JP2018024767A - 土壌改質用廃棄物組成物及びこれを用いた地盤改良材 - Google Patents

土壌改質用廃棄物組成物及びこれを用いた地盤改良材 Download PDF

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Abstract

【課題】土壌改質用廃棄物組成物及びこれを用いた地盤改良材を提供する。
【解決手段】廃石膏と、ペーパースラッジ灰とが混合され、ふっ素の溶出が抑制される土壌改質用廃棄物組成物である。また、水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数が9.5〜12.5であってもよい。このようにアルカリ域であっても、ふっ素の溶出が抑制される。更に、水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方が含有されていてもよい。これにより、地盤改良材として用いるときの硬度を調整することもでき、取り扱い易い廃棄物組成物とすることができる。更に、土壌改質用廃棄物組成物は、地盤改良材として土壌の固化、地盤の改良などに用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、土壌改質用廃棄物組成物及びこれを用いた地盤改良材に関する。更に詳しくは、本発明は、廃石膏とペーパースラッジ灰とが混合されてなり、これらに含有されるフッ素の溶出が抑制される土壌改質用廃棄物組成物、及びこれを用いて、土壌を固化し、地盤を改良する地盤改良材に関する。
近年、廃棄物をリサイクル利用する試みが多くの技術分野においてなされている。例えば、土壌を改良し、地盤を固化し、強固にする技術分野においては、建築物の解体等において廃棄される石膏ボードから採取される廃石膏と、製紙工場等から排出されるペーパースラッジの焼却灰であるペーパースラッジ灰と、を用いた土壌固化材に関する技術が注目されている。
具体的には、廃石膏及びペーパースラッジ灰に、普通ポルトランドセメントを含有させた地盤改良用固化材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、廃石膏の成分とペーパースラッジ灰の成分との水和反応によりエトリンガイトが形成され、これにより、硫酸イオンが消費され、土中の硫酸塩還元菌による硫化水素の生成が抑制される。また、普通ポルトランドセメントが少量であっても、改良地盤の強度を高く保ちながら六価クロムの溶出を抑制することができる等と説明されている。
更に、高炉セメント、ペーパースラッジ灰、廃石膏、及び硫酸第一鉄を含有する土壌固化材が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この土壌固化材では、硫酸第一鉄によりクロムの酸化が抑制され、六価クロムの溶出を低減させることができる。また、軽焼マグネシアを含有させることにより、ふっ素の溶出を抑えることができる。
含水泥土等を固化させる固化材としては、焼石膏、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、及びカルシウム成分等を含む中和剤が添加混合されてなる重金属等不溶化固化材も知られている(例えば、特許文献3参照。)。この重金属等不溶化固化材では、アルミニウム化合物は、泥土中の重金属等を鉱物化して固定し、溶出を抑制するための不溶化成分である。更に、中和剤により、含水泥土等の処理物を中性にすることができると説明されている。
特開2009−185220号公報 特開2013−107966号公報 特開2010−207659号公報
特許文献1に記載された地盤改良用固化材は、改良地盤の強度を大きくすることはできるものの、六価クロムの溶出を抑制することができない普通ポルトランドセメントに、ペーパースラッジ灰を併用することで、六価クロムの溶出が抑制されることを特徴とする。また、特許文献2に記載された土壌固化材は、硫酸第一鉄により六価クロムの溶出が低減され、軽焼マグネシアを含有させることにより、ふっ素の溶出が抑えられることを特徴とする。更に、特許文献3に記載された重金属等不溶化固化材は、アルミニウム化合物により泥土中の重金属等の溶出が抑制され、中和剤により、含水泥土等の処理物を中性にすることを特徴とする。
このように、特許文献1、2の固化材には、必須成分として廃石膏及びペーパースラッジ灰が挙げられている。しかし、特許文献1に記載された地盤改良用固化材では、改良された地盤からの六価クロムの溶出の抑制が主たる目的とされている。また、特許文献2に記載された土壌固化材では、固化材からのふっ素の溶出を抑制することについて言及されているが、この抑制には、別途、軽焼マグネシアが用いられている。更に、特許文献3に記載された重金属等不溶化固化材では、泥土からの重金属等の溶出の抑制が主たる目的とされており、中和されるのも含水泥土等の処理物であり、固化材そのものではない。
上述のように、特許文献1〜3には、廃石膏とペーパースラッジ灰とを混合した廃棄物組成物そのものからのふっ素の溶出を、溶出抑制のための他の成分の配合を要することなく、抑制することについては何ら言及されていない。また、特許文献2には、固化材を用いた改良土のpHの経時変化、特許文献3には、固化された泥土が中性であること、が記載されているものの、廃石膏とペーパースラッジ灰とを混合した廃棄物組成物のpHについては何ら言及されていない。
本発明は、上述の従来の実情に鑑みてなされたものであり、廃石膏とペーパースラッジ灰とが混合されてなり、これらに含有されるふっ素の溶出が抑制される土壌改質用廃棄物組成物、及びこれを用いて、土壌を固化し、地盤を改良する地盤改良材を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.廃石膏と、ペーパースラッジ灰とが混合され、ふっ素の溶出が抑制されることを特徴とする土壌改質用廃棄物組成物。
2.水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数が9.5〜12.5である前記1.に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
3.水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有する前記1.又は2.に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
4.前記ペーパースラッジ灰のふっ素溶出量が1.0mg/L以下であり、前記廃石膏に対する前記ペーパースラッジ灰の質量割合が0.1〜2.0である前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
5.前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の土壌改質用廃棄物組成物を含有することを特徴とする地盤改良材。
本発明の土壌改質用廃棄物組成物によれば、ともに廃棄物である廃石膏とペーパースラッジ灰とを混合することで、他に何らかのふっ素溶出抑制のための成分を加えることなく、混合物そのものからのふっ素の溶出を抑制することができ、地盤改良材として用いたときの、地盤からのふっ素の溶出も効率よく抑制することができる。
また、水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数が9.5〜12.5である場合、このようにアルカリ域であっても、ふっ素の溶出が十分に抑制される。
更に、水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有する場合は、混合物を適度な硬さに調整することができ、地盤改良材として用いるときに取り扱い易い廃棄物組成物とすることができる。
また、ペーパースラッジ灰のふっ素溶出量が1.0mg/L以下であり、廃石膏に対するペーパースラッジ灰の質量割合が0.1〜2.0である場合は、ペーパースラッジ灰の組成にもよるが、混合物からのふっ素の溶出をより効果的に抑制することができる。
本発明の地盤改良材によれば、軟弱な地盤を固化し、液状化現象を抑えることができ、強化された地盤上に建物を建てたり、道路を造成したりすることができる。
本発明の土壌改質用廃棄物組成物の一例のふっ素の溶出が抑制される傾向を表すグラフである。 本発明の土壌改質用廃棄物組成物の他例のふっ素の溶出が抑制される傾向を表すグラフである。 本発明の土壌改質用廃棄物組成物の他例のふっ素の溶出が抑制される傾向を表すグラフである。 本発明の土壌改質用廃棄物組成物の他例のふっ素の溶出が抑制される傾向を表すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
[1]土壌改質用廃棄物組成物
本発明の土壌改質用廃棄物組成物(以下、廃棄物組成物ということもある)は、廃石膏と、ペーパースラッジ灰とが混合され、ふっ素の溶出が抑制されることを特徴とする。
廃石膏は、石膏製品の廃棄物から回収される石膏であり、通常、硫酸カルシウム・二水和物である。具体的には、建物の解体時に発生する廃石膏ボード、及び新築時の石膏ボードの端材などから回収される石膏が挙げられる。また、廃石膏ボード及び石膏ボードの端材には、紙が併存するため、石膏粉と紙とに分別し、石膏粉は石膏として再利用され、紙はダンボール、板紙等の原料として再利用される。更に、廃石膏としては、石膏ボードを除く他の各種の石膏製品が廃棄されるときの石膏粉及び石膏製品の製造過程で廃棄される石膏粉を用いることもできる。これらの廃石膏には、有害物質であるふっ素が3〜4ppm程度含有されているものが多いことが知られており、地盤改良に用いたときに、地盤へのふっ素の溶出が抑制される必要がある。
ペーパースラッジ灰は、ペーパースラッジの焼却灰である。ペーパースラッジは、製紙過程における主として古紙再生をする際に発生する汚泥であり、短繊維、顔料及びタルク等が含有されている。このペーパースラッジを焼却した残渣がペーパースラッジ灰である。ペーパースラッジ灰は、通常、CaO等のカルシウム系成分、Al等のアルミニウム系成分、SiO等のケイ素系成分などを多量に含有する。また、その他に、マグネシウム、硫黄、チタニウム、鉄等の多くの元素の酸化物などが含有される。更に、鉛、クロム等の重金属、及びふっ素、ほう素などの有害物質が少量含有されており、地盤改良に用いたときに、地盤への有害物質の溶出が抑制される必要がある。
廃石膏と混合するペーパースラッジ灰としては、どのようなペーパースラッジ灰を用いてもよい。更に、ペーパースラッジ灰には、通常、少量のふっ素が含有されるが、その含有量は紙の原料によって大きく異なり、分析しても測定限界値未満であって、極めてふっ素の含有量が少ないペーパースラッジ灰もある。また、ペーパースラッジ灰からのふっ素の溶出量は、その組成等により大きく異なる。即ち、ペーパースラッジ灰におけるふっ素の含有量と溶出量には相関はなく、含有量が多くても溶出量が少ないものもあり、含有量が少なくても溶出量の多いものもある。
廃石膏とペーパースラッジ灰とを混合する方法は特に限定されない。例えば、粉末である廃石膏と、同じく粉末であるペーパースラッジ灰とを、ミキシングボールなどによって混合することができる。廃石膏は、通常、径が4mm以下の石膏の微粒子からなり、ペーパースラッジ灰は、より径の小さい微粉末からなるが、ミキシングボールなどによる混合では、石膏粉が破砕され、より径の小さい微粒子になることは殆どない。一方、混合時に水を加え、振とうした場合は、石膏粉は微細化されるものと考えられる。
また、土壌改質用廃棄物組成物の、水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数は、通常、9.5〜12.5であり、アルカリ域である。ペーパースラッジ灰のpHは略12であるが、これに廃石膏を混合してなる廃棄物組成物のpHもアルカリ域である。このように廃棄物組成物はアルカリ域であるが、ふっ素は固定され、溶出が十分に抑制される。
地盤改良の技術分野では、生体への配慮から、改良材に中和剤を配合し、pHを中性域に調整することもなされている。本願発明では、廃石膏とペーパースラッジ灰とを混合した廃棄物組成物のpHはアルカリ領域であるが、中和剤の配合を要することなく、ふっ素が固定され、廃棄物組成物からのふっ素の溶出が十分に抑制され、且つ地盤改良材として用いたとき、地盤からのふっ素の溶出が十分に抑制されるとともに、地盤のpHは経時とともに中性域となり、特に問題はない。
更に、炭酸マグネシウム系鉱物、水酸化マグネシウム等を仮焼してなる軽焼マグネシアなどは、従来、土壌固化材として用いたときに、六価クロムの溶出が抑制されるとともに、ふっ素の溶出も抑制されることが知られている。しかし、軽焼マグネシアなどは高価であり、コスト面では好ましくない。一方、本願発明の廃棄物組成物は、ともに廃棄物である廃石膏とペーパースラッジ灰との混合物であり、安価であるとともに、地盤改良材として用いたときも、軽焼マグネシア等を配合することなく、ふっ素の溶出が十分に抑制される。
土壌改質用廃棄物組成物には、水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有させることもできる。水硬性セメントとしては、ポルトランドセメント及び混合セメントを用いることができる。水硬性セメント及び/又は石灰を配合することで、廃棄物組成物を硬化させることができる。但し、廃棄物組成物は地盤改良材として用いるものであるため、運搬時、土壌との混合時等における取り扱い易さを考慮すると、過度に固化されてしまうのは好ましくなく、廃棄物組成物の硬度を勘案しつつ、適量を配合することが好ましい。
廃石膏とペーパースラッジ灰との質量割合は、ふっ素の溶出量が各々に含有されるふっ素量を合算した値を下回る、即ち、ふっ素の溶出が抑制される限り、特に限定されない。廃石膏には少量のふっ素が含有され、ペーパースラッジ灰にも、通常、ふっ素が含有されるが、これらを混合することで、所定の方法により測定したふっ素の溶出量が、それぞれのふっ素の含有量を合計した計算値を下回る。
廃石膏に含有されるふっ素量は、前述のように、通常、3〜4ppm程度であり、例外はあるが廃石膏の種類による大差はない。一方、ペーパースラッジ灰に含有されるふっ素量は、紙の原料によって大差があり、例えば、蛍光X線により測定したときに、測定限界未満であるペーパースラッジ灰もある。また、前述のように、ペーパースラッジ灰の組成等によって、ペーパースラッジ灰に含有されるふっ素量と、溶出するふっ素量とには全く相関がない。
土壌改質用廃棄物組成物からのふっ素の溶出量は、ペーパースラッジ灰の組成によっては、廃石膏に、ふっ素溶出量が1.0mg/L以下のペーパースラッジ灰を0.1〜2.0の質量割合で混合することによって、より効率よく抑制することができる。更に、ペーパースラッジ灰は廃石膏に対して質量割合で0.5混合すれば、ふっ素の溶出は十分に抑制されるが、より多量に、例えば、質量割合で2.0混合しても、特に問題はなく、ふっ素の溶出を十分に抑制することができる。この場合、廃石膏とペーパースラッジ灰の混合量は、それらの入手量、混合物の固化の程度による取り扱い易さ等によって、適宜の量比とすればよい。
[2]地盤改良材
本発明の地盤改良材は、上記[1]の土壌改質用廃棄物組成物を含有することを特徴とする。
地盤改良材は、土壌改質用廃棄物組成物のみからなっていてもよく、廃棄物組成物のみであっても、軟弱な地盤を十分に固化させることができ、液状化現象を十分に抑えることもでき、強化された地盤上に建物を建てたり、道路を造成したりすることができる。
尚、この地盤改良材において、廃石膏、ペーパースラッジ灰、pH、水硬性セメント及び石灰については、前記[1]土壌改質用廃棄物組成物における各々の記載をそのまま適用することができる。
ペーパースラッジ灰と、廃石膏とを混合することにより、特にこれに更にセメント及び/又は生石灰を配合することで、水和反応によって、多くの結晶水を有するエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)が形成される。そのため、ペーパースラッジ灰と廃石膏との混合物は、水分量の多い土中においても土粒子の団粒化を促進しつつ、土中の水分をエトリンガイトの結晶水として取り込み、土中の水分量を低下させ、土壌の強度を高めることができ、地盤を改良することができる。
また、地盤改良材には、水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有させてもよく、これらに加えて高炉セメントを含有させてもよい。更に、水硬性セメント及び/又は石灰は含有させず、高炉セメントを含有させてもよい。高炉セメントは、高炉スラグが配合されたセメントであり、高炉スラグによる潜在的な水硬性が発現され、ポルトランドセメント等に比べて、強度特性、化学的耐久性及び水密性に優れた改良地盤とすることができる。
高炉セメントの種類は特に限定されず、高炉セメントを100質量%とした場合に、高炉スラグの配合割合は5〜70質量%であればよく、30〜70質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。高炉スラグの配合割合が30質量%以上、特に40質量%以上であることによって、アルカリシリカ反応が抑制され、特に耐久性に優れた改良地盤とすることができる。この高炉セメントとしては、具体的には、高炉スラグの配合割合が30〜60質量%であるB種高炉セメント、又は高炉スラグの配合割合が60〜70質量%であるC種高炉セメントが好ましく、特にB種高炉セメントがより好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
廃石膏としては、建物の解体時に発生した廃石膏ボードから紙を分別した石膏粉を用いた。また、水500mLに石膏粉50gを投入し、常温(概ね20℃)で6時間撹拌し、その後、濾過し、濾液を検液として、昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げられた方法によりふっ素の溶出量を測定した。その結果、ふっ素の溶出量は3.90mg/Lであった。
また、ペーパースラッジ灰としては、製紙工場から提供されたものを用いた。このペーパースラッジ灰を粉砕後、ペレット状に加圧成形し、蛍光X線装置により含有される無機元素の定性分析をした。その結果、半定量値として、20.4%のCa、16.3%のAl、12.5%のSi等が検出された。更に、ふっ素は測定限界値未満であったが、上記と同様にして調製した検液を用いて、上記と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は0.70mg/Lであった。
次いで、廃石膏とペーパースラッジ灰とを、廃石膏に対するペーパースラッジ灰の質量割合が、0、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、1.75及び2.00となるように混合した。その後、水500mLに混合物50gを投入し、常温(概ね20℃)で6時間撹拌し、次いで、濾過し、濾液を検液として、昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げられた方法によりふっ素の溶出量を測定した。結果を表1及び図1に記載する。
Figure 2018024767
測定の結果、表1及び図1のように、ペーパースラッジ灰の質量割合が0.10以上である場合、顕著なふっ素溶出抑制効果が発現されることが確認された。また、ペーパースラッジ灰を質量割合で0.20混合した場合、ふっ素の溶出量は0.8mg/Lであり、平成3年8月環境庁告示第46号別表に環境上の条件として定められた検液1Lにつき0.8mg以下であることという基準値となっている。更に、ペーパースラッジ灰の質量割合が0.50〜1.75重量部混合された場合、ふっ素の溶出量は0.3mg/Lと極めて少量であった。
尚、上述の環境基準は土壌について規定されたものであるが、土壌改良のために加えられる地盤改良材からのふっ素溶出量も少量であることが好ましいのは明らかである。
実施例2
廃石膏としては、実施例1とは異なる建物の解体時に発生した廃石膏ボードから紙を分別した石膏粉を用いた。また、実施例1と同様にして調製した検液を用いて、実施例1と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は0.94mg/Lであった。
また、ペーパースラッジ灰としては、実施例1とは異なる製紙工場から提供されたものを用いた。このペーパースラッジ灰を粉砕後、ペレット状に加圧成形し、蛍光X線装置により含有される無機元素の定性分析をした。その結果、半定量値として、30.6%のCa、11.0%のSi、9.9%のSi等が検出された。更に、ふっ素は0.25%であった。また、実施例1と同様にして調製した検液を用いて、実施例1と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は7.20mg/Lであった。
次いで、廃石膏とペーパースラッジ灰とを、廃石膏に対するペーパースラッジ灰の質量割合が実施例1と同様となるように混合した。その後、実施例1と同様にして検液を調製し、昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げられた方法によりふっ素の溶出量を測定した。結果を表2及び図2に記載する。
Figure 2018024767
測定の結果、表2及び図2のように、ペーパースラッジ灰の混合量にかかわりなくふっ素溶出抑制効果が発現されることが確認された。また、ペーパースラッジ灰の混合量の増加とともに、ふっ素の溶出量の計算値と測定値との差が大きくなり、廃石膏とペーパースラッジ灰との併用によるふっ素の溶出がより抑制されることが分かる。このように、ふっ素の含有量及び溶出量ともに多い廃石膏であっても、同様の作用効果が奏されることが確認できた。
実施例3
廃石膏としては、実施例1、2とは異なる建物の解体時に発生した廃石膏ボードから紙を分別した石膏粉を用いた。また、実施例1と同様にして調製した検液を用いて、実施例1と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は3.40mg/Lであった。
また、ペーパースラッジ灰としては、実施例1、2とは異なる製紙工場から提供されたものを用いた。このペーパースラッジ灰を粉砕後、ペレット状に加圧成形し、蛍光X線装置により含有される無機元素の定性分析をした。その結果、半定量値として、22.2%のAl、14.9%のSi、6.7%のTi、4.4%のCa等が検出された。更に、ふっ素は0.062%であった。また、実施例1と同様にして調製した検液を用いて、実施例1と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は8.00mg/Lであった。
次いで、廃石膏とペーパースラッジ灰とを、廃石膏に対するペーパースラッジ灰の質量割合が実施例1と同様となるように混合した。その後、実施例1と同様にして検液を調製し、昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げられた方法によりふっ素の溶出量を測定した。結果を表3及び図3に記載する。
Figure 2018024767
測定の結果、表3及び図3のように、廃石膏からのふっ素の溶出量より、ペーパースラッジ灰からのふっ素の溶出量が相当に多いためか、ペーパースラッジ灰の質量割合が0.25までは、測定値が計算値を上回っていた。しかし、ペーパースラッジ灰の質量割合が0.50より高くなると、理由は定かではないが、ふっ素溶出抑制効果が発現されることが確認され、ペーパースラッジ灰の混合量の増加とともに、ふっ素の溶出量の計算値と測定値との差が大きくなり、廃石膏とペーパースラッジ灰との併用によるふっ素の溶出がより抑制されることが分かる。
実施例4
廃石膏としては、実施例1、2、3とは異なる建物の解体時に発生した廃石膏ボードから紙を分別した石膏粉を用いた。また、実施例1と同様にして調製した検液を用いて、実施例1と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は3.50mg/Lであった。
また、ペーパースラッジ灰としては、実施例1、2、3とは異なる製紙工場から提供されたものを用いた。このペーパースラッジ灰を粉砕後、ペレット状に加圧成形し、蛍光X線装置により含有される無機元素の定性分析をした。その結果、半定量値として、24.9%のCa、12.7%のAl、8.2%のSi等が検出された。更に、ふっ素は0.14%であった。また、実施例1と同様にして調製した検液を用いて、実施例1と同様の方法により測定したふっ素の溶出量は1.10mg/Lであった。
次いで、廃石膏とペーパースラッジ灰とを、廃石膏に対するペーパースラッジ灰の質量割合が実施例1と同様となるように混合した。その後、実施例1と同様にして検液を調製し、昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げられた方法によりふっ素の溶出量を測定した。結果を表4及び図4に記載する。
Figure 2018024767
測定の結果、表4及び図4のように、ペーパースラッジ灰の混合量にかかわりなくふっ素溶出抑制効果が発現されることが確認された。尚、実施例4では、ペーパースラッジ灰の混合量を増加させても、ふっ素の溶出量の計算値と測定値との差は同様ではあったが、廃石膏とペーパースラッジ灰との併用により、ふっ素の溶出が抑制されることは分かった。
本発明は、軟弱な地盤を固化し、液状化現象を抑えることができ、強化された地盤上に建物を建てたり、道路を造成したりする技術分野において利用することができる
本発明は以下のとおりである。
1.廃石膏と、ペーパースラッジ灰とのみが混合され、ふっ素の溶出が抑制される土壌改質用廃棄物組成物であって、軽焼マグネシアが配合されていないことを特徴とする土壌改質用廃棄物組成物。
2.水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数が9.5〜12.5である前記1.に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
3.前記1.又は2.に記載の土壌改質用廃棄物組成物を含有することを特徴とする地盤改良材。
本発明の土壌改質用廃棄物組成物によれば、ともに廃棄物である廃石膏とペーパースラッジ灰とを混合することで、他に何らかのふっ素溶出抑制のための成分を加えることなく、混合物そのものからのふっ素の溶出を抑制することができ、地盤改良材として用いたときの、地盤からのふっ素の溶出も効率よく抑制することができる。
また、水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数が9.5〜12.5である場合、このようにアルカリ域であっても、ふっ素の溶出が十分に抑制される。
本発明の地盤改良材によれば、軟弱な地盤を固化し、液状化現象を抑えることができ、強化された地盤上に建物を建てたり、道路を造成したりすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[1]土壌改質用廃棄物組成物
本発明の土壌改質用廃棄物組成物(以下、廃棄物組成物ということもある)は、廃石膏と、ペーパースラッジ灰とのみが混合され、ふっ素の溶出が抑制される土壌改質用廃棄物組成物であって、軽焼マグネシアが配合されていないことを特徴とする。
参考となる土壌改質用廃棄物組成物には、水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有させることもできる。水硬性セメントとしては、ポルトランドセメント及び混合セメントを用いることができる。水硬性セメント及び/又は石灰を配合することで、廃棄物組成物を硬化させることができる。但し、廃棄物組成物は地盤改良材として用いるものであるため、運搬時、土壌との混合時等における取り扱い易さを考慮すると、過度に固化されてしまうのは好ましくなく、廃棄物組成物の硬度を勘案しつつ、適量を配合することが好ましい。
[2]地盤改良材
本発明の地盤改良材は、上記[1]の土壌改質用廃棄物組成物を含有することを特徴とする。
地盤改良材は、土壌改質用廃棄物組成物のみからなっていてもよく、廃棄物組成物のみであっても、軟弱な地盤を十分に固化させることができ、液状化現象を十分に抑えることもでき、強化された地盤上に建物を建てたり、道路を造成したりすることができる。
尚、この地盤改良材において、廃石膏、ペーパースラッジ灰、pHについては、前記[1]土壌改質用廃棄物組成物における各々の記載をそのまま適用することができる。
ペーパースラッジ灰と、廃石膏とを混合することにより、水和反応によって、多くの結晶水を有するエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)が形成される。そのため、ペーパースラッジ灰と廃石膏との混合物は、水分量の多い土中においても土粒子の団粒化を促進しつつ、土中の水分をエトリンガイトの結晶水として取り込み、土中の水分量を低下させ、土壌の強度を高めることができ、地盤を改良することができる。
また、参考となる地盤改良材には、水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有させてもよく、これらに加えて高炉セメントを含有させてもよい。更に、水硬性セメント及び/又は石灰は含有させず、高炉セメントを含有させてもよい。高炉セメントは、高炉スラグが配合されたセメントであり、高炉スラグによる潜在的な水硬性が発現され、ポルトランドセメント等に比べて、強度特性、化学的耐久性及び水密性に優れた改良地盤とすることができる。

Claims (5)

  1. 廃石膏と、ペーパースラッジ灰とが混合され、ふっ素の溶出が抑制されることを特徴とする土壌改質用廃棄物組成物。
  2. 水を加えて撹拌したときの上澄液の水素イオン指数が9.5〜12.5である請求項1に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
  3. 水硬性セメント及び石灰のうちの少なくとも一方を含有する請求項1又は2に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
  4. 前記ペーパースラッジ灰のふっ素溶出量が1.0mg/L以下であり、前記廃石膏に対する前記ペーパースラッジ灰の質量割合が0.1〜2.0である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の土壌改質用廃棄物組成物。
  5. 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の土壌改質用廃棄物組成物を含有することを特徴とする地盤改良材。
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