以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態のいくつかを説明する。
図1は本実施形態による顕微鏡10の基本構成を示す外観図である。図1(a)は顕微鏡10の斜視図である。図1(b)は顕微鏡10の鏡基11からステージ装置30を外した状態を示す斜視図である。顕微鏡10において、顕微鏡本体(鏡基11)にステージ装置30が固定されている。鏡基11は、顕微鏡の各種構造物を取り付ける為の堅牢な本体フレームである。接眼鏡基12は鏡基11に固定され、接眼鏡筒13(本例では双眼)を接続する。Z摘み15は、zベース18をZ軸方向(上下方向)へ移動させるための摘みである。zベース18には、観察対象のスライドガラスをXy方向に移動させるためのステージ装置30が装着、固定される。zベース18は,Z摘み15の回転に応じてzベース18をZ方向に移動するzベース移動機構14により鏡基11に装着されている。16は対物レンズユニットであり、光学倍率に応じた複数種類のユニットが存在する。リボルバ17は、複数種類の対物レンズユニット16を取り付けられる構造を有し、リボルバ17を回転させる事により、所望の対物レンズユニットを顕微鏡による観察のために選択することが出来る。コンデンサユニット19は、透過光照明用のコンデンサレンズ20を収納している。
図2は、ステージ装置30の外観を示す図である。ステージ装置30は、外装カバー300の内部にxyステージ100が収納された形態を有する。外装カバー300はステージベース130(図3)に固定され、ステージベース130に対してx方向、y方向のいずれにも移動することはない。なお、外装カバー300は、鏡基11のzベースに直接固定されてもよい。外装カバー300は、ステージベース130の面上をy方向に相対的に移動するyステージ120と、yステージ120の面上をx方向に相対的に移動し、スライドガラスを載置する機構を有するxステージ110とを覆う構造体である。外装カバー300は、yステージ120及びxステージ110を、それらの全移動範囲を含めて覆っている。外装カバー300は、xステージ110上のスライドガラスの載置機構である載置部101を露出させる空孔310を有する。空孔310を介して、ユーザは、観察対象のスライドガラスを載置部101に載置することができる。
上述のように、本実施形態の外装カバー300はステージベース130に固定される。すなわち、外装カバー300は、ステージベース130を介して、顕微鏡10の鏡基11に設けられ、光軸方向に移動するステージ部材であるzベース18に固定され、xステージ110及びyステージ120とは、常に間隙を有し、接触することはない。そのため、外装カバー300は、xyステージ100の動作に対して不動である。また、外装カバー300に外力が加わってもxyステージ100は影響を受けない。z方向には、堅牢な顕微鏡10のzベース18に固定されているため、多少の外力の影響は無視し得る。この為、外装カバー300の上面にスライドガラスを置くためのスライドガラス載置領域を設けたり、外装カバー300の表面に操作ボタン類を搭載したりすることが可能となる。
図3は、ステージ装置30において、外装カバー300をxyステージから取り外した状態を示している。xyステージ100を収納する外装カバー300は、その上面部に、xステージ110上の載置部101にスライドガラスを移動するための第1の平坦部301を有する。また、外装カバー300の上面部には、第1の平坦部301より高い位置に、第1の平坦部301を挟むように設けられた、スライドガラスを置くための第2の平坦部302及び第3の平坦部303が設けられている。第1の平坦部301、第2の平坦部302、第3の平坦部303は、観察前または観察後のスライドガラスを載置する為のスライドガラス載置領域を形成する。
第2の平坦部302と第1の平坦部301は第1のスロープ部307で接続され、第3の平坦部303と第1の平坦部301は第2のスロープ部308で接続される。したがって、ユーザは、スライドガラスを外装カバー300の上面を滑らせることにより、スライドガラス載置領域内においてスライドガラスを容易に移動することができる。また、第2の平坦部302、第3の平坦部303、第1のスロープ部307及び第2のスロープ部308には、外装カバー300の外縁に沿って、スライドガラス落下防止用の壁部304が設けられている。スライドガラス載置領域に設けられた壁部304により、xyステージ100の動作中やユーザによるスライドガラスの移動中に、スライドガラスを誤って落下させてしまう可能性が低減する。したがって、外装カバー300の上面において、ユーザは安全にスライドガラスを取り扱うことができる。なお、第1の平坦部301の両側は、外装カバー300の外縁まで平坦性が連続しており、この部分において、スライドガラスを通過させるために壁部304が存在せず、開口している。これらの開口により、ユーザは、スライドガラスを載置部101へ移動させたり、外装カバー300から取り出したりすることができる。
例えば、図1に示されるように、ユーザは、観察前のスライドガラスを第2の平坦部302に置いておくことができる。ユーザは、第2の平坦部302にあるスライドガラスを、外装カバー300の上面部を滑らせて第1の平坦部301へ移動させ、さらに、第1の平坦部301から載置部101へ移動させることができる。また、観察を終えたスライドガラスを、載置部101から第2の平坦部301へ移動させたり、第3の平坦部303へ移動させたりすることができる。
また、外装カバー300の正面パネルには、ユーザ指示を行うための操作スイッチ306(本例では、ホームボタン306a、ロードボタン306b、イジェクトボタン306c)や表示器305が設けられている。実施形態では、操作スイッチ306や表示器305を外装カバーの正面パネルに設けた例を示したが、これに限られるものではなく、例えば、外装カバー300の上面部に設けてもよい。
図4は外装カバー300の上面図(a)、左右の側面図(b、c)、正面図(d)、底面図(e)を示す。上面には、空孔310の三方を囲むようにスライドガラス載置領域が設けられている。正面には表示器305、操作スイッチ306が設けられている。底面には、顕微鏡のコンデンサレンズとの干渉を避けるための切欠き311が設けられている。また、底面には、yステージ120に設けられている手動摘み160が、yステージ120の移動に伴って移動する際の移動経路に沿って空孔312が設けられている。
次に、xyステージ100について図3を参照して説明する。本実施形態のxyステージ100は、観察対象のスライドを載置して、顕微鏡10の鏡基11に対してx方向及びy方向へ移動するステージである。xyステージ100は、ステージベース130、yステージ120、xステージ110が積層された構造を有する。なお、積層順序は図1の例に限定されるものではなく、xステージ110の上部にyステージ120を設ける構成としてもよい。xyステージ100において、yステージ120はステージベース130の面上をy方向に相対的に移動する。また、xステージ110はyステージ120の面上をx方向に相対的に移動する。ここで、ステージベース130は第1のステージの一例に相当し、yステージ120は第2のステージの一例に相当する。また、xステージ110は第3のステージの一例に相当する。また、y方向は第1の方向の一例に相当し、x方向は第2の方向の一例に相当する。xステージ110の上面には、スライドガラスを載置するための載置部101が設けられている。載置部101の詳細については、図15Aの参照により後述する。
より具体的には、ステージベース130は、顕微鏡10の鏡基11のzベース18に固定される。yステージ120はステージベース130上を、y軸クロスローラガイド121a、b(図5で後述)に沿ってy方向へ移動可能である。xステージ110はyステージ120上を、x軸クロスローラガイド111a,b(図5で後述)に沿ってx方向へ移動可能である。この結果、xステージ110上に設けられた載置部101を、ステージベース130に対して(顕微鏡10の鏡基11に対して)x方向及びy方向の2方向へ移動させることが可能なxyステージが提供される。ユーザは、手動摘み160のx摘み161を回すことによりxステージ110をx方向へ移動させることができ、y摘み162を回すことによりyステージ120をy方向へ移動させることができる。よって、ユーザは手動摘み160を操作することにより載置部101をxy方向に移動させることができる。y摘み162は第1の駆動手段の一例に相当する。
図5は、xyステージ100を構成するxステージ110、yステージ120、ステージベース130のそれぞれの外観を示す図である。
xステージ110には、yステージ120に配置されるx軸クロスローラガイド111bと対になるx軸クロスローラガイド111aが配置されている。ステージベース130には、yステージ120に配置されるy軸クロスローラガイド121aと対になるy軸クロスローラガイド121bが配置されている。2つのx軸クロスローラガイド111aは2つのx軸クロスローラガイド111bを外側から挟むように配置されており、2つのy軸クロスローラガイド121aは2つのy軸クロスローラガイド121bを外側から挟むように配置されている。x軸クロスローラガイド111a、111bを、それらの間にクロスローラを挿入した状態で固定することにより、xステージ110はyステージ120の面上をx軸方向に移動可能となる。同様に、y軸クロスローラガイド121a、121bの間にクロスローラを挿入して固定することで、yステージ120はステージベース130の面上をy軸方向に移動可能となる。
yステージ120には、xステージ110をyステージに対してx方向へ移動させるための駆動機構と、yステージ120をステージベース130に対してy方向へ移動させるための駆動機構が搭載されている。手動駆動機構170は、手動による駆動力により、xステージ110をyステージ120に対してx方向へ移動させるための被駆動部(本実施形態ではxステージに連結されたワイヤ)を駆動する。同様に、手動駆動機構170は、yステージ120をステージベース130に対してy方向へ移動させるための被駆動部(本実施形態ではステージベース130に連結されたワイヤ)を駆動する。より具体的には、x摘み161、y摘み162の回転動作を、それぞれ、図7以降でより具体的に示すxワイヤ173、yワイヤ174の移動動作に変換する。xワイヤ173の移動によりxステージ110がyステージ120に対してx方向へ移動し、yワイヤ174の移動によりyステージ120がステージベース130に対してy方向へ移動する。
x方向用のリニアアクチュエータ200xは、xステージ110をyステージ120に対してx方向へ移動させるための駆動力を提供するリニアアクチュエータである。y方向用のリニアアクチュエータ200yはyステージ120をステージベース130に対してy方向へ移動させるための駆動力を提供するリニアアクチュエータである。リニアアクチュエータ200x、200yは同様の構造を有しているので、以下これらを総称する場合には、リニアアクチュエータ200と記載する。また、リニアアクチュエータ200がx方向用かy方向用かを区別する際には、参照符号の末尾にx、yを付す。
図6は、本実施形態によるリニアアクチュエータ200の構造を説明する図である。図6(a)は、リニアアクチュエータ200の上面、正面、下面、側面を示す図である。図6(b)、図6(e)は、リニアアクチュエータ200を、構成要素で分解して示した斜視図である。図6(c)はリニアアクチュエータ200の取り付けを説明する図である。図6(d)は、図6(c)の一部の断面を示す図である。本実施形態のリニアアクチュエータ200は、外包部材201と外包部材201を貫通する穴に挿通されるシャフト202よりなる所謂シャフトモータ(シャフトを用いるリニアモータ)を用いている。すなわち、外包部材201の貫通孔211に該シャフト202を通した状態で、シャフト202をフレーム203に設けた大きめの穴214にワイヤ接続部204を用いて固定している。そして、xyステージ100の実装に際し、駆動ワイヤ(図7以降でより具体的に示すxワイヤ173、yワイヤ174)とシャフト202の軸が同軸になる様に、シャフト202がフレーム203にワイヤ接続部204でもって固定される。
以上のような実装の結果として、図6(a)、(b)に示されるようなリニアアクチュエータ200が構成される。図示のようにリニアアクチュエータ200は、外包部材201と、外包部材201の貫通孔211を摺動可能に挿通されたシャフト202と、シャフト202をフレーム203に固定するとともに駆動ワイヤを接続するためのワイヤ接続機構を提供するワイヤ接続部204と、を具備する。外包部材201とシャフト202の一方がコイルを有し、他方が磁石を有しており、コイルを有する部材への通電により磁石を含む部材がコイルに対して相対的に移動する。すなわち、電動による駆動力を提供する本実施形態によるリニアアクチュエータ200は、外包部材201と外包部材201を貫通する穴に挿通されるシャフト202よりなる所謂シャフトモータ(シャフトを用いるリニアモータ)が実装時にフレーム203に固定されたものである。リニアアクチュエータ200では、電気信号の付与に応じてシャフト202がその長手方向(軸方向)へ動作する。
シャフト202は、円形状の断面を有し、外包部材201の貫通孔211に挿通された状態で、実装時にフレーム203に組み込まれ、その両端部がワイヤ接続部204によりフレーム203に固定される。図6(c)、図6(d)に示されるように、ワイヤ接続部204の一端にはシャフト202の端部に設けられたネジ部213に対応したネジ部が設けられており、他端にはワイヤ固定用の穴部212が設けられている。穴部212に駆動ワイヤ(後述のxワイヤ173またはyワイヤ174)を差し込み、ワイヤ固定ネジ205で径方向から締め付けることにより、シャフト202と実質的に同軸に駆動ワイヤが接続されることになる。ここで、同軸というのは、駆動ワイヤの中心軸とシャフト202の中心軸が一致した状態のことである。なお、図6では、駆動ワイヤをワイヤ固定ネジ205で穴部212に固定する形態を示したが、駆動ワイヤを固定する方法はこれに限られるものではない。シャフト202と駆動ワイヤが同軸となるように固定できればいかなる構造を採用してもよく、たとえば、カシメにより駆動ワイヤを穴部212に固定するようにしてもよい。または、一端に円筒穴を有する円筒ピンの円筒穴に駆動ワイヤの端部を差し込み、ネジまたはカシメにより円筒ピンを駆動ワイヤの端部に固定しておき、この円筒ピンの他端を穴部212に挿入し、ワイヤ固定ネジ205で固定するようにしても良い。
また、外包部材201は、外包部材固定ネジ206によりyステージ120に直接に、または取り付け部材を介して間接的に固定される。フレーム203は、フレーム固定ネジ207によりxステージ110またはステージベース130に直接的に、または取り付け部材を介して間接的に固定される。このような構成によれば、x方向のリニアアクチュエータ200xのフレーム203xはxステージ110に対して固定され、シャフト202xが外包部材201xに対してx方向に移動するとxステージ110がyステージ120に対してx方向へ移動する。同様に、y方向のリニアアクチュエータ200yのフレーム203yはステージベース130に対して固定され、シャフト202yが外包部材201yに対してy方向に移動するとyステージ120がステージベース130に対してy方向へ移動する。
なお、本実施形態のリニアアクチュエータ200の提供形態やxyステージ100への取り付けは、上述した形態に限られるものではない。たとえば、それぞれの取り付け先であるステージに外包部材201やシャフト202を固定する部分を設けても良い。また、図6(e)に示されるように、フレーム203に設けた大きめのU溝に、両端にワイヤ接続部204を有するシャフト202を挿入し、固定するようにしてもよい。このように、手動駆動用のワイヤと電動駆動用のシャフト202とが同軸になり、且つ、その軸方向がステージの移動方向と平行となるように、ステージ装置に装着されれば、いかなる構成が用いられてもよい。
図7はyステージ120の下面とステージベース130の上面におけるステージ駆動に関わる構成部品の配置を模式的に示す図である。なお、図7は構成部品の配置を説明するための模式図であるため、ステージに設けられた開口部の大きさ位置、形状や、各構成部品の配置位置、大きさなどは、図3や図5に示したステージの構成図と必ずしも一致していない。
yステージ120の下面には、y軸クロスローラガイド121aと、リニアアクチュエータ200yの外包部材201yが固定されている。yプーリ172とプーリ175aの間にはyワイヤ174がかけられており、yワイヤ174とシャフト202yが同軸になるようにリニアアクチュエータ200yが配設され、ワイヤ接続部204yにyワイヤ174が接続されている。yプーリ172は、y摘み162に対する手動操作に応じて回転し、yプーリ172の回転によりyワイヤ174が動作する。シャフト202yは、フレーム203yに固定されている。フレーム203yは(必要であれば不図示のブラケットを介して)ステージベース130に固定されている。ステージベース130の上面には、y軸クロスローラガイド121bが配置されている。y軸クロスローラガイド121aがy軸クロスローラガイド121bを挟むように構成され、yステージ120はステージベース130に対してy方向に移動可能となっている。ここで、外包部材201yは第2の駆動手段の一例に相当し、シャフト202yは第2の被駆動手段の一例に相当する。
以上の構成において、外包部材201yに対してシャフト202yをy方向へ移動させると、yステージ120がステージベース130に対してy方向へ(y軸クロスローラガイド121に沿って)移動する。リニアアクチュエータ200yは、外包部材201yのコイルへの通電に応じてシャフト202yを移動させるので、リニアアクチュエータ200yの駆動力によりyステージ120をステージベース130に対してy方向へ移動させ得る。また、y摘み162の手動による回転力は手動駆動機構170においてyプーリ172の回転力に変換され、yワイヤ174を移動させる。yワイヤ174は、ワイヤ接続部204そしてフレーム203yを介してステージベース130に連結されているため、yワイヤ174の移動はステージベース130をyステージ120に対してy方向へ相対的に移動させる。結果、yステージ120がステージベース130に対してy方向へ移動することになる。yワイヤ174は第1の被駆動部の一例に相当する。
また、図7では、外装カバー300の装着位置を一点鎖線で示している。外装カバー300は、ステージベース130に固定される。ステージベース130はzベース18に固定されるので、結果、外装カバー300はzベース18に対して固定されることになる。zベース18は堅牢な鏡基に組み込まれた、z方向へ移動可能なステージである。外装カバー300をzベース18に固定することにより、xyステージ100への外部からの衝撃が回避される。
図8はyステージ120の上面とxステージ110におけるステージ駆動に関わる構成部品の配置を模式的に示す図である。なお、図4と同様に図5も構成部品の配置を説明するための模式図であるため、ステージに設けられた開口部の大きさ位置、形状や、各構成部品の配置位置、大きさなどは、図2に示したステージの構成図と必ずしも一致していない。また、図8においても、外装カバー300の装着位置が一点鎖線で示されている。
yステージ120の上面には、x軸クロスローラガイド111bと、リニアアクチュエータ200xの外包部材201xが固定されている。xプーリ171とプーリ175bの間にはxワイヤ173がかけられており、xワイヤ173とシャフト202xが同軸になるようにリニアアクチュエータ200xが配設され、ワイヤ接続部204xにxワイヤ173が接続されている。xプーリ171は、x摘み161に対する手動操作に応じて回転し、xプーリ171の回転によりxワイヤ173が動作する。シャフト202xは、フレーム203xに固定され、フレーム203xは(必要であれば不図示のブラケットを介して)xステージ110に固定されている。xステージ110の下面(yステージ120の上面と対向する面)には、x軸クロスローラガイド111aが配置されている。x軸クロスローラガイド111aがx軸クロスローラガイド111bを挟むように構成され、xステージ110はyステージ120に対してx方向に移動可能となっている。
以上の構成において、外包部材201xに対してシャフト202xをx方向へ移動させることでxステージ110がyステージ120に対してx方向へ(x軸クロスローラガイド111に沿って)移動することになる。リニアアクチュエータ200xは、外包部材201xのコイルへの通電に応じてシャフト202xを移動させるので、リニアアクチュエータ200xの駆動力によりxステージ110をyステージ120に対してx方向へ移動させ得る。また、x摘み161の手動による回転力は手動駆動機構170においてxプーリ171の回転力に変換され、xワイヤ173を移動させる。xワイヤ173の移動に応じてこれと同軸に接続されているワイヤ接続部204そしてフレーム203xもx方向へ移動し、フレーム203xが固定されているxステージ110が移動する。結果、手動によりxステージ110がyステージ120に対してx方向へ移動することになる。
本実施形態のxyステージ100においては、リニアアクチュエータ200xのシャフト202xとxワイヤ173が同軸となっている。そのため、電動による駆動力に応じて動作する被駆動部としてのシャフト202xの動作軸と、手動による駆動力に応じて動作するxワイヤ173の動作軸の少なくとも一部が共通となる。ここで、共通となる動作軸はx軸クロスローラガイド111により規定されるx方向に平行である。このように電動駆動と手動駆動における動作軸を一致させることにより、電動駆動と手動駆動の間の切り替えが行われた際の、xステージ110の微動の発生を低減することができる。したがって、顕微鏡の観察者は、ストレスなく電動駆動と手動駆動を任意のタイミングで切り替えることができる。yステージ120とステージベース130に関しても、リニアアクチュエータ200yのシャフト202yとyワイヤ174が同軸に配置されていることから、電動駆動と手動駆動の間の切り替えにおけるyステージ120の微動の発生が低減される。なお、電動駆動と手動駆動の切り替えは手動駆動機構170で実行されるが、その構成については図13により後述する。
次に、図9を参照して、xステージ110、yステージ120、ステージベース130の積層状態を説明する。図9に示されるように、xステージ110、yステージ120、ステージベース130はz方向に積層される。yステージ120の下面に固定されたy軸クロスローラガイド121aとステージベース130の上面に固定されたy軸クロスローラガイド121bにより、yステージ120はステージベース130上をy方向へ移動可能に積層されている。同様に、xステージ110の下面に固定されたx軸クロスローラガイド111aとyステージ120の上面に固定されたx軸クロスローラガイド111bにより、xステージ110はyステージ120上をx方向へ移動可能に積層されている。図9では、xステージ110をyステージ120に対してx方向へ移動させた様子が示されている。
また、リニアアクチュエータ200yの外包部材201yはyステージ120の下面に直接固定され、フレーム203yは、L型のブラケット181aを介してステージベース130に固定されている。このように、フレーム203yの底面がステージベース130の面に対して垂直になるようにフレーム203yを固定することで、ステージベース130とyステージ120の高さ方向が制約された空間にリニアアクチュエータ200yを配置することができる。
上述したように、本実施形態では、x、y方向駆動用のシャフトモータ2個と手動駆動機構170とが実装されるyステージ120(第2のステージ)のサイズが一番大きくなる。一方、スライドガラスは一般に横置きで観察するので、ステージ装置上のスライドガラスの載置方向も横置きが好ましい。この場合、スライドガラスの形状から、y方向の移動量(たとえば、スライドガラス幅の25mm、約1インチ)は、x方向の移動量(たとえば、ラベルエリアを除く50mm)より小さい。従って、第2のステージは、y方向へ移動するyステージ120である方が、xyステージ100を覆うための外装カバー300を小さくすることができる。
外装カバー300は、xyステージ100(ステージベース130、yステージ120、xステージ110)を内包し、装着部材320を介してステージベース130に固定されている。本実施形態では、xステージ110のx方向サイズは、yステージ120のx方向サイズより十分に小さいため、図示のようにxステージ110が全移動範囲(たとえば、60mm)を移動してもxステージ110がyステージ120からはみ出すことはない。よって、外装カバー300のx方向のサイズは、yステージ120を覆うサイズであれば、外装カバー300の内壁にxステージ110が接触することはない。すなわち、外装カバー300のx方向サイズは、yステージ120のx方向サイズを覆うサイズであれば、xステージの全移動範囲(例えば、トレランスを含め、左右に夫々30mm程)をカバー出来る。なお、外部からの力による外装カバー300の多少の変形を考慮して、外装カバー300のx方向サイズはyステージ120のx方向サイズに対して適度なゆとりを持たせることが好ましい。
また、上述のように、xyステージ100のy方向への移動量は、スライドガラスの幅(25mm)の範囲を移動可能であればよい。したがって、図7、図8に示されるように、外装カバー300のy方向のサイズは、yステージ120のトレランスを含め、例えば、yステージ120のy方向のサイズより15mm程ずつ長くすれば十分となる。
[yステージ120への部品配置に関する変形例]
上記実施形態では、yステージ120の上面にx軸クロスローラガイド111bが配置され、xワイヤ173が敷設され、yステージ120の下面にy軸クロスローラガイド121aが配置され、yワイヤ174が敷設される構成を示した。すなわち、yステージ120の上面にxステージ110を駆動するための構成が配置され、下面にステージベース130に対してyステージ120を駆動するための構成が配置されていた。これに対し、図10〜図12を参照して、yステージ120の下面にxステージ110をx方向へ駆動するための構成とyステージ120をy方向へ駆動するための構成をまとめた構成を説明する。このような構成によれば、x方向及びy方向のクロスローラガイドが同一面に配置されるため、xyステージ100の組み立てにおける高さ方向の大きさをさらに低減すること、すなわちxyステージ100の厚みをさらに小さくすることが可能になる。
図10はyステージ120の下面とステージベース130の上面におけるステージ駆動に関わる構成部品の配置を模式的に示す図である。なお、図10は構成部品の配置を説明するための模式図であるため、ステージに設けられた開口部の大きさ位置、形状や、各構成部品の配置位置、大きさなどは、図3、図5に示したステージの構成図と必ずしも一致していない。
yステージ120の下面には、y軸クロスローラガイド121aと、リニアアクチュエータ200yの外包部材201yが固定されている。yプーリ172とプーリ175aの間にはyワイヤ174がかけられており、yワイヤ174とシャフト202yが同軸になるようにリニアアクチュエータ200yが配設され、ワイヤ接続部204yにyワイヤ174が接続されている。さらに、yステージ120の下面にはx軸クロスローラガイド111bが固定されている。また、リニアアクチュエータ200xの外包部材201xが不図示のブラケットを介してyステージ120に固定されている。xプーリ171は、yプーリ172と同軸で上下方向(Z方向)に重なるように配置されており、xプーリ171とプーリ175bの間にはxワイヤ173がかけられている。そして、xワイヤ173とシャフト202xが同軸になるようにリニアアクチュエータ200xが配設され、ワイヤ接続部204xにxワイヤ173が接続されている。
図7と同様に、yステージ120をy方向へ駆動するためのリニアアクチュエータ200yの、シャフト202yを保持するフレーム203yは、たとえばブラケット181aを介してステージベース130に固定される。ステージベース130の上面には、y軸クロスローラガイド121bが配置されている。y軸クロスローラガイド121aがy軸クロスローラガイド121bを挟むように構成され、yステージ120はステージベース130に対してy方向に移動可能となっている。これにより、シャフト202yがy方向へ駆動されると、yステージ120がステージベース130に対してy方向へ移動する。なお、図7と同様に、図10においても外装カバー300の装着位置が一点鎖線で示されている。
図11はyステージ120の上面を示す図である。図10に示したように、yステージ120の下面にステージ駆動のための構成部品が配置されるため、yステージ120の上面には構成部品が配置されない。したがって、yステージ120とxステージ110の間隔を狭くすることができ、xyステージ100の高さ方向の大きさを低減できる。xステージ110には、2つのx軸クロスローラガイド111aが不図示のブラケットを介して固定され、yステージ120に固定された2つのx軸クロスローラガイド111bを外側から挟むように固定される。これにより、xステージ110がyステージ120に対してx方向に移動可能に積層される。なお、xステージ110にはブラケットを介してx軸クロスローラガイド111aが固定されるため、yステージ120では、ブラケットを通すための開口が、x軸クロスローラガイド111bに沿って設けられている。また、図11においても、外装カバー300の装着位置が一点鎖線で示されている。
図12は、xステージ110、yステージ120、ステージベース130の積層状態を示す図である。xステージ110とyステージ120との間にx軸クロスローラガイド111は存在せず、図6に示した構造に比べて、xyステージ100のz方向の厚みが減少している。また、yステージ120の下面に敷設されたxワイヤ173とリニアアクチュエータ200xのシャフト202xとを同軸に接続するために、シャフト202xの位置をyステージ120の下面よりも低い位置とする必要がある。そのためフレーム203xは、ブラケット181bを介してxステージ110に固定されている。さらに、yステージ120の下面に固定されたx軸クロスローラガイド111bとx軸クロスローラガイド111aを対向させるために、x軸クロスローラガイド111aはブラケット181dを介してxステージ110に固定される。なお、ブラケット181dは、クロスローラガイドをしっかりと保持するため、xステージ110の機構と一体的に構成されても良い。ブラケット181cは、x方向のリニアアクチュエータ200xの外包部材201xをyステージ120に対して固定するためのブラケットであり、これにより、シャフト202xの位置に合わせるように外包部材201xのz方向位置が調整される。
図10、図11の例においても、図7、図8と同様に、外装カバー300のサイズは、yステージ120の上下にトレランスを含め、例えば、15mm程ずつ長くすれば十分となる。また、図12の例においても、図9と同様に、xステージ110のx方向サイズは、yステージ120のx方向サイズより十分に小さい。そのため、外装カバー300のx方向サイズは、yステージ120のx方向サイズを覆うサイズであれば、xステージの全移動範囲(例えば、トレランスを含め、左右に夫々30mm程)をカバー出来る。ただし、図12の場合、yステージ120上のクロスローラガイドが、X軸、Y軸共に、yステージ120の下面に配設されているので、図9に比べてxyステージ100の高さ方向(Z方向)のサイズが小さくなっている。そのため、図9の場合に比べて外装カバー300の高さ方向サイズを小さくすることができる。
次に、図7、図8、図10、図11で説明した、x軸クロスローラガイド111、y軸クロスローラガイド121、x方向のリニアアクチュエータ200x、y方向のリニアアクチュエータ200y、手動駆動機構170、xワイヤ173、yワイヤ174のレイアウトを図13(a)に示す。なお図13(a)では、yステージ120の上面、下面の区別なく構成要素の配置状態を示している。手動駆動機構170は、xステージ110のx方向の移動に関しては、x摘み161のシャフトに接続されたxローラ177がx摘み161の回転操作に応じて回転する。x用伝達ローラ179xは手動駆動時にxローラ177とxプーリ171を押圧して、xローラ177の回転をxプーリ171に伝える。このように、x用伝達ローラ179xによるxローラ177とxプーリ171への押圧と解除を切り替えることにより手動駆動と電動駆動が切り替わる。yステージの120のy方向の移動に関しては、y摘み162のシャフトに接続されたyローラ178がy摘み162の回転操作に応じて回転する。y用伝達ローラ179yは手動駆動時にyローラ178とyプーリ172を押圧して、yローラ178の回転をyプーリ172に伝えるようになっている。
図13(b)は、yワイヤ174の別の敷設例を示した図である。図13(b)のレイアウトによれば、手動駆動機構170、リニアアクチュエータ200x、200yの配置位置の分散化が図られるため、ステージのバランスがよくなる。但し、xワイヤ173の引き回し距離が長くなる。
以上のように、本実施形態のxyステージ100によれば、電動駆動時の被駆動部であるシャフト202と手動駆動時の被駆動部である駆動ワイヤの、ステージの移動方向に平行な動作軸が共通となる。これにより、バックラッシュの発生しにくいシャフトモータ(シャフトを用いるリニアモータ、シャフトが円筒の場合は円筒型リニアモータ)を用いた電動駆動と、手動摘み160を用いた手動駆動の間の切り替えにおいて、xyステージの位置が安定して保たれる。したがって、たとえば、xyステージ100を顕微鏡ステージとして用いれば、電動駆動と手動駆動の間の切り替えにおいて、観察位置がずれることが無く、使用者はストレスを感じることなく顕微鏡観察を行うことができる。
図14は、外装カバー300の上面を用いたスライドガラスのローディング操作を説明するステージ装置30の斜視図である。xyステージ100のxステージ110及びyステージ120は、ローディング操作に際して、所定位置に移動する。xyステージ100がこの所定位置に移動すると、載置部101が第1の平坦部301に隣接し、第1の平坦部301と載置部101との間でスライドガラスのロード/アンロード操作を行うことができる。xyステージ100のこの所定位置をxyステージ100の原点位置と定義することが好ましい。xyステージ100の原点位置への移動は、ユーザが手動摘み160を操作することによりなされてもよいし、不図示の制御部がxyステージ100を駆動制御して原点位置に戻すようにしてもよい。xyステージ100を制御部により自動的に原点位置へ戻す場合は、ユーザがホームボタン306aを押下することで原点位置への移動が開始するように構成できる。また、第2の平坦部302にはこれから観察を行うスライドガラスが載置されている(図14(a))が、スライドガラスの落下防止のための壁部304により、スライドガラスを落下させてしまう危険性は少ない。
ユーザは、第1の平坦部301に一番近い位置にあるスライドガラス1401を第2の平坦部302から第1の平坦部301にスライドさせ(図14(b))、さらに右方向にスライドさせる(図14(c))。こうして、スライドガラス1401は、載置部101のロード準備位置のローディング面に載る(図14(d))。この状態で、ロード準備位置にあるスライドガラスを空孔102のあるロード完了位置(スライドガラスの観察位置)へ移動させることでローディングを完了する。
図17(a)は、第1の平坦部301と載置部101のスライドローディング面との構造を示す断面図である。載置部101は第1の平坦部301からのスライドガラスを受け入れるロード準備位置のスライドローディング面と第1の平坦部301との間の段差をなだらかに接続するスロープ1701を有する。ユーザは、スライドガラスを、第1の平坦部301から、スロープ1701を介して、ローディング面にスライドさせ、ストッパ1704に突き当てる。この状態でロード準備状態となる。ロード準備センサ1514によりスライドガラスの存在を検出したことを表示器305により報知することで、スライドガラスがロード準備状態にあることをユーザに通知するようにしてもよい。また、載置部101は、壁部1702を有している。xyステージ100がローディング操作のための所定位置(たとえば原点位置)になると、載置部101が第1の平坦部301に隣接し、壁部1702の開口部と壁部304の開口部をスライドガラスが通過可能になり、第1の平坦部301に置かれているスライドガラスをスライドローディング面へ移動させることができる。
図14(d)の状態からロード完了位置へのスライドガラスの移動はユーザがスライドガラスを直接操作することで行われてもよいが、空孔102にスライドガラスを落とす可能性がある。また、ロード完了位置にスライドガラスを固定するための操作が別途必要になる。そこで、ロード準備位置とロード完了位置との間でスライドガラスを移動させ、ロード完了位置にスライドガラスを固定するための移動機構を設けてもよい。そのような移動機構について図15を用いて説明する。
図15Aは、載置部101に設けられた、ロード準備位置に載置されたスライドガラス1401をロード完了位置へ移動させる移動機構の一例を示す図である。図15Aでは、載置部101のロード準備位置へスライドガラス1401が置かれた様子が示されている。不図示の制御部がロード準備センサ1514およびロード完了センサ1515の信号に基づいてモータ1511を駆動制御することで、スライドガラス1401がロード準備位置とロード完了位置との間を移動する。なお、制御部は、yステージなどの空スペース、外装カバー300内の空間に設けることができる。
スライドガラス1401をロード準備位置へ移動させると、ロード準備センサ1514がオンになる。このときロード完了センサ1515がオフであれば(ロード完了位置に他のスライドガラスが存在しなければ)、制御部はモータ1511を回転して、スライドガラス1401をロード完了位置へ移動させる。モータ1511の回転軸にはピニオンギア1512が装着されており、ピニオンギア1512の回転によりラック1513が並行移動する。これにより、ローディングプレート1503が矢印1516の方向へ移動し、スライドガラス1401をロード完了位置へ押し出す。スライドガラス1401がロード完了位置に到着してロード完了センサ1515がオンになると、制御部はモータ1511を停止する。スライドガラス1401は、ローディングプレート1503に設けられたばね部材1502により、ロード完了位置にあるストッパ1517に押し当てられて固定される。
以上がロード動作である。なお、モータ1511の起動は、ロード準備センサ1514がオンしたことに応じて自動的に開始されてもよいし、ユーザによるロードボタン306bの押下に応じて開始されてもよい。
イジェクト動作は、例えば、ユーザによるイジェクトボタン306cの操作に応じて開始される。イジェクトボタン306cが押下され、ロード準備センサ1514がオフ、ロード完了センサ1515がオンの場合に、制御部はモータ1511をロード時とは逆方向へ回転する。これにより、ローディングプレート1503およびレバー部材1504が矢印1516の反対方向へ移動する。スライドガラス1401はレバー部材1504に押されてロード準備位置へ移動する。スライドガラス1401がロード準備位置へ到着するとロード準備センサ1514がオンになり、制御部はモータ1511の回転を停止する。
以上、自動ローディングが可能な移動機構の構成例を説明した。スライドガラス1401のロード準備位置からロード完了位置への移動を手動により実施できるようにしてもよい。例えば、図15Aにおいて、ローディングプレート1503に固定されているローディングバー1501を手動操作することにより、ロード動作、イジェクト動作を行えるようにしてもよい。手動操作によるロード動作、イジェクト動作を可能にした場合の構成例を図15Bに示す。なお、図15Bに示されるように、ユーザがローディングバー1501を操作することができるように、外装カバー300の開口を大きくする必要がある。
図15Bの(a)は、スライドガラス1401がロード準備位置にある場合の上面図である。この状態で、ローディングバー1501を押してロード完了位置にスライドガラス1401を移動すると、図15Bの(b)の状態となる。より具体的には、ローディングバー1501を押すとローディングプレート1503がスライドガラス1401をロード完了位置へと押し出す。スライドガラス1401は、ローディングプレート1503に設けられたばね部材1502により、ロード完了位置にあるストッパ1517に押し当てられて固定される。なお、ロード完了センサ1515がオンになると、外装カバー300に設けられた表示器305によりスライドガラス1401がロード完了位置にあることが報知される。図15Bの(b)の状態でローディングバー1501を引くと、ローディングプレート1503の後退とともにレバー部材1504も後退し、スライドガラス1401がロード準備位置へ移動する。以上のように、載置部101は、第1の平坦部301から移動してきたスライドガラスを受け入れるロード準備位置、顕微鏡10による観察時にスライドガラスが置かれるロード完了位置、これらの位置の間でスライドガラスを移動させる移動機構を有する。
ロード準備位置のスライドローディング面には空孔が無いが、ロード完了位置では、下方から照明光を通すための空孔102がある。ロード完了位置へユーザが直接スライドガラスを配置しようとする空孔102からスライドガラスを落下してしまう可能性がある。本実施形態の載置部101では、まず、空孔の存在しないロード準備位置へスライドガラスを載置させ、その後、ローディングバー1501によりスライドガラスをロード完了位置へ移動させることにより、空孔102へスライドガラスを落としてしまう可能性を低減している。
次に、スライドガラスのアンロード操作について図16を参照して説明する。図16は、観察終了後、スライドガラスを取り出すまでの操作の流れを示す。スライドガラスのアンロードに際して、まずユーザはxyステージ100を所定位置(本実施形態では原点位置)へ移動させ、載置部101のロード準備位置を第1の平坦部301に隣接させる(図16(a))。ユーザが、イジェクトボタンを押下すると、図15Aで説明したように、モータ1511の駆動によりロード完了位置にあるスライドガラス1401がロード準備位置に移動する(図16(b))。あるいは、図15Bで説明したように、ローディングバー1501の操作により手動でロード完了位置にあるスライドガラス1401をロード準備位置に移動させる。この状態で、ユーザはスライドガラス1401を左方向へ(第1の平坦部301の方向へ)スライドさせる。これにより、スライドガラス1401は第1の平坦部301へ移動する(図16(c))。壁部304は、第1の平坦部301の載置部101と反対側に開口を有しており、ユーザがさらに左方向へスライドガラス1401をスライドさせることで、外装カバー300の上面からスライドガラス1401を容易に取り出すことができる(図16(d))。あるいは、第1の平坦部301から第3の平坦部303へスライドガラス1401を移動させることもできる。
なお、上記実施形態では、載置部101と第1の平坦部301との高さの差を吸収するためにスロープ1701を設けた(図17(a))が、これに限られるものではない。第1の平坦部301が、載置部101のスライドローディング面と同じ高さになるように構成してもよい。その場合、図17の(b)のように、スロープ1701を省略することができる。その他は図17(a)と同様である。
また、上記実施形態では、第1の平坦部301、第2の平坦部302、第3の平坦部303が外装カバー300の空孔の周囲を取り巻くように設けた。しかしながら、スライドガラス載置領域は壁部304の形成に応じて決定されるので、スライドガラス載置領域は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、第1の平坦部301、第2の平坦部302、第3の平坦部303によるスライドガラスの載置領域が、鏡基11に対して空孔の左側のみに形成されるようにしてもよい。
また、状態表示を行う表示器305として、例えばLEDが用いられてもよい。この場合、例えば、ロード準備位置、ロード完了位置のスライドガラス検出センサを用いて、スライドガラスの状態をLEDの発光色で示す事が出来る。例えば、以下のように通知を行うことができる。
(1)スライドを第1の平坦部301から手動でロード準備位置に移動し、移動完了でLEDが黄色に発光する。
(2)ローディングバー1501を押してスライドガラスをロード完了位置に移動し、移動が完了するとLEDが青色に発光する。
(3)観察中は、LEDは青色発光のまま。
(4)観察を終えて、xyステージ100をロード/アンロードのための所定位置に戻し、ローディングバー1501を引いてスライドガラスをロード準備位置に戻す。移動完了でLEDは、黄色に発光する。
(5)スライドをロード準備位置から手動で第1の平坦部301に移動する。移動完了でLEDは消灯する。
また、上記実施形態では、外装カバー300がxyステージの全体を覆うようにしたが、これに限られるものではない。例えば、複数のスライドガラスを載置し、載置部101へスライドガラスを移動させるような構造を得ることを目的とした場合、外装カバー300がxyステージ100の一部を覆うように設けられてもよい。例えば、xyステージ100の左側のみを覆うように外装カバー300を設けた例を図18に示す。この場合、第1の平坦部301、第2の平坦部302、第3の平坦部303を構成することができるので、スライドガラスのローディングに関しては上述の操作が可能な構成を採用できる。但し、外装カバー300がxyステージ100を広く覆った方が、ステージの稼働機構に埃等が侵入しにくく、信頼性も向上する。また、外装カバー300がxyステージ100の一部を覆うようにした場合は、外装カバー300とxyステージ100との間隙に、スライドガラスを巻き込むなどの懸念も生じるため、xyステージ100の全体を覆う外装カバー300が好ましい。