JP6907961B2 - 鋼片の圧延方法及び圧延設備 - Google Patents

鋼片の圧延方法及び圧延設備 Download PDF

Info

Publication number
JP6907961B2
JP6907961B2 JP2018013693A JP2018013693A JP6907961B2 JP 6907961 B2 JP6907961 B2 JP 6907961B2 JP 2018013693 A JP2018013693 A JP 2018013693A JP 2018013693 A JP2018013693 A JP 2018013693A JP 6907961 B2 JP6907961 B2 JP 6907961B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
outer peripheral
peripheral surface
roll
steel piece
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018013693A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018130765A (ja
Inventor
山田 健二
健二 山田
水上 英夫
英夫 水上
原田 寛
寛 原田
悠衣 伊藤
悠衣 伊藤
透 明石
透 明石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Publication of JP2018130765A publication Critical patent/JP2018130765A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6907961B2 publication Critical patent/JP6907961B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、板製品の素材となる横断面形状が略矩形である鋼片を圧延する鋼片の圧延方法及び圧延設備に関する。
連続的に溶鋼を矩形断面の鋼片に凝固させる連続鋳造機において、従来から、鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断等、製品欠陥(表面欠陥や機械特性不良)の発生が課題となっている。
例えば、特許文献1には、鋼片中心が完全凝固後に、表層部と中心部との温度差に応じて圧下率(量)を規定して圧延することで、中心部組織を改善する方法が開示されている。この技術によれば、表層部と中心部との温度差が小さい場合に比べれば、鋼片中心部の静水圧応力が増大し、かつ塑性ひずみ量も増え、ポロシティー欠陥や中心偏析の改善が得られる。
また、特許文献2には、幅中央部に厚肉部を有する異形断面鋼片を、鋼片中心部が完全凝固した後に圧下することで中心偏析を低減する技術が開示されている。当該技術では、鋼片の異形断面化によって、上述の特許文献1に開示された技術と比較して、鋼片中心部では圧延による塑性ひずみが増大し、かつ、静水圧応力も増大するため、中心部の組織が改善する。
特開2004−237291号公報 特開2016−016450号公報
しかし、上記特許文献1に関しては、通常、表層部と中心部との温度差は表面の熱伝達係数及び鋼片厚でほぼ決まり、また、圧下量は鋼片厚と、製品厚からほぼ設定される中間製品(通常、粗バーと呼ばれる)の厚さとの差で圧下量の上限が制約される。このため、十分な圧下量が実現できない場合も多く、圧下量の不足に起因して、特に板厚が大きい製品を製造する際には、十分な組織や品質の改善効果が得られないことが多い。
また、上記特許文献2では、表層から鋼片厚の1/4の位置から表層近傍で生じる塑性ひずみが激減し、柱状晶組織が残留する。このため、当該部分での偏析は極めて悪化する。また、異形断面鋼片を連続鋳造すること自体が難しく、設備コストも膨大になる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、および柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断の発生を抑制し、表面欠陥や機械特性不良といった製品欠陥の発生を抑制することの可能な、鋼片の圧延方法及び圧延設備を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、横断面形状が略矩形の鋼片について2パス以上の圧延を行う鋼片の圧延方法であって、最終のパスを除く、少なくとも1パス以上の圧延は、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する圧延ロールが鋼片と当接する一対の作業ロールのうち少なくともいずれか一方の作業ロールとして組み込まれた圧延機によって行われ、圧延ロールは、周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下、かつ、振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下であり、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する、鋼片の圧延方法が提供される。
ここで、圧延ロールの外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が正弦波状となるように形成されていてもよい。
あるいは、圧延ロールの外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、直線、及び、少なくとも円弧または高次関数曲線のいずれかを含む複数の線分で構成される連続的かつ周期的形状となるように形成されていてもよい。
また、圧延ロールの外周面形状は、圧延ロールの回転方向において、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が増大する部分の傾斜角度を表す上り勾配角度の最大値が摩擦角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
あるいは、圧延ロールの外周面形状は、圧延ロールの回転方向において、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が減少する部分の傾斜角度を表す下り勾配角度の最小値の絶対値がロールバイトの噛み込み角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
また、圧延ロールの外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、圧延ロールの胴長方向にその位相を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
あるいは、圧延ロールの外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、圧延ロールの胴長方向にその振幅および全周平均半径値を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
圧延ロールが組み込まれた圧延機により鋼片を圧延する圧延パスは、鋼片の表面温度と板厚中心部における板厚中心温度との温度差が20℃以上となる圧延パスにおいて実施される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、横断面形状が略矩形の鋼片を圧延する圧延機を複数備える圧延設備であって、鋼片の搬送方向最下流に位置する圧延機を除く、少なくとも1台以上の圧延機において、鋼片と当接する一対の作業ロールのうち少なくともいずれか一方は、周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下、かつ、振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下であり、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する、圧延設備が提供される。
ここで、作業ロールの外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が正弦波状となるように形成されていてもよい。
また、作業ロールの外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、直線、及び、少なくとも円弧または高次関数曲線のいずれかを含む複数の線分で構成される連続的かつ周期的形状となるように形成されていてもよい。
あるいは、作業ロールの外周面形状は、作業ロールの回転方向において、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が増大する部分の傾斜角度を表す上り勾配角度の最大値が摩擦角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
また、作業ロールの外周面形状は、作業ロールの回転方向において、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が減少する部分の傾斜角度を表す下り勾配角度の最小値の絶対値がロールバイトの噛み込み角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
あるいは、作業ロールの外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、作業ロールの胴長方向にその位相を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
また、作業ロールの外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、作業ロールの胴長方向にその振幅および全周平均半径値を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されていてもよい。
周期的に変化する外周面形状を有する作業ロールが設けられた圧延機は、2段圧延機であってもよく、4段圧延機であってもよい。
上記圧延設備は、鋼片を鋳造する連続鋳造機に対して鋳造方向下流側に配置されてもよい。
あるいは、上記圧延設備は、加熱炉により加熱された鋼片のスケールを除去するスケール除去装置に対して鋼片の搬送方向下流側に配置されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、および柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断の発生を抑制し、表面欠陥や機械特性不良といった製品欠陥の発生を抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る圧延設備を示す概略説明図であり、3台の圧延機が設置された場合を示す。 同実施形態に係る圧延設備を示す概略説明図であり、2台の圧延機が設置された場合を示す。 波付きロールの一例を示す概略斜視図である。 図3の波付きロールを4段圧延機の上作業ロール及び下作業ロールに適用した状態を示す説明図である。 波付きロールの他の例を示す説明図である。 図1に示した圧延設備を連続鋳造機の鋳造方向下流側に設置した例を示す概略説明図である。 図2に示した圧延設備を連続鋳造機の鋳造方向下流側に設置した例を示す概略説明図である。 図1に示した圧延設備をスケール除去装置に対して鋼片の搬送方向下流側に設置した例を示す概略説明図である。 波付きロールを用いて鋼片を圧延したときの鋼片内部の塑性変形状態(応力、塑性ひずみおよびメタルフロー)を示す概念図である。 波付きロールとフラットロールとについて、鋼片の板厚中央に生じる静水圧応力の大きさとロールバイトおよびその近傍での分布、および静水圧応力(圧縮側を正)の最大値についてフラットロールを用いた場合に対する波付きロールを用いた場合の増分値を示す説明図である。 図9に示した波付きロールまたは上下フラットロールにより圧延した1パス目と、1パス目圧延後の鋼片を搬送方向最下流に設けられる上下フラットロールにより圧延した2パス目とについて、各パス圧延後の鋼片の厚さ中央位置及び表層から1/4厚さ位置における塑性ひずみ(各パスで生じたひずみ量)の長さ方向分布を示す説明図である。 図11に示す1パス目と2パス目との塑性ひずみを合計した合計ひずみ値とその長さ方向平均値、および、合計ひずみ値の長さ方向平均値について1パス目にフラットロールを用いた場合に対する波付きロールを用いた場合の増分値を示す説明図である。 波付きロールの外周面に形成される波形状の周期と合計ひずみ増分値との関係を示す説明図である。 波付きロールの外周面に形成される波形状の周期と静水圧増分値との関係を示す説明図である。 波付きロールの外周面に形成される波形状の振幅と合計ひずみ増分値との関係を示す説明図である。 波付きロールの外周面に形成される波形状の振幅と静水圧増分値との関係を示す説明図である。 波付きロールの外周面形状の定義とその勾配角度を説明する説明図である。 波付きロールの外周面形状の上り勾配角度の限定条件を説明する説明図である。 波付きロールの外周面形状の下り配角度の限定条件を説明する説明図である。 鋼片の板厚方向温度差と板厚中央ひずみ増分量との関係を示す説明図である。 鋼片の板厚方向温度差と静水圧応力増分量との関係を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.圧延設備>
[1−1.圧延設備の構成]
まず、図1〜図5に基づいて、本発明の一実施形態に係る圧延設備20の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る圧延設備20を示す概略説明図であり、3台の圧延機が設置された場合を示す。図2は、本実施形態に係る圧延設備20を示す概略説明図であり、2台の圧延機が設置された場合を示す。図3は、本実施形態に係る圧延設備20に配置される圧延機のうち、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する作業ロール(以下、「波付きロール」とも称する。)を備える圧延機について、波付きロールの一例を示す概略斜視図である。図4は、図3の波付きロールを4段圧延機の上作業ロール及び下作業ロールに適用した状態を示す説明図である。図5は、波付きロールの他の例を示す説明図である。
本実施形態に係る圧延設備20は、横断面形状が略矩形である鋼片5を圧延する圧延機を複数備える設備である。ここで、横断面形状が略矩形である鋼片5とは、鋼片5の長さ方向に直交する断面(横断面)の形状が略矩形となる鋼片をいい、一般には鋼片幅Wと鋼片厚Hの比(W/H)が略1以上の鋼片をいう。本実施形態に係る圧延設備20は例えば図1に示すように、3台の圧延機21、22、23を備えてもよく、図2に示すように2台の圧延機24、25を備えてもよい。また、圧延機は、図1の圧延機21、22、23のように、一対の作業ロールからなる2段圧延機であってもよく、一対の作業ロールと、一対の補強ロールとからなる4段圧延機であってもよい。さらに、圧延設備20は、4台以上の圧延機を備えてもよい。
本実施形態に係る圧延設備20は、鋼片5の搬送方向最下流に配置された圧延機を除いた少なくとも1台以上の圧延機において、鋼片5と当接する一対の作業ロールのうち少なくともいずれか一方に、周期的に変化する外周面形状を有するロールが用いられている。この周期的に変化する外周面形状を有するロールを、以下、波付きロールとも称する。
波付きロールの外周面形状は、外周面の周期的な変化が後述する周期及び振幅の要件を満たしていれば、特に限定されるものではない。ただし、例えば図1及び図2に示した2段圧延機には作業ロールを支える補強ロールがないため、作業ロールが許容できる最大荷重には限界がある。したがって、硬い材料を圧延する場合には、後述する図7に示した4段圧延機が好適である。しかし、4段圧延機の場合にも、作業ロールの外周面の周期的な形状の位相、振幅及び平均半径がロールの胴長方向に一定であると、作業ロールと補強ロールとの接触点(胴長方向の直線)と作業ロール軸心との間の距離が回転中に有意に変動するため、圧延機の振動が激しくなり、圧延機の耐久性が低下する可能性がある。そこで、4段圧延機の作業ロールに波付きロールを用いる場合には、波付きロールの外周面形状を、補強ロールとの接触点と作業ロール軸心間との距離が回転中に略一定となるようにすることが望ましい。
波付きロールの一構成例を図3に示す。図3に示す波付きロール100は、図1の圧延機21の上作業ロール21a及び圧延機22の下作業ロール22b、図2の圧延機24の上作業ロール24a及び下作業ロール24bのいずれにも適用可能である。波付きロール100は、例えば図3に示すように、外周面110にフラット部111と波状部113とを有するように構成してもよい。例えばフラット部111を胴長方向両端部(フラット部111a、111c)及び中央部(フラット部111b)に設け、胴長方向各端部と中央部との間に波状部113a、113bを設けてもよい。
波状部113は、波付きロール100の回転中心から外周面までの距離を外周面半径として、当該外周面半径と全周における外周面半径の平均値(「全周平均半径」ともいう。)との差の周方向分布が、正弦波状となるように形成されていてもよい。あるいは、外周面半径と全周平均半径との差の周方向分布が、直線、及び、少なくとも円弧または高次関数曲線のいずれかを含む複数の線分で構成される連続的かつ周期的形状であるように形成されてもよい。
フラット部111の半径は、波状部113の最大半径、すなわち、外周面の円周方向に周期的に形成された波形状の山頂点と作業ロール軸心点との間の距離(以下、「波状部の最大半径」と称する。)と略等価である。図3に示す波付きロールの外周面形状は、外周面形状の周期的変化の位相を固定した上で、作業ロールの胴長方向に、外周面に形成された周期的に変化する形状の振幅及び平均半径を変化させることで、幾何学的に定めることができる。すなわち、波状部113は、後述する振幅の要件と、通常、圧延機設計上の制約から定まる平均半径の要件とを満たす周期的に変化する外周面形状とし、フラット部111は、振幅がゼロであり、平均半径が波状部113の最大半径となるように設定される。フラット部111と波状部113との境界においては、周期的に変化する外周面形状の振幅と平均半径とを作業ロールの胴長方向に滑らかに変化させるとより好適である。
このように、フラット部111を、胴長方向の両端(111a、111c)と胴長方向中央部(111b)とに設け、フラット部111a、11bの間に波状部113aを、フラット部111a、11bの間に波状部113bを設ける。これにより、波付きロール100の外周面の周期的な形状の位相がロールの胴長方向に一定であっても、波付きロール100とこれに接触するロールとが常に複数点で接触される。例えば図2の圧延機24の上作業ロール24a及び下作業ロール24bに図3に示す波付きロール100を適用した場合には、図4に示すようになる。これにより、例えば波付きロールである上作業ロール24aと上補強ロール24cとの接触点と上作業ロール24aの軸心との間の距離が、上作業ロール24aのフラット部111の半径(すなわち、波状部113の最大半径)となり、回転中に当該距離を略一定とすることができる。また、波付きロールである下作業ロール24bと下補強ロール24dとの接触点と下作業ロール24bの軸心との間の距離が、下作業ロール24bのフラット部111の半径(すなわち、波状部113の最大半径)となり、回転中に当該距離を略一定とすることができる。
あるいは、例えば図5に示す波付きロール200のように、外周面210に形成する波形状の波状部212の位相を胴長方向に変化させることにより、当該波付きロール200とこれに接触する補強ロールとを、回転中に常に胴長方向において複数箇所の外周面210の波形状の山頂点で接触させることができる。これにより、これらの接触点と作業ロール軸心との間の距離を回転中常に波状部の最大半径で略一定とすることができ、圧延機の耐久性を保持することができる。
図3に示した波付きロール100の波状部113は、通常、圧延する鋼片5の最大幅に合わせて形成されれば十分であり、波状部113より端部側にフラット部111a、111cを形成してもよい。なお、胴長中央のフラット部11bは省略してもよい。また、図5に示した波付きロール200に形成する波状部212の位相は、胴長方向に直線状、折れ線状の変化であってもよく、不連続な変化であってもよい。波付きロール200の外周面210の当該変化は、胴長中央に対して左右対称であることが望ましい。また、波付きロール200のように波形状の位相を胴長方向に変化させた上で、波形状の振幅と平均半径を変化させ、波付きロール100のようなフラット部を形成させてもよい。図1に示すような2段圧延機に波付きロールを用いる場合には、外周面に形成された波形状の位相、振幅及び平均半径のいずれもが胴長方向に一定である波形状を外周面に形成してもよい。
なお、波付きロールでの圧延を行った場合、鋼片5の表面に波付きロールの外周面形状が反映されるため、最終的に鋼片5の表面を平坦に整える必要がある。このため、鋼片5の搬送方向最下流に配置された圧延機には、図1の圧延機23や図2の圧延機25のように、上下ともにフラットな外周面を有する作業ロールが設けられる。
[1−2.圧延設備の設置例]
図6〜図8に、本実施形態に係る圧延設備20の設置例を示す。図6は、図1に示した圧延設備20を連続鋳造機10の鋳造方向下流側に設置した例を示す概略説明図である。図7は、図2に示した圧延設備20を連続鋳造機10の鋳造方向下流側に設置した例を示す概略説明図である。図8は、図1に示した圧延設備20をスケール除去装置40に対して鋼片5の搬送方向下流側に設置した例を示す概略説明図である。
(連続鋳造機により製造された鋼片の圧延)
本実施形態に係る圧延設備20は、例えば図6または図7に示すように、横断面形状が略矩形の鋼片5を鋳造する連続鋳造機10の鋳造方向下流側に設置し、連続鋳造機10により製造された鋼片5を圧延する設備として利用可能である。なお、連続鋳造機10によって製造される鋼片5の種類及びサイズは、特に限定されない。鋼片5は、例えばスラブ、ビレットおよびブルームのいずれであってもよい。以下では、鋼片5の一例として、スラブを想定して説明する。
連続鋳造機10は、図6に示すように、連続鋳造用の鋳型13を用いて溶融金属を連続鋳造し、スラブ等の鋼片5を製造するための装置である。連続鋳造機10は、タンディッシュ11と、浸漬ノズル12と、鋳型13と、二次冷却装置14とを含む。
タンディッシュ11は、鋳型13の上方に配置されており、取鍋(図示せず。)により搬送された溶融金属を貯蔵する。タンディッシュ11では溶融金属を貯蔵している間に、溶融金属中の介在物を除去する。タンディッシュ11の底部には、鋳型13に溶融金属を供給する浸漬ノズル12が設けられている。浸漬ノズル12は、タンディッシュ11にて介在物が除去された溶融金属を鋳型13に連続供給する。
鋳型13は、製造する鋼片5の幅及び厚さに応じて形成された矩形状の中空を有する型枠である。鋳型13は、例えば、4枚の水冷銅板からなる鋳型板を組み合わせて構成されている。浸漬ノズル12を介して鋳型13内に供給された溶融金属は、鋳型板と接触することで冷却され、外殻に溶融金属が凝固した凝固シェル5aが形成される。外殻が凝固した状態で、鋼片5は鋳型13から引き抜かれる。
二次冷却装置14は、鋳型13に対して鋳造方向下流側に設けられ、鋳型1の下端から引き抜かれた鋼片5を支持し、搬送しながら冷却する。二次冷却装置14は、鋼片5の厚さ方向両側に配置される複数対の支持ロール14aと、鋼片5に対して冷却水を噴射する複数のスプレーノズル(図示せず。)とを有する。鋳型13から引き抜かれた直後の鋼片5の凝固シェル5aの内部には未凝固部5bが存在するが、二次冷却装置14を移動する間に内部の未凝固部5bの凝固が進行し、外殻の凝固シェル5aの厚さは、徐々に厚くなる。そして、鋼片5はほぼ完全凝固すると、連続鋳造機10から圧延設備20へ連続して搬送される。
なお、本発明に係る連続鋳造機10は、図1に示すような垂直曲げ型の連続鋳造機10に限定されず、湾曲型又は垂直型など他の各種の連続鋳造機であってもよい。
このような連続鋳造機10に対して鋳造方向下流側に、本実施形態に係る圧延設備20は設けられている。例えば図1に示すように、連続鋳造機10の鋳造方向下流側に、3台の圧延機21、22、23から構成された圧延設備20を備えてもよく、図2に示すように2台の圧延機24、25から構成された圧延設備20を備えてもよい。
(加熱炉により加熱された鋼片の圧延)
また、本実施形態に係る圧延設備20は、例えば図8に示すように、加熱炉30によって加熱された横断面形状が略矩形の鋼片5を圧延する設備として利用可能である。例えば連続鋳造機10等によって製造された鋼片5が冷却された後に圧延する場合には、図8に示すように、ロール18に載置され搬送される鋼片5は、加熱炉30により再加熱された後、加熱により生じた鋼片5の表面のスケールがスケール除去装置40により除去される。本実施形態に係る圧延設備20は、スケール除去後の鋼片5を圧延するように、スケール除去装置40に対して鋼片5の搬送方向下流側に設置される。スケール除去が不要な鋼片については、加熱炉30に対して鋼片5の搬送方向下流側に本実施形態に係る圧延設備20を配置してもよい。あるいは、加熱炉30との間に強制空冷やミスト冷却、強制水冷を含む冷却装置を介在させ、表面温度を所望に冷却した鋼片5を圧延するように、当該冷却装置に対して鋼片5の搬送方向下流側に本実施形態に係る圧延設備20を配置してもよい。
なお、図8には、図2に示した圧延設備20を適用したが、図1に示した圧延設備20を設置してもよい。また、圧延設備20を構成する圧延機は図8に示すような2段圧延機であってもよく、4段圧延機であってもよい。
<2.波付きロールによる機械的特性向上>
本実施形態に係る圧延設備20では、図1及び図2に示したように、鋼片5の搬送方向最下流に配置された圧延機を除いた少なくとも1台以上の圧延機において、鋼片5と当接する一対の作業ロールのうち少なくともいずれか一方に、周期的に変化する外周面形状を有する圧延ロール(以下、「波付きロール」ともいう。)が用いられている。波付きロールを用いることで、同一の鋼片圧下量条件で、圧延中の材料内部の応力やひずみ等の変形状態を有意かつ意図的に変化させることができ、鋼片厚を変更することなく鋼片品質を向上させることを可能とする。すなわち、厚さ中央での静水圧応力の増大はポロシティー圧着に有効であり、塑性ひずみの増大は偏析の改善や結晶粒の微細化に繋がる。以下、図3及び図5に示したような波付きロールを作業ロールに用いることにより生じる作用と、具体的な波付きロールの外周面形状の条件について、詳細に説明する。
[2−1.波付きロールによる作用]
まず、図9〜図12に基づいて、本実施形態に係る圧延設備20において波付きロールを用いて圧延を行う理由を説明する。図9は、波付きロールを用いて鋼片5を圧延したときの作業ロールとの接触領域(以下、「ロールバイト」と称する。)下とその近傍における鋼片内部の塑性変形の状態(応力、塑性ひずみ及びメタルフロー)を示す概念図である。図10は、波付きロールとフラットロールとについて、鋼片の板厚中央に生じる静水圧応力の大きさとロールバイトおよびその近傍での分布、および静水圧応力(圧縮側を正)の最大値についてフラットロールを用いた場合に対する波付きロールを用いた場合の増分値(以下、「静水圧増分値」と称する。)を示す説明図である。図11は、図9に示した波付きロールまたは上下フラットロールにより圧延した1パス目と、1パス目圧延後の鋼片を搬送方向最下流に設けられる上下フラットロールにより圧延した2パス目とについて、各パス圧延後の鋼片の厚さ中央位置及び表層から1/4厚さ位置における塑性ひずみ(各パスで生じたひずみ量)の長さ方向分布を示す説明図である。図12は、図11に示す1パス目と2パス目との塑性ひずみを合計した合計ひずみ値とその長さ方向平均値、および、合計ひずみ値の長さ方向平均値について1パス目にフラットロールを用いた場合に対する波付きロールを用いた場合の増分値(以下、「合計ひずみ増分値」と称する。)を示す説明図である。なお、図9では、鋼片5を圧延する一対の作業ロールの双方を波付きロールにした場合(すなわち、鋼片が上下対称に変形する場合)を考える。
鋼片5を波付きロールである作業ロール26で圧延すると、作業ロール26の外周面の波形状により、鋼片の表面近傍の変形状態が鋼片長さ方向に顕著に変動し、当該変動が鋼片の厚さ中央まで伝播する。すなわち、図6に示すように、作業ロール26の外周面には、作業ロール26の半径が大きくなる波形状の凸部26aが周期的に形成されている。この凸部26aが鋼片5を押圧したとき、作業ロール26から鋼片5に加わる押圧力が大きくなり、また、鋼片5の塑性ひずみが大きくなる。図9では、凸部26aによって大きな塑性ひずみが生じた部分を変形増大部分5cとして示している。変形増大部分5cは、静水圧応力が増大する部分と概ね相似する。
フラットロールを用いて鋼片5を押圧したときの鋼片の厚さ中央における静水圧応力の圧延方向分布は、図10に実線で示すように、作業ロール26と鋼片5との接触領域の略中央部から出口近傍において最大の圧縮応力値σpeak 1/2を示す。また、図10の破線は、作業ロール26を用いた場合の静水圧応力の圧延方向分布を示しており、ここでは図9における変形増大部分5cが当該位置(静水圧応力が最大となる圧延方向位置)を通過する際の分布を表示している。このとき、作業ロール26の外周面は波形状となっているため、波形状の凸部26aの影響が変形増大部分5cの領域を伝播して厚さ中央に到達し、静水圧応力のピーク値は、フラットロールを用いた場合と比較してdσpeak 1/2だけ大きくなる。これより、波付きロールを用いることで、フラットロールを用いた場合よりも静水圧応力を増加できることがわかる。
変形増大部分5cは、作業ロール26の回転方向、すなわち、鋼片5の長さ方向に周期的に生じる。同じロールバイト内に変形増大部分5cとそれ以外の部分が共存すると、静水圧応力の勾配が生じ、変形増大部分5cから他の部分に向かう副次的なメタルフローが発生する。接触長に略等しい長さのロールバイト内に塑性変形が大きい部分と小さい部分とが繰り返し現れることで、作業ロールの外周面がフラットであり塑性変形が均一に生じる場合と比較して、副次的なメタルフローが発生し、塑性ひずみが増大する。したがって、波付きロールを用いることで、より効果的に塑性ひずみを増大させることができる。
図9に示した波付きロールである作業ロール26による圧延を行ったときの、圧延後の鋼片5の長さ方向における塑性ひずみの分布を、図11上側に示す(1パス目)。図11上側に示すように、波付きロールによる圧延により、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置のいずれにおいても塑性ひずみは略正弦波形状に周期的に変化する。厚さ方向中央位置の塑性ひずみの変動幅は、上下の波付きロールによるロールギャップの周期的な変動量(すなわち、波付きロールの周期的に変化する外周面形状の振幅の約2倍に相当)を鋼片厚さで除して算出される圧下ひずみの変動幅に概ね相当する。このとき、厚さ中央よりも鋼片表面寄りにあって、鋼片表面から鋼片厚さの1/4だけ厚さ中央に向かった位置(以下、「1/4厚さ位置」ともいう。)の方が中央位置よりも振幅が大きくなっている。また、1/4厚さ位置の位相よりも中央位置の位相は遅れたものとなる。この位相の遅れは、図6に示したように、変形増大部分5cの表面近傍部分が厚さ中央部分よりも圧延方向上流側に位置し、変形増大部分5cが厚さ方向に対して傾斜していることに符合する。
なお、図11上側には、比較として、鋼片5を圧延する上下の作業ロールに外周面が平坦なフラットロールを用いた場合の鋼片5の塑性ひずみを示している。フラットロールを用いたときの圧下量は、波付きロールにより圧延した場合の長さ方向において平均した平均圧下量と略同一とした。このとき、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置のいずれについても、波付きロールを用いることで塑性ひずみが長さ方向の大半の部分で増大し、かつ平均的なひずみ値も増大していることがわかる。図11では、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置における、フラットロールを用いたときの塑性ひずみからの波付きロールを用いたときの塑性ひずみの増分量(以下、「塑性ひずみ増分量」ともいう。)のピーク値を、それぞれピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4と表している。
1パス目に、図9に示した波付きロールで圧延された鋼片5を、次パス(2パス目)にて上下フラットロールの圧延機で圧延すると、2パス目の圧延で生じた当該鋼片5の塑性ひずみの長さ方向分布は、図11下側に示すようになる。図11下側に示した2パス目の方が、図11上側に示した1パス目よりも振幅が大きくなっており、2パス目で生じる塑性ひずみの長さ方向の周期的な変動は増大する。これは、1パス目よりも鋼片5の板厚が薄くなっており、1パス目の波付きロールによる圧延で鋼片に形成(転写)された厚さの周期的変動量(1パス目のロールギャップの周期的変動量と概ね等価)を2パス目の圧下ひずみの変動量に換算する際の除数が小さくなるためである。
比較として、長さ方向に平均した平均圧下量を波付きロールを用いた場合と略同一として、1パス目を外周面が平坦なフラットロールを上下の作業ロールに用いた場合を考える。このとき、2パス目も上下の作業ロールにフラットロールを用いて鋼片5を圧延する。なお、2パス目のロールギャップ条件は、1パス目に波付きロールを用いた鋼片5を圧延する2パス目の圧延条件と同一とする。1パス目に波付きロールを用いることで、フラットロールにより圧延したときの鋼片5の塑性ひずみは、図11下側に示すように、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置のいずれについても、1パス目の塑性ひずみ分布と同様に、2パス目の圧延においても生じる塑性ひずみが長さ方向の大半の部分で増大し、かつ平均的なひずみ値も増大していることがわかる。
なお、1パス目に波付きロールを用いる場合、鋼片5の厚さ方向中央位置及び1/4厚さ位置のいずれについても1パス目と2パス目とで塑性ひずみの長さ方向分布の位相が略反転する関係が覗える。これは、1パス目にひずみが大きくなった部位(図9の塑性変形増大部分5c)の1パス目圧延後の鋼片5の厚さが他の部位に比べて薄くなっており、2パス目のフラットロールによる圧延での当該部位の実質的な圧下ひずみが小さくなったためである。
図11に示した波付きロール圧延を行った1パス目で鋼片5に生じた塑性ひずみと、フラットロール圧延を行った2パス目で生じた塑性ひずみとを合算した合算ひずみ量は、図12に示すようになる。図12の一点鎖線は、鋼片5の厚さ方向の中央位置および1/4厚さ位置の両位置における合算ひずみ量の長さ方向平均値(以下、「合算ひずみ平均値」と称する。)を示す。図12では、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置について、1パス目にフラットロールを用いたときの塑性ひずみからの波付きロールを用いたときの合算ひずみ平均値の増分量を、それぞれ合算ひずみ増分量Σdε1/2、Σdε1/4と表している。合算ひずみ増分量Σdε1/2、Σdε1/4は、フラットロールのみで圧延した場合と比べて、5%程塑性ひずみが大きくなっていることがわかる。以上より、波付きロールを用いて圧延することで、鋼片5の厚さ中央部分においても塑性ひずみを効果的に増大させることができ、その結果、中心偏析を改善することができる。なお、1パス目で波付きロールによる圧延を行った場合には、2パス目でフラットロールによる圧延を行っても、鋼片5の長さ方向に沿って僅かに塑性ひずみの変化は残存しているが、この程度の塑性ひずみの長さ方向の変動は後工程にて十分に無害化され、品質上影響はない。
[2−2.波付きロールの外周面形状(基本形状)]
上述のように波付きロールを用いることによる鋼片5の塑性ひずみの増大を実現するためには、外周面の周期的な変化を適切に設ける必要がある。本願発明者はこの条件を検討した結果、波付きロールの外周面を、周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下、かつ、振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下の周期で変化する形状とすることで、同一の鋼片圧下量条件下で鋼片内部の塑性ひずみを厚さ方向全域にわたって有意に大きくすることができ、鋼片の厚さ方向中央近傍のポロシティーの圧着効果や中心偏析の改善のみならず、鋼片の表層近傍での柱状晶の形成によるミクロ偏析も改善されるとの知見を得た。
以下、図13〜図16に基づいて、波付きロールの外周面に形成される波形状の周期及び振幅ついて説明する。なお、図13は、波付きロールの外周面に形成される波形状の周期とピークひずみ増分量及び合算ひずみ増分量との関係を示す説明図である。図14は、波付きロールの外周面に形成される波形状の周期と静水圧応力増分量との関係を示す説明図である。図15は、波付きロールの外周面に形成される波形状の振幅と合算ひずみ増分量との関係を示す説明図である。図16は、波付きロールの外周面に形成される波形状の振幅と静水圧応力増分量との関係を示す説明図である。なお、図13及び図14では、波付きロールの波形状の周期に対応する指標として、横軸を、ロールと鋼片との接触弧長と波付きロールの波形状の周期との比(接触弧長/波形状の周期)で表している。
(波付きロールの周期)
まず、波付きロールの外周面に形成される波形状の周期は、接触弧長の1/50倍以上(図13では横軸範囲の50以下に相当する。)2倍以下(図13では横軸範囲の0.5以上に相当する。)とする。図13に示すように、波形状の周期と塑性ひずみ増分との関係は、図11に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4及び図12に示した合算ひずみ増分量Σdε1/2、Σdε1/4について、いずれも凸形状の曲線を有する。ここで、フラットロールを用いて圧延したときの塑性ひずみを基準として、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、塑性ひずみの増分0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図13より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4及び合算ひずみ増分量Σdε1/2、Σdε1/4の塑性ひずみ増分が0.01を超える範囲は、ロールと鋼片との接触弧長と、波付きロールの波形状の周期との比が0.5以上50以下の範囲、すなわち、波付きロールの波形状の周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下の範囲となる。
ロールと鋼片との接触弧長と波形状の周期の比が0.5より小さいと、波付きロールの波形状の周期が長すぎて、接触弧長内のロールギャップの変化が小さくなる。すなわち、ロールバイト内の圧下ひずみの変化が少なくなり、前述の塑性変形増大部分5cとそれ以外の部分との静水圧応力の勾配が過小となる。このため、副次的なメタルフローの減少を介して波付きロールによる圧延により生じる塑性ひずみ増加量が小さくなり、十分な効果が得られない。
一方、ロールと鋼片との接触弧長と波形状の周期の比が50より大きいと、波付きロールの波形状の周期が非常に短くなる。図9に示した塑性変形増大部分5cの鋼片表面から厚さ中央への伝播は、厳密には厚さ方向に一様に伝わるのではなく、鋼片の塑性変形における加工硬化特性やひずみ速度依存性の影響により、厚さ中央に向かって塑性変形増大部分5cの幅が徐々に拡大し、静水圧応力の(圧延方向)勾配が減少する。したがって、波形状の周期、すなわちロールバイト内の塑性変形増大部分5cの間隙が短くなりすぎると、鋼片の表面近傍では明確であった塑性変形増大部分5cとその他の部分の差違が厚さ中央では不明確になり、厚さ中央における副次的なメタルフローが消失し、鋼片5の厚さ中央での十分な塑性ひずみ増分が生じないと考えられる。
したがって、塑性ひずみを有意に増大させるには、波付きロールの波形状の周期を接触弧長の1/50倍以上2倍以下の範囲とするのがよい。なお、静水圧応力の増大効果は、図14に示すように、ロールと鋼片との接触弧長と波形状の周期の比が0.5以上50以下の範囲、すなわち波付きロールの波形状の周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下の範囲内であれば、常に30MPa以上の静水圧応力増分量が得られており、鋼片の厚さ方向中央近傍のポロシティー圧着に関して実用上十分な効果を享受することができる。
(波付きロールの振幅)
次に、波付きロールの外周面に形成される波形状の振幅は、圧下量の1/30倍以上1/3倍以下とする。図15に示すように、波形状の振幅と塑性ひずみ増分との関係は、図12に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置における合算ひずみ増分量Σdε1/2、Σdε1/4について、いずれも振幅が大きくなるほど塑性ひずみ増分は大きくなっている。ここで、フラットロールを用いて圧延したときの塑性ひずみを基準として、塑性ひずみの増分が0.01(すなわち1%)以上であれば、前述のようにその効果は実質的に有意と考えられる。図15より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についての合算ひずみ増分量Σdε1/2、Σdε1/4が0.01を超える範囲は、波付きロールの波形状の振幅が1/30倍以上の範囲となる。
波付きロールの波形状の振幅が圧下量の1/3倍を超えると、圧延後の鋼片表面にラップ状の欠陥が頻繁に生じてしまうため、波形状の振幅は圧下量の1/3倍以下とする必要がある。一方、波付きロールの波形状の振幅が圧下量の1/30倍未満では、波形状の振幅、すなわちロールギャップの変動が過小となり、圧下ひずみの変動が生じ難くなる。このことは図9に示した塑性変形増大部分5cとその他の部分の間のひずみや静水圧応力の差が減少することと同義であり、副次的なメタルフローの増加や静水圧応力の増大も生じなくなり、波付きロールの周期的変化の効果を殆ど得ることができない。したがって、波付きロールの効果を有意に発現させ、かつ新たな鋼片の品質欠陥を生じさせないためには、波付きロールの波形状の振幅を圧下量の1/30倍以上1/3倍以下の範囲とするのがよい。なお、静水圧応力の増大効果は、図16に示すように、波付きロールの波形状の振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下の範囲内であれば静水圧応力増分量は常に10MPa以上あるため、ポロシティー圧着に関して実用十分な効果を享受することができる。
[2−3.波付きロールの外周面形状(被圧延材に応じた形状設定)]
本実施形態に係る圧延設備20においては、少なくとも、鋼片5の搬送方向最下流に配置された圧延機を除いた少なくとも1台以上の圧延機に設けられる波付きロールの形状を、波付きロールの外周面に周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下、かつ、振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下の周期で変化する形状とすればよい。しかし、製造する鋼片5の特性に応じて、より適切な外周面形状を検討するのが望ましい。以下では、圧延設備20による被圧延材である鋼片5の特性に応じた波付きロールの外周面形状の設定について説明する。
(a)表面の延性に乏しい被圧延材の場合
例えば、表面の延性に乏しい被圧延材を波付きロールによって圧延する場合には、被圧延材の表面に過度の引張応力が生じ、表面割れの発生が懸念される。図17及び図18に基づき、そのメカニズムを説明する。なお、図17は、波付きロールの外周面形状の定義とその勾配角度を説明する説明図である。図18は、波付きロールの外周面形状の上り勾配角度の限定条件を説明する説明図である。
まず、説明にあたり、図17に示すように、波付きロールの外周面形状の外周面半径のロール回転方向分布をR(x)とし、全周平均を全周平均半径Raveと定義する。xは、波付きロールの回転方向座標を表す。これより、波付きロールの外周面形状は、全周平均半径Raveと外周面半径R(x)との差dR(=R(x)−Rave)で表すことができる。また、波付きロールの外周面形状のうち、外周面半径が回転方向に増大する部分の傾斜角度を上り勾配(角度)θとし、外周面半径が回転方向に減少する部分の傾斜角度を下り勾配(角度)θとする。上り勾配θは正値となり、下り勾配θは負値となる。
図18には、波付きロール26により圧延された鋼片5のロールバイト出口近傍における変形状態を示している。鋼片5は、図9に示したように、波付きロール26の周期的に変化する外周面形状により、その表面近傍から大きく変形され、鋼片全体が長さ方向に延伸する。ここで、図18に示すように、波付きロール26の外周面形状の上り勾配の斜面がロールバイト出口近傍に到達すると、鋼片5の表面には、当該上り勾配の斜面から、当該斜面に垂直な圧下力Pとロール回転に伴って斜面の接線方向に作用する摩擦力(=μP。ここでμは摩擦係数)とが作用する。図18から明らかなように、上り勾配の斜面において圧下力Pの圧延方向分力(=−P・sinθ)は、鋼片5の表面を後方に押し戻す方向に作用し、摩擦力(μP)の圧延方向分力(=μP・cosθ)は、前方に送り出す方向に作用する。このとき、圧下力Pの圧延方向分力の絶対値が摩擦力(μP)の圧延方向分力の絶対値よりも大きくなると、圧延方向に先進しながらロールバイトから出ようとする鋼片5に当該上り勾配の斜面から圧延方向に押し戻す力(F)が作用することになる。その結果、当該斜面に接する表面近傍の材料が後退を始めるため、当該部位の後方近傍の材料内部に引張応力が生じ、表面割れ欠陥を生じることが懸念される。表面割れは、特に表面の延性に乏しい被圧延材を圧延する際に、特に懸念される。
そこで、波付きロール26の斜面に接する表面近傍の材料が後退しないように、すなわち、波付きロール26の斜面と鋼片5の表面との間に顕著な押し戻し力が生じないように、波付きロール26の外周面形状を決定する。上り勾配の斜面により発生する押し戻し力Fは、下記式(1)で表される。なお、Pは波付きロール26による圧下力、μは摩擦係数である。
F=P(tanθ−μ)×cosθ ・・・(1)
押し戻しFが0より小さければ、波付きロール26の斜面と鋼片5の表面との間に押し戻し力は作用せず、前方に送り出す力を生じさせることができる。したがって、上記式(1)の右辺が負の値となるように上り勾配θを設定すればよく、tanθが摩擦係数μ以下となるようにすればよい。このとき、例えば上り勾配となる部分での最大上り勾配角度が、摩擦角θ以下となるようにすればよい。ここで、摩擦角θはμ=tanθを満たす角度である。
(b)連続鋳造機の機端での表面凹凸が著しい被圧延材の場合
また、例えば図6または図7に示したように圧延設備20を連続鋳造機10の鋳造方向下流側に配置した場合、連続鋳造機の機端においては被圧延材の表面の凹凸が大きくなる。このような被圧延材を圧延する場合には、表面しわの発生が懸念される。図19に基づき、そのメカニズムを説明する。図19は、波付きロールの外周面形状の下り勾配角度の限定条件を説明する説明図である。
図19には、圧延機入側において波付きロール26に噛み込まれる鋼片5の状態を示している。図19に示すように、波付きロール26の外周面形状の下り勾配の斜面がロールバイト入口近傍に到達すると、波付きロール26の外周面は、ロール回転方向(即ちロール半径方向の垂直方向)に対して、当該下り勾配分だけ鋼片5に接する方向に傾斜することになる。この下り勾配θの絶対値が噛み込み角度θを超えると、下り勾配の斜面26の頂上近傍が下り勾配の斜面26よりも先に鋼片表面に接し、鋼片表面に接触領域に挟まれた非接触領域(自由表面)Vが発生する。なお、噛み込み角度θは、例えば下記式(2)を満たす角度と定義することができる。なお、Δhは公称(平均)圧下量である。
ave(1−cosθ)=Δh/2 ・・・(2)
圧力が高い接触領域において鋼片5の材料は非接触領域Vに向かって延びよう(流れよう)とする。このため、図19に示すように、2つの波付きロール26と鋼片5との接触領域に挟まれた非接触領域Vの材料の自由表面は圧延方向、すなわち自由表面の接線方向に圧縮される。その結果、しわ疵あるいはラップ疵を生じる危険性が高くなる。一般に連続鋳造スラブの表面にはオシレーションマークなどの凹凸があり、これが非接触領域Vにおいて自由表面の接線方向への顕著な圧縮変形を受ける場合にはラップ疵欠陥が生じることが懸念される。
そこで、波付きロール26の外周面形状を、下り勾配角度θの絶対値が噛み込み角度θより小さくなるようにすることで、非接触領域Vがなくなり、波付きロール26の外周面が常に鋼片5の表面において1つの連続した領域内で接触するようにすることができる。このとき、例えば下り勾配となる部分での最大下り勾配角度が、上記式(2)により算出される噛み込み角度θより小さくなるようにすれば十分である。
[2−4.波付きロールにより圧延される鋼片の温度について]
本実施形態に係る圧延設備20は、例えば図3〜図5に示したように、連続鋳造機10の鋳造方向下流側やスケール除去装置40に対して鋼片5の搬送方向下流側に配置される。この場合、圧延機にて圧延される鋼片5は、完全凝固直後または加熱後であって、鋼片5の厚さ方向において表面と中央との温度差が大きい状況にある。鋼片表面と厚さ中央の温度差(表面が相対的に低温)が大きいほど、厚さ中央に比べて硬い鋼片表面近傍の変形状態が厚さ方向に伝わり易く、厚さ中央に至るまで塑性ひずみや静水圧応力の変動が顕著に生じる。すなわち、厚さ方向に所定以上の温度差が生じている鋼片5を波付きロールで圧延することで、上述した鋼片内部の塑性ひずみや静水圧応力の増大効果をより高めることができ、鋼片5の厚さ方向中央近傍のポロシティーの圧着効果や中心偏析の改善のみならず、鋼片5の表層近傍での柱状晶の形成によるミクロ偏析もさらに改善されるためである。具体的には、板厚方向における鋼片5の表面温度と板厚中心部の温度との温度差(以下、「板厚方向温度差」(=(板厚中心部の温度)−(表面温度))ともいう。)が20℃以上となる圧延パスにおいて、波付きロールを備えた圧延機による圧延を実施するのが効果的である。
図20及び図21に基づいて、鋼片5の板厚方向温度差が20℃以上である場合に波付きロールを用いることが有効である理由について、板厚中央におけるひずみ増分量と静水圧応力増分量に基づき説明する。なお、図20は、鋼片5の板厚方向温度差と板厚中央ひずみ増分量との関係を示す説明図である。図21は、鋼片5の板厚方向温度差と静水圧応力増分量との関係を示す説明図である。
まず、鋼片5の板厚方向温度差が0のときの鋼片5の厚さ方向の中央位置におけるひずみ増分量Σdε1/2を基準として、板厚方向温度差を変化させたときのひずみ増分量Σdε1/2の相対比を調べた。その結果、図20に示すように、板厚方向温度差が正方向に大きくなると(すなわち、鋼片5の表面温度に対して板厚中心部の温度が高くなると)、ひずみ増分量Σdε1/2の相対比も大きくなった。ここで、ひずみ増分量Σdε1/2の相対比が1.1以上であれば、同一の鋼片圧下量条件下で鋼片内部の塑性ひずみを厚さ方向全域にわたって有意に大きくすることができると考えられる。図20より、板厚方向温度差が20℃以上であれば、ひずみ増分量Σdε1/2の相対比が1.1以上とすることができることから、鋼片5の板厚方向温度差が20℃以上となる位置に、波付きロールを有する圧延機を配置するのがよい。
また、静水圧応力の観点から考えると、鋼片5の板厚方向温度差が0のときの鋼片5の厚さ方向の中央位置における静水圧応力増分量dσpeak 1/2を基準として、板厚方向温度差を変化させたときの静水圧応力増分dσpeak 1/2の相対比を調べた結果、図21に示すように、板厚方向温度差が正方向に大きくなると(すなわち、鋼片5の表面温度に対して板厚中心部の温度が高くなると)、静水圧応力増分量dσpeak 1/2の相対比も大きくなった。図21より、鋼片5の板厚方向温度差が20℃以上であれば静水圧応力増分量dσpeak 1/2の相対比は1.1以上であることを満たしている。これより、鋼片5の板厚方向温度差が20℃以上となる位置に波付きロールを有する圧延機を配置するのがよい。
実施例1では、厚さ100mm、幅600mmのスラブの鋳造が可能な連続鋳造機の機端に圧延機を2台設置し、連続鋳造圧延試験を行った。溶鋼の成分は、C:0.11%、Si:0.31%、Mn:1.88%、P:0.016%、S:0.0008%、Al:0.007%.0%、N:0.0044%、O:0.0011%であった。溶鋼温度は1570℃であり、1.2m/minの速度で鋳造した。本発明技術を適用した場合の1台目の圧延機入側におけるスラブ表面温度は1050℃であった。
設置した圧延機はいずれも2段圧延機であり、作業ロール径はφ600mmであった。両圧延機での圧下量は20mmとした。ただし、本発明技術を適用した場合は、長さ方向に平均した板厚の圧延前後での差で圧下量を定義した。本発明技術の適用例においては、周期約10mm、振幅6mmの正弦波状のプロフィルを作業ロールの円周方向に加工した。当該周期は接触弧長の約1/8倍に相当し、当該振幅は圧下量の3/10倍に相当する。ロール胴長方向には同一位相、すなわちロール胴長方向に平行に繋がる正弦波状の溝加工を行った。
本発明を適用した実施例Aにおいては、鋳造方向上流側に設けた1台目の圧延機の上作業ロールを波付きロールとし、下作業ロールはフラットロールとした。また、本発明を適用した実施例Bにおいては、鋳造方向上流側に設けた1台目の圧延機の上作業ロール及び下作業ロールともに波付きロールとした。2台目の圧延機には、実施例A、Bのいずれにおいても、上作業ロール及び下作業ロールともにフラットロールを用いた。
一方、従来技術を適用した比較例aでは、2台の圧延機とも上作業ロール及び下作業ロールにフラットロールを用いた。また、比較例bとして、圧下を全く行わなかった場合を示す。さらに、比較例c、d、eでは、1台目の圧延機の上作業ロール及び下作業ロールともに本発明の適用範囲外の外周面形状を有する波付きロールを用い、2台目の圧延機には上作業ロール及び下作業ロールともにフラットロールを用いる圧延を行った。比較例cでは周期約1mm(接触弧長の約1/80倍)、振幅約0.5mm(圧下量の約1/40倍)、比較例dでは周期約10mm(接触弧長の約1/8倍)、振幅約8mm(圧下量の約1/2.5倍)、比較例eでは周期約250mm(接触弧長の約3倍)、振幅約6mm(圧下量の約3/10倍)の正弦波状のプロフィルを作業ロールの円周方向に加工した。本発明を適用した実施例A、Bと同様に、ロール胴長方向には同一位相、すなわちロール胴長方向に平行に繋がる正弦波状の溝加工を行った。
表1に、実施例1の圧延結果を示す。表1のλ0、d0およびA0は、比較例bにおけるデンドライト組織の一次アーム間隔、平均結晶粒径(いずれも厚さ方向平均値)及び厚さ中央に残存したポロシティーの占積率である。すなわち、λ/λ0、d/d0、A/A0は、一次アーム間隔、結晶粒径、ポロシティー占積率それぞれの減少率を表しており、値が小さいほど鋼片の内部品質の改善度が高いことを表している。また備考欄には、圧延、冷却後の被圧延材の表面性状を記した。
Figure 0006907961
表1に示すように、実施例A、Bでは、比較例aと比較して、デンドライト組織の一次アーム間隔、平均結晶粒径およびポロシティーの占積率のいずれもが有意に減少した。また、比較例c及び比較例eでは鋳片の内部品質の改善効果が顕著でなく、比較例dでは表面欠陥の問題が生じることは明白である。これより、本発明の適用によって表面欠陥の問題が生じることなく、後続工程に受け渡される鋼片の偏析や結晶組織、内部欠陥が顕著に改善されることは明らかである。
実施例2では、厚さ100mm、幅600mmのスラブの鋳造が可能な連続鋳造機の機端に圧延機を2台設置し、連続鋳造圧延試験を行った。溶鋼の成分は、C:0.06%、Si:0.11%、Mn:1.27%、P:0.016%、S:0.0030%、Al:0.880%、N:0.0024%、O:0.0021%であった。溶鋼温度は1570℃であり、1.2m/minの速度で鋳造した。本発明技術を適用した場合の1台目の圧延機入側におけるスラブ表面温度は1020℃であった。
設置した圧延機はいずれも2段圧延機であり、作業ロール径はφ800mmであった。両圧延機での圧下量は40mmとした。ただし、本発明技術を適用した場合は、長さ方向に平均した板厚の圧延前後での差で圧下量を定義した。
本発明技術を適用した実施例C、Dにおいては、鋳造方向上流側に設けられた1台目の圧延機には上作業ロール及び下作業ロールともに波付きロールとした。鋳造方向下流側に設けられた2台目の圧延機には、上作業ロール及び下作業ロールともにフラットロールを設けた。実施例C、Dにおいて用いた波付きロールは、周期約30mm、振幅約6mmの周期的に変化する外周面形状を有するものを用い、ロール胴長方向には同一位相、すなわちロール胴長方向に平行に繋がる溝加工を行った。当該周期は接触弧長の1/4倍に相当し、当該振幅は圧下量の1/7倍に略相当する。
実施例Cにおいては、正弦波状の周期関数を用いて外周面形状を決定した。このときの上り勾配角度の最大値は約32°であった。実施例Dにおいては、上り勾配および下り勾配の角度がそれぞれ約22°、約−22°の直線を曲率半径5mmの円弧で勾配が連続するように接続した区分的な関数を用いて周期的な外周面形状を決定、し作業ロールの円周方向に加工した。実施例Dにおける上り勾配角度(約22°)は、フラットロールを上下作業ロールに用いた連続鋳造圧延試験結果から逆算推定して摩擦係数μを0.45とし、摩擦角θ(θ=tan−1μ)に換算して得られた摩擦角θ、すなわち24.2°を超えない角度として選定した。
一方、従来技術を適用した比較例fでは、2台の圧延機とも上作業ロール及び下作業ロールにフラットロールを用いた。また、比較例gとして、圧下を全く行わなかった場合を示す。
表2に実施例2の圧延結果を示す。内部品質を比較するために、上述の実施例1と同様に、表2のλ0、d0およびA0を、比較例gにおけるデンドライト組織の一次アーム間隔、平均結晶粒径(いずれも厚さ方向平均値)および厚さ中央に残存したポロシティーの占積率として、一次アーム間隔の改善率(λ/λ0)、結晶粒径の改善率(d/d0)、ポロシティー占積率の減少率(A/A0)を用いて鋼片の内部品質の改善度を評価、比較した。また、下流工程に渡る鋼片の表面品質への影響を確認するために、2台の圧延機の出側での目視による鋼片表面の観察結果も比較した。
Figure 0006907961
表2に示すように、鋼片の内部品質については実施例1と同様に、実施例C、Dでは、比較例fと比較して、デンドライト組織の一次アーム間隔、平均結晶粒径およびポロシティーの占積率のいずれもが有意に減少した。これより、後続工程に受け渡される鋼片の偏析や結晶組織、内部欠陥が顕著に改善されることがわかる。
また、鋼片の表面品質については、外周面形状の上り勾配角度が大きい実施例Cにおいて浅い表面割れが観察されたが、実施例Dでは改善され、比較例fと同等に平滑な鋼片表面となった。ただし、実施例Cで観察された浅い表面割れは後続工程でのスケール成長とデスケーリング過程で除去される程度であり、比較例gの鋳肌ままの状態と同様に、最終製品の表面品質には問題を生じないことが確認されている。この浅い表面割れは実施例1では観察されなかったが、これは溶鋼成分の違いにより実施例1に比べて表面近傍の(非延性)介在物が増加したことに起因すると解釈される。すなわち、作業ロール回転中心から外周面までの距離と全周平均半径との差の周方向分布が、外周面形状を作業ロールの回転方向に表示した際の勾配角度の最大値(正値)が摩擦角以下となるようにすることで、表面の延性に乏しい成分系の鋼片においても、表面品質の十分な確保が可能となる。
実施例3では、厚さ100mm、幅600mmの矩形断面スラブを加熱炉で1150℃に加熱した後、加熱炉に対してスラブの搬送方向下流側に設置された2台の圧延機により圧延試験を行った。スラブの成分は、C:0.11%、Si:0.31%、Mn:1.88%、P:0.016%、S:0.0008%、Al:0.007%.0%、N:0.0044%、O:0.0011%であった。1台目の圧延機入側におけるスラブの表面温度は1050℃であった。
設置した圧延機はいずれも2段圧延機であり、作業ロール径はφ600mmであった。両圧延機での圧下量は20mmとした。ただし、本発明技術を適用した場合は、長さ方向に平均した板厚の圧延前後での差で圧下量を定義した。
本発明技術を適用した実施例E、Fにおいては、周期約10mm、振幅6mmの正弦波状のプロフィルが円周方向に加工された、周期的に変化する外周面形状を有する作業ロールを用いた。当該周期は接触弧長の約1/8倍に相当し、当該振幅は圧下量の3/10倍に相当する。ロール胴長方向には同一位相、すなわちロール胴長方向に平行に繋がる正弦波状の溝加工を行った。
実施例Eにおいては、1台目の圧延機の上作業ロールを波付きロールとし、下作業ロールはフラットロールとした。実施例Fにおいては、1台目の圧延機の上作業ロール及び下作業ロールともに波付きロールとした。また、実施例E、Fともに、1台目の圧延機に対してスラブの搬送方向下流側に設けられた2台目の圧延機には、上作業ロール及び下作業ロールにフラットロールを設けた。一方、従来技術を適用した比較例hでは、2台の圧延機とも上作業ロール及び下作業ロールにフラットロールを用いた。また、比較例iとして、圧下を全く行わなかった場合を示す。
表3に実施例3の圧延結果を示す。内部品質を比較するために、表3のd0およびA0を、比較例iにおける平均結晶粒径(厚さ方向平均値)および厚さ中央に残存したポロシティーの占積率として、結晶粒径の改善率(d/d0)およびポロシティー占積率の減少率(A/A0)を用いて鋼片の内部品質の改善度を評価、比較した。これらの値が小さいほど鋳片品質の改善度が高い。
Figure 0006907961
表3に示すように、実施例E、Fでは、通常の圧延を行う比較例hと比較しても平均結晶粒径およびポロシティーの占積率のいずれもが有意に減少した。これより、後続工程に受け渡される鋼片の偏析や結晶組織、内部欠陥が顕著に改善されることがわかる。
なお、表3の実施例E、F及び比較例hについては、上記2台の圧延機による圧延に後続して行われた4パスの熱間圧延後の最終板材の粒径も示している。かかる熱間圧延は上作業ロール及び下作業ロールともにフラットロールを使用した。また、上記2台の圧延機による圧延終了後のスラブの板厚は60mmであり、その後の各パスによる目標板厚は30mm、15mm、9mm、6mmであった。板厚6mmまで圧下された最終板材の平均結晶粒径(厚さ方向平均値)より、本発明技術の適用による板材の細粒化効果は明らかである。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 鋳型
5 鋼片
5a 凝固シェル
5b 未凝固部
5c 変形増大部分
10 連続鋳造機
11 タンディッシュ
12 浸漬ノズル
13 鋳型
14 二次冷却装置
14a 支持ロール
21、22、23、24、25 圧延機
21a、22a、23a、24a、25a 上作業ロール
21b、22b、23b、24b、25b 下作業ロール
26 作業ロール(波付きロール)
26a 凸部
100、200 波付きロール
110、210 外周面
111、111a、111b、111c フラット部
113、113a、113b、212 波状部

Claims (19)

  1. 横断面形状が略矩形の鋼片について2パス以上の圧延を行う鋼片の圧延方法であって、
    最終のパスを除く、少なくとも1パス以上の圧延は、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する圧延ロールが前記鋼片と当接する一対の作業ロールのうち少なくともいずれか一方の前記作業ロールとして組み込まれた圧延機によって行われ、
    前記圧延ロールは、周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下、かつ、振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下であり、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する、鋼片の圧延方法。
  2. 前記圧延ロールの前記外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が正弦波状となるように形成されている、請求項1に記載の鋼片の圧延方法。
  3. 前記圧延ロールの前記外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、直線、及び、少なくとも円弧または高次関数曲線のいずれかを含む複数の線分で構成される連続的かつ周期的形状となるように形成されている、請求項1に記載の鋼片の圧延方法。
  4. 前記圧延ロールの前記外周面形状は、前記圧延ロールの回転方向において、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が増大する部分の傾斜角度を表す上り勾配角度の最大値が摩擦角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼片の圧延方法。
  5. 前記圧延ロールの前記外周面形状は、前記圧延ロールの回転方向において、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が減少する部分の傾斜角度を表す下り勾配角度の最小値の絶対値がロールバイトの噛み込み角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼片の圧延方法。
  6. 前記圧延ロールの前記外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、前記圧延ロールの胴長方向にその位相を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼片の圧延方法。
  7. 前記圧延ロールの前記外周面形状は、当該圧延ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、前記圧延ロールの胴長方向にその振幅および全周平均半径値を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼片の圧延方法。
  8. 前記圧延ロールが組み込まれた前記圧延機により前記鋼片を圧延する圧延パスは、前記鋼片の表面温度と板厚中心部における板厚中心温度との温度差が20℃以上となる圧延パスにおいて実施される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼片の圧延方法。
  9. 横断面形状が略矩形の鋼片を圧延する圧延機を複数備える圧延設備であって、
    前記鋼片の搬送方向最下流に位置する前記圧延機を除く、少なくとも1台以上の前記圧延機において、前記鋼片と当接する一対の作業ロールのうち少なくともいずれか一方は、周期が接触弧長の1/50倍以上2倍以下、かつ、振幅が圧下量の1/30倍以上1/3倍以下であり、周方向に周期的に変化する外周面形状を有する、圧延設備。
  10. 前記作業ロールの前記外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が正弦波状となるように形成されている、請求項9に記載の圧延設備。
  11. 前記作業ロールの前記外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、直線、及び、少なくとも円弧または高次関数曲線のいずれかを含む複数の線分で構成される連続的かつ周期的形状となるように形成されている、請求項9に記載の圧延設備。
  12. 前記作業ロールの前記外周面形状は、前記作業ロールの回転方向において、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が増大する部分の傾斜角度を表す上り勾配角度の最大値が摩擦角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項9〜11のいずれか1項に記載の圧延設備。
  13. 前記作業ロールの前記外周面形状は、前記作業ロールの回転方向において、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径が減少する部分の傾斜角度を表す下り勾配角度の最小値の絶対値がロールバイトの噛み込み角以下であり、連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載の圧延設備。
  14. 前記作業ロールの前記外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、前記作業ロールの胴長方向にその位相を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項9〜13のいずれか1項に記載の圧延設備。
  15. 前記作業ロールの前記外周面形状は、当該作業ロールの回転中心から外周面までの距離である外周面半径と全周における外周面半径の平均値である全周平均半径との差の周方向分布が、前記作業ロールの胴長方向にその振幅および全周平均半径値を変化させながら連なる連続的かつ周期的な形状となるように形成されている、請求項9〜14のいずれか1項に記載の圧延設備。
  16. 周期的に変化する前記外周面形状を有する前記作業ロールが設けられた前記圧延機は、2段圧延機である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の圧延設備。
  17. 周期的に変化する前記外周面形状を有する前記作業ロールが設けられた前記圧延機は、4段圧延機である、請求項14または15に記載の圧延設備。
  18. 前記圧延設備は、前記鋼片を鋳造する連続鋳造機に対して鋳造方向下流側に配置されている、請求項9〜17のいずれか1項に記載の圧延設備。
  19. 前記圧延設備は、加熱炉により加熱された前記鋼片のスケールを除去するスケール除去装置に対して前記鋼片の搬送方向下流側に配置されている、請求項9〜17のいずれか1項に記載の圧延設備。
JP2018013693A 2017-02-15 2018-01-30 鋼片の圧延方法及び圧延設備 Active JP6907961B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017025853 2017-02-15
JP2017025853 2017-02-15

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018130765A JP2018130765A (ja) 2018-08-23
JP6907961B2 true JP6907961B2 (ja) 2021-07-21

Family

ID=63249235

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018013693A Active JP6907961B2 (ja) 2017-02-15 2018-01-30 鋼片の圧延方法及び圧延設備

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6907961B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7307339B2 (ja) * 2018-11-02 2023-07-12 日本製鉄株式会社 矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備
CN112893468A (zh) * 2021-02-08 2021-06-04 太原理工大学 一种通过波纹轧和平轧工艺提高Fe-Mn-Cr-Ni系高熵合金强度的方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53106659A (en) * 1977-03-02 1978-09-16 Hitachi Ltd Rolling roll
JPS5762801A (en) * 1980-10-04 1982-04-16 Nippon Steel Corp Manufacture of steel material with homogeneous structure and less segregation
ITRM20070150A1 (it) * 2007-03-21 2008-09-22 Danieli Off Mecc Processo e impianto per la produzione di nastro metallico
CN205496271U (zh) * 2015-10-27 2016-08-24 攀钢集团攀枝花钢钒有限公司 防滑轧辊

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018130765A (ja) 2018-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2683970C (en) Functionally graded metal matrix composite sheet
JP6907961B2 (ja) 鋼片の圧延方法及び圧延設備
JP2012066303A (ja) 鋼の連続鋳造方法および連続鋳造設備
JP5444807B2 (ja) 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法
JP6384679B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP5533376B2 (ja) マグネシウム合金コイル材、マグネシウム合金用研削装置、マグネシウム合金コイル材の研削方法、及びマグネシウム合金板
WO1996001710A1 (en) Method of casting and rolling steel using twin-roll caster
JP7020307B2 (ja) 圧延設備
US5404931A (en) Apparatus for making strips, bars and wire rods
JP7307339B2 (ja) 矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備
WO1996001708A1 (en) Twin-roll caster and rolling mill for use therewith
KR101223107B1 (ko) 마르텐사이트계 스테인리스 열연박판 제조장치 및 마르텐사이트계 스테인리스 열연박판의 제조방법
JP2973834B2 (ja) 薄鋳片の連続鋳造用鋳型
KR100829951B1 (ko) 마그네슘 주편 제조용 주조롤
JP7356016B2 (ja) 矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備
JP7460894B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法及び熱延鋼板製造装置
JP7410369B2 (ja) 鋳片の内部欠陥低減方法及び鋳片製造設備
JP3601591B2 (ja) 内部割れの少ない鋼の連続鋳造方法
JPH0890182A (ja) 広幅薄鋳片の連続鋳造方法
JP4645296B2 (ja) 連続鋳造方法
RU2002561C1 (ru) Поддерживающее устройство сл бовой машины непрерывного лить заготовок
JP3063533B2 (ja) 広幅薄鋳片の連続鋳造方法
JP5483436B2 (ja) スラブの部分大圧下を行うための連続鋳造機用ロールスタンド
JPH078420B2 (ja) 金属薄板圧延材を連続的に製造する装置
JPH057107B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190208

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190419

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190422

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190426

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210614

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6907961

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151