JP6907589B2 - 定着装置 - Google Patents

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本発明は、無端状のベルトと、ベルトの外周面と接触する対向部材と、ベルトの内周面と接触し、対向部材との間でベルトを挟む回転部材と、ベルトの内周面と摺接する摺接部材とを含む定着装置に関する。
画像形成装置の定着装置においては、加熱部材や加圧部材などの対向する部材の間に無端状のベルトを挟んで回転させる加圧ベルト方式が知られている。
このような加圧ベルト方式の定着装置として、例えば特許文献1には、無端状のベルトと、ベルトの外周面と接触する加熱ローラと、ベルトの内周面と接触し、加熱ローラとの間でベルトを挟む加圧ローラと、ベルトの内周面と摺接し、ベルトを加熱ローラに押し付ける加圧パッドと、ベルトの内周面と加圧パッドとの摺動性を向上させるため、ベルトの内周面に潤滑剤を塗布するオイル塗布ローラとを備えた構成が開示されている。
特開2007−79067号公報
特許文献1に開示された定着装置では、加圧ローラとは別にオイル塗布ローラを設けているため、部品点数が増加し、定着装置の製造コストが増加することになる。
そこで、本発明は、定着装置において、部品点数を増加させることなく、ベルトの内周面に安定して潤滑剤を塗布することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、無端状のベルトと、ベルトの外周面と接触する対向部材と、ベルトの内周面と接触し、対向部材との間でベルトを挟む回転部材と、ベルトの内周面と摺接する摺接部材とを含む。
回転部材は、弾性層と、回転部材の径方向において弾性層よりも外側に設けられ、ベルトの内周面と接触する多孔質層と、径方向において多孔質層と弾性層との間に設けられる第1非多孔質層とを有し、多孔質層に潤滑剤を含浸したことを特徴とする。
この構成によれば、ベルトの内周面に潤滑剤を塗布するための部材を回転部材とは別に設ける必要がなくなるので、部品点数を増加させずにベルトの内周面に潤滑剤を塗布することができ、摺接部材とベルトの内周面との摺動抵抗を低減することができる。
さらに、多孔質層と弾性層の間に第1非多孔質層を設けたことにより、多孔質層に含浸した潤滑剤が弾性層と接触することを抑制できるので、潤滑剤による弾性層の劣化を抑制することができる。
本発明によれば、定着装置において、部品点数を増加させることなく、ベルトの内周面に安定して潤滑剤を塗布することができる。
画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る定着装置の構成を示す断面図である。 加圧ローラの構成と、加圧パッドに対する位置関係を示す断面図である。 第1変形例に係る加圧ローラの断面図である。 第2変形例に係る加圧ローラの断面図である。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「奥側」、紙面に向かって左側を「手前側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートとしての用紙Pを給紙するための給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着させる定着装置6とを主に備えている。
給紙部3では、給紙トレイ31内の用紙Pが、用紙押圧板32によって給紙ローラ33側に寄せられ、給紙ローラ33および給紙パット34で送り出されて、一枚ずつ後述するプロセスカートリッジ5に搬送される。
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に設けられ、本体筐体2に対して着脱自在に装着される構造となっている。このプロセスカートリッジ5は、外枠を構成する中空のカートリッジフレーム51を備えている。プロセスカートリッジ5は、さらに、カートリッジフレーム51内において、感光ドラム52と、スコロトロン型帯電器53と、転写ローラ54と、現像カートリッジ55とを備えている。
現像カートリッジ55は、カートリッジフレーム51に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ56、層厚規制ブレード57、供給ローラ58およびトナー収容部59を備えている。
感光ドラム52は、カートリッジフレーム51に回転可能に支持されている。この感光ドラム52は、ドラム本体が接地されるとともに、表面部分が正帯電性の感光層により形成されている。
転写ローラ54は、感光ドラム52の下方において、カートリッジフレーム51に回転可能に支持され、感光ドラム52と対向して接触するように配置されている。この転写ローラ54には、転写時に転写バイアスが印加される。
このように構成されるプロセスカートリッジ5では、感光ドラム52の表面がスコロトロン型帯電器53により一様に正帯電された後、露光装置4からのレーザビームの高速走査によって露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
次いで、現像ローラ56の回転によって、感光ドラム52と現像ローラ56が対向して接触するときに、現像ローラ56上に担持されているトナーが、感光ドラム52の表面上に形成された静電潜像に供給される。このようにトナーが、感光ドラム52の表面上で選択的に担持されることで静電潜像が可視像化され、反転現像によってトナー像が形成される。
そして、感光ドラム52と転写ローラ54が、用紙Pを両者間で挟持して搬送するように回転し、感光ドラム52と転写ローラ54との間を用紙Pが搬送されることによって感光ドラム52の表面に担持されているトナー像が用紙P上に転写される。
定着装置6は、プロセスカートリッジ5の奥側(用紙Pの搬送方向下流側)に設けられ、加熱ローラ61と、無端状のベルト62と、加熱ローラ61に向けて押圧される加圧ローラ63とを主に備えている。また、定着装置6の用紙Pの搬送方向下流側には、定着装置6から搬送された用紙Pを本体筐体2の外部へ排出するための排紙ローラ71,72および排紙経路73が設けられている。
このように構成される定着装置6では、用紙P上に転写されたトナー像を、用紙Pが加熱ローラ61と加圧ローラ63に掛けられたベルト62との間を通過する間に熱定着させる。その後、用紙Pは排紙ローラ71によって排紙経路73に搬送され、排紙経路73から排紙ローラ72によって排紙トレイ74上に排紙される。
以下、図2および図3を参照して、定着装置6の概略と、加圧ローラ63の詳細について説明する。
図2に示すように、定着装置6は、対向部材の一例としての加熱ローラ61と、無端状のベルト62と、ベルト62の内周面と接触し、加熱ローラ61との間でベルト62を挟む回転部材の一例としての加圧ローラ63と、ベルト62の内周面と摺接する摺接部材の一例としてのベルトガイド68および加圧パッド69とを備えている。
加熱ローラ61は、円筒形状に形成され、内部に設けられたハロゲンヒータなどの熱源Hによって表面が定着温度に加熱されるように構成されている。また、加熱ローラ61は、軸方向外側に突出する両方の端部が、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されている。
加熱ローラ61は、本体筐体2内に設けられた駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達されることで回転駆動し、ベルト62の外周面と接触することで、ベルト62を連れ回り回転させる。
ベルト62は、加圧ローラ63、ベルトガイド68および加圧パッド69に巻き掛けられる。ベルト62は、ベルトガイド68および加圧パッド69と摺接しながら、加熱ローラ61および加圧ローラ63と連れ回ることで回転する。
ベルト62は、例えば、ポリイミド(PI)などの耐熱性の樹脂をフィルム状にしたものや、ニッケルの電鋳フィルム、ステンレス鋼の電鋳フィルムなどを無端状に加工して形成することができる。
ベルトガイド68は、加熱ローラ61の軸方向に沿って延び、回転するベルト62の内周面を案内するとともに、支持部69Aを介して加圧パッド69を支持する部材である。
ベルトガイド68は、加圧パッド69に対して加圧ローラ63とは反対側に配置され、ベルト62の内周面と摺接することでベルト62を案内する。
ベルトガイド68は、ベルト62の内周面との摩擦係数が小さい材料で構成され、ベルト62の内周面と摺接する湾曲形状の外周部68Aと、加圧パッド69を支持する支持部69Aを固定する固定面68Bとを有している。
加圧パッド69は、ベルト62を加熱ローラ61に押し付けることで、加熱ローラ61との間でベルト62を挟んでいる。加圧パッド69は、加圧ローラ63と共にニップ幅nを大きくし、加熱ローラ61と用紙Pの接触面積を増大させて熱定着速度の高速化を図るための部材である。
加圧パッド69は、加熱ローラ61の軸方向に沿って延び、支持部69Aの表面に固定される。加圧パッド69は、ベルト62の内周面との摩擦係数が小さい弾性材料で構成される。
加圧ローラ63は、ベルト62の内周面と接触し、ベルト62を加熱ローラ61に押し付けることで、加熱ローラ61との間でベルト62を挟んでいる。加圧ローラ63は、加熱ローラ61が回転駆動すると、ベルト62と共に連れ回り回転する。
図3に示すように、加圧ローラ63は、回転軸を構成する金属製の棒状部材からなる芯金63Aと、芯金63Aの周囲を被覆するローラ部63Bを備えている。
芯金63Aは、両端部がローラ部63Bの両端から軸方向外側に突出し、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されている。なお、ローラ部63Bを貫通する芯金63Aに代えて、ローラ部63Bを貫通せずに、ローラ部63Bの軸方向両端から突出する2つの円柱突起によって回転軸を構成してもよい。
ローラ部63Bは、外周面がベルト62の内周面と接触し、加圧ローラ63の軸方向(以下、単に「軸方向」という)において、ベルト62の幅以下の幅W0を有している。
ローラ部63Bは、芯金63Aの周囲を被覆する弾性層64と、弾性層64の外周面に設けられる第1非多孔質層65と、第1非多孔質層65の外周面に設けられ、ベルト62の内周面と接触する多孔質層66とを有している。つまり、加圧ローラ63の径方向において、多孔質層66と弾性層64との間には、第1非多孔質層65が設けられている。
また、第1非多孔質層65の外周面には、軸方向において、多孔質層66の両側に第2非多孔質層67が設けられている。
弾性層64は、多孔質層であり、例えば、シリコーンゴム等の弾性材料から構成される。弾性層64は、数mmの厚さT0を有し、後述する第1非多孔質層65および多孔質層66の厚さよりも厚く形成される。また、弾性層64は、軸方向において、ローラ部63Bの全幅に亘って設けられている。
第1非多孔質層65は、弾性層64よりも潤滑剤により劣化し難い材料から構成され、軸方向において、弾性層64の全幅に亘って設けられている。
第1非多孔質層65は、弾性層64の厚さT0よりも薄く、数μm以下の厚さT1を有している。また、第1非多孔質層65の厚さT1は、後述する多孔質層66の厚さよりも薄くなっている。
第1非多孔質層65は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、FEP、EEFT)、イミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)樹脂の単一または複数材料からなる耐熱樹脂から構成される。
第1非多孔質層65は、弾性層64の外周面に、上述した樹脂材料をコーティングした後、焼成や自然乾燥することで形成される。或いは、上述した樹脂材料により予め第1非多孔質層のチューブを形成しておき、このチューブの中に芯金63Aを挿入した状態で弾性材料を注入し、第1非多孔質層65の内周面に弾性層64を形成することで製造してもよい。
多孔質層66は、ベルトガイド68および加圧パッド69とベルト62との間の摺動抵抗を小さくするため、ベルト62の内周面に潤滑剤を塗布するための層である。
具体的には、多孔質層66は、ローラ部63Bの軸方向中央部に設けられた厚さ数μmの連続気泡構造体の多孔質層に潤滑剤を含浸したものであり、ベルト62が第2非多孔質層67と接触して回転する際に、加熱ローラ61との間で圧力を受けて押し潰されて、ベルト62の内周面に潤滑剤を塗布する。そのため、加圧ローラ63と加熱ローラ61の間に圧力が付与されていない状態で、多孔質層66の表面の少なくとも一部が第2非多孔質層67の表面よりも加圧ローラ63の径方向外側に位置するように形成される。詳細には、多孔質層66の厚さT2は、後述する第2非多孔質層67の厚さよりも厚く形成される。
なお、「加圧ローラ63と加熱ローラ61の間に圧力が付与されていない状態」とは、加圧ローラ63の組み付け前に、加圧ローラ63の表面全体が押し潰されていない状態を意味する。また、加圧ローラ63を組み付けた後であっても、図2に示すように、加圧ローラ63の表面全体のうち、ベルト62の内周面と接触していない部分が押し潰されていない状態を意味する。
多孔質層66は、軸方向において、第1非多孔質層65の幅W0よりも小さい幅W1を有しており、第1非多孔質層65の両端が多孔質層66の両端よりも外側に突出して配置されている。
また、多孔質層66の幅W1は、加圧パッド69の幅W2と等しいかそれよりも広くなっており、多孔質層66の両端が加圧パッド69の両端よりも外側に突出して配置されている。
なお、多孔質層66の幅W1は、レーザプリンタ1で使用可能な最小サイズの用紙Pの幅以上となっている。
多孔質層66は、第1非多孔質層65と同様に、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、FEP、EEFT)、イミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)樹脂の単一または複数材料からなる耐熱樹脂から構成される。
また、多孔質層66は、潤滑剤を含浸するため、セル径が0.1μm以上、数十μm以下となる複数の空隙を有している。複数の空隙は、多孔質層66の層全体に略均一に分散している。
多孔質層66は、例えば、上述した樹脂材料を含む溶液で第1非多孔質層65の外周面をコーティングし、焼成や自然乾燥することで溶液中の溶媒を蒸発させて多孔質層を出現させた後、潤滑材を含浸することで形成する。
第2非多孔質層67は、第1非多孔質層65の外周面に設けられ、軸方向において多孔質層66の外側に配置される。詳細には、ローラ部63Bの軸方向両端部に、多孔質層66の両端から隙間Sを設けて、2つの第2非多孔質層67が設けられている。第2非多孔質層67は、潤滑剤を含浸した多孔質層66よりもベルト62の内周面との摩擦係数が大きい層である。また、第2非多孔質層67は、多孔質層66よりも潤滑剤が含浸し難いように構成されている。
第2非多孔質層67は、弾性層64よりも潤滑剤により劣化し難い材料から構成される。詳細には、第2非多孔質層67は、第1非多孔質層65と同様の樹脂材料の中から適宜選択した耐熱樹脂で構成され、ベルト62の内周面との摩擦係数が大きく、潤滑剤をシールするための撥油性を有している。なお、第2非多孔質層67と第1非多孔質層65を同一材料で一体に形成してもよいが、第2非多孔質層67と弾性層64は一体に形成することはない。
また、第2非多孔質層67の厚さT3は、多孔質層66の厚さT2よりも薄く、ベルト62が加熱ローラ61と加圧ローラ63の間で挟まれて回転する際に、ベルト62からの圧力を受けて押し潰される多孔質層66の厚さと等しくなるように設定される。
潤滑剤は、公知の潤滑剤を使用することができるが、第1非多孔質層65、多孔質層66および第2非多孔質層67を構成する耐熱樹脂との組み合わせを考慮して決定する。
具体的には、第1非多孔質層65、多孔質層66および第2非多孔質層67がシリコーン樹脂から構成される場合、潤滑剤としてはシリコーンオイル以外のものを使用する。同様に、第1非多孔質層65、多孔質層66および第2非多孔質層67がフッ素系樹脂から構成される場合、フッ素系の潤滑剤以外のものを使用する。
次に、以上のように構成された定着装置6の動作について説明する。
図2に示すように、ベルト62の外周面と接触する加熱ローラ61が回転すると、ベルト62と、ベルト62の内周面と接触する加圧ローラ63とが連れ回り回転する。
このとき、加圧ローラ63は、軸方向の両端部に設けられた第2非多孔質層67とベルト62の内周面との摩擦力によって、ベルト62と共に安定して回転する。また、加圧ローラ63の径方向外側に位置する多孔質層66は、加熱ローラ61との間でベルト62からの圧力によって押し潰されることで、多孔質層66に含浸した潤滑剤がベルト62の内周面に塗布される。
したがって、第2非多孔質層67によってベルト62が安定して回転する間に、多孔質層66によってベルト62の内周面に潤滑剤を安定して塗布することができる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
加圧ローラ63が、ベルト62の内周面と接触する箇所に、潤滑剤を含浸した多孔質層66を備えたことにより、ベルト62の内周面に潤滑剤を塗布するための部材を加圧ローラ63とは別に設ける必要がなくなるので、部品点数を増加させずにベルト62の内周面に潤滑剤を塗布することができ、ベルトガイド68および加圧パッド69とベルト62の内周面との摺動抵抗を低減することができる。
さらに、加圧ローラ63の径方向において、多孔質層66と弾性層64との間に第1非多孔質層65を設けたことにより、多孔質層66に含浸した潤滑剤が弾性層64と接触することを抑制できるので、潤滑剤による弾性層64の劣化を抑制することができる。
軸方向において、第1非多孔質層65の幅W0が多孔質層66の幅W1よりも大きいので、多孔質層66から弾性層64に流れる潤滑剤をより確実に抑制して、潤滑剤による弾性層64の劣化をより確実に抑制することができる。
軸方向において、多孔質層66の両側に、第2非多孔質層67を設けたことにより、多孔質層66よりもベルト62の内周面との摩擦係数が大きい第2非多孔質層67で加圧ローラ63がベルト62と連れ回るので、ベルト62を安定して回転させることができる。そのため、加圧ローラ63とベルト62が滑って連れ回りし難い構成と比較すると、ベルト62の内周面に潤滑剤を安定して塗布することができる。
加圧ローラ63と加熱ローラ61の間に圧力が付与されていない状態で、多孔質層66の表面の少なくとも一部が第2非多孔質層67の表面よりも加圧ローラ63の径方向外側に位置するので、加圧ローラ63と加熱ローラ61の間で圧力が付与された場合には、径方向外側に位置する多孔質層66が押し潰されて、ベルト62の内周面に潤滑剤をより確実に塗布することができる。
多孔質層66と第2非多孔質層67の間に隙間Sを設けたことにより、隙間Sが環状の潤滑剤溜まりとして機能し、多孔質層66から軸方向外側に流出する潤滑剤が、第2非多孔質層67の表面に漏れ難くなる。
軸方向において、多孔質層66の幅W1が加圧パッド69の幅W2以上であるため、潤滑剤を多孔質層66からベルト62の内周面を介して加圧パッド69の表面全体に供給することができる。これにより、ベルト62の内周面と加圧パッド69との間で摺動抵抗を小さくすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記した実施形態では、ベルト62と、対向部材としての加熱ローラ61と、回転部材としての加圧ローラ63と、摺接部材としてのベルトガイド68および加圧パッド69とを含み、加圧ローラ63、ベルトガイド68および加圧パッド69にベルト62を巻き付けた加圧ベルト方式の定着装置6を採用したが、本発明はこのような構成に限定されない。
例えば、加熱ローラに巻き付けた加熱ベルトを採用し、対向部材を加熱ベルトとした構成とすることもできる。
また、無端状のベルトの内側に、熱源と、第1加圧ローラと、ベルトの内周面と摺接するガイドとを配置し、第1加圧ローラとベルトを挟んで対向する位置に第2加圧ローラを配置した構成とすることもできる。この場合、第1加圧ローラが回転部材、第2加圧ローラが対向部材、ガイドが摺接部材にそれぞれ対応する。
また、以下の変形例に示すように、回転部材としての加圧ローラ63を様々に変更することもできる。なお、以下の説明において、前記した実施形態と同様の構成要素については同一符号を用いて参照し、詳細な説明を省略する。
図4に示すように、第1変形例に係る加圧ローラ163は、多孔質層166がクラウン形状を有し、多孔質層166の両端から隙間Sを設けて、2つの第2非多孔質層67が設けられている
多孔質層166は、軸方向中央部が軸方向両端部よりも加圧ローラ163の径方向外側に位置し、軸方向中央部から軸方向両端部に向けて徐々に厚さが薄くなっている。そして、軸方向中央部における最大厚さTmaxは、第2非多孔質層67の厚さT3よりも厚くなっている。
また、第1非多孔質層65の厚さT1は、多孔質層166の最大厚さTmaxよりも薄くなっている。
加圧ローラ163を加熱ローラ61に押し付ける場合、例えば、加圧ローラ163の回転軸の両端部に設けたバネ(図示せず)により、加圧ローラ163を加熱ローラ61側に付勢することができる。この場合、加圧ローラ163の外周面では、軸方向全体に亘って均一に付勢力が作用するわけではなく、軸方向中央部に作用する付勢力が、軸方向両端部に作用する付勢力よりも小さくなる。
そこで、多孔質層166をクラウン形状とすることで、ベルト62の内周面と接触した際の接触圧が小さくなる軸方向中央部においても、ベルト62の内周面に潤滑剤を良好に塗布することができる。
第1変形例による定着装置によると、多孔質層166は、軸方向中央部が軸方向両端部よりも加圧ローラ163の径方向外側に位置するので、ベルト62の内周面に潤滑剤を良好に塗布することができる。
図5に示すように、第2変形例に係る加圧ローラ263は、弾性層64の外周面に設けられた第1非多孔質層265が逆クラウン形状を有している。より詳細には、第1非多孔質層265は、軸方向において、中央部265Aよりも両端部265Bが加圧ローラ263の径方向外側に位置し、両端部265Bから中央部265Aに向けて徐々に厚さが薄くなっている。
多孔質層266は、第1非多孔質層265の外周面上で、第1非多孔質層265の両端部265Bの間に設けられ、多孔質層266の外周面が、第1非多孔質層265の両端部265Bの外周面と連続して、共にベルト62の内周面と接触するように構成される。多孔質層266は、軸方向において、中央部が両端部よりも加圧ローラ263の径方向内側に位置し、中央部から両端部に向けて徐々に厚さが薄くなっている。
また、多孔質層266は、第1非多孔質層265よりも柔軟であり、軸方向において、両端部よりも中央部により多くの潤滑剤を含浸している。
このように構成された2変形例による定着装置においても、上述した第1変形例による定着装置と同様の効果を得ることができる。
前記実施形態および各変形例では、加圧ローラの各層を構成する材料の選択に加えて、摺接部材の材料の選択に合わせて、使用する潤滑剤を適宜決定することが望ましい。
例えば、多孔質層をフッ素系樹脂(PTFE、PFA、FEP、EEFT)からなる材料で構成し、潤滑剤としてシリコーンオイルを使用することができる。そして、第1非多孔質層、第2非多孔質層、ベルトガイドおよび加圧パッドをシリコーン樹脂以外の耐熱樹脂から構成することができる。
前記実施形態および第1変形例の加圧ローラでは、軸方向において、多孔質層の両側に隙間を設けて2つの第2非多孔質層を配置したが、本発明はこのような構成に限定されない。
例えば、多孔質層の両端に接触して2つの第2非多孔質層を設けてもよい。
また、第2非多孔質層を設けずに、軸方向において、多孔質層を第1非多孔質層の全幅に亘って設けてもよい。
また、軸方向において、複数の多孔質層を設け、これらの多孔質層の間に第2非多孔質層を設けてもよい。
前記実施形態および第1変形例の加圧ローラでは、第2非多孔質層を、第1非多孔質層の外周面上で、ローラ部の軸方向両端部に設けたが、本発明はこのような構成に限定されない。
例えば、ローラ部の軸方向両端部では、弾性層の外周面上に直接第2非多孔質層を設け、これらの第2非多孔質層の間において、第1非多孔質層と多孔質層を弾性層の外周面に設けることもできる。
前記実施形態では、加熱ローラに駆動力を伝達して駆動回転させ、ベルトおよび加圧ローラが連れ回る構成としたが、本発明はこのような構成に限定されず、加圧ローラに駆動力を伝達し、ベルトおよび加熱ローラが連れ回る構成とすることもできる。
前記第1変形例においては、弾性層および第1非多孔質層の厚さが軸方向で均一であり、多孔質層がクラウン形状に形成されたが、本発明はこのような構成に限定されず、多孔質層を軸方向で均一の厚さとして、弾性層または第1非多孔質層をクラウン形状とすることもできる。
前記実施形態では、弾性層の外周面上に第1非多孔質層を設け、第1非多孔質層の外周面上に多孔質層と第2非多孔質層を設けたが、各層の間に接着層を設けてもよい。接着層は、例えば、シリコーン樹脂からなる材料で構成される。接着層を設けることで、加圧ローラの耐久性をより向上させることができる。
前記実施形態では、レーザプリンタに本発明を適用したが、本発明はこのような構成に限定されず、複写機、複合機などの他の画像形成装置に本発明を適用することもできる。
また、前記実施形態および各変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することもできる。
6 定着装置
61 加熱ローラ
62 ベルト
63 加圧ローラ
64 弾性層
65 第1非多孔質層
66 多孔質層
67 第2非多孔質層
69 加圧パッド
S 隙間
W0 第1非多孔質層の幅
W1 多孔質層の幅
W2 加圧パッドの幅
163 加圧ローラ
166 多孔質層
263 加圧ローラ
265 第1非多孔質層
266 多孔質層

Claims (7)

  1. 無端状のベルトと、
    前記ベルトの外周面と接触する対向部材と、
    前記ベルトの内周面と接触し、前記対向部材との間で前記ベルトを挟む回転部材と、
    前記ベルトの内周面と摺接する摺接部材とを含み、
    前記回転部材は、弾性層と、前記回転部材の径方向において前記弾性層よりも外側に設けられ、前記ベルトの内周面と接触する多孔質層と、前記径方向において前記多孔質層と前記弾性層との間に設けられる第1非多孔質層と、前記回転部材の軸方向において、前記多孔質層の両側に設けられる第2非多孔質層と、を有し、
    前記多孔質層と、前記第2非多孔質層との間に隙間を設け、
    前記多孔質層に潤滑剤を含浸したことを特徴とする定着装置。
  2. 前記回転部材の軸方向において、前記第1非多孔質層の幅は、前記多孔質層の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記多孔質層の表面の少なくとも一部は、前記第2非多孔質層の表面よりも前記回転部材の径方向外側に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記多孔質層は、前記回転部材の軸方向において、中央部が両端部よりも前記回転部材の径方向外側に位置することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記第1非多孔質層の厚さは、前記多孔質層の最大厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記回転部材の軸方向において、前記多孔質層の幅は、前記摺接部材の幅以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 前記対向部材は、熱源を内部に配置した加熱ローラであり、
    前記回転部材は、前記加熱ローラとの間で前記ベルトを挟んで回転する加圧ローラであり、
    前記摺接部材は、前記加熱ローラとの間で前記ベルトを挟む加圧パッドであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
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