JP7358884B2 - 軟磁性合金粒子および電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、軟磁性合金粒子および電子部品に関する。
特許文献1には、高周波域における磁芯損失を低減するためにSi、Coを添加したパーマロイ合金粉が提案されている。しかし、本発明者らが、特許文献1に記載のパーマロイ合金粉について詳細に検討を行った結果、磁芯損失の点で更なる改善の余地があることがわかった。
特許第4308864号
本発明は、数MHz程度の高周波域においても低損失である圧粉磁芯の作製に適した軟磁性合金粒子およびそれを用いた圧粉磁芯を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の軟磁性合金粒子は、FeおよびNiを含む軟磁性合金粒子であって、
前記軟磁性合金粒子が、前記軟磁性合金粒子の最表面に存在する粒子表面層と、前記粒子表面層の内側にある複数の結晶子と、前記複数の結晶子同士の間にある結晶粒界と、からなり、
前記粒子表面層および前記結晶粒界に高抵抗層が存在することを特徴とする。
本発明の軟磁性合金粒子は、上記の特徴を有することにより、磁芯損失(コアロス)Pcvが小さくなる。
本発明の軟磁性合金粒子は、Fe,NiおよびSiを含んでもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、Fe,Ni,SiおよびMを含んでもよく、
前記MがCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Pおよび希土類元素から選択される一種以上であってもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記MがCoであってもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記MがCoおよびPであってもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記粒子表面層がFeよりも酸化しやすい元素から選択される1種以上を含んでもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記粒子表面層がNb,P,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上を含んでもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記粒子表面層がSiを含んでもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記結晶粒界がSiを含んでもよい。
本発明の軟磁性合金粒子は、前記結晶粒界および前記粒子表面層がSiを含んでもよい。
本発明に係る磁性部品は、上記のいずれかに記載の軟磁性合金粒子を含む。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子の概略図である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子の明視野像である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子のSiマッピング画像である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子のFeマッピング画像である。 本実施形態に係る軟磁性合金粒子の表面近傍の切断面の画像である。 図5の線分ABに沿って元素分析を行った結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明するが、本発明の実施形態は下記の実施形態に限定されない。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2は図1に示すように、前記軟磁性合金粒子の最表面に存在する粒子表面層2aと、粒子表面層2aの内側にある複数の結晶子2bと、結晶子2b同士の間に存在する結晶粒界2cと、からなり、粒子表面層2aおよび結晶粒界2cに高抵抗層が存在することを特徴とする。なお、粒子表面層2aと結晶粒界2cとは互いに接していてもよく、互いに離れていてもよい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2の平均粒子径には特に制限はないが、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは0.5μm以上20μm以下である。平均粒径が0.1μmより小さいと、透磁率が低下する傾向にある。さらに、軟磁性合金粒子の取り扱いが難しくなる。一方、平均粒径が50μmより大きいと、渦電流損失が増大する傾向にある。
軟磁性合金粒子2はFeおよびNiを含む。具体的には、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2(特に結晶子2b)は、Fe-Ni系,Fe-Ni-Si系,Fe-Ni-M系,Fe-Ni-Si-M系等のFeおよびNiを含む軟磁性合金からなる。なお、MはCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Pおよび希土類元素から選択される一種以上である。MはCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Alおよび希土類元素から選択される一種以上であってもよい。軟磁性合金粒子2はFe-Ni-Si-M系の軟磁性合金からなることが好ましい。軟磁性合金粒子2はMがCoのみであるFe-Ni-Si-Co系の軟磁性合金からなること、および、MがCoおよびPのみであるFe-Ni-Si-Co-P系の軟磁性合金からなることがより好ましい。
なお、本明細書では、例えばFe-Ni系の軟磁性合金という場合には、Feの含有割合が20質量%以上かつNiの含有割合が20質量%以上である場合を指す。Fe-Ni-Si系の軟磁性合金という場合には、Feの含有割合が20質量%以上、Niの含有割合が20質量%以上かつSiの含有割合が0.5質量%以上である。Fe-Ni-M系の軟磁性合金という場合には、Feの含有割合が20質量%以上、Niの含有割合が20質量%以上かつMの含有割合が0.01質量%以上である場合を指す。さらに、Fe-Ni-Si-M系の軟磁性合金という場合には、Feの含有割合が20質量%以上、Niの含有割合が20質量%以上、Siの含有割合が0.5質量%以上かつMの含有割合が0.01質量%以上である場合を指す。なお、MとしてPを含まない場合には、Mの含有割合が0.5質量%以上である場合のみFe-Ni-M系の軟磁性合金またはFe-Ni-Si-M系の軟磁性合金であるとしてもよい。
高抵抗層とは、Ni単体と比較して抵抗が高い層のことである。高抵抗層に含まれる元素の種類は任意である。高抵抗層の抵抗がNi単体の抵抗よりも高いことは、原子間力顕微鏡(AFM)プローブを用いたvan der Pauw法により粒子内部抵抗を測定して確認することが可能である。ただし、通常は高抵抗層の元素分析結果から高抵抗層の抵抗がNi単体の抵抗よりも高いことを判断可能である。
粒子表面層2aについては、Feよりも酸化しやすい元素を含むことが好ましい。なお、ある元素がFeよりも酸化しやすい元素か否かについては、酸化還元平衡図(エリンガム図)を用いて判断することができる。また、粒子表面層2aについては、Nb,P,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上を含むことが好ましい。これらの元素は全てFeよりも酸化しやすい元素である。粒子表面層2aはNb,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上を含んでいてもよい。粒子表面層2aはSiを含むことがさらに好ましい。
なお、通常は粒子表面層2aに含まれる高抵抗層は軟磁性結晶粒子2の表面が酸化されて生成する。すなわち、軟磁性結晶粒子2にFeよりも酸化しやすい元素が含まれる場合には、粒子表面層2aに含まれる高抵抗層にFeよりも酸化しやすい元素の酸化物が含まれる。
粒子表面層2aは、Feよりも酸化しやすい元素の酸化物のみを含むことが好ましい。しかし、粒子表面層2aは、Fe酸化物を含んでいてもよい。また、粒子表面層2aは、酸化物以外の物質である金属またはメタロイドを含んでいてもよい。
結晶粒界2cについては、Si,B,PおよびNbから選択される1種以上を含むことが好ましく、Si,BおよびNbから選択される1種以上を含んでいてもよく、Siを含むことがさらに好ましい。また、結晶粒界2cに含まれる高抵抗層は、通常は粒子表面層2aに含まれる高抵抗層とは異なり、金属またはメタロイドからなる。結晶粒界2cに含まれる高抵抗層は、金属またはメタロイドのみからなっていてもよい。ただし、結晶粒界2cがNb,P,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上の元素の酸化物を含んでいてもよく、Nb,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上の元素の酸化物を含んでいてもよい。
粒子表面層2aと結晶粒界2cとで同一の組成を有していてもよく、異なる組成を有していてもよい。
粒子表面層2aおよび結晶粒界2cがともにSiを含むことが最も好ましい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるFeの含有割合には特に制限はない。好ましくは30.0質量%以上61.5質量%以下、さらに好ましくは35.0質量%以上55.5質量%以下である。また、39.5質量%以上61.5質量%以下であってもよく、40.0質量%以上55.5質量%以下であってもよい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるNiの含有割合には特に制限はない。好ましくは10.0質量%以上60.0質量%以下、さらに好ましくは20.0質量%以上55.0質量%以下である。また、20.0質量%以上60.0質量%以下であってもよく、40.0質量%以上55.0質量%以下であってもよい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるSiの含有割合には特に制限はない。高抵抗層にSiが含まれる場合、好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるBの含有割合には特に制限はない。例えば1.0質量%以下である。高抵抗層にSiおよびBが含まれる場合、Siの含有割合およびBの含有割合の合計が好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるPの含有割合には特に制限はない。例えば1.0質量%以下である。高抵抗層にSiおよびPが含まれる場合、Siの含有割合およびPの含有割合の合計が好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下である。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるNbの含有割合には特に制限はない。例えば5.0質量%以下である。また、高抵抗層にNbが含まれる場合には、Nbの含有割合が0.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2におけるMの含有割合には特に制限はない。好ましくは、1.0質量%以上60.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上45.0質量%以下である。また、1.0質量%以上15.0質量%以下であってもよく、1.0質量%以上5.0質量%以下であってもよい。
本実施形態に係る軟磁性合金粒子2が粒子表面層2aと、粒子表面層2aの内側に存在する複数の結晶子2bと、結晶子2b同士の間に存在する結晶粒界2cとからなることはTEMにより明視野像(BF像)および/または暗視野像(DF像)を観察することで確認することができる。図2に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2の明視野像を示す。
さらに、粒子表面層2aおよび結晶粒界2cが高抵抗層を含むことはTEM-EDXを用いて元素マッピングを行うことで確認することができる。図3に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2のSiマッピング画像を示す。図4に本実施形態に係る軟磁性合金粒子2のFeマッピング画像を示す。図2~図4から粒子表面層2aおよび結晶粒界2cにおいてSi濃度が高くFeの濃度が低い高抵抗層が存在することが確認できる。なお、図2~図4は後述する実施例13の写真である。
結晶粒界2cにおける高抵抗層の存在割合には特に制限はない。軟磁性合金粒子2の断面において、高抵抗層の面積が、結晶粒界2cの面積に対して70%以上であることが好ましい。
また、粒子表面層2aの厚みは任意である。具体的には、断面をSEMで観察した場合において粒子表面層2aの厚みが5nm以上100nm以下であることが好ましい。
また、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2の粒子表面層2aおよび結晶粒界2cに高抵抗層が存在することにより、軟磁性合金粒子2から得られる圧粉磁芯等の渦電流損失が小さくなる。そのため圧粉磁芯等の周波数特性も良好となり、コアロスPcvが小さくなる。さらに高周波領域での透磁率μ´も向上する。
本実施形態に係る軟磁性合金粉は、本実施形態に係る軟磁性合金粒子2を含む。本実施形態に係る軟磁性合金粉は本実施形態に係る軟磁性合金粒子2のみからなる必要はなく、結晶粒界および/または粒子表面層に高抵抗層が含まれない軟磁性合金粒子が含まれていてもよい。本実施形態に係る軟磁性合金粉における軟磁性合金粒子2の含有割合は粒子数基準で70%以上であってもよく、80%以上であることが好ましい。
以下、本実施形態に係る軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉の製造方法の一例について説明するが、本実施形態に係る軟磁性合金粉の製造方法は下記の方法に限定されない。
まず、軟磁性合金粉の原料を準備する。準備する原料は金属等の単体でもよく、合金でもよい。原料の形態にも特に制限はない。例えば、インゴット、チャンク(塊)、またはショット(粒子)が挙げられる。
次に準備した原料を秤量して混合する。この際、最終的に目的とする組成の軟磁性合金粉が得られるように秤量する。そして、混合した原料を溶融、混合して融液を得る。溶融、混合に用いる器具に特に制限はない。例えばルツボ等が用いられる。
そして、融液から軟磁性合金粉を作製する。融液から軟磁性合金粉を作製する方法には特に制限はないが、例えば水アトマイズ法を用いることができる。具体的には、融液をノズル等で噴出させ、噴出した融液に高圧水流を衝突させて急冷することにより、軟磁性合金粉を作製することができる。
次に、得られた軟磁性合金粉に熱処理を行う。この際に適切な熱処理条件で熱処理を行うことにより、結晶粒界に高抵抗層を偏析させることができる。
好ましい熱処理条件は目的とする軟磁性合金粉の組成により変化するが、通常は熱処理温度を300℃以上800℃未満、好ましくは500℃以上600℃以下とする。熱処理時間を10分以上3時間以下、好ましくは30分以上2時間以下とする。さらに、熱処理後の徐冷速度を通常は30℃/時間以上300℃/時間以下、好ましくは50℃/時間以上100℃/時間以下とする。また、熱処理雰囲気には特に制限はないが、通常は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気とする。ただし、酸素濃度が高いほど軟磁性合金粒子の最表面に存在する粒子表面層に酸化物からなる高抵抗層が生じやすくなる。したがって、熱処理雰囲気における酸素分圧を10ppm以上2000ppm以下とすることが好ましい。
一般には熱処理温度が高温であり、熱処理時間が短時間であり、徐冷速度が低速であるほど結晶粒界2cに高抵抗層を偏析させやすくなる。一方、熱処理温度が低温であり、熱処理時間が長時間であり、徐冷速度が高速であるほど粒子表面層2aに高抵抗層を析出させやすくなる。組成および熱処理条件等を適宜制御することで、粒子表面層2aおよび結晶粒界2cに高抵抗層を偏析させやすくなる。
以上の方法により本実施形態に係る軟磁性合金粒子からなる軟磁性合金粉を得ることができる。また、本実施形態に係る軟磁性合金粉から通常用いられる方法により圧粉磁芯を得ることができる。圧粉磁芯を得る方法には特に制限はない。
また、本実施形態に係る電子部品は、本実施形態に係る軟磁性合金粒子を含む。軟磁性合金粒子は公知の方法により圧粉磁芯等に加工されて磁性体等に含まれる。また、電子部品の種類には特に制限はない。例えば、インダクタ、リアクトル、モータ等が挙げられる。
(実験例1)
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[軟磁性合金粉の調製]
まず、Fe-Ni合金、Fe単体、Ni単体、Co単体、Cr単体、Mn単体、Si単体およびNb単体のインゴット、チャンク、またはショットを準備した。次にそれらを、表1~表5に示す組成となるよう混合して、水アトマイズ装置内に配置されたルツボに収容した。なお、Pの含有量については上記の各原料に含まれるPの含有量を制御し、さらに必要であればFe-P合金を添加することで制御した。また、Bの含有量についてはFe-Bを添加することで制御した。
次いで、ルツボ内部を不活性雰囲気とし、ルツボ外部に設けたワークコイルを用いて、ルツボを高周波誘導により1500℃以上まで加熱した。そして、ルツボ中のインゴット、チャンク又はショットを溶融し、混合することで融液を得た。
次いで、ルツボに設けられたノズルから、ルツボ内の融液を噴出すると同時に、噴出した融液に100MPaの高圧水流を衝突させて急冷することにより、表1~表5に示す各実施例および比較例の元素からなる軟磁性合金粉を作製した。なお、全ての実施例および比較例で軟磁性合金粒子の平均粒子径は8.0μmとなった。
さらに、得られた軟磁性合金粉に対して熱処理を施した。表1~表5の全実施例および比較例1~6では300℃以上800℃未満で10分間以上3時間以下、熱処理し、熱処理後の徐冷速度は30℃/時間以上300℃/時間以下とした。具体的な熱処理条件は各軟磁性合金粉の組成により異なる。
[圧粉磁芯の作製]
熱処理後の軟磁性合金粉に対し、バインダーとしてのエポキシ樹脂(N-695、大日本インキ社製)と硬化剤(S2P、丸善石油化学社製)とを添加し、ニーダーにより室温で30分間混練し、混練物を作製した。ここで、エポキシ樹脂の添加量は合金粉末に対して1.5質量%とした。硬化剤の添加量は合金粉末に対して1.0質量%とした。次いで、混練物を大気中において自然乾燥させ、造粒粉を作製した。この造粒粉を用いて、外径13mm×内径6mm×高さ3mmであるトロイダル形状となるように、成形圧6ton/cmで成形し、成形体を作製した。加圧後の成形体を180℃で60分間熱処理することにより、バインダー樹脂を硬化させて、トロイダル形状の圧粉磁芯を得た。
[各種評価]
(粒子表面層および結晶粒界の高抵抗層観察)
粒子表面層および結晶粒界に高抵抗層が存在するか否か、および、粒子表面層および結晶粒界の高抵抗層に含まれる元素の種類は、TEM(日本電子製:JEM-2100F)を用いて圧粉磁芯を切断して得られる断面を観察し、かつ、EDXを用いて元素マッピング分析することで特定した。結果を表1~表5に示す。なお、本実施例では、圧粉磁芯を切断して得られる断面において、少なくとも10個の軟磁性合金粒子を観察した。そして、粒子表面層に高抵抗層が存在する軟磁性合金粒子の個数を数えた。粒子表面層に高抵抗層が存在する軟磁性合金粒子の割合が個数ベースで80%以上である場合に、粒子表面層に高抵抗層が存在するとした。さらに、結晶粒界に高抵抗層が存在する軟磁性合金粒子の個数を数えた。結晶粒界に高抵抗層が存在する軟磁性合金粒子の割合が個数ベースで80%以上である場合に、結晶粒界に高抵抗層が存在するとした。また、表1~表5では、各実施例および比較例について、粒子表面層に存在する高抵抗層における酸素以外の元素の合計を100at%として50at%より多く含まれる元素を記載した。さらに、結晶粒界に存在する高抵抗層における酸素以外の元素の合計を100at%として50at%より多く含まれる元素を記載した。
(透磁率の測定)
各実施例および比較例の圧粉磁芯について、周波数2MHzでの比透磁率μ´を測定した。比透磁率μ´の測定にはRFインピーダンスマテリアルアナライザー(アジレントテクノロジー社製:4991A)を用いた。結果を表1~表5に示す。なお、本実施例では比透磁率μ´が25以上である場合を良好とした。
各実施例および比較例の圧粉磁芯について、最大磁束密度25mT、周波数2MHzでのコアロスPcvを測定した。コアロスPcvの測定にはBHアナライザ(岩崎通信機社製:SY-8218)を用いた。結果を表1~表5に示す。なお、本実施例ではコアロスPcvが3000kW/m以下である場合を良好とした。
FeおよびNiを含む軟磁性合金粉であり、高抵抗層が当該軟磁性合金粉の粒子表面層および結晶粒界に存在する実施例では、透磁率μ´およびコアロスPcvが良好であった。
これに対し、高抵抗層が結晶粒界および/または粒子表面層に存在しない比較例(比較例1~6)では、コアロスPcvが悪化した。さらに、軟磁性合金粒子にはSiを含むが結晶粒界にSiを含む高抵抗層が生成しなかった比較例3~6では比透磁率μ´も低下した。
表1の実施例1は結晶子がFe-Ni系の軟磁性合金粉であって高抵抗層がSiを含んでいた。そして、Siを含む高抵抗層が当該軟磁性合金粉の粒子表面層および結晶粒界に存在した。これに対し、比較例1は軟磁性合金粉がFeおよびNiのみを含む。このため、Siを含む高抵抗層は結晶粒界にも粒子表面層にも存在しなかった。比較例2および比較例3は熱処理条件を変化させることでSiを含む高抵抗層が存在する場所を変化させた。比較例4~6の軟磁性合金粉はNiを含有しなかった。この場合には、粒子表面層にSiを含む高抵抗層を生成させることは可能だが結晶粒界にSiを含む高抵抗層を生成させることが難しかった。
表2にはSiの含有量を変化させずにFeおよびNiの含有量を変化させた実施例を示した。
表3には実施例1に含まれる3.00質量%のSiの一部または全部をMに変化させた実施例、および、実施例1aに含まれる3.00質量%のNbの一部または全部をMに変化させた実施例を主に示した。なお、実施例5cは粒子表面層の高抵抗層がM(B)を含むようにするために、特に熱処理温度を高くするように熱処理条件を制御した。また、実施例6cは結晶粒界の高抵抗層がM(B)を含むようにするために、特に熱処理温度を低くするように熱処理条件を制御した。
表4、表5には実施例1のFe-Ni系の軟磁性合金粉をFe-Ni-Si系の軟磁性合金粉およびFe-Ni-Si-M系の軟磁性合金粉に変化させた実施例を示した。
表2~表5より、軟磁性合金成分を変化させても、粒子表面層および結晶粒界に高抵抗層が存在している場合には、透磁率μ´およびコアロスPcvが良好であった。
(実験例2)
実験例2では、実施例13について軟磁性合金粒子2(粒子表面層2a)の表面にPt-Pd保護膜6を付着させた、そして、軟磁性合金粒子2の切断面において軟磁性合金粒子2(粒子表面層2a)の表面近傍をTEM-EDXで観察した。結果を図5に示す。さらに、図5に示す軟磁性合金粒子2の結晶子2b内の点からPt-Pd保護膜6に向かって6.5nmおきにTEM-EDXを用いて元素分析を行った。結果を図6に示す。
図5および図6より、結晶子2bとPt-Pd保護膜6との間にSiの酸化物を含む粒子表面層2aが存在することが確認できた。
2・・・軟磁性合金粒子
2a・・・粒子表面層
2b・・・結晶子
2c・・・結晶粒界
6・・・Pt-Pd保護膜

Claims (12)

  1. FeおよびNiを含み、さらにNb,P,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上を含む軟磁性合金粒子であって、
    前記軟磁性合金粒子が、前記軟磁性合金粒子の最表面に存在する粒子表面層と、前記粒子表面層の内側にある複数の結晶子と、前記複数の結晶子同士の間にある結晶粒界と、からなり、
    前記粒子表面層および前記結晶粒界に高抵抗層が存在することを特徴とする軟磁性合金粒子。
  2. FeおよびNiを含み、さらにSiおよび/またはNbを含む請求項1に記載の軟磁性合金粒子。
  3. Fe,NiおよびSiを含む請求項1または2に記載の軟磁性合金粒子。
  4. Fe,Ni,SiおよびMを含み、
    前記MがCo,Cr,Mn,Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Pおよび希土類元素から選択される一種以上である請求項1~3のいずれかに記載の軟磁性合金粒子。
  5. 前記MがCoである請求項に記載の軟磁性合金粒子。
  6. 前記MがCoおよびPである請求項に記載の軟磁性合金粒子。
  7. 前記粒子表面層がFeよりも酸化しやすい元素から選択される1種以上を含む請求項1~のいずれかに記載の軟磁性合金粒子。
  8. 前記粒子表面層がNb,P,B,Si,Al,HfおよびCrから選択される1種以上を含む請求項1~のいずれかに記載の軟磁性合金粒子。
  9. 前記粒子表面層がSiを含む請求項1~のいずれかに記載の軟磁性合金粒子。
  10. 前記結晶粒界がSiを含む請求項1~のいずれかに記載の軟磁性合金粒子。
  11. 前記粒子表面層および前記結晶粒界がSiを含む請求項1~10のいずれかに記載の軟磁性合金粒子。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の軟磁性合金粒子を含む磁性部品。
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