ところで、特許文献1に開示されたクリップを第1部材の取付部から取り外す場合、クリップの開放側の端部(自由端)を摘んで一対の板状部を開き、その状態でクリップを取付部から外す必要がある。このため、取付部周辺のスペースに制限があり、クリップの開放側の端部に作業者の手が届きにくい状況では、取付部からクリップを取り外す作業が難しくなる傾向がある。
本発明は上記事実を考慮し、第1部材と第2部材を取り付けるクリップにおいて、第1部材に設けられた取付部からの取り外し作業を容易にするクリップを提供することを課題とする。
本発明の第1態様のクリップは、被係合部を備える取付部が設けられた第1部材と、取付孔が設けられ、前記第1部材が取り付けられる第2部材と、を取り付けるためのクリップであって、対向して配置され、前記取付孔へ挿入される一対の板状部と、一対の前記板状部のうち、少なくとも片方の前記板状部の対向面に設けられ、一対の前記板状部間に前記取付部が挿入されると、前記被係合部に係合する係合部と、少なくとも片方の前記板状部の前記対向面と反対側の外面に設けられ、前記取付孔へ一対の前記板状部が挿入されると、前記取付孔の縁部に係合する係合爪と、一対の前記板状部の挿入方向と直交する方向の一方側の端部同士を連結する連結部と、を備える。
第1態様のクリップでは、第1部材の取付部を一対の板状部間に挿入すると、少なくとも片方の板状部の対向面に設けられた係合部が取付部の被係合部に係合する。これにより、クリップが第1部材に取り付けられる。次に、クリップの一対の板状部を第2部材の取付孔に挿入すると、少なくとも片方の板状部の外面に設けられた係合爪が取付孔の縁部に係合する。これにより、クリップが第2部材に取付けられる。このように第1態様のクリップを介して第1部材と第2部材が取り付けられる。
また、第1態様のクリップでは、第1部材の取付部から一対の板状部を取り外す際に、一対の板状部の挿入方向と直交する方向の一方側の端部同士を連結する連結部を支点にして、一対の板状部の一方側に対して他方側の端部同士を離間させて、一対の板状部を開くことができる。このように一対の板状部を開くことで、係合部が取付部の被係合部から外れ(係合解除され)、クリップが第1部材から取り外される。
以上のように、第1態様のクリップでは、例えば、一対の板状部の挿入方向側の端部同士を連結する連結部を支点に、挿入方向と反対側の端部同士を離間させて一対の板状部を開く構成と比べて、一対の板状部の挿入方向と反対側(クリップの先端に対して奥側)の端部へ作業者の手が届きにくい状況においても、クリップの側方へ手を差し入れることで一対の板状部を開くことができる。すなわち、上記クリップは、第1部材の取付部からの取り外し作業を容易にすることができる。
本発明の第2態様のクリップは、第1態様のクリップにおいて、前記連結部は、一対の前記板状部の前記一方側の端部同士の一部分を連結している。
第2態様のクリップでは、一対の板状部の一方側の端部同士の一部分を連結していることから、例えば、一対の板状部の一方側の端部同士をすべて連結する構成と比べて、一対の板状部が開きやすくなる。
本発明の第3態様のクリップは、第2態様のクリップにおいて、前記連結部は、一対の前記板状部の前記一方側の端部同士の前記挿入方向における中央部分を連結している。
第3態様のクリップでは、一対の板状部の一方側の端部同士の挿入方向における中央部分を連結していることから、例えば、一対の板状部の一方側の端部同士の挿入方向の端部側又は挿入方向と反対側の端部側を連結する構成と比べて、一対の板状部の他方側の端部同士を挿入方向で略均等に離間させることができる。すなわち、上記クリップでは、一対の板状部を挿入方向で略均等に開くことができるため、第1部材の取付部からの取り外し作業がさらに容易になる。
本発明の第4態様のクリップは、第1態様〜第3態様のいずれか一態様のクリップにおいて、前記板状部には、スリットによって板厚方向に弾性変形可能な片持ち状の弾性板部が形成されており、前記弾性板部の外面には、前記係合爪が設けられ、前記弾性板部の対向面には、前記係合部が設けられ、前記係合部は、前記取付部を厚み方向に貫通する貫通孔又は凹形状部である前記被係合部に係合する突起である。
第4態様のクリップでは、一対の板状部間に第1部材の取付部を挿入すると、係合部である突起が取付部の表面に当接して弾性板部が板状部の外側へ向かって撓む。そして、突起が被係合部である貫通孔又は凹形状部に到達すると、弾性板部が反発力(復元力)によって元の状態に戻り、突起が貫通孔又は凹形状部に挿入されると共に突起の挿入状態が維持される。この突起の挿入状態では、突起が取付部の貫通孔又は凹形状部の縁部に係合する。
また、第4態様のクリップでは、一対の板状部を第2部材の取付孔に挿入すると、係合爪が取付孔の孔壁面に当接して弾性板部が板状部の内側へ向かって撓む。そして、係合爪が取付孔を通過した後は、弾性板部が反発力(復元力)によって元の状態に戻り、係合爪が取付孔の縁部に係合すると共に係合爪の係合状態が維持される。
ここで、第4態様のクリップでは、板状部にスリットによって板厚方向に弾性変形可能な片持ち状の弾性板部を形成し、弾性板部に突起及び係合爪を設けている。このため、クリップでは、一対の板状部間に第1部材の取付部を挿入するときの挿入力を低減させつつ、突起を取付部の貫通孔又は凹形状部の縁部へ確実に係合させることができる。また、クリップでは、第2部材の取付孔へ一対の板状部を挿入するときの挿入力を低減させつつ、係合爪を第2部材の取付孔の縁部に確実に係合させることができる。
第5態様のクリップは、第1態様〜第4態様のいずれか一態様のクリップにおいて、前記板状部の挿入方向と直交する方向の他方側の端部には、対向する前記板状部へ向けて突出する突出部が設けられている。
第5態様のクリップでは、板状部の挿入方向と直交する方向の他方側の端部に、対向する板状部へ向けて突出する突出部が設けられている、すなわち、板状部の連結部が設けられる側と反対側に突出部が設けられている。このため、一対の板状部間に第1部材の取付部を挿入する際に、一対の板状部を摘む指の力が大きくても一方の板状部の突出部が他方の板状部又は他方の板状部の突出部に当接することで、一対の板状部間の間隔が維持される。すなわち、上記クリップでは、例えば、板状部に突出部が設けられない構成と比べて、一対の板状部間の間隔を維持できるため、取付部を一対の板状部間に挿入させやすい。このため、上記クリップの第1部材の取付部に対する取付性が向上する。
第6態様のクリップは、第5態様のクリップにおいて、前記突出部は、前記板状部の挿入方向と反対側に設けられている。
第6態様のクリップでは、突出部を板状部の挿入方向と反対側に設けているため、例えば、突出部を板状部の挿入方向側に設ける構成と比べて、取付部を一対の板状部間に板状部の挿入方向と反対側から挿入する際に、クリップの挿入口となる一対の板状部間の挿入方向と反対側の端部間の間隔を確保することができる。
第7態様のクリップは、第5態様又は第6態様のクリップにおいて、前記板状部の挿入方向側の端部には、対向する前記板状部へ向けて突出する突出部が設けられている。
第7態様のクリップでは、板状部の挿入方向側の端部に、対向する板状部へ向けて突出する突出部を設けていることから、この突出部が取付部の挿入時におけるストッパとなり、板状部の係合部と取付部の被係合部との係合状態を維持できる。
本発明によれば、第1部材と第2部材を取り付けるクリップにおいて、第1部材に設けられた取付部からの取り外し作業を容易にするクリップを提供することができる。
次に、本発明の一実施形態に係るクリップを図1〜図10を用いて説明する。
図1〜図3に示されるように、本実施形態のクリップ26は、第1部材の一例としてのメッキ部品22と第2部材の一例としてのフロントバンパー24とを取り付けるための部品であり、樹脂の一体成形品である。以下では、まず、クリップ26で取り付ける取付対象であるメッキ部品22とフロントバンパー24について説明し、次に、クリップ26について説明する。
メッキ部品22は、フロントバンパー24にクリップ26を介して取り付けられる自動車用外装部品である。このメッキ部品22は、図示しない意匠面を有する本体部22A(図1参照)と、本体部22Aの裏面に立設された厚板状の取付部22Bとを有している。この取付部22Bは、図3に示されるように、先端部22Cから根元部22Dに向けて厚みTが徐々に厚くなっている。なお、本発明はこの構成に限定されず、取付部22Bの厚みTは、先端部22Cから根元部22Dにかけて一定であっても構わない。また、取付部22Bには、厚み方向に貫通する貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、本発明の被係合部の一例である。
フロントバンパー24は、自動車の前部を構成する自動車用外装部品である。このフロントバンパー24には、図1及び図2に示されるように、板状部24Aが形成されており、この板状部24Aに取付孔25が形成されている。また、本実施形態のフロントバンパー24を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)が挙げられる。
クリップ26は、図1及び図3に示されるように、一対の板状部28、30を備えている。
一対の板状部28、30は、対向して配置されており、フロントバンパー24の取付孔25に挿入されるようになっている。なお、以下では、クリップ26の取付孔25への挿入方向を適宜クリップ挿入方向(図中矢印Xで示す方向)と記載する。また、一対の板状部28、30の間には、取付部22Bが挿入されるようになっている(図3参照)。
板状部28には、図4及び図5に示されるように、板状部28の延びる方向(本実施形態では、クリップ挿入方向と反対方向)と直交するクリップ幅方向(図中矢印Yで示す方向)に間隔をあけて一対のスリット32が設けられている。このスリット32は、板状部28のクリップ挿入方向側の端部28Aからクリップ挿入方向と反対側の端部28Bに向けて延びている。板状部28には、一対のスリット32の間に板厚方向に弾性変形可能な片持ち状の弾性板部34が形成されている。
板状部30には、板状部30の延びる方向(本実施形態では、クリップ挿入方向と反対方向)と直交するクリップ幅方向に間隔をあけて一対のスリット36(図9参照)が設けられている。このスリット36は、板状部30のクリップ挿入方向側の端部30Aからクリップ挿入方向と反対側の端部30Bに向けて延びている。板状部30には、一対のスリット36の間に板厚方向に弾性変形可能な片持ち状の弾性板部38が形成されている。
また、クリップ26は、図6A及び図9に示されるように、一対の板状部28、30の対向面28C、30Cにそれぞれ設けられ、取付部22Bの貫通孔23に係合する係合部の一例としての突起40、42を備えている。
突起40は、図10に示されるように、板状部28の対向面28Cの一部を構成する弾性板部34の内面34Aに設けられている。この突起40は、図6Aに示されるように、板状部28から板状部30へ向かう方向(板状部28の対向方向)に突出している。なお、板状部28、30の対向方向とは、板状部28から見た場合、対向する板状部30へ向かう方向(図8では矢印Z1方向)であり、板状部30から見た場合、対向する板状部28へ向かう方向(図8では矢印Z2方向)である。また、突起40は、クリップ幅方向Yから見て略山形形状とされ、クリップ挿入方向側の傾斜面40Aが反対側の傾斜面40Bよりも対向面28Cに対する傾斜角が高くなっている。なお、傾斜面40Aは、取付部22Bの貫通孔23の縁部に係合する係合面とされている。
突起42は、図7に示されるように、板状部30の対向面30Cの一部を構成する弾性板部38の内面38Aに設けられている。この突起42は、図6Aに示されるように、板状部30から板状部28へ向かう方向(板状部30の対向方向)に突出している。また、突起42は、クリップ幅方向Yから見て略山形形状とされ、クリップ挿入方向側の傾斜面42Aが反対側の傾斜面42Bよりも対向面30Cに対する傾斜角が高くなっている。なお、傾斜面42Aは、取付部22Bの貫通孔23の縁部に係合する係合面とされている。
また本実施形態では、図9に示されるように、突起40及び突起42がクリップ幅方向の位置をずらして配置されている。
さらに、クリップ26は、図6A及び図7に示されるように、板状部28、30の外面28D、30Dにそれぞれ設けられ、取付孔25の縁部に係合する係合爪の一例としての爪部44、46を備えている。
爪部44は、図7に示されるように、対向面28Cと反対側の外面28Dの一部を構成する弾性板部34の外面34Bに設けられている。この爪部44は、板状部28の対向方向と反対側へ向けて突出している。また、爪部44は、クリップ幅方向Yから見て略山形形状とされ、クリップ挿入方向側の傾斜面44Aが反対側の傾斜面44Bよりも外面28Dに対する傾斜角が低くなっている。なお、傾斜面44Bは、取付孔25の縁部に係合する係合面とされている。
爪部46は、図7に示されるように、対向面30Cと反対側の外面30Dの一部を構成する弾性板部38の外面38Bに設けられている。この爪部46は、板状部30の対向方向と反対側へ向けて突出している。また、爪部46は、クリップ幅方向Yから見て略山形形状とされ、クリップ挿入方向側の傾斜面46Aが反対側の傾斜面46Bよりも外面30Dに対する傾斜角が低くなっている。なお、傾斜面46Bは、取付孔25の縁部に係合する係合面とされている。
またさらに、クリップ26は、図6A、図6B及び図11に示されるように、一対の板状部28、30のクリップ挿入方向と直交するクリップ幅方向の一方側の端部28E、30Eを連結する連結部48を備えている。
連結部48は、一対の板状部28、30の端部28E、30Eの一部分を連結している。具体的には、一対の板状部28、30の端部28E、30Eにはそれぞれ対向する方向に突出する突出壁47、49が設けられており、連結部48が突出壁47、49との間を連結している。これら突出壁47、49は、クリップ挿入方向に延びて各端部28E、30Eの全域に設けられている。本実施形態では、図6Bに示されるように、連結部48が突出壁47、49(言い換えると、端部28E、30E)のクリップ挿入方向における中央部分を連結している。なお、本実施形態では、連結部48のクリップ挿入方向側及びその反対側に突出壁47、49との間の隙間が形成されている。
また、本実施形態では、連結部48のクリップ挿入方向に沿った幅W1が、連結部48から端部28Aまでのクリップ挿入方向に沿った幅W2及び連結部48から端部28Bまでのクリップ挿入方向に沿った幅W3よりも広くなっている。なお、本実施形態では、一対の板状部28、30の端部28A、30Aがクリップ挿入方向で同じ位置とされ、端部28B、30Bがクリップ挿入方向で同じ位置とされている。そのため、連結部48から端部30Aまでのクリップ挿入方向に沿った幅が幅W2と等しく、連結部48から端部30Bまでのクリップ挿入方向に沿った幅が幅W3と等しくなっている。
また、一対の板状部28、30は、連結部48が設けられる端部28E、30Eと反対側の端部28F、30Fがそれぞれ自由端とされている。一対の板状部28、30の端部28F、30Fを離間させることで、一対の板状部28、30が連結部48を支点として開くようになっている(図11参照)。
そして、クリップ26は、図1及び図9に示されるように、板状部28の端部28Fに設けられ、対向する板状部30の端部30Fへ向けて突出する突出部50を有している。
突出部50は、図4及び図6Aに示されるように、板状部28の端部28B側に設けられており、クリップ挿入方向に沿って延びている。また、突出部50は、取付部22Bを一対の板状部28、30間に挿入するとき、取付部22Bの一方の外面(側面)をガイドするように構成されている。なお、取付部22Bの他方の外面(側面)については、突出壁47、49がガイドするように構成されている。
クリップ26は、板状部28に設けられた突出部50が板状部30の対向面30Cに接触している接触状態で、一対の板状部28、30の端部28A、30A間(自由端間)の間隔Lが取付部22Bの先端部22Cの厚みT以上とされている。なお、一対の板状部28、30の端部28A、30A間(自由端間)の間隔L(図8参照)は、取付部22Bの先端部22Cの厚みT(図3参照)を超えていることがより好ましい。
また、クリップ26は、一対の板状部28、30間に取付部22Bを挿入した挿入状態で、板状部28に設けられた突出部50が板状部30の対向面30Cから離間している。なお、上記挿入状態で突出部50が板状部30の対向面30Cから離間する構成には、一対の板状部28、30間に取付部22Bを挿入すると、取付部22Bに押されて上記間隔Lが大きくなるように拡開して一対の突出部50が板状部30の対向面30Cから離間する構成、及び、一対の板状部28、30が自由状態(取付部22Bの非挿入状態)で一対の突出部50が板状部30の対向面30Cから離間している構成を含む。なお、本実施形態のクリップ26は、自由状態で上記間隔Lが大きくなるように構成されている。
また、クリップ26は、一対の板状部28、30の端部28A、28Bにそれぞれ設けられ、互いに対向する方向に突出する突出部51、52が設けられている。これら突出部51、52は、クリップ幅方向に延びて各端部28A、30Aの全域に設けられている。
クリップ26の外面と取付孔25の孔壁面との摩擦係数及びクリップ26の内面と取付部22Bの外面との摩擦係数は、取付部22Bの外面と取付孔25の孔壁面との摩擦係数よりも小さくされている。具体的には、クリップ26を軟質な樹脂材料で形成することが好ましい。クリップ26を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリアセタール(POM)などのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
次に本実施形態のクリップ26の作用及び効果について説明する。
クリップ26では、メッキ部品22の取付部22Bを一対の板状部28、30間に端部28B、30B側から挿入すると、板状部28、30の対向面28C、30Cにそれぞれ設けられた突起40、42が取付部22Bの貫通孔23に挿入されて係合する。これにより、クリップ26がメッキ部品22に取り付けられる。
次に、クリップ26の一対の板状部28、30の端部28A、30Aをフロントバンパー24の取付孔25に挿入する。そして、一対の板状部28、30の外面28D、30Dにそれぞれ設けられた爪部44、46が取付孔25を通り抜けると、爪部44、46が取付孔25の縁部にそれぞれ係合する。これにより、クリップ26がフロントバンパー24に取付けられる。このようにクリップ26を介してメッキ部品22とフロントバンパー24が取り付けられる。
また、クリップ26をフロントバンパー24の取付孔25から引き抜いた後にクリップ26をメッキ部品22の取付部22Bから取り外す場合には、まず、一対の板状部28、30の端部28E、30Eを連結する連結部48を支点にして、一対の板状部28、30の端部28F、30Fを互いに離間させ、一対の板状部を開く(図11参照)。このように一対の板状部28、30を開くことで、突起40、42が取付部22Bの貫通孔23から抜け出し(係合が解除され)、クリップ26を取付部22Bから取り外し可能になる。
以上のように、クリップ26では、例えば、一対の板状部28、30の端部28A、30Aを連結する連結部を支点に、一対の板状部28、30の端部28B、30Bを離間させて一対の板状部28を開く構成と比べて、一対の板状部28、30の端部28B、30Bへ作業者の手が届きにくい状況においても、クリップ26の側方へ手を差し入れることで一対の板状部28、30を開くことができる。すなわち、上記クリップ26は、メッキ部品22の取付部22Bからの取り外し作業を容易にすることができる。
また、クリップ26では、一対の板状部28、30の端部28E、30Eの一部分を連結していることから、例えば、一対の板状部28、30端部28E、30Eをすべて連結する構成と比べて、一対の板状部28、30が開きやすくなる。さらに、幅W1の大きさを調整することでも、連結部48の変形しやすさが変化するため、一対の板状部28、30の開きやすさを調整できる。
さらに、クリップ26では、一対の板状部28、30の端部28E、30Eのクリップ挿入方向における中央部分を連結していることから、例えば、端部28E、30Eのクリップ挿入方向側又はその反対側を連結する構成と比べて、一対の板状部28、30の端部28F、30Fを略均等に離間させることができる。すなわち、クリップ26では、一対の板状部28、30を略均等に開くことができるため、メッキ部品22の取付部22Bからの取り外し作業がさらに容易になる。
クリップ26では、突起40、42を弾性板部34、38にそれぞれ設けていることから、一対の板状部28、30間に取付部22Bを挿入する際に、取付部22Bと当接した突起40、42を介して弾性板部34、38が板状部28、30の各々の対向方向と反対側へ撓む。そして、突起40、42が取付部22Bの貫通孔23に到達した後は、弾性板部34、38が反発力(復元力)によって元の状態に戻り、突起40、42が貫通孔23の縁部に係合する。ここで、クリップ26では、弾性板部34、38に突起40、42を形成していることから、取付部22Bのクリップ26に対する挿入力を低減させつつ、突起40、42を貫通孔23の縁部に確実に係合させることができる。また、爪部44、46が設けられた弾性板部34、38に突起40、42を形成するため、例えば、別々に弾性板部を設ける構成と比べて、クリップ26の構造を簡単にできる。
クリップ26では、一対の板状部28、30を取付孔25に挿入する際、爪部44、46が取付孔25の孔壁面に当接すると弾性板部34、38が各々の対向方向へ撓む。爪部44、46が取付孔25を通過した後は、弾性板部34、38が反発力(復元力)によって元の状態に戻り、爪部44、46が取付孔25の縁部に係合する。ここで、クリップ26では、板状部28、30にスリット32、36によって板厚方向に弾性変形可能な片持ち状の弾性板部34、38をそれぞれ形成し、この弾性板部34、38に爪部44、46を形成している。このため、クリップ26の取付孔25に対する挿入力を低減させつつ、爪部44、46を取付孔25の縁部に確実に係合させることができる。
クリップ26では、一対の板状部28、30の端部28E、30Eが連結部48によって連結されている。また、板状部28の端部28Fに、対向する板状部30へ向けて突出する突出部50が設けられている。このため、一対の板状部28、30間にメッキ部品22の取付部22Bを挿入する際に、一対の板状部28、30を摘む指の力が大きくても板状部28の突出部50が板状部30に当接することで、一対の板状部28、30の端部28B、30B間の間隔Lが維持される。すなわち、クリップ26では、板状部に突出部が設けられない構成と比べて、一対の板状部28、30の端部28A、30A間の間隔Lを維持できる。このため、取付部22Bを一対の板状部28、30間に挿入させやすく、クリップ26の取付部22Bに対する取付性が向上する。
また、クリップ26では、板状部28の突出部50が対向する板状部30の対向面30Cに接触した状態において、一対の板状部28、30の端部28A、30A間の間隔Lが取付部22Bの先端部22Cの厚みT以上とされている。このため、一対の板状部28、30間に取付部22Bを挿入しやすい。また、本実施形態では、取付部22Bの厚みTを先端部22Cから根元部22Dに向けて徐々に厚くしている。このため、クリップ26の一対の板状部28、30間に取付部22Bを挿入していくと、一対の板状部28、30の上記間隔Lが大きくなり、一対の板状部28、30の反発力(復元力)によって取付部22Bが厚み方向両側から挟まれる。これにより、クリップ26を取付部22Bに取り付けた状態での取付部22Bのガタつきを抑制することができる。
さらに、クリップ26では、取付部22Bを挿入した挿入状態で、板状部28の突出部50が板状部30から離間していることから、板状部28の突出部50と板状部30とが接触することにより異音が生じるのを抑制することができる。
また、クリップ26では、突出部50を板状部28の端部28Fのクリップ挿入方向と反対側に設けているため、例えば、突出部を板状部の挿入方向側に設ける構成と比べて、一対の板状部28、30の端部28B、30B間の間隔Lを確実に維持できる。言い換えると、クリップ26の挿入口の間隔を維持できる。
クリップ26では、取付部22Bを一対の板状部28、30間に挿入するとき、突出壁47、49及び突出部50が取付部22Bの外面をガイドするため、一対の板状部28、30間に取付部22Bを挿入しやすい。また、突出壁47、49及び突出部50によって、取付孔25の孔壁面と取付部22Bの外面との接触を抑制できるため、接触によって異音が生じるのを抑制できる。特に、本実施形態では、板状部28のクリップ幅方向両側に突出壁47及び突出部50がそれぞれ設けられているため、取付部22Bのガタ付きを抑え、さらに接触による異音の発生を抑制できる。
また、クリップ26では、一対の板状部28、30の端部28A、30Aに、互いに対向方向へ突出する突出部51、52を設けていることから、突出部51、52が取付部22Bの挿入時におけるストッパとなる。これにより、一対の板状部28、30の突起40、42と取付部22Bの取付孔25との係合状態を維持できる。
また、クリップ26を樹脂の一体成形品としていることから、絶縁性及び耐食性に優れ、さらに、部品点数も減らすことができる。特に、ポリアセタール(POM)などのエンジニアリングプラスチックでクリップ26を形成することで、機械的特性及び振動吸収性も向上させられる。
前述の実施形態のクリップ26では、一対の板状部28、30の端部28E、30Eの中央部分(突出壁47、49の中央部分)を連結部48で連結する構成としているが本発明はこの構成に限定されない。例えば、一対の板状部28、30の端部28E、30Eを連結部48の片側又は両側に間隔をあけて別の連結部を設ける構成としてもよい。
前述の実施形態のクリップ26では、一対の板状部28、30にそれぞれ突起40、42を設けたが、本発明はこの構成に限定されず、板状部28にのみ突起40を設ける構成としてもよいし、板状部30にのみ突起42を設ける構成としてもよい。
前述の実施形態のクリップ26では、一対の板状部28、30にそれぞれ爪部44、46を設けたが、本発明はこの構成に限定されず、板状部28にのみ爪部44を設ける構成としてもよいし、板状部30にのみ爪部46を設ける構成としてもよい。
前述の実施形態のクリップ26では、一対の板状部28、30の端部28A、30Aにそれぞれ突出部51、52を設ける構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、板状部28にのみ突出部51を設ける構成としてもよいし、板状部30にのみ突出部52を設ける構成としてもよい。
前述の実施形態のクリップ26では、板状部28の端部28Fにのみ突出部50を設けているが、本発明はこの構成に限定されず、板状部30の端部30Fにのみ突出部を設ける構成としてもよいし、板状部28、30の端部28F、30Fにそれぞれ突出部を設ける構成としもよい。
さらに、前述の実施形態では、メッキ部品22とフロントバンパー24とをクリップ26を介して取り付ける構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、メッキ部品22とリアバンパーとをクリップ26を介して取り付けてもよいし、メッキ部品22とのその他の自動車用外装部品とをクリップ26を介して取り付けてもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。例えば、本発明における被係合部を貫通孔23の代わりに取付部22Bの板厚方向に凹む凹形状部としてもよい。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。