JP6898201B2 - 不溶化材及び被不溶化物の不溶化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不溶化材及び被不溶化物の不溶化方法に関する。
金属の製錬によってスラグが排出される。金属の中で鉄の生産量は全世界で年間14.7億トン(推計)である。これは2番目に多いアルミニウムの約20倍であり、突出して多い。したがって、スラグの中では鉄の製錬によって排出される鉄鋼スラグが圧倒的に多く、日本国内の年間排出量は4000万トンである。したがって、単にスラグといった場合、鉄鋼スラグを指すことも多い。鉄鋼スラグは、高炉にて銑鉄を製造する過程で排出される高炉スラグと、転炉又は電気炉にて銑鉄又は屑鉄等を用いて鋼を製造する過程で排出される製鋼スラグとに大別される。製鋼スラグは転炉にて排出される転炉スラグと電気炉にて排出される電気炉スラグを含む。
また、可燃物の燃焼によって焼却灰が排出される。焼却灰は、例えば、石炭火力発電等から排出される石炭灰や、可燃ごみの焼却によって排出される焼却残渣等を含む。さらに、焼却灰は、その形態によってフライアッシュ(飛灰)やボトムアッシュ(主灰)という分け方をされることもある。
スラグや焼却灰は産業活動等によって大量に排出されているため、できる限りリサイクルされることが望ましい。最終処分場の確保が年々難しくなっており、リサイクルされないスラグや焼却灰の廃棄処理量を軽減する必要があるからである。推計によると、日本では、産業廃棄物の全排出量のうち、52%がリサイクルされており、42%が中間処理等において減量化されており、5.7%が最終処分されているとされる。スラグや焼却灰も道路の路盤材やコンクリート骨材として広くリサイクルされていれる。鉄鋼スラグでは、高炉スラグは水硬性を有するため100年ほど前から高炉セメントとして利用されている等、現在は全量がリサイクルされている。水硬性を有さない製鋼スラグは利用が遅れたが、今では95%以上がリサイクルされており、さらに全量のリサイクルが望まれる。
スラグや焼却灰のリサイクルは、人の健康を保護し、生活環境を保全するものでなければならない。そこで、土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして特定有害物質が指定され、土壌環境基準において、これらの特定有害物質の許容溶出量等が定められている。特定有害物質は、揮発性有機化合物に該当する物質が第一種、重金属等に該当する物質が第二種、農薬等に該当する物質が第三種に分類される。第二種特定有害物質は、カドミウム(Cd)及びその化合物、六価クロム(Cr6+)化合物、シアン(CN)化合物、水銀(Hg)及びその化合物、セレン(Se)及びその化合物、鉛(Pb)及びその化合物、砒素(As)及びその化合物、ふっ素(F)及びその化合物、ほう素(B)及びその化合物の9種類で構成され、特に、砒素、ふっ素、ほう素等の陰イオン型は不溶化が難しいとされている。
特開2007−302885号公報 WO2009/128490号 特開平5−261356号公報
特許文献1には、土壌、焼却灰等に含まれる有害物質を不溶化するための不溶化剤が記載されている。この不溶化剤は酸化マグネシウム100質量部に対して2〜100質量部の珪酸アルカリ金属塩を含有する。この不溶化剤を用いると、ふっ素とほう素の溶出量は土壌環境基準の0.8mg/L以下と1mg/L以下をそれぞれ満足するものの、十分とはいえない。
特許文献2には、土壌、焼却灰、スラグ等に含まれるふっ素、ほう素の溶出抑制を行うための不溶化剤が記載されている。この不溶化剤はアルミニウム含有鉱物粉末・鉱石粉末を含有し、さらに、マグネシウム化合物を含み、マグネシウム化合物が軽焼マグネシア、軽焼ドロマイト、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムのいずれかであり、軽焼マグネシアと硫酸マグネシウムの両者を含むことはない。この不溶化剤を用いると、ふっ素とほう素の溶出量は土壌環境基準を満足するものの、十分とはいえない。
特許文献3には、厨芥焼却により得られる生成物を安定化及び固化する方法が記載されている。この方法は、例えば、厨芥焼却により得られた1トンのフライアッシュを安定化及び固化するために、460kgの高炉スラグ、60kgの酸化マグネシウム、50kgの硫酸マグネシウム、水600L及び活性炭15kgを含む組成物を混合する。しかし、この方法は固定化のための組成物が大量に必要であるとともに、ふっ素とほう素の溶出量は不明である。
本発明の幾つかの態様は、添加量が少量であっても、スラグ(主として電気炉スラグ)と焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物からの第二種特定有害物質、特に、ふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる不溶化材及びその不溶化材を用いた被不溶化物の不溶化方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の第1の態様は、硫酸マグネシウムと、酸化マグネシウムとを含有し、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上であることを特徴とする不溶化材に関する。
このような不溶化材を、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物に添加、混合すると、不溶化材の添加量が少量であっても、被不溶化物からのふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。その正確なメカニズムは不明であるが、以下のようなメカニズムが考えられる。即ち、硫酸マグネシウムは、20℃の水への溶解度が0.1〜35g/100gHOであり、かつ、潮解性を有さないことから、被不溶化物中の水と反応してMg2+を長期にわたって安定的に供給することができ、主に、Mg供給源として作用すると考えられる。また、酸化マグネシウムは、20℃の水への溶解度が0.1g/100gHO未満であることから、被不溶化物を弱塩基性(pHが10〜12程度)に長期にわたって安定的に保持することができ、主に、pH調整剤として作用すると考えられる。Mg2+は、弱塩基性では被不溶化物中の水と反応して難溶性のマグネシウム化合物(例えば、Mg(OH))を形成し、その中にふっ素やほう素等を取り込み、固定化する。硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上であると、Mg供給源が相対的に多く、Mg2+の供給量が多くなるため、難溶性のマグネシウム化合物の形成と、その中へのふっ素やほう素等の固定化とが促進されると考えられる。その結果、不溶化材の添加量が少量であっても、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物からのふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
(2)本発明の第1の態様では、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)は1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。また、本発明の第1の態様では、硫酸マグネシウムがMgSO・7HOであることが好ましい。Mg2+の供給量が相対的にさらに多くなるため、難溶性のマグネシウム化合物の形成と、その中へのふっ素やほう素等の固定化とがさらに促進されると考えられる。したがって、不溶化材の添加量をさらに少量にしてもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
(3)本発明の第2の態様は、硫酸マグネシウムと、酸化マグネシウムとを被不溶化物に添加、混合する被不溶化物の不溶化方法であって、被不溶化物は、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2であり、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上であり、硫酸マグネシウムと酸化マグネシウムの添加量の和が、被不溶化物と硫酸マグネシウムと酸化マグネシウムとの合計量に対して16質量%以下であることを特徴とする被不溶化物の不溶化方法に関する。また、本発明の第2の態様では、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)は1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。さらに、本発明の第2の態様では、硫酸マグネシウムがMgSO・7HOであることが好ましい。
第1の態様の不溶化材は硫酸マグネシウムと酸化マグネシウムとを含み、これをスラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物に添加、混合することにより、不溶化材の添加量が被不溶化物と不溶化材との合計量に対して16質量%以下であってもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
(4)本発明の第2の態様では、被不溶化物は、スラグであることが好ましく、塩基性であることがさらに好ましい。被不溶化物がスラグ又は塩基性であると、Mg2+が被不溶化物中の水と反応して難溶性のマグネシウム化合物(例えば、Mg(OH))を形成しやすく、ふっ素やほう素等の固定化が促進されると考えられる。したがって、pH調整剤である酸化マグネシウムの添加量を減らしてもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
(5)本発明の第2の態様では、不溶化材の添加量は、被不溶化物と不溶化材との合計量に対して10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。不溶化材の添加量を大幅に削減してもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも少なくすることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)不溶化材
本実施形態の不溶化材は、硫酸マグネシウムと、酸化マグネシウムとを含有し、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上である。
このような不溶化材を被不溶化物に添加、混合すると、不溶化材の添加量が少量であっても、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物からのふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。その正確なメカニズムは不明であるが、以下のようなメカニズムが考えられる。即ち、硫酸マグネシウムは、20℃の水への溶解度が0.1〜35g/100gHO(化学便覧改訂第5版 基礎編II表9.32によると25.2g/100gHO)であり、比較的大きく、かつ、潮解性を有さないことから、被不溶化物中の水と反応してMg2+を長期にわたって安定的に供給することができ、主に、Mg供給源として作用すると考えられる。また、酸化マグネシウムは、20℃の水への溶解度が0.1g/100gHO未満(化学大辞典(共立出版)によると0.62mg/100gHO)であり、非常に小さいことから、被不溶化物を弱塩基性(pHが10〜12程度)に長期にわたって安定的に保持することができ、主に、pH調整剤として作用すると考えられる。Mg2+は、弱塩基性では被不溶化物中の水と反応して難溶性のマグネシウム化合物(例えば、Mg(OH))を形成し、その中にふっ素やほう素等を取り込み、固定化する。硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上であると、Mg供給源が相対的に多く、Mg2+の供給量が多くなるため、難溶性のマグネシウム化合物の形成と、その中へのふっ素やほう素等の固定化とが促進されると考えられる。その結果、不溶化材の添加量が少量であっても、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物からのふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)は1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。また、硫酸マグネシウムがMgSO・7HOであることが好ましい。Mg2+の供給量が相対的にさらに多くなるため、難溶性のマグネシウム化合物の形成と、その中へのふっ素やほう素等の固定化とがさらに促進されると考えられる。したがって、不溶化材の添加量をさらに少量にしてもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
(2)被不溶化物の不溶化方法
本実施形態の被不溶化物の不溶化方法は、硫酸マグネシウムと、酸化マグネシウムとを被不溶化物に添加、混合する被不溶化物の不溶化方法であって、被不溶化物は、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2であり、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上であり、硫酸マグネシウムと酸化マグネシウムの添加量の和が、被不溶化物と硫酸マグネシウムと酸化マグネシウムとの合計量に対して16質量%以下である。硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)は1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。さらに、本発明の第2の態様では、硫酸マグネシウムがMgSO・7HOであることが好ましい。
本実施形態の不溶化材は硫酸マグネシウムと酸化マグネシウムとを含み、これをスラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物に添加、混合することにより、不溶化材の添加量が被不溶化物と不溶化材との合計量に対して16質量%以下であってもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
被不溶化物は、スラグであることが好ましく、塩基性であることがさらに好ましい。被不溶化物がスラグ又は塩基性であると、Mg2+が被不溶化物中の水と反応して難溶性のマグネシウム化合物(例えば、Mg(OH))を形成しやすく、ふっ素やほう素等の固定化が促進されると考えられる。したがって、pH調整剤である酸化マグネシウムの添加量を減らしてもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
不溶化材の添加量は、被不溶化物と不溶化材との合計量に対して10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。不溶化材の添加量を大幅に削減してもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも少なくすることができる。
(1)実施例1〜4
酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとを含む不溶化材を作成する。酸化マグネシウムは宇部マテリアルズ株式会社製スーパーMAGを用いる。硫酸マグネシウムはMgSO・7HOを用いる。実施例1〜4の不溶化材の、硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)は1.67(硫酸マグネシウム:酸化マグネシウム=5:3)とする。この不溶化材をスラグ(電気炉スラグ)に添加、混合して試料を作成する。実施例1〜4のスラグと不溶化材との合計量(試料)に対する不溶化材の添加割合はそれぞれ16質量%、8質量%、5質量%、3質量%とする。
試料からのふっ素及びほう素の溶出量を以下の手順で測定する。即ち、試料を2mmの目のふるいを通過させ、塩酸でpH調整した溶媒に質量体積比10%の割合で混合し、6時間振とう、10〜30分間静置、20分間遠心分離し、上澄み液をろ過したろ液を検液とする。検液ごとに平成15年環境省告示第18号別表記載の測定方法に準じてふっ素及びほう素の溶出量を測定する。ふっ素の溶出量の測定にはランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法を用い、ほう素の溶出量の測定にはICP発光分光分析法、ICP質量分析法を用いる。実施例1〜4の実験条件及び測定結果を表1に示す。比較のため、ふっ素及びほう素の溶出量の土壌環境基準を表1に示す。なお、ふっ素の溶出量の検出限界の0.08mg/Lであり、「不検出」は0.08mg/L未満であることを意味する。
(2)比較例1〜4
比較例1では不溶化材をスラグに添加せず、比較例2〜4では下記不溶化材を添加、混合して試料を作成する。即ち、比較例2、3に用いる不溶化材は酸化マグネシウム(スーパーMAG)のみとし、比較例4に用いる不溶化材は硫酸マグネシウムのみとする。また、比較例2〜4のスラグと不溶化材との合計量(試料)に対する不溶化材の添加割合はそれぞれ10質量%、5質量%、10質量%とする。試料からのふっ素及びほう素の溶出量を、実施例1〜4と同様の手順で測定する。比較例1〜4の実験条件及び測定結果を表1に示す。
(3)実施例5及び6
実施例5及び6では、添加割合が最小(3質量%)の実施例4の条件でスラグに不溶化材を添加、混合して試料を作成し、不溶化効果の長期安定性の指標として、それぞれ以下に示す酸又はアルカリの暴露試験を行う。
(3−1)実施例5:酸暴露試験
試料を2mmの目のふるいを通過させ、JIS K8951に規定する硫酸と水で0.769mmol/Lに調製した硫酸水溶液に質量体積比10%の割合で混合し、かつ、その混合液が500mL以上となるようにする。
(3−2)実施例6:アルカリ暴露試験
試料を2mmの目のふるいを通過させ、JIS K8575に規定する水酸化カルシウムと水で3.85mmol/Lに調製した水酸化カルシウム水溶液に質量体積比10%の割合で混合し、かつ、その混合液が500mL以上となるようにする。
酸又はアルカリの暴露試験後のふっ素及びほう素の溶出量の測定は、実施例1〜4と同様の手順で行う。即ち、混合液を6時間振とう、10〜30分間静置、20分間遠心分離し、上澄み液をろ過したろ液を検液とする。検液ごとにふっ素及びほう素の溶出量を測定する。実施例5及び6の実験条件及び測定結果を表1に示す。
Figure 0006898201
(4)測定結果
(4−1)実施例1〜4及び比較例1〜4
硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)1.67の実施例1〜4では、ふっ素とほう素の溶出量はそれぞれ不検出、0.2〜0.3mg/Lであり、いずれも土壌環境基準を大きく下回っている。また、不溶化材の添加量が3質量%(実施例4)と非常に少量であっても、添加量が5〜16質量%(実施例1〜3)の場合と同様に、スラグからのふっ素とほう素の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
一方、不溶化材無添加の比較例1ではふっ素とほう素の溶出量はそれぞれ1.3mg/Lと3.2mg/Lであり、いずれも土壌環境基準を大きく上回る。酸化マグネシウムのみを不溶化材として添加する比較例2、3では、ふっ素とほう素の溶出量はそれぞれ不検出と0.4〜0.5mg/Lであり、いずれも土壌環境基準を下回り、かなり改善しているものの、実施例1〜4には及ばない。硫酸マグネシウムのみを不溶化材として添加する比較例4では、ふっ素とほう素の溶出量はそれぞれ0.74mg/Lと2.2mg/Lであり、ふっ素の溶出量は土壌環境基準を下回るものの、ほう素の溶出量は土壌環境基準を満たさない。
(4−2)実施例5及び6
酸及びアルカリ暴露試験後のふっ素とほう素の溶出量は、酸暴露が不検出及び0.5mg/Lであり、アルカリ暴露が0.11mg/L及び0.6mg/Lである。酸又はアルカリ暴露試験後にもかかわらず、いずれも、ふっ素とほう素の溶出量は土壌環境基準を依然として大きく下回る。
(5)考察
正確なメカニズムは不明であるが、以下のようなメカニズムが考えられる。即ち、硫酸マグネシウムは、20℃の水への溶解度が0.1〜35g/100gHO(化学便覧改訂第5版 基礎編II表9.32によると25.2g/100gHO)であり、比較的大きく、かつ、潮解性を有さないことから、被不溶化物中の水と反応してMg2+を長期にわたって安定的に供給することができ、主に、Mg供給源として作用すると考えられる。また、酸化マグネシウムは、20℃の水への溶解度が0.1g/100gHO未満(化学大辞典(共立出版)によると0.62mg/100gHO)であり、非常に小さいことから、被不溶化物を弱塩基性(pHが10〜12程度)に長期にわたって安定的に保持することができ、主に、pH調整剤として作用すると考えられる。Mg2+は、弱塩基性では被不溶化物中の水と反応して難溶性のマグネシウム化合物(例えば、Mg(OH))を形成し、その中にふっ素やほう素等を取り込み、固定化する。硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上であると、Mg供給源が相対的に多く、Mg2+の供給量が多くなるため、難溶性のマグネシウム化合物の形成と、その中へのふっ素やほう素等の固定化とが促進されると考えられる。その結果、不溶化材の添加量が少量であっても、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2の被不溶化物からのふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
硫酸マグネシウムの酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)は1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。Mg2+の供給量が相対的にさらに多くなるため、難溶性のマグネシウム化合物の形成と、その中へのふっ素やほう素等の固定化とがさらに促進されると考えられる。したがって、不溶化材の添加量をさらに少量にしてもふっ素やほう素等の溶出量を土壌環境基準よりも大幅に少なくすることができる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義の異なる用語とともに記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。

Claims (5)

  1. 主として硫酸マグネシウムと、酸化マグネシウムからなる不溶化材であり、
    前記硫酸マグネシウムは化学式がMgSO又はその水和物からなり、
    前記酸化マグネシウムは化学式がMgOからなり、
    前記硫酸マグネシウムの前記酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上1.67以下であり、
    前記不溶化材は、スラグの被不溶化物用であることを特徴とする不溶化材(ただし、軽焼ドロマイトの含有量が5.7質量%以上の場合を除く)。
  2. 前記硫酸マグネシウムと前記酸化マグネシウムのみからなることを特徴とする請求項1に記載の不溶化材。
  3. 不溶化材として、主として硫酸マグネシウムと、酸化マグネシウムとを被不溶化物に添加、混合する被不溶化物の不溶化方法であって、
    前記硫酸マグネシウムは化学式がMgSO又はその水和物からなり、
    前記酸化マグネシウムは化学式がMgOからなり、
    前記被不溶化物は、スラグと焼却灰から選ばれる1又は2であり、
    前記硫酸マグネシウムの前記酸化マグネシウムに対する質量比(硫酸マグネシウム/酸化マグネシウム)が0.85以上1.67以下であり、
    前記硫酸マグネシウムと前記酸化マグネシウムの添加量の和が、前記被不溶化物と前記
    不溶化材との合計量に対して3質量%以上であり、
    前記不溶化材の添加量の和が、前記被不溶化物と前記不溶化材との合計量に対して8質量%以下であることを特徴とする被不溶化物の不溶化方法。
  4. 前記不溶化材として、前記硫酸マグネシウムと、前記酸化マグネシウムのみを前記被不溶化物に添加、混合することを特徴とする請求項に記載の被不溶化物の不溶化方法。
  5. 前記被不溶化物がスラグであることを特徴とする請求項又はに記載の被不溶化物の不溶化方法。
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