JP6907473B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
特許文献2に記載されている筆記具においては、前軸(軸筒)が樹脂で形成されているため、射出成形により、複雑な形状を大量に成形でき、コストを低くすることができる。しかし、金属のような冷感は得ることが出来ない。
さらに、軸筒の外観に複数の突部を設けることで、突部と突部の間にできる溝に空気が流通し、軸筒の外観表面の冷却を促進することができる。これにより、把持されることで上昇した軸筒の表面温度を下げることができる。
また、前軸が6ナイロンに鉄の金属粉を重量比で50%以上60%以下の配合比率で分散配合した高分子材料とし、これに接触する部材としての後軸にアクリロニトリルブタジエンスチレンを使用したことで、前軸と後軸との接触部に接着性を付与できる。
このような筆記具として、使用時に把持される把持部としては、軸筒の一部であっても、軸筒とは別部材として構成してもかまわない。尚、軸筒は1部品で形成されたものや、複数の軸筒を圧入や螺合、接着、溶着、嵌合などの方法で一体に形成したもの、内筒の周りに本発明の軸筒を設けた多重構造の軸筒などが挙げられる。
本発明の筆記具における把持部は、高分子材料に金属粉を分散配合した材料を使用するため、射出成形が可能であり、複雑な形状に成形でき、大量生産出来るため、コストを低くすることができる。さらに、金属粉を含むことで高分子材料にはない高い熱伝導率を得ることができ、熱伝導率が10〜350〔W/(m・K)〕とすることで、把持部を把持した手に冷感を得ることができる。金属粉としては、黄銅、金、銀、ステンレス、炭素鋼、ニッケルクロム鋼、タングステン、鉄、銅、白金などが挙げられ、その粒径は数nm〜数百μm程度のものが使用できる。高分子材料としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PA)などの合成樹脂が挙げられる。それぞれの1種または複数種を混合したものを組み合わせて配合することが可能である。
把持部の熱伝導率が10〔W/(m・K)〕未満だと、軸筒の把持部に手の熱が伝わりにくく、冷感が得られない。一方熱伝導率が350W/(m・K)より大きいと、熱伝導率が大きく、冷感は得られるが、手の熱によって把持部がすぐに温まってしまい、冷感が持続しない。
また、金属粉として使用される材料金属の種類や配合比率によって、筆記具を構成する部材としての重量比を調整することができ、筆記具全体としての重量バランスの調整(重心位置の調整)や、強度を調整することができる。よって、前記軸筒を金属と高分子材料を配合した材料で成形し、その熱伝導率が10〜350〔W/(m・K)〕とし、さらに、その金属と高分子材料の配合比率を重量比で50%以上60%以下にとすることで、軸筒に負荷がかかったり、落下による衝撃で割れてしまう恐れが無くなるため、強度を確保しつつ、冷感が得られ、コストも低く抑えることができる。
重量比が60%より大きいと、高分子材料の中の金属の占有率が上がり、高分子材料同士の結合力を弱めるため、落下時の衝撃で割れが発生する恐れがある。
重量比が50%未満の場合、熱伝導率が低くなり、冷感が得られない。
さらに、軸筒の外観に複数の突部を設けることで、突部と突部の間にできる溝に空気が流通し、軸筒の外観表面の冷却を促進することができる。これにより、把持されることで上昇した軸筒の表面温度を下げることができる。
尚、以下の説明では、後述の先部材2側を前方と言い、押圧部材30側を後方と言う。
また、この形状に限らず、溝幅が均等でかつ連続した波の様な形状や周方向と垂直に連続する溝を設けた形状でも構わない。溝幅が均等でかつ連続した波の様な形状とすることで、把持する際の指の指紋に引っ掛かり滑り止めの効果がある。また、周方向と垂直に連続する溝を設けることで、万が一溝にごみなどが付着した場合での速やかに取り除く事が出来る。
前記軸筒本体3内部には芯繰り出しユニット13がクッションスプリング21により前方に付勢するように配され、使用時に高い筆圧がかかった際に前記クッションスプリング21が伸縮し、筆記芯Lに対する衝撃を緩和している。また、後述する芯繰り出しユニット13内の前方に配設されたチャックセット14が先部材2に内包されるように芯繰り出しユニット13を配することで、先部材2とチャックセット14の軸方向における中心線が同軸上となり、芯繰り出しユニット13から先部材2にかけて筆記芯Lを案内することができる。
後軸5の後方外周部に形成された縮径部5aにはクリップ6が嵌め込まれている。
また前記スライダー8の内部で芯保持部材10の後方に芯保持部材抑え31が圧入固定されている。この芯保持部材抑え31は外径がスライダー8の内径よりも若干大きく、内径は芯Lの直径が平行に2本並ばない様にした寸法を持った内径を備えており、芯保持部材抑え31の後端部にはすり鉢状に形成された芯挿通部31aを形成し、チャック体17の先端から芯保持部材10までのスペースにおいて、芯を芯保持部材10にスムーズに挿通させ、挿通後、2本目の芯が芯保持部材後方に来た場合においても、芯が2本重なることがなく、さらには芯保持部材10が経時等で万が一外れかかった場合でも紛失することなく、使用可能な状態を維持する効果がある。
筆記の際には、筆記芯Lの摩耗によってパイプ7が紙面に触れた場合でも、筆記による筆記芯Lの摩耗と共に筆圧によってパイプ7が紙面に押されて後方へと後退するため、筆記を継続でき、パイプ7を紙面から離すと前記先端スプリング11によりスライダー8が前進する。後述する筆記芯の前進は許容するが後退は阻止するように筆記芯を把持できるチャック体17と併用することで、先端スプリング11によりスライダー8が前進する際、芯保持部材10に保持された筆記芯Lを常にパイプ7の先端まで引き抜くことができるため、持ち替えて後端の押圧部材30をノックせずとも筆記芯Lが筆記状態を維持できることから連続して筆記が可能となる。
また、携帯時には、前記Oリング9によりスライダー8を先端リング12内部に嵌合させ、スライダー8の前後の移動を停止することで不意の筆記芯Lの突出を防止することができる。再度使用する際は、押圧部材30を押圧して芯繰り出しユニット13によりスライダー8の後端を押し、Oリング9と先端リング12との嵌合を解除することで、スライダー8が前進し、筆記可能となる。
この構成は筆記芯の芯径が細い場合、具体的には、呼び直径が0.3、0.2やそれ以下の直径の筆記芯に対して特に有効である。筆記芯Lをパイプ7から突出させず、筆記芯Lがパイプ7でガイドされた状態での筆記が可能となり、筆記時における筆圧の変化があった際や、筆記芯Lが紙面へひっかかった際にも筆記芯Lの折損を防止することができる。
ここで、前記チャックストッパー15は前記凸部(当接部)15fが前記リング16のテーパー部16aの内径部に位置するよう配設される。
また、本実施例におけるチャック体17及びチャックストッパー15は真鍮により形成しているが、鉄やステンレス鋼、アルミニウム合金などの金属材料や、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリカーボネート樹脂(PC)により成形してもよく、使用する材質は特に限定されない。また、本実施例におけるリング16は、真鍮により形成しているが、ステンレス鋼やポリカーボネート樹脂(PC)により成形しても良く、使用する材質は特に限定されない。更に、本実施例におけるボール18は、超鋼により形成しているが、洋白やアセタールにより成形しても良く、使用する材質は特に限定されない。
本実施例のチャック体17は2つ割りチャックであり、全体がリング16に囲繞されている。
前記チャック体17の外部形状について説明する。前方部には頭部17bが形成されており、その頭部17bの前端面には前方に向けて軸方向ストレートに突出する形で形成された先端部17aが形成されている。その先端部17aは、横断面で見た際に、略半円形の形状の両側面を落としたカット部17qが形成されており、その外形状は、前記頭部17bの外径よりも小さく、また、前記チャックストッパー15の貫通孔15aの内径よりも小さく形成されており、チャック体17の芯把持時17iや開閉動作時には、前記先端部17aは前記貫通孔15aを前後動可能であり、当接はしない大きさに形成されている。前記頭部17bの後方部はテーパー形状に形成されており(外テーパー部17e)、その外テーパー部17eより前方側の頭部17bには、外観が凹曲面(凹部)の前記ボール受座17cが形成されている。本実施例にあっては、ボール受座17cの縦断面形状は、2種類の曲線部を組み合わせてなり、前方側の曲線部を第1曲線部17oと称し、後方側の曲線部を第2曲線部17pと称する。本実施例にあっては、第1曲線部17oの曲率半径よりも第2曲線部17pの曲率半径を小さいものとしている。前記頭部17bの後方には、前記頭部17bの外テーパー部17eから連接して縮径部17fが形成されており、その縮径部17fの後方には縮径部17fよりも外径が大きい大径部17gが形成されている。その大径部17gの後方には、前記外鍔部17hが形成されており、前記外鍔部17hは前記大径部17gよりも外径が大きく形成されている。
次に、前記チャック体17の内部形状について説明する。チャック体17の前方部には芯把持部17iが形成されており、その芯把持部17iの後方には第1内テーパー部17jが、そして、その第1内テーパー部17jの後方には前記芯把持部17iよりも内径が大きい芯挿通孔17kが形成されている。前記芯把持部17iは、前記先端部17aの前端から前記頭部17bの中間部あたりにまで形成されている。前記芯挿通孔17kには、後述する芯ガイドパイプ24の前方部が配設されており、前記芯挿通孔17kの後方には第2内テーパー部17lが形成されている。また、本実施例のチャック体17では、弾性片17nに形成した芯把持部17iを前記先端部17aの内面にも連接して形成しているが、先端部17aの内面に芯把持部17iを形成せず、芯把持部17iの内径より大きい孔としても良く、例えば、芯把持部の大きさよりも大きい円筒状に形成しても良い。また、先端部17aを形成せず、チャック体17の前方部は頭部17bのみとしても良い。本実施例のように、先端部の内面にも芯把持部を形成した場合には、芯把持部の面積を拡大できるため、筆記芯をより確実に把持することができる。
チャック体17の先端部17aの前端から前記縮径部17fの後方部にかけては、チャック体17の横断面を軸方向に均等に2分割するスリット17mが形成されている。このスリット17mの前端部から後端部におけるチャック体17の部位を弾性片17nと称し、本実施例では、スリット17mが2箇所に形成されているため、2つの弾性片17nがある。前記各スリット17mの後端部は、各弾性片17nの支点であり、各弾性片17nは支点から前方にかけて拡開するように形成されることで、チャック体17は拡開状態を維持しようとする自開力を有する。筆記芯Lの繰り出し操作時には、前記支点を起点に各弾性片17nが開閉することで、筆記芯Lが把持・解放される。尚、チャック体17を分割するスリット17mは一定の幅で連続して形成することで、スリットの加工が容易になり、更にばらつきなく常に一定の力でチャック体を拡開させることができるので安定した品質のチャック体を供給することができる。
また押圧部材30は嵌合パイプ30aと押圧カバー30bからなり、前記嵌合パイプ30aに前記押圧カバー30bを圧入固定することで形成されている。ここで嵌合パイプ30aの側面略中央部に長方形のスリット部30cを設け、このスリット部30cを内側に撓ますことで内径を収縮させ、消しゴム受け部材27に嵌め合わせた際、適度な嵌合力を発生させ押圧部材30が容易に抜けないようになっている。嵌合パイプ30aに圧入固定されている押圧カバー30bにおいては、内径が嵌合パイプ30aの外径よりも若干小さくできており、押圧カバーの外径においては、前記後軸5の後端部内径よりも若干小さい外径部と前記後軸5の後端部内径の径よりも若干大きい外径部を設け、若干小さい外径部は若干大きい外径部に比べ軸線方向の距離が長い形状となっている。また若干大きい外径部の後端側、つまり押圧部材30の後端部の側面に若干の深さを持った凹部が存在する。この凹部は、使用者がノック時に押圧部材30を直接見ないでも押圧部材30があることがわかるようにする効果があり、さらには指先で押圧部材30を押した際その指と押圧部材30とが滑ることがないように滑り止めの効果も得ることが出来る。またこの凹部においては、この部分に芯径を表示するシール貼付けてもよく、シールを貼り付けた場合、凹部の効果により、指がシールの縁に触れることがないため、シールに塗布されている接着材が指に付着することがなく、さらには使用していてシールが剥がれたりするのを防ぐといった効果がある。
1本目の筆記芯Lを繰り出す際は、まず軸筒1前方を鉛直下向きに向けることで、芯タンク26に収納された筆記芯Lが、チャック体17における弾性片17nの芯把持部17i後端まで自重で落下する。前述した芯ガイドパイプ24及び中継部材22に形成した芯挿通孔22cを配設したことで、1本の筆記芯Lを確実にチャック体17の芯把持部17i後端まで挿通することができる。
そして、押圧部材30の押圧操作を繰り返し、前記パイプ7の前端面まで筆記芯Lを前進させた時に、筆記が可能となる。前述の通り、筆記芯Lは、パイプ7から突出させても良い。
尚、本実施例では押圧部材30の後端を押圧する後端ノック構造を採用しているが、後方からの押圧によってチャック体を前後動かつ開閉動することができればよく、筆記芯Lの繰り出し操作はサイドノック、サイドスライド、中折れノックなどの構造を採用することができ、特に限定されない。
チャックストッパー15の内部形状は、その前方から、内径が一定の貫通孔(第1内径部)15aと、その貫通孔15aの後方に形成された第2内径部15bとからなる。第2内径部15bは、前記貫通孔15aよりもその内径が大きく形成されており、前記外部形状における外鍔部15eの後方部から凸部15fの後端部の領域の内径部に形成されている。前記第2内径部15bの内径は、チャック体17が拡開した際でも、チャック体17の外周面が当接しない大きさとしている。
チャック17の前記先端部17aの断面略半円形の曲率半径は、チャック体17の前方に配設されたチャックストッパー15に、チャック体17と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された貫通孔15aの半径より大きく形成している。チャック体17の芯把持時や開閉動作時には、前記先端部17aは前記貫通孔15aを前後動可能であり、当接はしない大きさに形成されているが、以下に述べるように、チャック体17の拡開規制時に、その拡開規制力以上の力がかかり、前記先端部17aの外周面と前記貫通孔15aの内面が当接する場合には、前記先端部17aが形成されている各弾性片17nにおける軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。
一方、チャックストッパー15の貫通孔15aの内径は、チャック体17の拡開規制時に、その拡開規制力以上の力がチャック体17にかかった際に、前記先端部17aの外周面と貫通孔15aの内面が各弾性片17nにおける軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接した際に、拡開時のチャック体17におけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制する大きさで形成している。
チャック体17が筆記芯Lを把持した際、先端部17aは常に貫通孔15aに内挿するよう形成している。本実施例では筆記芯Lを把持した際、先端部17aが常に貫通孔15aに内挿する状態としているが、前進したチャック体17が拡開する前に先端部17aが貫通孔15aに内挿するように形成してあればよい。本実施例のように、筆記芯Lを把持した際には、先端部17aが常に貫通孔15aに内挿している状態を保つことで、チャック体17の前進時に正確に先端部17aを貫通孔15a内に案内することができ、安定して筆記芯Lの繰り出しを行うことができる。
押圧部材30を軸筒1の前方方向に押圧し、中継部材22の前端でチャック体17の後端が押圧されると、チャック体17が前進し、ボール18とリング16とのくさび効果が解除され、チャック体17の拡開が開始される。このとき、ボール18は、チャック体17のボール受座17cの最深部である前記第1曲線部17oと第2曲線部17pの接続部(変曲点)17dにてチャック体17と当接しており、チャック体17の芯把持部17iにおけるスリット幅は使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなっている。
押圧部材30の押圧を続けると、前記チャックストッパー15の凸部15fと前記ボール18が当接し、ボール18と既に軸筒1に対して移動を停止しておりチャックストッパー15を内部に固定しているリング16の軸筒1内における移動が停止する。このときも、ボール18は、チャック体17のボール受座17cの最深部である前記接続部(変曲点)17dにてチャック体17と当接しており、チャック体17の芯把持部17iにおけるスリット幅は使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなっている。
この状態で更に押圧部材30の押圧を続けると、リング16とボール18に対してチャック体17が前進し、ボール18とチャック体17との当接位置が後方へ移動する。即ち、ボール18とボール受座17cとが前記第2曲線部17pにて当接しながら、チャック体17は前進する。そして、チャック体17が最前進位置に位置した際にも、ボール18はチャック体17のボール受座17cの第2曲線部17pにて当接した状態で、チャック体17の拡開を規制する。このときも、チャック体17の芯把持部17iにおけるスリット幅は使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなっており、より詳細には、ボール18がボール受座17cの最深部(第1曲線部と第2曲線部の接続部(変曲点)17d)よりも浅い位置である前記第2曲線部17pにてチャック体17と当接していることから、芯把持部17iにおけるスリット幅は、前記凸部15fとボール18とが当接するまでの芯把持部17iにおけるスリット幅よりも小さいものとなっている。
押圧部材30の押圧を解除すると、チャック体17が後退し、前記凸部15fとボール18とが離間し、更にチャック体17が後退するため、チャック体17が閉じ、芯把持状態となる。このチャック体17の後退時には、チャック体17の前進時とは逆の動きをしてチャック体17の拡開量が小さくなっていく。
本実施例におけるチャック体は、チャック体17はその前端部からのスリット17mにより分割される2つの弾性片17nを有すると共に、前記2つの弾性片17nは芯把持部17iを有し、軸筒1に設けた押圧部材30の押圧操作により前記軸筒1に対して前記チャック体17が前後動可能であり、前記チャック体17の拡開時の前記芯把持部17iにおけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくしたので、押圧部材30の押圧操作が終了するまでの間、筆記芯Lをチャック体17の芯把持部17iで内包することができ、1本目芯と2本目芯の軸芯がそろった状態で筆記芯の繰り出しが可能となり、確実な筆記芯の繰り出しを行うことができる。
そして、凸部15fとボール18の当接後は、チャック体17の前進に伴い、ボール18とボール受座17cとの当接位置は、ボール受座17cの後方、即ち、最深部よりも浅くなっていく方向に変化をしていき、第2曲線部17pと当接する状態となる。このため、チャック体17の前進に伴い、チャック体17の拡開量は前記凸部15fとボール18との当接時の拡開量よりも小さくなる。チャック体17の最大拡開時においても、チャック体17の芯把持部17iにおけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくしているため、チャック体17の最前進位置にあっては、チャック体17の芯把持部17iにおけるスリット幅がより小さいものとなっている。結果、押圧部材30の押圧操作が終了するまでの間、筆記芯Lをチャック体17の芯把持部17iで内包することができ、1本目芯と2本目芯の軸芯がそろった状態で筆記芯Lの繰り出しが可能となり、確実な筆記芯Lの繰り出しを行うことができる。
詳述すると、チャック体17の拡開時に、チャック体17の芯把持部17iにおけるスリット幅が、筆記芯Lの芯径よりも小さくなっているため、筆記芯Lがスリット17mに完全に入り込むことはなく、芯把持部17iに位置できるものとなっているが、筆記芯Lの一部がスリット17mに入り込もうとした際に、チャック体17に対して拡開する方向に力がかかり、前記凸部15fとボール18との当接により生じているチャック体17への拡開規制力以上の力がチャック体17にかかってしまい、チャック体17が拡開してしまう可能性はある。
本実施例にあっては、筆記芯Lの一部がスリット17mに入り込もうとし、チャック体17への拡開規制力以上の力がチャック体17にかかり、チャック体17が拡開してしまったとしても、チャック体17における先端部17aとチャックストッパー15における貫通孔15fが、前記先端部17aの外周面と前記貫通孔15aの内面が各弾性片17nにおける軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接する。そして、その当接によって拡開時の芯把持部17iにおけるスリット幅を、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなるよう規制している。このため、チャック体17に拡開規制力以上の力がかかってしまい、チャック体17が拡開してしまったとしても、確実に芯把持部17iにおけるスリット幅が、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなり、確実に1本目芯と2本目芯の軸芯がよりそろった状態で筆記芯Lの繰り出しが可能となり、確実な筆記芯Lの繰り出しを行うことができる。
尚、チャック体17の先端部にカット部17qが形成されておらず横断面が略半円形の先端部を有するチャック体を用いたシャープペンシルであっても、本実施例と同様に、チャック体の拡開規制時に、その拡開規制力以上の力チャック体にかかった際に、先端部の外周面と貫通孔の内面が当接し、前記先端部が形成されている各弾性片における軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で当接するように構成しても良い。そのようにすることで、チャック体に拡開規制力以上の力がかかってしまい、チャック体が拡開してしまったとしても、確実に芯把持部におけるスリット幅が、使用しうる筆記芯Lの芯径より小さくなり、確実に1本目芯と2本目芯の軸芯がよりそろった状態で筆記芯の繰り出しが可能となり、確実な筆記芯の繰り出しを行うことができる。
本実施例では、両側面をカットしたカット部17qが設けられ、断面略半円形であり軸方向ストレートにチャック体17の先端から突出する形で形成された先端部17aの断面略半円の曲率半径を、チャック体17の前方に配設されたチャックストッパー15に、チャック体17と中心線が同軸の断面円形で軸方向ストレートに形成された貫通孔15aの半径より大きく形成することで、チャック体17に拡開規制力以上の力がかかり拡開した際に、チャック体17の拡開時に先端部17aの外周面を貫通孔15aの内面に、各弾性片17nにおける軸芯方向への中心垂線に対して左右対称の2箇所で線接触により当接させたが、前述の接触方法に限らず当接によってチャック体に拡開規制力以上の力がかかりチャック体が拡開した際の芯把持部17iにおけるスリット幅を、使用しうる筆記芯の芯径より小さくなるよう規制できればよく、チャック体の先端部の形状は特に限定されない。
更に、チャックストッパー15の貫通孔15aの形状は、横断面が円形のものに限らず、例えば、菱形や楕円としても良いが、本第4実施例は貫通孔15aが断面円形のため、チャック体17と貫通孔15aとの周方向での位置関係に制限はなく組立時の位置決めは不要であり、生産性を維持したまま長期使用の耐久性に優れた効果を得ることができる。
前記冷感の持続性は、各実施例、比較例の材料で成形された筆記具の軸筒の把持部を握り続けたときに、冷感が長時間強く感じるものを「◎」、冷感が長時間感じるものを「○」、冷感が長時間弱く感じるものを「△」、冷感が長時間感じられないものを「×」とし、◎、○、△までを冷感が持続していると判断している。
前記先潰し試験は、各実施例、比較例の材料で成形された筆記具の軸筒の把持部の先端に20kgfの荷重を掛けたときの軸割れの状況を確認し、クラックのみの発生のものを「○」、弱くせん断破壊しているものを「△」、強くせん断破壊しているものを「×」とし、クラックのみの「○」までを耐久性が良いと判断している。
そして、実施例1〜3、実施例8〜10、実施例15〜17、実施例22〜24は、重量比50%〜60%のときに、耐久性が良いことを示している。対して、実施例4〜7、実施例11〜12、実施例18〜21、実施例25〜28は、重量比が60%より大きいときに、耐久性が悪いことを示している。そして、実施例2〜6、実施例8〜12は、重量比が50%未満のとき、耐久性は得られるが、熱伝導率が低くなり、冷感が得られないことを示している。
2 先部材
3 軸筒本体
4 前軸
5 後軸
5a 縮径部
6 クリップ
7 パイプ
8 スライダー
8a 凹部
8b 外段部
9 Oリング
10 芯保持部材
10a 芯保持部
11 先端スプリング
12 先端リング
12a 内段部
13 芯繰り出しユニット
14 チャックセット
15 チャックストッパー
15a 貫通孔
15b 第2内径部
15c テーパー部
15d 小径部
15e 外鍔部
15f 凸部
16 リング
16a テーパー部
16b 内段
17 チャック体
17a 先端部
17b 頭部
17c ボール受座
17d 接続部
17e 外テーパー部
17f 縮径部
17g 大径部
17h 外鍔部
17i 芯把持部
17j 第1内テーパー部
17k 芯挿通孔
17l 第2テーパー部
17m スリット
17n 弾性片
17o 第1曲線部
17p 第2曲線部
17q カット部
18 ボール
19 チャックスプリング
20 中子
20a 内段
21 クッションスプリング
22 中継部材
22a 大径部
22b 係合溝
22c 芯挿通孔
23 係止具
23a 弾性片部
23b 係合突起
24 芯ガイドパイプ
25 ノックスプリング
26 芯タンク
27 消しゴム受け部材
28 芯除去ピン
29 消しゴム
30 押圧部材
30a 嵌合パイプ
30b 押圧カバー
30c スリット部
31 芯保持部材抑え
31a 芯挿通部
Claims (2)
- 少なくとも前軸が6ナイロンに鉄の金属粉を重量比で50%以上60%以下の配合比率で分散配合した高分子材料とし、これに接触する部材としての後軸にアクリロニトリルブタジエンスチレンを使用した把持する軸筒を有する筆記具。
- 前記把持する軸筒の外観に複数の突部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
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