JP6890951B2 - 建物 - Google Patents

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Description

本発明は、建物に関する。
例えば、特許文献1に従来の建物が記載されている。この建物は、アウタースキン(同文献の「アウタースキン」)によって囲まれた室内空間が、建物中央側のインテリア室(同文献の「居室」)と建物外周側のペリメータ室(同文献の「ダブルスキン空間」)とに、開閉可能なインナースキン(同文献の「インナースキン」)によって人の往来が可能な状態で仕切られているものである。
上記従来の建物では、最上階のペリメータ室の屋上部のトップスキンには、透光性を有する太陽光パネルを備えることが可能になっている。
特開2006−291662号公報
しかし、上記従来の建物では、ペリメータ室に差し込む太陽光をブラインドによって遮るため、併せて、室内から屋外への視界が遮られてしまい、室内からの眺望が損なわれてしまいがちであった。また、一方で、ペリメータ室のブラインドを開放した場合には、太陽光の差し込みによりペリメータ室に熱が籠り、省エネ性能が低下するものとなっていた。
また、上記従来の建物では、太陽光パネルを屋上部にしか備えることができないので、太陽光パネルによる発電量の制約が大きくなっていた。例えば、この制約を解消しようとして、外壁にも太陽光パネルを取り付けるようにしたとしても、開口面積が減って、室内から屋外への視界が遮られる不都合が新たに生じる。このため、太陽光を利用した創エネを効率良く行うことが難しかった。
上記実情に鑑み、室内側からの眺望を確保すると共に太陽光パネルの設置スペースをより多く確保しつつ、優れた省エネ性と高効率の創エネを実現できる建物の提供が望まれていた。
本発明の建物は、
開閉可能なアウタースキンによって囲まれた室内空間が、建物中央側のインテリア室と建物外周側のペリメータ室とに、開閉可能なインナースキンによって人の往来が可能な状態で仕切られた建物であって、
内部が空洞に構成された状態かつ上面が屋外側下がりの傾斜形状に構成された状態で前記アウタースキンから屋外側に向けて張り出され、前記ペリメータ室の日除けが可能な庇部と、
前記庇部の上面に設けられた太陽光パネルと、が備えられ、
前記庇部の上面または前記アウタースキンに、屋外空間と前記庇部の内部空間のうちの前記太陽光パネルの裏側に位置するパネル裏空間とを連通する屋外開口が備えられ、
前記屋外開口は、前記庇部の上面または前記アウタースキンにおける前記パネル裏空間よりも高い位置に設けられており、
前記室内空間に、前記内部空間及び前記ペリメータ室の天井懐を介して前記室内空間と前記パネル裏空間とを連通可能な室内開口が備えられ、
前記室内開口を開閉可能な開閉機構を備え、
前記室内開口は、前記ペリメータ室に設けられており、
前記天井懐は、前記パネル裏空間と連通しており、
前記開閉機構が開状態であるとき、前記ペリメータ室は、前記室内開口を介して前記天井懐と連通するものである。
本発明によれば、庇部を設けることで、ペリメータ室とインテリア室の熱負荷を下げつつ、庇部の上面を利用して太陽光パネルの設置スペースを増大させて創エネを行うことができる。
このように、庇部の上面に太陽光パネルを設けるので、ペリメータ室の屋外への視界が太陽光パネルによって遮られることがなく、眺望を損なわない態様で太陽光パネルを設置できる。
そして、この太陽光パネルが帯びる熱(輻射熱や発電に伴う熱)は、庇部の内部空間のうち太陽光パネルの真裏に位置するパネル裏空間に逃がすようにしている。
この太陽光パネルの熱が逃がされたパネル裏空間ではその熱により空気の上昇流が生じ、この上昇流により室内空間に連通する室内開口からパネル裏空間を含む内部空間を通じて屋外開口へと向かう空気の流れを生じさせることが可能となっている。これにより、太陽光を利用した室内空間(例えば、夏期等におけるペリメータ室)の自然換気を行うことができる。その結果、室内空間の冷房等の空調費が削減され、省エネ性を高めることができる。
また、パネル裏空間に逃がした太陽光パネルの熱は、パネル裏空間を含む内部空間と室内開口とを通じて室内空間に供給することで、室内空間の暖房(例えば、冬期等におけるインテリア室の暖房)を行うことが可能になっている。これにより、太陽光を利用した室内空間の暖房を行うことができる。その結果、室内空間の暖房等の空調費が削減され、省エネ性を高めることができる。
さらに、太陽光パネルは、建物の屋上部に限らず、各階の庇部に備えることが可能であるので、太陽光パネルによる発電量を十分に確保できるものとなる。また、太陽光パネルの熱を上記のようにパネル裏空間を通じて他の箇所へ積極的に逃がす構造となっているので、太陽光パネルの冷却が効率良く行われ、太陽光パネルの発電効率を良好に維持できる。これにより、太陽光を利用した高効率な創エネを実現できる。
したがって、本発明であれば、室内側からの眺望を確保すると共に太陽光パネルの設置スペースをより多く確保しつつ、優れた省エネ性と高効率の創エネを実現できるものとなる。
本発明において、
前記屋外開口は、前記庇部の上面における前記パネル裏空間よりも高い位置に設けられていると好適である。
本構成によれば、パネル裏空間から屋外開口に向けて空気がスムーズに上昇するものとなる。これにより、パネル裏空間を含む内部空間に連通する室内開口を通じて室内空間から空気の引き込みをしっかりと行うことが可能となり、室内空間の換気を効率良く行うことができる。
さらに、例えば、屋外開口を庇部以外の箇所に設ける場合には、専用のダクト等を設ける必要があるが、屋外開口を庇部の上面に設けることにより、そのようなダクト等が不要となり、簡素な構造にできる。
本発明において、
前記庇部の上面に設けられ、太陽光を取り込み可能な採光部と、
前記内部空間及び前記天井懐を介して前記採光部と前記インテリア室とに亘って設けられ、前記採光部から取り込まれた太陽光を前記インテリア室に導く光ダクトと、が備えられていると好適である。
本構成によれば、庇部の上面に設けた採光部から太陽光を取り込んで、その取り込んだ太陽光を光ダクトでインテリア室に導くようにしている。これにより、インテリア室における太陽光による照明を行うことが可能となり、インテリア室の省エネ性を高めることができる。
本発明において、
前記太陽光パネルと前記屋外開口と前記採光部とは、屋外側から前記太陽光パネル、前記屋外開口、前記採光部の順に並ぶ状態で、前記庇部の上面に設けられていると好適である。
本構成によれば、太陽光パネルがアウタースキンから離れて屋外側に張り出した箇所に位置するものとなるので、太陽光パネルに太陽光があたりやすくなり、太陽光パネルによる発電量を確保しやすくすることができる。
さらに、採光部がインテリア室側に近づくことにより、光ダクトのダクト長が短くなり、光ダクト内における太陽光の光量損失を抑えることができる。
建物の一部を示す正面図である。 建物の一部を示す側面視の部分断面図である。 建物の一部を示す平面視の部分断面図である。 夏期における利用態様の一例を示す側面視の部分断面図である。 中間期における利用態様の一例を示す側面視の部分断面図である。 冬期における利用態様の一例を示す側面視の部分断面図である。 別実施形態を示す側面視の部分断面図である。
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3等には、「建物」の一例である複数階建てのオフィスビルを示している。この建物には、各階に、室内空間1が設けられている。
図1、図2等に示すように、室内空間1には、建物中央側の居室である内室2(「インテリア室」に相当)と、建物外周側の廊下としての外室3(「ペリメータ室」に相当)と、が含まれている。室内空間1は、外側サッシ4(「アウタースキン」の一例)によって囲まれている。内室2と外室3とは、開閉可能な内側サッシ5(「インナースキン」の一例)によって人の往来が可能な状態で仕切られている。内室2は、執務室等の居室として利用可能な空間となっている。外室3は、内室2の屋外側に隣接する縁側スペース(例えば、共用廊下等)として利用可能な空間となっている。
〔外側サッシと内側サッシについて〕
図1〜図3等に示すように、外側サッシ4は、開閉自在な引き違い窓となっている。また、外側サッシ4は、掃き出し窓となっている。外側サッシ4の屋外側には、面格子6が付設されている。内側サッシ5は、開閉自在な引き違い窓となっている。また、内側サッシ5は、掃き出し窓となっている。
〔内室について〕
図2等に示すように、内室2には、内室床スラブ7、内室床スラブ7上に敷設される内室床部8、内室天井9が備えられている。
〔外室について〕
図2等に示すように、外室3は、外側サッシ4と内側サッシ5とによって挟まれ、屋外空間33と内室2との間の熱的な緩衝空間となっている。外室3は、建物の南側に面するように位置している。
外室3には、外室床スラブ10、外室床スラブ10上に敷設される外室床部11、外室天井12が備えられている。外室床スラブ10には、内室床スラブ7よりも下方に凹んだ空間であるピット13が設けられている。外室床部11は、内室床部8と略同じ高さに揃えられている。ピット13は、外室3で利用される機器(例えば、水道機器、ガス機器、電気機器等)の配管を通す空間や、植栽を設置する空間として利用可能となっている。
図1〜図3等に示すように、建物の各階には、庇部15、太陽光パネル16、チャンバー17、屋外開口18、採光部19、光ダクト20、室内開口21、熱回収機構(図示せず)等が備えられている。
図1〜図3等に示すように、建物内に配置される柱部22は、2つの庇部15毎に配置されている。柱部22どうしの間隔である柱スパンを短く抑えることで、柱部22どうしを連結している横方向に延びる梁部23の梁成を小さくしている。これにより、外室3の天井高が、梁部23の梁成を削減した分だけ高くなり、外室3内の快適性が高くなっている。
〔庇部について〕
図2等に示すように、庇部15は、外室3の屋外側に備えられている。庇部15は、内部が空洞に構成された状態かつ上面が屋外側下がりの傾斜形状に構成された状態で外側サッシ4から屋外側に向けて張り出されている。庇部15により、外室3の日除けが可能となっている。
図2等に示すように、庇部15は、外室3側から屋外側に向けて張り出される複数の第1下地鉄骨25と、第1下地鉄骨25と交差する方向に延びる複数の第2下地鉄骨26と、庇部15の傾斜面を構成する支持フレーム27等により支持されている。庇部15の軒天24は、第1下地鉄骨25及び第2下地鉄骨26の下面側に、例えば野縁等を介して取り付けられている。軒天24は、屋外側に向けて下り勾配となっており、かつ、外室3の外室天井12の勾配は、軒天24の勾配と同じに設定され、軒天24の延長線上に位置している。
〔太陽光パネルについて〕
図1〜図3等に示すように、太陽光パネル16は、庇部15の上面に設けられている。太陽光パネル16は、上面材として庇部15の一部を構成している。太陽光パネル16は、防水処理がなされて、支持フレーム27に取り付けられている。支持フレーム27は、例えば、太陽光パネル16の平面形状を考慮して、取り付し易いように矩形枠状に構成されている。
〔庇部の上面の傾斜角度について〕
図2等に示す庇部15の上面の傾斜角度は、上階の庇部15による影を考慮して、太陽光パネル16の年間総発電量が最大となるように設定されている。全ての階において、庇部15の上面の傾斜角度は、同一の角度となるように設定されている。これにより、各階間で庇部15の組み付け態様が同一となるため、施工の手間やコストを削減できる。
〔チャンバーについて〕
図2等に示すように、チャンバー17は、庇部15の内部空間28における太陽光パネル16の真裏にあたるパネル裏空間29と、外室3の天井懐14とに亘って備えられている。チャンバー17の内部は、空気が流通可能となっている。なお、『天井懐』とは、外室3の天井仕上げと上階の外室床スラブ10の底部との間の空間のことである。また、チャンバー17は、筒状のダクト部材で構成したものであってもよいし、天井懐14内の空間の一部をそのまま利用したものであってもよい。
太陽光パネル16の裏面は、内部空間28のうち太陽光パネル16の真裏にあたるパネル裏空間29に直接面している。これにより、太陽光パネル16の熱が、庇部15の内部空間28におけるパネル裏空間29に効率良く逃がされる。
図2等に示すように、チャンバー17の内部には、端部が上方に向けて延びる水返し部材30と、端部が下方に向けて延びる水切り部材31と、が備えられている。水返し部材30と水切り部材31は、内部空間28における空気の流れを案内する導風部材としても機能する。水切り部材31の屋外側先端部には、排水路32が備えられている。水返し部材30と水切り部材31とによって、迷路状の経路が形成されていることにより、仮に、内部空間28に、屋外開口18から雨水が入ったり、結露水が発生したりしたとしても、そのような水は、排水路32を通じて外部に排出される。
〔屋外開口について〕
図2等に示すように、屋外開口18は、庇部15の上面に設けられている。屋外開口18は、庇部15の上面におけるパネル裏空間29よりも高い位置に設けられている。言い換えれば、屋外開口18は、太陽光パネル16よりも高い位置に設けられている。屋外開口18は、屋外空間33と、庇部15の内部空間28のうちの太陽光パネル16の裏側に位置するチャンバー17内のパネル裏空間29と、を連通している。
屋外開口18には、開閉機構が備えられていない。しかし、図2等に示すように、屋外開口18の屋外側には、屋外側に向けて外下がりとなった外側水切り部材34が付設されている。外側水切り部材34により、屋外開口18からチャンバー17内に雨水が侵入しにくいようになっている。
〔室内開口について〕
図2等に示すように、チャンバー17内と連通する室内開口21は、室内空間1における外室3の外室天井12に設けられている。すなわち、室内開口21は、内部空間28及び外室3の天井懐14を介して、室内空間1とパネル裏空間29とを連通可能となっている。
図2等に示すように、室内開口21には、開閉機構35が備えられている。開閉機構35は、例えば、スライド式のシャッター機構で構成されている。開閉機構35は、開状態と、閉状態と、の間で状態切り換え可能に構成されている。
開閉機構35を開状態にすると、外室3と内部空間28との間で空気が流通可能となる。開閉機構35を閉状態にすると、外室3と内部空間28との間で空気が流通不能となる。なお、開閉機構35は、全開状態と全閉状態との中間の所望開度に開度調節可能となってもよい。
〔光ダクトについて〕
図1〜図3等に示すように、採光部19は、庇部15に備えられ、太陽光を取り込みが可能となっている。採光部19は、庇部15の上面に設けられている。光ダクト20は、内部空間28及び天井懐14を介して採光部19と内室2とに亘って設けられている。説明を加えると、光ダクト20は、内部空間28及び外室3の天井懐14に備えられ、採光部19から取り込まれた太陽光を内室2に導くことが可能となっている。
図2等に示すように、光ダクト20には、筒状のダクト本体36、透光性を有する外カバー37、透光性を有する内カバー38等が備えられている。
図2等に示すように、ダクト本体36は、筒状に構成されている。ダクト本体36の内面は、反射率の高い鏡面仕上げとなっている。ただし、ダクト本体36の内面は、鏡面仕上げとする代わりに、白色塗装を施す等して光の反射率を高めるようにしてもよい。外カバー37は、透光性を有する板部材で構成されている。内カバー38は、透光性を有する板部材で構成されている。外カバー37と内カバー38とにより、ダクト本体36の内部を閉じた空間としていることにより、ダクト本体36の内部に、塵埃や雨水が侵入することが阻止される。
図2等に示すように、内室2には、小庇部39、反射部40等が備えられている。小庇部39は、内側サッシ5よりも内室2側に突出している。小庇部39の上面や反射部40の下面は、例えば、白色塗装を施す等して光の反射率を高めてある。
図4〜図6示すように、採光部19から取り込まれた太陽光は、外カバー37を通過し、ダクト本体36の内部で反射を繰り返し、さらに、その反射光が、内カバー38から出て、小庇部39の上面、反射部40の下面で反射して、最終的に、内室2の内部へ導かれるようになっている。
図2に示すように、太陽光パネル16と屋外開口18と採光部19とは、屋外側から太陽光パネル16、屋外開口18、採光部19の順に並ぶ状態で、庇部15の上面に設けられている。
〔熱回収経路について〕
図6に示すように、パネル裏空間29に関して熱回収機構(図示せず)による熱回収経路Pが備えられている。熱回収機構には、庇部15の内部空間28のうちのパネル裏空間29と、他の階の室内空間1の内室2における他の室内開口とを接続するダクト、ダクト内の空気を送るためのファン等が備えられている。これにより、パネル裏空間29に逃がされた太陽光パネル16の熱を、室内空間1に送ることが可能となっている。
〔夏期の利用態様について〕
図4に、夏期の利用態様の一例を示している。
夏期は、太陽の南中高度が高く、日射角度が垂直に近い角度となる。
夏期においては、例えば、外側サッシ4を開放し、内側サッシ5を閉鎖する。これにより、室内空間1は、半屋外空間となる。夏期においては、内室2の空調機器(図示せず)を作動させて冷房等を行う場合が多い。内側サッシ5を閉鎖しているので、内室2は、屋外の気温や湿度、日射による影響が抑えられた状態となる。また、採光部19から太陽光を取り込み、光ダクト20等を通じて内室2へ導くことができる。
そして、室内開口21の開閉機構35は、開状態にする。太陽光パネル16の熱により温められるパネル裏空間29の空気と外室3の空気との温度差により、パネル裏空間29における空気の上昇流の発生が促進され、これにより、外室3の換気を効率良く行える。また、これにより、太陽光パネル16の熱を効率良く逃がすことが可能となり、太陽光パネル16の発電効率の低下を抑制できる。
〔中間期の利用態様について〕
図5に、中間期の利用態様の一例を示している。
中間期は、夏期と冬期の間であり、例えば、春期、秋期等である。中間期は、夏期に比べて、太陽の南中高度が低くなり、日射角度が小さくなる。
中間期においては、例えば、外側サッシ4を開放し、内側サッシ5を開放する。これにより、屋外空間33の空気を、開放された外側サッシ4、開放された内側サッシ5を通じて、内室2に直接取り込むことができる。また、採光部19から太陽光を取り込み、光ダクト20等を通じて内室2へ導くことができる。
そして、室内開口21の開閉機構35は、開状態にする。太陽光パネル16の熱により温められるパネル裏空間29の空気と外室3の空気との温度差により、パネル裏空間29における空気の上昇流の発生が促進される。これにより、外室3の換気を効率良く行える。また、これにより、太陽光パネル16の熱を効率良く逃がすことが可能となり、太陽光パネル16の発電効率の低下を抑制できる。
〔冬期の利用態様について〕
図6に、冬期の利用態様の一例を示している。
冬期は、中間期に比べて、太陽の南中高度が低くなり、日射角度が小さくなる。
冬期においては、例えば、外側サッシ4を閉鎖し、内側サッシ5を閉鎖する。これにより、外室3が、外側サッシ4と内側サッシ5に挟まれたダブルスキン空間となる。冬期においては、庇部15で遮蔽されない太陽光が、外室3にも入る。このため、外室3が温室のように温められることになる。また、採光部19から太陽光を取り込み、光ダクト20等を通じて内室2へ導くことができる。
そして、室内開口21の開閉機構35は、閉状態にする。太陽光パネル16からパネル裏空間29へ逃がされた熱は、熱回収機構(図示せず)によりチャンバー17内のパネル裏空間29から熱回収経路Pを通じて他の階の室内空間1の内室2へ送られる。これにより、太陽光パネル16の熱を利用して、他の階の室内空間1の内室2の暖房を行うことができる。
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態の一部を変更した別実施形態について説明する。各別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせることができる。なお、本発明の範囲は、各実施形態で示している内容に限られるものではない。
(1)上記実施形態では、庇部15の上面に設けられ、太陽光を取り込み可能な採光部19と、内部空間28及び天井懐14を介して採光部19と内室2とに亘って設けられ、採光部19から取り込まれた太陽光を内室2に導く光ダクト20と、が備えられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、採光部19や光ダクト20が設けられていなくてもよい。
また、例えば、採光部19や光ダクト20が他の場所に設けられていてもよい。一例を挙げると、図7に示すように、太陽光パネル16と屋外開口118と採光部119とが、屋外側から採光部119、太陽光パネル16、屋外開口118の順に並ぶ状態で、庇部115の上面に設けられていてもよい。この場合、庇部115の内部空間128のうち太陽光パネル16の真裏に位置するパネル裏空間129は、光ダクト120の上側に位置する。また、この場合、外室3の天井懐114において、チャンバー117は、光ダクト120を内包するような形態となる。また、この場合、外室3の天井懐114において、光ダクト120は、直線状に配置しうる。これによれば、庇部115の最も屋外側に採光部119が位置することになるので、採光部119、光ダクト120等を通じて、内室2へ太陽光を効率良く取り込むことができる。なお、パネル裏空間129の近傍には、上述した実施形態と同様に、水返し部材130と水切り部材131とが備えられており、屋外開口118から侵入した水が、天井懐114側に侵入しないように措置されている。
(2)上記実施形態では、太陽光パネル16の裏面がパネル裏空間29に直接面しているものが例示されているが、これに限られない。例えば、太陽光パネル16の裏面がパネル裏空間29に直接面していないものであってもよい。この場合、例えば、庇部15の支持フレーム27に、金属板等の面材が組み付けられて庇部15を構成し、仕上げた庇部15の面材の上に、太陽光パネル16が庇部15とは別体として取り付けされるような形態となる。面材としては、太陽光パネル16の裏面からパネル裏空間29への熱伝動を過度に妨げないものを用いることが好ましい。
(3)上記実施形態では、屋外開口18は、庇部15の上面におけるパネル裏空間29よりも高い位置に設けられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、屋外開口18が、パネル裏空間29と同じ高さの位置に設けられていたり、屋外開口18が、パネル裏空間29よりも低い位置に設けられていたりしてもよい。この場合、パネル裏空間29における空気の流動を促す機構を設置すると好適である。
(4)上記実施形態では、外側サッシ4と内側サッシ5とが、それぞれ、引き違い窓であり、かつ、掃き出し窓になっているものが例示されているが、これに限られない。例えば、外側サッシ4及び内側サッシ5のうち少なくともいずれか一方が、引き違い窓とは異なる窓であったり、掃き出し窓とは異なる窓であったりしてもよい。
(5)上記実施形態では、外側サッシ4が開放自在に構成されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、外側サッシ4を閉め切りとして別途に給気口を設けてもよい。
(6)上記実施形態では、「アウタースキン」として外側サッシ4が例示され、「インナースキン」として内側サッシ5が例示されているが、これに限られない。「アウタースキン」及び「インナースキン」のうち少なくともいずれか一方が、サッシ形式とは異なるスキンで構成されていてもよい。
(7)上記実施形態では、スライド式のシャッター機構で開閉機構35が構成されているものが例示されているが、これに限られない。開閉機構35としては、例えば、回転式のバタフライバルブ等、種々の構造を採用しうる。
(8)上記実施形態では、庇部15の上面に、屋外空間33と庇部15の内部空間28のうちの太陽光パネル16の裏側に位置するパネル裏空間29とを連通している屋外開口18が備えられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、外側サッシ4の一部に腰壁を設け、その腰壁に屋外開口18を備えるようにしてもよい。
(9)上記実施形態では、屋外開口18に、開閉機構が備えられていないものが例示されているが、これに限られない。例えば、屋外開口18に、開閉機構が備えられていてもよい。
(10)上記実施形態では、パネル裏空間29から他の階の室内空間1の内室2へ太陽光パネル16の熱を逃がす熱回収経路Pが例示されているが、これに限られない。例えば、パネル裏空間29から他の階の室内空間1の外室3へ太陽光パネル16の熱を逃がす熱回収経路や、パネル裏空間29から同一階の室内空間1の内室2へ太陽光パネル16の熱を逃がす熱回収経路や、パネル裏空間29から同一階の室内空間1の外室3へ太陽光パネル16の熱を逃がす熱回収経路が備えられていてもよい。
(11)上記実施形態では、庇部15の上面の傾斜角度が、全ての階で同一の角度となるように設定されているものが例示されているが、これに限られない。階に応じて庇部15の上面の傾斜角度を異ならせていてもよい。
(12)上記実施形態では、複数の階に庇部15が備えられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、建物の1つの階のみに上記のような庇部15が備えられていてもよい。
本発明は、上記オフィスビルの他、病院、官公庁舎等の種々の建物に利用できる。
1 :室内空間
2 :内室(インテリア室)
3 :外室(ペリメータ室)
4 :外側サッシ(アウタースキン)
5 :内側サッシ(インナースキン)
14、114:天井懐
15、115:庇部
16 :太陽光パネル
18、118:屋外開口
19、119:採光部
20、120:光ダクト
21 :室内開口
28、128:内部空間
29、129:パネル裏空間
33 :屋外空間
35 :開閉機構

Claims (4)

  1. 開閉可能なアウタースキンによって囲まれた室内空間が、建物中央側のインテリア室と建物外周側のペリメータ室とに、開閉可能なインナースキンによって人の往来が可能な状態で仕切られた建物であって、
    内部が空洞に構成された状態かつ上面が屋外側下がりの傾斜形状に構成された状態で前記アウタースキンから屋外側に向けて張り出され、前記ペリメータ室の日除けが可能な庇部と、
    前記庇部の上面に設けられた太陽光パネルと、が備えられ、
    前記庇部の上面または前記アウタースキンに、屋外空間と前記庇部の内部空間のうちの前記太陽光パネルの裏側に位置するパネル裏空間とを連通する屋外開口が備えられ、
    前記屋外開口は、前記庇部の上面または前記アウタースキンにおける前記パネル裏空間よりも高い位置に設けられており、
    前記室内空間に、前記内部空間及び前記ペリメータ室の天井懐を介して前記室内空間と前記パネル裏空間とを連通可能な室内開口が備えられ、
    前記室内開口を開閉可能な開閉機構を備え、
    前記室内開口は、前記ペリメータ室に設けられており、
    前記天井懐は、前記パネル裏空間と連通しており、
    前記開閉機構が開状態であるとき、前記ペリメータ室は、前記室内開口を介して前記天井懐と連通する建物。
  2. 前記屋外開口は、前記庇部の上面における前記パネル裏空間よりも高い位置に設けられている請求項1に記載の建物。
  3. 前記庇部の上面に設けられ、太陽光を取り込み可能な採光部と、
    前記内部空間及び前記天井懐を介して前記採光部と前記インテリア室とに亘って設けられ、前記採光部から取り込まれた太陽光を前記インテリア室に導く光ダクトと、が備えられている請求項1または2に記載の建物。
  4. 前記太陽光パネルと前記屋外開口と前記採光部とは、屋外側から前記太陽光パネル、前記屋外開口、前記採光部の順に並ぶ状態で、前記庇部の上面に設けられている請求項3に記載の建物。
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