JP6899408B2 - 鞍乗型車両のテールライト構造 - Google Patents

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Description

本発明は、外観上での発光領域が複数存在して且つコストを抑制することのできる鞍乗型車両のテールライト構造に関する。
特許文献1には、自動二輪車の車体後方ランプにおいて発光部が上下に2分割して形成される構造が開示されている。ここで、下方側の発光部は電球等によるテールランプ等として構成され、上方側の発光部はLED(発光ダイオード)によるハイマウントストップランプとして構成されている。
特許第3516403号
特許文献1の車体後方ランプは、発光部を2分割して形成するに際して、分割されるそれぞれの発光部に対して光源を設ける必要があり、コストが増加するという課題があった。
この従来技術の課題に鑑み、本発明は、外観上での発光領域が複数存在して且つコスト増加を抑制することのできる鞍乗型車両のテールライト構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、
発光の際に外面視において相互に分離した第1発光領域(D)及び第2発光領域(U)が形成される鞍乗型車両のテールライト構造(20)において、
光源(32)と、互いに異なる向きに面して配置される第1リフレクタ(33)及び第2リフレクタ(34)と、を備え、
車体背面視において前記第1発光領域(D)の内部に前記光源(32)が配置されており、
前記第1発光領域(D)は、前記第1リフレクタ(33)によって前記光源(32)の光を反射することによって形成され、前記第2発光領域(U)は、前記第2リフレクタ(34)によって前記光源(32)の光を反射することによって形成されること
を第1の特徴とする。
また、本発明は、
前記第2リフレクタ(34)には車体背面視において前記光源(32)を中心とした放射状段差が形成されていること
を第2の特徴とする。
また、本発明は、
前記第2発光領域(U)は、車体背面視において、前記第1発光領域(D)よりも上方に位置し、車幅方向中心ほど上下幅を長尺とし、車幅方向外側に向かうにつれて上下幅が小さくなる外郭形状として形成されることにより、前記光源(32)を中心とした同心円に沿わない外郭形状を有して形成されていること
を第3の特徴とする。
また、本発明は、
前記第1リフレクタ(33)には車体背面視において前記光源(32)を中心とした同心円状段差が形成されていること
を第4の特徴とする。
また、本発明は、
前記第1リフレクタ(33)は、車体背面視において、前記光源(32)を中心且つ焦点として配置される同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状を有して構成されていること
を第5の特徴とする。
また、本発明は、
前記第1リフレクタ(33)における前記同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状において、前記光源(32)に最も近い中心に、半径が最大となるパラボラ曲面(D1)または当該パラボラ曲面(D1)の近似形状が形成されていること
を第6の特徴とする。
また、本発明は、
前記第2リフレクタ(34)は、車体背面視において、前記光源(32)を中心として放射状に広がり互いに隣接する複数の切片面(U1〜U5)を有すること
を第7の特徴とする。
また、本発明は、
前記複数の切片面(U1〜U5)の各々は、前記光源(32)を焦点(f)とする回転放物面における微小回転角度範囲(θ1〜θ5)の要素形状または当該要素形状の近似形状として構成されていること
を第8の特徴とする。
また、本発明は、
前記複数の切片面(U1〜U5)は、対応する前記微小角度範囲(θ1〜θ5)が車両上下方向に近いものほど、車体背面視において上下方向に長尺に形成されていること
を第9の特徴とする。
また、本発明は、
前記複数の切片面(U1〜U5)のうち、隣接するもの同士は、前記光源(32)を焦点(f)として互いに異なる焦点距離における回転放物面の要素形状または当該要素形状の近似形状として構成されることで、当該隣接するもの同士の間に車体上面視において段差が形成されるものであること
を第10の特徴とする。
また、本発明は、
前記第1リフレクタ(33)は前記光源(32)を通り車両後方に向かう直線(+x)上において第1範囲(R1)内にあり、前記第2リフレクタ(34)は前記直線(+x)上において第2範囲(R2)内にあり、前記第1範囲(R1)の方が前記第2範囲(R2)よりも車両前方にあること
を第11の特徴とする。
また、本発明は、
前記第2発光領域(U)は、車体背面視において車幅方向中央に位置して形成されており、前記第2発光領域(U)の車幅方向の両側端に接して、左右一対のウインカ領域(W)が形成されていること
を第12の特徴とする。
また、本発明は、
前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)は共通のアウタレンズ(30)において形成され、前記前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)の間に遮光部材(23)が配置されることによって前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)が分離して形成されること
を第13の特徴とする。
また、本発明は、
車体背面視において、前記第1発光領域(D)は前記第2発光領域(U)よりも前記光源(32)に近接して形成されており、
車両前後方向において、前記第1リフレクタ(33)と前記第1発光領域(D)との距離(p33、d)の方が、前記第2リフレクタ(34)と前記第2発光領域(U)との距離(p34,u)よりも大きいこと
を第14の特徴とする。
本発明の、
発光の際に外面視において相互に分離した第1発光領域(D)及び第2発光領域(U)が形成される鞍乗型車両のテールライト構造(20)において、
光源(32)と、互いに異なる向きに面して配置される第1リフレクタ(33)及び第2リフレクタ(34)と、を備え、
車体背面視において前記第1発光領域(D)の内部に前記光源(32)が配置されており、
前記第1発光領域(D)は、前記第1リフレクタ(33)によって前記光源(32)の光を反射することによって形成され、前記第2発光領域(U)は、前記第2リフレクタ(34)によって前記光源(32)の光を反射することによって形成されること
という第1の特徴によれば、
単一の光源を用いて複数の発光領域を形成することができるので、コストを抑制することができる。
本発明の、
前記第2リフレクタ(34)には車体背面視において前記光源(32)を中心とした放射状段差が形成されていること
という第2の特徴によれば、
第2リフレクタの車体前後方向の幅を抑制して省スペース化を実現し、且つ、第2リフレクタにおいて光源からの影となるダークエリアを低減して効率的に反射して発光させることができる。
本発明の、
前記第2発光領域(U)は、車体背面視において、車幅方向中心ほど上下幅を長尺とし、車幅方向外側に向かうにつれて上下幅が小さくなる外郭形状として形成されることにより、前記光源(32)を中心とした同心円に沿わない外郭形状を有して形成されていること
という第3の特徴によれば、
第2リフレクタによる反射を効率的に第2発光領域に反映させることができる。
本発明の、
前記第1リフレクタ(33)には車体背面視において前記光源(32)を中心とした同心円状段差が形成されていること
という第4の特徴によれば、
第1リフレクタの車体前後方向の幅を抑制して省スペース化を実現することができる。
本発明の、
前記第1リフレクタ(33)は、車体背面視において、前記光源(32)を中心且つ焦点として配置される同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状を有して構成されていること
という第5の特徴によれば、
パラボラ形状又はその近似形状によって第1リフレクタにおいて効率的な反射を実現し、且つ、第1リフレクタの車体前後方向の幅を抑制して省スペース化を実現することができる。
本発明の、
前記第1リフレクタ(33)における前記同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状において、前記光源(32)に最も近い中心に、半径が最大となるパラボラ曲面(D1)または当該パラボラ曲面(D1)の近似形状が形成されていること
という第6の特徴によれば、
第1発光領域において光源の近傍に充分な大きさの発光エリアを確保することができる。
本発明の、
前記第2リフレクタ(34)は、車体背面視において、前記光源(32)を中心として放射状に広がり互いに隣接する複数の切片面(U1〜U5)を有すること
という第7の特徴によれば、
第2リフレクタの車体前後方向の幅を抑制して省スペース化を実現し、且つ、第2リフレクタにおいて光源からの影となるダークエリアを低減して効率的に反射して発光させることができる。
本発明の、
前記複数の切片面(U1〜U5)の各々は、前記光源(32)を焦点(f)とする回転放物面における微小回転角度範囲(θ1〜θ5)の要素形状または当該要素形状の近似形状として構成されていること
という第8の特徴によれば、
第2リフレクタの車体前後方向の幅を抑制して省スペース化を実現し、且つ、第2リフレクタにおいて光源からの影となるダークエリアを低減して効率的に反射して発光させることができる。
本発明の、
前記複数の切片面(U1〜U5)は、対応する前記微小角度範囲(θ1〜θ5)が車両上下方向に近いものほど、車体背面視において上下方向に長尺に形成されていること
という第9の特徴によれば、
第2発光領域を効率的に発光させることが可能となる。
本発明の、
前記複数の切片面(U1〜U5)のうち、隣接するもの同士は、前記光源(32)を焦点(f)として互いに異なる焦点距離における回転放物面の要素形状または当該要素形状の近似形状として構成されることで、当該隣接するもの同士の間に車体上面視において段差が形成されるものであること
という第10の特徴によれば、
ダークエリアを低減して第2発光領域を効率的に発光させることが可能となる。
本発明の、
前記第1リフレクタ(33)は前記光源(32)を通り車両後方に向かう直線(+x)上において第1範囲(R1)内にあり、前記第2リフレクタ(34)は前記直線(+x)上において第2範囲(R2)内にあり、前記第1範囲(R1)の方が前記第2範囲(R2)よりも車両前方にあること
という第11の特徴によれば、
光源からの光を第1発光領域と第2発光領域との両方において効率的に活用して、第1発光領域と第2発光領域を発光させることができる。
本発明の、
前記第2発光領域(U)は、車体背面視において車幅方向中央に位置して形成されており、前記第2発光領域(U)の車幅方向の両側端に接して、左右一対のウインカ領域(W)が形成されていること
という第12の特徴によれば、
左右のウインカ領域の間に第2発光領域を設けて左右のウインカ領域同士を分離して配置することにより、テールライト構造においてリヤコンビネーションランプとしての機能性を確保することができる。
本発明の、
前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)は共通のアウタレンズ(30)において形成され、前記前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)の間に遮光部材(23)が配置されることによって前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)が分離して形成されること
という第13の特徴によれば、
第1発光領域と第2発光領域とでアウタレンズを共有してコスト増加を抑制することが可能となり、且つ、遮光部材によって第1発光領域と第2発光領域とを分離して形成することが可能となる。
本発明の、
車体背面視において、前記第1発光領域(D)は前記第2発光領域(U)よりも前記光源(32)に近接して形成されており、
車両前後方向において、前記第1リフレクタ(33)と前記第1発光領域(D)との距離(p33、d)の方が、前記第2リフレクタ(34)と前記第2発光領域(U)との距離(p34,u)よりも大きいこと
という第14の特徴によれば、
光源に近接した第1リフレクタの側において大きな面積を確保することでテールライトとしての視認性を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る自動二輪車のテールライト構造が適用された自動二輪車の左側面図である。 図1の自動二輪車の背面図である。 図2の部分拡大図としての、車体背面視でのテールライト構造の正面図である。 図3の対称線C−Cでの断面図である。 エクステンション及びリヤエンドカバーを取り外した状態の、車体背面視でのテールライト構造の灯体部分の正面図である。 図5の状態からさらにアウタレンズと左右一対のウインカレンズを取り外した状態の、車体背面視でのテールライト構造のうちハウジングのみの正面図である。 図6に示されるハウジングの斜視図である。 図5のG−G断面図である。 図6のH−H断面図として、第1リフレクタの断面形状の詳細を示す図である。 図6と同様の車体背面視でのハウジングの正面図において、主として第1リフレクタ及び第2リフレクタの要素構成に注目して符号を付したものである。 図6のJ−J断面図としての第2リフレクタの断面図である。 第2リフレクタの形状及び配置を第1リフレクタとの関係において説明するための模式図である。 第2リフレクタの各切片面を得るための微小回転角度範囲を車体背面視において模式的に示す図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車(鞍乗型車両)のテールライト構造が適用された自動二輪車の左側面図であり、図2は図1の自動二輪車の背面図である。
自動二輪車1は、運転者が足を乗せる低床フロアを有するスクータ型の鞍乗型車両である。自動二輪車1の車体フレーム2は、操向ハンドル3及び前輪WFが支持されたフロントフォーク4を操向可能に支承するヘッドパイプ2Aと、このヘッドパイプ2Aから下方に延出するダウンチューブ2Bと、このダウンチューブ2Bの下端部に連設されて後方に延びるリヤフレーム2Cと、を備える。
リヤフレーム2Cは、前端部がダウンチューブ2Bの下端に連結されて後方側に向けてほぼ水平に延びる一対の前部フレーム部2Dと、この前部フレーム部2Dの後端側から後上方に延びる左右一対の中間フレーム部2Eと、この中間フレーム部2Eの後端を相互に連結する後部フレーム部2Fと、を備える。
車体フレーム2は、合成樹脂製のカバー5で覆われている。このカバー5は、操向ハンドル3の周辺の部品を覆い、車速等を表示するメーター6が配設されるハンドルカバー5Aと、ヘッドパイプ2Aの前部及び前輪WFの上部を覆い、一体に構成されるヘッドライト7及び左右一対の前側ウインカ8が配設されるフロントカバー5Bと、このフロントカバー5Bに接合されて運転者の脚部前方を覆うレッグシールド5Cと、このレッグシールド5C及びフロントカバー5Bに接合されて車体前部の両側を覆う左右一対のサイドアンダーカバー5Dと、レッグシールド5Cに接合されて運転者の足元を支持するフロアボード5Eと、左右のサイドアンダーカバー5D及びフロアボード5Eに接合されて車体後部の両側を覆うリヤロアカバー5Fと、この左右のリヤロアカバー5F及びフロアボード5Eに接合されるリヤアッパーカバー5Gと、を備える。リヤアッパーカバー5Gの後部には後輪WRの上部を覆うリヤフェンダ9が装着される。リヤアッパーカバー5Gの上部には、運転者が座るシート10が設けられる。リヤアッパーカバー5Gの後部側上方にはリヤグリップ5Hが設けられる。
後輪WRは、車体フレーム2に揺動可能に支承されるパワーユニットPの後部に軸支される。パワーユニットPは、エンジンと、このエンジンの出力を後輪WRに伝達する無段変速機とによって構成される。パワーユニットPの前部は、図示しないリンク機構を介して中間フレーム部2Eに対して後輪WRの回転軸線と平行な揺動軸によって支承される。パワーユニットPの後部は、リヤクッション12を介して中間フレーム部2Eに対して取り付けられる。パワーユニットPの上部にはエンジンの吸入空気をフィルタを介して清浄化するエアクリーナACが設けられている。
左右一対のリヤアッパーカバー5Gの後部にはそれぞれ後端縁部11が形成されており、この実施形態のテールライト構造20は、その外周部において左右両側で後端縁部11へと接合される。テールライト構造20は、外面側の構成として、上部に配置される燃料タンク50(図4)のリッド21と、リヤアッパーカバー5Gに接合されるリヤエンドカバー22と、このリヤエンドカバー22の下方に配置されるエクステンション23と、このエクステンション23の下方に配置され、後端縁部11に接合されリヤフェンダ9が取り付けられるボトムカバー24と、を備える。ボトムカバー24には反射板25が取り付けられる。
テールライト構造20はまた、図4以降を参照して後述するように、内部側の構成として、ハウジング31、左右一対のウインカ光源41,41及びテールライトの光源32を備え、レンズ構成として、左右一対のウインカレンズ40,40及びアウタレンズ30を備える。
図3は、図2の部分拡大図としての、車体背面視でのテールライト構造20の正面図である。自動二輪車1の左右の対称線C−Cに対してテールライト構造20は対称とされる。図4は、図3の対称線C−Cでの断面図である。図3及び図4に示されるように、対称線C−Cに沿って車体上方より順に、リッド21、リヤエンドカバー22、上側領域U、エクステンション23、下側領域D、ボトムカバー24が配置されている。図3に示されるように、リヤエンドカバー22及びエクステンション23に隣接して左右一対のウインカ領域W,Wが形成される。左右一対のウインカ領域W,Wの間にテールライトの上側領域Uが配置され、且つ、左右一対のウインカ領域W,Wはエクステンション23(及びテールライトの下側領域D)に対して車体上方側に配置される。
このように、本実施形態のテールライト構造20は、テールランプ及び左右のウインカが一体で構成されることで車幅方向の寸法を低減可能な、リヤコンビネーションランプの構成において実装されるものである。
図4(及び後述する図5以降)において示されるように、テールライトの上側領域U及び下側領域Dは、テールライト用の共通のアウタレンズ30において形成されており、且つ、共通の単一の光源32が点灯し、この光をハウジング31に形成された第2リフレクタ34及び第1リフレクタ33でそれぞれ車体後方側へ反射することにより、上側領域U及び下側領域Dの両方が同時に発光するように構成されている。この反射を可能とするため、上側領域Uと第2リフレクタ34とは対向して配置され、下側領域Dと第1リフレクタ33とは対向して配置される。また、第1リフレクタ33及び第2リフレクタ34は、相互に異なる向きに面するものとして配置される。
アウタレンズ30は、無色透明または有色透明なポリカーボネート樹脂等により一体成型され、車両外部から見て発光する上側領域Uを形成するために車両後方側に突出して形成される上側レンズ部ULと、車両外部から見て発光する下側領域Dを形成するために車両後方側に突出して形成される下側レンズ部DLと、これら車両後方側に突出して形成される上側レンズ部UL及び下側レンズ部DLの間の位置において車両前方側にくぼんで形成される段差部Sと、を備える。
なお、用語として、図3に示すような組み立て時に、上側レンズ部ULにおいて車両外面に露出している部分が上側領域Uであり、下側レンズ部DLにおいて車両外面に露出している部分が下側領域Dである。上側レンズ部UL及び下側レンズ部DLは共に車両後方側に向けて突出して形成され、ハウジング31と共にテールライト構造20における内室空間を形成するが、この最も突出した頂面に相当するのがそれぞれ上側領域U及び下側領域Dである。上側領域U及び下側領域Dは光を拡散するためのカット加工を施したものとしてもよいし、加工なしの均一な厚みで光を拡散させることなく透過させるものとしてもよい。
また、上側領域U及び下側領域Dと同じく用語として、図3に示されるような組み立て時に、ウインカレンズ40において車両外部に露出している部分がウインカ領域Wである。ウインカ領域Wは光を拡散するためのカット加工を施したものとしてもよいし、加工なしの均一な厚みのものとしてもよい。
図1のリヤアッパーカバー5G及びこのさらに後部の車両最後端の箇所を示す図4に示されるように、自動二輪車1の後部形状は側面視後上がりとされる。すなわち、車体側面視において、自動二輪車1の後部形状の主要部を形成しているリヤエンドカバー22、上側領域Uを形成する上側レンズ部UL、下側領域Dを形成する下側レンズ部DL及びボトムカバー24は、傾斜方向SLに略平行な面(断面)を有している。傾斜方向SLとは、図4に矢印(ベクトル)で示す車体垂直上方向UPに対して、矢印の終点が車体後方にずれた方向である。また、上側領域U及び下側領域Dの間にあるエクステンション23は、この傾斜方向SLと略直角な面を有することで、上側領域Uと下側領域Dとの間で段差を形成している。アウタレンズ30も、このエクステンション23に覆われた箇所において、対応する段差部Sを有している。
この段差部Sの存在により、図4に説明用の車体後方向きの水平座標軸Lを用いて示されるように、側面視後上がりとされるアウタレンズ30において、下側レンズ部DLの下側領域Dの位置d(下側領域Dの上下幅での中心位置で、図4ではこの中心位置から水平座標軸L上へ下ろした垂線の位置dが、この中心位置の水平方向位置(車両前後方向位置)を表現するものとして示されている)の方が、上側レンズ部ULの上側領域Uの位置u(同様に、上側領域Uの上下幅での中心位置で、図4ではこの中心位置から水平座標軸L上へ下ろした垂線の位置uが、この中心位置の水平方向位置を表現するものとして示されている)よりも、より車体後方側に位置している。また、ハウジング31において、第1リフレクタ33の位置p33の方が、第2リフレクタ34の位置p34よりも、車体前方側に位置している。ここで、各位置u,d,p33,p34は、対応する各領域等の代表位置を、水平座標軸L上で示したものである。位置u、dは上記の通り上側領域U及び下側領域Dの上下幅での中心位置を水平軸L上で示したものであり、位置p33、p34は図4に示されるようにそれぞれ、車体背面視において位置uに重なる第2リフレクタ34の水平位置と、車体背面視において位置dに重なる第1リフレクタ33の水平位置である。以上の関係より車両前方側から車両後方側へ向かって、位置p33,p34,u,dの順に位置している。また、図3に示されるように、下側領域Dの縦幅DHは上側領域Uの縦幅UHよりも広く、下側領域Dの横幅DWは上側領域Uの横幅UWよりも広い。
上記の関係により、本実施形態のテールライト構造20は次の効果を奏することができる。すなわち、車体背面視において光源32をその内部に含むことによって、光源32に近接する下側領域Dに関して、車体側面方向の幅(位置dと位置p33との間の距離)及び車幅方向の幅並びに垂直方向の幅を全て、上側領域Uのものよりも大きく確保することにより、第1リフレクタ33及びアウタレンズ30の下側領域Dで囲まれるリフレクタ面積を確保し、テールライトの視認性を向上させることが可能となる。一方、車体背面視において光源32をその内部には含まず、光源32から相対的に遠隔にある上側領域Uに関して、車体側面方向の幅(位置uと位置p34との間の距離)及び車幅方向の幅並びに垂直方向の幅を全て、下側領域Dのものよりも小さくして設けることにより、光源32からの反射光を効率的に車体後方の外部へと導いたうえで、上側領域Uの視認性を向上させることが可能となる。さらに、これらは主に一体成型されるアウタレンズ30及びハウジング31と単一の光源32と、遮光部材としての不透明な合成樹脂等で形成されるエクステンション23とによって実現可能であり、発光する箇所が上側領域U及び下側領域Dと分かれて存在するテールライト構造20において部品点数を減らしコスト増加を抑制することが可能となる。
また、以下のような構成によって、本実施形態のテールライト構造20は機能性及びデザイン性が確保される。
図3に示されるように、ウインカの方向指示器としての機能実現のため、左右のウインカ領域W,Wを互いに区別して視認可能とするのに必要な、左右間隔を確保するための箇所、すなわち、車体背面視で左右のウインカ領域W,Wの間の箇所にリヤエンドカバー22及びテールライトの上側領域Uが設けられている。また、車体背面視で左右のウインカ領域W,W及びテールライトの上側領域Uは、これらの下部がエクステンション23に接することで、互いに概ね同じ高さに位置している。このエクステンション23は、側面視後上がりの自動二輪車1の後部形状(図1の左右一対のリヤアッパーカバー5Gによる形状)にフィットして湾曲することで、左右一対の後端縁部11を介して左右一対のリヤアッパーカバー5Gに接続される形状とされる。さらに、車体背面視でエクステンション23によって車体上側及び車幅の両外側より囲まれ、ボトムカバー24によって車体下側より囲まれるようにして、テールライトの下側領域Dが形成されている。
また、図3に示されるように、車体背面視で左右のウインカ領域W,Wには、その境界がリヤエンドカバー22及びエクステンション23によって画定されることで、鋭角の楔形状部V,Vが形成されており、この左右の楔形状部V,Vの頂点の位置において、すなわち、互いに離間した左右のウインカ領域W,W同士の車幅方向で互いに最も近い位置において、車幅方向に延びるテールライトの上側領域Uの車幅方向の両端と接している。
以上のような構成により、本実施形態のテールライト構造20においては、リヤコンビネーションランプとしての機能性の確保と、スポーティな印象を与える側面視後上がりの自動二輪車1の後部形状との調和によるデザイン性の確保とが実現されている。
またさらに、図4に示されるように、テールライト構造20の車両前方側に、テールライト構造20と近接する形で、後部フレーム部2Fによって支持される燃料タンク50が配設されている。燃料タンク50に対しては、ヒンジ軸52によって支承されるリッド21を運転者等が上方側へと開いたうえで、空間SPにアクセスして栓51を外して給油することができる。本実施形態のテールライト構造20は後述するように、車幅方向のみでなく車両の前後方向での幅も小さくすることが可能で省スペース化に寄与するものである。本実施形態においては具体的に、図4に示されるようにこのテールライト構造20に車両の前後方向で近接した位置に燃料タンク50を配置し、且つ、光源32の上部にあってリヤエンドカバー22とほぼ同じ高さ範囲を占める空間SPを給油の際に栓51へとアクセスするための空間として確保することが可能となり、スペースの有効活用が実現される。
図5は、エクステンション23及びリヤエンドカバー22を取り外した状態の、車体背面視でのテールライト構造20の灯体部分200の正面図である。灯体部分200は主に、左右一対のウインカレンズ40,40、アウタレンズ30、左右一対のウインカ光源41,41、光源32及びハウジング31で構成される。
車体背面視において、下側領域Dの内部に光源32が配置される。車体背面視において、上側領域Uの内部には光源32やその他の光源は配置されない。
図5に示されるように、ハウジング31の前面側(車体後方側)は、車体側への取り付けのためのステー63,64の箇所(図8において後述)を除く全面が、左右一対のウインカ光源41,41の照射を受けてウインカ領域W,Wを形成する左右一対のウインカレンズ40,40と、アウタレンズ30と、が取り付けられることによって覆われている。左右一対のウインカレンズ40,40は、エクステンション23やリヤエンドカバー22によって覆われていないウインカ領域W,Wにおいて、車両外部に露出するアウタレンズであり、それぞれ、無色透明または有色透明のポリカーボネート樹脂等により一体成型される。
図5に示されるように、アウタレンズ30の下側レンズ部DLには、ボトムカバー24をアウタレンズ30に対して位置決めするための複数のボトムカバー用係合凹部640と、ボトムカバー24の凸部(不図示)のうち対応するものが係合する複数のボトムカバー用係合凹部650と、が形成されている。また、アウタレンズ30は、下側レンズ部DLにおいて、左右一対の第1共締めネジ70と、車幅方向中心の第2共締めネジ71によって、ハウジング31と共に車体側に共締め固定される。また、左右一対のウインカレンズ40にはそれぞれ、リヤエンドカバー22を位置決めするためのリヤエンドカバー用係合凹部65が形成されており、左右一対の第3共締めネジ72によって、ハウジング31と共に車体側に共締め固定される。
図6は、図5の状態からさらにアウタレンズ30と左右一対のウインカレンズ40を取り外した状態の、車体背面視でのテールライト構造20のうちハウジング31のみの正面図である。図3、5,6に示されるように、テールライト構造20は、ハウジング31に対して左右一対のウインカレンズ40及びアウタレンズ30を取り付けたうえで、車体側へと固定し、さらに、リヤエンドカバー22及びエクステンション23を取り付けることによって得ることができる。
図7は、図6に示されるハウジング31の斜視図である。以下、主に図6及び図7を参照しながら、本実施形態のハウジング31の構造とテールライト構造20の発光の態様とを説明する。
ハウジング31には、アウタレンズ30と共に車体側に対して、左右一対の第1共締めネジ70及び車幅方向中心の第2共締めネジ71(図5)によってそれぞれ共締め固定されるための、左右一対の第1ネジ穴73及び車幅方向中心の第2ネジ穴74が設けられている。ハウジング31には、左右一対のウインカレンズ40のそれぞれと共に車体側に対して、左右一対の第3共締めネジ72(図5)によって共締め固定されるための、左右一対の第3ネジ穴75が設けられている。車体背面視にてハウジング31の外周部には、ハウジング31を車体側に取り付けるための、左右対称の複数のステー63と、車幅方向中心にあり第2ネジ穴74が設けられているステー64と、が設けられている。
ハウジング31は、合成樹脂等により一体成型され、車両後方側の面はメッキや金属蒸着が施された反射面とされ、この反射面において、テールライト用の光源32の光を車両後方へと反射することでアウタレンズ30において下側領域D及び上側領域Uをそれぞれ発光させる第1リフレクタ33及び第2リフレクタ34と、左右一対のウインカ光源41,41の光をそれぞれ車両後方へと反射することでウインカレンズ40,40においてウインカ領域W,Wを発光させる第3リフレクタ42,42と、光源(テールライト用の光源32及びウインカ光源41)の光を反射するようには配置されていないが車両外部からの光を反射するように、第1リフレクタ33の車幅方向両側の位置に第1リフレクタ33よりも車両後方側へと突出して配置されている、左右一対の第4リフレクタ35,35と、が形成されている。
この左右一対の第4リフレクタ35,35と、これらが囲む位置にある第1リフレクタ33とは、アウタレンズ30によって覆われて下側領域Dを形成している。後述する図12にも示される通り、下側領域Dの車幅方向中央が第1リフレクタ33に面する領域であり、下側領域Dの車幅方向両端側の部分が左右一対の第4リフレクタ35,35に面する領域である。テールライトの光源32からの光は第1リフレクタ33の部分で車体後方側へと反射される一方、第1リフレクタ33よりも車両後方側に突出して形成されており、車両後方側に面する第4リフレクタ35,35にはこの光は到達しない。従って、テールライトの光源32の発光により、下側領域Dのうち、車幅方向中央の第1リフレクタ33に対応する領域のみが発光し、車幅方向両端側の左右一対の第4リフレクタ35,35に対応する領域は発光しない。
上記のように、左右一対の第4リフレクタ35,35は光源32の光を反射せず下側領域Dにおいて非発光の領域を形成するが、第1リフレクタ33よりも車両後方側に変位してアウタレンズ30により近接した位置にあることで、外部からの光をより顕著に反射してより顕著な視認性を有することで、下側領域Dを外部から見た際のデザイン性に寄与している。
また、左右一対の第4リフレクタ35,35は下側領域Dにおいて非発光の領域を形成するが、この位置は、車体背面視及び車体側面視の両方において、エクステンション23を挟んで左右のウインカ領域Wの直下にある。従って、テールライトの光源32が発光して下側領域Dが発光し、同時に、左右のウインカ光源41,41のいずれかが発光して対応するウインカ領域Wが発光した際に、直下の下側領域Dの端部が非発光状態であるため、発光しているウインカ領域Wの視認性を高めることができ、リヤコンビネーションランプとしてのテールライト構造20の機能性を向上させることができる。
図6及び図7に示されるように、第1リフレクタ33は、車体背面視において、光源32を中心とする同心円状の段差が形成されるものである。この段差の形成に関しては図9等を参照して後述する。また、第2リフレクタ34は、車体背面視において、光源32を中心として放射状の段差が形成されるものである。この段差の形成に関しては、図11等を参照して後述する。
図8は、図5のG−G断面図である。図6〜図8に示されるように、テールライト構造20における左右一対のウインカの構成は以下の通りである。ウインカ構成は左右対称であるので、左右の区別なく説明する。
ハウジング31は、ウインカ光源41を配置するための構成として、ウインカ光源41よりも車両前方側に配置され車両後方側に面する放物面状の形状を有する第3リフレクタ42と、第3リフレクタ42に車幅方向内側において略直角をなして接し、車両上下方向及び車両前後方向に張られる第1内壁部48と、第3リフレクタ42に車両下側において略直角をなして接する第2内壁部49と、第1内壁部48に対して車両後方側において接し、ウインカレンズ40がその面に近接して配置され、車両後方に面する内側頂面部46と、第3リフレクタ42に車幅方向外側において接し、車両後方及び側方に面する外側頂面部47と、内側頂面部46、第2内壁部49及び外側頂面部47の下端と接し、アウタレンズ30の段差部Sがその面に近接して配置される下側側壁部44と、第3リフレクタ42及び外側頂面部47の車幅方向外側と接し、車幅方向外側に面する外側側壁部43と、下側側壁部44及び内側頂面部46と接し、第2リフレクタ34の側に面する内側側壁部45と、を備える。
ウインカ構造においては、内側頂面部46及び外側頂面部47が車両後方側及び側方側に面する湾曲した頂面構造をなし、内側側壁部45、下側側壁部44及び外側側壁部43がこの頂面構造に向かって車両後方に突出してこの頂面構造を囲む側壁構造をなしており、ウインカレンズ40はこの湾曲した頂面構造と側壁構造とを覆う形状とされる。また、第3リフレクタ42、第1内壁部48、第2内壁部49及びウインカレンズ40によって囲まれる空間として、ウインカ光源41内の内室空間が画定される。
ウインカ光源41の光のうち車両後方側及び車両外側方向に向かうものは、ハウジング31内での反射をすることなく直接、ウインカレンズ40を透過してこの方向に放射される。その他、ウインカ光源41の光は、放物面状とされる第3リフレクタ42によって車両後方側に反射されるほか、第1内壁部48及び第2内壁部49によって車両外側方側にも反射される。ウインカ光源41の光がこの第1内壁部48及び第2内壁部49による反射で遮蔽されることで、ウインカ領域Wはテールライトの上側領域Uや下側領域Dに干渉(重複)することなく、明瞭に形成することが可能となる。また、図に示されるように、ウインカ光源41はテールライトの光源32よりも車両前方側に位置しており、このような位置関係からもウインカ領域Wをテールライトの上側領域Uや下側領域Dと明瞭に区別して形成することが可能となる。
ウインカ光源41の位置は、放物面状とされる第3リフレクタ42の焦点の位置とすることで、第3リフレクタ42で反射される光を車両後方に直進させるようにすることができる。
車体背面視で第1内壁部48よりも車幅方向内側にある内側頂面部46は、略三角形状をなしてウインカレンズ40に覆われ、この略三角形状の車幅方向内側の頂点が前述の図3の楔形状部Vに対応している。従って、ウインカ領域Wのうち、車幅方向内側の楔形状部Vの付近は、第1内壁部48及び内側頂面部46の存在によりウインカ光源41からの光が到達しないため、外観上非発光の領域となり、車幅方向内側に隣接するテールライトにおいて発光する上側領域Uとウインカとしての発光領域とを、この非発光領域の幅だけ互いに離間することで明瞭に区別することが可能となる。
図4等を参照して、テールライト構造20におけるテールライトの発光態様の概要が、単一の光源32の光を第1リフレクタ33において反射させて下側領域D(車幅方向外側を除く)を発光させ、また、同一の光源32の光を第2リフレクタ34においても反射させて上側領域Uを発光させるものであることを既に説明した。さらに図6〜図8に示される通り、その詳細は以下の通りである。
第1リフレクタ33の周辺には、車両上方側においては第1リフレクタ33の面よりも車両後方側に突出し、車両下方側及び車幅方向両外側においては第1リフレクタ33の面よりも車両前方側に向かうことで第1リフレクタ33の下端部において段差を形成する縁部36(図6,7,4)が形成されている。縁部36はアウタレンズ30の段差部S及び下側レンズ部DLが係合する形状とされ、縁部36の車幅方向両側部には下側レンズ部DLのボトムカバー用係合凹部650がその裏側(車体前方側で凸形状をなす)において係合するための下側レンズ部用係合凹部66が形成されている。縁部36の車幅方向中央にはアウタレンズ30に係合するために車体後方側に突出するアウタレンズ用凸部37が形成されている。
図8にその断面形状が示されるように、第1リフレクタ33の形状は、光源32を焦点とし、車両後方に光源32からの反射光を導くように構成された同心円状の回転楕円面として、断片的な同心円環状の回転放物面の集まり(多重パラボラ面)によって、車体背面視における面を構成するものとされる。
図9は、図6のH−H断面図として、第1リフレクタ33の断面形状の詳細を示す図である。図9では光源32の位置としての焦点fを共有する8つの放物線群として、焦点fに近い側から8つの放物線pr1〜pr8が示されている。第1リフレクタ33の断面は、互いに隣接して接続される曲面部D1〜D14を備えて、焦点fを共有する多重パラボラ面を有して形成されている。
図10は、図6と同様の車体背面視でのハウジングの正面図において、主として第1リフレクタ33及び第2リフレクタ34の要素構成に注目して符号を付したものである。図10に示されるように、正面視において第1リフレクタ33は焦点f(光源32)を中心とした同心円カット形状で構成され、中心側から順に複数の曲面部D1〜D14が存在する。図9に示す断面形状を放物線の対称軸(焦点fを通り車体前後方向に向かう水平軸)で回転させた形状として、図10の第1リフレクタ33の多重パラボラ面を有する形状が得られる。曲面部D1〜D14のうち奇数番曲面部D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13が多重パラボラ面を形成する。なお、図示されるようにこの多重パラボラ面は、縁部36及び第2リフレクタ34の下端部によって囲まれる範囲内において形成される。
第1リフレクタ33はこのような多重パラボラ面を有して構成されることにより、車体前後での幅を節約することが可能となり、図4で説明したように、その近傍に燃料タンク50を配置する等のスペースの有効活用が実現される。
図9を参照して、上記の通り前後幅を節約可能である理由を説明する。曲面部D1〜D14はこの順に車体背面視で焦点f(光源32)に近いものとして配置され、互いに隣接して構成される。このうち、1つおきの奇数番曲面部D1、D3、D5,D7,D9,D11,D13は、それぞれ対応する放物線pr1、pr2、pr3、pr4、pr5、pr6、pr7、pr8上にあり、且つ、それぞれが焦点f(光源32)からの光を遮られることなく受けて車両後方に反射可能なように配置され、回転面として多重パラボラ面を形成する。これら放物線pr1、pr2、pr3、pr4、pr5、pr6、pr7、pr8は焦点fを共有し、この順にF値(焦点fからの距離)が大きくなるような放物線とされる。一方、これら1つおきの奇数番曲面部D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13間には、1つおきに偶数番曲面部D2、D4、D6、D8、D10、D12が配置される。
奇数番曲面部D1等は対応する放物線形状に沿って、車幅方向外側に延びるにつれ車体後方側に向かうよう形成されているのに対し、これら奇数番曲面部の間にある偶数番曲面部D2等は車幅方向外側に延びるにつれて逆に車体前方側に向かうように形成されている。こうして、車幅方向中心位置から車幅方向外側に延びるにつれ、交互にジグザグ状に車体前方及び後方に向かう断面形状において多重パラボラ面を内包することで第1リフレクタ33が形成されることにより、第1リフレクタ33の車体前後方向でのスペースを節約することが可能となる。対比例として例えば、図9の横幅の範囲において放物線pr1〜pr8のいずれかによる単一パラボラ面で仮にリフレクタを構成したとすると、放物線形状に沿って車幅方向中心位置から外側に延びるにつれ急激に車体後方に向かうように形成されることから、車体前後方向での幅が大きくなってしまうことを、図より見て取ることができる。
図11は、図のJ−J断面図としての第2リフレクタ34の断面図である。図12は、第2リフレクタ34の形状及び配置を第1リフレクタ33との関係において説明するための模式図である。
正面図の図10に示されるように、第2リフレクタ34は光源32を中心とする放射状カットがなされた複数の切片面U1〜U5(光源32を中心として放射状に広がり互いに隣接する複数の切片面U1〜U5)を有して形成され、車幅方向中心位置の切片面U1を中心として、左右対称に車幅方向外側に向けて切片面U2〜U5(それぞれ切片面U2,U2等として左右対称なペアをなす)が互いに隣接して形成されている。
図12では、説明のためのx、y直交座標として、車両後方に向かう水平軸として+x軸を、車両垂直上方に向かう軸として+y軸を取り、これらの交点である原点に光源32の位置として焦点fが設けられている。この焦点fを共有する放物線群pr11、pr12、pr13、pr14、pr15が、焦点fに近い側から(F値の小さい側から)の順番で描かれており、水平方向で焦点fを含む第2範囲R2内において、各放物線pr11、pr12、pr13、pr14、pr15上にはこの順番で短くなる曲線線分s11、s12、s13、s14、s15が存在する。
第2リフレクタ34の切片面U1、U2、U3、U4、U5の表面形状はそれぞれ、この曲線線分s11、s12、s13、s14、s15を図12のx軸回りに、図13に示すような微小な角度範囲θ1、θ2、θ3、θ4、θ5(小さいと判定される所定の角度範囲)だけ回転させて得られる、回転放物面における当該微小角度範囲の要素形状とされる。(図13は、第2リフレクタ34の各切片面U1、U2、U3、U4、U5を得るための微小回転角度範囲θ1、θ2、θ3、θ4、θ5を車体背面視において示す図である。)なお、図11における曲線cr1、cr2、cr3、cr4、cr5は、この際の回転面(微小角度範囲ではなく360°回転させる場合には回転放物面となる)のJ−J断面における形状(放物線)を表している。
すなわち、第2リフレクタ34の切片面U1〜U5の各々は、第1リフレクタ33の1つおきの奇数番曲面部D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13と同様に、光源32の位置を焦点fとして車両後方側に向かう水平軸で回転させた回転放物面として構成されるものである。ここで、第1リフレクタ33の回転放物面群と、第2リフレクタ34の回転放物面群とは、焦点fを光源32の位置として共有している。
なお、曲線線分s11、s12、s13、s14、s15は対応する放物線上での位置及び長さを回転の際に、回転角度に応じて変わるようにして、切片面U1、U2、U3、U4、U5を得るようにしてもよい。
こうして微小角度範囲の回転で得られる第2リフレクタ34の各切片面U1、U2、U3、U4、U5は、正面視の図10に示されるようにそれぞれ、その下端位置(車両前後方向での最前方位置)が第1リフレクタ33の偶数番曲面部D2、D4、D4、D6、D8において接するように配置されている。
このように配置されることにより、第2リフレクタ34の切片面U1〜U5の各々が水平方向(図12の+x軸方向)で占める第2範囲R2は、第1リフレクタ33がその奇数番曲面部D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13において占める第1範囲R1と区別されて、重複せずに存在している。
以上のように構成される第2リフレクタ34の形状や配置に関して、本実施形態では以下の第1性質〜第4性質が存在する。
(第1性質…車体上面視での段差の存在)
車体上面視の状態に相当する図11に示される第2リフレクタ34の断面形状は、第1リフレクタ33の断面と同様に、F値が順に大きくなる各切片面U1、U2、U3、U4、U5の間を、F値が大きくなる車両前方側の隣接放物面へと向かう段差で接続することにより、車両前後方向での幅を節約することが可能なものである。
(第2性質…車幅中央側ほど上下方向に長尺に形成される)
曲線線分s11、s12、s13、s14、s15はこの順番で短くなるものとされ、且つ、対応する回転させる微小な角度範囲θ1、θ2、θ3、θ4、θ5は、この順番で、図13に示す車体背面視で車両上下方向から車幅外側方向に乖離していくものとされることで、第2リフレクタ34の形状が構成されている。
これにより、正面視の図10に示すように、複数の切片面U1、U2、U3、U4、U5は、対応する微小な角度範囲θ1、θ2、θ3、θ4、θ5が車両上下方向に近いものほど、上下方向に長尺に形成されることとなる。この性質は、後述するダークエリアを低減させることに寄与している。
なお、上側領域Uの車体背面視での外郭形状も、この第2性質に整合させて、車幅方向中心ほど上下幅を長尺とし、車幅方向外側に向かうにつれて上下幅が小さくなるものとされる。この外郭形状はまた、光源32を中心とした同心円(第1リフレクタ33の多重パラボラ面の間の段差として形成される同心円)には沿わない形とされることで、後述するダークエリア低減に寄与するものとされる。
(第3性質…第1リフレクタ33との水平後方での位置関係)
第1リフレクタ33は図12に水平方向での第1範囲R1として示されるように、焦点f(光源32)よりも、放物線群の奥の側、すなわち、車両前方側に形成されるものであり、第2リフレクタ34は水平方向での第2範囲R2として示されるように、焦点fの近傍位置及び焦点fよりも車両後方側に形成されるものである。
この図12に示されるような位置関係によって、図4で説明したような、光源32の光を第1リフレクタ33及び第2リフレクタ34でそれぞれ反射して、下側領域D(車幅方向の両端を除く)と上側領域Uを発光させる構成が実現される。(なお、図4での水平座標軸L上の位置p33及びp34は、図12におけるそれぞれ第1範囲R1内の位置及び第2範囲R2内の位置に対応する。)
(第4性質…第1リフレクタ33及び第2リフレクタ34を光源32から見た角度範囲)
第1リフレクタ33は、主として光源32よりも奥の側に照射される光源32の光(車両前方側に照射される光)を車両後方に向けて反射して、下側領域Dを形成することができる。なお、下側領域Dの発光には、反射を経ることなく光源32から直接、車両後方に向けて照射される光も寄与する。一方、第2リフレクタ34は、主として光源32から垂直上方側の一定角度範囲に向かう光を車両後方に向けて反射して、上側領域Uを発光させることができる。アウタレンズ30の段差部Sは、この垂直上方側に向かう光を遮断しないように一定の空間を確保している。
すなわち、第1リフレクタ33は、光源32を起点として車両後方に向かう水平軸(図12の+x軸方向)に対して第1角度範囲(車両前方を含む角度範囲)にあり、第2リフレクタ34は、この水平軸に対して第2角度範囲(車両上方を含む角度範囲)にあり、これら第1角度範囲及び第2角度範囲に重複箇所は存在しないものとして構成されている。
以上のような本実施形態のテールライト構造20によれば、上側領域U及び下側領域Dを共に、効率的に発光させることが可能である。すなわち、図10に示すように、第1リフレクタ33において、1つおきの奇数番曲面部D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13は、それぞれF値の異なる放物面として、光源32に対して「山」の向きによって構成され、光源32の光を車両後方に向けて反射する発光エリアを形成するものであるのに対し、1つおきの偶数番曲面部D2、D4、D6、D8、D10、D12はこれらの間で光源32に対して「谷」の向きによって構成されることで、ダークエリアを形成するものである。
本実施形態においては、光源32に最も近く光源32がその内部に配置されている中央の奇数番曲面部D1を、車体背面視においてその他の曲面部よりも大きな半径切片(車体背面視において同心円状の多重パラボラ面の各々がなす円環形状の幅)を有して大きな領域として形成している。従って、光源32の近傍領域を充分な広さを有した発光エリアとして形成することが可能であり、従って、下側領域Dもその中心付近を充分な広さを有した発光エリアとして形成することが可能となる。
一方、図10に示される通り、第2リフレクタ34は図12で説明した手法で複数の切片面U1〜U5を配置して形成していることから、切片面U1〜U5は全て発光エリアとなり、ダークエリアを形成するのは、切片面U1〜U5の隣接するもの同士の間にわずかに形成される細い隙間領域のみとなる。その理由は、図11の断面に示されるように、ダークエリアを形成しうる切片面U1〜U5における隣接切片面同士の段差の向きが、車両の前後方向に近い向きとされ、正面視において幅が小さくなるためである。この幅が小さくなることは、第2リフレクタ34の各切片面U1〜U5を、光源32を中心として放射状に設けたことによって得られる効果である。
すなわち、例えば切片面U1、U2間の段差面はほぼ車両の前後方向に平行であり、F値が大きくなるに従って段差面の向きが車両の左右側方により大きく傾くようになることから、切片面U3,U4の間に小さなダークエリアが形成され、切片面U4,U5の間にこれよりもわずかに大きいが小さなダークエリアが形成されている。そして、上側領域Uのほぼ全域はこの発光エリアを覆っているため、上側領域Uのほぼ全域を発光エリアとして確保することが可能となる。
対比例として、仮に第2リフレクタ34を設けることなく、第1リフレクタ33の同心円カットを上側領域Uの箇所まで延長して設けたとすると、概ね図10における曲面部D5〜D10が上側領域Uに延長して現れることとなり、上側領域Uは大きな面積割合でダークエリアを形成することとなってしまう。本実施形態においては第2リフレクタ34を設けることで、上側領域Uのほぼ全域を発光エリアとして確保することが可能となる。
以上、本発明をその一実施形態に関して説明したが、種々の変形例も可能である。例えば、多重パラボラ面D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13や切片面U1〜U5は、焦点fを中心とした完全な回転放物面(所定精度で回転放物面とされるもの)の形状で構成されるのではなく、この近似形状として、例えばポリゴンフィッティング等により平面(ポリゴン)要素を敷き詰めた形状として構成されるようにしてもよい。放物線以外の類似形状の曲線や線分群を回転させた面や、その近似形状を用いてもよい。例えば、切片面U1〜U5は、回転放物面の切片としての位置及び範囲を、曲面形状としてではなく平面形状である台形(車体上方側の上底が長く車体下方側の下底が短い台形)として構成されるようにしてもよい。
1…自動二輪車、鞍乗型車両、20…テールライト構造、U…上側領域、D…下側領域
32…光源、33…第1リフレクタ、34…第2リフレクタ
D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13…曲面部(多重パラボラ面)
+x…水平軸(直線)、R1…第1範囲、R2…第2範囲
U1〜U5…切片面、θ1〜θ5…微小角度範囲、f…焦点
30…アウタレンズ、23…エクステンション、遮光部材

Claims (11)

  1. 発光の際に外面視において相互に分離した第1発光領域(D)及び第2発光領域(U)が形成される鞍乗型車両のテールライト構造(20)において、
    光源(32)と、互いに異なる向きに面して配置される第1リフレクタ(33)及び第2リフレクタ(34)と、を備え、
    車体背面視において前記第1発光領域(D)の内部に前記光源(32)が配置されており、
    前記第1発光領域(D)は、前記第1リフレクタ(33)によって前記光源(32)の光を反射することによって形成され、前記第2発光領域(U)は、前記第2リフレクタ(34)によって前記光源(32)の光を反射することによって形成され
    前記第1リフレクタ(33)は、車体背面視において、前記光源(32)を中心且つ焦点として配置される同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状を有して構成され、
    前記第1リフレクタ(33)における前記同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状において、前記光源(32)に最も近い中心寄りの側に、同心円状の各円環形状の幅である半径切片が最大となるパラボラ曲面(D1)または当該パラボラ曲面(D1)の近似形状が形成され、
    前記第2リフレクタ(34)は、車体背面視において、前記光源(32)を中心として放射状に広がり互いに隣接する複数の切片面(U1〜U5)を有し、
    前記複数の切片面(U1〜U5)の各々は、前記光源(32)を焦点(f)とする回転放物面における、車体背面視で前記光源(32)を中心として定義される回転範囲での、微小回転角度範囲(θ1〜θ5)の要素形状または当該要素形状の近似形状として構成され、且つ、車体背面視で前記第1リフレクタ(33)における前記半径切片が最大となるパラボラ曲面(D1)または当該パラボラ曲面(D1)の近似形状の外部に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両のテールライト構造。
  2. 前記第2リフレクタ(34)には車体背面視において前記光源(32)を中心とした放射状段差が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  3. 前記第2発光領域(U)は、車体背面視において、前記第1発光領域(D)よりも上方に位置し、車幅方向中心ほど上下幅を長尺とし、車幅方向外側に向かうにつれて上下幅が小さくなる外郭形状として形成されることにより、前記光源(32)を中心とした同心円に沿わない外郭形状を有して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  4. 前記第1リフレクタ(33)には車体背面視において前記光源(32)を中心とした同心円状段差が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  5. 前記複数の切片面(U1〜U5)は、対応する前記微小回転角度範囲(θ1〜θ5)が車両水平方向よりも車両垂直方向に近いものほど、車体背面視において上下方向に長尺に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  6. 前記複数の切片面(U1〜U5)のうち、隣接するもの同士は、前記光源(32)を焦点(f)として互いに異なる焦点距離における回転放物面の要素形状または当該要素形状の近似形状として構成されることで、当該隣接するもの同士の間に車体上面視において段差が形成されるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  7. 前記第1リフレクタ(33)は前記光源(32)を通り車両後方に向かう直線(+x)上において第1範囲(R1)内にあり、前記第2リフレクタ(34)は前記直線(+x)上において第2範囲(R2)内にあり、前記第1範囲(R1)の方が前記第2範囲(R2)よりも車両前方にあることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  8. 前記第2発光領域(U)は、車体背面視において車幅方向中央に位置して形成されており、前記第2発光領域(U)の車幅方向の両側端に接して、左右一対のウインカ領域(W)が形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  9. 前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)は共通のアウタレンズ(30)において形成され、前記前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)の間に遮光部材(23)が配置されることによって前記第1発光領域(D)及び前記第2発光領域(U)が分離して形成されることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  10. 車体背面視において、前記第1発光領域(D)は前記第2発光領域(U)よりも前記光源(32)に近接して形成されており、
    車両前後方向において、前記第1リフレクタ(33)と前記第1発光領域(D)との距離(p33、d)の方が、前記第2リフレクタ(34)と前記第2発光領域(U)との距離(p34,u)よりも大きいことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
  11. 車体背面視において、前記複数の切片面(U1〜U5)の各々の下端部が、前記第1リフレクタ(33)が形成する同心円状の多重パラボラ面(D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13)の形状または当該形状の近似形状における、パラボラ面同士の間のダークエリア領域に接していることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の鞍乗型車両のテールライト構造。
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