以下、本発明に係る電動工具の一実施形態について、植木の剪定等に用いられる電動バリカン1を示し、図面に基づいて説明する。電動バリカン1はあくまでも一例に過ぎず、本発明は、少なくともスイッチレバーとロックボタンを有するスイッチ機構を備える種々の電動工具に適用が可能であり、例えばヘッジトリマーに適用できる。なお、以下の説明において、従来の電動バリカンと共通する構成については、本発明の説明のために特に必要な構成を除いて説明を省略する。また、以下の説明における上下方向は、図1に示す状態における上下方向としており、その他の方向は、使用時にユーザーから見た方向としている。
本実施形態の電動バリカン1は図1に示すものであって、外観に現れるケーシング2を備え、図2に示すようにケーシング2の内部に、駆動源であるモータ31と、回転軸、歯車、ベアリング等の駆動力を伝達する伝達機構32とからなる駆動機構3が設けられている。ケーシング2の前方には、駆動機構3の駆動力を受けて動作する刃物部4が突出している。刃物部4は、図示された2枚の板状体が揺動することにより、両板状体に芝や植木の枝等の切断対象物を挟んで、せん断により切断できる。ケーシング2には、使用時にユーザーが握ることのできるハンドル部21が前後方向に延びるように形成されている。また、駆動機構3を動作させたり停止させたりすべく、ユーザーが操作できるスイッチ機構5が設けられている。このスイッチ機構5は、図1に示すように、一部(具体的にはスイッチレバー52とロックボタン53)がハンドル部21から突出している。また、モータ31やケーシング2の内部に設けられる制御基板に電力を供給するバッテリー(バッテリーパック)6が、ケーシング2の後部に、着脱可能に設けられている。また、バッテリー6を取り換えた後における不意の駆動(再起動)を防止するための再起動防止機構7が設けられている。
スイッチ機構5は、主に、スイッチ本体51、スイッチレバー52、ロックボタン53、中間部材54を備える。スイッチ本体51は、バッテリー6からの電力につき、駆動機構3への供給及び遮断を行う部分であって、例えば、ユニット化されたマイクロスイッチを使用できる。
スイッチレバー52はスイッチ本体51を操作するためのもので、一部がケーシング2におけるハンドル部21の下面から露出している。なお、本実施形態では「レバー」と称しているが、必ずしもレバー状形態の部材に限定されるわけではなく、スイッチ本体51を操作するためにユーザーが操作可能なものであれば形態は問わない。このスイッチレバー52は、ユーザーの操作(押し込み)により少なくとも駆動オフ位置と駆動オン位置の二位置間で移動するように構成されている。駆動オフ位置は刃物部4が動作しない位置であり、駆動オン位置は刃物部4が動作する位置である。駆動オフ位置は下方に、駆動オン位置は上方に設定されている。駆動オン位置は、モータ31が一定の回転数で駆動するように設定することができる。また、ユーザーのスイッチレバー52の押し込み度合いに応じて、モータ31の回転数が増減するよう、所定の押し込み範囲をもって設定することも可能である。すなわち、駆動オン位置は一点に設定されていてもよいし、幅をもって設定されていてもよい。
本実施形態のスイッチレバー52は上下方向に移動するものであって、ユーザーの指(例えば人差し指)によってケーシング2に押し込まれる。また、スイッチレバー52の上方にはスイッチレバー付勢部材521が設けられている。このスイッチレバー付勢部材521により、スイッチレバー52はケーシング2から突出する方向(下方)に付勢されている。このスイッチレバー52の前部には、中間部材54に係合するスイッチレバー側係合部522が設けられている。本実施形態のスイッチレバー側係合部522はスイッチレバー52の本体と一体に形成されている。
ロックボタン53は横倒しの略円筒状に形成されており、スイッチレバー52の移動方向に対し交差する方向に移動する。なお、本実施形態では「ボタン」と称しているが、必ずしもボタンの概念に一致する形態の部材に限定されるわけではなく、スイッチレバー52の状態を規定するためにユーザーが操作可能なものであれば形態は問わない。本実施形態のロックボタン53は、一部がハンドル部21の左側面から露出している。このロックボタン53は、スイッチレバー52の移動方向に対し直交する方向である左右方向に移動するものであって、ユーザーの指(例えば親指)によってケーシング2に押し込まれる。ロックボタン53は、左右方向に延びるロックボタン支持ピン531が圧入されたことにより、当該ロックボタン支持ピン531を一体的に備える。ケーシング2の一部によってロックボタン支持ピン531の移動方向が規制されることにより、ロックボタン53は直線方向に移動するものとされる。
ロックボタン53は、スイッチレバー52を駆動オフ位置のまま保持するロックオフ状態(図3の状態)、ロックオフ状態を解除してスイッチレバー52を押し込み可能とするロックオフ解除状態(図4の状態)、スイッチレバー52を駆動オン位置のまま保持するロックオン状態(図7の状態)とできる。ロックオフ状態とはロックボタン53の押し込みがされていない時の状態であり、ロックオフ解除状態とはロックボタン53が途中まで押し込まれた時の状態であり、ロックオン状態とは、ロックオフ解除状態から更にロックボタン53が所定量押し込まれた時の状態であって、例えばロックボタン53が最も奥に押し込まれた時の状態である。ロックオフ解除状態については、ロックボタン53が当該状態に対応する位置で一旦止まるよう構成したり、ロックボタン53を押し込む際、ユーザーにいわゆる「クリック感」等の触覚変化を与えたりするよう構成することが可能である。
ロックボタン53は、中間部材54の更に右方に設けられた左右付勢部材55により常に左方に付勢されている。この左右付勢部材55は、本実施形態では圧縮コイルバネが用いられている。ユーザーがロックボタン53を押し込む力(右方への力)を緩めると、左右付勢部材55の付勢力により、ロックボタン53は左方に移動してケーシング2から飛び出す。なお、左右付勢部材55の付勢力に抗してロックボタン53を所定の位置(例えばロックオン状態となる位置)で停止させるストッパーを設けることも可能である。
中間部材54は、ケーシング2の内部においてロックボタン53の移動方向に隣接して設けられている。具体的にはロックボタン53の右方に設けられている。本実施形態では直接的に隣接しているが、ロックボタン53と中間部材54との間に別部材を介在させることもできる。この中間部材54は、ユーザーの操作によりロックボタン53が移動する際、当該移動方向である軸方向(左右方向)についてロックボタン53と一体で移動する。このように構成することにより、中間部材54をロックボタン53とは別の動作をさせる構成に比べ、両者53,54が同じ動作となるので、スイッチ機構5を簡単な構造とできる。
中間部材54は、スイッチレバー52とロックボタン53との間に介在するように設けられている。つまり中間部材54は、スイッチレバー52及びロックボタン53から独立して存在する別部材である。ここで前記「介在」とは、スイッチレバー52とロックボタン53との間で一方の移動が他方に影響を及ぼすような位置に存在することを言う。
中間部材54は、ユーザーの操作(押し込み)によるロックボタン53の移動に伴い、スイッチレバー52から遠ざかる方向に移動する。具体的に中間部材54は、ロックボタン支持ピン531が貫通することにより支持されている。このため中間部材54は、ロックボタン53の移動する方向(本実施形態では直線方向かつ左右方向)に沿う軸線CLを中心に(軸線CLまわりに)回動可能である。前記軸線CLは、ロックボタン支持ピン531の中心を通っている。前記「沿う」とは、ロックボタン53の移動する方向の軸線と中間部材54の回動軸線とが同一の軸線CL上に存在するということである。このように中間部材54の回動軸線をロックボタン53の移動方向に沿わせることによりロックボタン53の移動軸線と兼ねることができる。特に本実施形態では、ロックボタン支持ピン531を中間部材54の回動軸として用いることができる。このため、中間部材54の回動軸線を別に設けることに比べると、スイッチ機構5を簡単な構造とできる。
中間部材54は、ロックボタン支持ピン531が貫通することにより回動可能とされた基部541と、基部541に対して軸線CLを基準とした径外位置にあり、スイッチレバー側係合部522を係合することで移動を規制したり、移動を許容したりできる作用部542とを有する。本実施形態における作用部542は、右作用部542R、中作用部542C、左作用部542Lの3部分からなっている。以下に説明するように、右作用部542Rによりロックオフ状態が実現され、中作用部542Cによりロックオフ解除状態が実現され、左作用部542Lによりロックオン状態が実現される。
また、中間部材54は、ロックオフ状態でスイッチレバー52の一部に係合する第1被係合部543と、ロックオン状態でスイッチレバー52の一部に係合する第2被係合部544とを備える。第1被係合部543は右作用部542Rに形成された、スイッチレバー52に向かう方向に突出する突起である。第1被係合部543の下面5431は右作用部542Rの後面に対して略垂直面とされている。これにより、スイッチレバー側係合部522が下面5431に当接することで下面5431よりも上方へ移動することが規制される。このためスイッチレバー52が押し込み不能となる。したがって、スイッチレバー52を駆動オフ位置のまま保持できる。
第2被係合部544は左作用部542Lに形成された、スイッチレバー52に向かう方向に突出する突起である。この突起の上面5441は左作用部542Lの後面に対して略垂直面、下面5442は傾斜面とされている。上面5441及び下面5442により、スイッチレバー側係合部522が下面5442の外面に当接しつつ上方へ移動することは許容し、一方、スイッチレバー側係合部522が上面5441に当接することで上面5441よりも下方へ移動することは規制される。このため、スイッチレバー付勢部材521に付勢されていても、スイッチレバー52がハンドル部21から飛び出なくなる。したがって、スイッチレバー52を駆動オン位置のまま保持できる。
また、第2被係合部544の右側面は側方傾斜面5443とされている。この側方傾斜面5443は、スイッチレバー52の一部であるスイッチレバー側係合部522が当接できる位置に形成されている。また、側方傾斜面5443は、ロックボタン53の移動方向に対して傾いた面であって、具体的には、左方に向かうにつれ後方にせり出すような面である。この側方傾斜面5443は平面でも湾曲面でもよく、複数の面が組み合わされていてもよい。図4及び図5に示した白抜矢印Pのように、ユーザーの操作(押し込み)によるロックボタン53の右方への移動に伴い、図4に示す状態(ロックオフ解除状態)から図5に示す状態(ロックオン可能状態)へとスイッチレバー側係合部522に対する第2被係合部544の位置関係が変化し、この変化の途中で側方傾斜面5443にスイッチレバー側係合部522が当接する。これにより、右方への移動に係る力の向きが変換され、中間部材54にスイッチレバー52から遠ざかる方向へ移動する力(図5に示した矢印R1の方向への移動)を生じさせることができる。スイッチレバー52に対して中間部材54が逃げるような動きをするため、スイッチレバー側係合部522が中間部材54の移動を阻害することがない。すなわち、スイッチレバー側係合部522がロックボタン53の右方への移動を阻害することがない。
また、中作用部542Cにおけるスイッチレバー52側の後面は摺動面545が形成されている。この摺動面545は平面である。本実施形態の摺動面545、右作用部542Rにおける第1被係合部543の下方に位置する面、左作用部542Lにおける第2被係合部544の上方に位置する面の各面は同一平面に形成されている。このため、例えばロックオフ状態からロックオフ解除状態へ、また、ロックオフ解除状態からロックオン状態へ、ユーザーに違和感を与えることなく移行できる。ただし、前記各面が同一平面であることには限定されず、前記各面の間に段差を形成することもできる。
また、中間部材54には、当該中間部材54をスイッチレバー52に当接させる方向に付勢する中間部材付勢部材546が設けられている。具体的には、中間部材54は軸線CLまわりに回動するので、中間部材付勢部材546の付勢力は中間部材54をスイッチレバー52に当接させる方向に回動させるように作用する。この中間部材付勢部材546は、本実施形態ではねじりコイルバネが用いられている。この中間部材付勢部材546の付勢力により、スイッチレバー52と中間部材54との位置関係が保持される。具体的には、中間部材54がスイッチレバー52の移動を邪魔しない程度で常に当接するようにできる。このため、仮に中間部材54がスイッチレバー52に対して離れて位置するような構成に比べると、ロックオフ状態、ロックオフ解除状態、ロックオン状態の間の状態変化を、タイムラグを生じさせることなく、即時に行うことができる。中間部材付勢部材546の発する付勢力は、スイッチレバー52、具体的にはスイッチレバー側係合部522に当接する(離反しない)程度で十分である。付勢力が大きすぎると、中間部材54とスイッチレバー52との間に強い摩擦が生じ、これによりスイッチレバー52の操作(押し込み)が重くなってしまうからである。
以下、本実施形態におけるスイッチ機構5の動作につき、特に中間部材54を中心としたスイッチレバー52及びロックボタン53との関係に着目して説明する。なお、図示した状態は、スイッチレバー側係合部522の先端付近において縦方向の切断を行い、現れた断面を後方から前方に向けて見た状態である。このため各図において、スイッチレバー52はスイッチレバー側係合部522の一部だけが示されている。また、中間部材54は後方部分の一部が示されていない。
図3に示す状態はロックオフ状態を示す。この状態ではロックボタン53は全く押し込まれていないロックオフ位置にある。この状態では、中間部材54の右作用部542Rにおける第1被係合部543の下方にスイッチレバー側係合部522が位置する。このため、ユーザーがスイッチレバー52を押し込もうとしても、第1被係合部543の下面5431にスイッチレバー側係合部522が当接するので、それ以上のスイッチレバー52の上方移動は阻止される。この上方移動が阻止された状態がロックオフ状態であって、例えばハンドル部21を把持して電動バリカン1を持ち運ぶ際に、把持するユーザーの手指によって意図せずスイッチレバー52が押し込まれることにより、不意に駆動機構3が起動してしまうことを防止できるので安全である。
図4に示す状態はロックオフ解除状態を示す。この状態は、ユーザーによりロックボタン53が途中まで押し込まれており(図示白抜矢印P)、ロックオフ解除位置にある。この状態では、中間部材54の中作用部542Cにおける摺動面545にスイッチレバー側係合部522が位置する。このため、中間部材54によりスイッチレバー52の移動が阻止されることがないため、ユーザーはスイッチレバー52を押し込むことができる(図8に示す状態)。スイッチレバー52はスイッチレバー付勢部材521により下方に付勢されているので、ユーザーが指を離すと、スイッチレバー52は下方移動してケーシング2から突出した状態に、自動的に復帰する。このように、ロックオフ解除状態では、スイッチ機構5はモーメンタリースイッチとなる。
ユーザーがスイッチレバー52を押し込む際には、中間部材付勢部材546の付勢力によって中間部材54がスイッチレバー52のスイッチレバー側係合部522に対して当接して押しつけられていることから、摩擦抵抗(摺接抵抗)が発生することになる。しかし、中間部材付勢部材546の付勢力は、中間部材54を回動できる大きさで足りるため、小さく設定できる。よって、スイッチレバー52と中間部材54との間で発生する摩擦抵抗も常に小さいものとなる。したがって、スイッチレバー52の押し込み操作が重くなってしまうことはない。このため、スイッチレバー52の操作感が軽快である。また、前述のように、発生する摩擦抵抗が常に小さいものとなることから、当接箇所における摩耗を低減して耐久性を高めることが可能となる。
このロックオフ解除状態では、ユーザーがスイッチレバー52を押し込んだ際に駆動機構3が駆動して、刃物部4を動作させることができる。ユーザーがスイッチレバー52の押し込みを緩めると、スイッチレバー付勢部材521によりスイッチレバー52がケーシング2から押し出される。これに伴い駆動機構3が停止するので、刃物部4の動作が停止する。
スイッチレバー52が押し込まれない状態で、ユーザーが更にロックボタン53を押し込むと(図4及び図5に示す白抜矢印P)、図4に示す状態(ロックオフ解除状態)から図5に示す状態(ロックオン可能状態)に移行する。この図5に示す状態から図7に示す状態(ロックオン状態)まで、ロックボタン53は最も奥まで押し込まれた位置(ロックオン位置)にある。この際、ロックボタン53と共に中間部材54が右方に移動して、図5に示すように第2被係合部544の後方にスイッチレバー側係合部522が位置することになる。前記移行に伴いスイッチレバー側係合部522と側方傾斜面5443とが当接する。これにより中間部材54は、図5に矢印R1で示したように、ロックボタン53の右方への移動に伴いスイッチレバー52から遠ざかる方向(右方から見た場合、反時計回り方向)に移動する。このため、中間部材54がスイッチレバー52の移動を邪魔しないから、スイッチレバー52の移動動作が重くなることを抑制できる。
図5に示す状態にて、ユーザーがスイッチレバー52を押し込むと、スイッチレバー側係合部522は第2被係合部544を乗り越えて上方に移動する。そして、中間部材54が中間部材付勢部材546の付勢力によってスイッチレバー52に近づく方向へ移動(図6の矢印R2の方向(右方から見た場合、時計回り方向)へ移動)して当接し、図6に示す状態となる。また、スイッチレバー52が押し込まれた状態(図8参照)のまま、ユーザーが更にロックボタン53を押し込んでも、図6に示す状態となる。この場合、スイッチレバー側係合部522は上方に移動せずに、中間部材54だけが右方に移動する。
図7に示す状態はロックオン状態を示す。図7に示す状態の前の状態が図6に示す状態である。この状態(図6に示す状態)では、中間部材54の左作用部542Lにおける第2被係合部544の上方にスイッチレバー側係合部522が位置する。このため、ユーザーがスイッチレバー52の押し込みを緩めると、図7に示すように、第2被係合部544の上面5441にスイッチレバー側係合部522が当接するので、それ以上のスイッチレバー52の下方移動は阻止される。この下方移動が阻止された状態がロックオン状態である。
ここで、第2被係合部544における右上部分であって側方傾斜面5443の一部を含む部分には、ロックオン状態保持突起5444が形成されている。ロックオン状態でユーザーがロックボタン53から指を離した場合、左右付勢部材55により付勢された中間部材54は左方に移動しようとする。ところが図7に示すように、ロックオン状態保持突起5444がスイッチレバー側係合部522に当接するので、中間部材54の左方への移動は阻止される。このため、第2被係合部544の上面5441にスイッチレバー側係合部522が当接した状態が維持される。よって、ユーザーがスイッチレバー52及びロックボタン53の両方を押し込む力を指から抜いても駆動機構3が駆動状態を継続するので、特に長時間の剪定作業を行う際に作業に集中できるため利便性が高い。
ここで、従来の特許文献1に示される構成においては、図13に示す、ロックボタン103の突出部106がスイッチレバー102のプレート104が有する貫通孔105に嵌まることでスイッチレバー102を不動とすることによりロックオン状態を維持していた。しかし、突出部106が貫通孔105に嵌まろうとする時、突然ロックボタン103が押し込まれてしまう挙動となるため、ユーザーに違和感を与えてしまい操作感が良くなかった。これに対して本実施形態では、ロックオン状態保持突起5444がスイッチレバー側係合部522に当接するだけでロックオン状態が維持され、特許文献1に示される「嵌まる」構成のように、急に部材が移動する構成は必要ない。よって、ユーザーに違和感を与えてしまうことがなく操作感が良い。
図6に示す状態で、ユーザーがロックボタン53から指を離す、または、図7に示す状態(この状態ではロックボタン53からユーザーの指は離れている)からユーザーがスイッチレバー52を少し押し込んで図6に示す状態にすると、左右付勢部材55により付勢された中間部材54が左方に移動してロックオフ解除状態に復帰する。図8は復帰したロックオフ解除状態を示す。この状態でユーザーが更にスイッチレバー52から指を離すと、最初の状態である、図3に示すロックオフ状態に復帰する。
以上、本実施形態では、ユーザーがハンドル部21を持ったままで特に握り方を変えることなく、ロックオフ解除状態及びロックオン状態を実現できる。このため利便性が高い。
次に、本実施形態の電動バリカン1が備える再起動防止機構7について説明する。なお、図2、図9(A)、図10(A)には、バッテリー6を取り外した状態のバッテリー装着部22が示されている。この再起動防止機構7は、図2に示すようなリンク状とされた操作レバー71を備える。図9(A)に示すように、操作レバー71の前端部71Fは中間部材54に当接する。なお、中間部材54には第1被係合部543から更に後方に突出した再起動防止用突起547が形成されている。図示のように、この再起動防止用突起547は斜め後方を向いた斜面5471を備えており、図9(A)に示すように、この斜面5471に操作レバー71の前端部71Fが当接する。操作レバー71は、操作レバー付勢部材72(72F,72B)により、常に後方に付勢されている。このため、操作レバー71の後端部71Bは、ケーシング2の後部に位置するバッテリー装着部22における空間に突出している。図9(B)は、図7に対応しており、第2被係合部544にスイッチレバー側係合部522が当接した状態である。
図示していないが、本実施形態の電動バリカン1において、バッテリー6の装着は、バッテリー装着部22に対してバッテリー6を上方から差し込むようになされる。バッテリー6の装着途中において、バッテリー6の前面は操作レバー71を押圧する。これに伴い、操作レバー71の前端部71Fが中間部材54を右方に押圧する。これにより、中間部材54が図示反時計回りに回動して図10(A)(B)に示す状態となる。これにより、図9(B)に示すように第2被係合部544の上方にスイッチレバー側係合部522が位置していても、中間部材54の前記回動により、スイッチレバー付勢部材521に付勢されたスイッチレバー52は、図10(B)に示すように下方に移動して駆動オフ位置となる。なお、バッテリー6の前面には凹部が形成されており、バッテリー6の装着完了後に操作レバー71の後端部71Bは凹部に嵌まる。このため、前記中間部材54の押圧は解除され、中間部材54は元の位置(回動していない位置)に戻る。このように本実施形態では、中間部材54が再起動防止機構7の一部を構成している。このため、再起動防止専用の部材を別に設けることに比べ、ケーシング2の内部における占有スペースを縮小できる。また、部品点数の増加を抑制できる。
再起動防止機構7により、仮にスイッチレバー52がロックオン状態でバッテリー切れとなり、そのままバッテリー6がバッテリー装着部22から取り外されたとしても、新しいバッテリー6の装着途中に必ずスイッチレバー52が元に戻って駆動オフ状態になる。このため、バッテリー6の装着直後に不意に駆動機構3が起動してしまうことがないので安全である。
尚、本発明に係る電動工具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、中間部材54がロックボタン53と一体に移動するように構成されていたが、これとは逆に、中間部材54がスイッチレバー52と一体に移動するように構成されることもできる。その実施形態の一例を図11及び図12に示す。なお、機能上同じ部分については、上記実施形態と同じ符号をつけている。この実施形態では、中間部材54が上記実施形態におけるスイッチレバー側係合部522と外観上似た形態であるが、スイッチレバー52の本体に対して所定範囲で回動可能に設けられ、スイッチレバー52の側に位置する中間部材付勢部材546により、ロックボタン53に向かう方向に付勢されている。一方、この実施形態では、ロックボタン53の一部である係合部532が上記実施形態における中間部材54と外観上似た形態であって、ロックボタン53の本体と一体に(回動しないように)形成されている。
なお、上記実施形態ではロックボタン53の移動する方向の軸線と中間部材54の回動軸線とが同一の軸線CL上に存在するものであった。対してこの実施形態では、ロックボタン53の移動する方向の軸線と中間部材54の回動軸線とが平行する関係にある2本の軸線上に別々に存在している。
この実施形態における中間部材54は、ユーザーの操作(押し込み)によるロックボタン53の移動に伴い、ロックボタン53から遠ざかる方向に移動するよう構成される。図面には明示していないが、この実施形態における中間部材54にも、上記実施形態の側方傾斜面5443に相当する傾斜面が形成されている。この傾斜面は、ロックボタン53の一部が当接できる位置に形成されている。ユーザーの操作(押し込み)によるロックボタン53の右方への移動に伴い、この傾斜面により右方への移動に係る力の向きが変換され、中間部材54にロックボタン53から遠ざかる方向へ移動する力を生じさせることができる。このようにして、上記実施形態と同じく、中間部材54がスイッチレバー52の移動を邪魔しないから、スイッチレバー52の移動動作が重くなることを抑制できる。また、図面には明示していないが、この実施形態における中間部材54にも、上記実施形態のロックオン状態保持突起5444に相当する突起が形成されている。
このように、本発明の中間部材54は、スイッチレバー52またはロックボタン53から遠ざかる方向に移動するよう構成され、ユーザーの操作によるロックボタン53の移動に伴って、中間部材54が前記遠ざかる方向への移動がなされるものであれば、種々に変更して実施可能である。
また、上記実施形態では、スイッチレバー52が上下の直線方向に移動可能に構成されていた。しかしこれに限定されず、回動軸を中心として回動可能に構成することもできる。
また、上記実施形態では、中間部材54が軸線CLを中心に回動可能に構成されていた。しかしこれに限定されず、前後の直線方向に移動可能に構成することもできる。