JP6900213B2 - 反射防止層および映り込み防止層付偏光板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記反射防止層および映り込み防止層付偏光板においては、65℃および90%RHで24時間保持した後の、上記反射防止層用基材の寸法変化率が、0.03%未満である。
1つの実施形態においては、上記映り込み防止層は、液晶化合物の配向固化層である。
1つの実施形態においては、上記映り込み防止層の面内位相差Re(550)は220nm〜320nmである。
1つの実施形態においては、上記反射防止層および映り込み防止層付偏光板は、上記映り込み防止層と上記映り込み防止層用基材との間に配向膜をさらに備え、該配向膜はポリビニルアルコール系樹脂を含む。
本発明の別の局面によれば、上記の反射防止層および映り込み防止層付偏光板の製造方法が提供される。この製造方法は、偏光子および保護層を含む偏光子積層体を作製すること、反射防止層用基材に反射防止層を形成し、反射防止積層体を作製すること、映り込み防止層用基材に映り込み防止層を形成し、映り込み防止積層体を作製すること、および、該偏光子積層体、該映り込み防止積層体および該反射防止積層体を貼り合わせること、を含み、該反射防止層用基材の水分率が2.0重量%以上である。
1つの実施形態においては、上記反射防止層用基材は加湿処理されている。
図1は、本発明の1つの実施形態による反射防止層および映り込み防止層付偏光板の概略断面図である。反射防止層および映り込み防止層付偏光板100は、偏光子11および保護層12を有する偏光板10と、映り込み防止層40と、映り込み防止層用基材50と、反射防止層用基材20と、反射防止層30と、をこの順に備える。映り込み防止層40は、代表的には、任意の適切な接着層(接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して偏光板20の保護層12に貼り合わせられている。接着層は、代表的には、アクリル系粘着剤層である。映り込み防止層40は、液晶化合物の配向固化層である。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。映り込み防止層40は、代表的には、映り込み防止層用基材50に形成された配向膜(図示せず)の表面に液晶化合物を含む組成物を塗布し、当該塗布層を固化および/または硬化させることにより形成されている。反射防止層30は、反射防止層用基材20に直接形成されている。本明細書において「直接」とは接着層が介在しないことを意味する。1つの実施形態においては、反射防止層用基材20は、反射防止層30側の表面にハードコート層および/または密着層(いずれも図示せず)を有していてもよい。この構成も、「反射防止層が基材に直接形成されている」形態に包含される。反射防止層30の表面には、必要に応じて防汚層(図示せず)が設けられてもよい。
B−1.偏光子
偏光子11は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムで構成される。
保護層12としては、任意の適切な樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムの形成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。
映り込み防止層は、画像表示装置の使用者の顔、画像表示装置のキーボード、外光(例えば、蛍光灯)等の映り込みを防止するために設けられる。本発明の実施形態においては、映り込み防止層は、液晶化合物の配向固化層である。高温高湿環境下における映り込み防止層の剥がれおよびシワを抑制したことが、本発明の特徴の1つである。
映り込み防止層用基材50は、映り込み防止層50を形成するために用いられる。
E−1.反射防止層用基材本体
反射防止層用基材20は、反射防止層30を形成するために用いられる。後述するように、反射防止層用基材に反射防止層を形成し、反射防止層用基材/反射防止層の積層体を偏光板に貼り合わせることにより、偏光板を反射防止層形成プロセス(代表的には、スパッタリング)に供する必要がなくなる。その結果、偏光板が高温に曝されることがなくなるので、偏光板の水分率を上記所望の範囲に維持することができる。
上記のとおり、反射防止層用基材の反射防止層側の表面には、ハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層を形成することにより、鉛筆硬度の向上という利点がある。さらに、ハードコート層と反射防止層との屈折率差を適切に調整することにより、反射率をさらに低下させることができる。
反射防止層の構成としては、任意の適切な構成が採用され得る。反射防止層の代表的な構成としては、(1)光学膜厚が120nm〜140nmである、屈折率1.35〜1.55程度の低屈折率層の単一層;(2)反射防止層用基材側から順に中屈折率層と高屈折率層と低屈折率層とを有する積層体;(3)高屈折率層と低屈折率層との交互多層積層体;が挙げられる。
第1の位相差層は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。1つの実施形態においては、第1の位相差層は、λ/2板として機能し得る。第1の位相差層がλ/2板として機能することにより、λ/4板として機能する第2の位相差層との積層後の波長分散特性(特に、位相差がλ/4を外れる波長範囲)について、位相差が適切に調節され得る。このような第1の位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは220nm〜320nmであり、より好ましくは240nm〜300nmであり、さらに好ましくは250nm〜280nmである。
第2の位相差層は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第1の位相差層がλ/2板として機能する場合、第2の位相差層は、代表的にはλ/4板として機能し得る。λ/4板として機能する第2の位相差層の波長分散特性を、上記λ/2板として機能する第1の位相差層の光学特性によって補正することによって、広い波長範囲での円偏光機能を発揮することができる。このような第2の位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm〜180nmであり、より好ましくは110nm〜170nmであり、さらに好ましくは120nm〜160nmである。
本発明の1つの実施形態による反射防止層および映り込み防止層付偏光板の製造方法は、偏光子および保護層を含む偏光子積層体を作製すること;反射防止層用基材に反射防止層を形成し、反射防止積層体を作製すること;映り込み防止層用基材に映り込み防止層を形成し、映り込み防止積層体を作製すること;および、該偏光子積層体、該映り込み防止積層体および該反射防止積層体を貼り合わせることを含む。
本発明の実施形態による反射防止層および映り込み防止層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。代表的には、反射防止層および映り込み防止層付偏光板は、反射防止層が視認側となるようにして画像表示装置の視認側に配置され得る。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、量子ドット表示装置が挙げられる。
実施例および比較例で用いた反射防止層用基材を搬送方向が短辺となるように200mm×300mmの大きさに切り出して測定試料とし、この測定試料の初期重量を測定した。次いで、この測定試料を120℃で24時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を決定した。
水分率(重量%)=〔(初期重量−乾燥重量)/初期重量〕×100
(2)剥がれおよびシワ
実施例および比較例で得られた反射防止層および映り込み防止層付偏光板を、偏光子の吸収軸方向が短辺となるように200mm×300mmに切り出し、ガラス板に貼り合わせて測定試料とした。この測定試料について、以下の2つの条件で過酷加湿耐久性試験を行った。試験には10個の測定試料を使用し、それぞれの測定試料における反射防止層および映り込み防止層付偏光板の4隅の剥がれおよびシワを観測し、発生率および平均長さを算出した。なお、発生率については、剥がれおよびシワの有無を目視で観察し、40か所(10個の測定試料×4隅)のうち発生している場所の数から発生率を求めた。平均長さについては、定規により長さを測定し、その平均値を算出した。
<試験条件1>
測定試料を85℃および85%RHのオーブンに100時間置いた。
<試験条件2>
測定試料における反射防止層および映り込み防止層付偏光板の周縁部に、シリンジを用いてグリセリンを塗布し、当該塗布試料を65℃および90%RHのオーブンに24時間置いた。
1.偏光板(偏光子積層体)の作製
樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
続いて、積層体のPVA系樹脂層(偏光子)表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布して、保護層を構成するメタクリル樹脂フィルム(厚み:25μm、グルタルイミド構造を有する)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱した。その後、樹脂基材をPVA系樹脂層から剥離した。続いて,積層体のPVA系樹脂層表面(樹脂基材剥離面)に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布して、保護層を構成するメタクリル樹脂フィルム(厚み:40μm、グルタルイミド構造を有する)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱した。このようにして、偏光子積層体(保護層/偏光子/保護層の構成を有する偏光板)を得た。なお、偏光子の厚みは5μm、単体透過率は42.3%であった。
コニカミノルタ株式会社製のTACフィルム(製品名:KC2UA、厚み:25μm)の片面にハードコート処理によりハードコート(HC)層(厚み:7μm)を形成することにより、HC−TACフィルム(厚み:32μm)を得た。このHC−TACフィルムを反射防止層用基材として用いた。反射防止層用基材のHC層表面に、SiOxからなる密着層(厚み:10nm)をスパッタリングにより形成し、さらに、当該密着層上にNb2O5膜(高屈折率層)、SiO2膜(低屈折率層)、Nb2O5膜(高屈折率層)、およびSiO2膜(低屈折率層)を順次製膜することにより、反射防止層(厚みまたは光学膜厚:200nm)を形成した。さらに、反射防止層上にパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物からなる防汚層(厚み:10nm)を形成し、反射防止積層体を作製した。この反射防止積層体を加湿処理(65℃および90%RHのオーブンに24時間放置)に供した。得られた反射防止積層体(実質的には、反射防止層用基材)の水分率は3.8重量%であった。
映り込み防止層用基材としてのコニカミノルタ株式会社製のTACフィルム(製品名:KC4UY、厚み:40μm)の片面に、特開2014−214177号公報の<実施例1>に記載の方法に準じて配向膜および液晶化合物の配向固化層(映り込み防止層)を形成し、映り込み防止積層体を作製した。なお、映り込み防止層は、面内位相差Re(550)が270nmであり、その遅相軸が偏光子の吸収軸に対して45°の角度をなすように形成した。
偏光子積層体(偏光板)の40μm保護層面に、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を介して、映り込み防止積層体の映り込み防止層を貼り合わせ、得られた積層体の映り込み防止層用基材の表面に、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を介して、反射防止積層体のHC−TACフィルムを貼り合わせ、反射防止層および映り込み防止層付偏光板を得た。得られた反射防止層付偏光板を上記(2)の評価に供した。結果を表1に示す。
反射防止積層体の加湿処理の条件を「40℃、92%RHおよび24時間」に変更し、貼り合わせ時の反射防止層用基材の水分率を3.1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして反射防止層および映り込み防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
反射防止積層体に加湿処理を行わず、貼り合わせ時の反射防止層用基材の水分率を1.6重量%としたこと以外は実施例1と同様にして反射防止層および映り込み防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
反射防止積層体を72時間真空乾燥し、貼り合わせ時の反射防止層用基材の水分率を0.4重量%としたこと以外は実施例1と同様にして反射防止層および映り込み防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
11 偏光子
12 保護層
20 反射防止層用基材
30 反射防止層
40 映り込み防止層
50 映り込み防止層用基材
100 反射防止層および映り込み防止層付偏光板
Claims (5)
- 偏光子および該偏光子の一方の側に設けられた保護層を有する偏光板と、該保護層に貼り合わせられた液晶化合物の配向固化層である映り込み防止層と、映り込み防止層用基材と、該映り込み防止層用基材に貼り合わせられた反射防止層用基材と、該反射防止層用基材に直接形成された反射防止層と、を備え、
該映り込み防止層の面内位相差Re(550)が220nm〜320nmであり、該映り込み防止層の遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度が35°〜55°であり、
該反射防止層用基材の水分率が2.0重量%以上である、
反射防止層および映り込み防止層付偏光板。 - 65℃および90%RHで24時間保持した後の、前記反射防止層用基材の寸法変化率が、0.03%未満である、請求項1に記載の反射防止層および映り込み防止層付偏光板。
- 前記映り込み防止層と前記映り込み防止層用基材との間に配向膜をさらに備え、該配向膜がポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1または2に記載の反射防止層および映り込み防止層付偏光板。
- 請求項1から3のいずれかに記載の反射防止層および映り込み防止層付偏光板の製造方法であって、
偏光子および保護層を含む偏光子積層体を作製すること、
反射防止層用基材に反射防止層を形成し、反射防止積層体を作製すること、
映り込み防止層用基材に映り込み防止層を形成し、映り込み防止積層体を作製すること、および
該偏光子積層体、該映り込み防止積層体および該反射防止積層体を貼り合わせること、
を含み、
該映り込み防止層の面内位相差Re(550)が220nm〜320nmであり、該映り込み防止層の遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度が35°〜55°であり、
該反射防止層用基材の水分率が2.0重量%以上である、
製造方法。 - 前記反射防止層用基材が加湿処理されている、請求項4に記載の製造方法。
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