JP6903990B2 - 電圧異常判定装置および復旧制御装置 - Google Patents
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Description
通常は主系統電力および構内電力の両方が構内の電力母線に接続され(並列運転)、例えば日中の稼働時には構内電力を主に利用し、夜間には安価となる主系統網電力を主に利用する等のバランス調整が行われている。
構内単独運転時には、構内電力の供給容量が主系統網に比べて小さいため、負荷装置の運転状態を調整し、電力供給と消費とのバランスをとる必要がある。そのために、多くの大規模事業所では、系統安定化装置(SSC)が設置されている。
しかし、実際の解列の際、とくに受電線の短絡に伴う解列の際には、母線電圧が大きく低下し、例えば定格電圧の30%程度となることがある。このような電圧降下があると、系統安定化装置による回復の一方で、一部の負荷装置に電圧低下に伴う緊急停止が生じることがある。
このような予期しない負荷脱落により、系統安定化装置が予め演算していた負荷バランスとは相違が生じ、系統安定化装置が機能しているにも拘わらず、母線電圧や母線周波数が乱れる虞がある。
本発明では、監視部で母線電圧の低下を検出し、判定部で母線電圧の挙動に基づいて異常内容を判定することにより、母線の電圧異常だけであるか、局部的な遮断がなされたか、構内単独運転に移行したか、あるいは予期しない負荷脱落などがあったか否か、などの判定を行うことができる。
従って、この判定結果に基づいて復旧措置を制御することで、適切な復旧措置を行うことができ、復旧措置における母線電圧や母線周波数の乱れを防止することができる。
本発明において、所定の遮断成功判定時間とは、例えば負荷装置の安全装置が電圧低下を検知して緊急停止に入るよりも十分短い時間であり、例えば400ms(ミリ秒)とすることができる。
一方、母線電圧が、異常電圧まで低下したまま回復しない場合に、構内単独運転が失敗または構内母線における故障と判定することができる。この場合、システムが全停電したと判定し、異常箇所の補修ののちシステムの再起動を行うものとする。
前述した本発明の電圧異常判定装置と、前記電圧異常判定装置の判定結果に基づいて、緊急停止している前記負荷装置の復旧制御を行う制御部と、を有することを特徴とする。
図1において、構内電力システム10は、大規模事業所の各部(後述する負荷系統31,32,33、41,42)に電力供給を行うものであり、電力供給源として、構内に構内電源装置8を備えるとともに、商用電源などの外部の主系統網9に接続されている。
通常、構内電力システム10は、主系統網9からの電力および構内電源装置8からの電力を、各々の供給バランスをとりながら併用している(並列運転)。
主系統網9と構内電力システム10との間には遮断器9Sが設置され、主系統網9と構内電力システム10とを随時遮断すること(解列)が可能である。
母線10Mは、遮断器10Sおよび電流計10Cを介して主系統網9の遮断器9Sに接続されるとともに、一部に電圧計10Vが設置されている。
母線10Mには、構内電源装置8として複数の発電系統21,22,23が接続されている。
母線21Mには、一部に電圧計21Vが設置されるとともに、電流計21GCを介して発電機21Gが接続されている。母線21Mに接続される発電機21Gは複数設けられてもよい。
母線21Mは、変圧器21T、電流計21Cおよび遮断器21Sを介して母線10Mに接続されている。
他の発電系統22,23も、発電系統21と同様の構成を備え、それぞれ電流計22C,23Cおよび遮断器22S,23Sを介して母線10Mに接続されている。
母線10Mに接続される発電系統21〜23は、1系統または2系統であってもよく、4系統以上であってもよい。
このうち、負荷系統31は、ローカルな母線31Mを備えている。
母線31Mには、一部に電圧計31Vが設置されるとともに、それぞれ電流計31LCおよび遮断器31LSを介して複数の負荷装置31Lが接続されている。
母線31Mは、変圧器31T、電流計31Cおよび遮断器31Sを介して母線10Mに接続されている。
負荷装置31Lは、負荷変動がないもしくは少ない機器であり、負荷系統31としての負荷変動もないもしくは少ない。
他の負荷系統32,33も、負荷系統31と同様の構成を備え、それぞれ電流計32C,33Cおよび遮断器32S,33Sを介して母線10Mに接続されている。
母線10Mに接続される負荷系統31〜33は、1系統または2系統であってもよく、4系統以上であってもよい。
母線41Mには、一部に電圧計41Vが設置されるとともに、それぞれ電流計41LCおよび遮断器41LSを介して複数の負荷装置41Lが接続されている。
母線41Mは、変圧器41T、電流計41Cおよび遮断器41Sを介して母線10Mに接続されている。
負荷装置41Lは、負荷変動が比較的大きな機器であり、負荷系統41としての負荷変動も大きいものである。
他の負荷系統42も、負荷系統41と同様の構成を備え、電流計42Cおよび遮断器42Sを介して母線10Mに接続されている。
母線10Mに接続される負荷系統41,42は、1系統であってもよく、3系統以上であってもよい。
調相装置51P,52Pは、母線10Mにおける進みや遅れを有する無効電力を供給して系統の力率を調整するものであり、具体的には例えば電力用コンデンサ・分路リアクトル・同期調相機・静止形調相機を備えて構成される。
母線10Mに接続される調相装置51P,52Pは、1系統であってもよく、3系統以上であってもよい。
系統安定化装置7には、前述した各部の電圧計10V等および電流計10C等からの検出信号が接続され、各部の遮断器10S等の遮断が可能であり、現在の発電状態に基づいて、構内単独運転を安定的に維持するために、負荷系統31〜42あるいは負荷装置31L〜41Lの分離などを適宜行うことができる。
復旧制御装置60は、電圧異常判定装置61と制御部62とを備えている。電圧異常判定装置61は、さらに監視部63および判定部64を備えている。
判定部64は、異常電圧VLまで低下した後の母線電圧Vの挙動に基づいて、構内電力システム10に生じた異常内容を判定する。
制御部62は、判定部64の判定結果に基づいて、緊急停止している負荷装置を復旧させるための制御を行う。
母線電圧Vが、所定の遮断成功判定時間内(例えば400ms未満)で所定の定格電圧Vmまで回復した際に、「負荷装置の一部で異常が発生したが当該負荷装置の遮断が成功した」と判定する。
母線電圧Vが、遮断成功判定時間経過後、所定の一部停止判定時間内(例えば2sec未満)で定格電圧Vmまで回復した際に、「負荷装置の一部で異常が発生して別の負荷装置も緊急停止した」と判定する。
母線電圧Vが、一部停止判定時間内(例えば2sec未満)を過ぎても異常電圧VLまで低下したまま回復しない場合に、「構内単独運転に失敗または構内母線における故障」と判定する。
制御部62は、判定部64が「構内単独運転に移行して緊急停止した負荷装置も復旧処理中」と判定した際に、構内の負荷装置または負荷系統のうち、重要な負荷装置は直ちに復旧させ、一般の負荷装置は後から復旧させる、という制御を行う。
ここで、重要な負荷装置としては、例えば、安全上必要な負荷装置、操業上周囲への影響が大きい負荷装置などである。
これに対し、一般の負荷装置としては、重要な負荷装置以外であり、他の装置で代替しうる負荷装置、一時停止しても問題がない負荷装置などである。
図2において、復旧制御装置60は、通常は監視部63により、母線10Mの電圧を監視している(処理S1)。
母線電圧Vが所定の定格電圧Vmを下回り、異常電圧VLまで低下した際には、監視部63は判定部64を起動し、異常内容の判定を実行させる。
この場合は、母線10Mの下位で短絡等の異常が起こることで、一旦母線電圧VがVL以下まで低下するが、異常が起こった箇所の直上(母線10M寄り)において、瞬時に遮断器が作動し、当該短絡箇所が遮断されることで、システム全体から見て、システムに接続された異常箇所が無くなり、急激に電圧が回復する、という現象が生じたものと考えられる。
このため、判定部64は、「負荷装置の一部で異常が発生したが当該負荷装置の遮断が成功した」と判定する(図2の処理S3)。
この判定結果に基づいて、制御部62は、システム全体としての復旧措置は行わず、異常区域の個別対応に任せることにして、現状での稼働を維持する(図2の処理S4)。
この場合は、短絡等の異常が起こることで、一旦母線電圧VがVL以下まで低下するが、異常が起こった箇所の直上(母線10M寄り)において、瞬時に遮断器が作動したものの、短絡箇所の遮断には至らず、さらに上流(母線10M寄り)の箇所で、遮断器が作動するといったような、上流に向かって、複数の遮断器を作動させる必要があったために、異常箇所の遮断に時間が掛かり、また、最上流の遮断器以下の(異常箇所を含む)負荷全体が遮断されることで、システムに接続された異常箇所が無くなり、急激に電圧が回復するという現象が生じたものと考えられる。このため、判定部64は、「負荷装置の一部で異常が発生して別の負荷装置も緊急停止した」と判定する(図2の処理S6)。
即ち、短絡等の異常が発生し、システム全体から異常箇所を含む広範囲にわたる区域の負荷を隔離することで対応したと判定する。
この判定結果に基づいて、制御部62は、緊急停止した区域の復旧措置を実行する(図2の処理S7)。
この場合は、短絡等の異常が起こることで、一旦母線電圧VがVL以下まで低下するが、異常箇所が、主系統網に関する位置にあり、異常箇所を遮断器により遮断することによって、主系統網から電力を受けることができなくなったことから、構内の構内電源装置の出力を上げることで電圧低下から回復しようとしているが、電源装置の応答速度は速くないため、徐々にしか電圧が回復しないという現象が生じたものと考えられる。
このため、判定部64は、「構内単独運転に移行して緊急停止した負荷装置も復旧処理中」と判定する(図2の処理S9)。
この判定結果に基づいて、制御部62は、緊急停止した区域のうち、重要区域を先行して復旧させ、続いて一般区域を復旧させる(図2の処理S10)。
この場合は、遮断器等の異常対策は効果を発揮することができていないか、母線10Mに故障があり、主系統網や構内電源装置8からの電力が行き届かないという現象が生じたものと考えられる。
このため、判定部64は、「構内単独運転に失敗または構内母線における故障」と判定する(図2の処理S11)。
即ち、異常対策が効果を発揮してないため、構内電力システム10の回復のためには、補修等の抜本的な対応が必要であると判定する。
この判定結果に基づいて、制御部62は、構内電力システム10の全停電対応プログラムなどに移管し、異常箇所の補修ののちシステムの再起動を行うものとする(図2の処理S12)。
本実施形態では、監視部63で母線電圧の低下を検出し、判定部64で母線電圧の挙動に基づいて異常内容を判定することにより、母線10Mの電圧異常だけであるか、負荷系統31〜42あるいは個々の負荷装置31L〜41Lの局部的な遮断がなされたか、構内電力システム10が構内単独運転に移行したか、あるいは予期しない負荷脱落などがあったか否か、などの判定を行うことができる。
そして、電圧異常判定装置61による判定結果に基づいて、制御部62で復旧措置を制御することで、適切な復旧措置を行うことができ、復旧措置における母線電圧や母線周波数の乱れを防止することができる。
前述した実施形態では、判定部64が判定する母線電圧の異常として、図3から図6の4つのパターンを例示したが、他の波形およびその原因を追加して判定に用いてもよい。
あるいは、制御部62での制御パターンが異なるものについて、それぞれ判定部64の判定が異なるように設定してもよい。
さらに、判定部64で判定する時系列の基準としては、一部停止判定時間(例えば2sec)および遮断成功判定時間(例えば400ms)のほかにも、中間的な基準や、他の要素に関する判定時間を追加してもよい。
Claims (4)
- 複数の負荷装置と前記複数の負荷装置に電力供給を行うための構内電源装置および外部の主系統網を含む電源供給源とが接続された構内母線の母線電圧を監視し、前記母線電圧が所定の異常電圧まで低下したことを検出する監視部と、
前記異常電圧まで低下した後の経過時間および前記母線電圧の変化に基づいて前記複数の負荷装置の運転状態を判定する判定部と、を有する電圧異常判定装置。 - 請求項1に記載した電圧異常判定装置において、
前記複数の負荷装置はそれぞれ遮断器を介して前記構内母線に接続され、
前記判定部は、
前記母線電圧が、所定の遮断成功判定時間内に所定の定格電圧まで回復した際に、前記負荷装置の一部で異常が発生したが当該負荷装置の前記遮断器による遮断が成功したと判定し、
前記母線電圧が、前記遮断成功判定時間経過後、所定の一部停止判定時間内に前記定格電圧まで回復した際に、前記負荷装置の一部で異常が発生して別の負荷装置も緊急停止したと判定し、
前記母線電圧が、前記一部停止判定時間を過ぎても所定の定格電圧まで回復しないが、徐々に回復している際に、構内単独運転に移行して、緊急停止した負荷装置も復旧処理中と判定し、
前記母線電圧が、前記異常電圧まで低下したまま回復しない場合に、構内単独運転に失敗または構内母線における故障と判定する、電圧異常判定装置。 - 請求項1または請求項2に記載した電圧異常判定装置と、
前記電圧異常判定装置の判定結果に基づいて、緊急停止している前記負荷装置の復旧制御を行う制御部と、を有する、復旧制御装置。 - 請求項3に記載した復旧制御装置において、
前記制御部は、前記電圧異常判定装置が、構内単独運転に移行して緊急停止した前記負荷装置も復旧処理中と判定した際には、構内の前記負荷装置のうち、安全上必要または操業上周囲への影響が大きい重要な前記負荷装置は直ちに復旧させ、前記重要な前記負荷装置以外の一般の前記負荷装置を後から復旧させる、復旧制御装置。
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