JP6909090B2 - コンクリート表面上の損傷部の定量評価方法、定量評価装置、定量評価システム及びプログラム - Google Patents

コンクリート表面上の損傷部の定量評価方法、定量評価装置、定量評価システム及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート表面上の損傷部の定量評価方法、定量評価装置、定量評価システム及びプログラムに関する。
現在、道路や橋梁、トンネルといった様々なインフラ施設の老朽化が進んでおり、改修工事が各地で行われ、また改修計画が進められている。インフラ施設の多くは鉄筋コンクリート構造物(RC構造物)であるが、例えば竣工から40年以上が経過したRC構造物では、コンクリート表面上に様々な損傷部が存在している。この損傷部の具体例として、白華や遊離石灰、錆汁、温泉や沿岸地域等に固有の析出物といった面的な広がりを有するものが挙げられる。ここで、白華とは、コンクリート中の可溶成分の析出物(塩類、カルシウム等を含む)から生成されるものであり、エフロレッセンス(略してエフロ)などとも称される。また、遊離石灰とは、コンクリート中のカルシウム分の析出物から生成されるものであり、定義によっては、エフロと遊離石灰を同義に扱う場合もある。なお、これらの白華や遊離石灰は、往々にして面的に広がる汚れの内部にひび割れを内包する。さらに、錆汁とは、コンクリート中の鉄筋が腐食してひび割れから漏出したものである。
RC構造物の改修工事や改修計画に際しては、まず、インフラ施設の技術担当者や業務委託された調査会社もしくは建設会社の技術担当者により、RC構造物の表面の点検が実施される。
従来、このRC構造物の表面の点検に当たり、面的に広がりのある遊離石灰等の損傷部の評価は定性的な評価内容に留まっていた。例えば、点検者が、視認された表面性状に基づき、主観的な判断の下で、損傷部が非常に大きい、損傷部が大きい、損傷部が中程度、損傷部が小さい、損傷部が非常に小さい、等の定性的な評価を下していた。そして、例えば、非常に大きな損傷部、及び大きな損傷部の数等に応じて、インフラ施設の改修の優先度が決定されることがあった。しかしながら、このような従来の点検方法では、損傷部の大きさの判断が点検者の主観に委ねられ、点検者毎に評価結果が異なることは避けられない。言い換えれば、点検者の点検技量により、評価結果が左右されることになる。したがって、このような点検者による主観的で定性的な評価方法に代わり、面的に広がりのある損傷部を定量的に評価する方法が望まれている。
例えば、特許文献1乃至7には、RC構造物のコンクリート表面におけるひび割れを検出するひび割れ検出方法が開示されている。これらのひび割れ検出方法はいずれも、ウェーブレット変換処理と二値化処理を実行する方法を共通の工程とした上で、必要に応じてノイズ除去処理を実行してひび割れを特定したり、ひび割れ幅を推定する方法である。
特許第4006007号明細書 特許第4870016号明細書 特許第4980739号明細書 特許第5385593号明細書 特許第5421192号明細書 特許第5705711号明細書 特許第5812705号明細書
特許文献1乃至7に記載のひび割れ特定方法によれば、コンクリート表面の汚れや照明条件などによりひび割れの検出が困難な場合においても、高精度なひび割れの検出を行うことができる。しかしながら、これらの文献に記載の特定方法は、特定対象がせいぜい1mm乃至数mm程度のひび割れであることから、面的に広がりのある遊離石灰等の損傷部を定量的に評価できるか否かは定かでない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、コンクリート表面において面的な広がりを有する損傷部を定量的に評価することのできる定量評価方法、定量評価装置、定量評価システム及びプログラムを提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による定量評価方法の一態様は、面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力し、撮影時の輝度に対して所定の輝度補正量に基づき輝度補正処理を実行して入力画像を作成する工程と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する工程と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する工程と、
前記二値化画像に対して前処理を実行して損傷部特定画像を作成する工程と、
前記損傷部特定画像における損傷部の定量値を算出する工程と、を有することを特徴とする。
本態様の定量評価方法によれば、撮影時の輝度を適正に補正して作成された入力画像を用いてウェーブレット画像を作成し、このウェーブレット画像に基づいて作成された損傷部特定画像を用いることから、損傷部の定量値を精度よく特定することができる。なお、二値化画像の作成に際して参照されるウェーブレット係数テーブルの作成は、二値化画像の作成の前であればその作成タイミングはどのタイミングであってもよく、例えば入力画像の作成前であってもよいし、二値化画像の作成の直前であってもよい。
また、本発明による定量評価方法の他の態様において、前記定量値は前記損傷部の面積を含み、前記定量値を算出する工程では、前記面積及び前記輝度補正量を説明変数とし、補正後の損傷部の面積を目的変数とした以下の数1にて該補正後の損傷部の面積を算出することを特徴とする。
Figure 0006909090
ここで、Sは補正後の損傷部の面積、Sexpは補正前の損傷部の面積、kは実験値に基づく係数、ΔLuは輝度補正量を意味する。
本態様の定量評価方法によれば、入力画像を作成する際に適用された輝度補正量を説明変数の一つとする回帰分析にて、損傷部特定画像における損傷部の面積を補正することにより、高い精度で損傷部の面積(定量値)を算出することができる。なお、算出された面積から、損傷部の長手方向の長さや幅等を算出することができ、一つの損傷部に関する様々な定量値を算出することができる。
また、本発明による定量評価方法の他の態様において、前記損傷部特定画像を作成する工程における前記前処理が、前記二値化画像に対する輪郭線追跡処理、又は膨張・収縮処理のいずれか一種の処理であることを特徴とする。
いずれの前処理であっても、二値化画像を線図化して、幾何学的な連結性を有し、塊状で面的な広がりを有した損傷部を内包する損傷部特定画像を作成することができる。
また、本発明による定量評価装置の一態様は、面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面の撮影画像が入力される入力部と、
入力された前記撮影画像を用いて、撮影時の輝度に対して所定の輝度補正量に基づき輝度補正処理を実行して入力画像を作成する入力画像作成部と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成するウェーブレット画像作成部と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルと、前記ウェーブレット画像の各画素とを比較して二値化画像を作成する二値化画像作成部と、
前記二値化画像に対して前処理を実行して損傷部特定画像を作成する損傷部特定画像作成部と、
前記損傷部特定画像における損傷部の定量値を算出する定量値算出部と、を有することを特徴とする。
本態様の定量評価装置によれば、撮影時の輝度を適正に補正して作成された入力画像を用いてウェーブレット画像を作成し、このウェーブレット画像に基づいて作成された損傷部特定画像を用いることから、損傷部の定量値を精度よく特定することができる。
また、本発明による定量評価システムの一態様は、前記定量評価装置と、
前記撮影画像を撮像する撮像装置と、を有し、
前記撮影画像が前記定量評価装置の前記入力部に入力されることを特徴とする。
本態様の定量評価システムによれば、上記する本態様の定量評価装置を含むことにより、損傷部の定量値を精度よく特定することができる。なお、本態様の定量評価システムでは、撮像装置で取得された画像データをネットワークを介して定量評価装置に送信する形態であってもよいし、撮像装置と定量評価装置の各インターフェイスが直接接続され、画像データが定量評価装置に入力される形態であってもよい。
また、本発明によるプログラムの一態様は、コンクリート表面上の損傷部の定量値を算出するコンピュータに以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに入力された、面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面の撮影画像を用いて、撮影時の輝度に対して所定の輝度補正量に基づいて輝度補正処理を実行して入力画像を作成する工程と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する工程と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルと、前記ウェーブレット画像の各画素とを比較して二値化画像を作成する工程と、
前記二値化画像に対して前処理を実行して損傷部特定画像を作成する工程と、
前記損傷部特定画像における損傷部の定量値を算出する工程と、を実行させることを特徴とする。
本態様のプログラムの各工程をコンピュータに実行させることにより、コンクリート表面において面的な広がりを有する損傷部の定量値を高精度に算出することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の定量評価方法、定量評価装置及びプログラムによれば、コンクリート表面において面的な広がりを有する損傷部を定量的に評価することができる。
実施形態に係る定量評価システムの全体構成の一例を示す図である。 定量評価装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 定量評価装置の機能構成の一例を示す図である。 実施形態に係る定量評価方法を示すフローチャートである。 撮影画像の一例を示す写真図である。 入力画像の一例を示す写真図である。 ウェーブレット変換処理における、入力画像と局所領域の関係の一例を示す図である。 ウェーブレット変換処理における、局所領域と注目画素の関係の一例を示す図である。 擬似画像の一例を示す図である。 図7の擬似画像のウェーブレット係数の鳥瞰図の一例を示す図である。 ウェーブレット係数テーブルの一例を示す図である。 損傷部特定画像の一例を示す図である。 損傷部の面積、長さ、幅に関する定量値を説明する図である。 撮影画像の一例を示す写真図である。 図12Aの撮影画像に対する損傷部特定画像の一例を示す図である。 輝度補正の有無と損傷部の面積のばらつきに関する解析結果を示す図である。 数式1をグラフで示す図である。 輝度補正の有無と損傷部の面積のばらつきに関する解析結果を示す図である。 入力画像1の写真図である。 入力画像1に対する比較例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図である。 入力画像1に対する実施例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図である。 入力画像2の写真図である。 入力画像2に対する比較例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図である。 入力画像2に対する実施例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図である。
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。
[実施形態]
<1.定量評価システムの全体構成>
はじめに、定量評価システムの全体構成について説明する。図1は、定量評価システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、定量評価システム1000は、撮像装置100と、定量評価装置300とを有する。定量評価装置300はサーバ装置であり、撮像装置100と定量評価装置300とはそれぞれ、インターネットやLAN(Local Area Network)等に代表されるネットワーク200を介して接続されている。
撮像装置100は、CCDカメラやデジタルカメラ(一眼レフを含む)、デジタルカメラ(ハイビジョン)、デジタルビデオカメラ等の撮像部と、撮像部で取り込まれた画像データを送信する通信部とを有している。なお、撮像装置100が撮影部のみを有し、撮像装置100を携帯端末等に接続し、携帯端末等から画像データを送信する形態であってもよい。撮像装置100で撮影した画像データは、ネットワーク200を介して定量評価装置300に送信される。なお、この画像データには、コンクリート表面の画像情報が含まれる。例えば、建設から数十年が経過した鉄筋コンクリート製の道路橋やトンネル等のインフラ施設に関し、その更新施工の必要性の有無を判断するべく、撮像装置100にてコンクリート表面が撮像される。老朽化したコンクリート表面には、白華や遊離石灰、錆汁、温泉や沿岸地域等に固有の析出物といった、面的な広がりを有する損傷部が存在しており、損傷部の内部にひび割れを内在するものも多い。このように面的な広がりを有する損傷部に対し、そこに内在するひび割れは線状損傷部と言うこともできる。定量評価システム1000では、主として面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面を撮像し、ネットワーク200を介して画像データを定量評価装置300に送信し、定量評価装置300にて損傷部の定量値を算出する。
定量評価装置300には、データ収集プログラム、データ解析プログラムがインストールされており、定量評価装置300はこれらのプログラムを実行することで、データ収集部301及びデータ解析部302として機能する。
データ収集部301は、撮像装置100で撮像され、撮像装置100もしくは撮像装置100に接続された携帯端末等から送信された画像データを受信し、データ格納部303に格納する。
データ解析部302は、データ格納部303に格納された画像データに基づいて解析を実行する。
<2.定量評価装置のハードウェア構成>
次に、定量評価装置のハードウェア構成について説明する。図2は、定量評価装置300のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、定量評価装置300は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、補助記憶部404、表示部405、及び通信部406を有する。なお、定量評価装置300の各部は、バス407を介して相互に接続されている。
CPU401は、補助記憶部404にインストールされた各種プログラムを実行する。ROM402は不揮発性メモリであり、補助記憶部404に格納された各種プログラムをCPU401が実行するために必要な各種プログラムやデータ等を格納する主記憶部として機能する。RAM403は揮発性メモリであり、主記憶部として機能する。RAM403は、補助記憶部404に格納された各種プログラムがCPU401に実行される際の作業領域として機能する。補助記憶部404は、定量評価装置300にインストールされた各種プログラムや、各種プログラムを実行する際に用いるデータ等を格納する。
表示部405は、各種画面を表示する。例えば、撮像装置100から送信されてきた画像データを撮影画像として表示し、撮影画像の輝度補正を行ってできる入力画像を表示し、その他、ウェーブレット画像や二値化画像、損傷部特定画像等を表示する。さらに、算出された損傷部の定量値やこの定量値を含むテーブルを表示する。
通信部406は、撮像装置100もしくは撮像装置100と接続される携帯端末等と接続し、撮像装置100等から画像データを受信したり、定量評価装置300にて算出された定量値等を撮像装置100に接続された携帯端末等に送信したりする。
<3.定量評価装置の機能構成>
次に、コンクリート表面上の損傷部の定量評価装置の機能構成について説明する。図3は、定量評価装置300の機能構成の一例を示す図である。図3に示すように、撮像装置100から送信された画像データは、データ収集部301にて受信され、データ収集部301からデータ格納部303に一時的に格納される。データ解析部302による解析の実行に当たり、データ格納部303で格納されている画像データが入力部501に取り込まれる。
データ解析部302は、入力部501、入力画像作成部502、ウェーブレット画像作成部503、ウェーブレット係数テーブル作成部504、二値化画像作成部505、損傷部特定画像作成部506、及び定量値算出部507を有する。
入力部501は、データ格納部303で格納されている画像データに基づく撮影画像を取り込む(入力する)。データ格納部303には、様々なコンクリート表面の画像データが格納されているが、解析者による指定により、解析対象となる画像データに基づく撮影画像が選択され、入力部501に取り込まれて入力される。
入力画像作成部502は、入力部501に入力された撮影画像に対し、必要に応じて撮影画像の輝度を補正して入力画像を作成する。損傷部を高精度に特定してその定量値を算出するには、入力画像の輝度が所定範囲内の輝度であることが望ましい。例えば、輝度は輝度値0乃至255の256階調を有しているが、本発明者等の知見によれば、撮影画像に基づいて作成される入力画像がその中央値の128を含む120乃至160程度の範囲にあることが、損傷部の高精度な特定に好適である。入力画像作成部502には、予め、解析者によって所定の輝度補正値が入力されている。例えば、入力画像作成部502に上記範囲内にある150が輝度補正値として入力されている場合、入力画像作成部502は、入力部501から取り込んだ撮影画像の輝度を特定し、撮影画像の輝度が輝度補正値である150になるように輝度補正処理をおこない、入力画像を作成する。例えば、撮影画像の輝度が60の場合、輝度補正量90を上げる輝度補正処理が実行され、輝度150の入力画像が作成される。また、逆に、撮影画像の輝度が200の場合、輝度補正量50を下げる輝度補正処理が実行され、輝度150の入力画像が作成される。
ウェーブレット画像作成部503は、輝度補正処理が実行されて作成された入力画像に対し、ウェーブレット変換処理を実行してウェーブレット画像を作成する。ウェーブレット(wavelet)とは、小さな波という意味であり、局在性を持つ波の基本単位を、ウェーブレット関数を用いた式で表現することができる。このウェーブレット関数を拡大または縮小することにより、時間情報や空間情報と周波数情報を同時に解析することが可能となる。このウェーブレット係数を、損傷部を有するコンクリート表面に適用する場合のこの係数の特徴としては、コンクリート表面の濃度と、損傷部の濃度と、損傷部の幅(もしくは広さ)に依存するということである。例えば、損傷部の幅が大きくなるにつれてウェーブレット係数の値は大きくなる傾向があり、また、損傷部の濃度が濃くなるにつれて(黒色に近づくにつれて)ウェーブレット係数の値は大きくなる傾向がある。ウェーブレット変換処理によって算定されるウェーブレット係数を用いて、二値化画像を作成するアルゴリズムについては以下で詳説する。
ウェーブレット係数テーブル作成部504は、ウェーブレット画像から二値化画像を作成する際の閾値となるウェーブレット係数を作成する。ウェーブレット係数は、上記するように損傷部の幅や損傷部の濃度、コンクリート表面の濃度によって変化することから、擬似的に作成されたデータを用いて損傷部の濃度とコンクリート表面の濃度に関するウェーブレット係数を各階調毎に算定しておき、ウェーブレット係数テーブルを作成する。例えば、対比される2つの濃度(一方の濃度をコンクリート表面の濃度、他方の濃度を損傷部の濃度と仮定することができる)に対応するウェーブレット係数(閾値)が、ウェーブレット係数テーブルを参照すれば一義的に決定される。
二値化画像作成部505は、ウェーブレット画像作成部503で作成されたウェーブレット画像の各画素と、ウェーブレット係数テーブル作成部504で作成された閾値となるウェーブレット係数とを比較演算する二値化処理を実行する。例えば、ウェーブレット画像を構成する各画素のウェーブレット係数値が、ウェーブレット係数テーブルの閾値よりも大きな場合は当該画素が損傷部であると判断して1を割り当て、閾値よりも小さい場合は当該画素が損傷部でないと判断して0を割り当てる二値化処理を実行する。したがって、二値化画像は、各画素が0と1のいずれかで表現された画像となる。
損傷部特定画像作成部506は、二値化画像作成部505にて作成された二値化画像に対し、前処理を実行して損傷部特定画像を作成する。この前処理には、二値化画像を線図化して幾何学的な連結性を持った塊状の形状である損傷部を作成する輪郭線追跡処理や、膨張・収縮処理等が適用される。これらの前処理については以下で詳説する。
定量値算出部507は、損傷部特定画像作成部506にて作成された損傷部特定画像を用いて、損傷部の定量値を算出する。この損傷部の定量値の算出に際しては、例えば回帰分析処理を実行する。算出された定量値には、損傷部の面積や、損傷部の長手方向の長さや短手方向の長さ(幅)等が含まれる。定量値算出部507では、算出された各損傷部の様々な定量値をテーブルに集計化する。例えば、解析対象の入力画像に基づいて作成された損傷部特定画像がNo.1乃至No.10の損傷部を包含している場合に、各損傷部の形状を図化するとともに、各損傷部の面積、長さ、幅等の定量値がテーブル内に記載される。
上記する各部で作成された画像は、データ格納部303に格納される。また、各部で作成された画像は表示部405にて適宜表示され、解析者は都度所望の画像を確認することができる。
定量値算出部507で作成された各損傷部の形状や各種定量値を纏めたテーブルに基づき、検査対象の鉄筋コンクリート構造物の損傷度合が定量的に評価される。したがって、鉄筋コンクリート構造物の更新施工の要否等の判断を、客観的な指標に基づいて実行することが可能になる。
<4.定量評価方法>
次に、コンクリート表面上の損傷部の定量評価方法について説明する。図4は、定量評価方法を示すフローチャートであり、定量評価装置300における処理の流れを示している。
ステップS700において、入力部501に撮影画像の入力が実行される。入力される撮影画像は、撮影時の照度や、撮像装置100と撮影対象のコンクリート表面までの距離等によって変化する任意の輝度を有している。図5Aにおいて、撮影画像の一例を写真図として示す。
ステップS702において、入力部501から入力画像作成部502に取り込まれた撮影画像に基づいて、入力画像作成部502にて入力画像を作成する。入力画像は、撮影画像の輝度の補正処理を要する場合は輝度補正処理を実行して入力画像を作成し、輝度の補正処理が不要な場合は撮影画像をそのまま入力画像とする。256階調の輝度のうち、その中央値である128を含む120乃至160程度の範囲内で解析者が最適と判断する輝度を設定しておく。撮影画像の輝度が設定されている輝度と符合しない場合、撮影画像に対して輝度の補正処理を実行し、設定されている輝度を有する入力画像を作成する。なお、入力画像を作成する際に調整した輝度補正量は、後述する、損傷部の定量値の算出の際に適用する回帰分析において用いる。図5Bにおいて、図5Aで示す撮影画像に基づいて作成された入力画像の一例を写真図として示す。
ステップS704において、ウェーブレット画像作成部503に入力画像を取り込み、入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行することにより、ウェーブレット画像を作成する。
ここで、ウェーブレット変換処理について説明する。図6Aは、ウェーブレット変換処理における、入力画像と局所領域の関係の一例を示す図である。また、図6Bは、ウェーブレット変換処理における、局所領域と注目画素の関係の一例を示す図である。
ウェーブレット関数には、ガボール関数やラプラシアンガウシアン関数等があるが、解析対象が、例えば、円形や楕円形、これらが不均一にくずれた形状を呈する面的に広がりを有したコンクリート表面上の損傷部であることより、これらの形状検出に好適なラプラシアンガウシアン関数を適用してウェーブレット変換処理を実行する。
図6Aで示すように、入力画像1における広域領域2の中心である局所領域3においてウェーブレット変換処理を行い、当該局所領域3の中心で損傷部の検出を行う。入力画像1内をくまなく広域領域2を上下左右に平行移動して、入力画像1内における損傷部の検出を行う。
図6Bは局所領域3を拡大した図である。図示する実施形態では、例えば3×3の9つの画素(8つの近傍画素31,31,…と、中央に位置する注目画素32)の中心で損傷部の判定を行う。なお、ウェーブレット係数の算定は、図6Aにおける局所領域3を対象として行う。ここで、ウェーブレット関数(マザーウェーブレット関数)を用いたウェーブレット変換を行うことでウェーブレット係数を算定する算定式を以下に示す。
Figure 0006909090
Figure 0006909090
Figure 0006909090
ここで、f(x、y)は、入力画像(ここで、x、yは2次元入力画像中の任意の座標である)を、Ψは、マザーウェーブレット関数(ガボール関数)を、(x、y)はΨの平行移動量を、それぞれ示している。また、aは、Ψの拡大や縮小を(ここで、aは周波数の逆数であって、幾つかの周波数領域について計算するための周波数幅を整数kで示した値)、fは、中心周波数を、σは、ガウス関数の標準偏差を、それぞれ示している。さらに、θは、波の進行方向を表す回転角を、(x'、y')は、(x、y)を角度θだけ回転させた座標を、それぞれ示している。
数式2を用いて計算した複数のθ、kに対して、ウェーブレット係数Ψの累計値C(x、y)を求める式が以下の数式5となる。
Figure 0006909090
上記のパラメータは任意に設定できるが、例えば、σを0.5乃至2に、aは0乃至5に、fは0.1に、回転角は0乃至180度に、それぞれ設定できる。数式5における平行移動量(x、y)は、注目画素の位置に対応するものであり、注目画素の位置を順次移動させることにより、ウェーブレット係数の連続量(C(x、y))が算定できる。
局所領域3を構成する全画素に対して、ウェーブレット係数を上算定式に基づいて算定した後、注目画素を一つ左右または上下に移動させてできる広域領域2の全画素において同様にウェーブレット係数を算定する。
ラプラシアンガウシアン関数においては、標準偏差σの大小により、検出可能な損傷部の大きさを設定でき、細かな面積の変化を捉える場合には標準偏差を小さく設定し、緩やかな面積の変化を捉える場合には標準偏差を大きく設定すればよい。標準偏差を調整して損傷部の寸法レンジを設定することにより、所望する面積範囲内の面積を有する損傷部に関するウェーブレット画像を作成することができる。
ステップS706において、ウェーブレット係数テーブル作成部504にてウェーブレット係数テーブルの作成を実行する。ウェーブレット係数テーブルの作成では、入力画像とは何等の関係もない、対比する2つの濃度からなる擬似画像に対して、ウェーブレット係数の算定を行う。例えば、図7に示すように、コンクリート表面と仮定される背景色a(例えば、背景色のR、G、Bが、255,255,255とする)と、損傷部と仮定される仮損傷部b1乃至b5からなる擬似画像のウェーブレット係数を求める。ここで、仮損傷部b1乃至b5は、幅が順に1ピクセル乃至5ピクセルまで変化しており、さらに、各仮損傷部は、3種類の濃度を備えている(例えば、仮損傷部b1では、濃度の濃い順に、b11(黒色)、b12(薄い黒色)、b13(灰色)と変化している)。この擬似画像に対して、ウェーブレット変換を行うことにより算定されるウェーブレット係数の鳥瞰図を図8に示す。図8において、X軸は仮損傷部の幅を、Y軸は仮損傷部の色の濃度を、Z軸はウェーブレット係数をそれぞれ示している。ウェーブレット画像における損傷部上でウェーブレット係数が算定される。同時に、対比する2つの濃度の組み合わせをそれぞれ0乃至255の256階調で行うことにより、図9に示すようなウェーブレット係数テーブルの作成がおこなわれる。なお、ウェーブレット係数テーブルの作成のタイミングは、後述する二値化画像の作成までのいずれのタイミングでもよい。例えば、撮影画像の入力後に行ってもよいし、ウェーブレット画像の作成と並行して行ってもよいし、ウェーブレット画像を作成した後でかつ二値化画像の作成前に行ってもよい。
ステップS708において、二値化画像作成部505にて二値化画像の作成を実行する。ウェーブレット係数テーブル内において、局所領域内の近傍画素の平均濃度と注目画素の濃度に対応するウェーブレット係数をウェーブレット係数に関する閾値とする。そして、注目画素のウェーブレット係数が閾値よりも大きな場合は注目画素を損傷部と判定し(画面上では例えば白色)、小さな場合は注目画素を損傷部でないと判定する(画面上では例えば黒色)。局所領域および注目画素を変化させながら、注目画素のウェーブレット係数と閾値との比較演算を実行することにより、二値化画像が作成される。
ステップS710において、損傷部特定画像作成部506に二値化画像を取り込み、二値化画像に対して前処理を実行することにより、損傷部特定画像を作成する。
損傷部特定画像の作成において用いられる前処理としては、輪郭線追跡処理と、膨張・収縮処理とがあり、いずれを用いてもよい。
ここで、輪郭線追跡処理の内容を概説する。輪郭線追跡処理は、各損傷部領域における任意の損傷部画素を起点とし(第1画素)、例えば、この第1画素から反時計回りに隣接する画素に注目し、この隣接画素(第2画素)が損傷部画素である場合には第1画素と第2画素を接続する。以後、同様に第2画素、第3画素、…、第n−1画素、第n画素と損傷部画素の追跡をおこない、第n画素の次に起点となる第1画素がくる場合には、第一画素乃至第n画素までを一つの損傷部(面的に広がる損傷部)と判定する。あるいは、第n画素の次に続く損傷部画素が存在しなくなった時点で、第1画素乃至第n画素を一つの損傷部と判定する。なお、損傷部の中には、その途中で二股以上に分岐するような損傷部も含まれる。この次数nの設定は任意であり、例えば、第1画素からの追跡数がこの設定された次数n以上の場合を損傷部と判定することにより、ノイズの一部が除去された損傷部特定画像が作成される。
次に、膨張・収縮処理の内容を概説する。膨張・収縮処理は、二値化画像の白い領域又は黒い領域を広げたり、小さくしたりする処理である。最も簡易なアルゴリズムは、注目画素の周辺に一画素でも白い画素があれば白に置き換える処理を行い(膨張処理、ダイレーション:Dilation)、逆に周辺に一画素でも黒い画素があれば黒に置き換える処理を行う(収縮処理、エロージョン:Erosion)。
以上のような前処理を二値化画像に対して実行することにより、損傷部特定画像が作成される。図10は、図5Bで示す入力画像に基づいて作成された、損傷部特定画像の一例を示す図である。
ステップS712において、定量値算出部507に損傷部特定画像を取り込み、損傷部特定画像中に内在する損傷部の定量値の算出を実行する。この定量値の算出は、定量値算出部507にて、例えば損傷部の面積を自動的に割出す方法で行われる(コンピュータによる面積の割出し)。損傷部の面積が割出された後、この面積を有する損傷部の形状を分析して、損傷部の最大長さと最大幅を他の定量値として算出することもできる。
しかしながら、より好ましい定量値の算出方法として、定量値算出部507において、コンピュータにて割出された損傷部の面積に対してさらに回帰分析処理を実行し、コンピュータにて割出された損傷部の面積を補正して損傷部の面積とする。この回帰分析では、コンピュータにて割出された面積と、ステップS702で設定した輝度補正量を説明変数とし、補正後の損傷部の面積を目的変数とした以下の数式1にて補正後の損傷部の面積を算出する。
Figure 0006909090
ここで、Sは補正後の損傷部の面積、Sexpは補正前の損傷部の面積、kは実験値に基づく係数、ΔLuは輝度補正量を意味する。実験値に基づく係数Kとしては、例えば0.0069を適用できる。
解析対象の入力画像の輝度(言い換えれば、解析者にて設定される、撮影画像に対する調整輝度)により、損傷部特定画像内に内在する損傷部の面積が変化することが本発明者等によって特定されている。そこで、上記式1を用いて、入力画像作成の際に適用した輝度補正量を説明変数の一つとした回帰分析処理を実行して損傷部の面積を補正することにより、高い精度で損傷部の定量値の一つである面積を算出することができる。図11は、図10で示す損傷部特定画像に対し、回帰分析処理を実行して算出された補正後の損傷部の一例を示し、その面積Sと、長さL、及び幅Bを示している。
ステップS714において、撮影されたコンクリート表面における、面的な広がりを有する全ての損傷部の定量値をデータ格納部303に格納する。
図4で示す定量評価方法は、定量評価装置300において実行される一連の処理フローでもあるが、この一連の処理フローを含むプログラムがコンピュータにインストールされることにより、定量評価装置300が形成されてもよい。
[他の実施形態]
上記する実施形態では、ネットワーク200を介して撮像装置100と定量評価装置300が接続され、撮像装置100もしくは撮像装置100に接続された携帯端末等から画像データが定量評価装置300に送信される定量評価システム1000である。これに対し、ネットワーク200を介することなく、撮像装置100のインターフェイスと定量評価装置300のインターフェイスを解析者が直接接続し、撮像装置100から直接的に画像データを定量評価装置300に取り込む実施形態であってもよい。
<第一解析>
次に、本発明者等による検証結果に関し、第一解析の内容とその結果を説明する。ここでは、撮影画像の平均輝度を種々変化させ、各平均輝度における撮影画像に対して輝度補正を行うケースと、輝度補正を行わないケースとで、損傷部の面積のばらつきの程度を検証した。図12Aは、あるコンクリート表面において、ある輝度の下での撮影画像の一例を示す写真図である。また、図12Bは、図12Aの撮影画像に対する損傷部特定画像の一例を示す図である。図12Bで示す損傷部特定画像は、上記実施形態に係る定量評価方法を用いて作成されている。
図12Aにおいて、撮影画像の平均輝度は60、100、140の3ケースとした。この撮影画像をコンピュータに入力し、予めインストールされている画像処理ソフトを用いて、撮影画像の輝度を種々の輝度値に補正して入力画像を作成した。図13は、輝度補正の有無と損傷部の面積のばらつきに関する解析結果を示す図である。図13において、例えば「60−60」とは、撮影画像の輝度が60であり、入力画像は輝度補正をおこなわずに60のままとしているケースである。また、「100−140」とは、撮影画像の輝度が100であり、輝度補正量40を上げて輝度140の入力画像としているケースである。
図13より、例えば、撮影画像の輝度が60のケースでは、輝度補正をおこなわない輝度60の入力画像、輝度を140に補正した入力画像、輝度を150に補正した入力画像の順に面積が大きくなり、これら3ケースでの面積のばらつきが大きいことが分かる。具体的には、60−60のケースでの損傷部の面積は180,000mm程度であるのに対し、60−150のケースでの損傷部の面積は330,000mm程度となっており、およそ2倍の開きがある。
これに対し、撮影画像の輝度が100のケースでは、100−100のケースでの損傷部の面積が230,000mm程度であり、100−150のケースでの損傷部の面積が300,000mm程度である。したがって、その各ケースの開きは、輝度60のケースよりも小さくなっており、ばらつきが小さくなっていることが分かる。
さらに、撮影画像の輝度が140のケースでは、140−140のケースと140−150のケースでの損傷部の面積のばらつきは僅かである。
第一解析の結果より、撮影画像の輝度が256階調の輝度の中央値128に近い140程度である場合に、輝度補正の必要性が少なくなること、および輝度補正を仮に行ったとしても損傷部の面積にばらつきが生じ難くなることが分かる。
図14は、実験値に基づく係数kを0.0069に設定した場合の数式1をグラフで示している。図14において、縦軸は、図13の140−140のケースを基準画像とし、この基準画像における損傷部面積と、他のケース(検証画像)における損傷部面積の比率を示している。例えば、横軸ΔLuが40とは、100−140のケースを示しており、このケースの場合、数式1に基づけば、基準面積に対して損傷部の面積が1.3倍程度大きくなることを示している。
図15は、輝度補正の有無と損傷部の面積のばらつきに関する解析結果を示している。図15より、60−60のケースは、基準画像(140−140のケース)に対して14%ばらつきがあり、100−100のケースは、基準画像に対して11%ばらつきがある。すなわち、撮影画像から入力画像への変換の際に適正な輝度値に輝度補正をおこなわないケースでは、適正な輝度の入力画像に基づく基準画像に対して10%以上の損傷部面積のばらつきがある。
これに対し、60−140のケースでは、基準画像に対して5%のばらつきとなり、100−140のケースでは、基準画像に対して6%のばらつきとなる
以上の解析結果より、入力画像の作成に際して適正に輝度補正を行うことにより、損傷部面積のばらつきが少なくなることが検証されている。
第一解析の結果より、撮影画像に対して適正な輝度値に輝度補正された入力画像を作成し、この入力画像に基づいて損傷部の定量値を算出するのがよいことが分かる。
<第二解析>
次に、本発明者等による検証結果に関し、第二解析の内容とその結果を説明する。ここでは、二つの輝度の異なる入力画像に対して、上記実施形態に係る定量評価方法を用いて損傷部の面積を算出するケース(実施例)と、他の方法を用いて損傷部の面積を算出するケース(比較例)とで、損傷部の面積にどの程度のばらつきがあるかを検証している。ここで、「他の方法」とは、上記実施形態に係る定量評価方法が、ウェーブレット変換処理を実行して二値化画像を作成する処理であるのに対して、輝度を閾値として二値化画像を作成する方法である。図16Aは、入力画像1の写真図である。図16Bは、入力画像1に対する比較例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図であり、図16Cは、入力画像1に対する実施例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図である。また、図17Aは、入力画像2の写真図である。図17Bは、入力画像2に対する比較例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図であり、図17Cは、入力画像2に対する実施例の損傷部特定画像と損傷部の面積を示す図である。入力画像1は、輝度60の撮影画像に対し、輝度を138に補正して入力画像としたものである。一方、入力画像2は、輝度98の撮影画像に対し、輝度を150に補正して入力画像としたものである。
比較例に係る図16Bと図17Bの各グループ(各損傷部)の面積、及び損傷部の合計面積を比較すると、図16Bに対し、図17Bの損傷部の合計面積は60%程度も大きくなり、損傷部の面積に大きなばらつきがあることが分かる。
これに対し、実施例に係る図16Cと図17Cの各グループの面積、及び損傷部の合計面積を比較すると、ばらつきは殆ど無いことが分かる。
第二解析の結果より、面的な広がりを有する損傷部の面積等の定量値の算出に際しては、二値化画像の作成に当たり、ウェーブレット変換処理(特に、ラプラシアンガウシアン関数を適用したウェーブレット変換処理)を実行することが有効であることが分かる。
以上、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
100 :撮像装置
200 :ネットワーク
300 :定量評価装置(サーバ装置)
301 :データ収集部
302 :データ解析部
303 :データ格納部
501 :入力部
502 :入力画像作成部
503 :ウェーブレット画像作成部
504 :ウェーブレット係数テーブル作成部
505 :二値化画像作成部
506 :損傷部特定画像作成部
1000 :定量評価システム

Claims (6)

  1. 面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力し、撮影時の輝度に対して所定の輝度補正量に基づき輝度補正処理を実行して入力画像を作成する工程と、
    前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する工程と、
    ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する工程と、
    前記二値化画像に対して前処理を実行して損傷部特定画像を作成する工程と、
    前記損傷部特定画像における損傷部の定量値を算出する工程と、を有し、
    前記定量値は前記損傷部の面積を含み、
    前記定量値を算出する工程では、前記面積及び前記輝度補正量を説明変数とし、補正後の損傷部の面積を目的変数とした以下の数1にて該補正後の損傷部の面積を算出することを特徴とする、コンクリート表面上の損傷部の定量評価方法。
    Figure 0006909090


    ここで、Sは補正後の損傷部の面積、Sexpは補正前の損傷部の面積、kは実験値に基づく係数、ΔLuは輝度補正量を意味する。
  2. 前記損傷部特定画像を作成する工程における前記前処理が、前記二値化画像に対する輪郭線追跡処理、又は膨張・収縮処理のいずれか一種の処理であることを特徴とする、請求項に記載のコンクリート表面上の損傷部の定量評価方法。
  3. 面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面の撮影画像が入力される入力部と、
    入力された前記撮影画像を用いて、撮影時の輝度に対して所定の輝度補正量に基づき輝度補正処理を実行して入力画像を作成する入力画像作成部と、
    前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成するウェーブレット画像作成部と、
    ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルと、前記ウェーブレット画像の各画素とを比較して二値化画像を作成する二値化画像作成部と、
    前記二値化画像に対して前処理を実行して損傷部特定画像を作成する損傷部特定画像作成部と、
    前記損傷部特定画像における損傷部の定量値を算出する定量値算出部と、を有し、
    前記定量値は前記損傷部の面積を含み、
    前記定量値算出部では、前記面積及び前記輝度補正量を説明変数とし、補正後の損傷部の面積を目的変数とした以下の数1にて該補正後の損傷部の面積を算出することを特徴とする、コンクリート表面上の損傷部の定量評価装置。
    Figure 0006909090


    ここで、Sは補正後の損傷部の面積、Sexpは補正前の損傷部の面積、kは実験値に基づく係数、ΔLuは輝度補正量を意味する。
  4. 前記損傷部特定画像作成部における前記前処理が、前記二値化画像に対する輪郭線追跡処理、又は膨張・収縮処理のいずれか一種であることを特徴とする、請求項に記載のコンクリート表面上の損傷部の定量評価装置。
  5. 請求項3又は4に記載の定量評価装置と、
    前記撮影画像を撮像する撮像装置と、を有し、
    前記撮影画像が前記定量評価装置の前記入力部に入力されることを特徴とする、定量評価システム。
  6. コンクリート表面上の損傷部の定量値を算出するコンピュータに以下の処理を実行させるプログラムであって、
    前記コンピュータに入力された、面的な広がりを有する損傷部を含むコンクリート表面の撮影画像を用いて、撮影時の輝度に対して所定の輝度補正量に基づいて輝度補正処理を実行して入力画像を作成する工程と、
    前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する工程と、
    ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルと、前記ウェーブレット画像の各画素とを比較して二値化画像を作成する工程と、
    前記二値化画像に対して前処理を実行して損傷部特定画像を作成する工程と、
    前記損傷部特定画像における損傷部の定量値を算出する工程と、を実行させ、
    前記定量値は前記損傷部の面積を含み、
    前記定量値を算出する工程では、前記面積及び前記輝度補正量を説明変数とし、補正後の損傷部の面積を目的変数とした以下の数1にて該補正後の損傷部の面積を算出することを特徴とする、プログラム。
    Figure 0006909090


    ここで、Sは補正後の損傷部の面積、Sexpは補正前の損傷部の面積、kは実験値に基づく係数、ΔLuは輝度補正量を意味する。
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