JP7234309B2 - 光学積層体 - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記第1の光学機能体は、映り込み防止積層体であって、該映り込み防止積層体は、上記第1の粘着剤層と接触する映り込み防止層と、該映り込み防止層の視認側に配置され、上記第2の粘着剤層と接触する第1基材とを含む。
1つの実施形態においては、上記第2の光学機能体は、反射防止積層体であって、該反射防止積層体は、上記第3の粘着剤層と接触する第2基材と、該第2基材の視認側に配置されるハードコート層と、該ハードコート層の視認側に配置される反射防止層と、を含む。
1つの実施形態においては、上記反射防止層は、光学積層体の最表面に位置し、該反射防止層の透湿度は、0.1g/mm2以下である。
1つの実施形態においては、上記偏光板は、偏光子と、該偏光子の視認側に配置され、上記第1の粘着剤層と接触する保護層と、を含む。
1つの実施形態においては、上記偏光子の厚みは、10μm以下である。
1つの実施形態においては、上記光学積層体は、前記偏光板の視認側の反対側に、該偏光板側から順に配置される第1の位相差層および第2の位相差層をさらに備え、第1の位相差層が、nx>ny>nzの屈折率特性を示し、第2の位相差層が、nz>nx>nyの屈折率特性を示す。
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。図示例の光学積層体1は、偏光板2と、偏光板2の視認側に第1の粘着剤層61を介して貼り合わされた第1の光学機能体3と、第1の光学機能体3の視認側に第2の粘着剤層62を介して貼り合わされる補強層5と、補強層5の視認側に第3の粘着剤層63を介して貼り合わされた第2の光学機能体4と、を備える。すなわち、第2の光学機能体4と、第3の粘着剤層63と、補強層5と、第2の粘着剤層62と、第1の光学機能体3と、第1の粘着剤層61と、偏光板2とは、光学積層体1の視認側からこの順に積層される。
第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63のそれぞれの厚みは、17μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、代表的には5μm以上である。第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ厚みを有してもよく、互いに異なる厚みを有してもよい。本発明の1つの実施形態において、第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ厚みを有する。
第1の光学機能体3の厚みと補強層5の厚みと第2の光学機能体4の厚みとの総和は、200μm以下であり、好ましくは180μm以下であり、より好ましくは170μm以下であり、代表的には140μm以上である。
光学積層体の視認側の表面に生じるオレンジピールは、粘着剤層の凹凸に起因する場合がある。これに対して、上記のような構成であれば、各粘着剤層の厚みが上記上限以下であるので、粘着剤層の凹凸が光学積層体の視認側の表面に影響することを抑制でき、光学積層体の視認側の表面にオレンジピールが生じることを抑制できる。しかし、各粘着剤層の厚みを上記上限以下とすると、局所的な荷重に対する光学積層体の耐性が低下するおそれがある。この点、上記のような構成であれば、第1の光学機能体と第2の光学機能体との間に補強層が設けられているので、光学積層体に対して所定値以上の荷重が局所的に加えられた場合であっても亀裂が発生せず、結果として光抜けおよび輝点(ホワイトドット)が抑制された画像表示装置を実現し得る。さらに、第1の光学機能体の厚みと補強層の厚みと第2の光学機能体の厚みとの総和が上記上限以下であるので、第1の光学機能体と第2の光学機能体との間に補強層を設けても、高湿環境下における光学積層体の反りを抑制し得る。そのため、オレンジピールの抑制、局所的な荷重に対する耐性および高湿環境下における反りの抑制をバランスよく満足した光学積層体を実現し得る。
このような構成によれば、光学積層体1の厚みが上記上限以下であるので、高湿環境下における光学積層体の反りを安定して抑制し得る。また、光学積層体1の厚みが上記下限以上であるので、光学積層体に対して所定値以上の荷重が局所的に加えられた場合であっても亀裂が発生することを安定して抑制し得る。
本発明の1つの実施形態においては、偏光板2は、偏光子21と、偏光子21の視認側に配置される保護層22とを備える。保護層22は、代表的には、任意の適切な接着層(接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して偏光子21の視認側に貼り合わされている。すなわち、偏光板2は、偏光子21と、接着層と、保護層22とからなってもよい。保護層22は、偏光子21と第1の粘着剤層61との間に位置し、第1の粘着剤層61と接触している。保護層22は、第1の粘着剤層61に感圧接着されている。また、偏光板2は、偏光子21の視認側と反対側に第2の保護層をさらに備えてもよい。
偏光子21としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光板2を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
保護層22は、偏光子21の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
第1の光学機能体3は、光学積層体1に所望の光学的機能を付与し得る。第1の光学機能体3として、例えば、映り込み防止積層体、サングラス対策積層体等が挙げられる。
第1の光学機能体3の厚みは、代表的には20μm~60μmであり、好ましくは30μm~50μmである。
映り込み防止層32は、画像表示装置の使用者の顔、画像表示装置のキーボード、外光(例えば、蛍光灯)等の映り込みを防止するために設けられる。本発明の1つの実施形態において、映り込み防止層32は、液晶化合物の配向固化層である。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。液晶化合物は、棒状液晶化合物であってもよく、ディスコティック(円盤状)液晶化合物であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
第1の基材31は、映り込み防止層32を形成するために用いられる。
補強層5は、局所的な荷重に対する優れた耐性を光学積層体1に付与する。本発明の1つの実施形態において、補強層5は、第1の基材31に第2の粘着剤層62を介して貼り合わされる。補強層5は、第2の粘着剤層62と第3の粘着剤層63との間に配置される。補強層5は、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63と接触しており、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63に感圧接着されている。
第2の光学機能体4は、光学積層体1に、第1の光学機能体3とは異なる光学的機能を付与し得る。第2の光学機能体4として、例えば、反射防止積層体、サングラス対策積層体等が挙げられる。
第2の光学機能体4の厚みは、代表的には40μm~120μmであり、好ましくは70μm~100μm以下である。
第2の基材41は、ハードコート層42および反射防止層43を形成するために用いられる。第2の基材41としては、任意の適切な樹脂フィルムが用いられる。第2の基材41の形成材料としては、例えば、上記C-2項で説明した第1の基材31の形成材料と同様のもの(上記したポリエステル系樹脂、上記したシクロオレフィン系樹脂、上記したシクロオレフィンとα-オレフィンとの付加重合により得られる樹脂、および、上記したセルロース系樹脂)が挙げられる。本発明の1つの実施形態において、第2の基材41は、TAC系樹脂を含む。
ハードコート層42は、光学積層体1に優れた鉛筆硬度を付与し得る。さらに、ハードコート層42と反射防止層43との屈折率差を適切に調整することにより、光学積層体1の反射率をさらに低下させることができる。
反射防止層43は、外光(例えば、蛍光灯)等の反射を防止するために設けられる。反射防止層43の構成としては、任意の適切な構成が採用され得る。反射防止層43の代表的な構成としては、(1)光学膜厚が120nm~140nmである、屈折率1.35~1.55程度の低屈折率層の単一層;(2)第2の基材41から順に中屈折率層と高屈折率層と低屈折率層とを有する積層体;(3)高屈折率層と低屈折率層との交互多層積層体;が挙げられる。
第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63のそれぞれは、粘着剤(感圧接着剤)から形成される。より詳細には、第1の粘着剤層61は、偏光板2の保護層22上に粘着剤を上記した厚みとなるように塗工して形成される。第2の粘着剤層62は、第1の光学機能体3の第1の基材31上に粘着剤を上記した厚みとなるように塗工して形成される。第3の粘着剤層63は、補強層5上に粘着剤を上記した厚みとなるように塗工して形成される。第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ粘着剤から形成されもよく、互いに異なる粘着剤から形成されてもよい。本発明の1つの実施形態において、第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ粘着剤から形成される。第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63が互いに同じ粘着剤から形成されると、光学積層体1の製造コストの低減を図り得る。
(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とするモノマー成分(原料モノマー)の重合体を含有する。言い換えれば、(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を含む。アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーの原料となる全モノマー成分において、50重量%以上であることが好ましく、当該アルキル(メタ)アクリレート以外のモノマーの残部として任意に設定できる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
粘着剤は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、有機系架橋剤、多官能性金属キレートなどを用いることができる。有機系架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤が挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。粘着剤が放射線硬化型である場合、架橋剤として多官能性モノマーを用いることができる。架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。架橋剤は、好ましくは、イソシアネート系架橋剤および過酸化物系架橋剤を含む。
粘着剤は、反応性官能基含有シランカップリング剤を含有することができる。反応性官能基含有シランカップリング剤は、反応性官能基が代表的には酸無水物基以外の官能基である。酸無水物基以外の官能基としては、例えば、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、スチリル基、アセトアセチル基、ウレイド基、チオウレア基、(メタ)アクリル基、複素環基、およびこれらの組み合わせが挙げられる。反応性官能基含有シランカップリング剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
粘着剤は、(メタ)アクリル系オリゴマーおよび/またはイオン性化合物を含有していてもよい。また、粘着剤は、添加剤を含有していてもよい。添加剤の具体例としては、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物が挙げられる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。また、粘着剤は、反応性基(例えば、反応性シリル基)を有するポリエーテル化合物を含んでいてもよい。添加剤の種類、数、組み合わせ、含有量等は、目的に応じて適切に設定され得る。添加剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは3重量部以下であり、さらに好ましくは1重量部以下である。
粘着剤の23℃55%RHにおける貯蔵弾性率は、代表的には0.05GPa以上、好ましく0.11GPa以上であり、代表的には0.2GPa以下、好ましくは0.15GPa以下である。なお、貯蔵弾性率は、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「ARES」を用いてJIS K 7244に準じて測定され得る。粘着剤の弾性率がこのような範囲であれば、局所的な荷重に対する光学積層体1の耐性の向上をより一層図ることができる。
第1の位相差層7は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第1の位相差層7は、偏光板2の視認側と反対側に位置する。第1の位相差層7は、代表的には、任意の適切な接着剤層を介して偏光子21の視認側と反対側に貼り合わせられている。第1の位相差層7は、偏光子21の視認側と反対側の保護層を兼ねてもよい。
第2の位相差層8は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第2の位相差層8は、第1の位相差層7の視認側と反対側に位置する。第2の位相差層8は、代表的には、任意の適切な接着剤層を介して第1の位相差層7の視認側と反対側に貼り合わせられている。
パネル側粘着剤層9は、第2の位相差層8の視認側と反対側に位置する。パネル側粘着剤層9は、代表的には、任意の適切な粘着剤を第2の位相差層8上に塗工して形成される。パネル側粘着剤層9の厚みは、好ましくは1μm~60μmであり、より好ましくは5μm~30μmである。なお、本発明の1つの実施形態では、光学積層体1はパネル側粘着剤層9を備えるが、光学積層体はパネル側粘着剤層を備えなくてもよい。
上記A項~I項に記載の光学積層体は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明の1つの実施形態は、そのような光学積層体を用いた画像表示装置も包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、代表的には、その視認側に上記A項~I項に記載の光学積層体を備える。画像表示装置は、画像表示パネルを含む。画像表示パネルは、画像表示セルを含む。なお、画像表示装置を光学表示装置と称する場合があり、画像表示パネルを光学表示パネルと称する場合があり、画像表示セルを光学表示セルと称する場合がある。
実施例および比較例で得られた光学積層体を、200mm×300mmサイズに切り出し、試験サンプルとした。試験サンプルにおいて、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、試験サンプルの幅方向(長手方向と直交する方向)に平行であった。次いで、パネル側粘着剤層によって、当該試験サンプルを黒色のアクリル板に貼り合わせた。アクリル板に貼り合わせた試験サンプルの視認側の表面に対して、反射角が45°~70°となるように蛍光灯を用いて光を入射して、試験サンプルの外観(視認側の表面)を目視により観察した。その結果を下記の基準で評価した。
A:目立たない凹凸感
B:目立つ凹凸感
C:著しく目立つ凹凸感
実施例および比較例で得られた光学積層体を、5cm×5cmサイズに切り出し、試験サンプルとした。次いで、パネル側粘着剤層によって、当該試験サンプルを、厚み1.2mmのガラス板に貼り合わせた。ガラス板に貼り合わせた試験サンプルを、突き刺し治具を装着したインデンターCMS試験機(インストロン社製、製品名:5581)のステージ上に載置した。突き刺し治具の先端部の曲率半径Rは、500μmであった。室温(23℃±3℃)環境下、ステージ上の試験サンプルに、突き刺し治具を荷重9kgで突き刺した。突き刺し試験後の光学積層体と標準偏光板とを、光学積層体の偏光子と標準偏光板の偏光子とがクロスニコル状態となるように配置したときの光抜けを目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:光抜けは認められない。
B:光抜けが実用上影響を与え得る程度に認められる。
C:光抜けが実用上許容不可能なほど顕著である。
実施例および比較例で得られた光学積層体を、200mm×300mmのサイズに切り出して、視認側サンプルとした。視認側サンプルにおいて、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、視認側サンプルの幅方向(長手方向と直交する方向)に平行であった。次いで、当該視認側サンプルを、パネル側粘着剤層によって、ガラス板の表面に貼り合わせた。ガラス板は、210mm×310mmのサイズを有し、ガラス板の厚みは、550μmであった。また、製造例で得られた積層体を、200mm×300mmのサイズに切り出し、光源側サンプルとした。光源側サンプルにおいて、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、光源側サンプルの長手方向に平行であった。次いで、当該光源側サンプルを、粘着剤層によって、ガラス板の裏面に貼り合わせた。これによって、視認側サンプルと、ガラス板と、光源側サンプルとが積層された試験サンプルを得た。
次いで、試験サンプルを、通常条件(50℃、5atm)で15分間、オートクレーブ処理した後、23℃55%RHの条件下で48時間静置し、続いて、65℃90%RHの条件下で48時間静置した。その後、試験サンプルの形状を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:バックライト側偏光板(光源側サンプル)を下側にして形状観察した場合に凹形状である。
B:バックライト側偏光板(光源側サンプル)を下側にして形状観察した場合に凸形状である。
なお、高湿試験後の試験サンプルが凸形状である場合、上側の視認側サンプル(実施例および比較例の光学積層体)が、下側の光源側サンプル(製造例の積層体)よりも膨張しており、視認側サンプルに反りが生じていると解される。
一方、高湿試験後の試験サンプルが凹形状である場合、高湿環境下において、下側の光源側サンプル(製造例の積層体)が、上側の視認側サンプル(実施例および比較例の光学積層体)よりも膨張しており、視認側サンプルの反りが抑制されていると解される。
後述する「1.偏光板(偏光子積層体)の作製」と同様にして、偏光板を得た。また、偏光子における保護層と反対側の面に、アクリル系粘着剤(後述する粘着剤PSA2)を塗工して、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層の厚みは、20μmであった。
また、保護層(アクリル系樹脂フィルム)における偏光子と反対側の面に、3M社製の反射型偏光子フィルム(製品名:APF-T35、厚み:38μm)を、アクリル系粘着剤(後述する粘着剤PSA3)を介して貼り合せた。これによって、アクリル系樹脂フィルムと反射型偏光子フィルムとの間に、粘着剤層が形成された。当該粘着剤層の厚みは、12μmであった。
以上によって、粘着剤層/偏光板/粘着剤層/反射型偏光子フィルムの構成を有する積層体を得た。
<粘着剤PSA2の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル99部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル1.0部および2,2´-アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて窒素ガス気流下、60℃で4時間反応させた後、その反応液に酢酸エチルを加えて、重量平均分子量165万のアクリル系ポリマーA2を含有する溶液(固形分濃度30重量%)を得た。
得られたアクリル系ポリマーA2溶液の固形分100部に対して、0.3部のジベンゾイルパーオキシド(日本油脂製(株):ナイパーBMT)と、0.1部のトリメチロールプロパンキシレンジイソシアネート(三井武田ケミカル(株):タケネートD110N)と、0.2部のシランカップリング剤(綜研化学株式会社製:A-100,アセトアセチル基含有シランカップリング剤)とを配合して、アクリル系粘着剤PSA2を得た。
<粘着剤PSA3の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート100部、アクリル酸5部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、重合開始剤として2,2´-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100gと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行い、重量平均分子量220万のアクリル系ポリマーA3を含有する溶液を得た。
得られたアクリル系ポリマーA3溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(東ソー(株)製、コロネートL)0.60部およびシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM403)0.20部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液(固形分11重量%)であるアクリル系粘着剤PSA3を得た。
1.偏光板(偏光子積層体)の作製
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの偏光子を形成した。
得られた偏光子の表面(樹脂基材とは反対側の面)に、保護層としてのグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが約2.0μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線をアクリル系樹脂フィルム側から照射して接着剤を硬化させた。次いで、樹脂基材を剥離して、アクリル系樹脂フィルム(保護層)/偏光子の構成を有する偏光板を得た。
映り込み防止積層体として、富士フイルム株式会社製の位相差層付きTACフィルム(製品名:HL214、厚み:42μm)を使用した。
反射防止積層体として、デクセリアルズ株式会社製のARフィルム(AR+HC厚み4μm、基材厚み:80μm)を使用した。
4-1.第1の粘着剤層~第3の粘着剤層およびパネル側粘着剤層に用いられる粘着剤PSA1の調製
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート94.9部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.1部およびアクリル酸5.0部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、このモノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)220万、Mw/Mn=3.0のアクリル系ポリマーA1の溶液を調製した。
アクリル系ポリマーA1溶液の固形分100部に対して、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3部、過酸化物架橋剤(ベンゾイルパーオキサイド)0.2部、エポキシ基含有シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名「KBM-403」)0.075部、および、反応性シリル基を有するポリエーテル化合物(カネカ社製、商品名「サイリルSAT10」)0.5部を配合して、粘着剤PSA1を得た。粘着剤層を構成する粘着剤について、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「ARES」を用いてJIS K 7244に基づき貯蔵弾性率を測定した。粘着剤PSA1の23℃55%RHにおける貯蔵弾性率は、0.11GPaであった。
偏光板の保護層上に、粘着剤PSA1を介して映り込み防止積層体を貼り合わせた。具体的には、保護層の視認側の表面に粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有する第1の粘着剤層を形成し、次いで、映り込み防止積層体の映り込み防止層を第1の粘着剤層に接触させて、映り込み防止積層体を第1の粘着剤層を介して偏光板に貼り合わせた。このとき、映り込み防止層(液晶化合物の配向固化層)の遅相軸が、偏光子の吸収軸に対して45°の角度をなすように調整した。
次いで、映り込み防止積層体の第1の基材上に、粘着剤PSA1を介して、補強層としてのグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)を貼り合わせた。具体的には、第1の基材の視認側の表面に粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有する第2の粘着剤層を形成し、補強層を第2の粘着剤層に接触させて映り込み防止積層体に貼り合わせた。
次いで、補強層上に、粘着剤PSA1を介して反射防止積層体を貼り合わせた。具体的には、補強層の視認側の表面に粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有する第3の粘着剤層を形成し、次いで、反射防止積層体の第2の基材を第2の粘着剤層に接触させて、反射防止積層体を第3の粘着剤層を介して補強層に貼り合わせた。
また、偏光子における保護層と反対側の面に、第1の位相差層としての環状オレフィン系フィルム(屈折率特性:nx>ny>nz、面内位相差:116nm)を紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。このとき、第1の位相差層の遅相軸が、偏光子の吸収軸に対して0°の角度をなすように調整した。その後、第1の位相差層における偏光子と反対側の面に、第2の位相差層として変性ポリエチレンフィルム(屈折率特性:nz>nx>ny、面内位相差:35nm)を紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。このとき、第2の位相差層の遅相軸が、偏光子の吸収軸に対して90°の角度をなすように調整した。
次いで、第2の位相差層における第1の位相差層と反対側の面に、粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有するパネル側粘着剤層を形成した。
以上によって、反射防止積層体/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。光学積層体が備える各層の厚み、光学積層体の総厚、および、映り込み防止積層体と補強層と反射防止積層体との総厚を、表1に示す。また、光学積層体を上記オレンジピール、突き刺し試験(光抜け)および高湿環境下における反りの評価に供した。結果を、映り込み防止積層体と補強層と反射防止積層体との総厚、および、各粘着剤層の厚みと併せて、表2に示す。
偏光板よりも視認側に第1の粘着剤層のみを形成したこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
偏光板よりも視認側に第1の粘着剤層および映り込み防止積層体のみを形成したこと以外は、比較例1と同様にして、映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
映り込み防止積層体と反射防止積層体との間に補強層を設けずに、反射防止積層体を第2粘着剤層を介して映り込み防止積層体に貼り合わせたこと以外は、比較例1と同様にして、反射防止積層体/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
第1の粘着剤層、第2の粘着剤層、第3の粘着剤層およびパネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、反射防止積層体/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
第3の粘着剤層と反射防止積層体との間に、第2の補強層および第4の粘着剤層を設けたこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、反射防止積層体/第4の粘着剤層/第2の補強層/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。なお、第2の補強層は、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)であった。また、第4の粘着剤層は、第2の補強層の視認側の表面に粘着剤PSA1を、表1に示す厚みとなるように塗工して形成された。
補強層の厚みを80μmに変更したこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、反射防止積層体/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
映り込み防止積層体を、富士フイルム株式会社製の位相差層付きTACフィルム(製品名:HL214、厚み:42μm)から日東電工株式会社製のポリカーボネート系映り込み防止フィルム(厚み82μm)に変更したこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、反射防止積層体/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
表2から明らかなように、各粘着剤層の厚みを17μm以下とし、映り込み防止積層体と反射防止積層体との間に補強層が設け、かつ、映り込み防止積層体と補強層と反射防止積層体との総厚を200μm以下とすることにより、オレンジピールの抑制、局所的な荷重に対する耐性および高湿環境下における反りの抑制をバランスよく満足した光学積層体が得られることがわかる。
2 偏光板
21 偏光子
22 保護層
3 映り込み防止積層体
31 第1の基材
32 映り込み防止層
4 反射防止積層体
41 第2の基材
42 ハードコート層
43 反射防止層
5 補強層
61 第1の粘着剤層
62 第2の粘着剤層
63 第3の粘着剤層
7 第1の位相差層
8 第2の位相差層
Claims (5)
- 偏光板と、
該偏光板の視認側に第1の粘着剤層を介して貼り合わされた第1の光学機能体と、
該第1の光学機能体の視認側に第2の粘着剤層を介して貼り合わされた補強層と、
該補強層の視認側に第3の粘着剤層を介して貼り合わされた第2の光学機能体と、を備え、
該第1の光学機能体は、映り込み防止積層体であって、
該映り込み防止積層体は、
該第1の粘着剤層と接触する映り込み防止層と、
該映り込み防止層の視認側に配置され、該第2の粘着剤層と接触する第1基材と、を含み、
該第2の光学機能体は、反射防止積層体であって、
該反射防止積層体は、
該第3の粘着剤層と接触する第2基材と、
該第2基材の視認側に配置されるハードコート層と、
該ハードコート層の視認側に配置される反射防止層と、を含み、
該第1の粘着剤層、該第2の粘着剤層および該第3の粘着剤層のそれぞれの厚みは、17μm以下であり、
該第1の光学機能体の厚みと該補強層の厚みと該第2の光学機能体の厚みとの総和は、200μm以下である、光学積層体。 - 前記反射防止層は、光学積層体の最表面に位置し、
前記反射防止層の透湿度は、0.1g/mm2以下である、請求項1に記載の光学積層体。 - 前記偏光板は、
偏光子と、
前記偏光子の視認側に配置され、前記第1の粘着剤層と接触する保護層と、を含む、請求項1または2に記載の光学積層体。 - 前記偏光子の厚みは、10μm以下である、請求項3に記載の光学積層体。
- 前記偏光板の視認側の反対側に、該偏光板側から順に配置される第1の位相差層および第2の位相差層をさらに備え、
前記第1の位相差層が、nx>ny>nzの屈折率特性を示し、
前記第2の位相差層が、nz>nx>nyの屈折率特性を示す、請求項1~4のいずれかに記載の光学積層体。
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