JP6898967B2 - 汎用コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、汎用コンバインに係り、詳しくは刈取部を正逆転可能に駆動し得る汎用コンバインに関する。
一般に、汎用コンバインは、掻込リール、掻込オーガ及びフィーダを有する刈取部を機体前方に有しており、掻込リールで掻込んだ立毛穀稈を刈刃で刈取り、該刈取った穀稈を掻込オーガ及びフィーダ内の搬送コンベヤにより脱穀装置の入口部に搬送する。
従来、フィーダに正逆転切換ケースを設け、エンジンから上記刈取部に伝達する回転を、上記正逆転切換装置により正転又は逆転して伝達する汎用コンバインが案出されている(特許文献1)。
これにより、刈取部に穀稈等が詰まり、穀稈搬送に支障を来たした場合、オペレータは、上記正逆転切換装置を逆転に切換えて、刈取部の詰まりを除去することができる。
また、掻込オーガ(オーガドラム)の伝動上流側にトルクリミッタを配置し、掻込オーガに刈取穀稈が詰まる等の過負荷が生じた場合、上記トルクリミッタが動力伝達を遮断して、掻込オーガの損傷を防止した汎用コンバインが案出されている(特許文献2)。
特許第5797980号公報 特開2014−193116号公報
上記刈取部に詰まりが生じた場合、正逆転切換装置により逆回転を伝達して刈取部の詰まりを除去する際、想定より大きなトルクが掻込オーガに作用し、掻込オーガを破損する虞がある。
また、上記掻込オーガへの伝動経路にトルクリミッタを介在しても、該トルクリミッタは正回転時と逆回転時で同じトルク容量のトルクでトルク伝達を遮断するため、逆転して穀稈の詰まりの除去を行う際、詰まった穀稈から受ける抵抗によってトルクリミッタが作動して、掻込オーガが正常に逆転駆動せず、詰まり除去作業に手間や時間が掛ってしまう。
そこで、本発明は、刈取部に過負荷が生じた場合、トルクリミットとして装置の安全を確保すると共に、刈取部の穀稈詰まりを逆回転駆動して、容易に詰まりを除去することが可能な汎用コンバインを提供することを目的とするものである。
本発明は、掻込リール(13)、刈刃(17)、掻込オーガ(18)及びフィーダ(8)を有する刈取部(3)を走行機体(2)の前方に配置し、該刈取部で刈取った穀稈を脱穀装置(6)に搬送する汎用コンバイン(C)において、
エンジン(10)から上記刈取部(3)に動力を伝達する伝動経路に配置された正逆転切換装置(20)と、
該正逆転切換装置(20)から前記刈取部(3)に動力を伝達する伝動経路に配置されたトルクリミッタ(77)と、を備え、
前記トルクリミッタ(77)は、入力側の爪(99)と出力側の爪(97)とをスプリング(100)の付勢力により咬合し、前記入力側の爪及び出力側の爪は、正回転トルクで接合する正回転側傾斜面(e)と逆回転トルクで接合する逆回転側傾斜面(f)とを有し、前記逆回転側傾斜面(f)の傾斜角(B)が前記正回転側傾斜面(e)の傾斜角(A)より大きく、正回転時の許容トルクに対して逆回転時の許容トルクが大きい、
ことを特徴とする汎用コンバイン(C)にある。
例えば図7を参照して、前記正逆転切換装置(20)は、正回転伝達用のギヤ比に対して逆回転伝達用のギヤ比が大きい。
例えば図3を参照して、前記トルクリミッタ(77)は、前記掻込オーガ(18)の入力軸(91)上に配置されてなる。
例えば図10を参照して、前記トルクリミッタ(77)は、前記正逆転切換装置(20)の出力軸(43)上に配置されてなる。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、掻込オーガ等の刈取部に穀稈詰まりが生じた場合、正逆転切換装置により逆回転を刈取部に伝達して、上記穀稈詰まりを容易に除去することができる。
上記刈取部に穀稈詰まり等により過負荷が生じた場合、トルクリミッタによりトルクの伝達を遮断して、過負荷により刈取部が破損することを防止できる。上記詰まり除去のため刈取部に逆回転を伝達する場合、正回転伝達時に比して、詰まり等により刈取部に大きな負荷が作用しているが、トルクリミッタは、正回転時に比して逆回転時の伝達許容トルクが大きいので、逆回転時には初めから滑ることなく所定許容トルクを伝達して、穀稈詰まりを容易に除去することが可能となる。
トルクリミッタは、入力側爪及び出力側爪の両側に異なる傾斜角の傾斜面を有する簡単な構成からなり、正回転時及び逆回転時の許容トルクの設定が容易となり、メンテナンス等も容易となる。
請求項2に係る本発明によると、正逆転切換装置は、正回転伝達用のギヤ比に対して逆回転伝達用のギヤ比が大きいので、大きなトルクの逆回転を刈取部を伝達して、穀稈詰まり等を容易かつ確実に除去することができる。
請求項3に係る本発明によると、トルクリミッタが掻込オーガの入力軸上に配置したので、フィーダはトルクリミッタに拘りなく常に回転して、掻込オーガで詰まった穀稈をフィーダの入口まで確実に排出搬送することができる。
請求項4に係る本発明によると、掻込オーガに限らず、刈刃、フィーダ等の他の刈取部に過負荷を生じた場合でもトルクリミッタを作用することができ、また正逆転切換装置とトルクリミッタをまとめて配置して、メンテナンス性を良好にすることができる。
本発明を適用した汎用コンバインの側面図。 本発明を適用した汎用コンバインの平面図。 本汎用コンバインの動力系統図。 脱穀装置の要部正面図。 脱穀装置の要部側面図。 正逆転切換装置を示した斜視図。 (A)は、正逆転切換装置を示した左側面、(B)は、(A)のB−B断面図。 トルクリミッタを示す正面断面図。 トルクリミッタの要部の拡大正面図。 一部変更した動力系統図。
図1及び図2は、本発明を適用した汎用コンバインの側面図及び平面図である。本汎用コンバインCは、走行部である左右一対のクローラ式走行装置1,1に支持される走行機体2と、該走行機体2の前方に昇降可能に連結されて圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部3とを備えている。
前記走行機体2は、前記刈取部3の真後ろ側近傍における右寄り位置にオペレータが乗込んで操向操作を行う操縦部が形成されたキャビン4が設けられ、該キャビン4の後方斜め左側に前記刈取部3で刈取られた穀稈の脱穀作業等を行う脱穀装置6が設置され、該キャビン4の後方且つ脱穀装置6の右側に前記脱穀装置6で脱穀された処理物である穀粒を収容するグレンタンク7が配置され、該脱穀装置6の後方に脱穀後の藁屑等を排出する排出部5が設けられている。
前記刈取部3は、刈取った穀稈を脱穀装置6側に搬送するフィーダ8と、該フィーダ8の前端側に連結されて前方側に延設される刈取フレーム9と、該刈取フレーム9の前端側に設けた左右一対のデバイダ11と、該刈取フレーム9の後端部の上方側から前方に向かって延出された左右一対の支持アーム12と、該左右の支持アーム12の延出端の間に回転自在に架設支持された掻込リール13とを備えている。
左右一方側の支持アーム12と、刈取フレーム9との間には、伸縮によって前記掻込リール13を刈取部3の本体に対して昇降させるリールシリンダ14が設置され、左右他方側の支持アーム12には、掻込リール13側に動力を伝動する伝動ケース16が設けられている。すなわち、前記掻込リール13は、前記刈取部3の本体に対して昇降作動されると共に、前記伝動ケース16から伝動される動力によって自身の軸回りに回転駆動されるように構成されている。
前記刈取部3は、圃場の穀稈を前記左右のデバイダ11,11によって内側の刈取側と、外側の非刈取側とに分草し、該刈取側の植立穀稈は、前記掻込リール13によって刈取部側に掻込みながらデバイダ11の後方に備えたレシプロ式の刈刃17によって穀稈の根元側が刈取られる。これにより刈取られた穀稈は、前記刈取フレーム9側の掻込オーガ18により前記フィーダ8の前端側へ送られ、該フィーダ8に搬送された穀稈がフィーダ8の内部に備えた搬送コンベヤ19(図3参照)によって後方側に搬送される。フィーダ8の後端側へ搬送された刈取穀稈は前記脱穀装置6の前端側の扱口へと送られる。
また、前記刈取部3は、前記フィーダ8の後端側に設けられた正逆転切換装置20(図3参照)によって、上述の刈取作業を行う正転駆動と、前記刈取部3に穀稈等が詰まった状態を解消するために正転駆動と反対方向に駆動させる逆転駆動とを切換えることができるように構成されている。該正逆転切換装置20の具体的な構成については後述する。
前記脱穀装置6は、該脱穀装置6の上部側であって前記フィーダ8から搬送される刈取穀稈の脱穀作業を行う脱穀部と、該脱穀装置6の下部側であって前記脱穀部により脱穀された脱穀物(処理物)を穀粒と藁屑等の排塵物とに選別する選別部とから構成されている。
上記脱穀部は、前記フィーダ8の後端側から刈取穀稈が投入される扱室と、該扱室の前後方向全体に亘って形成された前後方向の扱胴回転軸回りに回転駆動自在に設けられて、前端側が漏斗型となる円筒状の扱胴と、該扱胴の下方に配置された受網25(図5参照)とを備えている。
上記選別部は、前記受網25を通過した脱穀物を揺動選別する揺動選別体と、選別風を送風する唐箕ファン21(図3参照)と、選別後の排塵物を機外へ排出する二番選別ファン等を備えている。
揺動選別体から漏下した前記処理物は、唐箕ファン21による選別風によって、選別された1番物である穀粒と、2番物とに選別され、選別された穀粒は、揚穀ラセン(図示しない)によって穀粒を貯蔵するグレンタンク7内に搬送される。該グレンタンク7内に貯蔵された穀粒は、走行機体の上面後方側に支持されたオーガ22を介して、機外に排出することができる。
次に、図3に基づき、本汎用コンバインの伝動構成について説明する。エンジン10で発生させた回転動力は、出力軸26に出力され、該出力軸26には、作業プーリ27が一体回転するように設けられている。
前記作業プーリ27に伝動された動力は、作業伝動軸28に伝動され、該作業伝動軸28に伝動された動力によって、前記刈取部3及び前記脱穀装置6が駆動される。以下、具体的に説明する。前記作業プーリ27と、前記作業伝動軸28と一体回転する作業伝動プーリ39とに掛け回される作業伝動ベルト31には、該作業伝動ベルト31のテンションを調整するテンションクラッチ32が設けられており、エンジン10から出力された動力は、前記出力軸26から作業伝動軸28側へと断続可能な構成で伝動される。
前記作業伝動軸28は、前記脱穀装置6内の枠体の左右幅に亘って延設されており、該枠体側に軸回転可能に支持されている。また、該作業伝動軸28には、第2作業プーリ33と、選別プーリ34とが一体回転するように設けられている。これにより、前記作業伝動軸28に伝動された動力は、第2作業プーリ33と、第2作業伝動プーリ36とで掛け回される第2作業伝動ベルト37を介して、該第2作業伝動プーリ36と一体回転する刈取伝動軸38へ伝動される。該第2作業伝動ベルト37には、作業伝動ベルト31と同様のテンションクラッチ30が設けられている。これにより、前記作業伝動軸28に伝動された動力によって、前記刈取部3及び前記脱穀装置6を駆動させる他、前記脱穀装置6のみを駆動させることもできる。
前記刈取伝動軸38は、前記脱穀装置6の枠体の前端側で、該枠体の左右幅に亘って延設されており、該刈取伝動軸38は、側面視で前記フィーダ8の下方側に配置されている(図5等参照)。
該刈取伝動軸38に伝動された動力は、前記刈取部3側に動力を伝動する刈取入力軸42に伝動される。これにより、前記刈取部3は、前記刈取伝動軸38に設けた前記正逆転切換装置20によって、圃場の作物の刈取作業を行う正転駆動とは反対方向に駆動する逆転駆動状態に切換えることができるように構成されている。該正逆転切換装置20の具体的な構成については後述する。
以上より、前記エンジンから脱穀装置6側の前記作業伝動軸28に伝動された動力は、脱穀装置6内側から前記刈取伝動軸38に伝動され、該刈取伝動軸38を介して機体内側から前記フィーダ8の下方を通って機体外側の前記正逆転切換装置20側に伝動され、該正逆転切換装置20を介して前記刈取部3側に動力を入力する前記刈取入力軸42に伝動される。
前記刈取入力軸42に伝動された動力は、前記刈取部3に伝達される。即ち、刈取入力軸42の回転は、フィーダ8内の搬送コンベヤ19に伝達され、またチェーン74を介して中間伝動軸72に伝達される。該中間伝動軸72の回転は、スプロケット73,チェーン75,スプロケット76及びトルクリミッタ77を介して掻込オーガ18に伝達される。なお、該トルクリミッタ77に関して、後に詳述する。上記中間伝動軸72の回転は、ベルト79を介してレシプロ刈刃17に伝達されると共に、チェーン80を介して中間軸81に伝達され、更にベルト82、チェーン83及びチェーン85を介して掻込リール13に伝達される。
次に、図3乃至7に基づいて、正逆転切換装置の具体的な構成について説明する。該正逆転切換装置20は、前記刈取伝動軸38と同芯状で一体に回転する入力軸42と、上記チェーン44を介して刈取部3に連動する出力軸43との間に配置され、入力軸42には入力スプロケット53及び入力ギヤ51が一体に嵌合され、出力軸43には出力スプロケット54及び出力ギヤ52が回転自在に支持されている。上記入力スプロケット53と出力スプロケット54との間にチェーン56が巻掛けられ同(正)回転を伝達し、入力ギヤ51と出力ギヤ52とが噛合して逆回転を伝達する。出力軸43には伝動切換部材50がスライドのみ自在に嵌合している。
上記逆転出力ギヤ52には、前記伝動切換部材50側に形成された係止部と係合可能な逆転側係止爪61が形成され、該出力側スプロケット54には、前記伝動切換部材50側に形成された係止部と係合可能な正転側係止爪62が形成されている。上記伝動切換部材50は、スライド方向にそれぞれ係止爪が形成されており、前記出力側スプロケット54(正転伝動チェーン56)側と、逆転出力ギヤ52側の何れか一方に択一的に係合されるように構成されている。
前記正逆転切換装置20は、図6及び図7に示すように、フィーダ8の一側(左側)に突出するように配置され、脱穀部のフレーム6aに取付けられたケース体60により囲われており、前記入力軸42、出力軸43は、該ケース体60に回転自在に支持されている。該ケース体60の前外側にはクラッチ操作機構47が配置されている。該クラッチ操作機構47は、前記ケース体60の前部側に軸支された前後方向の揺動軸66と、該揺動軸66を軸として揺動可能に支持された揺動アーム67と、該揺動アーム67の一方側に取付けられた引張スプリング(弾性部材)68と、該揺動アーム67の他方側に取付けられたワイヤ69と、該ワイヤ69と連係可能に設けられた切換レバー71とを備えている。
上記揺動軸66は、前記ケース体60の前方側から前記出力軸43下側まで延設され、該揺動軸66の軸回転に応じてクラッチ操作部57と当接する当接部(図示しない)等が設けられている。これにより、該揺動軸66は、前記揺動アーム67を介して、該揺動軸66を軸回転させることによって、前記クラッチ操作部57により伝動切換部材50を前記出力軸43に沿って左右方向にスライド移動させることができるように構成されている。
上記揺動アーム67は、前記揺動軸66の左右一方(図示する例では左)側に前記引張スプリング68が係止されることによって、正面視で反時計回りに回動するように付勢されている。これにより、該揺動アーム67は、前記クラッチ操作部57を前記出力側スプロケット54(左右内)側にスライドさせて、該クラッチ操作部57が出力側スプロケット54と一体回転するように係合した状態(正転駆動状態)を保持するように構成されている。
また、該揺動アーム67は、前記切換レバー71の前後揺動操作によって前記ワイヤ69を前記引張スプリング68の付勢力に抗して引っ張ることにより、正面視で時計回り側に回動作動させることができるように構成されている。これにより、該揺動アーム67は、前記クラッチ操作部57を前記逆転出力ギヤ52(左右外)側にスライドさせることにより、該クラッチ操作部57が逆転出力ギヤ52側と一体回転するように係合した状態(逆転駆動状態)に切換えることができる。
上記切換レバー71は、前記フィーダ8の下側を通した前記ワイヤ69を介して前記クラッチ切換機構46側に連結されることにより、前記フィーダ8の左右内側に取付けられている。言い換えると、該切換レバー71は、前記クラッチ切換機構46で前記フィーダ8を左右で挟む位置に設けられている。
該構成により、前記クラッチ操作機構47(切換レバー71等)は、走行機体(脱穀装置6)側に支持されているため、該クラッチ操作機構47を取外すことなく、前記フィーダ8を脱穀装置6側から着脱してメンテナンス作業を行うことができる。
従って、通常時は、正逆転切換装置20は、正転状態にあって、刈取部3は、正転方向に回転して刈取穀稈を脱穀部に向って搬送する。掻込オーガ18に穀稈詰まりが生じて、正常な穀稈の搬送ができない場合、オペレータは、上記切換レバー71を操作して、正逆転切換装置20を逆転状態に切換える。これにより、刈取部3は、逆転状態となって、掻込オーガ18を逆転方向に回転して、穀稈詰まりを解消する。
前記正逆転切換装置20は、前記出力軸43側の逆転出力ギヤ52に、前記入力軸42側の前記逆転入力ギヤ51よりも径が大きい減速ギヤを用いている。従って、該正逆転切換装置20は、前記刈取入力軸42に逆転動力を伝動する場合には、前記逆転出力ギヤ52(減速ギヤ)を介して、減速された逆転動力が前記刈取入力軸42側にギヤ伝動されるように構成されている。即ち、上記正逆転切換装置20は、正回転伝達用のギヤ比に対して逆回転伝達用のギヤ比が大きい。
これにより、前記刈取部3は、前記正逆転切換装置20によって前記逆転駆動状態に切換えることにより、該刈取部3を正転駆動状態の場合と比較して低速且つ高トルクな状態で逆転駆動させることができる。すなわち、前記刈取部3内に詰まった作物等を刈取部3内側から効率良く取出すことができる。
ついで、図8及び図9に沿って、前記トルクリミッタ77について説明する。固定アーム90に入力軸91が回転自在に支持されており、該入力軸91には掻込オーガ18が固定されている。上記入力軸91は、固定アーム90から外側に突出しており、該外側突出部分の入力軸91上に、固定アーム90側からリミッタ(出力側)プレート92がキー93により一体に固定され、更にバネ受部材95がナット96により締付けられることにより軸方向に一体に固定されている。上記リミッタプレート92は、ボス部92aと円板部92bからなり、ボス部92aは、キー93により入力軸91に一体に嵌合され、円板部92bには、外側(スプロケット76側)に突出して複数の出力側爪97・・・が形成されている。上記ボス部92aの外周には(入力側)スプロケット76が回転及び揺動自在に支持されており、該スプロケット76の内側(上記円板部92b側)には上記円板部の出力側爪97に係合し得る複数の入力側爪99が突出して形成されている。
前記バネ受部材95にはスプロケット76との間に縮設されてコイルスプリング100が配置されており、該スプリング100によりスプロケット76の上記入力側爪99が円板部の出力側爪97に係合するように付勢されている。リミッタプレート92は、固定アーム90に当接して軸方向、特に内側(スプリング100の付勢方向)には移動不能になっている。スプロケット73,76との巻掛けられているチェーン75は、テンションローラ101により所定張力が付与されている。
図9に詳示するように、前記リミッタプレート92の出力側爪97とスプロケット76の入力側爪99とは、正転方向、逆転方向の両面において傾斜面で互いに咬合している。即ち、上記出力側の爪97と入力側の爪99は、正回転トルクで接合する正回転側傾斜面eと逆回転トルクで接合する逆回転側傾斜面fを有する。正転方向で互いに咬合する正回転側傾斜面eの傾斜角Aは、逆転方向で互いに咬合する逆回転側傾斜面fの傾斜角Bより小さい(A<B)。従って、該トルクリミッタ77は、正回転伝達時の許容トルクに対して逆回転伝達時の許容トルクが大きい。
トルクリミッタ77は、以上のような構成からなるので、チェーン75からスプロケット76に伝達されたトルクは、掻込オーガ18の負荷が所定値以下の場合、スプリング100の付勢力により互いに咬合している両爪97,99を介してリミッタプレート92に伝達され、掻込オーガ18に伝達される。該掻込オーガ18に所定値以上の負荷が作用した場合、上記スプロケット76のトルクが、両爪97,99の傾斜面e,fに作用して、スプロケット76をスプリング100に抗して軸方向に移動して上記両爪97,99の咬合を解放する。これにより、スプロケット76は、自由回転してリミッタプレート92に伝達されず、掻込オーガ18へのトルク伝達は遮断される。
前記正逆転切換装置20が正転状態にあり、上記スプロケット76に正転回転が伝達される場合、トルクリミッタ77は、両爪97,99が小さい傾斜角Aの傾斜面eを接合してトルクを伝達し、比較的小さい負荷が作用した状態で咬合を解放して、掻込オーガ18に過負荷が作用することを阻止する。掻込オーガ18に生じた穀稈詰まりを除去すべく、正逆転切換装置20を逆転に切換えた場合、スプロケット76は、逆転方向に回転してトルクリミッタ77に伝達される。この際、前記正逆転切換装置20は、正回転伝達時に比して逆回転伝達時のギヤ比が大きく、大きなトルクが伝達される。トルクリミッタ77は、両爪97,99が大きい傾斜角Bの傾斜面fで接合してトルクを伝達され、従って上記正転時に比較して大きいトルクを伝達し得、穀稈詰まり等の比較的大きい負荷が作用していても、上記両爪97,99の咬合を維持して掻込オーガ18を逆転方向に回転する。これにより、穀稈詰まりは、比較的大きなトルクリミッタ77の許容トルクにより掻込オーガ18が回転し、比較的容易かつ確実に除去することができる。また、掻込オーガ18に上記許容トルク以上の大きな負荷が作用している場合、トルクリミッタ77の咬合は解放され、掻込オーガ18が破損する等の大きな負荷が作用することは阻止される。
前記動力伝達された掻込オーガ18の回転は、キャビン4内の操縦者から視認することができる。従って、掻込オーガ18が正回転して刈取穀稈を搬送している状態から穀稈詰まりが発生して、上記穀稈の搬送が停止したことを視認(又は音により認知)することができ、操縦者は、直ちにコンバインCの走行を停止する。そして、切換レバー71を操作することにより正逆転切換装置20を逆回転に切換えて、掻込オーガ18を逆回転で駆動する。これにより、上記詰まり穀稈が掻込オーガ18から排出方向に移動することも、該逆回転でも穀稈詰まりが解消されず、更にはトルクリミッタ77が作動して掻込オーガ18が停止することも、操縦者がキャビン4から目視(又は音)により確認することができる。操縦者は、該確認により、必要とされる次の行動を直ちに行うことができる。
ついで、図10に沿って一部変更した実施の形態を説明する。本実施の形態では、トルクリミッタ77が、正逆転切換装置20の出力軸43上に配置される。従って、掻込オーガ18に限らず、フィーダ8の搬送コンベヤ19、刈刃17、掻込リール13の刈取部3のどこに過負荷が作用した場合でも、上述と同様に正逆転で異なる負荷でトルクをリミットすることができる。
なお、トルクリミッタの配置は、上述した実施の形態に限らず、刈刃17の直前等刈取部のどこでもよく、また掻込オーガ18と刈刃17との各々の直前等の複数の箇所に配置してもよい。トルクリミッタは、正逆転切換装置20の出力軸43にスライドのみ自在に嵌合する伝動切換部材50に配置してもよい。また、トルクリミッタは、正逆転で別のトルクリミッタ、即ち両爪97,99の一方側のみに傾斜面を有する別個のトルクリミッタを直列状に配置してもよい。
C 汎用コンバイン
2 走行機体
3 刈取部
6 脱穀装置
8 フィーダ
13 掻込リール
18 掻込オーガ
19 搬送コンベヤ
20 正逆転切換装置
43 出力軸
77 トルクリミッタ
97 出力側の爪
99 入力側の爪
100 スプリング
e 正回転側傾斜面
A 傾斜角
f 逆回転側傾斜面
B 傾斜角

Claims (4)

  1. 掻込リール、刈刃、掻込オーガ及びフィーダを有する刈取部を走行機体の前方に配置し、該刈取部で刈取った穀稈を脱穀装置に搬送する汎用コンバインにおいて、
    エンジンから上記刈取部に動力を伝達する伝動経路に配置された正逆転切換装置と、
    該正逆転切換装置から前記刈取部に動力を伝達する伝動経路に配置されたトルクリミッタと、を備え、
    前記トルクリミッタは、入力側の爪と出力側の爪とをスプリングの付勢力により咬合し、前記入力側の爪及び出力側の爪は、正回転トルクで接合する正回転側傾斜面と逆回転トルクで接合する逆回転側傾斜面とを有し、前記逆回転側傾斜面の傾斜角が前記正回転側傾斜面の傾斜角より大きく、正回転時の許容トルクに対して逆回転時の許容トルクが大きい、
    ことを特徴とする汎用コンバイン。
  2. 前記正逆転切換装置は、正回転伝達用のギヤ比に対して逆回転伝達用のギヤ比が大きい、
    請求項1記載の汎用コンバイン。
  3. 前記トルクリミッタは、前記掻込オーガの入力軸上に配置されてなる、
    請求項1又は2記載の汎用コンバイン。
  4. 前記トルクリミッタは、前記正逆転切換装置の出力軸上に配置されてなる、
    請求項1又は2記載の汎用コンバイン。
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