JP6892043B1 - トランス素子及び通信端末装置 - Google Patents

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Abstract

トランス素子は、積層体に形成され、第1コイル(L1)と、第2コイル(L2)と、を備える。第1コイル(L1)は、複数の基材層に形成されて直列接続された第1導体パターン(P1)及び第2導体パターン(P2)を含み、第2コイル(L2)は、複数の基材層に形成されて直列接続された第3導体パターン(P3)及び第4導体パターン(P4)を含む。第2導体パターン(P2)と第3導体パターン(P3)とは積層体の積層方向において対向し、積層方向から視て、第1コイル(L1)のコイル開口及び第2コイル(L2)のコイル開口は互いに重なる部分を有し、第1コイル(L1)及び第2コイル(L2)によりオートトランスが構成される。

Description

本発明は、インピーダンス変換回路等に用いられるトランス素子及びそれを備えた通信端末装置に関する。
特許文献1には、インピーダンス変換素子として用いられるトランス素子が示されている。この特許文献1では、2つのトランスを並列接続させたオートトランス構造であって、第1のトランスを形成する2つのコイル(L1、L2)と第2のトランスを形成する2つのコイル(L3、L4)の積層順に特徴をもたせることによって、インピーダンス変換比を定める手法がとられている。具体的には、コイルの積層構造において、各層のパターンはそれぞれ約1ターンずつ巻回され、並列部を設けることで、インダクタンスの大きさを調整している。
国際公開第2015/068614号
特許文献1に示されているように、複数のコイルが積層されたトランス素子においては、各コイルの各層の面方向に位置ずれ(以降、単に「コイルの積層ずれ」という。)が避けられない。この各コイルの積層ずれが生じると、各コイルのコイル開口径のばらつき、コイル−コイル間の結合係数のばらつき、コイルーコイル間の浮遊容量のばらつきが発生する。そのため、これらのばらつきによって、トランス素子としての電気的特性がばらついてしまう。
トランスを構成する2つのコイル間の間隔(L1ーL2間、及びL3−L4間)を大きくして、結合係数を低下させると、上記積層ずれによる上記各種ばらつきは低減できるが、トランス素子の部品厚みが大きくなる。また、結合係数の低下に伴って、挿入損失I.L.の劣化を引き起こすことになる。
そこで、本発明の目的は、高い結合係数を維持しながら、電気的特性のばらつきを低減したトランス素子、及びそれを備えた通信端末装置を提供することにある。
(1)本開示の一例としてのトランス素子は、積層体に形成されたトランス素子であって、第1入出力端子と、第2入出力端子と、グランド端子と、第1端が前記第1入出力端子に接続され、第2端が前記第2入出力端子に接続される第1コイルと、前記第1コイルと磁界結合し、第3端が前記グランド端子に接続され、第4端が前記第2入出力端子に接続される第2コイルと、を備える。
前記第1コイルは、複数の基材層に形成されて直列接続された第1導体パターン及び第2導体パターンを含み、
前記第2コイルは、複数の基材層に形成されて直列接続された第3導体パターン及び第4導体パターンを含み、
前記第2導体パターンと前記第3導体パターンとは前記積層体の積層方向において対向し、
前記積層方向から視て、前記第1コイルのコイル開口及び前記第2コイルのコイル開口は互いに重なる部分を有し、
前記第1コイル及び前記第2コイルによりオートトランスが構成され、
前記積層体は、前記積層方向から視て第1方向に平行な二辺と第2方向に平行な二辺を有する矩形状であり、
前記第1方向又は前記第2方向の少なくとも一方において、前記第2導体パターンの対向距離は、前記第1導体パターンの対向距離よりも小さく、
前記第1方向又は前記第2方向の少なくとも一方において、前記第3導体パターンの対向距離は、前記第4導体パターンの対向距離よりも小さく、
前記第1方向又は前記第2方向の少なくとも一方において、前記第3導体パターンの対向距離は、前記第2導体パターンの対向距離よりも小さい。
(2)本開示の一例としての通信端末装置は、高周波信号を送受信するアンテナと、前記アンテナに対する給電回路と、前記アンテナと前記給電回路との間に接続されたインピーダンス変換回路と、を備えた通信端末装置であって、前記インピーダンス変換回路を上記のトランス素子で構成する。
本発明によれば、高い結合係数を維持しながら、電気的特性のばらつきを低減したトランス素子、及びそれを備えた通信端末装置が得られる。
図1は第1の実施形態に係るトランス素子101の斜視図である。 図2はトランス素子101の分解平面図である。 図3はトランス素子101の回路図である。 図4(A)、図4(B)は、第1コイルL1の導体パターンについて、その積層ずれとコイル開口との関係を示す図である。 図5(A)、図5(B)は、比較例としての、第1コイルL1の導体パターンについての積層ずれとコイル開口及び浮遊容量との関係を示す図である。 図6はトランス素子101の等価回路図である。 図7は第2の実施形態に係るトランス素子102の斜視図である。 図8はトランス素子102の分解平面図である。 図9はトランス素子102の正面図である。 図10はトランス素子102の回路図である。 図11はトランス素子102の各コイルのコイル開口を鎖交する磁束の概念図である。 図12はトランス素子102の挿入損失の周波数特性を示す図である。 図13は第3の実施形態に係る携帯電話端末等の通信端末装置の構成を示す図である。
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上、複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るトランス素子101の斜視図である。トランス素子101は、直方体形状の積層体10に形成されたトランス素子であって、第1入出力端子T1と、第2入出力端子T2と、グランド端子GNDと、を備える。図1中の端子NCは空き端子である。
図2はトランス素子101の分解平面図である。トランス素子101は、第1コイルL1と第2コイルL2を備える。第1コイルL1の第1端E1は第1入出力端子T1に接続され、第2端E2は第2入出力端子T2に接続されている。第2コイルL2の第3端E3はグランド端子GNDに接続されていて、第2コイルL2の第4端E4は第2入出力端子T2に接続されている。図2中の破線は層間接続導体による接続関係を示している。
第1コイルL1は、複数の基材層に形成されて直列接続された第1導体パターンP1及び第2導体パターンP2を含む。第2コイルL2は、複数の基材層に形成されて直列接続された第3導体パターンP3及び第4導体パターンP4を含む。
第2導体パターンP2と第3導体パターンP3とは積層体10の積層方向(Z軸方向)において対向する。積層方向から視て、第1コイルL1のコイル開口及び第2コイルL2のコイル開口は互いに重なる部分を有し、第1コイルL1と第2コイルL2とは磁界結合する。
図3はトランス素子101の回路図である。第1コイルL1と第2コイルL2との磁界結合の極性は図中にドットマークで示すとおりであり、第1コイルL1及び第2コイルL2によりオートトランスが構成されている。
ここで、第1コイルL1及び第2コイルL2を構成する各導体パターンの積層ずれとトランス素子101の電気的特性のばらつきとに関して説明する。
図1、図2に示したように、積層体10は、積層方向から視て第1方向に平行な二辺と第2方向に平行な二辺を有する矩形状であり、第1方向又は第2方向の少なくとも一方において、第2導体パターンP2の対向距離は、第1導体パターンP1の対向距離よりも小さい。図2に示すように、X軸方向(第1方向)に沿った、第2導体パターンP2の対向距離をWb2、第1導体パターンP1の対向距離をWb1で表すと、Wb2<Wb1の関係にある。また、Y軸方向(第2方向)に沿った、第2導体パターンP2の対向距離をWa2、第1導体パターンP1の対向距離をWa1で表すと、Wa2<Wa1の関係にある。また、言い換えれば、第2導体パターンP2の第1方向に平行な最長の辺の長さは、第1導体パターンP1の第1方向に平行な最長の辺の長さより小さく、第2導体パターンP2の第2方向に平行な最長の辺の長さは、第1導体パターンP1の第2方向に平行な最長の辺の長さより小さい。
同様に、互いに対向する二辺に沿った、第3導体パターンP3の対向距離は、第4導体パターンP4の対向距離よりも小さい。図2に示すように、X軸方向に沿った、第3導体パターンP3の対向距離をWa3、第4導体パターンP4の対向距離をWa4で表すと、Wa3<Wa4の関係にある。言い換えれば、第3導体パターンP3の第2方向に平行な最長の辺の長さは、第4導体パターンP4の第2方向に平行な最長の辺の長さより小さい。
さらに、二辺に沿った、第3導体パターンP3の対向距離は、第2導体パターンP2の対向距離よりも小さい。図2に示すように、X軸方向に沿った、第3導体パターンP3の対向距離をWb3、第2導体パターンP2の対向距離をWb2で表すと、Wb3<Wb2の関係にある。また、Y軸方向に沿った、第3導体パターンP3の対向距離をWa3、第2導体パターンP2の対向距離をWa2で表すと、Wa3<Wa2の関係にある。言い換えれば、第3導体パターンP3の第1方向に平行な最長の辺の長さは、第2導体パターンP2の第1方向に平行な最長の辺の長さより小さく、第3導体パターンP3の第2方向に平行な最長の辺の長さは、第2導体パターンP2の第2方向に平行な最長の辺の長さより小さい。
なお、以上に示した例では、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2とのサイズ関係が、X軸方向についてWb2<Wb1、かつY軸方向ついてWa2<Wa1、となる例を示したが、(Wa2<Wa1,Wb2=Wb1)又は(Wa2=Wa1,Wb2<Wb1)であってもよい。また、第3導体パターンP3と第2導体パターンP2とのサイズ関係が、X軸方向についてWb3<Wb1、かつY軸方向についてWa3<Wa2、となる例を示したが、(Wa3<Wa2,Wb3=Wb1)又は(Wa3=Wa2,Wb3<Wb1)であってもよい。
図4(A)、図4(B)は、第1コイルL1の導体パターンについて、その積層ずれとコイル開口との関係を示す図である。図5(A)、図5(B)は、その比較例としての、第1コイルL1の導体パターンについての積層ずれとコイル開口及び浮遊容量との関係を示す図である。いずれも積層体10のサイズは1.0mm×0.5mm、導体パターンの線幅は50μmである。
図4(A)は第1コイルL1の第1導体パターンP1と第2導体パターンP2との積層ずれが無い状態での平面図である。このとき、コイル開口は0.1375mm2 である。図4(B)は第1コイルL1の第2導体パターンP2が右上方向に25μmずれたときの平面図である。このとき、コイル開口は0.13063mm2 であり、積層ずれによってコイル開口は5.0%減少する。また、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2との対向面積が減少するので、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2との間の浮遊容量は減少する。
図5(A)は、第1コイルL1の第2導体パターンP2の周回経路が第1導体パターンP1の周回経路と一致し、かつ積層ずれが無いときの平面図である。このとき、コイル開口は0.1825mm2 である。図5(B)は第1コイルL1の第2導体パターンP2が右上方向に25μmずれたときの平面図である。このとき、コイル開口は0.17063mm2 であり、積層ずれによってコイル開口は6.5%減少する。
このように、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2とのサイズ関係が、Wa2<Wa1かつWb2<Wb1、であるので、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2とが斜め方向にずれても、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2とによるコイル開口の面積の変化は小さい。もちろん、X方向のずれ、Y方向のずれに対しても、それらのすれによるコイル開口の面積の変化は小さい。同様に、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2との対向面積の減少量は小さいので、第1導体パターンP1と第2導体パターンP2との間の浮遊容量の変化は小さい。
図4(A)、図4(B)では、第1コイルL1について示したが、第2コイルL2についても同様である。つまり、図2に示した第2コイルL2を構成する第3導体パターンP3と第4導体パターンP4とのサイズ関係が、Wa3<Wa4の関係にあるので、第3導体パターンP3と第4導体パターンP4とのY方向のずれによるコイル開口の面積の変化は小さい。また、この構造によれば、Wa3>Wa4となる場合に比べて、開口面積が小さくなりすぎず、磁束の通過が確保され、第1コイルL1と第2コイルL2との結合度が確保されやすくなる。
以上に示した導体パターンの構成によって、積層ずれによるコイル開口の変化が小さいので、また、導体パターン間の浮遊容量の変化が小さいので、トランス素子101の電気的特性のばらつきが低減される。
次に、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数に関して説明する。
図2において、第2導体パターンP2の経路長は第1導体パターンP1の経路長より長く、第3導体パターンP3の経路長は第4導体パターンP4の経路長より長い。図2に示す例では、第2導体パターンP2の経路長及び第3導体パターンP3の経路長は約1ターンであり、第1導体パターンP1の経路長及び第4導体パターンP4の経路長は3/4ターンよりも短い。このことは、第2導体パターンP2及び第3導体パターンP3の導体密度が相対的に高く、第1導体パターンP1及び第4導体パターンP4の導体密度が相対的に低いと、言うこともできる。
第2導体パターンP2と第3導体パターンP3とは積層方向に隣接しているので、第2導体パターンP2を含む第1コイルL1と、第3導体パターンP3を含む第2コイルL2との磁界結合は高い。つまり、第1コイルL1と第2コイルL2との結合は、符号だけで表すと、P1−P3間結合、P1−P4間結合、P2−P3間結合、P2−P4間結合の総和であるが、積層間距離の短いP2−P3間結合が最も大きく作用する。そして、第2導体パターンP2及び第3導体パターンP3の導体密度が相対的に高いので、上記構成によって、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数の高いトランス素子が構成される。
図6はトランス素子101の等価回路図である。図3に示したとおり、トランス素子101はオートトランスを構成する。図6に示す等価回路は、トランス素子101を理想トランスITと並列寄生成分PPCと直列寄生成分SPCとに分離した回路である。図6において、変数L1は第1コイルL1のインダクタンス、変数L2は第2コイルL2のインダクタンス、変数Mは第1コイルL1と第2コイルL2との結合による相互インダクタンスである。理想トランスITの変圧比n:1は第1コイルL1と第2コイルL2との巻回数比である。また、変数kは、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数である。
上記並列寄生成分PPCはL1+L2+2Mであり、直列寄生成分SPCは
(1 - k2 )・L1・L2/(L1 + L2 + 2M)である。また、変圧比nは、(L1 + L2+ 2M)/(L2+ M)である。相互インダクタンスMは、k√(L1・L2)である。
図2、図4に示した本実施形態のトランス素子101と比較例としてのトランス素子の第1コイルL1のインダクタンスL1、第2コイルL2のインダクタンスL2、結合係数kは次のとおりである。
――――――――――――――――
本発明 比較例
――――――――――――――――
L1 [nH] 1.97 2.07
L2 [nH] 1.61 1.79
k 0.24 0.15
――――――――――――――――
このように、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数kが高まることによって、相互インダクタンスMが大きくなるので、オートトランスの直列寄生成分SPCが小さくなり、並列寄生成分PPCが大きくなる。そのため、挿入損失が低減される。
なお、以上に示した例では、第1コイルL1及び第2コイルL2を構成する各導体パターンの積層ずれによるトランス素子101の電気的特性のばらつきを低減し、また、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数を高めることで、挿入損失を低減する例を示したが、第1コイルL1及び第2コイルL2の導体パターンの積層方向の距離を広げることで、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数を維持しながら、電気的特性のばらつきを低減する効果を最大化させることもできる。
また、以上には、積層体10の第1方向及び第2方向の両方において、第2導体パターンP2の対向距離が、第1導体パターンP1の対向距離よりも小さい例を示したが、積層体10の第1方向又は第2方向の少なくとも一方において、第2導体パターンP2の対向距離が、第1導体パターンP1の対向距離よりも小さい構造であってもよい。
また、以上には、積層体10の第2方向において、第3導体パターンP3の対向距離が、第4導体パターンP4の対向距離よりも小さい例を示したが、積層体10の第1方向において、第3導体パターンP3の対向距離が、第4導体パターンP4の対向距離よりも小さい構造であってもよい。また、積層体10の第1方向及び第2方向の両方において、第3導体パターンP3の対向距離が、第4導体パターンP4の対向距離よりも小さい構造であってもよい。
また、以上には、積層体10の第1方向及び第2方向の両方において、第3導体パターンP3の対向距離が、第2導体パターンP2の対向距離よりも小さい例を示したが、積層体10の第1方向又は第2方向の少なくとも一方において、第3導体パターンP3の対向距離が、第2導体パターンP2の対向距離よりも小さい構造であってもよい。
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、第1コイルL1及び第2コイルL2がそれぞれ複数個あるトランス素子について例示する。
図7は第2の実施形態に係るトランス素子102の斜視図である。トランス素子102は、直方体形状の積層体10に形成されたトランス素子であって、第1入出力端子T1と、第2入出力端子T2と、グランド端子GNDと、を備える。図7中の端子NCは空き端子である。
図8はトランス素子102の分解平面図である。図9はトランス素子102の正面図である。トランス素子102は、第1コイルL11と第2コイルL12とによる第1のトランスと、第1コイルL21と第2コイルL22とによる第2のトランスと、を備える。
第1コイルL11の第1端E11は第1入出力端子T1に接続され、第2端E12は第2入出力端子T2に接続されている。第2コイルL12の第3端E13はグランド端子GNDに接続されていて、第2コイルL12の第4端E14は第2入出力端子T2に接続されている。同様に、第1コイルL21の第1端E21は第1入出力端子T1に接続されていて、第2端E22は第2入出力端子T2に接続されている。第2コイルL22の第3端E23はグランド端子GNDに接続されていて、第2コイルL22の第4端E24は第2入出力端子T2に接続されている。図8中の破線は層間接続導体による接続関係を示している。
第1コイルL11は、複数の基材層に形成されて直列接続された第1導体パターンP11及び第2導体パターンP12を含む。第2コイルL12は、複数の基材層に形成されて直列接続された第3導体パターンP13及び第4導体パターンP14を含む。同様に、第1コイルL21は、複数の基材層に形成されて直列接続された第1導体パターンP21及び第2導体パターンP22を含む。第2コイルL22は、複数の基材層に形成されて直列接続された第3導体パターンP23及び第4導体パターンP24を含む。
第1導体パターンP21と第2導体パターンP12とによる第1コイルL21の構成は、第1導体パターンP11と第2導体パターンP12とによる第1コイルL11の構成と同じである。また、第3導体パターンP23と第4導体パターンP24とによる第2コイルL22の構成は、第3導体パターンP13と第4導体パターンP14とによる第2コイルL12の構成と同じである。
第2の実施形態に係るトランス素子102は、第1の実施形態で示した第1コイルL1と第2コイルL2とによるトランスを2組備える。
図10はトランス素子102の回路図である。第1コイルL11と第1コイルL21とは並列接続されていて、第2コイルL12と第2コイルL22とは並列接続されている。第1コイルL11と第2コイルL12との磁界結合、及び第1コイルL21と第2コイルL22との磁界結合の極性は図中にドットマークで示すとおりであり、第1コイルL11及び第2コイルL12により第1のオートトランスが構成されていて、第1コイルL21及び第2コイルL22により第2のオートトランスが構成されている。
図11はトランス素子102の各コイルのコイル開口を鎖交する磁束の概念図である。図11において磁束φで示すように、トランス素子102は、積層体10の厚み方向の中心ほどコイル開口の径が狭い構造である。つまり、積層体10の天面側と底面側の第1コイルL11,L21のコイル開口径が相対的に大きいことにより、第1コイルL11,L21のコイル開口を鎖交する磁束が第2コイルL12,L22で効果的に遮られることで、第1コイルL11,L21同士の結合が抑えられる。そのことで、Q値の高いトランス素子が得られる。
また、第1コイルL11,L21を構成する導体パターンP11,P12,P21,P22の経路長は相対的に長いが、この導体パターンP11,P12,P21,P22の線幅を大きくしてもよい。そのことで、第1コイルL11,L21の導体損を低減できる。
このように、グランド端子GNDと第2入出力端子T2との間に接続された第2コイルL12,L22のQ値に比べて、第1入出力端子T1と第2入出力端子T2との間に接続された第1コイルL11,L21のQ値を優先的に確保することで、Q値の高いトランス素子が得られる。
図12はトランス素子102の挿入損失の周波数特性を示す図である。図12において、実線はトランス素子102の特性であり、破線は比較例としてのトランス素子の特性である。ここで、比較例としてのトランス素子とは、第1コイルL11,L21及び第2コイルL12,L22を構成する各導体パターンの周回経路が一致している。また、導体パターンP11,P12,P13,P14の疎密の順序、及び導体パターンP24,P23,P22,P21の疎密の順序がトランス素子102とは逆である。
図12から明らかなように、本実施形態のトランス素子102は比較例のトランス素子に比べて挿入損失が約0.2dB〜0.3dB小さい。
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、インピーダンス変換回路としてのトランス素子を備える通信端末装置について例示する。
図13は第3の実施形態に係る携帯電話端末等の通信端末装置の構成を示す図である。この図13では、通信端末装置の筐体内の主要部について表している。筐体内にアンテナ40および回路基板が設けられていて、回路基板にはグランド導体50、インピーダンス変換回路としてのトランス素子101および給電回路30が設けられている。アンテナ40はT分岐型アンテナである。グランド導体50はアンテナ40のイメージ形成用導体として作用、またはアンテナ40とともに放射素子として作用する。
アンテナ40のインピーダンスは例えば20Ω、給電回路30のインピーダンスは50Ωであり、トランス素子101は2.5:1の比でインピーダンス変換する。
本実施形態によれば、低挿入損失で、電気的特性のばらつきの小さなインピーダンス変換回路をアンテナ回路に備えた通信端末装置が得られる。
最後に、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。当業者によって適宜変形及び変更が可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変形及び変更が含まれる。
E1,E11,E21…第1端
E2,E12,E22…第2端
E3,E13,E23…第3端
E4,E14,E24…第4端
GND…グランド端子
IT…理想トランス
L1,L11,L21…第1コイル
L2,L12,L22…第2コイル
NC…空き端子
P1,P11,P21…第1導体パターン
P2,P12,P22…第2導体パターン
P3,P13,P23…第3導体パターン
P4,P14,P24…第4導体パターン
PPC…並列寄生成分
SPC…直列寄生成分
T1…第1入出力端子
T2…第2入出力端子
10…積層体
30…給電回路
40…アンテナ
50…グランド導体
101,102…トランス素子

Claims (6)

  1. 積層体に形成されたトランス素子であって、
    第1入出力端子と、
    第2入出力端子と、
    グランド端子と、
    第1端が前記第1入出力端子に接続され、第2端が前記第2入出力端子に接続される第1コイルと、
    第3端が前記グランド端子に接続され、第4端が前記第2入出力端子に接続される第2コイルと、
    を備えて、
    前記第1コイルは、複数の基材層に形成されて直列接続された第1導体パターン及び第2導体パターンを含み、
    前記第2コイルは、複数の基材層に形成されて直列接続された第3導体パターン及び第4導体パターンを含み、
    前記第2導体パターンと前記第3導体パターンとは前記積層体の積層方向において対向し、
    前記積層方向から視て、前記第1コイルのコイル開口及び前記第2コイルのコイル開口は互いに重なる部分を有し、
    前記第1コイル及び前記第2コイルによりオートトランスが構成され、
    前記積層体は、前記積層方向から視て第1方向に平行な二辺と第2方向に平行な二辺を有する矩形状であり、
    前記第1方向又は前記第2方向の少なくとも一方において、前記第2導体パターンの対向距離は、前記第1導体パターンの対向距離よりも小さく、
    前記第1方向又は前記第2方向の少なくとも一方において、前記第3導体パターンの対向距離は、前記第4導体パターンの対向距離よりも小さく、
    前記第1方向又は前記第2方向の少なくとも一方において、前記第3導体パターンの対向距離は、前記第2導体パターンの対向距離よりも小さい、
    トランス素子。
  2. 前記第2導体パターンの経路長は前記第1導体パターンの経路長より長く、
    前記第3導体パターンの経路長は前記第4導体パターンの経路長より長い、
    請求項1に記載のトランス素子。
  3. 前記第2導体パターンの経路長及び前記第3導体パターンの経路長は約1ターンであり、
    前記第1導体パターンの経路長及び前記第4導体パターンの経路長は3/4ターンよりも短い、
    請求項1又は2に記載のトランス素子。
  4. 前記第1コイル及び前記第2コイルはそれぞれ複数個あって、複数の前記第1コイル同士が並列接続され、複数の前記第2コイル同士が並列接続された、
    請求項1から3のいずれかに記載のトランス素子。
  5. 前記複数の第1コイルは第1の第1コイル及び第2の第1コイルとで構成され、前記複数の第2コイルは第1の第2コイル及び第2の第2コイルとで構成され、
    前記積層方向において、前記第1の第2コイルと前記第2の第2コイルとが対向する、
    請求項4に記載のトランス素子。
  6. 高周波信号を送受信するアンテナと、前記アンテナに対する給電回路と、前記アンテナと前記給電回路との間に接続されたインピーダンス変換回路と、を備えた通信端末装置であって、
    前記インピーダンス変換回路は、請求項1から5のいずれかに記載のトランス素子である、
    通信端末装置。
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