において、素子形成層104の構成の代表例を、図11を用いて説明する。図11においては、薄膜トランジスタを有する半導体装置を作製する工程を示す。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2乃至4のいずれかを適用することもできる。
実施の形態1と同様に、図11(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に絶縁層120を形成してもよい。有機化合物層103上に薄膜トランジスタ141を形成する。ここで191は層間絶縁膜、192は可撓性を有する基板、193は接着剤をそれぞれ示す。
次に、図11(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図11(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、薄膜トランジスタ141及び有機化合物層103を含む半導体装置194を作製することができる。なお、図11(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図11(D)に示すような半導体装置195を作製してもよい。
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4において、素子形成層104の構成の代表例を、図12を用いて説明する。図12においては、太陽電池として機能する半導体装置を作製する工程を示す。なお、本実施の形態では、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2乃至4のいずれかを適用することもできる。
実施の形態1と同様に、図12(A)に示すように、透光性を有する基板101上に光触媒層102を形成し、光触媒層102上に有機化合物層103を形成する。次に、有機化合物層103上に絶縁層120を形成してもよい。
次に、絶縁層120上に第一の導電層202a〜202cを形成する。次に、第1の導電層202a〜202cの一部を露出させるように光電変換層203a〜203cを形成する。次に、光電変換層203a〜203c上であり、且つ第1の導電層202a〜202cの露出部の一部に第2の導電層204a〜204cを形成する。ここでは、第1の導電層202a、光電変換層203a、及び第2の導電層204aにより光電変換素子201aを構成する。また、第1の導電層202b、光電変換層203b、及び第2の導電層204bにより光電変換素子201bを構成する。また、第1の導電層202c、光電変換層203c、及び第2の導電層204cにより光電変換素子201cを構成する。なお、光電変換素子201a〜201cが直列接続となるように、光電変換素子201aの第2の導電層204aは、第2の光電変換素子201bの第1の導電層202bと接するように形成する。また、光電変換素子201bの第2の導電層204bは、第3の光電変換素子201cの第1の導電層202cと接するように形成する。光電変換素子201cの第2の導電層204cは、第4の光電変換素子の第1の導電層と接するように形成する。
第1の導電層202a〜202c、光電変換層203a〜203c、第2の導電層204a〜204cはそれぞれ、実施の形態5で示す光電変換素子またはダイオードの第1の導電層、機能層、及び第2の導電層を適宜用いることができる。
第2の導電層204a〜204c上に接着材206を用いて可撓性を有する基板205を貼り付けても良い。接着材206は、実施の形態5に示す接着材127を適宜用いることができる。また、可撓性を有する基板205としては、実施の形態1で示した素子形成層104の表面に設けることが可能な可撓性を有する基板と同様のものを適宜選択して用いることができる。
次に、図12(B)に示すように、透光性を有する基板101を介して、光触媒層102に光105を照射する。この結果、光触媒層102が活性化される。この結果、図12(C)に示すように、光触媒層102と有機化合物層103とが分離する。
以上の工程により、太陽電池として機能する半導体装置207を作製することができる。なお、図12(C)に示す剥離工程の後、有機化合物層103の表面に可撓性を有する基板130を設けて、図12(D)に示すような半導体装置208を作製してもよい。