JP6894706B2 - 原子炉格納容器 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力発電プラントに用いられる原子炉格納容器に関する。
原子力発電プラントでは、原子炉の停止後も炉心で崩壊熱が発生し、その熱で蒸気(水蒸気)が発生する。沸騰水型軽水炉(以下、「BWR」と称す)では、炉心が格納されている原子炉圧力容器(以下、「RPV」と称す)が原子炉格納容器(以下、「PCV」と称す)の内部に設置されており、PCVは、RPVや主要な配管などが設置されているドライウェル(以下、「D/W」と称す)という空間と、内部にサプレッションプール(以下、「S/P」と称す)を持つウェットウェル(以下、「W/W」と称す)という空間に区分されている。D/WとW/Wは、ベント管と呼ばれる配管で接続されている。ベント管は、上部がD/Wに開口しており、下部がS/P内に開口している。
原子炉で配管破断事故(一般的に「LOCA」の名称で知られる)などが発生し、原子炉の内部で発生した蒸気がPCV内に放出(蒸気の放出は、配管が設置されているD/Wで発生する)されると、D/Wの圧力がW/Wの圧力よりも高くなるため、放出された蒸気は、D/WとW/Wの圧力差を駆動力として、ベント管を介してW/W内のS/Pに流入し、S/Pで冷却される(凝縮する)。また、ベント管と同様な冷却機能を持つシステムとして、D/WとW/Wの圧力差を駆動力として、D/W内の蒸気を含むガスを熱交換器を通して冷却してW/Wに排出する静的格納容器冷却系(以下、「PCCS」と称す、「PCC」と呼ばれることもある)も提案されている。このような機構を持つことで、BWRでは、比較的小さなPCVでも、崩壊熱により発生した蒸気を効率良く除去(凝縮)し、PCVの圧力の上昇を緩和して過度の圧力上昇を抑制することができる。
一方、事象の進展によっては、一時的にW/Wの圧力がD/Wの圧力より高くなることも有り得る。この場合、D/WからW/Wに蒸気が流れなくなる。このような場合のために、W/WとD/Wの間には真空破壊弁(「バキュームブレーカ」と呼ばれることもある)が設置されており、W/Wの圧力がD/Wの圧力より高くなった場合には、W/W内部のガスをD/Wに放出することで、W/Wの圧力を下げることができる。
上記のような機能について、例えば特開平4−301795号公報、特開平7−72280号公報、特開平9−166687号公報、及び特開2009−145342号公報などの文献では、真空破壊弁が開いた状態で固着して閉じなくなる現象(以下、この現象を「開固着」と称し、開固着が起こることを「開固着する」と称す)が起きたり真空破壊弁に漏洩が発生したりした場合に、PCVの冷却が十分にできなくなり、その結果、PCVの圧力が高くなる可能性が指摘されている。これらの文献では、この問題を回避するため、真空破壊弁を水の水頭圧を用いた封水機能で代替または封水機能を多重化する構成(特開平4−301795号公報、特開2009−145342号公報)、W/Wの気相部を分割する構成(特開平9−166687号公報)、及びW/W内部の壁面を熱容量の大きな固体材料で覆って冷却機能を増加する構成(特開平7−72280号公報)などの対策を提案している。
特開平4−301795号公報 特開平7−72280号公報 特開平9−166687号公報 特開2009−145342号公報
PCV内に蒸気が放出されPCV内の圧力が過度に上昇することを防止する必要がある。そこで、PCV内に放出された蒸気を凝縮して、PCV内の圧力上昇を抑制する必要があり、このために、PCVは、蒸気の凝縮機能を維持する必要がある。例えば真空破壊弁が開固着すると、D/Wの圧力がW/Wの圧力よりも高いときには、D/Wの蒸気は、真空破壊弁を通してW/Wの気相部に流入し、ベント管を通してW/W内のS/Pの水中に放出されないので、S/P内で凝縮しない。すると、PCVは、蒸気の凝縮機能を喪失し、内部の圧力が高くなる可能性がある。
特開平9−166687号公報に記載の発明では、W/Wの気相部を間仕切り壁で複数の区画室に分割し、気相部のガスが区画室の間で互いに連通することができないようにしており、一部の区画室で真空破壊弁が開固着しても、他の区画室ではW/Wの機能を維持している。しかし、この発明で維持されるのはPCCSの機能のみである。この発明では、間仕切り壁は、W/Wの気相部を分割するが、W/Wの床面(S/Pの底面)に達していないので、W/Wの複数の区画室は、S/Pの水中で互いに連通している。このため、真空破壊弁が健全な区画室では、真空破壊弁が開固着した区画室からS/Pの水が移動してきてベント管にかかる水頭圧が増加するので(すなわち、W/Wの気相部の圧力が、真空破壊弁が開固着した区画室と同じになるので)、真空破壊弁が開固着した区画室と同様に、ベント管による蒸気の凝縮を維持するのは困難であると考える。
本発明は、上記の課題を考慮し、蒸気の凝縮機能を維持でき、圧力の上昇を抑制することができる原子炉格納容器を提供することを目的とする。
本発明による原子炉格納容器は、原子炉の炉心を格納する原子炉圧力容器が設置されているドライウェルと、水を溜めているサプレッションプールと気相部とを内部に備えるウェットウェルと、前記ドライウェルと前記ウェットウェルとを結び、一方の端部が前記ドライウェルに開口し、他方の端部が前記サプレッションプールの水中に開口するベント管と、前記ウェットウェルと前記ドライウェルとの間に設置され、前記ウェットウェルの前記気相部と前記ドライウェルとを接続する真空破壊弁とを備える。前記ウェットウェルの内部には、前記ウェットウェルの天井と床面とを接続し、前記ウェットウェルを複数の区画に分割する複数の分割壁が設置され、前記区画のそれぞれは、1つ以上の前記真空破壊弁と、1つ以上の前記ベント管を備える。
本発明によれば、蒸気の凝縮機能を維持でき、圧力の上昇を抑制することができる原子炉格納容器を提供することができる。
本発明の実施例7による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例1による原子炉格納容器の横断面図。 本発明の実施例1による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例2による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例3による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例4による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例5による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例6による原子炉格納容器の横断面図であり、SRV排気管の破断口から流出した蒸気の流れを示す図。 本発明の実施例6による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。 本発明の実施例8による原子炉格納容器の構成を示す、ウェットウェルを上から見た図。
本発明による原子炉格納容器(PCV)は、W/Wの内部に、W/Wの天井から床面まで延伸する複数の壁(W/W分割壁)を備え、W/Wが2区画以上に完全に分離されており、蒸気の凝縮に必要な機器(例えば、ベント管と真空破壊弁)が各区画に配置されている。このような構成により、本発明によるPCVでは、真空破壊弁の開固着が起きた場合(実施例1〜5)や、蒸気逃し安全弁の排気管(SRV排気管)がW/Wの気相部で破断した場合(実施例6〜7)でも、PCVの蒸気の凝縮機能を維持して圧力上昇を抑制することができる。
以下に、本発明の実施例による原子炉格納容器を説明する。以下に述べる実施例では、改良型沸騰水型原子炉に設けられる原子炉格納容器を例に挙げて説明するが、本発明による原子炉格納容器は、改良型沸騰水型原子炉に限らず、他の形式の原子炉に設けることができる。なお、本明細書で用いる図面において、同一の又は対応する要素には同一の符号を付け、これらの要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
図2と図3を用いて、本発明の実施例1による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図2は、本実施例による原子炉格納容器の横断面図である。図3は、本実施例による原子炉格納容器の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)を上から見た図である。図2には、一例として、改良型沸騰水型原子炉(以下、「ABWR」と称す)のPCV1を示している。
PCV1内には、原子炉の炉心2を格納する原子炉圧力容器(RPV)3が設置されている。RPV3には、RPV3内で発生した蒸気をタービン(図示せず)に送る主蒸気管4が接続されている。PCV1の内部は、鉄筋コンクリート製のダイヤフラムフロア12によってドライウェル(D/W)5とウェットウェル(W/W)7に分けられている。W/W7は、水を溜めているサプレッションプール(S/P)8と、S/P8の水面より上方の気相部7aを内部に備える。
D/W5には、RPV3が設置されている。D/W5は、場所によって呼び方を分け、W/W7の上方にあるD/W5の部分を上部D/W5aと呼び、W/W7の横にあるRPV3の下部が含まれるD/W5の部分を下部D/W5bと呼ぶこともある。
W/W7の内部には、ベント管11と呼ばれる垂直方向に延伸する管が設置されている。ベント管11は、D/W5とW/W7とを結び、一方の端部がD/W5に開口し、他方の端部がS/P8の水中に開口する。ベント管11の他方の端部は、S/P8の水中に開口するベント管排気部11aを備える。D/W5とW/W7は、ベント管11によって互いに連通する。
主蒸気管4は、蒸気逃し安全弁(以下、「SRV」と称す)6を備える。図2では、2系統のSRV6を示しているが、通常は、さらに多くの系統のSRV6が主蒸気管4に設置されている。SRV6には、通常、SRV排気管9の一端が接続されている。SRV排気管9は、ABWRでは、D/W5を通った後にW/W7に入り、S/P8内に設置されたクエンチャ10と呼ばれる機器に他端が接続されている。クエンチャ10は、通常はS/P8の底部に設置され、蒸気をS/P8内で効率良く凝縮するための機器である。
配管類の一部が損傷し、PCV1内に蒸気が放出される配管破断事故(LOCAと呼ばれ、配管が通るD/W5で発生する)が発生した場合、D/W5の圧力は、配管類の破断口から流出する蒸気により上昇する。その際、D/W5内に放出された蒸気は、D/W5とW/W7の圧力差により、ベント管11を通ってベント管排気部11aからW/W7内のS/P8の水中に導かれる。S/P8の水中で蒸気を凝縮することで、PCV1内の圧力上昇を抑制する。
また、LOCAの発生時には、D/W5に冷却水をスプレイすることでPCV1内の圧力を下げる操作が行われる場合がある。このような場合において、一時的に、W/W7の圧力がD/W5の圧力より高くなる場合がある。この場合、D/W5からW/W7に蒸気が流れなくなる。このような場合のために、D/W5とW/W7との間には、D/W5とW/W7の気相部7aとを接続する真空破壊弁13(「バキュームブレーカ」と呼ばれることもある)が複数個設置されている。W/W7の圧力がD/W5の圧力より高くなった場合には、W/W7の圧力により真空破壊弁13が開き、W/W7の内部のガスをD/W5に放出することで、W/W7の圧力を下げることができる。このようにしてW/W7の圧力をD/W5の圧力以下にすることで、PCV1の圧力抑制機能を維持する。
しかし、非常に低い可能性ではあるが、何らかの原因で真空破壊弁13のうち1つでも開いたまま閉じなくなった(開固着した)場合には、D/W5とW/W7の圧力が互いに等しくなる。この場合には、D/W5に放出された蒸気は、ベント管11を通ってW/W7のS/P8の水中に流れず、開固着した真空破壊弁13を通ってS/P8の水面で凝縮する。蒸気がS/P8の水面で凝縮する場合の凝縮効率は、蒸気がS/P8の水中に放出されS/P8の水中で凝縮する場合と比較して、悪化する。
このように蒸気の凝縮機能が低下すると、PCV1内の圧力の上昇速度が大きくなる。PCV1内の圧力が過度に上昇すると、PCV1内のガスを大気中に放出してPCV1の圧力を下げる操作(一般に「ベント操作」と呼ばれる)をしたり、PCV1内の蒸気を凝縮させるためのスプレイを作動させたりするなど、PCV1内の圧力を下げるための追加の操作を運転員が直ちに実施する必要がある。
本実施例によるPCV1では、図3に示すように、W/W7の内部にウェットウェル分割壁(以下、「W/W分割壁」と称す)14を複数設置し、W/W7を複数の区画7b、7cに分割する。W/W分割壁14は、W/W7の天井から床面まで延伸してW/W7の天井と床面とを接続し、W/W7の複数の区画7b、7cを互いに完全に分離する。W/W7を分割した区画7b、7cは、区画同士の間で気体や液体の移動が直接できない完全に独立した区画とし、それらの体積は互いに異なってもよい。ただし、W/W分割壁14は、各区画7b、7cが1つ以上の真空破壊弁13と1つ以上のベント管11を備えるように設置される。区画7b、7cの間では気体や液体の移動ができないので、W/W7の気相部7aの圧力は、区画7bと区画7cとで異なることができる。
実施例1では、図3に示すように、W/W分割壁14を2つ設置し、W/W7を2つの区画7b、7cに分割した場合について説明する。ただし、W/W分割壁14を3つ以上設置し、W/W7を3つ以上の区画に分割してもよい。区画の体積は、互いに異なってもよい。W/W7の分割数を増やすと、真空破壊弁13の開固着などによって蒸気の凝縮機能が低下するW/W7の割合(区画の体積)を減らすことができる。しかし、W/W7内に多数のW/W分割壁14を設ける必要があるため、設けたW/W分割壁14の分だけW/W7の内部空間の総体積が減少することに注意する必要がある。
図3に示したようにW/W7を2つの区画7b、7cに分割した場合で、例えば区画7bにある4つの真空破壊弁13のうち1つが開固着した状態でD/W5に蒸気が放出された場合には、区画7bでのW/W7の気相部7aの圧力がD/W5の圧力と等しくなるので、区画7bのS/P8ではほとんど蒸気を凝縮させることができなくなる。しかし、区画7b、7cは、互いに完全に独立した区画となっている(区画7bと区画7cの間で気体や液体の移動が直接できない)ため、区画7bと区画7cとでW/W7の気相部7aの圧力が異なり、区画7cではS/P8で蒸気を凝縮させることができ、W/W7の圧力抑制機能(蒸気の凝縮機能)を維持できる。このため、真空破壊弁13が開固着した場合で、配管の破断などによってD/W5内に蒸気が流出した場合でも、PCV1内の圧力の上昇速度を大幅に抑えることができる。
本実施例によるPCV1は、W/W7の天井と床面とを接続してW/W7の区画を互いに完全に分離するW/W分割壁14により、S/P8の水位がW/W7の区画ごとに異なることができて区画内の気相部の圧力が区画ごとに異なることができ、ある区画で蒸気の凝縮機能が喪失しても、他の区画では喪失しない。本実施例によるPCV1は、このようにして蒸気の凝縮機能の喪失を防止し、蒸気の凝縮機能を長期にわたって維持することができる。
また、図3に示すように、PCV1は、区画7bの気相部と区画7cの気相部との間に差圧計測器16を備える。W/W7を3つ以上の区画に分割した場合には、任意の2つの区画の気相部の間に差圧計測器16を設ける。差圧計測器16は、全ての区画に設置されるように、任意の2つの区画の気相部の間に設けるのが好ましい。差圧計測器16は、設置された2つの区画の気相部の圧力の差を測定することができる。原子力発電プラントの中央制御室にいる運転員は、差圧計測器16の測定値を取得することができる。
差圧計測器16は、真空破壊弁13の開固着を検知し、開固着が発生した真空破壊弁13が存在する区画を特定することができる。開固着が起きた真空破壊弁13が存在する区画では、圧力が他の区画(開固着が起きていない真空破壊弁13が存在する区画)の圧力よりも高くなる。例えば、区画7bにある真空破壊弁13に開固着が起き、区画7cにある真空破壊弁13に開固着が起きていない場合には、区画7bの圧力が区画7cの圧力よりも高くなる。差圧計測器16は、この圧力差を検出することで、真空破壊弁13の開固着の発生をただちに検知でき、開固着が発生した真空破壊弁13が存在する区画を特定できる。
運転員は、差圧計測器16の測定値から開固着を検知したら、万が一に備えてPCV1内の圧力を下げるために、スプレイの起動操作の準備やベント操作の準備を前もって開始することができる。また、前記のように、PCV1内の圧力の上昇速度を抑えることができるので、これら操作に掛けることのできる時間の余裕も増えるため、運転員が操作に失敗する確率も減少し、原子力発電プラントの安全性を向上することができる。
なお、差圧計測器16は、W/W7の区画とD/W5との間に設けてもよい。真空破壊弁13に開固着が起きた場合には、この真空破壊弁13が存在するW/W7の区画とD/W5との間の圧力差がなくなる。差圧計測器16は、この圧力差がなくなったことを検出することで、開固着の発生をただちに検知できる。
図4を用いて、本発明の実施例2による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図4は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。以下では、実施例1によるPCV1と異なる点のみを説明する。
PCV1は、W/W7を分割した区画のそれぞれの気相部に圧力計測器17を備える。図4には、W/W7を2つの区画7b、7cに分割し、区画7b、7cのそれぞれの気相部に圧力計測器17を設けた構成を示している。圧力計測器17は、自らが設置された区画の気相部の圧力を測定することができる。原子力発電プラントの中央制御室にいる運転員は、圧力計測器17の測定値を取得することができる。
圧力計測器17は、各区画の圧力を計測することで、真空破壊弁13の開固着を検知し、開固着が発生した真空破壊弁13が存在する区画を特定することができる。開固着が起きた真空破壊弁13が存在する区画は、圧力が他の区画(開固着が起きていない真空破壊弁13が存在する区画)の圧力よりも高くなる。圧力計測器17は、測定した圧力が他の区画の圧力よりも高くなったことを検出することで、自らが設置された区画にある真空破壊弁13に開固着が発生したことをただちに検知できる。
運転員は、圧力計測器17の測定値から開固着を検知したら、万が一に備えてPCV1内の圧力を下げるために、スプレイの起動操作の準備やベント操作の準備を前もって開始することができる。また、前記のように、PCV1内の圧力の上昇速度を抑えることができるので、これら操作に掛けることのできる時間の余裕も増えるため、運転員が操作に失敗する確率も減少し、原子力発電プラントの安全性を向上することができる。
なお、圧力計測器17は、D/W5にも設けてもよい。真空破壊弁13に開固着が起きた場合には、この真空破壊弁13が存在するW/W7の区画の圧力がD/W5の圧力と等しくなる。W/W7の区画に設置された圧力計測器17は、測定した圧力がD/W5の圧力と等しくなったことを検出することで、自らが設置された区画にある真空破壊弁13に開固着が発生したことをただちに検知できる。
図5を用いて、本発明の実施例3による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図5は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。以下では、実施例1によるPCV1と異なる点のみを説明する。
PCV1は、W/W7を分割した区画のそれぞれの気相部に温度計測器18を備える。図5には、W/W7を2つの区画7b、7cに分割し、区画7b、7cのそれぞれの気相部に温度計測器18を設けた構成を示している。温度計測器18は、自らが設置された区画の気相部の温度を測定することができる。原子力発電プラントの中央制御室にいる運転員は、温度計測器18の測定値を取得することができる。
温度計測器18は、各区画の温度を計測することで、真空破壊弁13の開固着を検知し、開固着が発生した真空破壊弁13が存在する区画を特定することができる。開固着が起きた真空破壊弁13が存在する区画は、温度が他の区画(開固着が起きていない真空破壊弁13が存在する区画)の温度よりも高くなる。これは、開固着が起きた真空破壊弁13が存在する区画では、開固着によって圧力が上昇すると飽和温度も上昇するため、気相部の温度が飽和温度付近まで上昇するからである。温度計測器18は、測定した温度が他の区画の温度よりも高くなったことを検出することで、自らが設置された区画にある真空破壊弁13に開固着が発生したことをただちに検知できる。
運転員は、温度計測器18の測定値から開固着を検知したら、万が一に備えてPCV1内の圧力を下げるために、スプレイの起動操作の準備やベント操作の準備を前もって開始することができる。また、前記のように、PCV1内の圧力の上昇速度を抑えることができるので、これら操作に掛けることのできる時間の余裕も増えるため、運転員が操作に失敗する確率も減少し、原子力発電プラントの安全性を向上することができる。
なお、実施例1〜3では、それぞれ差圧計測器16、圧力計測器17、及び温度計測器18を用いて真空破壊弁13の開固着を検知したが、これら計測器16〜18の複数を組み合わせてPCV1に設けてもよい。また、これら計測器16〜18以外の差圧、圧力、又は温度を測定する装置を用いても構わない。
図6を用いて、本発明の実施例4による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図6は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。以下では、実施例1によるPCV1と異なる点のみを説明する。
PCV1は、W/W7を分割した区画7b、7cのそれぞれに設置された真空破壊弁13に流量計測器19を備える。真空破壊弁13は、自らを流れるガス(蒸気)の流路に流量計測器19を備える。流量計測器19は、自らが設置された真空破壊弁13を流れる蒸気の流量を計測する。原子力発電プラントの中央制御室にいる運転員は、流量計測器19の測定値を取得することができる。
真空破壊弁13が開くと、この真空破壊弁13を流れる蒸気の流量は、0から増加して0でない値になる。この後、真空破壊弁13に開固着が発生すると、この真空破壊弁13を流れる蒸気の流量は、ほぼ0になる。流量計測器19は、このような蒸気の流量の変化を計測することにより、真空破壊弁13の開固着の発生をただちに検知でき、開固着が発生した真空破壊弁13が存在する区画を特定できる。
運転員は、流量計測器19の測定値から開固着を検知したら、万が一に備えてPCV1内の圧力を下げるために、スプレイの起動操作の準備やベント操作の準備を前もって開始することができる。また、前記のように、PCV1内の圧力の上昇速度を抑えることができるので、これら操作に掛けることのできる時間の余裕も増えるため、運転員が操作に失敗する確率も減少し、原子力発電プラントの安全性を向上することができる。
なお、実施例1〜4では、それぞれ差圧計測器16、圧力計測器17、温度計測器18、及び流量計測器19を用いて真空破壊弁13の開固着を検知したが、これら計測器16〜19の複数を組み合わせてPCV1に設けてもよい。また、これら計測器16〜19以外の差圧、圧力、温度、又は流量を測定する装置を用いても構わない。
図7を用いて、本発明の実施例5による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図7は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。以下では、実施例5によるPCV1と異なる点のみを説明する。
PCV1は、W/W7を分割した区画7b、7cのそれぞれに設置される真空破壊弁として、弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20を備える。弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20は、弁開閉状態検出器を備える真空破壊弁であり、実施例1〜4の真空破壊弁13と同様にD/W5とW/W7の気相部7aとの間に設置され、弁開閉状態検出器により自らの開固着を直接的に検出できる。弁開閉状態検出器には、例えばリミットスイッチを用いることができる。原子力発電プラントの中央制御室にいる運転員は、弁開閉状態検出器の測定値を取得することができ、弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20が開固着したことを知ることができる。弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20を用いることにより、真空破壊弁に開固着が発生したことをただちに検出でき、開固着した真空破壊弁をただちに特定できる。
運転員は、弁開閉状態検出器の測定値から開固着を検知したら、万が一に備えてPCV1内の圧力を下げるために、スプレイの起動操作の準備やベント操作の準備を前もって開始することができる。また、前記のように、PCV1内の圧力の上昇速度を抑えることができるので、これら操作に掛けることのできる時間の余裕も増えるため、運転員が操作に失敗する確率も減少し、原子力発電プラントの安全性を向上することができる。
なお、実施例1〜3では、それぞれ差圧計測器16、圧力計測器17、及び温度計測器18を用いて真空破壊弁13の開固着を検知したが、これら計測器16〜18の1つ又は複数を本実施例のPCV1に設けてもよい。また、これら計測器16〜18以外の差圧、圧力、又は温度を測定する装置を本実施例のPCV1に設けても構わない。また、実施例4のように、弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20の流路に流量計測器19を備え、弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20を流れる蒸気の流量を流量計測器19によって計測してもよい。
図2、図8、及び図9を用いて、本発明の実施例6による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図8は、本実施例によるPCV1の横断面図であり、図2と同様の構成を示しているが、RPV3を省いて簡略化した図である。図8には、W/W7の気相部7aで破断したSRV排気管9と、SRV排気管9の破断口22から流出した蒸気21の流れを示している。図9は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。
前述したように、D/W5で配管破断事故が発生した場合、配管の破断口から流出した蒸気は、ベント管11を通ってS/P8で凝縮する。同様に、RPV3や主蒸気管4内の圧力が高くなった場合は、蒸気をS/P8の水中に放出して、RPV3や主蒸気管4内の圧力を下げる。蒸気がS/P8で凝縮することで、PCV1内の圧力上昇が緩和される。
RPV3や主蒸気管4内の圧力を下げるための装置として、ABWRでは、図2と図8に示し実施例1でも説明したように、PCV1内のD/W5の領域に蒸気逃し安全弁(SRV)6が設置されている。SRV6は、RPV3及び主蒸気管4内の圧力が過度に上昇した場合に、この圧力を下げるために開く弁であり、制御機器により開く逃し弁機能と、バネ力により設定圧力を超えると自動で開く安全弁機能を持っている。SRV6が開くことで、RPV3及び主蒸気管4内の蒸気をPCV1内に放出し、圧力を下げることができる。実施例1でも説明したように、SRV排気管9は、一端がSRV6に接続され、他端がS/P8の水中(底部)に位置するクエンチャ10に接続されている。SRV6を通して放出された蒸気は、SRV排気管9を通って、最終的にクエンチャ10からS/P8内に放出され、S/P8に溜められた水により凝縮する。蒸気をS/P8で凝縮して液体の水にすることで、蒸気の体積が大幅に減少し、PCV1の圧力上昇を抑制することができる。
しかし、図8に示すように、W/W7の気相部7aでSRV排気管9が破断し、SRV排気管9の破断口22から蒸気21が流出した場合には、破断口22から流出した蒸気21は、真空破壊弁13が開固着した場合に蒸気が開固着した真空破壊弁13を通ってS/P8の水面で凝縮するのと同様に、S/P8の水面で凝縮するだけである。蒸気がS/P8の水面で凝縮する場合の凝縮効率は、蒸気がS/P8の水中に放出されS/P8の水中で凝縮する場合と比較して、悪化する。従って、W/W7の気相部7aでSRV排気管9が破断した場合は、SRV排気管9が破断せずクエンチャ10からS/P8内に蒸気を放出した場合に比べて、PCV1内の圧力の上昇速度が大きくなる。PCV1内の圧力が過度に上昇すると、ベント操作をしたり、PCV1内の蒸気を凝縮させるためのスプレイを作動させたりするなど、PCV1内の圧力を下げるための追加の操作が必要となる。
そこで、実施例1〜5のPCV1と同様に、W/W分割壁14でW/W7を複数の区画に分割する。W/W分割壁14は、W/W7の天井と床面とを接続し、W/W7の複数の区画を互いに完全に分離する。図9には、2つのW/W分割壁14でW/W7を2つの区画7b、7cに分割した例を示している。各区画7b、7cには、ベント管11、真空破壊弁13、SRV排気管9、及びSRV排気管9に接続するクエンチャ10がそれぞれ1つ以上含まれるように設置される。なお、図9には、実施例1と同様に、区画7bと区画7cの間に差圧計測器16を設けた例を示している。
W/W7を複数の区画に分割すると、例えば図8の区画7bにあるSRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断して蒸気21が気相部7aに流出した場合でも、流出した蒸気21は、区画7bのW/W7を加圧し、その圧力によって区画7bにある真空破壊弁13を開き、一旦D/W5に放出される。そして、D/W5に流出した蒸気21は、区画7c(SRV排気管9が破断していない区画)のベント管11を通って、区画7cのS/P8で凝縮する。
このように、区画7bにあるSRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断しても、区画7cのS/P8で蒸気21を凝縮させることができ、W/W7の圧力抑制機能(蒸気の凝縮機能)を維持できる。このため、SRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断した場合でも、PCV1内の圧力の上昇速度を大幅に抑えることができる。
なお、SRV排気管9がS/P8内で破断した場合には、SRV排気管9から流出した蒸気は水中に放出され水により凝縮されるので、蒸気の凝縮効率に与える影響は小さい。また、SRV排気管9がD/W5内で破断した場合には、SRV排気管9から流出した蒸気はD/W5からベント管11を通ってS/P8の水中で凝縮するので、SRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断した場合と比べると、蒸気の凝縮効率に与える影響は小さい。
真空破壊弁13に開固着が起きた場合は、実施例1と同様にして真空破壊弁13の開固着の発生を検知できる。
本実施例によるPCV1は、差圧計測器16を備えるが、実施例2〜5によるPCV1のように、圧力計測器17、温度計測器18、流量計測器19、又は弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20を備えてもよく、これらを複数組み合わせて用いることもできる。実施例4のように流量計測器19を用いて真空破壊弁13を流れる蒸気の流量を計測すると、SRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断すると真空破壊弁13での蒸気の流量が増えるので、SRV排気管9の破断を検知でき、蒸気の凝縮効率が低下していることを検知できる。また、実施例5のように弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20を用いると、真空破壊弁20の開動作が多くなったり開時間が長くなったりしたらSRV排気管9が破断したと判断でき、蒸気の凝縮効率が低下していることを検知できる。
また、開固着の発生が検知された真空破壊弁13があるW/W7の区画は、ベント管11による蒸気の凝縮を期待できないため、SRV6を通した蒸気の排出先を、開固着の発生が検知された真空破壊弁13があるW/W7の区画に限定する運転方法を取ることもできる。これは、開固着の発生が検知されていない真空破壊弁13が存在する区画にはSRV6を通した蒸気を排出しないようにし、この区画でのベント管11による蒸気の凝縮機能を維持する(喪失しないようにする)ための運転方法である。
図1を用いて、本発明の実施例7による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図1は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。以下では、実施例6によるPCV1と異なる点のみを説明する。
図1に示すPCV1は、W/W7が4つのW/W分割壁14で4つの区画7b、7c、7d、7eに分割され、各区画には、ベント管11、真空破壊弁13、SRV排気管9、及びSRV排気管9に接続するクエンチャ10がそれぞれ1つ以上含まれるように設置される。
現行のABWRでは、非常用炉心冷却装置(以下、「ECCS」と称す)は、低圧注水系と高圧注水系をそれぞれ3区分ずつ備える。低圧注水系の水源はS/P8であり、高圧注水系の水源はS/P8又は復水貯蔵タンクである。S/P8の水中には、3区分それぞれの低圧注水系と高圧注水系の非常用炉心冷却装置吸い込み口(以下、「ECCS吸い込み口」と称す)15が設けられており、ECCS吸い込み口15からECCSの冷却水を吸い込む。ECCS吸い込み口15には、ストレナーが取り付けられている。ストレナーは、S/P8に異物が混入した場合に、混入した異物の吸い込みを防止し、異物がECCSに与える影響を最小限にする。また、ECCS吸い込み口15は、区分ごとに離して配置され、ECCS吸い込み口15が互いに干渉するのを防止する。
図1に示すPCV1では、W/W7の4つの区画7b〜7eのうち3つの区画7b、7c、7dのそれぞれに、低圧注水系のECCS吸い込み口15aと高圧注水系のECCS吸い込み口15bとが1区分ずつ設けられている例を示している。W/W7を複数の区画に分割し、1つの区画に1区分のECCS吸い込み口15を設けることで、複数のECCS吸い込み口15を2つ以上の区画に分散して配置することができる。複数のECCS吸い込み口15をこのように分散配置することで、ある区画のS/P8に異物が混入した場合でも、混入した異物によって影響を受けるECCSを1区分(異物が混入した区画に設けられたECCS吸い込み口15の区分)のみに限定できる。
また、本実施例によるPCV1は、差圧計測器16により真空破壊弁13の開固着を検知することができる。真空破壊弁13に開固着が発生した区画の冷却水(S/P8の水)は、蒸気の凝縮に活用できない。しかし、真空破壊弁13に開固着が発生した区画にECCS吸い込み口15が設けられていれば、このECCS吸い込み口15の区分のECCSを優先して利用することにし、この区画の冷却水をRPV3に選択的に給水する制御を行うことで、S/P8の水を有効に利用することができる。なお、本実施例によるPCV1は、実施例6によるPCV1のように、圧力計測器17、温度計測器18、流量計測器19、又は弁開閉状態検出器付き真空破壊弁20を備えてもよく、これらを複数組み合わせて用いることもできる。
本実施例では、W/W7を4つの区画に分割したが、これ以外の数に分割してもよい。また、ECCSの区分が同じでも高圧注水系と低圧注水系とで異なる区画にECCS吸い込み口15を設けてもよく、同じ区画に異なる区分のECCS吸い込み口15を設けてもよい。W/W7を多くの区画に分割すると、S/P8に異物が混入した場合に影響を受けるECCSの区分の数を少なくすることができる。しかし、W/W7をあまり多くの区画に分割すると、1区分又は1系統の注水に利用できる冷却水が減少するという点に考慮が必要である。
図10を用いて、本発明の実施例8による原子炉格納容器(PCV)を説明する。図10は、本実施例によるPCV1の構成を示す図であり、ウェットウェル(W/W)7を上から見た図である。以下では、実施例7によるPCV1と異なる点のみを説明する。
図10に示すPCV1は、W/W7が4つのW/W分割壁14で4つの区画7b、7c、7d、7eに分割され、S/P8の水面下で、W/W7の互いに隣接する区画を接続するバイパス流路23と、バイパス流路23に設置されたバイパス流路締切弁24とを備える。バイパス流路23は、互いに隣接する区画のS/P8の水面より下部同士を接続する。バイパス流路締切弁24は、自らが設置されたバイパス流路23を締め切ることができる。
バイパス流路23により互いに隣接する区画間で冷却水の移動は可能であるが、バイパス流路締切弁24を通常は閉じた状態にすることで、各区画を互いに独立させ、真空破壊弁13の開固着やSRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断する事象に備える。
真空破壊弁13の開固着やSRV排気管9がW/W7の気相部7aで破断する事象が発生していない状況で、作動させたいECCSの区分が利用する区画の保有水量が少なくなった場合、このバイパス流路締切弁24を開くことで、互いに隣接する区画間で冷却水を融通し合うことができる。
なお、図10にはPCV1の外部にバイパス流路23を設置する例を示したが、PCV1の内部にバイパス流路23を設置してもよい。また、互いに隣接する区画のみでなく、その他の区画とも冷却水を融通し合える構造としてもよい。バイパス流路23が接続し冷却水を融通し合える区画は、3つ以上でもよい。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
1…原子炉格納容器(PCV)、2…炉心、3…原子炉圧力容器(RPV)、4…主蒸気管、5…ドライウェル(D/W)、5a…上部D/W、5b…下部D/W、6…蒸気逃し安全弁(SRV)、7…ウェットウェル(W/W)、7a…W/Wの気相部、7b、7c、7d、7e…W/Wを分割した区画、8…サプレッションプール(S/P)、9…SRV排気管、10…クエンチャ、11…ベント管、11a…ベント管排気部、12…ダイヤフラムフロア、13…真空破壊弁、14…ウェットウェル分割壁(W/W分割壁)、15…非常用炉心冷却装置吸い込み口(ECCS吸い込み口)、15a…低圧注水系のECCS吸い込み口、15b…高圧注水系のECCS吸い込み口、16…差圧計測器、17…圧力計測器、18…温度計測器、19…流量計測器、20…弁開閉状態検出器付き真空破壊弁、21…SRV排気管の破断口から流出した蒸気、22…SRV排気管の破断口、23…バイパス流路、24…バイパス流路締切弁。

Claims (9)

  1. 原子炉の炉心を格納する原子炉圧力容器が設置されているドライウェルと、
    水を溜めているサプレッションプールと気相部とを内部に備えるウェットウェルと、
    前記ドライウェルと前記ウェットウェルとを結び、一方の端部が前記ドライウェルに開口し、他方の端部が前記サプレッションプールの水中に開口するベント管と、
    前記ウェットウェルと前記ドライウェルとの間に設置され、前記ウェットウェルの前記気相部と前記ドライウェルとを接続する真空破壊弁と、を備え、
    前記ウェットウェルの内部には、前記ウェットウェルの天井と床面とを接続し、前記ウェットウェルを複数の区画に分割する複数の分割壁が設置され、
    前記区画は、前記区画同士の間で気体と液体の移動が直接できない独立した区画であり、
    前記区画のそれぞれは、1つ以上の前記真空破壊弁と、1つ以上の前記ベント管を備える、
    ことを特徴とする原子炉格納容器。
  2. 前記原子炉圧力容器に接続された主蒸気管と、
    一端が前記主蒸気管に設けられた弁に接続され、他端が前記サプレッションプールの水中に位置する排気管と、を備え、
    前記真空破壊弁は、自らの開固着を検出する弁開閉状態検出器を備え
    前記区画のそれぞれは、前記排気管を1つ以上備え、
    前記排気管は、前記弁を通して放出された蒸気を、開固着の発生が検知された前記真空破壊弁がある前記ウェットウェルの前記区画に限定して排出する、請求項1に記載の原子炉格納容器。
  3. 2つの前記区画の前記気相部の間には、差圧計測器を備える請求項1または2に記載の原子炉格納容器。
  4. 前記区画のそれぞれの前記気相部は、圧力計測器を備える請求項1または2に記載の原子炉格納容器。
  5. 前記区画のそれぞれの前記気相部は、温度計測器を備える請求項1または2に記載の原子炉格納容器。
  6. 前記真空破壊弁は、流れるガスの流路に流量計測器を備える請求項1または2に記載の原子炉格納容器。
  7. 記排気管の前記他端に接続され、前記サプレッションプールの水中に位置するクエンチャ備え、
    前記区画のそれぞれは、前記クエンチャを1つ以上備える、請求項に記載の原子炉格納容器。
  8. 前記サプレッションプールの水中に、非常用炉心冷却装置の水の吸い込み口を複数備え、
    前記吸い込み口は、2つ以上の前記区画に分散して配置されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
  9. 前記サプレッションプールの水面下で2つ以上の前記区画を接続する流路と、
    前記流路に設置され、この流路を締め切ることができる弁と、を備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
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