JP2011116860A - 導電性塗料およびその製造方法、導電性成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂粒子を含有するにもかかわらず、π共役系導電性高分子の沈降および凝集を防止できる導電性塗料を提供する。
【解決手段】π共役系導電性高分子と、π共役系導電性高分子を可溶化させるポリアニオンと、樹脂粒子(A)と、無機粒子(B)と、これらπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、樹脂粒子(A)および無機粒子(B)を結着させるバインダ樹脂と、溶媒とを含有し、樹脂粒子(A)と無機粒子(B)の質量比率([無機粒子(B)の含有量]/[樹脂粒子(A)の含有量])が0.0015〜0.2000である。
【選択図】なし

Description

本発明は、π共役導電性高分子を含有する導電性塗料およびその製造方法に関する。また、基材の表面に導電性塗膜が形成された導電性成形体に関する。
成形品の表面に導電性を付与するために、π共役系導電性高分子とバインダ樹脂と溶媒とを含有する導電性塗料を塗布して導電性塗膜を形成することが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の導電性塗料では、得られる導電性塗膜の耐水性および耐擦傷性が不充分であった。
一般に、塗膜に耐水性や耐擦傷性を付与するために、水や有機溶剤に分散させたポリオレフィン粒子を塗料に添加することが知られている。
特開平1−254764号公報
ところが、樹脂粒子の比重が、溶媒の比重よりも大きいため、攪拌してもすぐに沈殿してしまい、均一な塗膜を得ることが難しかった。さらに、π共役系導電性高分子を含有する場合には、π共役系導電性高分子が凝集し、導電性塗膜中でのπ共役系導電性高分子の粒子径が大きくなり、表面抵抗値のばらつきおよび導電性塗膜の透明性の低下が生じた。特に、ディッピング塗布やスプレー塗布等の膜厚を制御しにくい塗布方法を適用した場合には、表面抵抗値のばらつきがさらに大きくなり、ディッピング塗布では、表面に凹凸が形成されて透明性がより低下しやすかった。
上記問題を解決する方法として、シリコーン系界面活性剤あるいはフッ素系界面活性剤を添加する方法、増粘剤を添加する方法が考えられるが、これらの方法ではπ共役系導電性高分子の沈降および凝集を充分に解消することができなかった。特に、界面活性剤の添加は、導電性塗料の表面張力が著しく低下して塗膜が薄くなるため、表面抵抗値が上昇し、また、塗膜強度が低下した。このような問題は、ディッピング塗布により塗布する場合に顕著に見られた。
そこで、本発明は、樹脂粒子を含有するにもかかわらず、π共役系導電性高分子の沈降および凝集を防止できる導電性塗料およびその製造方法を提供することを目的とする。また、耐水性および耐擦傷性に優れる上に、表面抵抗値のばらつきが小さく、透明性が高い塗膜を備える導電性成形体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]π共役系導電性高分子と、π共役系導電性高分子を可溶化させるポリアニオンと、樹脂粒子(A)と、無機粒子(B)と、これらπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、樹脂粒子(A)および無機粒子(B)を結着させるバインダ樹脂と、溶媒とを含有し、樹脂粒子(A)と無機粒子(B)の質量比率([無機粒子(B)の含有量]/[樹脂粒子(A)の含有量])が0.0015〜0.2000であることを特徴とする導電性塗料。
[2]前記樹脂粒子(A)が、ポリオレフィン系樹脂粒子および天然ワックス系樹脂粒子の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする[1]に記載の導電性塗料。
[3]前記無機粒子(B)がシリカ粒子またはアルミナ粒子または両者の併用であることを特徴とする[1]または[2]に記載の導電性塗料。
[4]樹脂粒子(A)と無機粒子(B)を溶媒中で混合して粒子混合液を調製する工程と、前記粒子混合液を、π共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ樹脂および溶媒を含む導電性高分子溶液に添加する工程とを有することを特徴とする導電性塗料の製造方法。
[5]基材と、該基材に塗布された導電性塗膜とを備え、前記導電性塗膜が、[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性塗料が塗布されて形成されたものであることを特徴とする導電性成形体。
本発明の導電性塗料は、樹脂粒子を含有するにもかかわらず、π共役系導電性高分子の沈降および凝集が防止されている。
本発明の導電性塗料の製造方法によれば、樹脂粒子を含有するにもかかわらず、π共役系導電性高分子の沈降および凝集がより防止された導電性塗料を製造できる。
本発明の導電性成形体は、耐水性および耐擦傷性に優れる上に、表面抵抗値のばらつきが小さく、透明性が高い塗膜を備えるものである。
表面抵抗値の測定方法について説明する図である。
<導電性塗料>
本発明の導電性塗料は、π共役導電性高分子とポリアニオンと樹脂粒子(A)と無機粒子(B)とバインダ樹脂と溶媒とを含有する。
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類およびポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性およびバインダ樹脂への分散性または溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種または2種からなる(共)重合体が導電性、反応性の点から好適に用いられる。さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高い上に、耐熱性が向上する点から、より好ましい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンは、アニオン性単量体単位を含有し、π共役系導電性高分子を可溶化させる高分子である。
ポリアニオンの中でも、溶媒溶解性および導電性の点から、ポリイソプレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸を含む共重合体、ポリスルホメタクリル酸エチル、ポリスルホメタクリル酸エチルを含む共重合体、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)を含む共重合体、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸を含む共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸を含む共重合体等が好ましい。
ポリアニオンの重合度は、単量体単位が10〜100,000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性および導電性の点からは、50〜10,000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンの含有量は、π共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、1〜7モルの範囲であることがより好ましい。ポリアニオンの含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。その上、溶媒への分散性および溶解性が低くなり、均一な導電性塗料を得ることが困難になる。また、ポリアニオンの含有量が10モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計の含有量は、全固形分を100質量%とした際の0.05〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましい。π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計の含有量が0.05質量%未満であると、充分な導電性が得られないことがあり、5.0質量%を超えると、均一な導電性塗膜が得られないことがある。
[樹脂粒子(A)]
樹脂粒子(A)を構成する樹脂は合成樹脂、天然ワックス系樹脂のいずれであってもよい。
合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、アミノ樹脂、含フッ素樹脂、ニトリル系樹脂等が挙げられる。
天然ワックス系樹脂としては、カルナバ樹脂、キャンデリラ樹脂、ライス樹脂、木ロウ樹脂、パーム樹脂、ロジン変性樹脂、オウリキュリー樹脂、サトウキビ樹脂、ラノリン樹脂、セラック樹脂、パラフィン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、カルナバ樹脂粒子が好ましい。
上記樹脂粒子(A)の中でも、樹脂粒子(A)の沈降性が低くなることから、比重の小さいポリオレフィン系樹脂粒子(具体的には、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子)および/または天然ワックス系樹脂粒子が好ましい。
また、樹脂粒子(A)は乳化されていることが好ましい。
樹脂粒子(A)の平均粒径は1〜80μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。ここで、本発明における平均粒径とは、レーザー回折散乱式にて粒度分布を測定した際の累積値の中央値のことである。
樹脂粒子(A)の平均粒径が1μm以上であれば、比表面積が小さくなるため、樹脂粒子およびπ共役系導電性高分子が凝集しにくくなり、80μm以下であれば、該導電性塗料から形成される塗膜の透明性をより高くできる。
導電性塗料中の樹脂粒子(A)の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計を100質量%とした際の2〜500質量%であることが好ましく、5〜400質量%であることがより好ましい。樹脂粒子(A)の含有量が2質量%以上であれば、得られる導電性塗膜の耐水性および塗膜強度をより高くでき、500質量%以下であれば、充分な導電性を確保できる。
[無機粒子(B)]
無機粒子(B)の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化ホウ素等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
無機粒子(B)の中でも、π共役系導電性高分子および樹脂粒子(A)の分散性をより向上させることができる点で、シリカ粒子またはアルミナ粒子または両者の併用が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。
シリカとしては、オルガノシリカゾル、コロイダルシリカ、気相シリカなどが挙げられるが、π共役系導電性高分子および樹脂粒子(A)の分散性をより向上させることができることから、オルガノシリカゾルが好ましい。
シリカ粒子としては市販品を用いることができる。
オルガノシリカゾルの市販品としては、例えば、メタノールシリカゾル(メタノール中にシリカゾルを分散したもの)、スノーテックスIPA−ST(イソプロピルアルコール中にシリカゾルを分散したもの)、スノーテックスEG−ST(エチレングリコール中にシリカゾルを分散したもの)、スノーテックスMEK−ST(メチルエチルケトン中にシリカゾルを分散したもの)、スノーテックスMIBK−ST(メチルイソブチルケトン中にシリカゾルを分散したもの)(以上、日産化学工業株式会社製)などが挙げられる。
コロイダルシリカの市販品としては、例えば、スノーテックスC、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックスUP、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40(以上、日産化学工業株式会社製)、PL−1(超高純度シリカゾル)、超高純度コロイダルシリカPL−3、超高純度コロイダルシリカPL−7(以上、扶桑化学工業株式会社製)などが挙げられる。
気相シリカの市販品としては、例えば、アエロジル50、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルMOX80、アエロジルMOX170(以上、日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
無機粒子(B)は、真球、楕円状ややや歪な球形状のものを含んでいてもよい。さらに、表面抵抗値のばらつき改善には、球状の無機粒子が連なった形状(鎖状)のものが、より好ましい。鎖状のシリカ粒子としては、例えば、日産化学工業株式会社製、製品名IPA−ST−UPが挙げられる。
無機粒子(B)の平均粒径は6〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。無機粒子(B)の平均粒径が6nm以上であれば、該導電性塗料から形成される塗膜の表面抵抗値のばらつきをより改善でき、200nm以下であれば、該導電性塗料から形成される塗膜の透明性をより向上させることができる。
導電性塗料中の無機粒子(B)の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計を100質量%とした際の0.02〜1000質量%であることが好ましく、0.1〜800質量%であることがより好ましい。無機粒子(B)の含有量が0.02質量%以上であれば、π共役系導電性高分子および樹脂粒子(A)の分散性をより高くでき、1000質量%以下であれば、充分な導電性を確保できる。
樹脂粒子(A)と無機粒子(B)の質量比率([無機粒子(B)の含有量]/[樹脂粒子(A)の含有量])は0.0015〜0.2000である。(B)/(A)が0.0015未満であると、表面抵抗値のばらつきを改善する効果が得られない。また、0.2000を超えると、透明性と塗膜強度の低下を引き起こす。
(B)/(A)の割合は、0.0090〜0.1000であることが好ましい。(B)/(A)が0.0090〜0.1000であれば、無機粒子(B)により樹脂粒子(A)を充分に被覆でき、樹脂粒子(A)の凝集をより防ぎ、得られる導電性塗膜の表面抵抗値のばらつきをより小さくできる。
[バインダ樹脂]
バインダ樹脂は、π共役系導電性高分子、ポリアニオン、樹脂粒子(A)および無機粒子(B)を結着させるものである。
具体的にバインダ樹脂は、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;アラミド樹脂;ポリイミドシリコーン;ポリウレタン;ポリウレア;メラミン樹脂;フェノール樹脂;ポリエーテル;アクリル樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
バインダ樹脂の中でも、容易に混合できることから、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリイミドシリコーンのいずれか1種以上が好ましい。また、アクリル樹脂及びポリエステルは、π共役系導電性高分子との相溶性に優れ、透明性にも優れている点で、より好ましい。
導電性塗料中のバインダ樹脂の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計を100質量%とした際の200〜9000質量%であることが好ましく、400〜8000質量%であることがより好ましい。バインダ樹脂の含有量が200質量%以上であれば、得られる導電性塗膜の耐水性および塗膜強度をより高くでき、9000質量%以下であれば、充分な導電性を確保できる。
[溶媒]
溶媒としては、水または水と有機溶媒との混合溶媒が用いられる。
有機溶媒としては、導電性塗料を均一にできることから、水溶性溶媒が好ましい。水溶性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、ジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
上記有機溶媒の中でも、作業環境をより損ないにくく、しかも沸点が水より低く、容易に塗膜を形成できることから、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
本発明の導電性塗料は、樹脂粒子(A)と無機粒子(B)とが特定の質量比率で配合されているため、樹脂粒子(A)の分散性に優れ、耐水性および塗膜硬度に優れた塗膜を形成できる。しかも、樹脂粒子(A)を含有するにもかかわらず、π共役系導電性高分子の沈降および凝集を防止できる。そのため、得られる導電性塗膜中でのπ共役系導電性高分子の粒子径を小さくでき、表面抵抗値のばらつきおよび塗膜の透明性の低下を防止できる。
さらに、本発明の導電性塗料によれば、ディッピング塗布やスプレー塗布を適用しても、得られる導電性塗膜の表面抵抗値のばらつきを改善できる上に、塗膜表面の平滑性が高く、透明性に優れる。
<導電性塗料の製造方法>
本発明の導電性塗料を製造する方法は、π共役導電性高分子、ポリアニオン、樹脂粒子(A)、無機粒子(B)、バインダ樹脂および溶媒を混合する方法であれば、特に制限されないが、π共役系導電性高分子の沈降および凝集をより防止できる点では、下記の製造方法が好ましい。
すなわち、樹脂粒子(A)と無機粒子(B)を溶媒中で混合して粒子混合液を調製する工程(以下、「第1の工程」という。)と、粒子混合液に、π共役導電性高分子、ポリアニオン、バインダ樹脂および溶媒を含む導電性高分子溶液を添加する工程(以下、「第2の工程」という。)とを有する製造方法が好ましい。
第1の工程では、樹脂粒子(A)および/または無機粒子(B)として、容易に混合できることから、あらかじめ溶媒に分散されたものを使用することが好ましい。また、第1の工程では、溶媒に分散された樹脂粒子(A)と無機粒子(B)を混合した後に、溶媒を追加添加してもよい。
第2の工程で使用する導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとバインダ樹脂と溶媒とを混合して調製される。π共役系導電性高分子およびポリアニオンは、容易に混合できることから、π共役系導電性高分子がポリアニオンによって可溶化された溶液の形態でバインダ樹脂と溶媒と混合されることが好ましい。
また、バインダ樹脂は、有機溶剤に溶解されていてもよいし、スルホ基やカルボキシ基などの官能基が付与されて水溶液化されていてもよいし、乳化など水に分散されていてもよい。
第1の工程で使用する溶媒と、第2の工程で使用する溶媒とは同じであってもよいし、異なってもよい。
<導電性成形体>
本発明の導電性成形体は、基材と、該基材に塗布された導電性塗膜とを備え、導電性塗膜は、上記導電性塗料が塗布されて形成されたものである。
基材としては、例えば、シート、フィルム、各種成形品などが挙げられる。成形品としては特に制限されないが、導電性が求められる成形品としては、例えば、エンボスキャリアテープ・トレイ、パーツフィーダー、ブリスターパック、ウェハケース等が挙げられる。
導電性塗料を塗布する方法としては、例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、ディッピング塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、または手塗り等が挙げられる。これら塗布方法の中でも、塗り残しを防止できる点で、ディッピング塗布、スプレー塗布、はけ塗りが好ましい。
導電性塗料の塗布は、室温下で行ってもよいし、加熱下で行ってもよい。
また、塗布後には、大気中または窒素気流中等で乾燥することが好ましい。乾燥を加熱下で行う場合には、導電性塗料を塗布する成形品の材質の耐熱性によって温度および時間を適宜選択することが好ましい。
導電性塗膜の厚さは0.001〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましい。導電性塗膜の厚さが0.001μm以上であれば、充分な導電性を確保でき、10μm以下であれば、充分な導電性と耐磨耗性を確保できる。
本発明の導電性成形体における導電性塗膜は樹脂粒子(A)を含むため、耐水性および耐擦傷性に優れる。また、π共役系導電性高分子の沈降および凝集が防止された導電性塗料から形成するため、塗膜中にπ共役系導電性高分子が均一に分散されている。そのため、表面抵抗値のばらつきが小さく、透明性が高くなっている。
以下、本発明の実施例を具体的に示すが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の調製
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を2時間攪拌した。
これにより得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000mlと10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約10000ml溶液を除去し、残液に10000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
限外ろ過条件は下記の通りとした。
限外ろ過膜の分画分子量:30K
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)ポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水溶液の調製
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gの製造例1で得たポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法(製造例1と同様の条件)を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記ろ過処理が行われた処理液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)水溶液を得た。
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液70gにメタノール950gとバイロナール1500(東洋紡績株式会社製ポリエステル水分散溶液)30gとを添加、撹拌して導電性高分子溶液を得た。
また、ポリエチレン粒子分散液(製品名Ceracol39、平均粒径13000nm、固形分濃度40質量%、ビックケミー社製)0.625gと、シリカゾル分散液(製品名IPA−ST、粒子状、平均粒径10nm、固形分濃度30質量%、日産化学工業株式会社製)とを混合、攪拌し、さらにメタノール50gを添加して粒子混合液を調製した。その際、シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率(表1では「B/A」と表記する。)を0.0015とした。
次いで、粒子混合液を上記導電性高分子溶液に添加して、導電性塗料を調製した。なお、上記のような、ポリエチレン樹脂粒子とシリカゾル分散液とを予め混合する方法を表1では「製法1」と表記する。
次いで、得られた導電性塗料を上部が開放された容器内に充填し、その導電性塗料に、30cm×30cmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製:ダイヤホイルT680E100、全光線透過率93%、ヘイズ1.80%)を、液面に対して垂直に浸漬した。その後、10mm/10秒の速度で引き上げ、フィルムを垂直の状態で100℃にて2分間乾燥して、導電性塗膜を形成した。
(実施例2)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.009になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例3)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.05になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例4)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.1になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例5)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.2になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例6)
実施例3におけるシリカゾル分散液を、シリカゾル分散液(扶桑化学工業社製、製品名PL−06L、粒子状、平均粒径6nm、固形分濃度6質量%)に変更した以外は実施例3と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例7)
実施例3におけるシリカゾル分散液を、シリカゾル分散液(扶桑化学工業株式会社製、製品名PL−20、粒子状、平均粒径200nm、固形分濃度21質量%)に変更した以外は実施例3と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例8)
実施例3におけるシリカゾル分散液を、シリカゾル分散液(扶桑化学工業株式会社製、製品名IPA−ZL、粒子状、平均粒径100nm、固形分濃度40質量%)に変更した以外は実施例3と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例9)
実施例3におけるシリカゾル分散液を、シリカゾル分散液(日産化学工業株式会社製、製品名IPA−ST−UP、鎖形状、平均粒径11nm、固形分濃度40質量%)に変更した以外は実施例3と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例10)
実施例3におけるシリカゾル分散液を、アルミナゾル溶液(日産化学工業株式会社製、製品名アルミナゾル100、粒子状、平均粒径10nm、固形分濃度21質量%)に変更した以外は実施例3と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例11)
実施例1におけるポリエチレン粒子分散液を、カルナバ樹脂粒子分散液(製品名Ceracol79、平均粒径20000nm、固形分濃度20質量%、ビックケミー社製)1.25gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例12)
実施例1におけるポリエチレン粒子分散液を、ポリプロピレン粒子分散液(岐阜セラック社製、製品名X−5159、平均粒径16000nm、固形分濃度15質量%)1.67gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例13)
実施例7において、ポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液をあらかじめ混合せず、PEDOT−PSS水溶液、メタノール、バイロナールの混合溶液に、ポリエチレン粒子分散液、シリカゾル分散液を添加し、全量が1000gになるまでメタノールを添加、攪拌して導電性塗料を調製し(この製法を表1では「製法2」と表記する。)、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(比較例1)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.0005になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(比較例2)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.3になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(比較例3)
実施例1においてシリカゾル分散液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(比較例4)
シリカ粒子とポリエチレン粒子の質量比率が0.6になるようにポリエチレン粒子分散液とシリカゾル分散液を混合したこと以外は実施例1と同様にして導電性塗料を調製し、その導電性塗料から導電性塗膜を得た。
(実施例14)
実施例3における導電性塗料を、鉛直方向に保持した30cm×30cmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製:ダイヤホイルT680E100、全光線透過率93%、ヘイズ1.80%)に、スプレーガン(塗布量:10秒間に1.4gの塗布量)により30秒間塗布した。そして、フィルムを鉛直方向に保持したまま、100℃にて2分間乾燥して導電性塗膜を形成した。
(実施例15)
実施例3における導電性塗料をポリウレタン製のスポンジ(4cm×4cm×3cm)に含ませた。そのスポンジを用い、鉛直方向に保持した30cm×30cmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製:ダイヤホイルT680E100、全光線透過率93%、ヘイズ1.80%)に、導電性塗料を塗布した。そして、フィルムを鉛直方向に保持したまま、100℃にて2分間乾燥して導電性塗膜を形成した。
[導電性塗料の安定性の評価]
導電性塗料を100mlのガラス製の試料瓶に80ml充填し、室温にて8時間放置して塗料の安定性を調べた。放置後、全く沈殿の見られないものを「○」、少しでも沈殿の見られたものを「×」とした。その結果を表1に示す。
[表面抵抗値の測定(表面抵抗値のばらつきの評価)]
図1に示すように、クリップ2で把持して吊るした状態で、導電性塗膜の表面抵抗値を、ハイレスタ(三菱化学株式会社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートの片面に形成した導電性塗膜1の下端から10cmの部分にて3箇所(図1のA,A,A)測定し、それらのうち最も表面抵抗値の高い箇所をCとした。また、上端から10cmの部分にて3箇所(図1のB,B,B)測定し、それらのうち最も表面抵抗値が低い箇所をDとした。
そして、Log[C]―Log[D]の値が、0以上〜0.3未満を「◎」、0.3以上〜0.6未満を「○」、0.6以上〜1.0未満を「△」、1.0以上を「×」とした。表面抵抗値のばらつきの評価が、「△」以上であれば、導電性塗料として使用できる。その結果を表1に示す。
[ヘイズの評価]
JIS K 7136に基づいて、塗膜のヘイズを6箇所測定し、その平均値をヘイズ値とした。ヘイズ値が2.0より小さいものを「○」、2.0以上のものを「×」とした。その結果を表1に示す。
Figure 2011116860
樹脂粒子(A)と無機粒子(B)の質量比率(B/A)が0.0015〜0.2000である導電性塗料を用いた実施例1〜15では、塗料安定性に優れており、π共役系導電性高分子の沈降および凝集が防止されていた。その結果、表面抵抗値のばらつきが小さく、ヘイズが小さかった。
これに対し、樹脂粒子(A)と無機粒子(B)の質量比率(B/A)が0.0015未満または0.2000を超える導電性塗料を用いた比較例1〜4では、塗料安定性が低く、π共役系導電性高分子の沈降および凝集が見られた。その結果、表面抵抗値のばらつきが大きく、ヘイズが大きかった。
また、実施例1〜15の結果より、無機粒子の平均粒径が10〜100nmであると、表面抵抗値のばらつきがより小さくなることが判明した。
また、実施例3と実施例13との対比より、あらかじめ樹脂粒子と無機粒子とを混合すると、表面抵抗値のばらつきが小さくなることが判明した。

Claims (5)

  1. π共役系導電性高分子と、π共役系導電性高分子を可溶化させるポリアニオンと、樹脂粒子(A)と、無機粒子(B)と、これらπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、樹脂粒子(A)および無機粒子(B)を結着させるバインダ樹脂と、溶媒とを含有し、
    樹脂粒子(A)と無機粒子(B)の質量比率([無機粒子(B)の含有量]/[樹脂粒子(A)の含有量])が0.0015〜0.2000であることを特徴とする導電性塗料。
  2. 前記樹脂粒子(A)が、ポリオレフィン系樹脂粒子および天然ワックス系樹脂粒子の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の導電性塗料。
  3. 前記無機粒子(B)がシリカ粒子またはアルミナ粒子または両者の併用であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性塗料。
  4. 樹脂粒子(A)と無機粒子(B)を溶媒中で混合して粒子混合液を調製する工程と、
    前記粒子混合液を、π共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ樹脂および溶媒を含む導電性高分子溶液に添加する工程とを有することを特徴とする導電性塗料の製造方法。
  5. 基材と、該基材に塗布された導電性塗膜とを備え、前記導電性塗膜が、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性塗料が塗布されて形成されたものであることを特徴とする導電性成形体。
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