JP6907489B2 - 微細繊維状セルロース含有物 - Google Patents
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Description
(1) 微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、粉粒状であり、かつ累積中位径D50が1.2mm以下である、微細繊維状セルロース含有物。
(2) 下記試料のヘーズ値が20%以下である請求項1に記載の微細繊維状セルロース含有物:但し、前記試料は、前記微細繊維状セルロース含有物を固形分濃度が0.4質量%となるように純水中に添加し、ディスパーザーにて1500rpm、5分の条件で撹拌した試料である。
(3) 比表面積が0.005m2/cm3以上0.5m2/cm3以下である、(1)または(2)に記載の微細繊維状セルロース含有物。
(4) 安息角が4〜50°である、(1)から(3)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(5) 嵩密度が、0.1〜0.5g/mlである、(1)から(4)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(6) 累積中位径D50が50μm以上である、(1)から(5)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(7) 有機溶媒をさらに含む、(1)から(6)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(8) 有機溶媒がイソプロピルアルコールである、(7)に記載の微細繊維状セルロース含有物。
(9) 水をさらに含む、(1)から(8)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(10) 前記微細繊維状セルロースがイオン性置換基を有する、(1)から(9)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(11) 前記微細繊維状セルロースがリン酸基を有する、(1)から(10)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(12) 前記微細繊維状セルロースにおけるリン酸基の量が、0.5mmol/g以上である、(1)から(11)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
繊維状セルロースを得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプから選ばれる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)、溶解パルプ(DP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましいが、特に限定されない。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択されるが、特に限定されない。この軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを含有するシートは高強度が得られる。
本発明で用いる微細繊維状セルロースは、イオン性置換基を有することが好ましいが、特にこれに限定されない。
イオン性置換基としては、アニオン性置換基又はカチオン性置換基のいずれでもよいが、好ましくはアニオン性置換基である。
アニオン性置換基を導入する場合、繊維原料と反応する化合物としては、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物等が挙げられる。取扱いの容易さ、繊維との反応性から、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物が好ましい。これらの化合物が繊維とエステルまたは/およびエーテルを形成することがより好ましいが、特に限定されない。
絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈する。この溶液を撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下した場合の電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を、滴定終点における滴下量とする。セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細繊維状セルロース含有スラリーが含む固形分(g)である。
カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型の化合物が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属のリン酸塩としては、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属のリン酸塩としては、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン;
シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド;
ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン;
炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
微細繊維状セルローススラリーは、繊維状セルロースを微細化(解繊)処理に供することによって製造することができる。
溶媒の具体例としては、水、有機溶媒単独、並びに水と有機溶媒との混合物を挙げることができる。有機溶媒としては、意図した比誘電率を確保できる限り特に限定されない。例えば、アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル等が挙げられる。有機溶媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。上記の中でも好ましくは、溶媒は水である。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。平均繊維幅とはこのように読み取った繊維幅の平均値である。
上記で得られた微細繊維状セルローススラリーを、脱水処理及び粉粒化処理に供することにより、本発明による微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物を調製することができる。即ち、本発明によれば、微細繊維状セルロースを含む希釈液をゲル化させる工程、上記で得られたゲル化物から微細繊維状セルロースを含む濃縮物を得る工程、上記濃縮物を加熱する工程、及び上記濃縮物を粉砕する工程を含む、本発明の微細繊維状セルロース含有物の製造方法も提供される。
(1)微細繊維状セルロースを含む希釈液に、濃縮剤を添加してゲル化させ、ろ過後、圧搾して濃縮物を得る。上記濃縮物を酸で処理し、次いでアルカリで処理して濃縮物を得る。上記濃縮物に溶媒を添加してろ過して濃縮物を得て、得られた濃縮物をオーブン等で加熱する。
圧搾する装置としては、ベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレスなど一般的なプレス装置を用いることができ、装置は特に限定されない。
使用する濾材は特に限定されないが、ステンレス製、ろ紙、ポリプロピレン製、ナイロン製、ポリエチレン製、ポリエステル製などが使用できる。酸を使用することもあるため、ポリプロピレン製が好ましい。
ろ材の通気度は低いほど歩留りが高まるため、30cm3/cm2・sec以下、より好ましくは10cm3/cm2・sec以下、さらに好ましくは1cm3/cm2・sec以下である。
圧搾工程に供する原料の濃度が低いと、脱水ろ液の増加や脱水工程の長時間化が起こるため、0.5%以上、よりこのましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。
圧搾時の圧力は0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上である。
本発明の微細繊維状セルロース含有物は、微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、粉粒状であり、かつ累積中位径D50が1.2mm以下である。なお、累積中位径D50は、たとえば微細繊維状セルロース含有物の調製方法や濃縮方法、濃縮物の粉砕方法などをそれぞれ適切に調整することによって制御することが可能である。
本発明の微細繊維状セルロース含有物の個数平均径は、好ましくは10μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上500μm以下であるが特に限定されない。
本発明の微細繊維状セルロース含有物の面積平均径は、好ましくは10μm以上1000μm以下であり、より好ましくは30μm以上800μm以下であるが特に限定されない。
ディスパーザーとしては、一般的な分散機であれば特に限定されないが、ホモミキサーやスリーワンモータなどの攪拌機を使用する。
比表面積を上記の範囲内とすることにより、溶媒に添加し再分散させるときに溶媒と十分な接触面積が確保され、均一に水和される。その結果、溶媒中での微細繊維状セルロースが均一に分散し、系内に添加した微粒子の分散性を向上させることができる。一方で比表面積が大きすぎると、嵩密度が低下し、ハンドリング性の悪化や粉舞などを引き起こす。
なお、上記比表面積や、後述する安息角、かさ密度などは、たとえば微細繊維状セルロース含有物の調製方法や濃縮方法、濃縮物の粉砕方法などをそれぞれ適切に調整することによって制御することが可能である。
嵩密度(g/ml)=粉末の質量(g)/粉末の体積(ml)
濃縮剤としては、多価金属の塩、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤などが挙げられるが、特に限定されない。濃縮剤として多価金属の塩を使用した場合には、本発明の微細繊維状セルロース含有物は、多価金属をさらに含み得る。多価金属としては、アルミニウム、カルシウム、又はマグネシウムなどが挙げられるが、特に限定されない。多価金属の塩としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられるが、特に限定されない。
酸としては、例えば、無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。
アルカリとしては、無機アルカリ又は有機アルカリのいずれでもよい。
無機アルカリとしては、例えば、以下のものが挙げられるが、特に限定されない。水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム。
有機アルカリとしては、例えば、以下のものが挙げられるが、特に限定されない。
アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン;
シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド;
ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等。
上記試料のpHが7以上であることにより、微細繊維状セルロースの官能基の対イオンがナトリウムイオンとなり、微細繊維状セルロース同士が静電反発し、溶媒中で容易に分散する。
上記試料のpHが11以下とすることにより、系内のアルカリ濃度を抑え、微細繊維状セルロースの静電反発力による溶媒中での分散性を向上させることができる。
本発明の微細繊維状セルロース含有物を、溶媒に再懸濁させることによって微細繊維状セルロース再分散物を得ることができる。
本発明の微細繊維状セルロース含有物には、界面活性剤が含まれてもよい。界面活性剤を含めることにより、表面張力が低下して、工程基材に対する濡れ性を高めることができ、微細繊維状セルロース含有シートをより容易に形成できる。
本発明による微細繊維状セルロース含有物の用途は特に限定されない。一例としては、微細繊維状セルロース再分散スラリーを用いて製膜し、各種フィルムとして使用することができる。別の例としては、微細繊維状セルロース再分散スラリーは、増粘剤として各種用途(例えば、食品、化粧品、セメント、塗料、インクなどへの添加物など)に使用することができる。さらに、樹脂やエマルションと混合し補強材としての用途にしようすることもできる。
(1)CNF1の調製:
尿素100g、リン酸二水素ナトリウム二水和物55.3g、リン酸水素二ナトリウム41.3gを109gの水に溶解させてリン酸化試薬を調製した。
乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミルおよびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶乾質量で100g取り、リン酸化試薬をスプレーでまんべんなく吹きかけた後、手で練り合わせ、薬液含浸パルプを得た。
得られた薬液含浸パルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、80分間加熱処理し、リン酸化パルプを得た。
得られたリン酸化パルプをパルプ質量で100g分取し、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。ここで得られた脱水シートを脱水シートAと称する。
その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。
2%スラリーを調製し、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせCNF1を得た。
上記の脱水シートAについて、次に示す滴定法でリン酸基の導入量を測定した。
[置換基導入量(リン酸基導入量)の測定]
置換基導入量は、繊維原料へのリン酸基の導入量であり、この値が大きいほど、多くのリン酸基が導入されている。置換基導入量は、対象となる微細繊維状セルロースをイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図1に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。
CNF1の調製において、送風乾燥機にて80分間加熱処理することに代えて160分加熱処理したこと以外は、CNF1の調製と同様にして、CNF2を調製した。
乾燥質量200g相当分の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプとTEMPO2.5gと、臭化ナトリウム25gを水1500mlに分散させた。その後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.0mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応を終了した。
その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を添加した。次に、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。
濃度が0.5質量%になるようイオン交換水で希釈した後、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理してCNF3を得た。
CNF1〜CNF3の繊維幅を下記の方法で測定した。
解繊パルプスラリーの上澄み液を濃度0.01〜0.1質量%に水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。CNF1〜CNF7は、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることを確認した。
CNF1を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化カルシウム1gを加えてゲル化させた。濾過後、ろ紙にて圧搾し、固形分濃度21.4質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物を0.1N塩酸水溶液100mLに30分間浸漬後、イソプロパノール2gと6%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度23.0質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物にイソプロパノール2gとイオン交換水2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度26.7%の濃縮物を得た。得られた濃縮物を60℃に設定したオーブンに入れ、45分加熱した。得られた濃縮物の固形分濃度は98.9質量%であった。
イオン交換水100mLに対して前記粉粒物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液を調製した。
実施例1において得られた濃縮物をボールミルで処理することに代えて、ミキサー(BM−RE08−HA、象印製)で1分間処理したこと以外は、実施例1と同様にして、粉粒物を得た。また実施例1と同様にして0.4質量%水溶液を調製した。
実施例1においてCNF1の代わりにCNF2を使用すること以外は、実施例1と同様にして、粉粒物を得た。また実施例1と同様にして0.4質量%水溶液を調製した。
実施例1においてCNF1の代わりにCNF3を使用すること以外は、実施例1と同様にして、粉粒物を得た。また実施例1と同様にして0.4質量%水溶液を調製した。
CNF1を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化カルシウム1gを加えてゲル化させた。濾過後、ろ紙にて圧搾し、固形分濃度3.4質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物を0.1N塩酸水溶液100mLに30分間浸漬後、イソプロパノール2gと6%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度4.2質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物にイソプロパノール2gとイオン交換水2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度5.2%の濃縮物を得た。
得られた濃縮物をミキサー(BM−RE08−HA、象印製)で1分間処理して、粉粒物を得た。
イオン交換水100mLに対して前記粉粒物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液を調製した。
実施例5で得た固形分濃度5.2%の濃縮物を10分乾燥して、固形分濃度14.6%の濃縮物を得た。実施例5と同様に粉粒物及び0.4質量%水溶液を調製した。
実施例5で得た固形分濃度5.2%の濃縮物を20分乾燥して、固形分濃度26.8%の濃縮物を得た。実施例5と同様に粉粒物及び0.4質量%水溶液を調製した。
実施例5で得た固形分濃度5.2%の濃縮物を30分乾燥して、固形分濃度40.1%の濃縮物を得た。実施例5と同様に粉粒物及び0.4質量%水溶液を調製した。
実施例5で得た固形分濃度5.2%の濃縮物を35分乾燥して、固形分濃度55.9%の濃縮物を得た。実施例5と同様に粉粒物及び0.4質量%水溶液を調製した。
実施例5で得た固形分濃度5.2%の濃縮物を40分乾燥して、固形分濃度72.5%の濃縮物を得た。実施例5と同様に粉粒物及び0.4質量%水溶液を調製した。
CNF1を0.4質量%に希釈した。希釈液100mLに対し、200mLのイソプロパノールを添加し、ゲル化させ、ろ紙により濾別した。濾別したゲルに200mLのイソプロパノールを添加し、混合した後、ろ紙により濾別した。濾別したゲルをろ紙で圧搾した。得られた濃縮物を60℃に設定したオーブンに入れ、45分加熱した。得られた濃縮物をフリッチュ社製pulverisetteシリーズ遊星型ボールミルP−6を用い、ボール径5mmのボールを使用し、500rpmで15分間処理して、粉粒物を得た。
イオン交換水100mLに対して前記粉粒物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液を調製した。
2.0質量%のCNF1希釈液を用いたこと以外は実施例11と同様にして、粉粒物及び0.4質量%水溶液を調製した。
CNF1を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化カルシウム1gを加えてゲル化させた。濾過後、ろ紙にて圧搾し、固形分濃度21.4質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物を0.1N塩酸水溶液100mLに30分間浸漬後、イソプロパノール2gと6%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度23.0質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物にイソプロパノール2gとイオン交換水2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度26.7%の濃縮物を得た。得られた濃縮物を60℃に設定したオーブンに入れ、45分加熱した。得られた濃縮物の固形分濃度は98.9質量%であった。
CNF1を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLをテフロン(登録商標)シャーレに入れ、60℃のオーブンにて絶乾状態まで乾燥させた。
得られた濃縮物をフリッチュ社製pulverisetteシリーズ遊星型ボールミルP−6を用い、ボール径5mmのボールを使用し、500rpmで15分間処理して、粉粒物を得た。
イオン交換水100mLに対して前記粉粒物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液を調製した。
粉粒物の粒径については、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置Microtrac3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定し、粉粒物の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径を算出することで、累積中位径(μm)を求めた。
レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置Microtrac3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定し、体積平均径(μm)を求めた。
(個数平均径の測定)
レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置Microtrac3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定し、個数平均径(μm)を求めた。
(面積平均径の測定)
レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置Microtrac3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定し、面積平均径(μm)を求めた。
(比表面積の測定)
レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置Microtrac3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定し、比表面積を求めた。
各実施例及び各比較例で得られた粉粒物の嵩密度を安息角測定器(アズワン)を用いて測定した。安息角測定器のシュートに100ml分の粉粒物を仕込み、シュート口を開いて粉粒物を下部に落下させ、下に設置した容器(満杯容積∨=50ml)に盛りきり充填した。次に、盛りきり粉粒物の盛り上がり部分を水平カットし、容積を満杯にした。容器に残存する粉粒物の質量を秤量し、下記の計算式より嵩密度(g/ml)を算出した。
嵩密度(g/ml)=粉末の質量(g)/粉末の体積(ml)
各実施例及び各比較例で得られた粉粒物の安息角を安息角測定器(アズワン)を用いて測定した。安息角測定器のシュートに100ml分の粉粒物を仕込み、シュート口を開いて粉粒物を下部に落下させた。落下後の粉粒物の斜面と水平面のなす角度を測定し、安息角とした。
イオン交換水100mLに対して各実施例及び各比較例で調製した濃縮物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液(再分散液とも言う)を調製した。
上記0.4質量%分散液のヘーズを、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG−40、逆光路)に上記分散液を入れ、JIS規格K7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて測定した。ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行った。
イオン交換水100mLに対して各実施例及び各比較例で調製した濃縮物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで30秒攪拌し、0.4質量%水溶液(再分散液とも言う)を調製した。
上記0.4質量%水溶液100mLに疎水化酸化チタン(STV−455、チタン工業株式会社製)を1.0質量%添加した後、薬さじで1分間、十分かき混ぜた。30分間静置し、疎水化酸化チタンが水層と分離するか観察した。
◎:全く疎水化酸化チタンが分離、沈降せず、水溶液中で安定的にとどまっている。
○:やや分離したり、沈降した疎水化酸化チタンが存在しているが、全体としては均一性を維持している。
×:疎水化酸化チタン粒子が沈殿もしくは水面に存在し、水層と分離している。
Claims (10)
- 微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、粉粒状であり、かつ累積中位径D50が50μm以上1.2mm以下であり、微細繊維状セルロースの平均繊維幅が1〜1000nmであり、微細繊維状セルロースがイオン性置換基を有する、微細繊維状セルロース含有物。
- 下記試料のヘーズ値が20%以下である請求項1に記載の微細繊維状セルロース含有物:但し、前記試料は、前記微細繊維状セルロース含有物を固形分濃度が0.4質量%となるように純水中に添加し、ディスパーザーにて1500rpm、5分の条件で撹拌した試料である。
- 比表面積が0.005m2/cm3以上0.5m2/cm3以下である、請求項1または2に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 安息角が4〜50°である、請求項1から3のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 嵩密度が、0.10〜0.50g/mlである、請求項1から4のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 有機溶媒をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 有機溶媒がイソプロピルアルコールである、請求項6に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 水をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 前記微細繊維状セルロースがリン酸基を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 前記微細繊維状セルロースにおけるリン酸基の量が、0.5mmol/g以上である、請求項1から9のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
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