JP6904884B2 - 電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有する電極及びその製造方法、並びに電池に関する。
近年、充放電できる二次電池、特にリチウムイオン電池が広く普及している。例えば、携帯電話、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット端末等の電子機器には、リチウムイオン電池が使用されている。また、電気自動車の電池として、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池が使用されている。また、太陽光発電又は風力発電においては発電量が変動するため、太陽光発電所又は風力発電所から送電する電力量を一定化する目的で、発電した電力を一時的に二次電池に蓄電することがある。
二次電池、特にリチウムイオン電池においては、負極材料として炭素材料が広く使用されている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2016/104024号
しかし、従来の二次電池においては、例えば充放電速度等の電池特性が充分でないことがあり、実用上では、特に充電速度が問題になることがあった。また、二次電池以外の他の電池においても、電池特性が充分でないことがあった。
本発明は、充放電速度等の電池特性の向上に資する電極及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、充放電速度等の電池特性に優れる電池を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]導電性樹脂粒子を含有する電極であって、
前記導電性樹脂粒子が、導電性複合体を含有する樹脂粒子であり、
前記導電性複合体は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含み、前記ポリアニオンの一部のアニオン基に、エポキシ基を1つ以上有するエポキシ基含有化合物が付加している、電極。
[2]前記導電性樹脂粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を含む、[1]又は[2]に記載の電極。
[3]前記導電性樹脂粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子の含有量が50%以上である、[2]に記載の電極。
[4]炭素材料をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか一に記載の電極。
[5]前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[4]のいずれか一に記載の電極。
[6]前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[5]のいずれか一に記載の電極。
[7][1]〜[6]のいずれか一に記載の電極を有する電池。
[8]二次電池である、[7]に記載の電池。
[9]リチウムイオン電池である、[7]又は[8]に記載の電池。
[10]前記電極を負極として用いる、[7]〜[9]のいずれか一に記載の電池。
[11]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液に、エポキシ基を1つ以上有するエポキシ基含有化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、
該析出物を回収する回収工程と、
回収した析出物を、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が形成されるように粉砕して導電性樹脂粒子を形成する粉砕工程と、
前記導電性樹脂粒子を成形する成形工程と、
を有する、電極の製造方法。
[12]前記粉砕工程では、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が形成されるように前記析出物を粉砕する、[11]に記載の電極の製造方法。
[13]前記粉砕工程では、前記析出物を分散媒中で湿式粉砕して、分散媒中に導電性樹脂粒子が分散する導電性樹脂粒子分散液を得る、[11]又は[12]に記載の電極の製造方法。
[14]前記分散媒が、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[13]に記載の電極の製造方法。
[15]前記成形工程では、前記導電性樹脂粒子分散液から分散媒を除去する、[13]又は[14]に記載の電極の製造方法。
[16]前記成形工程の前に、前記導電性樹脂粒子分散液に炭素材料を添加する、[15]に記載の電極の製造方法。
[17]前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[11]〜[16]のいずれか一に記載の電極の製造方法。
[18]前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[11]〜[17]のいずれか一に記載の電極の製造方法。
[19]前記成形工程では、基材に前記導電性樹脂粒子分散液を塗工し、乾燥させて、前記基材の表面に、前記導電性樹脂粒子を含有する電極を形成する、[11]〜[18]のいずれか一に記載の電極の製造方法。
本発明の電極は、充放電速度等の電池特性の向上に資する。
本発明の電極の製造方法によれば、充放電速度等の電池特性の向上に資する電極を容易に製造できる。
本発明の電池は、充放電速度等の電池特性に優れる。
<電極>
本発明の電極の一態様について説明する。
本態様の電極は、導電性複合体を含有する導電性樹脂粒子を含む。
電極の形状としては特に制限はなく、膜状でもよいし、棒状、柱状等の立体形状でもよい。電極が膜状である場合、その平均厚さは0.01μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上100μm以下であることがより好ましい。膜状の電極の平均厚さが前記下限値以上であれば、二次電池等の電池の電池特性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、電池を容易に薄型化できる。電極の平均厚さは、電極の断面を、マイクロスコープ又は電子顕微鏡を用いて観察し、10箇所以上で厚さを計測し、計測した値を平均した値である。
電極は、フィルム又は基板等の基材によって支持されていてもよい。
電極は、正極であってもよいし、負極であってもよい。
(導電性樹脂粒子)
本態様における導電性樹脂粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を含有することが好ましく、粒子径が0.3μm以上10μm以下の範囲の粒子を含有することが好ましい。前記粒子径は、動的光散乱法を利用した動的光散乱粒度分布測定装置を用いて測定した値である。導電性樹脂粒子の粒子径が前記下限値以上であれば、電極の導電性がより高くなり、電池の電池特性を高くできる。導電性樹脂粒子の粒子径が前記上限値以下であれば、粒子間の空隙を減らせるため、絶縁性である空隙による導電性低下を抑制できる。
本態様における導電性樹脂粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子の含有量が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。さらには、本態様における導電性樹脂粒子は、粒子径が0.3μm以上10μm以下の範囲の粒子の含有量が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
前記粒子径範囲の粒子の割合が前記下限値以上であれば、電池の電池特性をより向上させることができる。
前記粒子径範囲の粒子の割合は、動的光散乱粒度分布測定装置を用いて粒子径を測定した際の、粒子径の個数頻度より求めた値である。
本態様における導電性樹脂粒子は、導電性複合体を含有する。本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む。前記ポリアニオンは前記π共役系導電性高分子に配位し、ポリアニオンのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープするため、導電性を有する導電性複合体を形成する。
ポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープせず、余剰のアニオン基を有している。本態様においては、前記の余剰のアニオン基の少なくとも一部に、エポキシ基を1つ以上有するエポキシ基含有化合物が付加している。これにより、導電性複合体が疎水化されている。
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、導電性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
前記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、又はカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。ポリアニオンの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた質量基準の分子量のことである。
本態様においては、ポリアニオンのアニオン基の一部にエポキシ基含有化合物を付加させることにより、疎水性置換基を形成している。エポキシ基含有化合物によってポリアニオンに疎水性置換基を形成することにより、導電性複合体の親油性が高くなり、水に対する導電性複合体の分散性を低下させることができる。そのため、後述する導電性樹脂粒子の製造方法によって、本態様の導電性樹脂粒子を容易に製造できる。
なお、導電性複合体の詳細な分析は必ずしも容易ではないが、ポリアニオンのアニオン基とエポキシ基含有化合物との反応によって、−CHCHOHRで示される疎水性置換基が形成されると推測される。前記Rは、後述するエポキシ基含有化合物に由来する置換基である。例えば、Rは炭化水素基(但し、その炭化水素基の水素原子の少なくとも一つがアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。)である。
前記疎水性置換基は、アニオン基の酸素原子に結合する。
エポキシ基含有化合物は、1分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物である。凝集又はゲル化を防止する点では、エポキシ基含有化合物は、1分子中にエポキシ基を1つ有する化合物が好ましい。
エポキシ基含有化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
1分子中にエポキシ基を1つ有する単官能エポキシ基含有化合物としては、例えば、プロピレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシテトラデカン、グリシジルメチルエーテル、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、エチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシエイコサン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシプロパン、グリシドール、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−9−デカン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシブタン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−トリフルオロブタン、アリルグリシジルエーテル、テトラシアノエチレンオキサイド、グリシジルブチレート、1,2−エポキシシクロオクタン、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシシクロドデカン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタデカン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロブタン、3,4−エポキシテトラヒドロフラン、グリシジルステアレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシコハク酸、グリシジルフェニルエーテル、イソホロンオキサイド、α−ピネンオキサイド、2,3−エポキシノルボルネン、ベンジルグリシジルエーテル、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3−グリシジルオキシプロピル)トリシロキサン、9,10−エポキシ−1,5−シクロドデカジエン、4−tert−ブチル安息香酸グリシジル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2−tert−ブチル−2−[2−(4−クロロフェニル)]エチルオキシラン、スチレンオキサイド、グリシジルトリチルエーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−フェニルプリピレンオキサイド、コレステロール−5α,6α−エポキシド、スチルベンオキサイド、p−トルエンスルホン酸グリシジル、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、N−プロピル−N−(2,3−エポキシプロピル)ペルフルオロ−n−オクチルスルホンアミド、(2S,3S)−1,2−エポキシ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フェニルブタン、3−ニトロベンゼンスルホン酸(R)−グリシジル、3−ニトロベンゼンスルホン酸−グリシジル、パルテノリド、N−グリシジルフタルイミド、エンドリン、デイルドリン、4−グリシジルオキシカルバゾール、7,7−ジメチルオクタン酸[オキシラニルメチル]、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル等が挙げられる。
1分子中にエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ基含有化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,7−オクタジエンジエポキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2:3,4−ジエポキシブタン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、イソシアヌル酸トリグリシジルネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2:3,4−ジエポキシブタン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物は、有機溶剤への溶解性が高くなることから、分子量が50以上2,000以下であることが好ましく、低極性の有機溶剤への溶解性が高くなることから、炭素数が7以上のものが好ましく、10以上のものがより好ましい。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるから、充分な導電性を確保できる。
[高導電化剤]
本態様における導電性樹脂粒子は、導電性樹脂粒子の導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。ここで、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン及びエポキシ基含有化合物は、高導電化剤に分類されない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
導電性樹脂粒子に含有される高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
導電性樹脂粒子における高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。導電性樹脂粒子における高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
[その他の添加剤]
本態様における導電性樹脂粒子には、公知のその他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性樹脂粒子が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
(炭素材料)
本態様の電極は、導電性樹脂粒子に加えて、炭素材料を含有してもよい。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。炭素材料は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の電極における炭素材料の含有量は、電池の電池特性をより向上させる点では、導電性樹脂粒子と炭素材料の合計量を100質量%とした際に、0.01質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10000質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上1000質量%以下であることがさらに好ましい。
(金属粒子)
本態様の電極は、導電性樹脂粒子に加えて、金属粒子を含有してもよい。金属粒子としては、例えば、銀粒子、銅粒子、金粒子、アルミニウム粒子等が挙げられる。金属粒子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の電極における金属粒子の含有量は、導電性樹脂粒子と炭素材料の合計量を100質量%とした際に、0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。金属は密度が大きいため、電極に含まれる金属粒子含有量が多くなると、電池が重くなる傾向にある。したがって、金属粒子含有量は少ないことが好ましい。
(その他の成分)
本態様の電極は、無機化合物(但し、カーボン及び金属粒子を除く。)、ポリマー(但し、導電性樹脂粒子を除く。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。無機化合物及びポリマーのなかには、バインダとして機能するものがある。
無機化合物としては、例えば、シリカ、シリカ−アルミナ、ガラス、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、タルク、アルミナ、チタニア、ジルコニア、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、マイカ等が挙げられる。前記無機化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン等が挙げられる。前記ポリマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機化合物及び前記ポリマーは粒子状であってもよいし、非定形であってもよい。
本態様の電極における前記無機化合物及び前記ポリマーの含有量は、導電性樹脂粒子と炭素材料の合計量を100質量%とした際に、0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。前記無機化合物及び前記ポリマーは絶縁性であるため、電極に含まれる前記無機化合物及び前記ポリマーの含有量が多くなると、電極の導電性が低下する傾向にある。したがって、前記無機化合物及び前記ポリマーの含有量は少ないことが好ましい。
(導電性樹脂粒子分散液)
本態様においては、前記導電性樹脂粒子を分散媒中に分散して、導電性樹脂粒子分散液としてもよい。導電性樹脂粒子分散液にすれば、塗工により電極を形成できる。また、後述する導電性樹脂粒子の製造方法において湿式粉砕を適用した場合には、導電性樹脂粒子分散液として得られる。
本態様における導電性樹脂粒子分散液は、前記導電性樹脂粒子と分散媒とを含有する。
本態様で使用される分散媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合液が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、窒素原子含有溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
窒素原子含有溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
前記有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散媒のなかでも、後述する導電性樹脂粒子の製造方法において湿式粉砕を適用した場合に、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤が好ましい。さらには、前記分散媒のなかでも、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。湿式粉砕の際に前記好ましい溶剤を用いると、導電性樹脂粒子を容易に形成でき、また、導電性複合体を安定化できる。
本態様における導電性樹脂粒子分散液における導電性樹脂粒子の含有量は、導電性樹脂粒子分散液の総質量に対して、0.1質量%以上80質量%以下が好ましく、0.5質量%以上50質量%以下がより好ましく、1質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。導電性樹脂粒子分散液における導電性樹脂粒子の含有量が前記下限値以上であれば、1回の塗工で厚みのある導電層を容易に形成できる。導電性樹脂粒子分散液における導電性樹脂粒子の含有量が前記上限値以下であれば、導電性樹脂粒子分散液中の導電性樹脂粒子の分散性を高くすることができる。
本態様における導電性樹脂粒子分散液は、炭素材料、金属粒子、無機化合物(但し、炭素材料及び金属粒子を除く。)、ポリマー粒子(但し、導電性樹脂粒子を除く、)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
(電極の製造方法)
本態様の電極を製造する方法は、析出工程と回収工程と粉砕工程と成形工程とを有する。後述するように、粉砕工程において湿式粉砕を適用した場合には、導電性樹脂粒子は分散媒中に分散した導電性樹脂粒子分散液の状態で得られ、成形工程では導電性樹脂粒子分散液を成形して電極を得る。
[析出工程]
析出工程は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液にエポキシ基含有化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させる工程である。
前記水系分散液にエポキシ基含有化合物を添加した場合には、前記導電性複合体を構成するポリアニオンの一部のアニオン基、具体的にはπ共役系導電性高分子へのドープに関与しないアニオン基にエポキシ基含有化合物が付加してアニオン基が消失する。これにより、導電性複合体が疎水化される。
但し、π共役系導電性高分子へのドープに関与しないアニオン基の全てにエポキシ基含有化合物が付加しなくてもよく、ドープに関与しないアニオン基が一部残留してもよい。
疎水化された導電性複合体は、水系分散媒中で分散することができないため、析出して析出物となる。
導電性複合体の水系分散液に添加するエポキシ基含有化合物は、エポキシ基を1つ以上有するエポキシ化合物である。
エポキシ基含有化合物の添加量は、ポリアニオンに対する質量比で0.1以上1000以下にすることが好ましく、1.0以上100以下にすることがより好ましい。エポキシ基含有化合物の添加量を前記下限値以上にすれば、導電性複合体の疎水性が充分に高くなり、前記上限値以下にすれば、未反応のエポキシ基含有化合物による導電性低下を防止できる。
該析出工程において、エポキシ基含有化合物が添加される前記導電性高分子水分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。ここで、水系分散媒は、水を含有し、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水系分散媒における水の含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
導電性高分子水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水系分散液は市販のものを使用しても構わない。
前記化学酸化重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。酸化剤は、還元された触媒を元の酸化状態に戻すことができる。
導電性高分子水分散液に含まれる導電性複合体の含有量としては、導電性高分子分散液の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましい。
導電性高分子水分散液にエポキシ基含有化合物を添加する前、添加と同時又は添加した後には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤を含む場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子水系分散液にエポキシ基含有化合物を添加する前、添加している最中、又は添加した後には、加熱してもよい。
[回収工程]
回収工程は、疎水化導電性複合体からなる前記析出物を回収する工程である。
析出物を、水系分散媒から分取して回収する方法としては、例えば、ろ過、沈殿、抽出等の公知の分取方法を適用できる。これらの分取方法のなかでも、ろ過が好ましく、導電性複合体の形成に用いたポリアニオンがろ液とともに通過する程度に粗い目のフィルターを用いてろ過することが好ましい。このろ過方法によれば、析出物を分取するとともに、導電性複合体を形成していない余剰のポリアニオンをろ液側に残して、析出物と余剰のポリアニオンとを分離することができる。余剰のポリアニオンを除くことにより、析出物の導電性を高めることができる。
ろ過に使用するフィルターとしては、化学分析分野で用いられるろ紙が好ましい。このろ紙としては、例えば、アドバンテック社製ろ紙、保留粒子径7μm等が挙げられる。ここで、ろ紙の保留粒子径は目の粗さの目安であり、JIS P 3801〔ろ紙(化学分析用)〕で規定された硫酸バリウムなどを自然ろ過したときの漏えい粒子径により求められる。ろ紙の保留粒子径は、例えば2μm以上20μm以下とすることができる。この保留粒子径は、余剰のポリアニオンを透過させて容易に分離できることから、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
[粉砕工程]
粉砕工程は、回収した析出物を粉砕する工程である。粉砕工程では、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が形成されるように析出物を粉砕することが好ましい。
析出物の粉砕方法としては、例えば、乳鉢を用いてすり潰す粉砕方法、粉砕機を用いて粉砕する方法等が挙げられる。粉砕機としては、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル等を用いることができる。
析出物の粉砕に際しては、分散媒中で析出物を粉砕する湿式粉砕を適用してもよいし、分散媒を含まない状態で析出物を粉砕する乾式粉砕を適用してもよい。粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の導電性樹脂粒子を容易に製造できる点では、湿式粉砕が好ましい。エポキシ基含有化合物を用いて析出した析出物に湿式粉砕を適用した場合には、導電性樹脂粒子は、分散媒中に分散した状態で得られる。
湿式粉砕の際に使用する分散媒は、前記導電性樹脂粒子分散液に含まれる分散媒と同様である。湿式粉砕の際に使用する好ましい分散媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。これら好ましい分散媒を使用すれば、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の導電性樹脂粒子をより容易に製造できる。
乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれにおいても、粉砕が不充分であると、粒子径20μm以下の粒子が形成されにくく、過度に粉砕すると、粒子の粒子径0.3μm未満になることがある。したがって、粉砕条件及び粉砕機の仕様を適宜選択することにより、粒子径0.3μm以上20μm以下の範囲の導電性樹脂粒子を形成することが好ましい。
[成形工程]
成形工程は、前記導電性樹脂粒子を成形する工程である。この成形によって電極が得られる。
粉砕工程において湿式粉砕を適用した場合には、導電性樹脂粒子は分散液の状態で得られるから、成形工程においては、導電性樹脂粒子分散液を用いて成形する。
導電性樹脂粒子分散液の成形方法としては、例えば、導電性樹脂粒子分散液を金属箔又はフィルムに塗工し、乾燥により分散媒を除去して、膜状の電極を形成する方法が挙げられる。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。導電性樹脂粒子分散液の塗工は、公知のコーターを用いればよい。
導電性樹脂粒子分散液の他の成形方法としては、例えば、導電性樹脂粒子分散液を型枠に充填し、乾燥により分散媒を除去して、立体形状の電極を形成する方法が挙げられる。
粉砕工程において湿式粉砕を適用した上で、電極に炭素材料を含有させる場合には、成形工程の前に、前記導電性樹脂粒子分散液に炭素材料を添加すればよい。導電性樹脂粒子分散液に炭素材料が含まれる場合でも、導電性樹脂粒子分散液から分散媒を除去して成形すればよい。
粉砕工程において湿式粉砕を適用した上で、電極に、金属粒子、無機化合物(カーボン及び金属粒子を除く。)及びポリマー(導電性樹脂粒子を除く。)よるなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させる場合には、成形工程の前に、前記導電性樹脂粒子分散液に、金属粒子、無機化合物及びポリマーよるなる群から選ばれる少なくとも1種を添加すればよい。導電性樹脂粒子分散液に、金属粒子、無機化合物及びポリマーよるなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれる場合でも、導電性樹脂粒子分散液から分散媒を除去して成形すればよい。
粉砕工程において、乾式粉砕を適用した場合には、導電性樹脂粒子を型枠に充填し、加圧して、電極を形成する方法が挙げられる。
粉砕工程において乾式粉砕を適用した上で、電極に炭素材料を含有させる場合には、成形工程の前に、前記導電性樹脂粒子に炭素材料を混合し、得られた混合物を型枠に充填し、加圧して、電極を形成すればよい。
粉砕工程において乾式粉砕を適用した上で、電極に、金属粒子、無機化合物(カーボン及び金属粒子を除く。)及びポリマー(導電性樹脂粒子を除く。)よるなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させる場合には、成形工程の前に、前記導電性樹脂粒子に、金属粒子、無機化合物及びポリマーよるなる群から選ばれる少なくとも1種を混合し、得られた混合物を型枠に充填し、加圧して、電極を形成すればよい。
(作用効果)
本態様の電極は、エポキシ基含有化合物によって疎水化された導電性複合体を含む前記導電性樹脂粒子を含有するため、電極の導電性が高くなりやすい。そのため、本態様の電極を備える電池の電池特性(例えば、二次電池における充放電速度、容量維持率、容量発現率等)を向上させることができる。
本態様の電極に導電性樹脂粒子と共に炭素材料が含まれる場合には、電極の導電性がより高くなる。特に、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を50質量%以上含有する導電性樹脂粒子を炭素材料と併用した場合には、その併用の効果がより発揮される。そのため、電極の導電性をさらに向上させることができ、電池の電池特性をさらに向上させることができる。
<電池>
本発明の電池の一態様は、前記態様の電極を有する。
本態様の電池の一実施形態について説明する。但し、本態様の電池は、以下の実施形態に限定されない。
本実施形態の電池は、正極と負極とセパレータと電解液と容器とを有するリチウムイオン二次電池である。本実施形態における正極、負極及びセパレータはフィルム状である。
正極を構成する材料としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO等が挙げられる。
正極には、導電体である正極集電体が接続されていることが好ましい。正極に正極集電体を接続する場合には、例えば、正極集電体としてアルミニウム箔を使用し、そのアルミニウム箔の一方の面に正極を膜状に形成してもよい。
本実施形態では、負極として、前記態様の電極を使用する。
負極には、導電体である負極集電体が接続されていることが好ましい。負極に負極集電体を接続する場合には、例えば、負極集電体として銅箔を使用し、その銅箔の一方の面に負極を膜状に形成してもよい。
セパレータは、正極と負極との間に配置される。
セパレータとしては、例えば、樹脂の多孔性シート又は不織布が使用される。セパレータを構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
電解液は、電解液用溶媒中に電解質を溶解させた液であり、公知のものを使用できる。
電解液用溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ラクトン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、水等が挙げられる。電解液用溶媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。
ラクトン系溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等が挙げられる。
電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiBr、LiIO、LiAlCl等が挙げられる。電解質は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
容器は、正極、負極、セパレータ及び電解液を収容するものである。容器の内部には、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に配置された積層体が複数積層されている。容器の内部では、[正極、セパレータ、負極、セパレータ]からなるユニットが繰り返し積層されている。また、容器の内部には電解液が充填されている。
正極又は正極集電体には第1リード線が接続されている。第1リード線は、正極又は正極集電体に接続されていない側の端部が容器外側に引き出され、端子に接続されている。
負極又は負極集電体には第2リード線が接続されている。第2リード線は、負極又は負極集電体に接続されていない側の端部が容器外側に引き出され、端子に接続されている。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、負極として前記態様の電極を使用している。前記態様の電極は、導電性が高いため、二次電池の電池特性を向上させることができる。したがって、例えば、二次電池の充電時間を短縮できる。
本実施形態において、負極に導電性樹脂粒子と共に炭素材料が含まれる場合には、負極の導電性がより高くなる。特に、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を50質量%以上含有する導電性樹脂粒子を炭素材料と併用した場合には、その併用効果がより発揮される。そのため、負極の導電性をさらに向上させることができ、二次電池の電池特性をさらに向上させることができる。
なお、前記実施形態は、リチウムイオン二次電池の形態であったが、本態様の電池は、リチウムイオン二次電池以外の他の二次電池であってもよいし、一次電池、燃料電池等であってもよい。また、電極を正極として用いてもよい。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃にて攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、その溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の1000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去し、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、製造例1で得た36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。これにより得られた混合溶液を20℃に保ち攪拌を行いながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくりと添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。次に、得られた溶液に、200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去し、ポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)を水洗した。この操作を8回繰り返して、固形分濃度1.2質量%のPEDOT−PSS水分散液を得た。このPEDOT−PSS水分散液に含まれるPEDOT−PSSは、粒子径0.3μm以上の粒子ではなく、エポキシ基含有化合物によって疎水化されたものでもない。
(製造例3)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液500gに、メタノール1000gとC12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製、エポライトM−1230)125gを添加し、60℃で4時間加熱攪拌した。析出した固体をろ取し、PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gを得た。
(製造例4)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液500gに、メタノール1000gとブチレンオキシド125gを添加し、60℃で4時間加熱攪拌した。析出した固体をろ取し、PEDOT−PSSのブチレンオキシド付加物6.30gを得た。
(実施例1)
製造例3で得たPEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに酢酸エチル200gを添加し、ホモジナイザー(SILVERSON社製 L4RT)を用いて、7000rpmの攪拌数で10分間、PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物を粉砕した。これにより、PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物からなる導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を得た。得られた分散液の粒度分布を、動的光散乱粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、FPAR1000)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、以下の例においても同様に、PEDOT−PSSエポキシ化合物付加物の有機溶剤分散液について粒度分布を測定した。
前記導電性樹脂粒子分散液を、No.12のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて電極を形成して、電極フィルムを得た。
(実施例2)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに添加した酢酸エチルを酢酸ブチルに変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例3)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに添加した酢酸エチルをジエチレングリコールジエチルエーテル(表中では、「DEGDE」と表記する。)に変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例4)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに添加した酢酸エチルをトルエンに変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例5)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに添加した酢酸エチルをイソプロパノール(表中では、「IPA」と表記する。)に変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例6)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに添加した酢酸エチルをメチルエチルケトン(表中では、「MEK」と表記する。)に変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例7)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gに添加した酢酸エチルをヘプタンに変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例8)
製造例3で得たPEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物7.875gを製造例4で得たPEDOT−PSSのブチレンオキシド付加物6.30gに変更した以外は実施例1と同様にして電極フィルムを得た。
(比較例1)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物からなる導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液の代わりに製造例2のPEDOT−PSS水分散液を用い、実施例1と同様にポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工して電極フィルムを得た。
(実施例9)
実施例1のPEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物からなる導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液10gにカーボンペースト(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、FD−7006H、分散媒:N−メチルピロリドン、固形分濃度:10質量%)10gを添加した。得られた分散液を、No.12のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、120℃で1分間乾燥させて電極を形成して、電極フィルムを得た。
(実施例10)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例2の導電性樹脂粒子の酢酸ブチル分散液に変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例11)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例3の導電性樹脂粒子のジエチレングリコールジエチルエーテルに変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例12)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例4の導電性樹脂粒子のトルエン分散液に変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例13)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例5の導電性樹脂粒子のイソプロパノール分散液に変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例14)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例6の導電性樹脂粒子のメチルエチルケトン分散液に変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例15)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例7の導電性樹脂粒子のヘプタン分散液に変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(実施例16)
実施例1の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液を実施例8の導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液に変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
(比較例2)
実施例9において、PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物からなる導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液の代わりに製造例2のPEDOT−PSS水分散液を用い、実施例9と同様に塗工しようとしたが、分散液がゲル化した。そのため、フィルムに塗工できなかった。
(比較例3)
PEDOT−PSSの高級アルコールグリシジルエーテル付加物からなる導電性樹脂粒子の酢酸エチル分散液10gを酢酸エチル10gに変更した以外は実施例9と同様にして電極フィルムを得た。
<評価>
[表面抵抗値]
各例の電極フィルムについて、表面抵抗値を、JIS K7194に従い、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。表面抵抗値の測定結果を表1,2に示す。
電極フィルムの表面抵抗値が高い程、すなわち電極フィルムの導電性が高い程、電極フィルムを二次電池の電極として使用した際の電池特性が向上すると推測される。例えば、電極フィルムの導電性が高い程、電極フィルムを二次電池の電極として使用した際の充放電速度が速くなると推測される。
Figure 0006904884
Figure 0006904884
各実施例における導電性粒子は、粒度分布のメインピークの粒子径範囲が0.3μm以上20μm以下の範囲であり、粒子径が0.3μm以上20μm以下の粒子を含有していた。しかも、各実施例における導電性粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の粒子の含有量が80%以上であった。
なお、各実施例における導電性粒子は、メインピークの粒子径範囲内にある粒子及び粒子径20μm超の粒子のみからなり、他の粒子径範囲の粒子は確認されなかった。
PEDOT−PSSのエポキシ基含有化合物付加物からなる導電性樹脂粒子を電極に含む実施例1〜8の電極フィルムは、表面抵抗値が低かった。これに対し、電極に含まれるPEDOT−PSSがエポキシ基化合物によって疎水化されていない比較例1の電極フィルムは、表面抵抗値が高かった。これより、実施例1〜8の電極フィルムを用いた二次電池は、比較例1の電極フィルムを用いた二次電池よりも、充放電速度等の電池特性に優れていると推測される。
PEDOT−PSSのエポキシ基含有化合物付加物からなる導電性樹脂粒子とカーボンとを電極に含む実施例9〜16の電極フィルムは、カーボンを電極に含み且つ導電性樹脂粒子を含む比較例3の電極フィルムよりも、表面抵抗値が低かった。これより、実施例9〜16の電極フィルムを用いた二次電池は、比較例3の電極フィルムを用いた二次電池よりも、充放電速度等の電池特性に優れていると推測される。
なお、実施例2〜3、実施例5〜7、実施例10〜11、実施例13〜15は、比較例である。

Claims (7)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液に、エポキシ基を1つ以上有するエポキシ基含有化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、
    該析出物を回収する回収工程と、
    回収した析出物を、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が形成されるように粉砕して導電性樹脂粒子を形成する粉砕工程と、
    前記導電性樹脂粒子を成形する成形工程と、
    を有する、電極の製造方法であって、
    前記粉砕工程では、前記析出物を分散媒中で湿式粉砕して、前記分散媒中に導電性樹脂粒子が分散する導電性樹脂粒子分散液を得、
    前記分散媒が、酢酸エチル、及び、トルエンから選ばれる少なくとも1種である、
    電極の製造方法。
  2. 前記粉砕工程では、前記導電性樹脂粒子の総質量のうち、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が80質量%以上含まれるように前記析出物を粉砕する、請求項に記載の電極の製造方法。
  3. 前記成形工程では、前記導電性樹脂粒子分散液から分散媒を除去する、請求項又はに記載の電極の製造方法。
  4. 前記成形工程の前に、前記導電性樹脂粒子分散液に炭素材料を添加する、請求項に記載の電極の製造方法。
  5. 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  6. 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、請求項のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  7. 前記成形工程では、基材に前記導電性樹脂粒子分散液を塗工し、乾燥させて、前記基材の表面に、前記導電性樹脂粒子を含有する電極を形成する、請求項のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
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