JP6900298B2 - 導電性粒子及びその製造方法、導電性粒子分散液、導電性フィルム及びその製造方法、並びに導電性トレー及びその製造方法 - Google Patents

導電性粒子及びその製造方法、導電性粒子分散液、導電性フィルム及びその製造方法、並びに導電性トレー及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有する導電性粒子及びその製造方法、導電性粒子分散液、導電性フィルム及びその製造方法、並びに導電性トレー及びその製造方法に関する。
導電性フィルムとして、フィルム基材の表面に導電層が設けられた導電性積層フィルムが広く使用されている。導電層に含まれる導電材料としては、π共役系導電性高分子、カーボン又は金属粒子が使用されることがある(特許文献1,2)。
しかし、導電層にカーボン又は金属を含有させた場合には、導電性フィルムの透明性が低下するおそれがある。
ところで、液晶表示装置等の画像表示装置においては、画面における映り込みを防止するために反射防止フィルムが取り付けられることがある。反射防止フィルムとしては、例えば、樹脂中に粒子が含まれるフィルムが使用されている(例えば、特許文献3)。この反射防止フィルムにおいては、粒子の含有によってフィルムの表面に凹凸が形成され、その凹凸によって光を散乱させることにより光の反射を防止している。また、粒子によって光を屈折させ、散乱させることで、反射を防止することもある。
従来の反射防止フィルムは導電性を有していなかった。しかし、画像表示装置等においては、静電気の影響を受けることがあるため、反射防止フィルムは、帯電防止機能を発揮する導電性を有することが望ましい。しかし、反射防止フィルムとして使用できる導電性フィルムは知られていなかった。
反射防止フィルムに導電性を付与するために導電層をさらに形成することが考えられるが、反射防止フィルムを製造するための工程が増え、煩雑になる。
また、導電性フィルムを、半導体素子又はキャパシタ等の電子部品を収容する導電性トレーに使用することがある。具体的には、導電性フィルムに凹部を複数形成して導電性トレーを作製することがある(特許文献4)。
導電性トレーから電子部品をピックアップして配線基板に実装する際には、導電性トレーに収容されている電子部品を画像認識し、実装装置が目標位置の電子部品を導電性トレーから取り出して配線基板に実装することがある。
電子部品を画像認識する際に、導電性トレーの表面にて光が反射すると、画像認識の精度が低下して、電子部品の取り出しに不具合が生じることがある。そのため、導電性トレーに反射防止性が求められることがある。
また、導電性トレーにおいては、その凹部に収容された電子部品を検査するために、透明性を有することが要求される場合がある。
しかし、従来、導電性、透明性及び反射防止性の全てを満たす導電性トレーは知られていなかった。
特開2010−189565号公報 特開2011−184618号公報 特開2013−043791号公報 特開2016−204611号公報
本発明は、透明性を損なうことなく、樹脂フィルムに導電性を簡便に付与でき、フィルムに反射防止機能を付与できる導電性粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記導電性粒子を含有する導電性粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明は、透明性及び導電性が共に優れ、反射防止フィルムとして使用できる導電性フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、透明性、導電性及び反射防止性のいずれもが優れた導電性トレー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]導電性複合体を含有する導電性高分子組成物からなる粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を含み、前記導電性複合体は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含み、前記ポリアニオンの一部のアニオン基に、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物が付加している、導電性粒子。
[2]前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]に記載の導電性粒子。
[3]前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]又は[2]に記載の導電性粒子。
[4]粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子の含有量が50%以上である、[1]〜[3]のいずれか一に記載の導電性粒子。
[5][1]〜[4]のいずれか一に記載の導電性粒子と分散媒とを含有する、導電性粒子分散液。
[6]前記分散媒が、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の導電性粒子分散液。
[7]透明バインダ成分をさらに含有する、[5]又は[6]に記載の導電性粒子分散液。
[8]透明バインダ成分が硬化性アクリル化合物である、[7]に記載の導電性粒子分散液。
[9]フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に、[5]〜[8]のいずれか一に記載の導電性粒子分散液から形成された導電層とを備える、導電性フィルム。
[10][9]に記載の導電性フィルムを有する、導電性トレー。
[11]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液に、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、該析出物を回収する回収工程と、回収した析出物を、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が形成されるように粉砕して導電性粒子を形成する粉砕工程と、を有する、導電性粒子の製造方法。
[12]前記粉砕工程では、前記析出物を分散媒中で湿式粉砕して、分散液中で導電性粒子を形成する、[11]に記載の導電性粒子の製造方法。
[13]前記分散媒が、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[12]に記載の導電性粒子の製造方法。
[14]前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[11]〜[13]のいずれか一に記載の導電性粒子の製造方法。
[15]前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[11]〜[14]のいずれか一に記載の導電性粒子の製造方法。
[16]フィルム基材の少なくとも一方の面に、[5]〜[8]のいずれか一項に記載の導電性粒子分散液を塗工し、硬化させて導電層を形成する、導電性フィルムの製造方法。
[17][16]に記載の導電性フィルムの製造方法により導電性フィルムを製造する工程と、前記導電性フィルムを成形する工程と、を有する導電性トレーの製造方法。
本発明の導電性粒子は、透明性を損なうことなく、樹脂フィルムに導電性を簡便に付与でき、フィルムに反射防止機能を付与できる。
本発明の導電性粒子の製造方法によれば、前記導電性粒子を容易に製造できる。
本発明の導電性粒子分散液は、前記導電性粒子を含有する。また、本発明の導電性粒子分散液によれば、塗布面に導電性粒子を均一に分散させることができる。
本発明の導電性フィルムは、透明性及び導電性が共に優れ、反射防止フィルムとして使用できる。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、前記導電性フィルムを容易に製造できる。
本発明の導電性トレーは、透明性、導電性及び反射防止性のいずれもが優れる。
本発明の導電性トレーの製造方法によれば、前記導電性トレーを容易に製造できる。
<導電性粒子及び導電性粒子分散液>
本発明の導電性粒子の一態様について説明する。
本態様の導電性粒子は、導電性複合体を含有する導電性高分子組成物からなる粒子を含む粒子群である。本態様の導電性粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を含有する。前記粒子径は、動的光散乱法を利用した動的光散乱粒度分布測定装置を用いて測定した値である。粒子径が前記下限値以上の導電性粒子は、反射防止機能を発揮できる。粒子径が前記上限値以下の導電性粒子は、透明性が高くなる。
本態様の導電性粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子の含有量が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
前記粒子径範囲の粒子の割合が前記下限値以上であれば、透明性がより高くなり、且つ、フィルムに含有させた際に反射防止機能をより容易に付与できる。
本態様の導電性粒子の粒子径は、0.5μm以上であってもよいし、0.7μm以上であってもよい。本態様の導電性粒子の粒子径は、15μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。
前記粒子径範囲の粒子の割合は、動的光散乱粒度分布測定装置を用いて粒子径を測定した際の、粒子径の個数頻度より求めた値である。
(導電性高分子組成物)
本態様の導電性粒子を構成する導電性高分子組成物は、導電性複合体を含有する。本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む。前記ポリアニオンは前記π共役系導電性高分子に配位し、ポリアニオンのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープするため、導電性を有する導電性複合体を形成する。
ポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープせず、余剰のアニオン基を有している。本態様においては、前記の余剰のアニオン基の少なくとも一部に、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物が付加している。これにより、導電性複合体が疎水化されている。
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
前記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、又はカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。ポリアニオンの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた質量基準の分子量のことである。
本態様においては、ポリアニオンのアニオン基の一部にアミン化合物を付加させることにより、疎水性置換基を形成している。アミン化合物によってポリアニオンに疎水性置換基を形成することにより、導電性複合体の親油性が高くなり、水に対する導電性複合体の分散性を低下させることができる。そのため、後述する導電性粒子の製造方法によって、本態様の導電性粒子を容易に製造できる。
なお、導電性複合体の詳細な分析は必ずしも容易ではないが、ポリアニオンのアニオン基とアミン化合物との反応によって、−HNRで示される疎水性置換基が形成されると推測される。前記R,R,Rは、後述するアミン化合物に由来する置換基である。例えば、R,R,Rの少なくとも1つは炭化水素基(但し、その炭化水素基の水素原子の少なくとも一つがアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。)である。R,R,Rのうち炭化水素基でないものは水素原子である。
前記疎水性置換基は、アニオン基の酸素原子に結合する。
アミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。アミン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第一級アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
第二級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物のうち、本態様の導電性粒子を容易に製造できることから、第三級アミンが好ましく、トリヘキシルアミン及びトリオクチルアミンの少なくとも一方がより好ましい。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるから、充分な導電性を確保できる。
[高導電化剤]
本態様における導電性高分子組成物は、導電性粒子の導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。ここで、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン及びアミン化合物は、高導電化剤に分類されない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
導電性高分子組成物に含有される高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
導電性高分子組成物における高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。導電性高分子組成物における高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下と透明性の低下を防止できる。
[その他の添加剤]
本態様における導電性高分子組成物には、公知のその他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子組成物が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
本態様における導電性高分子組成物は、無機化合物粒子、ポリマー粒子(但し、導電性粒子を除く)、金属粒子及びカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有しないことが好ましい。本態様における導電性高分子組成物が、無機化合物粒子及びポリマー粒子の少なくとも一方を含むと、導電性粒子の透明性及び導電性が低下することがある。本態様における導電性高分子組成物が、金属粒子及びカーボンの少なくとも一方を含むと、導電性粒子の透明性が低下することがある。
無機化合物粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、ガラス、シリカ、水酸化カルシウム、タルク、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、マイカ等が挙げられる。
ポリマー粒子としては、例えば、アクリル樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子、ポリウレタン粒子、ポリスチレン粒子、ポリエステル粒子等が挙げられる。
金属粒子としては、例えば、銀粒子、銅粒子、金粒子、アルミニウム粒子等が挙げられる。
カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
(導電性粒子分散液)
本態様の導電性粒子は、分散媒中に分散して、導電性粒子分散液としてもよい。導電性粒子分散液にすれば、塗工により導電層を形成できる。また、後述する導電性粒子の製造方法において湿式粉砕を適用した場合には、導電性粒子分散液として得られる。
[分散媒]
本態様の導電性粒子分散液は、前記導電性粒子と分散媒とを含有する。
本態様で使用される分散媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合液が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、窒素原子含有溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
窒素原子含有溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
前記有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散媒のなかでも、後述する導電性粒子の製造方法において湿式粉砕を適用した場合に、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤が好ましい。さらには、前記分散媒のなかでも、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。湿式粉砕の際に前記好ましい溶剤を用いると、導電性粒子を容易に形成でき、また、導電性複合体を安定化できる。
本態様の導電性粒子分散液における導電性粒子の含有量は、導電性粒子分散液の総質量に対して、0.1質量%以上80質量%以下が好ましく、0.5質量%以上50質量%以下がより好ましく、1質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。導電性粒子分散液における導電性粒子の含有量が前記下限値以上であれば、1回の塗工で厚みのある導電層を容易に形成できる。導電性粒子分散液における導電性粒子の含有量が前記上限値以下であれば、導電性粒子分散液中の導電性粒子の分散性を高くすることができる。
[透明バインダ成分]
本態様における導電性粒子分散液は、前記導電性粒子と共に透明バインダ成分を含有することが好ましい。透明バインダ成分は、熱可塑性樹脂、熱硬化性化合物、光硬化性化合物等であって、透明な化合物が挙げられる。熱可塑性樹脂はそのままで後述のバインダ樹脂となる。熱硬化性化合物及び光硬化性化合物は、各々、モノマー又はオリゴマーであり、熱硬化性化合物は熱硬化することで後述のバインダ樹脂となり、光硬化性化合物は光硬化することで後述のバインダ樹脂となる。
導電性粒子と共に透明バインダ成分を含有する導電性粒子分散液であれば、透明性、導電性及び反射防止性を有する導電層を容易に形成できる。
透明バインダ成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、環状ポリオレフィン、アクリロイル基を1つ以上有するアクリル化合物、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物等が挙げられる。
前記透明バインダ成分のうち、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記透明バインダ成分のうち、熱硬化性化合物としては、アクリル化合物、エポキシ化合物が挙げられる。
光硬化性化合物としては、アクリル化合物が挙げられる。
前記透明バインダ成分のなかでも、透明性が高く、容易に硬化でき、低コストであることから、光硬化性のアクリル化合物が好ましい。
透明バインダ成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
透明バインダ成分が熱硬化性化合物である場合、導電性粒子分散液に熱重合開始剤を含有させることが好ましく、透明バインダ成分が光硬化性化合物である場合、導電性粒子分散液に光重合開始剤を含有させることが好ましい。
本態様の導電性粒子分散液における透明バインダ成分の含有量は、導電性複合体に対して100質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。本態様の導電性粒子分散液における透明バインダ成分の含有量が前記下限値以上であれば、導電層の強度を向上させることができる。本態様の導電性粒子分散液における透明バインダ成分の含有量が、前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有量が少なくなることによる導電性の低下を防ぐことができる。
本態様の導電性粒子分散液は、無機化合物粒子、ポリマー粒子(但し、導電性粒子を除く)、金属粒子及びカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有しないことが好ましい。本態様の導電性粒子分散液が、無機化合物粒子及びポリマー粒子の少なくとも一方を含むと、導電性粒子の透明性及び導電性が低下することがある。本態様の導電性粒子分散液が、金属粒子及びカーボンの少なくとも一方を含むと、導電性粒子の透明性が低下することがある。
(導電性粒子の製造方法及び導電性粒子分散液の製造方法)
本態様の導電性粒子を製造する方法は、析出工程と回収工程と粉砕工程とを有する。後述するように、粉砕工程において湿式粉砕を適用した場合には、導電性粒子は分散媒中に分散した導電性粒子分散液の状態で得られる。
[析出工程]
析出工程は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液にアミン化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させる工程である。
前記水系分散液にアミン化合物を添加した場合には、前記導電性複合体を構成するポリアニオンの一部のアニオン基、具体的にはπ共役系導電性高分子へのドープに関与しないアニオン基にアミン化合物が付加してアニオン基が消失する。これにより、導電性複合体が疎水化される。
但し、π共役系導電性高分子へのドープに関与しないアニオン基の全てにアミン化合物が付加しなくてもよく、ドープに関与しないアニオン基が一部残留してもよい。
疎水化された導電性複合体は、水系分散媒中で分散することができないため、析出して析出物となる。
導電性複合体の水系分散液に添加するアミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
アミン化合物の添加量は、導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50000質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上10000質量部以下であることがさらに好ましい。アミン化合物の添加量が前記下限値以上であれば、導電性複合体の疎水性を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性粒子の導電性低下を防止できる。
該析出工程において、アミン化合物が添加される前記導電性高分子水分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。ここで、水系分散媒は、水を含有し、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水系分散媒における水の含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
導電性高分子水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水系分散液は市販のものを使用しても構わない。
前記化学酸化重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。酸化剤は、還元された触媒を元の酸化状態に戻すことができる。
導電性高分子水分散液に含まれる導電性複合体の含有量としては、導電性高分子分散液の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましい。
導電性高分子水分散液にアミン化合物を添加する前、添加と同時又は添加した後には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤を含む場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子水系分散液にアミン化合物を添加する前、添加している最中、又は添加した後には、加熱してもよい。
[回収工程]
回収工程は、疎水化導電性複合体からなる前記析出物を回収する工程である。
析出物を、水系分散媒から分取して回収する方法としては、例えば、ろ過、沈殿、抽出等の公知の分取方法を適用できる。これらの分取方法のなかでも、ろ過が好ましく、導電性複合体の形成に用いたポリアニオンがろ液とともに通過する程度に粗い目のフィルターを用いてろ過することが好ましい。このろ過方法によれば、析出物を分取するとともに、導電性複合体を形成していない余剰のポリアニオンをろ液側に残して、析出物と余剰のポリアニオンとを分離することができる。余剰のポリアニオンを除くことにより、析出物の導電性を高めることができる。
ろ過に使用するフィルターとしては、化学分析分野で用いられるろ紙が好ましい。このろ紙としては、例えば、アドバンテック社製ろ紙、保留粒子径7μm等が挙げられる。ここで、ろ紙の保留粒子径は目の粗さの目安であり、JIS P 3801〔ろ紙(化学分析用)〕で規定された硫酸バリウムなどを自然ろ過したときの漏えい粒子径により求められる。ろ紙の保留粒子径は、例えば2μm以上20μm以下とすることができる。この保留粒子径は、余剰のポリアニオンを透過させて容易に分離できることから、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
[粉砕工程]
粉砕工程は、回収した析出物を、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子が形成されるように粉砕する工程である。
析出物の粉砕方法としては、例えば、乳鉢を用いてすり潰す粉砕方法、粉砕機を用いて粉砕する方法等が挙げられる。粉砕機としては、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル等を用いることができる。
析出物の粉砕に際しては、分散媒中で析出物を粉砕する湿式粉砕を適用してもよいし、分散媒を含まない状態で析出物を粉砕する乾式粉砕を適用してもよい。粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の導電性粒子を容易に製造できる点では、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕を適用した場合には、導電性粒子は、分散媒中に分散した状態で得られる。
湿式粉砕の際に使用する分散媒は、前記導電性粒子分散液に含まれる分散媒と同様である。湿式粉砕の際に使用する好ましい分散媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。これら好ましい分散媒を使用すれば、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の導電性粒子をより容易に製造できる。
乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれにおいても、粉砕が不充分であると、粒子径20μm以下の粒子が形成されにくく、過度に粉砕すると、粒子の粒子径0.3μm未満になることがある。したがって、粉砕条件及び粉砕機の仕様を適宜選択することにより、粒子径0.3μm以上20μm以下の範囲の導電性粒子を形成する。
(作用効果)
本態様の導電性粒子は、導電性複合体を含む導電性高分子組成物から構成されているため、導電性を有する。また、前記導電性複合体は透明性を有するため、本態様の導電性粒子も透明性を有する。
本態様の導電性粒子を透明樹脂中に含有させた組成物をフィルム状にすれば、導電層を別途形成することなく導電性を付与できるから、樹脂フィルムに導電性を少ない工程で簡便に付与できる。また、本態様の導電性粒子を透明な樹脂フィルムに含有させれば、フィルム表面に凹凸を形成でき、その凹凸によって光を散乱させることができるため、反射防止機能を付与できる。したがって、本態様の導電性粒子を用いれば、通常の反射防止フィルムの製造方法とほぼ同じ方法により、導電性を有する反射防止フィルムを得ることができる。
<導電性フィルム>
本発明の一態様の導電性フィルムは、透明フィルム基材と、前記透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、前記導電性粒子分散液から形成された導電層とを備える。
前記透明フィルム基材は、プラスチックフィルムである。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等が挙げられる。フィルム基材用樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、透明フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
また、透明フィルム基材の表面には、後述する親水化処理によって、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の親水基が形成されていてもよい。
前記透明フィルム基材の平均厚みとしては、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。透明フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
透明フィルム基材の全光線透過率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。前記全光線透過率は、JIS K7136に従って測定した値である。
本態様における導電層は、前記導電性粒子を含有する。本態様における導電層は、前記導電性粒子と共に透明バインダ樹脂を含有することが好ましい。導電層が透明バインダ樹脂を含有すれば、導電層の強度を向上させることができ、また、本態様の導電性フィルムを反射防止フィルムとして使用することが可能になる。
透明バインダ樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性化合物の硬化物、光硬化性化合物の硬化物等であって、透明な樹脂が挙げられる。
透明バインダ樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、環状ポリオレフィン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記透明バインダ樹脂のうち、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記透明バインダ樹脂のうち、熱硬化性化合物の硬化物としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
光硬化性化合物の硬化物としては、アクリル樹脂が挙げられる。
前記透明バインダ樹脂のなかでも、透明性が高く、低コストであることから、アクリル樹脂が好ましい。
透明バインダ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様における導電層においては、導電性粒子100質量部に対して、バインダ樹脂の含有量が10質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、50質量部以上50000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上10000質量部以下であることがさらに好ましい。導電層におけるバインダ樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、導電層の強度を向上させることができる。導電層におけるバインダ樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、導電性粒子を含むことにより発揮される効果を充分に発揮できる。例えば、本態様の導電性フィルムを反射防止フィルムに使用する場合には、反射防止性と導電性とを充分に発揮できる。
前記導電層の平均厚さとしては、10nm以上20000nm以下であることが好ましく、20nm以上10000nm以下であることがより好ましく、30nm以上5000nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮できる。また、本態様の導電性フィルムを反射防止フィルムに使用する場合には、反射防止性を充分に発揮できる。導電層の平均厚さが前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
導電性粒子の数平均粒子径と導電層の平均厚さとの比(導電性粒子の数平均粒子径/導電層の平均厚さ)が0.001以上100以下であることが好ましく、0.005以上75以下であることがより好ましく、0.01以上50以下であることがさらに好ましい。導電性粒子の数平均粒子径と導電層の平均厚さとの比が前記下限値以上であれば、導電層の表面に充分に凹凸を形成でき、反射防止機能を充分に発揮できる。導電性粒子の数平均粒子径と導電層の平均厚さとの比が前記上限値以下であれば、導電性粒子を導電層に充分に保持できる。
導電性粒子の数平均粒子径は、動的光散乱粒度分布測定装置を用いて測定した個数基準の平均粒子径である。
以下、前記導電性フィルムを製造する方法について説明する。
本態様の導電性フィルムを製造する方法は、透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、前記導電性粒子分散液を塗工し、硬化させて導電層を形成する方法である。
導電性粒子分散液を塗工する前には、透明フィルム基材に、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の親水化処理を施して、透明フィルム基材の表面に親水基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基等)を形成することが好ましい。透明フィルム基材が親水化処理されていると、導電層の接着性をさらに向上させることができる。親水化処理のなかでも、透明フィルム基材の表面を簡便に親水化できることから、コロナ放電処理が好ましい。
透明フィルム基材に導電性粒子分散液を塗工する方法としては、例えば、スリットコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
導電性粒子分散液を透明フィルム基材に塗工した後には、塗工した導電性粒子分散液を乾燥させてもよい。
導電性粒子分散液を塗工した後の乾燥方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。導電性粒子分散液が熱硬化性化合物を含有する場合には、熱硬化性化合物の硬化を促す点で、加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は50℃以上150℃以下の範囲であり、好ましくは60℃以上130℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
また、充分に分散媒を除去する点で、乾燥時間は30秒以上であることが好ましい。
導電性粒子分散液が光硬化性化合物を含有する場合には、塗工した導電性粒子分散液に活性エネルギー線を照射して、光硬化性化合物を硬化させることが好ましい。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。活性エネルギー線を照射する前には、塗工した導電性粒子分散液を乾燥させてもよい。
本態様の導電性フィルムを構成するフィルム基材は透明であり、導電層は前記導電性粒子を含むため、本態様の導電性フィルムは、透明性及び導電性を有する。
本態様における導電層が導電性粒子と共に透明バインダ樹脂を含有する場合には、透明な導電層の表面に凹凸が形成される。その凹凸によって、導電性フィルムに入射又する光又は導電性フィルムから出射する光を散乱させることができる。その光散乱によって反射防止機能が得られるため、本態様の導電性フィルムは、反射防止フィルムとして使用できる。
また、導電層が導電性粒子と透明バインダ樹脂とを含む導電性フィルムは、その導電性によって帯電防止性を発揮する。そのため、例えば、画像表示装置に反射防止フィルムとして取り付ける場合には、反射防止フィルムに生じた静電気が画像表示装置(特に液晶表示装置)に影響を及ぼすことを防止できる。
また、本態様の導電性フィルムは、そのまま包装材料として使用されてもよいし、後述するように導電性トレーの成形用材料として使用されてもよい。本態様の導電性フィルムからなる包装材料は、導電層が帯電防止層として機能し、例えば、埃の付着を防ぐことができる。そのため、包装材料への埃の付着によって、包装した商品(例えば、食品等)の見栄えを損ねることを防止できる。
本態様の導電性フィルムの表面抵抗値は、1×1011Ω/□以下であることが好ましく、1×10Ω/□以上1×1011Ω以下であることがより好ましく、1×10Ω/□以上1×1010Ω/□以下であることがさらに好ましい。導電性フィルムの表面抵抗値が前記範囲内であれば、静電気を容易に除電できる。前記表面抵抗値は、抵抗率計を用い、JIS K7194に従って測定した値である。
本態様の導電性フィルムの全光線透過率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。前記全光線透過率は、JIS K7136に従って測定した値である。
本態様の導電性フィルムの光沢度は、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。前記光沢度は、JIS Z8741に従って測定した値である。光沢度は、反射防止性の指標となる。具体的には、光沢度が低い程、反射防止性が高い。
前記表面抵抗値、前記全光線透過率及び光沢度にする方法としては、例えば、導電層における導電性粒子の含有量を前記範囲にする方法が挙げられる。
<導電性トレー>
本発明の導電性トレーの一態様について説明する。
本態様の導電性トレーは、前記導電性シートに複数の凹部が形成されている。導電性トレーの凹部には、例えば、静電気に弱い部品、より具体的には電子部品が収容される。電子部品としては、例えば、IC、LSI、キャパシタ等が挙げられる。
本態様の導電性トレーは、前記導電性フィルムを成形することにより得られる。
成形方法としては、例えば、真空成形法、圧空成形法、プラグアシスト成形法、真空圧空成形法などの各種熱成形方法を適用できる。これらの成形法では、導電性フィルムを凸型または凹型に密着させて凹部または凸部を形成する、いわゆる絞り成形をすることができる。前記成形方法のなかでも、導電性フィルムに部を容易に且つ低コストで形成できる点では、真空成形法が好ましい。
成形温度としては特に制限されないが、成形性の点からは、120℃以上180℃以下が好ましい。
本態様の導電性トレーの表面抵抗値は、前記導電性フィルムと同様に、1×1011Ω/□以下であることが好ましく、1×10Ω/□以上1×1011Ω以下であることがより好ましく、1×10Ω/□以上1×1010Ω/□以下であることがさらに好ましい。前記表面抵抗値は、抵抗率計を用い、JIS K7194に従って測定した値である。
本態様の導電性トレーの全光線透過率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。前記全光線透過率は、JIS K7136に従って測定した値である。
本態様の導電性トレーの光沢度は、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。前記光沢度は、JIS Z8741に従って測定した値である。
本態様の導電性トレーは、透明性が高いため、凹部に収容した電子部品を視認できるため、容易に検査できる。
本態様の導電性トレーは、反射防止性を有しているため、本態様の導電性トレーから電子部品をピックアップして配線基板に実装する際、電子部品を高い精度で画像認識できる。したがって、導電性トレーからの電子部品の取り出しに不具合が生じにくい。
(製造例1)
2.5gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、12.5gのポリスチレンスルホン酸を500mlのイオン交換水に溶かした溶液とを30℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、掻き混ぜながら、44.35mlのイオン交換水に溶かした5.5gの過硫酸アンモニウムと0.15gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、8時間攪拌して反応させた。これにより、2.7質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。
前記PEDOT−PSS水分散液565.0gに、トリオクチルアミン53.0gとイソプロパノール500gの混合液を添加し、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を析出させた。析出したPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物をろ過により分取し水100gで洗浄した後、アセトン100gで洗浄してPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gを固体として取り出した。
(製造例2)
2.5gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、12.5gのポリスチレンスルホン酸を500mlのイオン交換水に溶かした溶液とを30℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、掻き混ぜながら、44.35mlのイオン交換水に溶かした5.5gの過硫酸アンモニウムと0.15gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、8時間攪拌して反応させた。これにより、2.7質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。
前記PEDOT−PSS水分散液565.0gに、トリヘキシルアミン40.4gとイソプロパノール500gの混合液を添加し、PEDOT−PSSのトリヘキシルアミン付加物を析出させた。析出したPEDOT−PSSのトリヘキシルアミン付加物をろ過により分取し水100gで洗浄した後、アセトン100gで洗浄してPEDOT−PSSのトリヘキシルアミン付加物を固体16.7gとして取り出した。
(製造例3)
ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、アートレジンUN−904M、メチルエチルケトン溶液、固形分濃度80質量%)20gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート80gと、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)3.84gとを混合してアクリル化合物溶液を得た。
(製造例4)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたポリスチレンスルホン酸溶液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例5)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gの製造例4のポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS水分散液)溶液を得た。このPEDOT−PSS水分散液に含まれるPEDOT−PSSは、粒子径0.3μm以上の粒子ではない。
(実施例1)
製造例1で得たPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに酢酸エチル200gを添加し、ホモジナイザー(SILVERSON社製 L4RT)を用いて、7000rpmの攪拌数で10分間、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を粉砕した。これにより、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物からなる導電性粒子の酢酸エチル分散液を得た。得られた分散液の粒度分布を、動的光散乱粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、FPAR1000)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、以下の例においても同様に、PEDOT−PSSアミン付加物の有機溶剤分散液について粒度分布を測定した。
前記分散液10gに、製造例3で得たアクリル化合物溶液10gを添加して、導電性粒子分散液を得た。
前記導電性粒子分散液を、No.16のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。その後、前記塗膜に400mJの紫外線を照射して、前記塗膜を硬化させた。これにより、導電性フィルムを得た。
(実施例2)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに添加した酢酸エチルを酢酸ブチルに変更した以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例3)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに添加した酢酸エチルをジエチレングリコールジエチルエーテル(表中では、「DEGDE」と表記する。)に変更した以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例4)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに添加した酢酸エチルをトルエンに変更した以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例5)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに添加した酢酸エチルをイソプロパノールに変更した以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例6)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに添加した酢酸エチルをメチルエチルケトンに変更した以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例7)
製造例1で得たPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gを製造例2で得たPEDOT−PSSのトリヘキシルアミン付加物16.7gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを得た。
(比較例1)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物の酢酸エチル分散液を使用せず、酢酸エチル10gに製造例3で得たアクリル化合物溶液10gを添加して、アクリル分散液を得た。
前記アクリル分散液を、No.16のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。その後、前記塗膜に400mJの紫外線を照射して、前記塗膜を硬化させた。これにより、積層フィルムを得た。
(比較例2)
製造例1で得たPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gにイソプロパノール200gを添加し、湿式破砕装置(吉田機械興業株式会社製、ナノヴェイタ)を用いて、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を粉砕した。これにより、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物からなる導電性粒子のイソプロパノール分散液を得た。前記分散液10gに、製造例3で得たアクリル化合物溶液10gを添加して、導電性粒子分散液を得た。
前記導電性粒子分散液を、No.16のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。その後、前記塗膜に400mJの紫外線を照射して、前記塗膜を硬化させた。これにより、導電性フィルムを得た。
(比較例3)
製造例1で得たPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gにメチルエチルケトン200gを添加し、湿式破砕装置(吉田機械興業株式会社製、ナノヴェイタ)を用いて、100MPaの圧力でPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を粉砕した。これにより、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物からなる導電性粒子のメチルエチルケトン分散液を得た。前記分散液10gに、製造例3で得たアクリル化合物溶液10gを添加して、導電性粒子分散液を得た。
前記導電性粒子分散液を、No.16のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。その後、前記塗膜に400mJの紫外線を照射して、前記塗膜を硬化させた。これにより、導電性フィルムを得た。
(比較例4)
製造例1のPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gにメチルエチルケトン200gを添加し、湿式破砕装置(吉田機械興業株式会社製、ナノヴェイタ)を用いて、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を粉砕しようとしたが、目詰まりが生じたため、中止した。
(比較例5)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物の酢酸エチル分散液を使用せず、酢酸エチル9.06gと中空シリカ0.94g(富士シリシア化学株式会社製、サイロホービック4004、8μm)に製造例3で得たアクリル化合物溶液10gを添加して、アクリル分散液を得た。
前記アクリル分散液を、No.16のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。その後、前記塗膜に400mJの紫外線を照射して、前記塗膜を硬化させた。これにより、積層フィルムを得た。
(実施例8)
製造例1で得たPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gにヘプタン200gを添加し、ホモジナイザー(SILVERSON社製 L4RT)を用いて、7000rpmの攪拌数で10分間、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を粉砕した。これにより、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物からなる導電性粒子のヘプタン分散液を得た。前記分散液5gに、メチルエチルケトン2.3gとトルエン2.55gと付加硬化型シリコーン(信越化学工業株式会社製、KS−3703T、トルエン溶液、固形分濃度30質量%)0.15gと硬化触媒(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50L)0.003gを添加して、導電性粒子分散液を得た。
前記導電性粒子分散液を、No.8のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、150℃で1分間乾燥させて、導電性フィルムを得た。
(比較例6)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物のヘプタン分散液を使用せず、ヘプタン5gにメチルエチルケトン2.3gとトルエン2.55gと付加硬化型シリコーン(信越化学工業株式会社製、KS−3703T、トルエン溶液、固形分濃度30質量%)0.15gと硬化触媒(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50L)0.003gを添加して、シリコーン散液を得た。
前記シリコーン分散液を、No.16のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、150℃で1分間乾燥させて、積層フィルムを得た。
(実施例9)
製造例1で得たPEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物18.8gに水200gを添加し、ホモジナイザー(SILVERSON社製 L4RT)を用いて、7000rpmの攪拌数で10分間、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物を粉砕した。これにより、PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物からなる導電性粒子の水分散液を得た。前記分散液5gに、水分散性ポリエステル(互応化学工業株式会社製、プラスコートRZ105、固形分濃度25質量%)を添加して、導電性粒子分散液を得た。
前記導電性粒子分散液を、No.8のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて、導電性フィルムを得た。
(比較例7)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物の水分散液を使用せず、水5gに水分散性ポリエステル(互応化学工業株式会社製、プラスコートRZ105、固形分濃度25質量%)を添加して、ポリエステル分散液を得た。
前記ポリエステル分散液を、No.8のバーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT−60、平均厚さ60μm)に塗工し、100℃で1分間乾燥させて、積層フィルムを得た。
(比較例8)
PEDOT−PSSのトリオクチルアミン付加物からなる導電性粒子の水分散液を製造例5で得たPEDOT−PSS水分散液に変更した以外は実施例9と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例10)
実施例9で得た導電性粒子分散液を、No.8のバーコーターを用いてハイインパクトポリスチレンフィルムの両面に塗工し、70℃で30秒間乾燥させて、導電性フィルムを得た。なお、本実施例では、後述の表面抵抗値を、導電性フィルムの状態で測定した。
前記導電性フィルムを、上型と凹部を備える下型を備える真空成形機を用いて真空成形した。具体的には、上型と下型とを開いた状態にて、導電性フィルムを上型と下型との間に配置し、上型のヒーターによって、フィルム表面温度を測定しながら加熱した。
フィルム表面温度が150℃に到達した後、下型を上型に向けて上昇させて導電性フィルムに押し当て、その状態のまま下型側から真空引きし、20秒間保持した。その後、40℃に冷却し、下型を下降させ、成形体を取り出した。
なお、成形体は、開口部の直径が100mmの円形で、深さが30mmの円筒状凹部を備えたものである。また、真空成形の際の延伸倍率は3倍とした。
(比較例9)
実施例9で得た導電性粒子分散液を比較例7で得たポリエステル分散液に変更した以外は実施例10と同様にして成形体を得た。
(比較例10)
実施例9で得た導電性粒子分散液を製造例5で得たPEDOT−PSS水分散液に変更した以外は実施例10と同様にして成形体を得た。
<評価>
[表面抵抗値]
各例の導電性フィルム又は積層フィルムについて、表面抵抗値を、JIS K7194に従い、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。表面抵抗値の測定結果を表1〜3に示す。表中の、「1.0×1012<」は、1.0×1012より大きいことを意味し、「1.0×10>」は、1.0×10より小さいことを意味する。
なお、実施例10及び比較例9,10では、真空成形前の導電性フィルムの状態で表面抵抗値を測定した。
[光沢度]
各例の導電性フィルム、成形体又は積層フィルムにおいて、導電層の表面の光沢度を、JIS Z8741に従い、光沢計(株式会社堀場製作所製、グロスチェッカIG−320)を用いて測定した。光沢度の測定結果を表1〜3に示す。
なお、実施例10及び比較例9,10では、成形体の底面にて光沢度を測定した。
[全光線透過率]
実施例1〜7の導電性フィルム及び比較例1〜3,5の積層フィルムにおいては、全光線透過率を、JIS K7136に従い、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製NDH−5000)を用いて測定した。全光線透過率の測定結果を表1に示す。
Figure 0006900298
Figure 0006900298
Figure 0006900298
各実施例における導電性粒子は、粒度分布のメインピークの粒子径範囲が0.3μm以上20μm以下の範囲であり、粒子径が0.3μm以上20μm以下の粒子を含有していた。しかも、各実施例における導電性粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の粒子の含有量が80%以上であった。
なお、各実施例における導電性粒子は、メインピークの粒子径範囲内にある粒子及び粒子径20μm超の粒子のみからなり、他の粒子径範囲の粒子は確認されなかった。
実施例1〜9の導電性フィルム及び実施例10の成形体は、表面抵抗値が小さく、導電性が高かった。実施例1〜9の導電性フィルム及び実施例10の成形体は、光沢度が小さく、反射防止性を有していた。
比較例1,5〜7の積層フィルム及び比較例9の成形体は、導電層を備えておらず、導電性を有していなかった。比較例1,6,7のフィルム及び比較例9の成形体は、光沢度が大きく、反射防止性を有していなかった。
比較例2,3,8の積層フィルム及び比較例10の成形体は、光沢度が大きく、反射防止性を有していなかった。

Claims (13)

  1. 導電性複合体を含有する導電性高分子組成物からなる導電性粒子であり、
    前記導電性粒子は、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を個数基準で全体の70%以上で含み、かつ、
    前記導電性粒子は、粒子径が20μm超の粒子を個数基準で全体の12%以上20%以下で含み、
    前記導電性複合体は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含み、前記ポリアニオンの一部のアニオン基に、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物が付加しており
    前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、
    前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、導電性粒子。
  2. 請求項1記載の導電性粒子と分散媒とを含有する、導電性粒子分散液。
  3. 前記分散媒が、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の導電性粒子分散液。
  4. 透明バインダ成分をさらに含有する、請求項又はに記載の導電性粒子分散液。
  5. 透明バインダ成分が硬化性アクリル化合物である、請求項に記載の導電性粒子分散液。
  6. フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項のいずれか一項に記載の導電性粒子分散液から形成された導電層とを備える、導電性フィルム。
  7. JIS Z8741に従って測定される前記導電層の表面の光沢度が40%以下である、請求項6に記載の導電性フィルム。
  8. 請求項6又は7に記載の導電性フィルムが成形されてなる、導電性トレー。
  9. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液に、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、
    該析出物を回収する回収工程と、
    回収した析出物を、粒子径が0.3μm以上20μm以下の範囲の粒子を個数基準で全体の70%以上で含み、かつ、粒子径が20μm超の粒子を個数基準で全体の12%以上20%以下で含むように粉砕して導電性粒子を形成する粉砕工程と、
    を有する、導電性粒子の製造方法であり、
    前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、
    前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、導電性粒子の製造方法。
  10. 前記粉砕工程では、前記析出物を分散媒中で湿式粉砕して、分散液中で導電性粒子を形成する、請求項に記載の導電性粒子の製造方法。
  11. 前記分散媒が、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘプタン、トルエン、ジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の導電性粒子の製造方法。
  12. フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項のいずれか一項に記載の導電性粒子分散液を塗工し、硬化させて導電層を形成する、導電性フィルムの製造方法。
  13. 請求項12に記載の導電性フィルムの製造方法により導電性フィルムを製造する工程と、前記導電性フィルムを成形する工程と、を有する導電性トレーの製造方法。
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