JP6902129B1 - 船舶用ピラー - Google Patents
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Abstract
Description
(1)丸形ピラー60
図4(A)に示す丸形ピラー60は、断面が円形の周囲が閉じられた閉囲断面のピラーである。閉囲断面であると、上下取り合い部の溶接は内側からの溶接が出来ず、溶接ビード60bは外周にのみ形成される片面溶接となる。よって、上下取り合い部が高応力となる箇所への使用は向いていない。
(2)角形ピラー70
図4(B)に示す角形ピラー70は、断面が四角形の周囲が閉じられた閉囲断面のピラーである。閉囲断面であると、上下取り合い部の溶接は内側からの溶接が出来ず、溶接ビード70bは外周にのみ形成される片面溶接となる。よって、上下取り合い部が高応力となる箇所への使用は向いていない。
図4(C)に示すH型ピラー80は、断面形状がH形なので、上下の甲板との接合部の溶接は部材の表裏両面に溶接ビード80bを形成することが可能である。そのためピラー基部に比較的高応力が作用する箇所に対しても使用可能である。ただし、同程度サイズの丸形ピラー60や角形ピラー70に対して、床面における2直交方向(X方向およびY方向)のうちX方向の断面2次モーメント(I)が小さく強度が出にくいデメリットがある。このため、強度上のバランスが良くなく、使用場所に制約がかかることがあった。
この船舶用ピラー101は、図5に示すように4枚の鋼板を結合して断面四角形のピラー本体102を作り、1枚の鋼板に開口103を形成している。なお、ピラー本体102の上端には溶接のための頭部接合部106a,106b,106c,106dが形成され、下端には、溶接のための脚部接合部105a,105b,105c,105dが形成されている。
サウンディングパイプ104はピラー本体102の内部を通され、かつ上下の甲板を貫いて配置されている。
第2発明の船舶用ピラーは、第1発明において、前記長孔は、ピラーの上端部と下端部とを除いた中間部であって、左右の縦板部の間に形成されていることを特徴とする。
第3発明の船舶用ピラーは、第1または第2発明において、前記長孔は、ピラー内部の溶接作業がピラー外部から行える大きさを有していることを特徴とする。
a)長孔が形成されていることによって、上下の甲板とピラーとの溶接がピラー内部でも行え、ピラー外部での溶接と合わせて強固な溶接付けが可能となる。
b)長孔はあいていても、相対面する鋼板に形成されているので、ピラーの前後左右方向に対する強度のバラつきがなく、2面に長孔があることで軽量化される。
c)ピラーの強度が高いので大きな荷重がかかる箇所に対して使いやすい。
第2発明によれば、長孔がピラーの上下方向中間部に形成されているとピラー内部の溶接が可能であると共に上端部と下端部では鋼材がつながっているので、支持荷重を左右の縦板部で均等に受け持つことができ耐荷重能力を高く維持できる。
第3発明によれば、長孔により溶接作業が容易となると共に、2つの長孔を使って両面から溶接作業ができるので、溶接作業が容易となる。
図1および図2に示すように、本実施形態の船舶用ピラーP(以下、単にピラーPという)は、4板の鋼板1,2,3,4を互いに結合して断面四角形に形成した角形のピラーである。
ピラーPの高さ(上下長さ)は、使用箇所に合わせて決定されるが、自動車運搬船の中間甲板の支持用だと、2000〜5000mm位が一般的である。ピラーPの幅寸法は高さに合わせ、また支持荷重に合わせて、下層の甲板支持用ほど大きく設定されるが、代表的には、300〜1000mm位である。もちろん、本発明におけるピラーPの寸法は、これらに限られない。
図示のピラーPでは、鋼板1,2の側面に鋼板3,4の両端縁を当てて溶接しているが、鋼板1,2の両面縁を鋼板3,4の側面に当てて溶接したものであってもよい。
また、図示のピラーPは、鋼板1,2の両端縁より少し内側に鋼板3,4の両端縁を当てて溶接し、鋼板1,2の両端縁を溶接部よりも少し外側に突出させているが、鋼板1,2の両端縁に鋼板3,4の両端縁を当てて、突出しないようにしてもよい。
鋼板1では、長孔5は左右の縦板部1c,1dの間に形成されている。また、長孔5は上下両端の上端部1aと下端部1bとの間に形成されている。換言すれば、鋼板1の上端部1aと下端部1bでは左右の縦板部1c,1dがつながっている。鋼板2も鋼板1と同様の構成であり、長孔6の左右には縦板部があり、長孔6の上下両端では上端部2aと下端部2bでは左右の縦板部がつながっている。このため、鋼板1,2は1枚板の形状となっている。
鋼板1,2にそれぞれ形成された長孔5,6は上端部1a,2aと下端部1b,2bを残して上下方向に延びている。この長孔5,6の上下長さは、鋼板1,2の長さに依存して決められる。
長孔5,6の上下寸法hは、鋼板1,2の上端部1a,2aと下端部1b,2bのそれぞれに100〜300mm位の上下寸法が残るように設定される。
ピラーPの外側から4枚の鋼板1,2,3,4を上側甲板の裏面に溶接したり、下側甲板の上面に溶接することは、とくに制約なく自由に行える。したがって、ピラーPの各鋼板1,2,3,4を表裏両面から溶接できる。
図3に明瞭に示されるように、4枚の鋼板1,2,3,4の内側はビードbiで、各鋼板1〜4の外側はビードboで甲板に溶接されている。
このように、ピラーPの甲板への溶接が、ピラーPの外側に加え内側からもできるので、強固な溶接が可能となる。
なお、図2には示していないが、ピラーPの上端を上側甲板に溶接する場合も同様である。
(1)ピラーPの強度が高いのでピラーPの足元が高応力となる箇所に対しても使いやすい。なお、この場合、各鋼板1,2,3,4の下端に溶接面積を広げるための接合部を形成してもよい。接合部としては、図5に示す105a〜105dのような形状を例示できるが、これに限られない。
(2)本実施形態のピラーPでは、前後左右の4方向におけるX方向およびY方向の強度がバランスしているので、部材寸法を無駄に大きくする必要がない。このため、効果的に重量低減ができる。
(3)ピラーPの上端部と下端部では鋼材がつながっているので、支持荷重を左右の縦板部で均等に受け持つことができ耐荷重能力を高く維持できる。
1 鋼板
2 鋼板
3 鋼板
4 鋼板
5 長孔
6 長孔
Claims (3)
- 2枚の鋼板を間隔をあけて平行に並べ、該2枚の鋼板の間に別の2枚の鋼板を入れ、かつ直角に向けた状態で4板の鋼板を溶接して断面四角形に形成した角形のピラーであって、
前記2枚の鋼板の両端縁は、前記別の2枚の鋼板との溶接部より外側に突出した突出部を有しており、横断面において相対面する一対の鋼板には、上下方向に延びる長孔が形成されている
ことを特徴とする船舶用ピラー。 - 前記長孔は、ピラーの上端部と下端部とを除いた中間部であって、左右の縦板部の間に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の船舶用ピラー。 - 前記長孔は、ピラー内部の溶接作業がピラー外部から行える大きさを有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の船舶用ピラー。
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