JP6907716B2 - 積層型インダクタ - Google Patents

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本発明は、積層型インダクタに関する。
近年、主に電源回路で使用されるパワーインダクタの小型化、低背化および大容量化の要求が高まっている。そして、要求に応えるためにフェライトを用いた従来のインダクタに代わって、飽和磁束密度が高い軟磁性金属粉を用いたインダクタが提案されている。
しかし、軟磁性金属粉は絶縁性が低い。そのため、軟磁性金属粉を特に高周波領域用のインダクタに用いる場合には磁性体の絶縁性が低下し、渦電流損失が増加し、インダクタンスLおよびQ値が低下してしまう。そのため、金属粒子間の絶縁性を高め、磁性体の絶縁性を高め、渦電流損失を低下させる方法が検討されてきた。
特許文献1には、周囲に酸化被膜を備える金属粒子を含む積層インダクタが記載されている。しかし、特許文献1に記載の金属粒子は酸化被膜を有するため硬度が上昇する。したがって、軟磁性合金粒子から成形体を作製する際に粒子が変形しにくく高密度化しにくい。また、成形時に必要な圧力も高くなるため、加工ひずみが大きくなってしまう。
特開2013−254917号公報
本発明は、磁性体の絶縁性が高く、高周波領域でのインダクタンスLおよびQ値も高い積層型インダクタを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の積層型インダクタは、
磁性体および導体を含む積層型インダクタであって、
前記磁性体はFeおよびNiを含む軟磁性合金粒子を含み、
前記軟磁性合金粒子が、複数の結晶子と、前記結晶子同士の間にある結晶粒界と、からなり、
前記結晶粒界に高抵抗層が存在することを特徴とする。
本発明に係る積層型インダクタは、上記の特徴を有することで磁性体の比抵抗ρ、高周波領域でのインダクタンスLおよびQ値が向上する。
本発明に係る積層型インダクタは、前記軟磁性合金粒子がさらにSiを含んでもよい。
本発明に係る積層型インダクタは、前記高抵抗層がSiを含んでもよい。
本発明に係る積層型インダクタは、前記軟磁性合金粒子がさらにSiおよびMを含み、
前記MがCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Al,Zn,S,NおよびOから選択される一種以上であってもよい。
本発明に係る積層型インダクタは、前記軟磁性合金粒子がさらにSiおよびCoを含んでもよい。
本実施形態に係る積層型インダクタの断面図である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子の概略図である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子の明視野像である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子の暗視野像である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子のSiマッピング画像である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子のFeマッピング画像である。 結晶粒界に高抵抗層が存在しない軟磁性合金粒子のSiマッピング画像である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明するが、本発明の実施形態は下記の実施形態に限定されない。
図1に示すように、本実施形態に係る積層型インダクタ11は、素子12と端子電極13とを有する。素子12は、磁性体14を介してコイル導体15が3次元的かつ螺旋状に形成されたグリーンの積層体を焼成して得られる。磁性体14は、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2を含む。素子12の両端に端子電極13を形成し、引出電極15a、15bを介して端子電極13と接続することで積層型インダクタ11が得られる。素子12の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。また、コイル導体15の材質にも特に制限はない。
磁性体14に含まれる軟磁性合金粒子2は図2に示すように複数の結晶子4および結晶子4同士の間に存在する結晶粒界4aからなり、結晶粒界4aに高抵抗層が存在することを特徴とする。
軟磁性合金粒子の平均粒子径には特に制限はないが、例えば1μm以上50μm以下である。
軟磁性合金粒子2はFeおよびNiを含む。具体的には、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2(特に結晶子4)は、Fe−Ni系,Fe−Ni−Si系,Fe−Ni−M系,Fe−Ni−Si−M系等のFeおよびNiを含む軟磁性合金からなる。なお、前記MはCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Al,Zn,S,NおよびOから選択される一種以上である。軟磁性合金はFe−Ni−Si−M系の軟磁性合金からなることが好ましい。特にMがCoのみであるFe−Ni−Si−Co系の軟磁性合金からなることが最も好ましい。
なお、本願明細書では、例えばFe−Ni系の軟磁性合金という場合には、FeおよびNiのそれぞれの含有割合が軟磁性合金全体に対して1.0質量%以上であり、FeおよびNiの他に単独で1.0質量%以上含有している元素がない場合を指す。また、Fe−Ni−M系の軟磁性合金という場合には、Fe,Niおよび特定の種類のMのそれぞれの含有割合が軟磁性合金全体に対して1.0質量%以上であり、Fe,Niおよび前記特定の種類のMの他に単独で1.0質量%以上含有している元素がない場合を指す。その他の種類の軟磁性合金についても同様である。
高抵抗層とは、結晶子4と比較して抵抗が高い層のことである。高抵抗層に含まれる元素の種類には特に制限はない。例えば、Si,B,Nbが挙げられる。特に高抵抗層にSiが含まれることが好ましい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるFeの含有割合には特に制限はない。好ましくは39.5質量%以上61.5質量%以下、さらに好ましくは40.0質量%以上53.5質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるNiの含有割合には特に制限はない。好ましくは38.0質量%以上60.0質量%以下、さらに好ましくは40.0質量%以上55.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるSiの含有割合には特に制限はない。高抵抗層にSiが含まれる場合、好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるBの含有割合には特に制限はない。例えば1.0質量%以下である。高抵抗層にSiおよびBが含まれる場合、SiおよびBの含有割合の合計が好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるNbの含有割合には特に制限はない。例えば5.0質量%以下である。また、高抵抗層にNbが含まれる場合には、Nbの含有割合が0.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2における前記特定の種類のMの含有割合には特に制限はない。好ましくは、1.0質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2が複数の結晶子4および結晶子4同士の間に存在する結晶粒界4aからなることはTEMにより明視野像(BF像)および/または暗視野像(DF像)を観察することで確認することができる。図3に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2の明視野像を示す。図4に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2の暗視野像を示す。
さらに、結晶粒界4aが高抵抗層を含むことはTEM−EDSを用いて元素マッピングを行うことで確認することができる。図5に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2のSiマッピング画像を示す。図6に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2のFeマッピング画像を示す。図3〜図6から結晶粒界4aにおいてSi濃度が高くFeの濃度が低い高抵抗層が存在することが確認できる。なお、図3〜図6は後述する実施例15の写真である。
なお、結晶粒界に高抵抗層が存在しない軟磁性合金粒子のSiマッピング画像を図7に示す。
高抵抗層の存在割合には特に制限はない。軟磁性合金粒子2の断面において、高抵抗層の面積が、結晶粒界4aの面積に対して70%以上であることが好ましい。
また、軟磁性合金粒子2の粒子表面2aにおける酸化被膜の存在割合は少ないことが好ましい。具体的には、断面を観察した場合において粒子表面2aの酸化被膜の厚さが5.0nm以下であることが好ましく、3.0nm以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2は、結晶粒界4aに高抵抗層を含むことにより、粒子表面2aの酸化被膜が薄くても高い絶縁性を有し、比抵抗ρを向上させることができる。そして、粒子表面2aの酸化被膜が薄いことで軟磁性合金粒子2の硬度を低下させ、加工性を向上させることができる。その結果、軟磁性合金粒子2を含む磁性体14の密度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2の結晶粒界4aに高抵抗層が存在することにより、磁性体14は渦電流損失が小さくなるため周波数特性も良好となる。その結果、軟磁性合金粒子2を磁性体14に含む積層型インダクタ11の高周波領域でのインダクタンスLおよびQ値も向上する。さらに、軟磁性合金粒子2を磁性体14等に加工する場合、結晶粒界4aに高抵抗層を含むことにより、加熱処理を行う工程で応力ひずみを緩和しつつ、結晶粒界4a内部の高抵抗層に含まれるSi等を残留させることができる。その結果、軟磁性合金粒子2を磁性体14に含む積層型インダクタ11において高周波領域におけるインダクタンスLおよびQ値を向上させやすくなる。
さらに、結晶粒界4a内部に高抵抗層を構成するSi等を残留させることができるため、加熱処理を行う工程で粒子表面2aにSi等の酸化被膜が形成されにくくなる。その結果、軟磁性合金粒子2を磁性体14に加工する場合に密度を向上させることができる。そして、インダクタンスLをさらに向上させることができる。
本実施形態に係る軟磁性合金粉は、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2を含む。本実施形態に係る軟磁性合金粉は本実施形態に係る軟磁性合金粒子2のみからなる必要はなく、結晶粒界に高抵抗層が含まれない軟磁性合金粒子が含まれていてもよい。本実施形態に係る軟磁性合金粉における軟磁性合金粒子2の含有割合は粒子数基準で90%以上であることが好ましい。
以下、本実施形態に係る軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉、および積層型インダクタの製造方法の一例について説明するが、本実施形態に係る軟磁性合金粉、および積層型インダクタの製造方法は下記の方法に限定されない。
まず、軟磁性合金粉の原料を準備する。準備する原料は金属等の単体でもよく、合金でもよい。原料の形態にも特に制限はない。例えば、インゴット、チャンク(塊)、またはショット(粒子)が挙げられる。
次に準備した原料を秤量して混合する。この際、最終的に目的とする組成の軟磁性合金粉が得られるように秤量する。そして、混合した原料を溶融、混合して融液を得る。溶融、混合に用いる器具に特に制限はない。例えばルツボ等が用いられる。
そして、融液から軟磁性合金粉を作製する。融液から軟磁性合金粉を作製する方法には特に制限はないが、例えば水アトマイズ法を用いることができる。具体的には、融液をノズル等で噴出させ、噴出した融液に高圧水流を衝突させて急冷することにより、軟磁性合金粉を作製することができる。
次に、得られた軟磁性合金粉に熱処理を行う。この際に適切な熱処理条件で熱処理を行うことにより、結晶粒界に高抵抗層を偏析させることができる。
好ましい熱処理条件は目的とする軟磁性合金粉の組成により変化するが、通常は熱処理温度を300℃以上800℃未満、好ましくは500℃以上600℃以下とする。熱処理時間を10分以上3時間以下、好ましくは30分以上2時間以下とする。さらに、熱処理後の徐冷速度を通常は30℃/時間以上300℃/時間以下、好ましくは50℃/時間以上100℃/時間以下とする。また、熱処理雰囲気には特に制限はないが、通常は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気とする。
熱処理温度が高く熱処理時間が長いほど結晶粒界に高抵抗層を偏析させやすくなる。しかし、熱処理温度が高すぎ、熱処理時間が長すぎる場合には高抵抗層を構成する元素が固溶しやすくなり、高抵抗層が偏析しにくくなる傾向にある。また、徐冷速度が遅いほど結晶粒界に高抵抗層が偏析しやすくなる傾向がある。しかし、徐冷速度が遅すぎる場合には高抵抗層を構成する元素が固溶しやすくなり、高抵抗層が偏析しにくくなる傾向にある。
以上の方法により本実施形態に係る軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉を得ることができる。また、本実施形態に係る軟磁性合金粉に対して通常用いられる方法により圧粉磁芯および積層型インダクタを得ることができる。圧粉磁芯および積層型インダクタを得る方法には特に制限はない。
以下、本実施形態に係る積層型インダクタの製造方法の一例としてシート法について説明する。
本実施形態に係る軟磁性合金粉を、溶媒やバインダ等の添加剤とともにスラリー化し、ペーストを作製する。そして、このペーストを用いて、焼成後に磁性体となるグリーンシートを形成する。次いで、形成されたグリーンシートの上に、コイル導体となる銀(Ag)等を所定のパターンで形成する。続いて、コイル導体パターンが形成されたグリーンシートを複数積層した後に、スルーホールを介して各コイル導体パターンを接合することで、コイル導体が3次元的かつ螺旋状に形成されたグリーンの積層体が得られる。
得られた積層体に対し、熱処理(脱バインダ工程および焼成工程)を行うことにより、バインダを除去し、軟磁性金属粉末に含まれる軟磁性金属粒子が軟磁性金属焼成粒子となり、互いに接続されて固定された(一体化した)焼成体としての積層体を得る。脱バインダ工程における保持温度は、バインダが分解してガスとして除去できる温度であれば、特に制限されないが、本実施形態では、300℃以上450℃以下であることが好ましい。また、脱バインダ工程における保持時間も特に制限されないが、本実施形態では、30分以上2.0時間以下であることが好ましい。
焼成工程における保持温度は、軟磁性金属粉末を構成する軟磁性金属粒子が互いに接続される温度であれば、特に制限されないが、本実施形態では、550℃以上800℃未満であることが好ましい。また、焼成工程における保持時間も特に制限されないが、本実施形態では、30分以上3.0時間以下であることが好ましい。
続いて、焼成体としての積層体に端子電極13を形成することにより、図1に示す積層型インダクタ11が得られる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下に示す実施例では、軟磁性合金粉から圧粉磁芯および積層型インダクタを作製し、圧粉磁芯および積層型インダクタの特性を測定している。
[軟磁性合金粉の調製]
まず、Fe−Ni合金、Fe単体、Ni単体、Co単体、Cr単体、Mn単体およびSi単体のインゴット、チャンク、またはショットを準備した。次にそれらを、表1に示す組成となるよう混合して、水アトマイズ装置内に配置されたルツボに収容した。次いで、不活性雰囲気中、ルツボ外部に設けたワークコイルを用いて、ルツボを高周波誘導により1500℃以上まで加熱し、ルツボ中のインゴット、チャンク又はショットを溶融、混合して融液を得た。
次いで、ルツボに設けられたノズルから、ルツボ内の融液を噴出すると同時に、噴出した融液に100MPaの高圧水流を衝突させて急冷することにより、表1に示す各実施例および比較例の元素からなる軟磁性合金粉を作製した。なお、全ての実施例および比較例で軟磁性合金粒子の平均粒子径は4.7μmとなった。
さらに、得られた軟磁性合金粉に対して熱処理を施した。表1の全実施例および比較例1〜5では300℃以上800℃未満で10分間以上3時間以下、熱処理し、熱処理後の徐冷速度は30℃/時間以上300℃/時間以下とした。具体的な熱処理条件は各軟磁性合金粉の組成により異なる。なお、比較例6では、900℃で60分、熱処理を行い、熱処理後の徐冷速度は20℃/時間とした。
[圧粉磁芯の作製]
熱処理後の軟磁性合金粉に対し、バインダとしてのアクリル樹脂を添加し造粒粉を作製した。なお、各実施例および比較例の軟磁性合金成分に応じてアクリル樹脂の種類および添加量を適宜決定した。この造粒粉を用いて、外径13mm×内径6mm×高さ3mmであるトロイダル形状となるように、成形圧6ton/cmで成形した。 次に、大気雰囲気下で、成形体を400℃に保持して脱バインダした後、大気雰囲気下で、脱バインダ後の成形体を焼成温度700℃、焼成時間1時間の条件で焼成し、トロイダル形状の圧粉磁芯を得た。
[積層型インダクタの作製]
熱処理後の軟磁性合金粉を、溶媒、バインダ等の添加物と共にスラリー化し、ペーストを作製してグリーンシートを形成した。このグリーンシート上に所定パターンのAg導体(コイル導体)を形成し、積層することにより、2.0mm×1.6mm×1.0mm形状のグリーンの積層インダクタを作製した。
次に、大気雰囲気下または不活性雰囲気下で、グリーンの積層インダクタを400℃で脱バインダした後、大気雰囲気下または不活性雰囲気下で、脱バインダ後の積層インダクタを、焼成温度700℃、焼成時間1時間の条件で焼成し、軟磁性金属焼成体を磁性体層として有する積層型インダクタを得た。
[各種評価]
(高抵抗層観察)
結晶粒界に高抵抗層が存在するか否か、および、高抵抗層に含まれる元素の種類は、TEM(日本電子製:JEM−2100F)を用いて圧粉磁芯を切断して得られる断面を観察し、かつ、EDSを用いて元素マッピング分析することで特定した。結果を表1に示す。なお、本実施例では、圧粉磁芯を切断して得られる断面において、少なくとも10個の軟磁性合金粒子を観察した。そして、結晶粒界に高抵抗層が存在する軟磁性合金粒子の個数を数え、結晶粒界に高抵抗層が存在する軟磁性合金粒子の割合が個数ベースで80%以上である場合に、当該軟磁性合金粒子に高抵抗層が存在するとした。
(粒子表面観察)
粒子表面に酸化被膜が形成されているか否かについて観察した。
(密度測定)
密度はアルキメデス法により測定した。6.00g/cm以上を良好とした。
(比抵抗測定)
各実施例および比較例の圧粉磁芯における比抵抗は、圧粉磁芯の両面にIn−Ga電極を塗布した後、ウルトラハイレジスタンスメーター(ADVANTEST社製:R8340)を用いて測定した。結果を表1に示す。なお、本実施例では比抵抗1.0×10Ωm以上を良好とし、1.0×10Ωm以上をさらに良好とした。
(インダクタンスLおよびQ値の測定)
各実施例および比較例の積層型インダクタについて、周波数2MHzでのインダクタンスLおよびQ値を測定した。インダクタンスLおよびQ値の測定にはLCRメーター(HEWLETT PACKARD社製:4285A)を用いた。結果を表1に示す。なお、本実施例ではインダクタンスLが0.70μH以上である場合を良好とし、1.00μH以上である場合をさらに良好とした。また、Q値が40以上である場合を良好とし、50以上である場合をさらに良好とした。
(ビッカース硬度の測定)
各実施例および比較例の圧粉磁芯について、超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス社製:ENT1100a)を用いてビッカース硬度を測定した。結果を表1に示す。圧粉磁芯の成形容易性の観点から、ビッカース硬度は低いほど好ましい。本実施例では、ビッカース硬度が250HV以下である場合を良好とし、180HV以下である場合をさらに良好とした。ただし、ビッカース硬度は250HV超であってもよい。
Figure 0006907716
FeおよびNiを含む軟磁性合金粒子を用い、高抵抗層が軟磁性合金粒子の結晶粒界に存在する実施例では、比抵抗ρ、インダクタンスLおよびQ値が良好であった。さらに、粒子表面の酸化被膜が薄い実施例ではビッカース硬度および密度も良好であった。
これに対し、高抵抗層が結晶粒界に存在しない比較例(比較例1〜6)では、比抵抗ρ、インダクタンスLおよび/またはQ値が悪化した。また、比較例のうち軟磁性合金成分としてSiを含む比較例1〜3および6では粒子表面にSiを含む厚い酸化被膜が存在した。
粒子表面にSiを含む厚い酸化被膜が存在する比較例のうち、軟磁性合金粒子がNiを含むか、Siの含有量が比較的多い比較例2、3および6では比抵抗ρ、インダクタンスLおよび/またはQ値に加えて、ビッカース硬度および/または密度が劣る結果となった。軟磁性合金粒子がNiを含まず、Siの含有量も比較的少ない比較例1では、ビッカース硬度および密度は良好であったが比抵抗ρ、インダクタンスLおよびQ値が劣る結果となった。
軟磁性合金成分としてFeおよびNi以外の成分を含有しない比較例4では、高抵抗層が結晶粒界に存在しなかった。軟磁性合金成分としてSiを含まずCuを含む点以外は実施例2と同条件である比較例5では、高抵抗層が結晶粒界に存在しない代わりにCuからなる層が結晶粒界に存在していた。
2・・・軟磁性合金粒子
2a・・・(軟磁性合金)粒子表面
4・・・結晶子
4a・・・結晶粒界
11・・・積層型インダクタ
12・・・素子
13・・・端子電極
14・・・磁性体
15・・・コイル導体
15a,15b・・・引出電極

Claims (5)

  1. 磁性体および導体を含む積層型インダクタであって、
    前記磁性体はFeおよびNiを含む軟磁性合金粒子を含み、
    前記軟磁性合金粒子におけるFeの含有割合が39.5質量%以上61.5質量%以下であり、
    前記軟磁性合金粒子が、複数の結晶子と、前記結晶子同士の間にある結晶粒界と、からなり、
    前記結晶粒界に高抵抗層が存在することを特徴とする積層型インダクタ。
  2. 前記軟磁性合金粒子がさらにSiを含む請求項1に記載の積層型インダクタ。
  3. 前記高抵抗層がSiを含む請求項1または2に記載の積層型インダクタ。
  4. 前記軟磁性合金粒子がさらにSiおよびMを含み、
    前記MがCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Al,Zn,S,NおよびOから選択される一種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の積層型インダクタ。
  5. 前記軟磁性合金粒子がさらにSiおよびCoを含む請求項1〜4のいずれかに記載の積層型インダクタ。
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