JP6890833B2 - 細胞培養装置、および細胞培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は細胞培養装置および細胞培養方法に関する。
抗体医薬品などに用いられるタンパク質の大量生産や、医薬品、化粧品、食品などの評価に用いられる細胞の大量生産などのために、ガス透過性を有する有機高分子製の柔軟なシートからなる細胞培養バッグが開発されている(例えば、特許文献1、2など)。
前記のような細胞培養バッグは、従来、浮遊細胞の培養に用いられていたが、近年では、内面に親水処理や接着コートを施すことによって接着性細胞(足場依存性細胞とも呼ばれる)の培養にも用いられている。
このような細胞培養バッグを用いれば、出入口に接続されたチューブを介して他のバッグや容器、種々の処理装置(例えば、試薬、培地、細胞などを注入するための外部装置、培養後の細胞や廃液を回収するための外部装置)などと接続して閉鎖系の細胞培養システムを構成することができる。このような細胞培養システムは、細胞の播種、継代、培地交換、細胞の回収などを、外界に露出することなしに行うことができるので、汚染の危険性がより低減された好ましいシステムである。
また、接着性細胞の培養にあたっては、剛性が高い足場があることが好ましく、一般にTフラスコと呼ばれるような細胞培養用のフラスコが汎用されている。Tフラスコは、厚い容器で、底部に培地を収容し、上部は空気層となるように用いられている。
細胞培養にともない、細胞が増殖することで培地中のガス濃度は大きく変動する。典型的には細胞が増殖することに伴い、酸素を消費して培地中の酸素濃度が低下する。特許文献1や2では、バッグを構成するフィルムにガス透過性を有するものを採用することで、ある程度のガス供給は可能である。また、Tフラスコでは上部の空気層と培地とでガス交換しながら培養される。
また、このような細胞培養に必要なガス濃度を調整するために、特許文献3には、主壁部の一部におよび/または側壁部の一部または全部にガス透過部を有する細胞培養容器が開示されている。また、特許文献4には、2つの外側板状部および各側壁部から選ばれる1以上の部分にはガス透過部が設けられ、また、2つの外側板状部および各側壁部から選ばれる1以上の部分には培養液のための出入口が設けられる細胞培養容器が開示されている。
特開2006−262876号公報 特開2009−159890号公報 特開2018−143210号公報 特開2018−33387号公報
細胞培養にあたっては、培地中のガス濃度の調整等が重要となる。前述の特許文献1〜4においても、ガス透過部などを有することで培養容器内の培地のガス濃度を調整することはできる。また、Tフラスコを用いる場合、容器内の上部の空気層を適宜調整することで培地中のガス濃度も調整できるが、このために十分な容量の空気層を設けることも必要となる。なお、従来の使用法におけるTフラスコは、空気層には細胞が接着できないため、細胞が培養できる場は、培地が収容されている底部側のみであった。
しかしながら、細胞培養の需要が高度化し、より高濃度の細胞濃度での培養や、大容量の容器による大量培養、長期期間の培養、培養中の培地条件等の制御など、より高度な制御が必要になる場合がある。
従来の培養容器などでは、ガス透過部が接する雰囲気とのガス交換が生じる。すなわち、培養容器を配置する環境すべての雰囲気となる庫内全体のガス濃度等を制御する必要があった。例えば、培地中の水分の蒸発を避けるために高湿度の雰囲気ガスを広範な室内で維持したり、酸素濃度等もその室内で十分に維持されるように管理する必要があった。
さらには、このような管理を行っても、細胞培養容器内の培地は流動しにくいなどの理由から、そのガス濃度の勾配が生じやすかった。ガス透過部に近い細胞培養器の外周付近の培地は、雰囲気ガスとガス交換しガス濃度が制御されるが、ガス透過部から離れた細胞培養容器の内部の培地は培地中のガスが細胞培養に伴い消費・産生されたガスの影響が大きい状態となっていた。具体的には、ガス透過部近傍の外周付近では溶存酸素濃度が高く細胞培養を安定して継続できるものの、ガス透過部から離れた内奥では溶存酸素濃度が低く細胞増殖が停止したり遅くなる場合があった。
係る状況下、本発明は、細胞培養容器内の培地のガス濃度の制御に適した細胞培養装置および細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 培地および細胞を充填する中空状の内層を有する細胞培養容器と、
前記細胞培養容器に取り付けられ、前記培地を循環するための循環ラインと、
前記循環ライン内に設けられ前記細胞培養容器に前記培地を送液する送液ポンプと、
前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするための中空糸膜を有するガス交換手段と、を有する細胞培養装置。
<2> 前記ガス交換手段の前記調整用ガスを調整するためのガス調整手段を有する前記<1>記載の細胞培養装置。
<3> 前記調整用ガスが、酸素濃度および、窒素濃度、二酸化炭素濃度、湿度からなる群から選択される少なくとも1以上が調整されたガスである前記<1>または<2>に記載の細胞培養装置。
<4> 前記中空糸膜が、シリコーン製の膜である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の細胞培養装置。
<5> 前記細胞培養容器は、所定の間隔をおいて互いに対面するよう配置された2枚の板状部を有する前記<1>〜<4>のいずれかに記載の細胞培養装置。
<6> 前記細胞培養容器が、積層された板状部を有する前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養装置。
<7> 中空状の内層を有する細胞培養容器に培地および細胞液を充填する充填工程と、
前記細胞培養容器に充填された前記細胞を培養する培養工程と、
前記細胞培養容器に取り付けられた前記培地を循環するための循環ライン内に設けられた送液ポンプにより前記循環ライン内の前記培地を送液することで前記循環ライン内の前記培地を循環する循環工程と、
前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするための中空糸膜を有するガス交換手段によりガス交換するガス交換工程と、を有する細胞培養方法。
本発明によれば、細胞培養容器内の培地のガス濃度を制御しながらの培養を行うことができる。さらに、本発明によれば、細胞培養容器内に培地が充填された状態で、充填されている培地はガス交換しながら培養できるため、細胞培養容器内に空気層を必要とせずに培養できる。このため、細胞培養容器内の上下面など広範に接着性細胞を培養できる場が得られる。さらに、ガス交換する場が限られた閉鎖系の培養ができる。このため、比較的小型の培養装置や培養設備でも大量の細胞培養ができる。
本発明に係る細胞培養装置の第一の実施形態の概要を示す図である。 本発明に係る細胞培養装置に用いる細胞培養容器の形態例を説明するための平面図である。 本発明に係る細胞培養装置に用いる細胞培養容器の形態例を説明するための側面図である。 本発明に係る細胞培養装置に用いる細胞培養容器の形態例を説明するための断面図である。 本発明に係る細胞培養装置の第一の実施形態の変形例の概要を示す図である。 本発明に係る細胞培養装置の第二の実施形態の概要を示す図である。 本発明に係る細胞培養装置の第三の実施形態の概要を示す図である。 本発明に係る細胞培養槽に用いられる細胞培養容器の他の実施形態の概要を示す図である。 比較例に係る培養された細胞の顕微観察像を示す図である。 実施例に係る培養された細胞の顕微観察像を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
[本発明の細胞培養装置]
本発明の細胞培養装置は、培地および細胞を充填する中空状の内層を有する細胞培養容器と、前記細胞培養容器に取り付けられ、前記培地を循環するための循環ラインと、前記循環ライン内に設けられ前記細胞培養容器に前記培地を送液する送液ポンプと、前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするための中空糸膜を有するガス交換手段とを有する。本発明の細胞培養装置により細胞を培養することで、細胞培養容器内の培地のガス濃度を制御しながらの培養を行うことができる。また、本発明の細胞培養装置は、細胞培養容器内に空気層を必要とせずに培養でき、閉鎖系で、大量の細胞培養に適した装置である。
[本発明の細胞培養方法]
本発明の細胞培養方法は、中空状の内層を有する細胞培養容器に培地および細胞を充填する充填工程と、前記細胞培養容器に充填された前記細胞を培養する培養工程と、前記細胞培養容器に取り付けられた前記培地を循環するための循環ライン内に設けられた送液ポンプにより前記循環ライン内の前記培地を送液することで前記循環ライン内の前記培地を循環する循環工程と、前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするための中空糸膜を有するガス交換手段によりガス交換するガス交換工程とを有する。
本発明の細胞培養方法により細胞を培養することで、細胞培養容器内の培地のガス濃度を制御しながらの培養を行うことができる。また、本発明の細胞培養方法は、細胞培養容器内に空気層が生じない培養に適しており、閉鎖系で、大量の細胞培養に適した方法である。
なお、本願において本発明の細胞培養装置により本発明の細胞培養方法を行うことができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
[第一の実施形態]
図1は、本発明の細胞培養装置の第一の実施形態を示す概要図である。図1は、細胞培養装置10を示すものである。細胞培養装置10は、細胞培養容器21と、循環ライン311、312、313と、送液ポンプ41と、ガス交換手段51とを有する。
細胞培養容器21は、開口部211、212を有し、開口部211は循環ライン311と接続され、開口部212は循環ライン313に接続されている。
循環ライン311はガス交換手段51の開口部511に接続されている。ガス交換手段の開口部512は、循環ライン312に接続されている。循環ライン312は、送液ポンプ41に接続され、送液ポンプ41は循環ライン313にも接続されている。循環ライン311、312、313は細胞培養容器21内の培地を移送することができるチューブである。
送液ポンプ41は、培地を送液することができ、循環ライン312側から循環ライン313側へのF11方向へ送液するものでもよいし、逆方向のF12方向へ送液するものでもよい。送液ポンプ41の送液により、循環ライン311、312、313や、これらと適宜接続されている細胞培養容器21内や、ガス交換手段51内の培地が順に移送され、培地はこれらの系内で循環する。
ガス交換手段51は、開口部511、512のように培地が循環する部分とは別に、培地が漏出しない開口部513、514を有している。この開口部513、514は、ガスが通過することができる。開口部511、512から導入・導出された培地は、開口部513、514から導入・導出されたガスと、ガス交換し、培地中のガス濃度が調整される。
この培地は、前述のように系内を循環するため、ガス交換手段51内でガス濃度が調整された状態で、細胞培養容器21にも移送される。これにより、細胞培養容器21内で培養されている細胞は、ガス濃度が調整された培地により培養される。また、細胞培養装置10は、細胞培養容器21等の系内の培地がガス交換できる部分を実質ガス交換手段51内のみの閉鎖系として運転でき、開口部513と開口部514とから導入・導出するガスの湿度やガス濃度を管理するだけで、培地のガス交換を制御することができる。
[細胞培養容器21]
細胞培養容器21は、培地および細胞を充填する中空状の内層を有する。図2〜図4は細胞培養容器21の詳しい構造を説明するための図である。
図2は、細胞培養容器21の平面図である。また、図3(a)は細胞培養容器21を右側面図であり、図3(b)は正面図である。細胞培養容器21は、略直方体状とすることができる。平面視したとき、その形状は正方形状でもよいし、長方形状でもよく、細胞培養ができる任意の大きさとすることができる。例えば、縦辺20mm〜500mm、横辺20mm〜500mm程度の大きさとすることができる。面積として400mm2〜2.5×105mm2程度としてもよい。細胞培養容器は、略直方体状に限定されるものではなく、円柱状や多角柱状などその内部で細胞培養することができる任意の他の形状でもよい。
細胞培養容器21は、開口部211、212を有する。開口部211、212は、対角線上に設けて、細胞培養容器21内の培地を循環させるとき、より効率よく入れ替えが生じるように配置されている。なお、ここでは開口部は2つの場合を示したが、開口部は3つ以上設けてもよく、培地の循環ラインを繋ぎ変えながら利用したり、他の成分等を入れ替えるために用いたりしてもよい。また、培養中に使用しない開口部は蓋部を設けて密閉することが好ましい。細胞培養容器21は、開口部以外から液が漏出しない密閉性が高いものであることが好ましい。
細胞培養容器21の材質は、細胞培養の容器に用いることができる各種材料を用いることができる。例えば、樹脂や、ガラス、金属などを用いることができる。好ましくは、培養状況を外部から観察しやすく、材料の評価試験を行う必要性が低い、ポリスチレンや、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなど樹脂を用いることが好ましい。
細胞培養容器21は、形状が変形しにくいものであることが好ましい。前述したような材料を用いて、例えば1mm以上や1.5mm以上などの十分な厚みとすることで、細胞培養容器として使用したり、取り扱うときなどの外力でも変形しないものとすることができる。このような変形しにくいもののとき、細胞培養容器21の内部の壁に細胞が接着した状態で安定して培養され増殖や成長しやすいものとすることができる。
図4は細胞培養容器21のA−A断面図(図3(a)参照)である。細胞培養容器21は、上下の板213と側壁214間に中空状の内層があり、細胞培養の場となる。中空状の内層は、開口部211においては、中空部2111により外部に開口されている。同様に開口部212側でも開口している。細胞培養容器21の中空状の内層は、平板上の上下の板213の内面2131に細胞216が接着し、その内側で培地215が循環される。この培地215は流動性がある培地であり、液体培地やゼリー状の培地である。なお、細胞が接着する場となる内面2131は、培養する細胞の種類に応じて、適宜火炎処理(フレーム処理)や、コロナ処理、プラズマ処理、VUV(真空紫外光)等の表面処理を行い接着しやすい状態としておくことが好ましい。
細胞培養容器21は、所定の間隔をおいて互いに対面するよう配置された2枚の板状部(上下の板213)を有する。この2枚の板状部は、開口部を設ける部分を除き、その周囲を密閉するように閉じたものとする。開口部211、212は、循環ラインに接続されるため、細胞培養容器21の内層は、密閉された空間となる。
この内層には、容器内には培地や細胞が充填され、さらに培養中は培地が循環ラインにより循環されるため、液体や細胞による充填率が高い状態で用いることができる。細胞培養を行うときの細胞培養容器21内の培地および細胞の充填率(培地および細胞の総量/内層の容量)は80容積%以上や90容積%以上、95容積%以上、99容積%以上とすることができる。すなわち、実質的に、細胞培養容器21内に空気層を含まない状態で培養を行うことができる。これにより、2枚の板状部の内層側のそれぞれの面(上下の面)が、細胞が接着する場となり、大量の細胞を効率よく培養することができる。
細胞培養容器21の内層の厚みd1は、細胞が培養できる厚さで任意の厚みとすることができる。この厚みd1は、互いに対面するように配置された2枚の板状部の所定の間隔に相当する。厚みd1は、好ましくは、例えば2mm〜20mm程度である。厚みの下限は、3mm以上や4mm以上としてもよい。特に培養が進んだ接着性細胞は2mm程度の厚みとなる場合があり、細胞培養容器の上下面で培養しやすいように厚くしてもよい。一方、厚みの上限は厚くても細胞が接着する場は上下の面となるため、循環させるための培地量が過剰となる場合もあるため、15mm以下や、12mm以下、10mm以下としてもよい。このような厚みのとき、細胞培養容器21内で循環する培地215が比較的少量でも内層の上下に、細胞が接着して培養されやすい。
細胞培養容器21は、積層したものとすることもできる。細胞培養容器21は薄い直方体状のため、その上下に積み重ねるように配置して積層にすることができる。そして、各開口部を並列的につなぐ配管を設けて循環ラインとつなぎ、一つの送液ポンプやガス交換手段により循環、ガス交換を行うものとすることができる。細胞培養容器は、薄い容器とすることができるため積層したものとしても全体として小容量で高密度な培養を行うことができる。このような細胞培養容器21は、特開2018−33387号公報や、特開2018−143210号公報に開示される細胞培養容器を参照して、これらに準じるものを用いることもできる。
[循環ライン311〜313]
細胞培養装置10は、細胞培養容器21に取り付けられ、細胞培養容器内の培地を循環するための循環ライン311、312、313を有する。循環ライン311〜313には、樹脂製のチューブ等を用いることができる。
[送液ポンプ41]
細胞培養装置10は、循環ライン312、313間に設けられ細胞培養容器21に培地を送液するための送液ポンプ41を有する。送液ポンプ41は、培地を送液できる任意のポンプを用いることができる。細胞培養装置10、特に細胞培養容器21の内容量や、培養する細胞の種類、培養する量等にもよるが、本発明の細胞培養装置で培養するような通常の細胞培養容器21の大きさに対して、0.01mL/min〜100mL/min程度の送液ができるものなどを用いることができる。この送液は、培養中、連続的に送液し続けるものでもよいし、断続的に送液するものでもよい。また、培養初期は、送液量を少なくしてガス交換手段51でガス交換する培地の量を抑制し、培養後期は送液量を多くしてガス交換手段51でガス交換する培地の量を増加させることができるように、送液量を適宜変更できるものや、プログラムして運転することができるものが好ましい。
送液ポンプ41の送液方向は、ガス交換手段51から吸い込み方向となるF11方向でもよいし、ガス交換手段51に対して送り出し方向となるF12方向でもよい。ガス交換手段51から培地が送出されにくい条件のとき、ガス交換手段51側に送り出すF12方向として、積極的に送り出されるものとしてもよいし、ガス交換手段51で、培地中に開口部513、514から導入されている調整用ガスを吸い込む負圧となりやすいようにガス交換手段51から吸い込み方向となるF11方向としてもよい。なお、送液ポンプは、1台でもよいが送液量やガス交換の効率等を考慮して、適宜複数台設けてもよい。
[ガス交換手段51]
細胞培養装置10は、循環ライン311、312内に設けられ循環される培地に含まれるガスを調整用ガスとガス交換するためのガス交換手段51を有する。
このガス交換手段51は中空糸膜を有し、中空糸膜の内外に、それぞれ、培地または調整用ガスを流通させることで、中空糸膜を介して、培地と調整用ガスとでガス交換させる。
このガス交換手段は、例えば、複数の中空糸膜を有する中空糸束の両端がその中空部分を開口状態に保持されたまま中空部材内に固定された中空糸膜カートリッジ(いわゆる、ホローファイバーカートリッジ)を用いることができる。中空糸膜の内層又は外層の一方に循環ラインにより循環される培地が流通され、その他方に調整用ガスが流通され、中空糸膜を介して培地と調整用ガスとのガス交換が行われる。
細胞培養装置10では、ガス交換手段51の開口部511、512は、中空糸膜の外層に流通する流体の流路に連通させ、開口部513、514は中空糸膜の内層に流通する流体の流路に連通するものとして設計されている。このため、培地は、中空糸膜の外層を流通し、調整用ガスは内層を流通する。
図5は、細胞培養装置の第一の実施形態の変形例を示すものである。細胞培養装置101は、ガス交換手段51への循環ラインの接続状態を変更したものであり、循環ライン311は開口部513に接続し、循環ライン312は開口部514に接続した状態である。このように中空糸膜の内外のいずれに培地または調製用ガスを流通させるかは適宜選択して培養することができる。
[中空糸膜の材質]
ガス交換手段51内では、ガス交換のみ行われることが好ましい。このため中空糸膜は、液体の透過率が極めて低い、または透過しないものであり、ガスのみ選択的に透過するものであることが好ましい。このようなガス交換性を有するものとしては、例えば、シリコーン製の中空糸膜などを用いることができる。
[第二の実施形態]
図6は、本発明の細胞培養装置の第二の実施形態を示す図である。細胞培養装置11は、第一の細胞培養装置10に加えて、さらに、培地の入れ替え等を行うことができる培地の移送ラインを有する。循環ライン311内に三方継手などを設けて配管611をつないでいる。また、循環ライン313にも三方継手などを設けて配管612をつないでいる。循環ライン311には開閉弁321が、配管611には開閉弁621が設けられており、循環ライン313には開閉弁322が、配管612には開閉弁622が設けられている。これらの開閉弁を調整することで、ガス交換手段51を通る循環を停止して、配管611、配管612を介して細胞培養容器21を系外とつなぐことができる。さらに、外部の送液ポンプ等を利用してF211方向およびF222方向で培地等を流通させたり、F212方向およびF221方向で培地等を流通させることができる。
この配管611、配管612を用いる構成は、運転開始時に、培養容器21に培地等を充填するときや、細胞の種類や実験目的に応じて培養時期等に応じて、培養中に培地を入れ替えるとき、培養を終了し細胞を回収するときなどに用いることができる。
[第三の実施形態]
図7は、本発明の細胞培養装置の第三の実施形態を示す図である。細胞培養装置12は、第二の細胞培養装置11に加えて、さらに、ガスポンプ71と、フィルター72を有する。第一の実施形態の細胞培養装置10等に示すように、ガス交換手段51の開口部513、514は単に開放して、雰囲気の空気等が流通するものとしてもよく、空気中の酸素や窒素と、ガス交換手段51に流通される培地とでガス交換し、空気中の酸素濃度等に対応したガス濃度に調整することもできる。
細胞培養装置12は、ガスポンプ71、フィルター72により、さらに積極的にガス交換量の制御等を行うものである。ガスポンプ71は、雰囲気の空気の流通量を上昇させてガス交換量を向上させるものでもよいし、ガスポンプ71で送り出すガスを、ガス濃度を調整したものとしてもよい。
[調整用ガス]
本発明の細胞培養装置は、ガス交換手段51で、調整用ガスと培地とのガス交換を行う。この調製用ガスは、培地のガス濃度を調整するためのものである。調製用ガスは、培地で消費されている酸素を供給するために空気でもよい。また、培養対象に応じて、適宜、酸素濃度や、窒素濃度、二酸化炭素濃度、湿度などを調整したものを用いてもよい。このような各種ガス濃度等が調整されたガスを安定供給するために、前述したようなガスポンプ71を用いて調整用ガスが収容されているタンク等のガスを供給する構成とすることができる。また、このとき、調整用ガスから不純物等が流入したり、ガス交換されたガス中の不純物や副生物を除去するために、適宜、フィルターを介してガス交換手段に導入・導出するガスを調整することもできる。
本発明の細胞培養装置は、細胞培養中に、実質的に細胞培養容器等に含まれる培地が外気と接する場が、ガス交換手段内でのみとする構成のため、このガス交換手段内のガスの制御や管理を行うだけで培養系の管理ができる点で優れている。
これは、例えば、細胞培養容器を常温低湿度の環境においたままの安定した培養もできることを意味し、細胞培養しながら顕微鏡観察を容易に行ったり、細胞培養環境の清浄度が低くともガス交換手段のみ清浄度を高くすることで細胞培養の系内は汚染されない培養ができるといった利点を有する。
[第四の実施形態]
図8は、本発明の細胞培養装置に用いられる細胞培養容器の他の実施形態を示すものである。本発明の細胞培養装置において、細胞培養容器は、積層された板状部を有するものであることが好ましい。細胞培養容器21は、それぞれ板状部を有し、容器内の上下の各面が細胞培養時に細胞が接着する接着面となる。このような細胞培養容器21は、複数層積層して用いてもよい。図8においては、6層積層したものである。このとき、各細胞培養容器21の開口部211、212は、開口部211側を多岐管213で連結することができる。多岐管213は、細胞培養容器21の開口部211側に分岐を有し、循環ライン311側は集約され接続口2131の1か所で連結される。同様に、開口部212側は、多岐管214を介して循環ライン313と連結することができる。このような構成とすれば、一の循環ラインや送液ポンプ、ガス交換手段でも、複数の細胞培養容器に、培地循環することができ、省スペースで効率的に多量の接着性の細胞培養を行うことができる。さらに、板状部を有する細胞培養容器を用いているため、培養後の細胞の回収も操作性に優れ、効率的に行うことができる。なお、細胞培養容器の中空状の内層が積層される数は、特に制限はなく、例えば、2以上や、3以上、5以上とすることができ、20以下や、15以下、12以下とすることができる。このとき、各層を構成する部分ごとに分離できるものでもよいし、1枚の板が上下の仕切りとなるように共通するものとしてもよい。
[培養方法]
本発明は、このような細胞培養装置を用いた培養方法に関する。本発明の培養方法は、一部前述したように、中空状の内層を有する細胞培養容器に培地および細胞を充填する充填工程と、前記細胞培養容器に充填された前記細胞を培養する培養工程と、前記細胞培養容器に取り付けられた前記培地を循環するための循環ライン内に設けられた送液ポンプにより前記循環ライン内の前記培地を送液することで前記循環ライン内の前記培地を循環する循環工程と、前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするための中空糸膜を有するガス交換手段によりガス交換するガス交換工程とを有する。
[充填工程]
本発明の培養方法は、中空状の内層を有する細胞培養容器に培地および細胞を充填する充填工程を有する。この充填工程は、細胞培養容器内や、循環ライン等の空気層を細胞懸濁液や培地で満たすように充填する。また、この充填にあたっては、培養対象となる細胞と培地とを細胞培養容器に充填する。細胞懸濁液は、培地を先に充填して細胞を播種することで細胞懸濁液としてもよいし、予め培地に細胞を播種して細胞懸濁液とした状態で、細胞培養容器等に充填してもよい。また、細胞培養容器等から空気層を取り除くために、適宜、脱気して充填したり、排気路を設けて除去してもよい。
[培養工程]
本発明の培養方法は、細胞培養容器に充填された細胞を培養する培養工程を有する。なお、培養工程で、細胞は、細胞懸濁液の状態で培養される必要はなく、細胞培養容器に接着した状態で培養される。
[細胞]
培養の対象となる細胞は、特に限定しないでもよい。細胞培養容器内に接着して培養することが好ましいため、接着性を有する細胞などが好適な培養対象となる。例えば、ES細胞や、iPS細胞、幹細胞、線維芽細胞、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞、HEK293(ヒト胎児腎細胞293:Human Embryonic Kidney cells 293)細胞、脂肪細胞などが挙げられる。
[培地]
本発明の細胞培養に当たって用いる培地は、循環させるため液状培地のような流動性が高い培地であることが好ましい。培地の具体的な組成は、培養対象や、培養目的に応じて適宜調製したものを用いることができる。例えば、DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)、MEM培地(Minimum Essential. Medium)、StemFit(登録商標)培地などや、これらを基に適宜成分調整を行ったり、培養目的等に応じて任意の成分を混合したものなどを用いることができる。
[播種]
培養開始時は、細胞懸濁液などを調整して培地および細胞を細胞培養容器に充填させる。このとき、培養対象の細胞が細胞培養容器の内壁に接着するまでは、培地の循環を停止して培養することが好ましい。播種する細胞量は、細胞の種類や培地との相性、培養期間等を鑑みて適宜設定される。
細胞培養するときの温度は、その細胞の至適温度や、実験条件とする温度などで制御することができる。なお、細胞培養中の培地は外気と接する場が、ガス交換手段に限られるため、湿度などのガスの条件を制御する必要性は低く、ガス交換手段雰囲気に限定した管理でもよい。
[循環工程]
本発明の細胞培養方法は、細胞培養容器に取り付けられた培地を循環するための循環ライン内に設けられた送液ポンプにより循環ライン内の培地を送液することで循環ライン内の培地を循環する循環工程を有する。この循環工程は、細胞培養容器内で細胞が接着して安定したころから、適宜、連続的や断続的に循環させながら、培養工程と併行して行われる。
[ガス交換工程]
本発明の細胞培養方法は、前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするための中空糸膜を有するガス交換手段によりガス交換するガス交換工程とを有する。このガス交換は、限られた場でのガス交換であり、培養条件の管理が行いやすい。一方で、ガス交換手段内では、培地と、調整用ガスとの接触面積を中空糸膜の表面積に応じて広いものとすることができるため、調整用ガスを制御すると優れた応答性でガス交換させて培地のガス濃度を制御することもできる。
さらに、本発明の培養では、培地が循環されるため、細胞培養容器に連続的に供給されながら培養される。このため、細胞培養容器内に仮に空気が一時的に含まれても、その空気は容器外に押し出されるように培養することもできる。押し出された空気はガス交換手段の中空糸膜に補足されたり、ガス交換されて調整用ガス側に吐き出されながら培養できる。このため、細胞培養容器内等の系内は空気層が実質的にない状態での培養ができる。
本発明の細胞培養装置および細胞培養方法は、細胞培養容器内の培地のガス濃度の制御に適している。さらには、培養条件や、培養装置の構成を適宜調整することで、種々の利点を有する培養が可能となる。例えば、湿度制御する場を限定的なものとして周辺環境や装置負荷が低く自由度が高い培養を行うこともできる。また、培養中の培地交換も容易に行うこともできる。また、コンタミを低減した閉鎖系の培養を行うこともできる。また、小型化に適しており、省スペースで大量培養することもできる。さらに、閉鎖系で、大量培養を安定して行うことができるため、自動化にも適している。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[評価項目]
・細胞数
細胞計数装置NC−100(株式会社エステムテクノシステムズ社)を用いて細胞数を測定した。
・溶存酸素
DO計(Scientific Bioprocessing社製)により、溶存酸素濃度を測定した。なお、培養温度(37℃)における水の飽和溶存酸素濃度に対する比率で、溶存酸素濃度(%)を求めた。
・顕微鏡観察
倒立顕微鏡(オリンパス社製)により、培養された細胞の状態を顕微観察した像を撮像した。
[細胞培養装置の構成]
・細胞培養器
板厚約3mmのポリスチレン製の板を上下の板として用いて、幅260mm、長さ210mm、上下の板間隔8mmの薄い略直方体状の細胞培養容器として使用した。下側に用いる板の内面側は、プラズマ処理を行い接着性が向上するものとした。側壁部分は、ガス透過性のシリコーン膜を四方に配置し、四隅に剛性が高いポリスチレン製の柱を設けて高さを保持するものとした(特開2018−33387号公報参照)。さらに、上面の板に幅方向の両端付近に2か所貫通孔を設け循環ライン用チューブの接続部とした。
・循環ライン
シリコーン製チューブにより、循環ラインを設けた。
・送液ポンプ
送液量約20mL/minまで送液可能な送液ポンプ(ウエルコ社製)を、循環ラインのチューブに接続して送液した。培養開始時は約1〜5mL/minの送液とし、培養状態を観察しながら培養後期は5〜10mL/minの送液を行った。
・シリコーン中空糸ガス分離膜カラム
シリコーン製の中空糸膜を内蔵するシリコーン中空糸ガス分離膜(永柳工業株式会社製「M60(膜本数:4500本)」)を、ガス交換手段として用いた。
[試料等]
・細胞
株式会社アステック内で継代培養している、MRC−5(人、肺組織、正常二倍体線維芽細胞, 胎児肺由来)を用いた。
・培地
MEM培地に牛胎児血清(FBS)を10%添加したものを培養用培地として用いた。
・初期播種細胞数
前記細胞4×106cellsを、細胞培養容器内に播種して、培養を開始した。
[実施例1]
第一の実施形態に準じる構成で、前記細胞培養容器に、循環ライン、送液ポンプ、シリコーン中空糸ガス分離膜カラム(ガス交換手段)を取り付けて細胞培養を行った。培養温度は、温度37℃、CO2濃度5%のCO2インキュベーターで培養した。
[比較例1]
細胞培養容器単独で、循環ライン、送液ポンプ、シリコーン中空糸ガス分離膜カラムを取り付けずに、細胞培養を行った。
[評価結果]
培養開始から、3日目および7日目の溶存酸度濃度(細胞培養容器の平面視方向(略長方形)の中央付近と、端部付近)と、7日培養後の細胞数を測定した。測定結果を表1に示す。また、7日時点での顕微鏡観察結果を図9、図10に示す。図9は比較例1、図10は実施例1の顕微観察結果である。
Figure 0006890833
実施例1、比較例1に用いた細胞培養容器は、側壁にシリコーン製のガス交換部を有するため、培養開始から3日目までは、いずれの培養も中央・端部ともに高い溶存酸素濃度を維持した培養ができた。しかしながら、培養が進行し、細胞数の増加等に伴い、酸素消費量が増加すると、比較例1はガス交換された酸素が中央まで到達できなくなったと考えられ、中央の溶存酸素濃度が低下した。一方、実施例1は、培地のガス交換を行いながら循環しているため、中央も溶存酸素濃度が高い状態が維持された。また、培養7日目の細胞数は、実施例1の方が顕著に多かった。顕微観察像からも、実施例1の方が、細胞密度が高いことが確認される。
本発明の細胞培養装置および細胞培養方法は、各種細胞の細胞培養に利用することができ、細胞培養容器内に空気層を必要とせずに培養ができ、閉鎖系で、大量の細胞培養にも適しており、産業上有用である。
10、101、11、12 細胞培養装置
21 細胞培養容器
211、212 開口部
213、214 多岐管
2131 接続部
311〜313 循環ライン
321、322 開閉弁
41 送液ポンプ
51 ガス交換手段
511〜514 開口部
611、612 配管
621、622 開閉弁
71 ガスポンプ
72 フィルター

Claims (7)

  1. ポリスチレンおよび、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される樹脂を用いたものであり、2mm〜15mmの間隔をおいて互いに対面するよう配置された少なくとも2枚の板状部を有し、外部から観察することができる中空状の内層を有する細胞培養容器に培地および細胞を充填する充填工程と、
    前記細胞培養容器に充填された前記細胞を培養する培養工程と、
    前記細胞培養容器に取り付けられた前記培地を循環するための循環ライン内に設けられた送液ポンプにより前記循環ライン内の前記培地を送液することで前記循環ライン内の前記培地を循環する循環工程と、
    前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと酸素濃度および、窒素濃度、二酸化炭素濃度、湿度からなる群から選択される少なくとも1以上が調整されたガスである調整用ガスとのガス交換をするためのシリコーン製の中空糸膜を有するガス交換手段によりガス交換するガス交換工程と、を有し、
    前記細胞培養容器および前記循環ラインから、気相を脱気し、前記細胞培養容器の前記板状部の対面する両面に、接着性細胞を接着させて培養する細胞培養方法。
  2. 前記充填工程における、前記細胞培養容器内の培地および細胞の充填率(培地および細胞の総量/内層の容量)は、90容積%以上である、請求項1に記載の細胞培養方法。
  3. 前記循環工程の前記送液ポンプの送液量が、0.01mL/min〜100mL/minである請求項1または2に記載の細胞培養方法。
  4. 培地および細胞を充填する中空状の内層を有する細胞培養容器と、
    前記細胞培養容器に取り付けられ、前記培地を循環するための循環ラインと、
    前記循環ライン内に設けられ前記細胞培養容器に前記培地を送液する送液ポンプと、
    前記循環ライン内に設けられ前記循環ライン内で循環される前記培地に含まれるガスと調整用ガスとのガス交換をするためのシリコーン製の中空糸膜を有するガス交換手段と、
    前記細胞培養容器および前記循環ラインから脱気するための脱気部及び/または排気路を有し、
    前記調整用ガスが、酸素濃度および、窒素濃度、二酸化炭素濃度、湿度からなる群から選択される少なくとも1以上が調整されたガスであり、
    前記細胞培養容器が、ポリスチレンおよび、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される樹脂を用いたものであり、所定の間隔をおいて互いに対面するよう配置された少なくとも2枚の板状部を有し、外部から観察することができ、
    前記互いに対面するように配置された2枚の板状部の間隔が、2mm〜15mmであり、
    前記細胞培養容器の前記2枚の板状部の前記内層を挟んで対面する両面が、同時に接着性細胞が接着して培養される面である接着性細胞を培養するための細胞培養装置。
  5. 前記ガス交換手段の前記調整用ガスを調整するためのガス調整手段を有する請求項4に記載の細胞培養装置。
  6. 前記循環ラインが開閉弁を有し、前記開閉弁を切り替えることで、前記ガス交換手段を通る循環を停止して、培地を流通させるための配管を有する請求項4または5に記載の細胞培養装置。
  7. 前記細胞培養容器が、積層された板状部を有する請求項4〜6のいずれかに記載の細胞培養装置。
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