JP6892676B2 - 壁材用接着剤組成物、壁材用接着剤組成物が塗布された壁構造及び壁構造の施工方法 - Google Patents

壁材用接着剤組成物、壁材用接着剤組成物が塗布された壁構造及び壁構造の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する壁材用接着剤組成物、該壁材用接着剤組成物が塗布された壁構造及び該壁構造の施工方法に関するものである。
建物の壁構造では、鋼製の枠材等からなる壁下地材や胴縁に、サイディング等の外装材が固定されている。ビスや釘等の留付材の頭部が外装材表面に埋没するまで外装材表面側から留付材が打ち込まれることで、外装材は壁下地材や胴縁に固定される。また、外装材表面のうち、留付材の頭部の埋没部にパテ材が充填されることで、タッチアップ等の仕上げが施されている。
また、化粧板が室内の壁や天井に設置される場合も、ビスや釘等の留付材の頭部が化粧板表面に埋没するまで化粧板表面側から留付材が打ち込まれることで、化粧板は下地材に固定される。また、化粧板表面のうち、留付材の頭部の埋没部にパテ材が充填されることで、タッチアップ等の仕上げが施されている(特許文献1)。
一方で、外装材や化粧板をより強固に下地材や胴縁に固定するために、上記留付材に加えて、壁材用接着剤組成物が使用されることがある。しかし、壁材用接着剤組成物の硬化時に発生するガスにより、留付材の頭部の埋没部に充填した未硬化のパテ材が押し上げられてしまい、外装材や化粧板の表面の外観を著しく損ねてしまう場合があるという問題があった。特に、鋼製の枠材や合成樹脂製の胴縁等に外装材や化粧板を施工する場合に、上記問題が顕著にみられていた。
特開2002−276127号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、壁材用接着剤組成物の硬化時に、留付材の頭部の埋没部に充填された未硬化のパテ材が、押し上げられることを防止できる壁材用接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明の態様は、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、0.50〜6.0質量%のイソシアネート基を有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である壁材用接着剤組成物である。
上記態様では、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上の比となるように、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)とが配合されている。
本発明の態様は、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、前記水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して前記有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が1.2〜4.0モルである反応生成物であり、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である壁材用接着剤組成物である。
上記態様では、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基のモル数が1.2〜4.0の比にて、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)とを反応させることにより得られる化合物である。
本発明の態様は、前記有機イソシアネート化合物(a)が、芳香族ポリイソシアネート化合物である壁材用接着剤組成物である。
本発明の態様は、前記水酸基含有化合物(b)が、ポリオキシアルキレン系ジオールとポリオキシアルキレン系トリオールとを含有する壁材用接着剤組成物である。
本発明の態様は、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル〜1.0モルである壁材用接着剤組成物である。
本発明の態様は、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)が、オキサゾリジン化合物である壁材用接着剤組成物である。
本発明の態様は、さらに、有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を含有する壁材用接着剤組成物である。
本発明の態様は、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、前記水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して前記有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が2.0〜2.5モルの反応生成物である壁材用接着剤組成物である。
本発明の態様は、壁下地材または胴縁に外装材または化粧板が設けられた壁構造であって、前記壁下地材または胴縁と前記外装材または化粧板との間に、上記壁材用接着剤組成物が塗布され、前記外装材または化粧板が、該外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように取り付けられた留付材によって、前記壁下地材または胴縁に固定され、前記留付材の頭部が陥入した前記外装材または化粧板の部位に、パテ材が設けられている壁構造である。
本発明の態様は、壁構造を構成する外装材または化粧板と壁下地材または胴縁との間に、上記壁材用接着剤組成物を塗布する工程と、前記外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように留付材を取り付けて、前記外装材または化粧板を前記壁下地材または胴縁に固定する工程と、前記留付材の頭部が陥入した前記外装材または化粧板の部位に、パテ材を設ける工程と、を有する外装材または化粧板を有する壁構造の施工方法である。
本発明の態様によれば、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が0.50〜6.0質量%のイソシアネート基を有し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の該活性水素含有官能基の活性水素が0.20モル以上であること、または、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が1.2〜4.0モルにて反応した反応生成物であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の該活性水素含有官能基の活性水素が0.20モル以上であることにより、壁材用接着剤組成物の接着性能を損なうことなく、壁材用接着剤組成物の硬化時に発生するガス量を低減できるので、留付材の頭部の埋没部に充填された未硬化のパテ材が、押し上げられることを防止できる。
本発明の態様によれば、有機イソシアネート化合物(a)が、芳香族ポリイソシアネート化合物であることにより、硬化した壁材用接着剤組成物が優れたゴム弾性をさらに発揮することができる。
本発明の態様によれば、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が0.20モル〜1.0モルであることにより、壁材用接着剤組成物の硬化時に発生するガス量を低減しつつ、壁材用接着剤組成物の接着性能を向上させることができる。
本発明の態様によれば、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)がオキサゾリジン化合物であることにより、壁材用接着剤組成物の貯蔵安定性が向上し、壁材用接着剤組成物の硬化時に発生するガス量をより確実に低減できる。
本発明の態様によれば、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が2.0〜2.5モルの反応生成物であることにより、接着性能と硬化時におけるガス発生量の低減とを、バランスよく向上させることができる。
本発明の壁材用接着剤組成物が塗布された壁構造の例の説明図である。
次に、本発明の壁材用接着剤組成物について、詳細を説明する。本発明の壁材用接着剤組成物は、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、0.50〜6.0質量%のイソシアネート基を有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である。また、本発明の壁材用接着剤組成物は、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、前記水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して前記有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が1.2〜4.0モルである反応生成物であり、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)とを、有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基のモル数を水酸基含有化合物(b)の水酸基のモル数に対して過剰となるモル比にて配合し反応させることにより得られる化合物である。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、硬化成分である。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基の含有量の観点では、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中におけるイソシアネート基の量が0.50〜6.0質量%であり、イソシアネート基のモル数の観点では、水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が1.2〜4.0モルの比率で反応させた反応生成物である。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の含有量は0.50〜6.0質量%の範囲であれば、特に限定されないが、その下限値は、伸び性やゴム弾性をより向上させて優れた接着性能を得る点から1.0質量%が好ましく、2.0質量%がより好ましく、2.5質量%が特に好ましい。一方で、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の上限値は、壁材用接着剤組成物の硬化時における炭酸ガス等のガス発生量をより低減して未硬化のパテ材が押し上げられるのをより確実に防止する点から5.0質量%が好ましく、4.5質量%がより好ましく、4.0質量%が特に好ましい。
また、水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対する有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基のモル数は、1.2〜4.0モルの範囲であれば、特に限定されないが、その下限値は、伸び性やゴム弾性をより向上させて優れた接着性能を得る点から1.5モルが好ましく、2.0モルが特に好ましい。一方で、その上限値は、壁材用接着剤組成物の硬化時における炭酸ガス等のガス発生量をより低減して未硬化のパテ材が押し上げられるのをより確実に防止する点から3.5モルが好ましく、3.0モルがより好ましく、2.5モルが特に好ましい。
有機イソシアネート化合物(a)
有機イソシアネート化合物(a)としては、特に限定されないが、有機ポリイソシアネートが挙げられ、また、必要に応じて使用してもよいイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)変性用として、有機モノイソシアネートが挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭化水素と結合している芳香族ポリイソシアネート、イソシアネート基が脂肪族炭化水素と結合している脂肪族系ポリイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート類(MDI類);2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類(TDI類);フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、これらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたはポリメリックMDI)なども挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、硬化後のゴム弾性に優れている点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、トルエンジイソシアネート類が特に好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用である有機モノイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート等の脂肪族系モノイソシアネートが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基含有化合物(b)
水酸基含有化合物(b)としては、特に限定されないが、例えば、高分子ポリオールが挙げられる。また、必要に応じて使用してもよい鎖延長剤としての、低分子ポリオール、低分子アミノアルコールが挙げられ、また、必要に応じて使用してもよいイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用としての、高分子モノオール、低分子モノオールなどが挙げられる。
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオールなどが挙げられる。
なお、高分子ポリオール、高分子モノオールとは、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000以上のポリオール、モノオールを意味し、低分子ポリオール、低分子モノオール、低分子アミノアルコールとは、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000未満のポリオール、モノオール、アミノアルコールを意味する。
高分子ポリオールの数平均分子量が1,000以上であることにより、硬化後により優れたゴム弾性を得ることができる。高分子ポリオールの数平均分子量の下限値としては、さらにゴム弾性を向上させて優れた接着性能を得る点から1,500が好ましく、2,000が特に好ましい。一方で、その上限値は、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度上昇を防止して、優れた塗工性を得る点から100,000が好ましく、30,000がより好ましく、20,000が特に好ましい。
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸;これらポリカルボン酸のメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステル化合物;これらポリカルボン酸の酸無水物などの1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール;ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000未満のポリアミン);モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコールなどの1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールなどが挙げられる。また、低分子ポリオール、低分子アミノアルコールを開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオールとホスゲンとの脱塩酸反応、または上記低分子ポリオールとジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、例えば、上記ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000未満)多価アルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000未満)多価フェノールの一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合または共重合」を(共)重合という場合がある。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオールなどが挙げられる。また、ポリオキシアルキレン系ポリオールとして、例えば、上記ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。さらに、例えば、上記低分子ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させたポリオールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールのアルコール性水酸基の数は、特に限定されないが、1分子当たり平均2個超が好ましく、1分子当たり平均2個超〜4個がより好ましく、1分子当たり平均2個超〜3個がさらに好ましい。このうち、硬化後の優れた接着性能とゴム弾性の点からポリオキシアルキレン系ジオールとポリオキシアルキレン系トリオールとの混合物が特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールの調製時に使用する触媒としては、例えば、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体などが挙げられる。
また、必要に応じて、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコールを開始剤として、上記したプロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加(共)重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを使用してもよい。
なお、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上が、ポリオキシアルキレンで構成されていることを意味する。従って、残部は、エステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等、他の構造で変性されていてもよい。ポリオキシアルキレンで構成されている部分は50質量%以上であれば、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下または不存在下に共重合したものなどが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。また、鎖延長剤としては、例えば、上記したポリエステル系ポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール、低分子アミノアルコールの他、上記したポリオキシアルキレン系ポリオールであって、数平均分子量が1,000未満のものが挙げられる。
水酸基含有化合物(b)の総不飽和度は、特に限定されないが、0.1meq/g以下が好ましく、0.07meq/g以下がより好ましく、0.04meq/g以下が特に好ましい。また、水酸基含有化合物(b)の分子量分布〔GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕は、特に限定されないが、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度を低減し、かつ硬化後のゴム弾性がより向上する点から1.0〜1.6が好ましく、1.0〜1.3が特に好ましい。
上記した高分子ポリオールのうち、ゴム弾性と接着性能の点からポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、このうち、ポリオキシプロピレン系ポリオールが特に好ましい。上記した各種高分子ポリオールは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の製造方法は、特に限定されず、例えば、ガラス製やステンレス製の反応容器に水酸基含有化合物(b)と有機イソシアネート化合物(a)とを仕込み、必要に応じて反応触媒や有機溶剤を添加し、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気と反応して、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が増粘することがあるので、必要に応じて、窒素ガス置換、窒素ガス気流下などの湿気を遮断した状態で反応を行ってもよい。
水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が湿気等の水分と接触すると、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気等の水分と反応し、尿素結合を形成して硬化する。この硬化の際に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が炭酸ガスを放出する。炭酸ガスの発生は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の含有量が多かったり、硬化促進触媒を使用して硬化速度を高めたりする場合に、特に顕著に現れる。
これに対し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に加え、さらに、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)を配合すると、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気等の水分と反応して炭酸ガスを放出する前に、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)が、湿気等の水分と反応し加水分解することにより、アルコール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基などの活性水素含有官能基を生成(再生)する。さらに、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気等の水分と反応して炭酸ガスを放出する前に、生成(再生)した活性水素含有官能基の活性水素がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応し架橋硬化する。本発明の壁材用接着剤組成物では、上記作用により、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)から炭酸ガスが発生することを防止しつつ、壁材用接着剤組成物が硬化すると考えられる。従って、本発明の壁材用接着剤組成物では、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)は、潜在硬化剤として機能する。
本発明の壁材用接着剤組成物では、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上となるように、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)が配合されている。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対する上記した活性水素含有官能基の活性水素のモル数は0.20モル以上であれば、特に限定されないが、その下限値は、より確実に炭酸ガスの発生を防止する点から0.30モルが好ましく、0.40モルが特に好ましい。なお、選択される、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の化学構造、すなわち、生成する活性水素含有官能基の化学構造の点から、上記した活性水素含有官能基の活性水素のモル数が0.20モル未満でも、壁材用接着剤組成物のガス量を低減できる場合には、上記した活性水素含有官能基の活性水素のモル数の下限値は0.10モルでもよい。一方で、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対する上記した活性水素含有官能基の活性水素のモル数の上限値は、特に限定されないが、硬化後の優れた接着性能とゴム弾性の点から4.0モルが好ましく、2.0モルがより好ましく、1.0モルが特に好ましい。
水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)としては、例えば、ポリオールのケイ酸エステル、第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物のケチミン化合物、アルジミン化合物、オキサゾリジン化合物等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、壁材用接着剤組成物の貯蔵安定性と硬化時におけるガス発生量の低減に優れている点から、ポリオールのケイ酸エステル、オキサゾリジン化合物が好ましく、オキサゾリジン化合物が特に好ましい。
ポリオールのケイ酸エステルは、1価アルコールのアルコキシシラン化合物とのアルコール交換反応により、ケチミン化合物はアミノ基を有する化合物とケトン類との脱水反応により、アルジミン化合物はアミノ基を有する化合物とアルデヒド類との脱水反応により、オキサゾリジン化合物はジエタノールアミンなどのアミノアルコールとアルデヒド類やケトン類との脱水反応により、それぞれ、合成することができる。
ポリオールのケイ酸エステルは、例えば、1価アルコールのケイ酸エステル(アルコキシシリル化合物)をポリオールでアルコール置換し、副生する1価アルコールを溜去する方法や、テトラクロロシラン、アルキルトリクロロシラン等のケイ酸のハロゲン化合物とポリオールとを脱ハロゲン化水素する方法により合成することができる。
ポリオールのケイ酸エステルに使用するポリオールとしては、分子内にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等の1級水酸基のみからなるポリオール;プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、グリセリン、ポリオキシプロピレングリコール等の1級と2級のアルコール性水酸基からなるポリオールなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、炭酸ガス発生の抑制効果が良好な点から、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。
1価アルコールのケイ酸エステルとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;トリメチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン等のトリアルキルモノアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシランカップリング剤などを挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、炭酸ガス発生の抑制性能がより優れている点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上有する化合物である。このうち、オキサゾリジン環を2〜6個有する化合物が好ましい。オキサゾリジン化合物は、大気中の水分(湿気)と反応して加水分解し、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能する。また、オキサゾリジン化合物と水分との反応により生成(再生)する2級アミノ基と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と、の反応速度は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と水分との反応速度よりも速いので、硬化速度が向上する効果も発揮する。
オキサゾリジン化合物としては、例えば、水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と有機イソシアネート化合物のイソシアネート基との反応生成物であるウレタン結合含有オキサゾリジン化合物、水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基とカルボン酸化合物のカルボキシル基との反応生成物であるエステル結合含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられる。このうち、製造の容易性と粘度が低い点からウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、例えば、水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2/1.0の範囲、好ましくは0.95〜1.05/1.0の範囲となるように、水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物と有機イソシアネート化合物を配合し、必要に応じて有機溶剤を添加し、50〜100℃の温度で反応して得られるものが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物としては、例えば、上記したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成に用いられる有機イソシアネート化合物が挙げられる。このうち、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させて、壁材用接着剤組成物の塗工性を向上させる点から、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、このうち、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物としては、例えば、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、イソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルへキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。
これらのうち、水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、壁材用接着剤組成物の硬化時におけるガス発生量をより低減できる点から、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物とアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、アルデヒド化合物のうち、イソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物の具体例としては、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、例えば、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対してアルデヒドまたはケトンのカルボニル基1.0モル以上、好ましくは1.0〜1.5モル、特に好ましくは1.0〜1.2モルとなるように配合し、トルエン、キシレン等の有機溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。
エステル結合含有オキサゾリジン化合物は、例えば、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸化合物またはポリカルボン酸化合物の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
オキサゾリジンシリルエーテルは、例えば、上記した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得ることができる。
なお、オキサゾリジン化合物は、分子内に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と5〜35℃で反応する官能基を実質的に有していない。この実質的に有していないとは、上記したウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成において、モル比の選択により少量の活性水素が分子内に残存する場合があるが、本発明の目的を達成する上で、有していないとしても差し支えないことを意味する。
有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)
本発明の壁材用接着剤組成物では、必要に応じて、さらに、有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を配合してもよい。有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)をさらに配合することにより、本発明の壁材用接着剤組成物に搖変性を付与することができる。従って、本発明の壁材用接着剤組成物を垂直な部材に塗布しても垂れが生じることを防止でき、部材間に塗布して張り合わせた際に部材間のずれが生じるのを防止でき、また平板に塗布しても流出を防止して厚塗りが可能となる。
有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)は、公知の方法で製造することができる。例えば、微粉末状の炭酸カルシウムは、石灰石を焼成炉で焼成し、炭酸ガスと生石灰に分解した後、生石灰に水を加えて水化精製して石灰乳とし、炭酸ガスを吹き込んで反応させるか、または炭酸ガス気流中に石灰乳を噴霧し向流若しくは並流のかたちで接触させて製造することができる(一般に軽質炭酸カルシウムと称される。)。次いで、揺変性の付与と二次凝集の防止のために、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸や樹脂酸の金属塩または脂肪酸エステルなどで、得られた微粉末状炭酸カルシウムの表面を処理して、脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムや樹脂酸で表面処理された炭酸カルシウムなどの有機化合物で表面処理された炭酸カルシウムを得ることができる。ここで、脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸等の炭素数10〜25の脂肪酸が挙げられ、金属塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはテルミニウムの塩が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、白艶華CC、CCR、R06、VIGOT−10、VIGOT−15、STAVIGOT−15A(以上、白石工業社製)、NCC#3010、NCC#1010(以上、日東粉化工業社製)等が挙げられる。また、天然の炭酸カルシウムを粉砕して微粉末状にしたものを、上記した脂肪酸金属塩や樹脂酸金属塩で処理したもの(一般に重質炭酸カルシウムと称される。)を使用してもよい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.01〜0.5μmが好ましく、0.03〜0.15μmが特に好ましい。有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)のBET比表面積は、特に限定されないが、例えば、5〜200m/gが好ましく、10〜60m/gが特に好ましい。平均粒子径が0.01μmを下回るか、またはBET比表面積が200m/gを超えると、壁材用接着剤組成物の粘度が上がって優れた作業性が得られない場合があり、平均粒子径が0.5μmを上回るか、またはBET比表面積が5m/gを下回ると、優れた揺変性が付与されない場合ある。
有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、優れた揺変性を付与する点から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して5.0質量部が好ましく、30質量部が特に好ましい。一方で、その上限値は、優れた作業性と塗工性を得る点から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して100質量部が好ましく、80質量部が特に好ましい。
本発明の壁材用接着剤組成物では、必要に応じて、さらに、各種添加剤を配合することができる。各種添加剤としては、例えば、硬化促進剤、充填剤(有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を除く)、揺変性付与剤(有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を除く)、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。
硬化促進剤は、水分と反応して活性水素含有基を生成する化合物(B)が水分と反応し加水分解して活性水素含有官能基を生成(再生)するのを促進させ、または、生成(再生)した活性水素含有官能基の活性水素とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させて、本発明の壁材用接着剤組成物の硬化速度を向上させるために添加する。
水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)が、水分と反応し加水分解して活性水素含有官能基を生成(再生)するのを促進させる硬化促進剤としては、例えば、金属系触媒、有機カルボン酸系化合物、燐酸エステル系化合物、p−トルエンスルホニルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応生成物などが挙げられる。また、生成(再生)した活性水素含有官能基の活性水素とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させる硬化促進剤としては、例えば、ジルコニウム、ビスマス、鉄、コバルト、ニッケルなどの各種金属のキレート化合物などが挙げられる。
金属系触媒としては、例えば、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属アルコキシド;亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸等の後述する有機カルボン酸系化合物との塩(例えば、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫等);ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物;有機金属と後述する有機カルボン酸系化合物との塩(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等)などが挙げられる。
有機カルボン酸系化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸;マレイン酸等のα、β−不飽和カルボン酸;フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;これらの酸無水物などが挙げられる。
燐酸エステル系化合物としては、例えば、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル化合物;亜燐酸エステル化合物としては、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜燐酸トリエステル化合物;ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜燐酸ジエステル化合物などが挙げられる。
p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応生成物は、本発明の壁材用接着剤組成物に配合する前にp−トルエンスルホニルイソシアネートと水分とを予め反応させたものでも、p−トルエンスルホニルイソシアネートを本発明の壁材用接着剤組成物に配合している間に水分を添加して反応させたものでも、本発明の壁材用接着剤組成物中に存在する水分と反応させたものでも、本発明の壁材用接着剤組成物に配合した後、貯蔵中に、後述する他の添加剤中に含まれる水分と反応したものでもよい。
各種金属のキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムアセチルアセトナート、アセチルアセトンビスマス、鉄アセチルアセトナート、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンニッケルなどが挙げられる。
上記した各種硬化促進剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化促進剤の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、硬化促進の効果を確実に得る点から0.001質量部が好ましく、0.01質量部がより好ましく、0.1質量部が特に好ましい。一方で、その上限値は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、本発明の壁材用接着剤組成物の優れた貯蔵安定性や硬化物の優れた耐水性及び耐熱性を得る点から10質量部が好ましく、7.5質量部がより好ましく、5.0質量部が特に好ましい。
充填剤(有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を除く)としては、例えば、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカなどの合成シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤;ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンなどの無機系バルーン状充填剤などの無機系充填剤;上記無機系充填剤の表面を脂肪酸などの有機物で処理した充填剤;木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性または熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレン粉末等の有機系粉末状充填剤;ポリエチレン中空体、サランマイクロバルーンなどの有機系バルーン状充填剤などの有機系充填剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。充填剤の粒径は、特に限定されないが、塗工性の点から0.01〜1,000μmが好ましい。
揺変性付与剤(有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を除く)としては、例えば、コロイダルシリカなどの無機揺変性付与剤、有機ベントナイト、脂肪酸アマイドなどの有機揺変性付与剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着性向上剤としては、例えば、カップリング剤が挙げられる。カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などのカップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができる。このうち、接着性能の点からシラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が好ましい。
シラン系カップリング剤としては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する分子量500以下、好ましくは400以下の化合物、上記シラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
貯蔵安定性改良剤としては、壁材用接着剤組成物中に存在する水分と反応するビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、p−トルエンスルホニルイソシアネートは、上記の通り、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)成分を使用したときの硬化促進剤としても作用するので、特に好ましく、ビニルトリメトキシシランは、上記の通り、接着性向上剤としても作用するので、特に好ましい。
着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記した、硬化促進剤、充填剤(有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を除く)、揺変性付与剤(有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を除く)、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)及び着色剤の合計の配合量は、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0〜500質量部が好ましく、5〜300質量部が特に好ましい。
次に、本発明の壁材用接着剤組成物が塗布された壁構造の例について、図面を用いながら説明する。図1に示すように、外装材であるサイディング20は、本発明の壁材用接着剤組成物50を介して、留付材であるビス30によって、胴縁10に固定されている。サイディング20には、ビス30の取り付け位置に、ビス30の径よりも少し大きな貫通孔22が設けられている。貫通孔22の上端部には、逆円錐形のザグリ凹部24が形成されている。ビス30は、サイディング20の表面側から貫通孔22へ挿入されて、本発明の壁材用接着剤組成物50が表面に塗布されている胴縁10にねじ込まれている。ビス30が貫通孔22を介して胴縁10にねじ込まれることで、サイディング20が胴縁10に締め付け固定されている。また、ビス30の頭部32は、ザグリ凹部24の内部空間に配置されており、頭部32の上方には、ザグリ凹部24の内面に囲まれた空間部が形成されている。
ザグリ凹部24の内部空間のうち、ザグリ凹部24の内面に囲まれた空間部には、パテ材40が充填されている。パテ材40は、ザグリ凹部24の上縁まで充填されていて、ザグリ凹部24とサイディング20との間を隙間なく塞いでいる。従って、サイディング20の胴縁10に対する固定位置、すなわち、サイディング20の貫通孔22部位の外観は、パテ材40のみが露出し、ビス30の頭部32は完全に隠れた状態となっている。パテ材40は、ザグリ凹部24への充填時にはペースト状なので、ザグリ凹部24からはみ出した部分はザグリ凹部24の上縁に合わせてヘラなどでかきとり成形することで、サイディング20表面と同一面上に一体化した、平滑な表面となっている。なお、パテ材40は、成形後に空気中の水分(例えば、湿気)等と反応して硬化し、タッチアップ等により仕上げられる。
次に、本発明の壁材用接着剤組成物を壁構造に施工する方法の例について、以下に説明する。まず、外装材または化粧板の裏面に、本発明の壁材用接着剤組成物を塗工する。そして、本発明の壁材用接着剤組成物を塗工した外装材または化粧板の裏面を壁下地材または胴縁の表面に配置する。次に、外装材または化粧板に設けられたザグリ凹部を有する貫通孔に、外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように留付材(例えば、ビス)を挿入し、留付材を壁下地材中または胴縁中までねじ込んで、外装材または化粧板を壁下地材または胴縁に固定する。次に、ザグリ凹部の内面に囲まれた空間部に、パテ材を充填し、ザグリ凹部からはみ出したパテ材をザグリ凹部の上縁に合わせてヘラなどでかきとり成形することで、本発明の壁材用接着剤組成物を塗工した壁構造を施工できる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1(水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B))の合成
合成例1
攪拌機、温度計、窒素シール管、エステル管及び加熱・冷却装置のついた反応容器に、窒素ガスを流しながら、ジエタノールアミン(分子量105)を420g、トルエンを177g及びイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を317g仕込み、攪拌しながら加温し、副生する水(71.9g)を系外に除去しながら、110〜150℃で還流脱水反応を行った。水の留出が認められなくなった後、さらに減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。次いで、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン636gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を336g加え、80℃で8時間加熱し、滴定による実測NCO含有量が0.0質量%になった時点で反応終了とし、分子内にオキサゾリジン環を2個有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1(分子量487)を得た。この得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は、常温で液体であった。
壁材用接着剤組成物の調製
実施例1
攪拌棒、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き混練・反応容器に、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール3021、数平均分子量3,300)を200gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学ポリウレタン社製、MN−4,000、数平均分子量4,000)を110g仕込み、次いで、攪拌しながら脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウム(白石工業社製白艶華CCR)150g及び炭酸カルシウム400gを仕込み、混練りして均一に分散させた。このときの脱水前のカールフィッシャー法による水分は0.10質量%であった。次いで、酸化カルシウム50gを仕込んだ後、90〜110℃で1時間、攪拌・加熱し脱水操作を行った後、40〜50℃に冷却して脱水混合物を得た。脱水後の水分は0.01質量%であった。次いで、窒素ガスを流しながら、トルエンジイソシアネート(東ソー社製、コロネートT−80、分子量174.2)を42.5g及び反応触媒としてオクチル酸ジルコニウム0.1gを攪拌しながら仕込んだ後、加温し70〜75℃で1時間反応させた。その後、常温に冷却して3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX 1010、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])3g及び上記ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を21g仕込み、均一になるまで30分間混練りし、さらに減圧脱泡し、容器に詰め、密封して壁材用接着剤組成物A−1を調製した。得られた壁材用接着剤組成物A−1は、調製直後における、B型回転粘度計を用い、25℃において、No.7のローターで毎分10回転における粘度が、290Pa・sであり、外観が乳白色ペースト状の組成物であった。
比較例1
トルエンジイソシアネートを80g用いた以外は実施例1と同様にして、壁材用接着剤組成物B−1を調製した。得られた壁材用接着剤組成物B−1は、調製直後における、B型回転粘度計を用い、25℃において、No.7のローターで毎分10回転における粘度が、179Pa・sであり、外観が乳白色ペースト状の組成物であった。
比較例2
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を1g用いた以外は実施例1と同様にして、壁材用接着剤組成物B−2を調製した。得られた壁材用接着剤組成物B−2は、調製直後における、B型回転粘度計を用い、25℃において、No.7のローターで毎分10回転における粘度が、329Pa・sであり、外観が乳白色ペースト状の組成物であった。
試験
(外装材の作成)
サイディングを縦70mm×横200mmに切り出した。中央部及び左右に6mm間隔で直径4mmのビス穴をあけ、ビス穴と同じ場所の外装材表面側に直径9mm、深さ5mmのザグリ凹部を形成したものを外装材とした。なお、下記表1の外装材Aはケイミュー株式会社製、エクセレージ・親水セラ、外装材Bはニチハ株式会社製、モエンサイディング・Mである。
(胴縁の作成)
合成樹脂製胴縁(セイキ販売社製、SK胴縁)を厚さ15mm×縦70mm×横200mmに切り出し、胴縁とした。
(試験体の作製)
外装材裏面に、ビス穴の中心部を通り裏面を横断するように、幅6mm、厚み2mmで、上記のように調製した壁材用接着剤組成物を塗布した。塗布後、直ちに外装材と胴縁を張りあわせ、外装材表面よりビス穴を通してビス(頭径6mm、ネジ径4mm、全長30mm)の頭部がザグリ凹部の底面に接するまで締め付けて、外装材を胴縁に固定した。その後、ザグリ凹部にパテ材(オート化学工業社製、オートンアドハー3500)を隙間なく充填し、パテ材をザグリ凹部の上縁に合わせてヘラでかきとり、外装材表面にそって成形したものを試験体とした。
(試験方法)
上記のように作製した試験体を、作製後、直ちに50℃−80%RHの恒温恒湿槽で3日間養生し、恒温恒湿槽から取り出した後、パテ材の膨れの高さをスケールにて測定した。結果を下記表1に示す。なお、表1に示す上記高さの単位はmmである。
Figure 0006892676
表1から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが約3.3質量%のイソシアネート基を有し、且つイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1.0モルに対して、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が約0.6モルである壁材用接着剤組成物A−1を用いた実施例1では、外壁材A、Bいずれも、中央部及び左右とも、パテ材の膨れは「0」であり、目立ったパテ材の膨れは認められなかった。なお、実施例1で用いたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が約2.3モルの反応生成物である。
一方で、約7.6質量%のイソシアネート基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを配合した壁材用接着剤組成物B−1を用いた比較例1では、外壁材A、Bのいずれも、中央部と左のパテ材の膨れは「1」、右のパテ材の膨れは「2」となり、パテ材の膨れを防止することはできなかった。なお、比較例1で用いたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が約4.4モルの反応生成物である。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1.0モルに対して、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が約0.03モルである壁材用接着剤組成物B−2を用いた比較例2では、外壁材Aにて、中央部と左のパテ材の膨れが「1」、外壁材Bにて、中央部と右のパテ材の膨れが「1」となり、パテ材の膨れを防止することはできなかった。
本発明の壁材用接着剤組成物は、その硬化時に、留付材の頭部の埋没部に充填された未硬化のパテ材が、押し上げられることを防止できるので、特に、優れた外観が要求される外装材を施工する分野で利用価値が高い。

Claims (10)

  1. 壁下地材または胴縁に外装材または化粧板が設けられた壁構造であって、
    前記壁下地材または胴縁と前記外装材または化粧板との間に、壁材用接着剤組成物が塗布され、
    前記外装材または化粧板が、該外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように取り付けられた留付材によって、前記壁下地材または胴縁に固定され、
    前記留付材の頭部が陥入した前記外装材または化粧板の部位に、パテ材が設けられている壁構造であり、
    前記壁材用接着剤組成物が、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、0.50〜6.0質量%のイソシアネート基を有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である、壁構造
  2. 壁下地材または胴縁に外装材または化粧板が設けられた壁構造であって、
    前記壁下地材または胴縁と前記外装材または化粧板との間に、壁材用接着剤組成物が塗布され、
    前記外装材または化粧板が、該外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように取り付けられた留付材によって、前記壁下地材または胴縁に固定され、
    前記留付材の頭部が陥入した前記外装材または化粧板の部位に、パテ材が設けられている壁構造であり、
    前記壁材用接着剤組成物が、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、前記水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して前記有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が1.2〜4.0モルである反応生成物であり、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である、壁構造
  3. 前記有機イソシアネート化合物(a)が、芳香族ポリイソシアネート化合物である請求項1または2に記載の壁構造
  4. 前記水酸基含有化合物(b)が、ポリオキシアルキレン系ジオールとポリオキシアルキレン系トリオールとを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の壁構造
  5. 前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル〜1.0モルである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の壁構造
  6. 前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)が、オキサゾリジン化合物である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の壁構造
  7. さらに、有機化合物で表面処理された炭酸カルシウム(C)を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の壁構造
  8. 前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、前記水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して前記有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が2.0〜2.5モルの反応生成物である請求項2に記載の壁構造
  9. 壁構造を構成する外装材または化粧板と壁下地材または胴縁との間に、壁材用接着剤組成物を塗布する工程と、
    前記外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように留付材を取り付けて、前記外装材または化粧板を前記壁下地材または胴縁に固定する工程と、
    前記留付材の頭部が陥入した前記外装材または化粧板の部位に、パテ材を設ける工程と、を有する外装材または化粧板を有する壁構造の施工方法であり、
    前記壁材用接着剤組成物が、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、0.50〜6.0質量%のイソシアネート基を有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である、壁構造の施工方法。
  10. 壁構造を構成する外装材または化粧板と壁下地材または胴縁との間に、壁材用接着剤組成物を塗布する工程と、
    前記外装材または化粧板の表面に対して頭部が陥入するように留付材を取り付けて、前記外装材または化粧板を前記壁下地材または胴縁に固定する工程と、
    前記留付材の頭部が陥入した前記外装材または化粧板の部位に、パテ材を設ける工程と、を有する外装材または化粧板を有する壁構造の施工方法であり、
    前記壁材用接着剤組成物が、有機イソシアネート化合物(a)と水酸基含有化合物(b)との反応生成物であるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)と、を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、前記水酸基含有化合物(b)の水酸基1.0モルに対して前記有機イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基が1.2〜4.0モルである反応生成物であり、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1.0モルに対して、前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(B)の、水分と反応して生成する活性水素含有官能基の活性水素が、0.20モル以上である、壁構造の施工方法。
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