JP5910137B2 - 鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制方法、土木建築用資材およびその製造方法 - Google Patents

鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制方法、土木建築用資材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を抑制することができる方法に関し、また、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグを含む土木建築用資材およびその製造方法に関する。
鉄鋼スラグは、高炉で鉄鉱石を溶融、還元する際に発生する高炉スラグと、鉄を精錬する製鋼段階で発生する製鋼スラグに大別できる。
高炉スラグは、銑鉄を製造する高炉で溶融された鉄鉱石の鉄以外の成分と、副原料の石灰石やコークス中の灰分が一緒に分離回収されたもので、高炉から取り出されたスラグの冷却方法によって異なった性状の高炉徐冷スラグと高炉水砕スラグに分類される。
高炉徐冷スラグは、水硬性を有しているため、大きな支持力が期待できることから路盤材に使用されている。また、高炉徐冷スラグは、NaOやKOのアルカリ成分をほとんど含まず、アルカリ骨材反応を生じる恐れがないため、コンクリート用粗骨材としても使用されている。
高炉水砕スラグは、高炉徐冷スラグと同様に水硬性があり、アルカリ骨材反応を生じる恐れがないことから、地盤改良材やコンクリート用細骨材に使用されている。また、高炉水砕スラグは、微粉砕することで、強い潜在水硬性があり、普通セメントと混合して高炉セメントとなり、長期間にわたり強度が増進され、水との反応時の発熱速度が小さいなどの特徴を活かし、港湾などの土木工事をはじめ幅広く使用されている。
製鋼スラグは、銑鉄やスクラップから成分を調製し、製鋼転炉から生成する転炉系スラグと、電気炉製鋼工程で生成される電気炉系スラグに分類される。これらの製鋼スラグは、水硬性があり大きな支持力が期待できることから、路盤材として使用されている。また、製鋼スラグのうち、特に電気炉系スラグは、粒子密度と硬度が高く耐摩耗性に優れていることから、アスファルトコンクリート骨材に使用されている。また、製鋼スラグは、せん断抵抗角が大きく粒子密度と単位体積重量が大きいことから、土木用材、地盤改良材としても使用されている。このように、鉄鋼スラグは土木建設資材として幅広く使用される材料として知られている。
高炉スラグはCaO、SiOを主成分とし、Al、MgO、硫黄などが含まれ、高炉徐冷スラグは主としてゲーレナイト(CaAlSiO)とCaSiOで構成され、高炉水砕スラグはガラス相を主とし、オケルマナイト(CaMgSi)とゲーレナイトとの固溶体を微量含んでいる。
製鋼スラグはCaO、SiOを主成分とし、FeO、MgO、MnOなどが含まれ、ゲーレナイト、CaSiO、金属鉄、ワラストナイト(CaSiO)、マグネタイト(Fe)、ヘマタイト(Fe)などで構成される。
一方、鉄鋼スラグのなかには、高純度鋼や特殊合金鋼などを生産する際、溶解し難い酸化物をスラグに溶解させるため、溶剤として蛍石(フッ化カルシウム)が添加される場合があり、フッ素を比較的多く含有する鉄鋼スラグが存在することがある。鉄鋼スラグ中のフッ素の分布は、Ca、Si、Oの分布と類似しており、Ca、Siを主とする鉱物に含まれ、Oと置換固溶している可能性がある(非特許文献1)。
フッ素を含有する鉄鋼スラグからはフッ素が溶出する可能性があり、フッ素を比較的多く含有する鉄鋼スラグを路盤材や地盤改良材として利用した場合、環境上の問題となる恐れがある。土壌環境基準ではフッ素溶出量は0.8mg/L以下と定められている。
従来、フッ素を含有するスラグからのフッ素の溶出を抑制する方法として、製鋼スラグにCaO・Al等のカルシウムアルミネートを含む粉末と、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、コンクリート屑および石炭灰の1種または2種以上の組み合わせをいずれも添加することによってフッ素の溶出を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、製鋼スラグとCaO・Al等のカルシウムアルミネートの混合物が水と接触すると、製鋼スラグからはフッ素が溶出するが、カルシウムアルミネートは水と反応してカルシウムアルミネート水和物を生成し、このカルシウムアルミネート水和物にフッ素が固定化されてフッ素の溶出が抑制される。
しかし、この方法ではカルシウムアルミネート水和物の相転移により、養生期間の経過とともに、カルシウムアルミネート水和物に固定化されていたフッ素の形態が変化し、フッ素が溶出するという問題がある。
また、製鋼スラグに硫酸カルシウムを含有するカルシウム源を添加し、エトリンガイトを生成し、これにフッ素を固定化する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この方法ではエトリンガイトが生成する際に大きな膨張が起こるので、水和物組織に亀裂が発生して水が浸透しやすくなり、製鋼スラグから溶出したフッ素が外部へ溶出し易くなるという問題がある。
上記の方法の他に、リン酸化合物とカルシウム化合物をフッ素含有固体廃棄物に添加して混練することにより、フッ素の溶出を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、この方法では一定の効果は得られるが、塩基度が高いスラグにはリン酸化合物を多量に添加する必要があるという問題がある。
特開2000−335946号公報 特開2003−119057号公報 特開2002−331272号公報
東京大学、平成12年度論文、環境問題から見た製鋼スラグの組成と元素の分布に関する研究
本発明は、上記のような問題を生じることなく、比較的簡便に、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出量を土壌環境基準以下に低減することができる方法、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物を含む土木建築用資材およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フッ素溶出量が土壌環境基準を超過する鉄鋼スラグであっても、この鉄鋼スラグに酸化マグネシウム組成物を添加した後に、同時に粉砕することにより、鉄鋼スラグからのフッ素溶出量を土壌環境基準以下に低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕することを特徴とする鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制方法に関する。
本発明は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕してなり、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木建築用資材に関する。また、本発明は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することにより、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木建築用資材の製造方法に関する。
本発明によれば、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を抑制する効果が大きく、少量の酸化マグネシウム組成物によって、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を土壌環境基準以下に低減することができ、本発明は、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木建築用資材を提供することができる。
実施例1〜4および比較例1〜4の鉄鋼スラグに対する酸化マグネシウム組成物の添加量とフッ素溶出量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することを特徴とする鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法である。本発明の鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を抑制する方法は、鉄鋼スラグに酸化マグネシウム組成物を添加し、同時に粉砕することによって、鉄鋼スラグと酸化マグネシウムに同時にメカノケミカル処理が施され、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を抑制することができるものである。
本発明による鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法における、溶出抑制メカニズムについては詳細に解明できていない部分はあるが、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することによって、鉄鋼スラグ中に含まれるフッ素を含有しやすい鉱物(例えば、CaSiO)の粒子界面またはその近傍に酸化マグネシウム組成物が均等に配置・配列されやすくなるため、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を効率よく抑制することができるものと考えられる。また、粉砕時に鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とが混合されることによって、酸化マグネシウム組成物の活性も高められるものと考えられる。一方、鉄鋼スラグに酸化マグネシウム組成物を添加(後添加)するだけでもフッ素の溶出を抑制することができるが、酸化マグネシウム組成物の添加量が過剰になりやすく、経済的に好ましくない。
鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物は、粉砕する前に混合して混合物とした後に同時に粉砕してもよく、同時に粉砕することによって両者を混合物としてもよい。メカノケミカル処理とは、固体物質の粉砕過程での摩擦、圧縮等の機械エネルギーにより局部的に生じる高いエネルギーを利用して結晶反応、固溶反応、相転位反応等の化学反応を進行させることができるものである。
鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕することによって、鉄鋼スラグ中のフッ素を含有しやすいCa、Si、Oから構成される鉱物の粒子表面または近傍はマイナスに帯電し、これにプラスに帯電している酸化マグネシウム組成物が配置・配列されやすくなるものと考えられる。また、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕することによって、両者が混合され、添加した酸化マグネシウム組成物の粒子表面が活性化されるものと考えられる。鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物との混合物に磨砕、摩擦等の粉砕と同様のメカノケミカル処理を施すことにより、酸化マグネシウム組成物を鉄鋼スラグのフッ素を含有しやすいCa、Si、Oから構成される鉱物の粒子表面または近傍に酸化マグネシウム組成物を配置・配列させて鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を抑制することが可能である。
本発明の方法において、処理対象となる鉄鋼スラグとは、その種類が特に限定されるものではなく、高炉スラグおよび製鋼スラグが例示されるが、特にフッ素を溶出しやすい製鋼スラグのフッ素の溶出を抑制するのに好適である。
製鋼スラグとしては、製鋼スラグ100質量%に対して、好ましくはCaOを15〜60質量%、SiOを8〜40質量%、MgOを3〜20質量%含むものであり、より好ましくはCaOを18〜58質量%、SiOを10〜32質量%、MgOを4〜18質量%含むものであり、さらに好ましくはCaOを20〜55質量%、SiOを11〜30質量%、MgOを4〜15質量%含むものである。製鋼スラグに含まれる成分のうち、特にCaO、SiOおよびMgOの3つの成分が上記範囲内であると、製鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕することによって、酸化マグネシウム組成物を製鋼スラグ中のフッ素を含有しやすいCa、Si、Oから構成される鉱物の粒子表面または近傍に配置・配列させやすく、製鋼スラグのフッ素の溶出の抑制に効果的である。
鉄鋼スラグ中のフッ素の含有量は、特に制限されないが、製鋼スラグ100質量%に対して、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下である。製鋼スラグ中のフッ素の含有量の下限値は特に制限されないが、本発明の方法によれば鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制に効果があるため、鉄鋼スラグ中のフッ素の下限値は0.001質量%以上である。
本発明の鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制方法において使用する、酸化マグネシウム組成物は、処理対象物中のフッ素を含む有害物質の溶出抑制効果がある。有害物質としては、フッ素の他に鉛、砒素等が挙げられる。混合物中の酸化マグネシウム組成物の含有量は、鉄鋼スラグ100質量部に対して、2〜10質量部であることが好ましい。より好ましくは2.5〜8質量部、更に好ましくは3〜7質量部、特に好ましくは3〜5質量部である。酸化マグネシウム組成物の添加量が2〜10質量部であると、鉄鋼スラグのフッ素を含有しやすいCa、Si、Oから構成される鉱物の粒子表面または近傍に酸化マグネシウムをフッ素の溶出抑制効果を満たすように配置・配列させることができる。酸化マグネシウム組成物が2質量部未満であると鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制効果が十分ではなく、酸化マグネシウム化合物の添加量が10質量部を超えた場合あっても、添加量に見合う溶出抑制効果は得られ難い。
酸化マグネシウム組成物としては、酸化マグネシウム(MgO)含有率が75質量%以上であり、BET比表面積が20〜50m/gであることが好ましい。酸化マグネシウム組成物は、MgO含有率が、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは86質量%以上である。酸化マグネシウム組成物中のMgO含有率が75質量%以上であると、酸化マグネシウム組成物の添加量が少ない場合であっても、鉄鋼スラグのCa、Si、Oから構成される鉱物の粒子表面または近傍に酸化マグネシウム組成物、具体的にはフッ素溶出抑制効果の高い酸化マグネシウムを配置・配列することができる。酸化マグネシウム組成物中のMgO含有率は多いほど好ましいが、コスト低減のため、酸化マグネシウム組成物中の酸化マグネシウム含有率の上限は95質量%が好ましい。
酸化マグネシウム組成物のBET比表面積は、より好ましくは21〜50m/g、更に好ましくは22〜50m/g、特に好ましくは23〜50m/gである。酸化マグネシウム組成物のBET比表面積が上記範囲内であると、鉄鋼スラグのCa、Si、Oから構成される鉱物の粒子表面または近傍にフッ素溶出抑制効果の高い酸化マグネシウムを配置・配列させて、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を効果的に抑制することができる。
酸化マグネシウム組成物には、本来の酸化マグネシウムの不溶化性能を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、石灰石粉、珪石粉、フライアッシュ、石膏粉などの各種添加材料を任意に混合して酸化マグネシウム組成物とすることができる。
本発明の鉄鋼スラグからのフッ素の溶出抑制方法は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することによって鉄鋼スラグと酸化マグネシウムとにメカノケミカル処理を施すものである。
鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕するメカノケミカル処理を施す手段としては、十分な機械エネルギーを固体物質に与えることができる装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、遊星回転ボールミル、ボールミル、ジェットミル、ロッドミル、クラッシャーミル等が挙げられる。これらの中でも重力加速度の数倍の衝撃が得られる遊星回転ボールミルやボールミルが好ましい。
上記遊星回転ボールミルとは、未処理物を粉砕する装置である。高速の公転/自転運動により引き出される強力な機械的エネルギーを利用してボールによって未処理物を粉砕する装置である。
遊星回転ボールミルやボールミルは、未処理物を投入する粉砕容器と粉砕容器を回転させるための台座およびメカノケミカル反応に関与するボールからなる装置である。
台座は、粉砕容器を台座中心に対して公転させると共に、強制的に自転させることができる。
ボールの投入個数は、粉砕容器の容量に対するボールの体積の比率が、好ましくは0.1〜0.2であり、より好ましくは0.12〜0.18であり、さらに好ましくは0.14〜0.16である。粉砕容器の容量とボールの体積との比率が上記範囲となる個数となるように複数のボールを投入することが好ましく、粉砕容器の容量に対するボールの体積が上記比率であれば、同一の体積を有する複数のボールを用いてもよく、体積が異なる複数のボールを用いてもよい。
本発明の方法は、メカノケミカル処理に供する粉砕容器に鉄鋼スラグ、酸化マグネシウム組成物およびボールを挿入し、粉砕容器を公転/自転運動すなわち遊星運動をさせ、メカノケミカル反応を促進させ。粉砕容器内のボールは自由運動を行い、連続的に大きな衝撃エネルギーが発生し、鉄鋼スラグおよび酸化マグネシウム組成物に同時にメカノケミカル処理を施すことができる。
本発明において、メカノケミカル処理をする際の粉砕容器および台座の回転数は、メカノケミカル反応を促進することができれば特に制限されるものではない。しかし、粉砕容器と台座の回転方向は、メカノケミカル反応を促進させるため逆方向に回転させるのが好ましい。
本発明において、メカノケミカル処理を施す時間は、鉄鋼スラグ中のフッ素の溶出を抑制出来れば、特に制限されるものではない。
本発明は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕してなり、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木建築用資材である。本発明の土木建築用資材は、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕することによって、鉄鋼スラグ中に含まれるフッ素を含有しやすい鉱物(例えば、CaSiO)の粒子界面またはその近傍に酸化マグネシウム組成物が均等に配置・配列されやすくなるため、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出を効率よく抑制することができ、このフッ素の溶出が抑制された鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む混合物を土木建築用資材として用いることができる。
本発明の土木建築用資材は、単独または他の材料との併用により、モルタルまたはコンクリート用の骨材、混和材、路盤材、地盤改良材として使用することができる。本発明の土木建築用資材は、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出が抑制されており、本発明の土木建築用資材を土壌に適用した場合に、土壌環境基準である0.8mg/L以下(≦0.8mg/L)の数値を満足するようにフッ素溶出量を抑制できる。
また、本発明は、土木建築用資材の製造方法であり、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することにより、鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを同時に粉砕しメカノケミカル処理を施すことにより、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木建築用資材を製造することができる。
本発明の土木建築用資材の製造方法において、鉄鋼スラグと酸化マグネシウムとを粉砕機に投入し、同時に粉砕する装置(粉砕機)としては、前記と同様に遊星回転ボールミルやボールミルを用いることができ、これらの装置に用いるボールの投入個数や、メカノケミカル処理を施す時間等は、前記と同様のものを用いることができる。
以下に、本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔粉砕機〕
実施例において、メカノケミカル処理を施す粉砕機として、遊星回転ボールミルを使用した。粉砕機の粉砕容器は、円筒状のジルコニア製で容積は500mlのものを使用した。なお、粉砕媒体であるボールは、ジルコニア製のφ(直径)20mmとφ(直径)10mmを使用した。容積500mlに対して、φ20mmのボールを20個と、φ10mmのボールを10個を使用して、粉砕容器の容量:ボールの体積比を1:0.1〜0.2とした。
〔鉄鋼スラグ〕
鉄鋼スラグとしては、製鋼スラグを使用した。
〔製鋼スラグの特性〕
試験に供した製鋼スラグの特性を以下の方法により測定した。
〔測定方法〕
(i)CaO、SiO,Fe、MgO、Al、PおよびMnO含有量の測定CaO、SiO,Fe、MgO、Al、PおよびMnO含有量は、JIS M 8853「セラミックス用アルミノけい酸塩質原料の化学分析方法」に準拠して行った。結果を表1に示す。
(ii)F含有量の測定
フッ素含有量は、自動試料燃焼装置(三菱化学株式,AQF−100)を用いて燃焼させ、燃焼ガスを吸収装置(三菱化学株式会社,GA−100)にて吸収液に吸収させ、吸着させたものを検液とし、JIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定を行った。結果を表1に示す。
(iii)フッ素溶出量の測定
フッ素溶出量は、環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠して検液を作製した。その検液をJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。結果を表1に示す。
(iv)pHの測定
pHは、環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠して作製した試料液を検液とし、JIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005910137
〔酸化マグネシウム組成物〕
試験に供した酸化マグネシウム組成物は以下の特性を有する。
〔酸化マグネシウム組成物の特性〕
試験に供した酸化マグネシウム組成物の特性を以下の方法により測定した。
〔測定方法〕
(v)化学組成
酸化マグネシウム組成物の化学組成は、JIS M 8853「セラミックス用アルミノけい酸塩質原料の化学分析方法」に準拠して行った。結果を表2に示す。
(vi)BET比表面積
BET比表面積は、高精度ガス吸着装置(日本ベル社製,BELSORP−mini)を用いて、定容量型ガス吸着法にて測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005910137
〔実施例1〜4〕
製鋼スラグの最大粒子径が5mmとなるように、ジョークラッシャーで粗砕した後、遊星回転ボールミルを使用し、粉砕容器に、粉砕媒体であるボール(φ20mmを20個、φ10mmを10個)と製鋼スラグおよび酸化マグネシウム組成物を表3に示す割合で合計110gとなるよう計量、投入し、粉砕容器の回転数を340rpmに設定し、3分間の粉砕を行った。その後、得られた混合物からのフッ素溶出試験を行った。フッ素溶出試験は、環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠して検液を作製した。その検液をJIS K 0102「工業排水試験方法」に準拠して測定した。結果を表3および図1に示す。
〔比較例1〜4〕
製鋼スラグの最大粒子径が5mmとなるように、ジョークラッシャーで粗砕した後、遊星回転ボールミルを使用し、粉砕容器に、粉砕媒体であるボール(φ20mmを20個、φ10mmを10個)と製鋼スラグを110.0g計量、投入し、粉砕容器の回転数を340rpmに設定し、3分間の粉砕を行った。その後、得られた粉砕製鋼スラグと酸化マグネシウム組成物を表3に示す割合で計り取り、ポリエチレン袋に挿入し、十分に手で混合した。その後、得られた混合物からのフッ素溶出試験を行った。フッ素溶出試験は、環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠して検液を作製した。その検液をJIS K 0102「工業排水試験方法」に準拠して測定した。結果を表3および図1に示す。
Figure 0005910137
実施例1〜4と比較例1〜4の結果から、鉄鋼スラグを粉砕する際、酸化マグネシウム組成物を同時に添加し、粉砕によって鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物に同時にメカノケミカル処理を施すことにより、鉄鋼スラグ粉砕後に酸化マグネシウム組成物を添加し混合した場合よりも、フッ素溶出量を抑制する効果が大きく、土壌環境基準である0.8mg/L以下の数値を満足するようにフッ素溶出量を抑制できる鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物を含む混合物が得られた。この鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することによって得られた鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む混合物は、鉄鋼スラグからのフッ素溶出量が、土壌環境基準である0.8mg/L以下を満たしている。このようにフッ素の溶出量が抑制された鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む混合物は、単独または他の材料との併用により、モルタルまたはコンクリート用の骨材、混和材、路盤材、地盤改良材等の土木建築用資材として好適に使用することができる。この土木建築用資材は、鉄鋼スラグに添加する、酸化マグネシウム組成物の添加量が少量ですむことがわかる。
本発明によれば、比較的少量の酸化マグネシウム組成物の添加によって、鉄鋼スラグからのフッ素の溶出量を土壌環境基準値以下に低減することができ、フッ素の溶出量を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む混合物を土木建築資材として幅広く使用することができ、環境に与える安全性を保持して、資材を有効活用することができるため、本発明の鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法、フッ素の溶出量を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木用建築資材およびその製造方法は、産業上有用である。

Claims (6)

  1. CaOを15〜60質量%、SiO を8〜40質量%、MgOを3〜20質量%含む鉄鋼スラグと、MgO含有率75質量%以上の酸化マグネシウム組成物とを粉砕機に投入し、同時に粉砕することを特徴とする鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法。
  2. 投入割合が、鉄鋼スラグ100質量部に対して酸化マグネシウム組成物が2〜10質量部である請求項1記載の鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法。
  3. 酸化マグネシウム組成物が、75質量%以上のMgO、0.57質量%以下のCaO、0.14質量%以下のSiO 、0.07質量%以下のFe 及び0.04質量%以下のAl を含み、かつBET比表面積が20〜50m /gである請求項1又は2記載の鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法。
  4. 鉄鋼スラグを粗砕して最大粒子径を5mmとした後、同時粉砕を行う請求項1乃至3のいずれか一項記載の鉄鋼スラグからのフッ素溶出抑制方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項記載の方法により、フッ素の溶出を抑制した鉄鋼スラグと酸化マグネシウム組成物とを含む土木建築用資材の製造方法。
  6. 土木建築用資材を土壌に適用した場合に、土壌環境基準であるフッ素溶出量0.8mg/L以下(≦0.8mg/L)の数値を満足する、請求項5に記載の土木建築用資材の製造方法。
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