JP6886514B2 - 質量分析測定および評価のための微生物試料および微生物の調製 - Google Patents

質量分析測定および評価のための微生物試料および微生物の調製 Download PDF

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Description

本発明は、微生物試料および微生物を調製する方法、ならびにその後の質量分析測定および評価に関する。このような測定から導出できる発見は、種/亜種に従った、微生物試料中の微生物のより速やかな識別、ならびに/または、抗菌物質に対する微生物の耐性/感受性の速やかな判定、ならびに/または、例えば病原性、毒性および代謝に関する、微生物のさらなる特徴付けに、特に寄与する。本発明の好ましい実施形態によれば、前記調製は特に、質量分析試料支持台上で直接行われる。
感染症は依然、医療において主たる問題の一つとなっている。感染は独立して起こり得るが、他の病気の合併症として、または、患者に対する免疫抑制療法および/もしくは異物の使用の結果として、特に発症する。近年、現代医学においてなされた進歩、ならびに、複雑な外科的処置、免疫抑制療法および異物の使用の増加が、さまざまな要因の中で、感染率の増加の原因となっている。この明細書の中で言及されるのは、例えば、固形臓器の移植および骨髄の移植である。
多剤耐性病原体の増加は特に、憂慮される。例えば、細菌(MRSA‐メチシリン耐性黄色ブドウ球菌;VRE‐バンコマイシン耐性腸球菌;シプロフロキサシン、メロペネムもしくはトブラマイシン耐性緑膿菌を含む)または真菌(フルコナゾールもしくはボリコナゾール耐性カンジダ・アルビカンスを含む)である。これらの病原体により引き起こされる感染は、抗菌物質で治療するのが特に困難である。元々がいわゆる「経験的」治療または「計算(calculated)」治療の一部として投与される抗菌薬は通常、その活性スペクトルに多剤耐性病原体を含んでいないため、早い段階で耐性を検出することが、治療の成功に決定的に重要である。耐性微生物の速やかな識別により、これらの病原体に対して有効な抗菌物質に、適時に切り替えることができる。簡略化のために、これらを以下で「抗生物質」と呼ぶ。この用語は、細菌に対して有効な物質だけでなく、真菌および他の微生物に対する薬剤をも意味するものとする。早い段階での適切な抗菌薬治療へのこのような切り替えは、治療の成功にとって決定的な場合がある。
現在、わずか二、三時間内に感受性試験結果を提供できる、表現型(phenotypic)(すなわち、培養ベースの)試験システムまたは個々の試験が特に欠如している。表現型耐性とは、抗生物質の存在にもかかわらず、微生物が生育することを意味している。表現型抗生物質感受性であれば、試験中に抗生物質の存在下で、これが十分な濃度で投与された場合に、生育は阻害される。表現型感受性試験はゴールドスタンダード(gold standard)(標準的な基準)となっている。
その1つの理由は、内在する耐性機構にかかわらず、試験結果が生成されることである。特定の耐性遺伝子を、分子生物学の助けにより、短時間で、例えばポリメラーゼ連鎖反応−PCRによって、検出できるが、この検出は、いくつかの耐性機構についてのみ可能である。他の耐性機構は検出されない。そのうえ、このような分子試験は、すでに公知の遺伝的にコードされた耐性機構のみを検出する。ゆえに、特定の耐性遺伝子が検出されない限り、抗生物質に対する病原体の感受性について、信頼できる陳述を行うことはできない。くわえて、これらの方法により、耐性遺伝子が検出された場合に、表現型耐性について信頼できる予測が常に可能になるわけでは決してない。これは、遺伝子発現の顕現がさまざまであり得るからであり、かつ、微生物は、遺伝子の存在にもかかわらず、抗生物質に対する表現型感受性と反応する場合があるからである。
さらには、遺伝子検出は、非常に多くの耐性機構について不可能である。特定の耐性機構を、その表現型により速やかに検出できる方法には例えば、ある細菌により生成されるβ-ラクタマーゼの検出が含まれる。β-ラクタマーゼは、β-ラクタム抗生物質を開裂でき、かつそれにより、それらを無効にできる、細菌酵素である。検出は、例えば、変色するpH指示薬により、または、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化−MALDI、TOF−飛行時間、質量分析−MS)の助けにより、β-ラクタム開裂を検出することによって行える。MALDI-TOF MSには、開裂していないβ-ラクタムおよび/またはその開裂生成物の質量分析判定が含まれる。これらの方法は、ある状況で好適である場合があるが、1つの特定の耐性機構のみが検出され、かつ、病原体の感受性または耐性についての一般的で決定的な陳述を行えないという、一般的な短所を有している。
ゆえに、一方で、生育に基づく表現型感受性試験を、かつ、それにより一般的な陳述を、通常の試験方法の場合と同様に可能にするが、他方で、通常の方法よりも著しく速い方法が、緊急に必要とされている。このような速やかな試験の一般的な目的は、例えば、わずか数時間内に、たとえば1〜4時間内に、結果を提供することであろう。これらの目標時間の達成可能性は、第一に試験方法に、第二に試験されることになる微生物の特性、例えば生育率に依存している。
感受性試験用に近年開発されたMALDI-TOF MSベースの方法である「MBT ASTRA」は、微生物生育の定量化用の内部標準を使用し、MALDI-TOF MSによる一般的な生育に基づく感受性試験が実現可能であることを証明する(下記非特許文献1および下記非特許文献2)。しかし、これまでに説明した形態の方法は、いくつかの処理ステップを必要とし、それは、研究室での大量の作業を意味する。この労力のために、この方法の支持が低下し、かつ、それゆえに、日常の診断で患者にとって基本的に好適であるこの方法の導入が妨げられ、または、ことによると全く妨げられる可能性がある。
カナダ特許出願第2 467 131 A1号明細書
Lange et al., Journal of Clinical Microbiology, December 2014, Volume 52, Number 12, p. 4155-4162 K. Sparbier et al./Methods 104(2016)48-54 N. G. Morgenhaler et al., International Journal of Microbiology Volume 2015, Article ID 827416, 10ページ Idelevich et al., Clin Microbiol Infect. 2014; 20:1001-1006 Idelevich et al., J Clin Microbiol. 2014; 52:4058-4062
上記説明を考慮して、続く質量分析測定のための生きた微生物試料の調製を簡略化および加速できる方法を提供することが求められている。本発明により達成されることになるさらなる目的は、以下の開示を読むことで、当業者にとってただちに明らかとなる。
本明細書に記載の方法は、例えば、種/亜種の識別、および/または、耐性/感受性試験、および/または、さらなる病原体特徴付けについての、非常に速くて簡単なMSベースの微生物測定のための代替的な方法を示す。本開示は特に、試料の処理/調製の方法に、かつデータ評価アルゴリズムにも関する。
第1の局面によれば、本発明は、続く質量分析測定のための生きた微生物試料の調製のための方法であって、以下の(a)複数の試料スポットを含む試料支持台を設けるステップと、(b)前記試料スポットの少なくとも1つの上に、栄養培地の液滴中の少なくとも1つの生きた微生物試料を沈澱させるステップと、(c)所定の期間、規定の雰囲気を有する温置チャンバ内へ前記試料支持台を配置して、微生物の生育を促進するステップと、(d)前記所定の期間ののち、栄養培地の前記液滴の残留液体を除去して、前記試料スポット上の微生物の沈殿物を露出するステップと、(e)前記試料スポットを、脱離イオン化用に調製するステップと、(f)質量分析計の脱離イオン源内へ前記試料支持台を移送し、前記調製した試料スポットからイオンを生成し、少なくとも1つの対応する質量スペクトルを取得するステップと、(g)前記取得した質量スペクトルを基準データセットと比較して、前記微生物試料の少なくとも1つの特徴を判定するステップとを含む、方法に関する。
本発明の第1の局面は特に、処理された試料の適切なイオン源内でのイオン化用の基板として機能する、平坦な質量分析試料支持台が、先行するステップでの微生物の生育促進温置用の基板としてすでに機能し得るという、新たな発見に特に基づいている。この二重の機能により、研究室でのワークフローがはるかに容易になり、診断手続きに必要な時間が短縮される。これは、複雑で誤りの起きやすい手動の試料移送ステップを回避でき、かつ、微量滴定プレートなどの、別体の調製容器を備える必要がないためである。この手続き上の簡略化により、速くて信頼でき包括的に有効な、微生物の質量分析判定が、臨床診断において確立されるのを支援できる。
さまざまな実施形態において、前記基準データセットは、先に取得した質量スペクトルのライブラリから取られた基準スペクトルを備えていてもよい。ここで、識別の過程に関して、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物試料中に微生物の種または亜種を有していてもよい。この簡単なバージョンでは、栄養培地の液滴は、質量分析試料支持台上で、純粋な生育反応器として働く。専門家であれば、微生物が、ペトリ皿中の寒天層などの平坦な栄養培地上よりも液体中で、より速やかに増殖することができることを認識するであろう。これは、他の要因の中でも、これらが、すべての側で栄養培地により潤されているためである。このように、提案した方法により、臨床環境での患者の生存にとって決定的であることを証明できる、時間的優位性がもたらされる。
特定の場合に、基準データセットを、微生物を起源としない、ステップ(f)で取得された質量スペクトルに含まれる質量信号から導出できる。1つ(またはそれ以上)の基準物質(内部標準)の質量信号は、微生物試料が調製されているときに添加され、かつ、定量化用に使用できるが、例として記載されている。
好ましい実施形態では、前記同じ微生物試料は、ステップ(b)において、複数の試料スポットへと並行して設置される。栄養培地の前記液滴は、ときには抗菌物質を含んでおり、ときには含んでいない。質量分析試料支持台が、耐性/感受性試験用に特に適している。なぜなら、これは、異なる抗菌物質(または、異なる濃度の同じ抗菌物質)の存在下で微生物の生育を同時に監視するための、十分な空間を提供するからである。微生物が、特定の抗菌物質に対して感受性反応(または、それが、そうし始める濃度)を示すかに関する疑問は、例えば、薬剤としての、その効果性を示すであろうが、それゆえに、非常に速やかに信頼できる仕方で明瞭にすることができる。
本方法の特別な実施形態では、抗菌物質を有する栄養培地の複数の液滴が、ときには酵素阻害剤を含んでいてもよく、ときには含んでいなくてもよい。β-ラクタマーゼ阻害剤が酵素阻害剤として使用される場合、大きな臨床上および治療上の関心となり得る。耐性/感受性試験のこの拡張は、調査中の微生物の生育が、β-ラクタム抗生物質の存在によって阻害されないが、β-ラクタム抗生物質とβ-ラクタマーゼ阻害剤との組み合わせの存在下で阻害される場合に、β-ラクタマーゼベースの耐性に関して示唆に富んでいる。
さまざまな実施形態において、前記基準データセットは、試料スポットのごく最近取得された質量スペクトルであってもよく、それに対して、抗菌物質または酵素阻害剤を有さない栄養培地の液滴が、ステップ(b)において設置されており、特徴付けを目的として、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記抗菌物質に対する、または抗菌物質と酵素阻害剤との組み合わせに対する、微生物試料中の微生物の耐性/感受性を含んでいてもよい。このように、ステップ(b)において、それぞれが異なる濃度の抗菌物質(および/または、適用可能であれば、阻害剤)を有する栄養培地の複数の液滴を添加し、かつ、一連の増加または低減する濃度に沿って効果性の程度を査定することにより、微生物に関する抗生物質の最小発育阻止濃度を特に、判定することができる。
さらなる実施形態では、基準データセットは、第2の試料支持台上の試料スポットの質量スペクトルであってもよく、その際、基準データセットとして使用される質量スペクトル用の微生物は、より短い時間温置されており、または、場合によってはまったく温置されていない。ここでの微生物試料は、抗菌物質を有さない、または、抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせを有さない栄養培地の液滴中の試料スポットに設置されるのが好ましい。微生物試料の質量スペクトルに関して試料スポットに最初に設置された微生物細胞の量と、基準データセットとは、同じであるのが好ましい。
ステップ(g)における前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物生育における相違から導出されるのが好ましい。微生物生育における相違は、抗菌物質のみによって、または酵素阻害剤との組み合わせにおいて、引き起こされる、生育阻害を見つけることができたかどうかに依存して、取得された質量スペクトルにおける微生物に特有の質量信号記録(mass signal signature)の顕現または強度に反映される。簡単なバージョンでは、温置の前に測定された微生物試料中の微生物の量が、信頼できる識別のために十分でない場合に、微生物生育を、種の成功した識別を根拠として査定することができる。MALDI Biotyper(登録商標)アルゴリズムを、周知の識別方法の例として挙げることができる。MALDI Biotyper(登録商標)アルゴリズムは、計算された類似度指数(いわゆる「ログ(値)(log(Score)」)が1.7以上である限り、微生物の種の許容可能に信頼できる識別を保証する。高度な信頼性が、2.0以上の類似度指数により実現される。
さまざまな実施形態において、ステップ(b)における前記微生物試料は、量が前記質量分析測定の検出限界をわずかに下回るよう、栄養培地の前記液滴に投与されてもよい。特に、微生物生育を促進するために試料支持台を温置チャンバ中に置いたままにすべき時間の長さを、このようにして最小に低減することができる。検出限界に達する、または、それをわずかに上回る生育はそれ自体、背景信号は別として示唆に富むデータを含まない測定と比較して、微生物の存在または特徴に関する指標として解釈できる。
さまざまな実施形態において、調査中の微生物について最適または必要な生育条件を作り出すために、ステップ(c)における前記温置チャンバ内の温度および湿度がそれぞれ、約36℃(これは、必要な場合があり、または、温置用もしくは感受性試験用に指示されることさえある)および飽和付近に設定されてもよい。目的は一般に、生育における相違が最もはっきりと明らかにされる温置チャンバ内の条件を作り出すことのはずである。36℃という温度は人体の温度におよそ対応しており、それらの宿主としての人間の中で特殊化している微生物にとって適切である。例えば、獣医、食品または環境診断においては、他の温度が、宿主または周囲環境が微生物に好まれるものに応じて、最も適切なものとして識別されることも大いにあり得る。100%に近い高い空気湿度は、試料支持台が温置チャンバ内にある(一般に1〜18時間)、通常数時間に達する所定の期間にわたって、微生物の生育用に利用可能な液体の体積がおおよそ同じままとなるよう、栄養培地の液滴が早まって蒸発するのを特に防ぐ働きをする。
さまざまな実施形態において、ステップ(d)における(温置ステップ後の)残留液体の前記除去は、吸収性の材料により液滴浮遊物を拭い取ること、または、それをピペットで取り去ることを含んでいる。これらのバージョンには、栄養培地の液滴中に存在する物質の残留物が、液体とともに試料スポットから大分部除去され、それにより、続く質量分析測定における化学的背景を低減できるという利点がある。しかし、例えば熱風送風機の助けにより、短い期間中、液体を蒸発させることも可能である。この場合、液体栄養培地中の物質は、微生物沈殿物上に凝結し、続いて、それと一緒に少なくとも一部が、続く質量分析測定用に調製される。
異なる実施形態において、ステップ(e)における前記調製は、前記微生物沈殿物からの微生物タンパク質/ペプチドの予備的な抽出、および/または、前記微生物沈殿物の洗浄、および/または、マトリックス支援レーザー脱離(MALDI)により、続くイオン化を目的として、レーザー光吸収性マトリックス物質中に、前記微生物沈殿物を埋め込むことを含んでいてもよい。抽出の場合、取得された質量スペクトルにおける微生物に特有の質量信号の数が増加してもよく、そしてそれゆえに、測定の情報上の価値が向上してもよい。これは、調査中の微生物の種/亜種による識別が目的である場合に、特に当てはまる。1つまたはそれ以上の洗浄ステップが、微生物沈殿物からのほぼ遍在する塩を除去するために特に適切である。これは、他のやり方では、イオン化効率を減少させる場合がある。このようにして、調製の方法をさらに最適化することができる。マトリックス物質についての例は、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、シナピン酸、または、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸である。MALDI法は、微生物のイオンベースの調査における、非常に重要で信頼できる道具であることが証明されている。同時に、これは、飛行時間分散を有する質量スペクトルを取得するのに理想的な、パルスイオン生成を可能にする。
しかし、マトリックス物質の塗布を必要としない他の種類の脱離イオン化を、例えば脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)または二次イオン質量分析法(SIMS)によるイオン化といった、記載の方法とともに使用できることも考え得る。非常に特殊な場合では、ステップ(e)における調製は、微生物沈殿物のさらなる処理なしに、例えば数分の短い待ち時間だけを含んでいてもよい。
好適には、ステップ(f)における前記質量スペクトルは、飛行時間分散により取得される。飛行時間質量分析計は現在、それらの高解像度、速い測定時間および幅広い質量対応(mass acceptance)ゆえに、微生物の臨床および非臨床分析の両方において、「ゴールドスタンダード(標準的な基準)」とみなすことができる。飛行時間原理に従って作動する質量分析計の例には、市販のBruker Daltonik GmbH社のmicroflex(登録商標)シリーズのものがある。
さまざまな実施形態において、前記微生物試料は、(i)ステップ(b)において、前記少なくとも1つの試料スポット上で、栄養培地の前記液滴中の懸濁液として投与され、または、(ii)まず、前記少なくとも1つの試料スポット上で、細胞の形態で沈澱され、続いて、投与された栄養培地の液滴に浸漬されてもよい。さらなるバージョンでは、抗菌物質は(かつ、適切であれば、酵素阻害剤も)、微生物試料および/もしくは栄養培地と一緒に、または、それらと分離して、試料スポット上に設置できる。原則として、まず液滴が投与され、次いでそこに微生物試料が導入されるように、沈澱および投与の順序を逆にすることも考え得る。
さらなる局面によれば、本開示は、続く質量分析測定用の微生物の調製のための方法であって、(a)例えばBruker Daltonik GmbH社のMSP 48/96 ターゲット研磨鋼(target polished steel)BCといった、複数の試料スポットを含む平坦な試料支持台を設けるステップと、(b)培養され、かつ/または、前記試料支持台から分離された、そのままの微生物を、前記平坦な試料支持台の少なくとも1つの前記試料スポット上で、好ましくはナノピペットまたはマイクロピペットで栄養培地の液滴中に沈澱させ、移送される液滴の量は1〜10マイクロリットルの間となってもよいステップと、(c)微生物沈殿物が前記試料スポット上に形成されるよう、所定の休止期間、好ましくは約10〜60分、前記平坦な試料支持台を維持するステップと、(d)微生物の前記沈殿物を露出するために、前記所定の休止期間ののち、栄養培地の前記液滴から残留液体を除去するステップと、(e)前記試料スポットを、好ましくはMALDIマトリックス物質によって、脱離イオン化用に調製するステップと、(f)質量分析計の脱離イオン源内へ前記試料支持台を移送し、前記調製した試料スポットからイオンを生成し、少なくとも1つの対応する質量スペクトルを取得するステップと、(g)前記取得した質量スペクトルを基準データセットと比較して、前記微生物の少なくとも1つの特徴を判定するステップとを含む、方法に関する。
本発明者は、平坦な表面上の微生物沈殿物が、最大1時間という比較的短い休止期間後に形成でき、その結果、ある種の「バイオフィルム」としてそこに沈降した微生物を、残留液体から丁寧に解放でき、かつ、続く質量分析測定により確実に検出できることを、突きとめた。この驚くべき発見を活用して、本開示の第1の局面に係る同じ質量分析試料支持台上で行われる生育促進および質量分析測定用の調製を目的とする、微生物の培養(または温置)を、第2の局面に係る異なる基板上で行うことができる。この特別な分離により、特にワークフローの自動化における、適用の可能性が開かれる。これは、臨床環境において、自動化された培養プロトコルが、MALDI-TOF MS支持台などの平坦な方面上よりも、規格化された微量滴定プレートのウェルなどの容器内で、恐らくより容易に行えるからである。原則として、第1の局面に係る方法の説明は、第2の局面に係る方法にも、説明を第2の局面に係る方法に適合させられるのであれば、当てはまる。
さまざまな実施形態において、前記基準データセットは、先に取得した質量スペクトルのライブラリから取られた基準スペクトルを有していてもよく、識別に関して、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物の種または亜種を含んでいる。
さまざまな実施形態において、前記微生物は、ステップ(b)において設置される前に、前記平坦な試料支持台から離れた少なくとも1つの容器において、液体栄養培地中で培養でき、そこから前記試料スポットへと移送でき、培養は、好ましくは、調整された/温度制御された定温器内で約4〜24時間かかる。培養は、(上述したように、好ましくは抗生物質がある場合、および、ない場合の両方において)微生物の感受性試験用に特に有用である。特定の毒性因子または他の微生物特徴を指摘し得る、質量スペクトル中の特定のタンパク質の識別または判定用に、培養は絶対に必要というわけではなく、それゆえに、保護される方法の一部である必要はない。例えば研究室で他の処理の結果として生成されたものといった、既存の微生物懸濁液を使用することもできる。一例を挙げると、例えば細菌の懸濁液は、液体中の寒天プレート上に存在する細菌コロニーを分解することにより、生成される。これに、寒天などの固形培地上での細菌の培養が先行してもよく、それにより、コロニーの生育が可能となる(これらは、以前からこの形態で、すでに利用できるようになっている)。さらなる例として、MALDI Sepsityper(登録商標)キットでは、特定の患者の血液および液体培地を、かつ陽性の場合には培養した病原体をも含む、血液培養陽性ボトルからの液体を使用する。このキットは、(続くタンパク質抽出およびタンパク質のMALDI測定とともに)溶解/遠心分離法によってさらに、この陽性の液体からの病原体を補強する。あるいは、数マイクロリットルの血液培養陽性液体を、スポット上に設置してもよい。熱を加える温置なしで、単に室温であっても、微生物細胞は、(i)沈降することになり、(ii)支持台の表面に貼着することになり、(iii)さらには、大半の種が、室温で、少しの程度、増殖することにさえなる。
さまざまなさらなる実施形態において、前記同じ微生物は、複数の(外部の)容器において培養されてもよく、抗菌物質が、ある場合には前記液体栄養培地に添加されてもよく、他の場合には添加されないでもよい。くわえて、酵素阻害剤が、添加された抗菌物質を有する、異なる容器中の前記液体栄養培地に、ときには添加されてもよく、ときには添加されないでもよい。1つの例が、β-ラクタマーゼ阻害剤である。
さまざまな実施形態において、前記基準データセットは、抗菌物質または酵素阻害剤を有さない液体栄養培地を起源とする微生物沈殿物が配置される試料スポットの最近取得された質量スペクトルであってもよく、特徴付けを目的として、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記抗菌物質または抗菌物質と酵素阻害剤との組み合わせに対する、前記微生物の感受性を含んでいてもよい。特別なバージョンでは、前記同じ微生物は、それぞれが異なる濃度の液体栄養培地を有する異なる(外部の)容器において培養されてもよく、特徴付けを目的として、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物に対して、最小発育阻止濃度の前記抗菌物質を含んでいてもよい。
ステップ(g)における前記少なくとも1つの特徴は、例えばMALDI Biotyper(登録商標)アルゴリズムによる信頼できる、および不首尾の識別の間の相違にそれ自体現れてもよい、前記微生物生育における相違から導出できる。
前記培養の開始時に、前記微生物は、量が前記質量分析測定の検出限界をわずかに下回るよう、例えば、栄養培地1ミリリットルにつき約105cfuで、特にスポットごとに少なくとも約100マイクログラムの濃度に至るように、投与される。
さまざまな実施形態において、ステップ(d)における前記平坦な試料支持台からの前記残留液体の前記除去は、吸収性の材料により液滴浮遊物を拭い取ること、または、それをピペットで取り去ることを含んでいてもよい。
ステップ(e)における前記調製は、前記平坦な試料支持台上の前記微生物沈殿物からの微生物タンパク質/ペプチドの予備的な抽出、および/または、前記微生物沈殿物の洗浄、および/または、ステップ(f)におけるマトリックス支援レーザー脱離(MALDI)により続いてイオン化するために、レーザー光吸収性マトリックス物質中に、前記微生物沈殿物を埋め込むことを含んでいてもよい。
ステップ(f)における前記質量スペクトルは、(飛行時間型質量分析計において)飛行時間分散により取得される。
さまざまな実施形態において、前記微生物は、(i)前記液体栄養培地中の懸濁液として、前記(外部の)容器内へと投与されてもよく、または、(ii)まず、細胞の形態で前記(外部の)容器内に導入されてもよく、その後、液体栄養培地が添加される。栄養培地の量は、例えば10〜100マイクロリットルであってもよい。
さまざまな実施形態において、培養に関し、微量滴定プレート中のウェル(または複数のウェル)が、前記(外部の)容器として使用されてもよい。代替案として、ステップ(a)からの前記試料支持台プレートは、平坦な試料スポットを有する第1の平坦な区分と、表面にウェルを有する第2の区分とに分割されてもよい。前記ウェルは(外部の)容器として(前記第1の平坦な区分から離れて)使用され、ステップ(b)においてその中で培養された前記そのままの微生物は、前記第1の平坦な区分中の平坦な試料スポット上へと移送される。
本発明は、以下の図面を参照することにより、より良く理解できる。図中の要素は必ずしも等尺でなく、(大部分模式的に)本発明の原理を示すことを主に意図している。図において、同じ参照番号は、異なる図における対応する要素を示す。
微生物細胞の質量分析でしばしば使用される、検出器4で終わる直線軸の飛行経路2と、マトリックス支援レーザー脱離(MALDI)用の上流のイオン源6とを有する、質量分析計10用の実施形態を示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 識別を目的とする、微生物試料中での微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 微生物試料の耐性/感受性試験のための方法を示す模式図である。 耐性/感受性試験用の結果を示す図である。 耐性/感受性試験用の結果を示す図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 本開示の第2の局面に係る、微生物のための調製の方法を、例として示す模式図である。 一方の端に、平坦な区分であって、それゆえに、質量分析試料支持台として(かつ、必要であれば、その上での調製用に)使用できる平坦な区分を有し、かつ、他方の端に、液体栄養培地中の微生物の培養/温置用の、埋め込まれた容器を備える区分を有する、組み合わせた試料支持台の実施形態を示す図である。
本発明の第1の局面に従って、質量分析検出用の試料スポット上で十分な数の微生物を生成するため、質量分析試料支持台直上での、生きた微生物試料の調製方法を、微生物の培養のために、単独で使用できることが発見された。この簡単ではあるが、それにもかかわらず驚くほど効率的な実施形態では、生きた微生物細胞が懸濁または浸漬されている栄養培地の液滴が、いわば増殖反応器として機能する。
図2A〜図2Gは、続く質量分析測定を伴う、試料支持台直上の液滴における、このような培養方法を示す模式図である。
平坦な試料支持台12には、異なる箇所(「スポット」)で、微生物懸濁液の液滴14が配置されている。この液体は、カチオン調整ミューラーヒントン培養液またはアイソセンシテスト培養液などの栄養培地を含んでいる。液滴14は、必要に応じて、1〜10マイクロリットル、例えば2、4、6または8マイクロリットルの体積を有していてもよい。試料スポットを、支持台表面上で標識付け(label)してもよいし、または、支持台12の、他の点では特徴のない表面上で十分に離れた位置に配置してもよい。例えば、96個の標識付けしたスポットを有するアンカーチッププレートを、支持台12として使用してもよい(ドイツのブレーメン州、Bruker Daltonik GmbH社)。あるいは、試料スポットを、設置した栄養培地の液滴14により、規定(define)してもよい。設置した栄養培地の液滴14は、図2Aに示されるように、試料支持台12の表面が十分に疎水性のとき、広がれない。
支持台12は、この例では、それぞれが異なる微生物を含む5つの液滴14が設置され、温置チャンバ16内に置かれる。そこで、規定の、制御された、36℃で相対湿度がほぼ100%の雰囲気下で、例えば最大で約18時間、維持される。
ここで、微生物試料の設置は無論、温置チャンバ16内で行われてよいことを指摘しておく。このように、試料支持台12上へと試料を沈澱させ、かつ、温置チャンバ16内に試料支持台12を配置する、本発明に関連する方法を構成する各ステップは、本開示中に記載する手順の考え得るすべての実施形態において、順序を逆転させることができることに留意されたい。
温置チャンバ16内の湿度は、例えば塩化ナトリウム溶液で調整してもよい。温置チャンバ16内でのそれらの時間中に、微生物は、液滴14中の栄養培地を代謝させ、増殖できる。繁殖は、液滴14中の元々は透明であった栄養培地が数時間後に濁る(図示せず)という事実により、視覚化できる。しかし、質量分析により検出できる微生物生育に関し、培地が濁ることは絶対必要ではないが、これは、十分に長い温置時間を考えると、図2Bに示すように視覚的な処理制御指標として機能し得る。驚いたことに、発明者は同時に、増殖した微生物が、液滴14と支持台との間の境界において、十分な量で定着して、続く液体の低減(除湿)または乾燥を大いに促進することを観察した。図2Cを参照。
1つの実施例では、液滴の浮遊物中の残留液体を、支持台表面上の微生物細胞20の沈降した集塊がほぼ完全に露出されるまで、マイクロピペットまたはナノピペット18によって、慎重に吸い取ってもよい。図2D〜図2E参照。上述した沈降挙動は、このような仕方で栄養培地の残留液体が除去されたのちに、十分な微生物が試料スポット上に残っていることを意味しており、ゆえに、質量分析計の検出器における検出可能な質量信号の生成についての根拠が維持される。
その後、試料スポット上の露出された微生物沈殿物20を、図2Fに示すように試料支持台12直上のマトリックス支援レーザー脱離によりイオン化するためのマトリックス物質で被覆できる(タイルハッチングで描いたピペット22の先端)。くわえて、タンパク質/ペプチド抽出用の物質の追加などの、さらなる予備的なステップ、および/または、洗浄ステップ(図示せず)を、これの前に挿入してもよい。これらは専門家にとって公知である。
質量分析計のイオン源において、このように調製された試料スポットは、図2Gに示すようにレーザー24を照射され、そのようにして、試料スポット上の微生物20の、沈降して調製された膜からイオンを生成し、それは、接続された質量分析器に供給されて測定されることになる。
その後スペクトルデータベースからの基準スペクトルと比較し、MALDI Biotyper(登録商標)(ドイツのブレーメン州、Bruker Daltonik GmbH社)などの公知の評価アルゴリズムにより、取得された質量スペクトル中の特定の質量信号から、培養された微生物の種または亜種を高度の信頼性で導出できる。このような評価についての手順は、専門家にとって公知であり、ここで、より詳しく説明する必要はない。
微生物を質量分析試料支持台直上で培養したのちの、上述した純粋な識別測定に加えて、本開示は、以下に説明するように、耐性/感受性試験用の微生物試料を調製するための方法および試験キットをも提供する。
感受性試験用の従来の装置は通常、規格化されたいわゆる「パネル」に入れられた、多数の抗生物質を同時に(例えば12〜18個)試験する。結果は通常、同じ作業日には利用できない。それは、これらが、長めの温置および反応時間(通常の温置期間:10〜24時間(いわゆる「一晩温置(overnight incubation)」))を必要とするためである。実際の臨床状況では、特定の患者およびその病気により特に示唆された、または、特定の患者にすでに投与されている、ただ1つまたは数個の抗生物質を試験すれば十分であろう。しかし、例えば、臨床改善が抗生物質投与下でまったく観察できないのであれば、効果性を早急に確認する必要があるであろう。ここで、敗血症などの生命にかかわる感染症の場合には特に、このような試験の結果を、患者を治療する医師に対して、治療について判断を下すのを助けるために、翌日ではなく、例えばわずか数時間という著しく短めの期間内に利用できるようにすることは、非常に重要である。
この理由で、本説明では特に、個々の迅速試験、すなわち、特定の微生物または微生物の群に対する特定の抗生物質の試験を行うための方法および装置(試験キット、消耗品および他の道具)に焦点を合わせている。これは、必要な場合に多数の抗生物質の同時の、または速やかな試験用に、複数の抗生物質の同時の試験に対して調節された、同じ、または類似の、または導出された原理の使用を排除しない。
第1の局面に従って記載された方法の特徴の1つは、耐性/感受性試験、または、必要とされる手順上のステップの少なくとも大半が、MALDI-TOF MS支持台などの質量分析試料支持台(すなわち、この目的に適した、例えば研磨鋼やセラミック製の、質量分析計のイオン源における測定中にイオン化の基板として機能する、平坦な導電性のプレート)直上で行われる、という事実である。記載の方法では、感受性試験は生育ベース(培養ベース)である。すなわち、本方法は、表現型感受性試験であり、それゆえに、(あるとすれば)内在する耐性機構から独立している。
抗生物質を伴うおよび伴わない微生物の生育(後者は生育制御を特徴付ける)は同様に、MALDI-TOF MS支持台直上で行うことができ、その上で測定も続いて行われる。これにより、第1の局面に従って記載された方法は、微生物がMALDI-TOF MS支持台から離れて培養された、既存のMALDI-TOF MSベースの方法と区別される。このような方法により、(生育制御用の)抗生物質を伴うおよび伴わない培養は、まず微量滴定プレートの培養容器またはウェル中で行われ、その後、微生物または微生物タンパク質がこれらの容器またはウェル中で隔離され、続いてMALDI-TOF MS支持台上に移され、次いで測定される。しかし、これには一連の労働集約的な手動のステップが必要であり、それは、このような方法を、型通りの診断作業に組み込むのが難しいことを意味している。しかし、本発明に係る第1の局面に係る提案された方法は、試料のはるかに簡単かつ速やかな調製を可能にする。
図2A〜図2Gと類似の仕方で、本明細書に記載の処理ステップを、例として、図3A〜図3Hを参照して説明する。図3A〜図3Hは、それらの考え得る意義を模式的に説明するのに役立つ。しかし、当該分野の開業者であれば、特定の処理ステップを、修正された形態で実行できることを認識するであろう。当業者であれば、ここで提案されたワークフローを、方向付けの助けとして取り上げるであろうし、かつ、適切な場合には、これが自分たちにとって必要または有用と思えれば、その型通りの技能および知識に沿って、そこから外れることもあるであろう。
図3Aを参照して抗生物質(例えば、液体栄養培地中の抗生物質溶液)を、培養容器中またはMALDI-TOF MS支持台12のスポット直上で、微生物懸濁液と混合してもよい(ハッチングした液滴14で示す)。くわえて、これには一般に、MALDI-TOF MS支持台の異なる区分上での生育制御、すなわち、抗生物質を添加しない栄養培地中の微生物懸濁液培養が伴う(ハッチングしていない液滴14で示す)。非常にわずかな量の懸濁液を、例えば1〜10マイクロリットル、スポットに設置するのが好ましい。このようにして、感受性試験が、好ましくは約4〜8マイクロリットルの体積で、マイクロ液滴14、14中で行われる。例えばナノ液滴の形態で、さらにわずかな体積を使用することも、原則として可能である。液滴14、14中の当初の微生物濃度は、直線の飛行経路を有する従来のMALDI飛行時間質量分析計の検出限界をわずかに下回り、ゆえに、例えば1ミリリットルにつき約5×105cfuとなる場合がある(cfu−コロニー形成単位)。
図示した例では、試験溶液を有するMALDI-TOF MS支持台12は続いて、定温器中のいわゆる「湿度チャンバ」16において、高湿度で培養される。図3Bを参照。湿度チャンバ16の目的は、液滴14、14が、温置中に早まって蒸発するのを防ぐことにあり、MALDI-TOF MS支持台を容易に配置できる、例えばプラスチック製の、蓋付きの箱の形態をとってもよい。
この湿度チャンバ16は、市販のMALDI-TOF MS支持台(ドイツのブレーメン州、Bruker Daltonik GmbH社)用の通例の輸送または保存容器のものと類似の形態を有していてもよく、ここでMALDI-TOF MS支持台12を、MALDI-TOF MS支持台12の表面上の液滴14、14に蓋が接触しないよう、その中に十分深く配置できるように設計されているのが好ましい。わずかな量の液体、例えば0.1〜5ミリリットルの水またはNaCl溶液、を湿度チャンバ16内に置いてチャンバ16内の雰囲気を加湿でき、それにより、栄養培地の液滴14、14自体の蒸発を防ぐよう、高い周囲湿度(ほぼ100%)を設定することができる。
液滴14、14において、わずかな体積の液体中の微生物の高い濃度は、(生育が抗菌物質により阻害されない限り)温置中に急速に実現される。十分な期間ののち、MALDI-TOF MS支持台12を有する湿度チャンバ16を、温置棚(図示せず)から取り出すことができる。
次いで、MALDI-TOF MS支持台12が湿度チャンバ16から取り出され、支持台上の液滴14、14が乾燥される。乾燥は、例えば空気中で、受動的であってもよく、または、例えば、能動的に生成された気流、熱の作用、両方の組み合わせ、または他の方法により、加速されてもよい。液滴14、14中の液体の非常にわずかな体積(ナノリットル〜マイクロリットル)のために、乾燥は非常に急速に起きる。しかし、(例えば熱気による)液滴のこの簡単な乾燥には、微生物細胞だけでなく、タンパク質および液体栄養培地の他の成分もMALDI-TOF MS支持台12のスポットで補強されて、MALDI-TOF MS測定に干渉するという短所を有する場合がある。この潜在的な問題は、MALDI-TOF MS支持台12直上で、微生物細胞を栄養培地から分離することにより、矯正できる。
乾燥および分離の両方の場合において、その目的は、続く調製用に試料スポットを調製するために、栄養培地の液滴14、14の残留液体を大部分除去することにある。上で示唆したように、本発明者は、その調査中に、微生物細胞が、数時間かかる場合のある温置中に沈降し、次いで、MALDI-TOF MS支持台12の表面直上に主として蓄積する傾向を有するように見えるということを突きとめた。ある程度まで、細胞は支持台12の表面に貼着(「貼り付き」)して、ある種の「微生物バイオフィルム」を形成し、それにより、液体成分が、その上に位置する「浮遊物」を形成する。図3C参照。微生物が平坦なプレート上の液滴内で生育する際のこの挙動について完全な科学的説明を提供しようと望むことなく、プレート表面と微生物細胞との間の物理的な相互作用、ならびに、微生物細胞の表面の生化学的および生物物理学的な特性から生じる貼着過程が、顕著な沈殿物形成の原因であると仮定する。
この新たな発見を活用し、図2Dを参照してすでに説明したように、浮遊物液体栄養培地(残留液体)を、MALDI-TOF MS支持台12上で、液滴14、14からピペットで取り去ることができる。あるいは、液体を単に拭い取って、液体から微生物沈殿物を露出させることもできる。例えばKimWipes(登録商標)といった例えば生物学/科学研究所で一般に使用されているような、吸収性の低リント拭き取り布26を、この目的のために使用できる。図3D〜図3Fを参照。ここで分離は、直ちに起こり、他の要因の中でも毛管効果によって説明できる。分離は、(吸収紙、吸い取り紙、手入れに弱い(cleaning sensitive)表面用の柔らかい布などの)例えば畳んだ布により手作業で拭うことにより、または特別な装置の助けにより、行える。そのように装置は、例えば、吸収性の材料のシートまたはパッドを有していてもよい。特に均一で、急速で、規格化された拭い取り用の、吸収性の材料のシートまたはパッドは、液滴14、14との流体接触が成立するのを可能にするほど十分に接近してMALDI-TOF MS支持台12上方に簡単に配置されており、数秒の比較的短い吸収時間ののちに再び除去される。
拭うことの代替的な実施形態において、液滴と吸収生地との間の接触は、(図3D〜図3Fに示すように、試料支持台表面に垂直な)垂直方向ではなく、試料支持台の表面に接近した、液滴の横方向の縁で成立してもよい。これにより、(i)栄養培地の残留液体が、より速く、かつ、より完全に吸収され、かつ、(ii)表面におけるスポットの中央に優先的に蓄積する細胞が、吸収性の生地に決して接触せず、その結果、意図しない細胞の除去の危険が低減されるのを保証することができる。液体吸収のこの変更により、質量スペクトルにおける背景をさらに低減することができ、それにより、測定の品質を、より向上できる。
上に説明した残留液体の除去のこれらのバージョンも、おおむね除湿された(または、残留液体の枯渇した、露出された)微生物沈殿物20につながり、干渉する可能性のある栄養培地が、対応する試料スポット上にほとんど残らない。この沈殿物は、続く質量分析測定のための基礎として機能する。
ここに記載したように、液体を拭い取る、またはピペットで取り去ることにより、液体栄養培地から細胞を分離することは、高品質のMSスペクトルを有する、非常に効果的な測定につながる。液滴の(受動的な)乾燥と比較した、この分離のさらなる利点は、分離が極めて速やかに(直ちに、または即座に)起こり、それにより、確実に時間が節約され、かつ、試料のさらなる処理が直ちに起こるのを可能にするということにある。しかしながら、より徹底して残留液体を枯渇させるために、特定の実施形態では、加熱した乾燥気流により、拭うことを実現できる。
液体培地から細胞を分離することについて記載した方法は、浮遊物の続く除去を伴う遠心分離にも同様に効果的であるが、追加の時間をかけずにMALDI-TOF MS支持台直上で行うことができる。例えば固定支持台(anchor support)(ブレーメン州、Bruker Daltonik GmbH社、AnchorChip)などの特別なMALDI-TOF MS支持台を、または、円錐台形の形状の個々の試料スポットを有するMALDI-TOF MS支持台を、例えば使用することにより、分離作用をより一層高めることができる。浅いが、わずかに円錐とされたウェルにより、細胞沈降効果を高められるであろう。支持台直上で液体試料を洗浄する他の方法も、使用できる。
生育相の間に試料支持台上での微生物沈殿物(貼着)の形成を促進するために、スポット表面を、例えばタンパク質または糖といった、異なる貼着促進物質で被覆してもよい。これらの物質は、測定、および/または、微生物の質量スペクトルの、基準データセットとの比較に干渉しないように選ばれるのが好ましい。これは、これらの物質の質量信号を、通常m/z 2,000〜m/z 20,000の、例えばm/z 3,000〜m/z 15,000の質量範囲の外側で評価することにより、達成できる。あるいは、貼着を促進する特性を有する物質(例えばタンパク質)を選ぶことができ、それを、標準物質として、すなわち、測定の品質が良好であることの指標として、および/または、強度標識として、同時に使用できる。この場合、これらの標準物質の質量信号は、評価されることになる質量範囲内にあってもよい。さらには、強化された貼着特性および/または強化された表面仕上げを有する材料を、MALDI-TOF MS支持台の製造用の材料として、最初から使用してもよい。
対応するスポット上での、液体栄養培地の液滴の乾燥または分離後に、スポットは、すでに上で説明したように、支持台がMALDI-TOF MS器具内に導入されて、例えばタンパク質またはペプチドといった微生物の生体分子を測定する前に、図3G〜図3Hに示すように例えばMALDI-TOF MS分析用のマトリックスで被覆される(タイルハッチングを有するピペット先端22を参照)。
マトリックス物質が塗布される前に、または、マトリックス物質が塗布されると同時に、例えばギ酸またはアセトニトリルといった異なる物質を添加して、微生物タンパク質の抽出を向上させることができ、これらの物質は測定(図示せず)の助けとなる。脱イオン水の液滴を、洗浄液滴として微生物沈殿物に添加し、かつ、塩を除去するために再び除去することもできる。測定後、結果をアルゴリズムに従って評価することができる。アルゴリズムは、以下に、より詳しく説明する。これには、抗生物質の存在下で、微生物の生育を査定し、かつ見積もることが含まれる。ここでの基本的な原理は、感受性微生物の生育が抗生物質の存在下で阻害される一方、耐性微生物は抗生物質にかかわりなく生育できるということである。生育制御、すなわち同じMS試料支持台上での抗生物質なしの微生物懸濁液の試験、を含めることは、評価、および、対応する評価アルゴリズムにとって有用な場合がある。図3Bおよび図3Cは、生育、ならびに、感受性(実線)および耐性(破線)に関する沈降挙動を、比較のために模式的に示している。
本方法の1つの実施形態では、微生物を、複合的な微量滴定プレート上で、抗生物質あり、およびなしに、培養することができ、そこでは、上記特許文献1(その中の図10)に記載のように、MALDI-TOF MS支持台などの平坦で平らな質量分析試料支持台が、底を形成し、かつ、貫通孔を含む取り外し可能な頂部とともに、ウェルのグリッドを提供する。設けられた反応容器またはウェルは(例えば試験キットとして)、微生物懸濁液を添加する前に、例えば、溶液、粉末の形態の、または、凍結乾燥された形態の抗生物質をすでに含んでいてもよい。微生物生育を伴う、または微生物生育を欠いた、十分な温置期間ののちに、液滴の残留液体を、例えば乾燥により除去し、頂部をMALDI-TOF MSプレートから取り外す。次いで、これに、上述したようにMALDIマトリックス調整が、かつMALDI-TOF MS測定が続く。
さらなる実施形態では、MALDI-TOF MS支持台は、別体の定温器内で温置されず、温置機能は、例えば温置ユニットまたは温置モジュールの形態で、MALDI-TOF質量分析計または完全なシステムに直接組み込むことができる。これにより、自動化、および、必要な手動の調製ステップにおけるさらなる削減が可能となる。さらなる実施形態により、湿度チャンバ自体での加熱装置の一体化が提供され、次いで、それにより、定温器の機能を見込まれて、別体の定温器を設ける必要を不要にできる。
くわえて、乾燥粉末の形態で、または異なる形態で、スポット上で抗生物質によりすでに事前処理された質量分析試料支持台の使用により、ユーザにとって感受性試験を行うことを、より容易にすることができる。
図4Aは、カルバペネムの群からのβ-ラクタム抗生物質メロペネムに対して、通性嫌気性のグラム陰性桿菌であるクレブシエラニューモニエの例を使用する、耐性/感受性試験の結果を示している。試料調製は、図3A〜図3Hに模式的に説明したように、試料支持台直上で行われた。投与された液滴の体積は6マイクロリットルであり、かつ、抗生物質の濃度は、1ミリリットルにつき2マイクログラムであった。適切に調節された温置チャンバ内での滞留時間は4時間であった。MALDI飛行時間質量スペクトルは、市販品MALDI Biotyper(登録商標)のソフトウェアモジュールによって評価した。細菌の、1つのメロペネム耐性株(上の質量スペクトル)および1つのメロペネム感受性株(下の質量スペクトル)を、それぞれ試験した。MALDI試料支持台プレート上で調製された抗生物質なしの生育制御を、それぞれの場合において、右側のスペクトルに示す。
耐性株の場合に、2つの最高スペクトル中の比質量信号の記録は、ほとんど異ならないことが明瞭に理解できる。ゆえに、これは耐性であると結論することができる。なぜなら、細菌生育はメロペネムの存在下で阻害されていないことが自明であり、種の確かな識別が可能だからである。他方で、感受性株の場合、比質量信号記録は、生育制御(右下)のスペクトルにのみ見ることができる。しかし、メロペネムの存在下(スペクトル左下)で、クレブシエラ細胞が増殖できない(または、ほとんどできない)ことは自明である。左下スペクトルで目立つ個々の質量信号は、微生物定量化の目的のために栄養培地の液滴に添加された基準物質に属しているが、本明細書に特に記載する調査においては、考慮されていない。生育を欠いたこれらの条件下で、評価ソフトウェアは、データの不足から微生物の種を判定できない。これは、微生物バイオマスの最初の量が、質量分析検出限界を下回っているときに、特に当てはまる。これにより、このクレブシエラ株が、この特定の抗菌物質に敏感に反応するという結論を引き出すことができる。
図4Bは、5つの異なる液滴サイズ2、4、6、8および10マイクロリットルに対する図4Aの実験から、メロペネムの存在下でクレブシエラニューモニエの生育挙動の統計を示すために、棒グラフを使用している。見て分かるように、感受性株の相対的な生育は、0.4という顕著な生育閾値を確かに下回っているが、耐性株については、4マイクロリットル液滴という1つの例外があるだけで、閾値をはるかに上回っており、そこでは、培地は0.4よりも著しく大きいが、測定はときおり、それを下回っている。
耐性/感受性試験を、培養から得られた、または、生物学的材料から直接得られた微生物試料に対して行うことができる。先行技術において、成熟した培養が通常、感受性試験に使用される。これは、糖などの固形培地上で16〜24時間温置されており、このような温置時間ののち、発達したコロニーの形態で存在する。液体栄養培地中で温置された、成熟した培養からの試験も可能である。
しかし、多くの状況で、結果が利用可能となるまでの時間を顕著に低減するために、分析することになる材料から直接、感受性試験を行っておくのが好適である。速やかな病原体診断が決定的に重要であるこのような材料について、血液培養陽性に例として言及してもよい。今日では、血液培養診断における手続きは通常、患者から取られた血液試料がまず、液体栄養培地とともに、特別な血液培養ボトルへと入れられる。続いて、これらのボトルは、自動化された定温器内へと読み込まれ、定温器は、例えば二酸化炭素を測定することにより、起こる可能性のある微生物生育に関して、継続的にボトルを監視する。血液培養ボトルから陽性の報告があれば、そこからの液体は固形培地に塗られ、次いで、後者は通常16〜24時間、温置される。この結果生じるコロニーが、識別用および抗生物質感受性試験用に使用される。コロニーは、とりわけ、本明細書に記載の感受性試験の方法に関しても適切である。
しかし、陽性であると報告された血液培養からの直接の識別および感受性試験により、固形培地上での培養のために必要な時間を節約でき、それによって、結果を約一日早く取得することが可能となる。これを実現するために、試料は、微生物を補強するための予備的な処理を受けなければならない。これは、例えば、溶解/遠心分離法または溶解/濾過法により達成できる。溶解/遠心分離法により、血液細胞は、微生物が遠心分離により濃縮される前に、例えば界面活性剤などの溶解試薬を添加することにより、まず溶解される。任意の洗浄ステップでは、洗浄バッファが添加され、微生物は遠心分離によって再び濃縮される。次いで、識別が直ちに、またはタンパク質抽出のあとに行われる。識別用のこのような方法が、MALDI Sepsityper(登録商標)識別キット(ドイツのブレーメン州、Bruker Daltonik GmbH社)として開発されてきており、市販されている(上記非特許文献3)。
この方法または類似の方法を同様に、本明細書に記載のMALDI-TOF MSによる耐性/感受性試験用の試料(微生物の補強)の予備的な処理として使用できる。これにより、結果が得られるまでの時間が著しく低減される。
あるいは、血液培養陽性からの、または、固形培地上で非常に短く温置した他の材料からの二次培養を、本明細書に記載のMALDI-TOF MSベースの感受性試験に使用してもよい。固形培地上で非常に短く温置した血液培養陽性からの二次培養の使用が近年、識別(上記非特許文献4)および感受性試験(上記非特許文献5)のために実演された。ここで、固形培地は、二次培養(塗ること)のあとで、通常1.5〜6時間と、ただ短く温置され、このようにして生成された「若い」微生物バイオマスは、識別および用に使用される。この手続きは、血液培養が陽性として登録された直後に、直接の試験を可能にしないが、しかしながら、これは、16〜24時間温置された成熟したコロニーからの従来の試験に比較して非常に速い。この方法の利点は、追加の消耗品または追加の作業が必要ない、すなわち、固形培地は、単により早い段階で簡単に観察されなければならず、かつ、試験が「若い」バイオマスから行われることにある。
特に好適なのは、血液培養機中の血液試料の事前の温置なしの、血液からの直接の感受性試験である。微生物を繁殖させるための試料の予備的な処理を、上述したように、陽性として記録された血液培養からの試験用に行うことができる。
血液から直接の、直接のMALDI-TOF MSベースの識別が現在、微生物が濃縮されたあとでさえ、事前の培養なしには血液中の微生物細胞の濃度が低いため、行うのが困難であるのに対し、血液から直接の、直接のMALDI-TOF MSベースの感受性試験は、本明細書に記載の方法により可能である。微生物を血液から隔離したのち、微生物懸濁液を、液体栄養流体中で調製し、感受性試験で一般的なように、抗生物質と混合する。次いで、この懸濁液を、かつ使用されていれば生育制御を、MALDI-TOF MS支持台上へと、液滴の形態で設置し、そこで直接温置する。血液中の最初の微生物細胞数が非常に低くても、微生物は、特定の温置期間後に、少なくとも生育制御において、または表現型耐性が存在する場合に、試料および抗生物質の混合物中でも、増殖することになる。これは、MALDI-TOF質量分析計により検出できる。ゆえに、感受性試験は事実上、本開示の第1の局面に関して説明したのと同じ原理に従って行われる。
固形培地上に温置された、成熟したコロニーからの微生物は、MALDI-TOFにより容易に識別できる。しかし、試料は、調査中の材料からの(例えば血液培養陽性からの)直接の識別のための予備的な処理を受ける必要はない。これは、例えば、上述した溶解/遠心分離法により可能となる。しかし、この方法には、時間がかかり、かつ、それを日常の検査診断へと一体化するのをより困難にする、追加の処理ステップが必要である。
液滴からの検出および識別用の、または、第1の局面に係るMALDI-TOF MS支持台直上の液滴における感受性試験用の、本明細書で記載した方法は、隔離においてのみ行えるわけでなく、組み合わせにおいても行える。そのような組み合わせは、例えば血液培養陽性からというように、調査中の材料から直接試験する場合に、特に意味を持つ。このやり方で感受性試験を識別と組み合わせることにより、MALDI-TOF MS測定は、感受性試験について説明したアルゴリズムに従って、制御測定の生育を、添加された抗生物質を伴う試料の生育と比較するだけでなく、制御測定における阻害されない微生物生育が、通常のMALDI-TOF MS識別用に追加で使用できる。温置期間が、十分長いが、16〜24時間という通常の温置期間と比較して依然として非常に短い場合、微生物バイオマスの量は、識別用として十分である。この組み合わせた方法の利点は、(i)例えば、溶解/遠心分離法用の追加の処理ステップをなくせること、(ii)感受性試験および識別の結果が即座に、かつ同時に利用可能であること、ならびに、(iii)感受性試験および識別が完了するまでの時間が、成熟したコロニーからの従来の試験と比較して、より短いことである。
この組み合わせた方法を、成熟した、または若いコロニーからの試験に、かつ、例えば血液培養陽性または血液からといった、材料から直接の試験に、適用することができる。
本明細書に記載の方法のさらなる実施形態により、微生物の耐性機構の速くて簡単な検出が可能となる。これは、例えば組み合わせ試験により実現される。すなわち、微生物と、抗生物質と、抗生物質に対する微生物有機体の考え得る耐性を特に相殺する(すなわち、特定の耐性機構に基づいて)物質とを備える懸濁液を、微生物および抗生物質を備える懸濁液、ならびに、微生物のみを備える懸濁液(抗生物質のない生育制御)に加えて試験する。
この一例が、細菌によるβ-ラクタマーゼの形成の検出である。β-ラクタマーゼは、β-ラクタム抗生物質を開裂でき、それにより、それらを無力にできる、細菌酵素である。β-ラクタマーゼの例は、ampC-β-ラクタマーゼ、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)、カルバペネマーゼなどである。各種のβ-ラクタマーゼは、抗生物質の特定のスペクトルを開裂し、そのうえ、異なる特性(例えば、プラスミド上または染色体上の遺伝子の局在性)を有しており、それにより、治療に利用できる抗生物質の範囲が異なる程度に制限され、細菌株が異なる繁殖速度を有することを可能にする。このように、内在する耐性機構の速やかな判定は、導入が必要なことのある病院の衛生状態および衛生措置への調査の文脈で特に、非常に重要な場合がある。
特定のβ-ラクタマーゼ阻害剤(例えば、ESBL用のクラブラン酸、または、メロペネム用のバボルバクタム)を添加することにより、β-ラクタマーゼの作用を特に中和することができる。この原理は、治療上利用できるだけでなく、β-ラクタマーゼの検出用に診断上利用することもでき、これは耐性の基礎をなす。例えば、抗生物質で飽和させた試験ディスクおよび抗生物質に加えてβ-ラクタマーゼ阻害剤で飽和させた試験ディスクが市販されている。細菌培養が、寒天プレートなどの固形培地に塗り付けられたのち、これらの試験ディスクが適用される。16〜24時間後に、阻害の区域が測定される(寒天拡散試験)。抗生物質を有する試験ディスクと抗生物質に加えてβ-ラクタマーゼ阻害剤を有する試験ディスクとの間の阻害の区域の直径において特定の相違に到達した場合、それにより、特定のβ-ラクタマーゼの生成が示唆される。
実施するのがより簡単であること以外に、組み合わせ試験に関する本明細書に記載の方法の利点は特に、12時間よりもさらに長い時間を必要とし、それゆえに翌日の非常に遅い時間にしか利用できない、例えば寒天拡散試験の結果に比べて、結果がわずか数時間後に整うことにある。
本明細書に記載の方法の速度の利点は、第一に、液体栄養培地中の微生物の生育が、固形培地上よりも著しく速く、第二に、液体の体積が少ないために、高微生物濃度が液滴中で速やかに達成されるという事実から来ている。第三に、例えばMALDI-TOF MSによる質量分析測定は、寒天拡散法での場合のように、固形培地上の生育の視覚による観察によって達成できるよりも、より敏感な、かつ、より速やかな生育検出を保証する。
最初に記載した、MALDI-TOF MSによりβ-ラクタム開裂を検出することによるβ-ラクタマーゼの識別(非開裂のβ-ラクタムまたは開裂生成物の質量信号)と比較して、組み合わせ試験を使用する、本明細書に記載のMALDI-TOF MSベースの方法は、重要な利点を有している。つまり、β-ラクタム開裂の検出が非直接的な方法なのである。すなわち、陽性の場合、β-ラクタム抗生物質が開裂していることが示され、ここから、抗生物質がこの細菌株に対して効果がないであろうと結論される。しかし、効果性は、抗生物質の投与などの、他の要因に依存している場合もある。本明細書に記載の組み合わせ試験に関し、微生物の生育に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤の効果は直接、すなわち耐性が中和されたかどうかが、追加で判定される。このような結果は、相当により大きな臨床的関連がある。
先の説明に続いて、本明細書に記載の組み合わせ試験を、成熟したまたは若いコロニーからの試験用に、かつ、例えば血液培養陽性または血液からといった、材料から直接の試験用にも、使用できる。
個々の高速試験、すなわち、特定の微生物に対する特定の抗生物質の試験の形態で記載された方法は別として、複数の抗生物質を同時に試験すること(多重試験(multiplex testing))も可能である。これには、微生物試料中の微生物に関する完全な耐性記録を同時に生成できるという利点がある。そのうえ、各抗生物質について複数の濃度を同時に試験することが可能であり、それにより、最小発育阻止濃度(MIC)を判定できる。MICは、微生物生育を阻害する、抗生物質の最小濃度である。MICは、抗生物質に対する微生物の感受性の尺度である。第一に、MICにより、微生物を、「感受性」、「中間」または「耐性」という部類に分類できる。第二に、MICにより、特定の抗生物質に対する微生物の「感受性の程度」についての情報が提供される。多重試験に関し、MALDI-TOF MS支持台の多くのスポットを、並行して被覆できる。例えば、96,384個または1536個のスポットを有する支持台を使用することができる。
微生物の生育は、異なる評価アルゴリズムにより判定できる。抗生物質を伴う微生物の生育は、抗生物質のない微生物の生育と比較できる(生育制御)。
微生物バイオマスの検出は、考え得るアルゴリズムとして提案される。特定の、下側の検出限界が、MALDI-TOF MS法について、すなわち、質量スペクトル中の認識可能な質量信号を生成するという意味で検出を可能にする微生物バイオマスの最少量(各スポットにつき約104または105)について、特徴となっている。この下側の検出限界は、器具の特徴および設定を含む多くの要因に依存している。本明細書に記載のアルゴリズムによれば、液体栄養培地中の微生物を、MALDI-TOF MS測定法の下側の検出限界を下回る濃度(量)で、スポットに設置してもよい。すなわち、MALDI-TOF MS測定が、この微生物試料のさらなる処理をせずに実行されることになっている場合、偏在する背景の上方における質量スペクトル中の微生物記録を検出することは不可能であろう。
このことから、これは、微生物が、試験されている抗生物質に対して感受性である場合、生育が阻害され、微生物バイオマスは、温置期間のあとでさえ、下側の検出限界を超えていないために、ほぼ検出できないことになるということに直接つながっている。他方、微生物が、試験されている抗生物質に対して耐性である場合、微生物は、生育制御(抗生物質なし)中にまさにそうであり得るように、温置中に生育することができ、微生物バイオマスは検出できる、すなわち、質量スペクトル中の対応する微生物質量信号は検出される。
本方法の精度を向上し、かつ、特定の微生物質量信号記録に類似した質量スペクトルにおける「無作為に」発生する記録を誤って解釈する可能性を回避するため、わずかな量の微生物バイオマス(通常、検出限界未満)についてさえ、微生物バイオマスの量の定量化(おそらくは、組み合わせにおいて追加で)または相対的定量化を使用できる。
これは、例えば、内部標準(「MBT-ASTRA」、ドイツのブレーメン州、Bruker Daltonik GmbH社)を使用することによる、または、専門家に周知であって本明細書ではより詳細説明する必要のない他の統計学的方法による、いわゆる「濃度曲線下面積」(AUC)および/またはピーク強度の比較によって、達成できる。特に、取得された質量スペクトル中の微生物質量記録との比較用の基準データセットを、内部標準の質量信号または同じ質量スペクトル中の基準物質から、導出または判定できる。
空間分解能のアルゴリズムを、別の考え得るバージョンとして提案する。ここで、MALDI-TOF MS法は、精密に規定された空間グリッド(例えば、MALDI-TOF MS支持台の調製されたスポットの規定の区域にわたって分布された1,000ショット)におけるレーザショットを放つのに使用される。「成功した」ショット(すなわち、検出可能な微生物記録を有する質量スペクトルが生成されたショット)の数が、例えば、抗生物質を有する微生物試料と、抗生物質を有さない(生育制御)微生物試料との間で比較される。
このアルゴリズムは、検出方法の精度を向上するため、かつ、少量の微生物バイオマス(通常、検出限界を下回る)についてさえ質量スペクトルにおいて「無作為に」発生した記録が顕著な生育であると誤って解釈される可能性を低減するために、例えば、微生物バイオマスの検出用の上述したアルゴリズムに対する補足として、使用することもできる。すなわち、少数の成功したショットは、例えば、生育とは解釈できず、無作為であり顕著でないとみなされる。
図5A〜図5Iは、本開示の第2の局面に係る方法の実施形態を説明するための図である。多くのステップが、上述した方法のステップに類似しており、それゆえに、これらの方法に関する説明がこの例にも当てはめられるため、以下の説明は、すべて適切な簡潔さのうちに、本開示の第1の局面に係る方法との本質的な相違点に限定される。
本質的な相違点は、微生物の培養/温置および質量分析測定のための調製が、質量分析試料支持台などの、同じ平坦な基板上で行われず、別体の基板(または基板区分)上で行われることである。図5Aに示すように液体栄養培地中の微生物懸濁液が、例えば微量滴定プレート30中のウェルといった、容器28に添加される。接種材料は、1ミリリットルにつき約106cfu、液体栄養培地の体積は50〜250マイクロリットル、好ましくは100マイクロリットルであってもよい。耐性/感受性試験に関し、ウェル28は(例えば試験キットとして)、微生物懸濁液が添加される前に、例えば、溶液、粉末の形態で、または、凍結乾燥した形態で、抗菌物質をすでに含んでいてもよい。あるいは、これらの抗生物質を、後の段階で栄養培地に添加することもできる。
ウェルプレート30は、図5B〜図5Cに示すように定温器16内に置かれ、微生物生育を促進するために、例えば4〜18時間という特定の温置期間中、そこに維持される。すでに説明したように、微生物は、ウェル28の底および側壁の下側部分で沈殿物(「微生物バイオフィルム」)を形成する傾向を有している。
ウェルプレート30は定温器16から取り出される。図5D〜図5Eを参照。ウェル28からのおおよそ均一な微生物分布から、十分な量のそのままの生育した微生物を有する多量の栄養培地を除去するために、沈殿物を、微生物がより大きな濃度で標本化でき、かつ栄養培地の液体とともに均一に分布できるように、除去の少し前に、例えば、ピペット先端18の複数の上下運動またはウェルプレート30の適度な攪拌により、攪拌してもよい。
この手続きの代替案として、培養中のウェル28中での微生物沈殿物の形成を、定温器16(図示せず)内でのその時間中に、ウェルプレート30を慎重に攪拌することにより、最初から妨害または防止することができる。これにより、ピペット先端18および/または続く攪拌の助けによって投与する必要をなくすことができる。
その中に含まれていたそのままの微生物とともに除去した液体は、図5Fに示すように平坦な質量分析試料支持台12のスポット上の液滴14として沈澱される。
次いで、約10〜60分の放置または休止期間が続き、これにより、液滴液体と支持台表面との間の界面で蓄積または沈降する機会が、微生物に与えられる。図5Gを参照。基本原理は、試料支持台12上の液滴14中の微生物濃度が上昇すると、休止期間が短縮され得るということ、すなわち、高濃度で、休止期間が、好ましい範囲の下端に来る場合があり、低濃度で、より長い時間待つのが好適である場合があるということである。
別の文脈において上で説明したように、栄養培地の残留液体は、例えば吸収性の生地(布26)により、休止期間のあとに、試料スポットから除去できる。図5Hを参照。吸収性の生地(布26)は、支持台表面のスポット上の液滴に、横方向に流体接触させられて、液体の大部分を単純に吸収する。無論、ピペットで取り去ることなどの、他の種類の液体除去が、上述したように使用できる。
このような仕方で露出された微生物沈殿物20はここで、上述したように、さらに調製し、かつ、質量分析計で測定することができる。例えば、微生物のペプチド/タンパク質を抽出でき、かつ/または、沈殿物20を洗浄でき、かつ/または、沈殿物20をMALDIマトリックス物質に埋め込むことができる。図5Iを参照。
図6は、微生物を培養できる(複数のウェルを表していてもよい)ウェル34と、質量分析試料調製用の基板として使用でき、間隔を置いた試料スポットを備える、1つの平坦な区分36とを有する、組み合わされたウェル/試料支持台プレート32を、模式的に、かつ例として示している。質量分析計のイオン源において、ウェル34が電場に対して引き起こす攪乱を、例えば事前にウェル34を覆う洗浄液(flush)(図示せず)により、低減することができる。
本明細書に記載の原理は、MALDI-TOF MS測定法に必ずしも限定されず、他の質量分析検出法または内在蛍光を判定するための方法などの、他の検出または弁別法により、本質的に実施することができる。
本発明のさらなる実施形態が、例として記載した実施形態に加えて考え得る。本開示の知識により、当業者であれば、特許請求の範囲の保護の範囲に入る、生きた微生物試料および微生物用の、さらに好適な予備的および質量分析測定法を容易に設計できる。
本発明を、多数の実施形態を参照しながら例示および説明してきたが、当業者であれば、これらに、形態および詳細におけるさまざまな変更を、添付の特許請求の範囲において規定した技術的な教示の範囲を逸脱することなく行えることを認識するであろう。

Claims (23)

  1. 質量分析測定のための微生物試料を調製する方法であって、
    (a)複数の試料スポットを含む試料支持台を設けるステップと、
    (b)前記試料スポットの少なくとも1つの上に、少なくとも1つの生きた微生物試料を含む栄養培地の液滴を設置するステップと、
    (c)前記試料支持台を既定の雰囲気を有する温置チャンバ内へ配置して所定の期間、微生物の生育を促進するステップと、
    (d)前記所定の期間ののち、前記栄養培地の液滴の残留液体を除去して、前記試料スポット上の微生物の沈殿物を露出させるステップと、
    (e)前記試料スポットを、脱離イオン化用に調製するステップと、
    (f)質量分析計の脱離イオン源内へ前記試料支持台を移送し、前記調製した試料スポットからイオンを生成し、少なくとも1つの対応する質量スペクトルを取得するステップと、
    (g)前記取得した質量スペクトルを基準データセットと比較して、前記微生物試料の少なくとも1つの特徴を判定するステップとを含む、方法。
  2. 前記基準データセットは、先に取得した質量スペクトルのライブラリから取られた基準スペクトルを有しており、ステップ(g)で判定される前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物試料中微生物の種または亜種に関する特徴を含む、請求項1に記載の方法。
  3. テップ(b)において、前記栄養培地は、抗菌物質または抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせのいずれか1つを含む栄養培地と、いずれも含まない栄養培地とがあり、前記微生物試料の一部は、前記抗菌物質または抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせのいずれか1つを含む前記栄養培地の液滴とともに一部の試料スポットへ設置され、前記微生物試料の他の一部は、前記抗菌物質または抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせのいずれかも含まない前記栄養培地の液滴とともに、他の一部の試料スポットへ設置される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記基準データセットは、抗菌物質も、抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせも含まない栄養培地の液滴において得られた微生物の沈殿物について取得された質量スペクトルであり、
    ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記抗菌物質または前記抗菌物質と酵素阻害剤との組み合わせに対する、前記微生物試料における微生物の感受性を含む、請求項3に記載の方法。
  5. ステップ(b)において、それぞれが異なる濃度の抗菌物質を含む各栄養培地の液滴が前記複数の試料スポットの各々に設置され、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴を判定することは、前記微生物に対する前記抗菌物質の最小発育阻止濃度を決定すること含む、請求項1に記載の方法。
  6. ステップ(g)における前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物生育における相違から導出される、請求項1に記載の方法。
  7. ステップ(b)における前記微生物試料は、その量が前記質量分析測定の検出限界をわずかに下回るよう、前記栄養培地の液滴に含まれる、請求項1に記載の方法。
  8. ステップ(d)における前記残留液体の除去は、吸収性の材料により前記残留液体を拭い取ること、または、それをピペットで取り去ることを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記残留液体を除くことにより、液滴の浮遊物も除去される、請求項8に記載の方法。
  10. ステップ(b)において、前記微生物試料は、(i)前記少なくとも1つの試料スポット上で、前記栄養培地の液滴中の懸濁液として用意され、または、(ii)まず、前記少なくとも1つの試料スポット上で、細胞の形態で設置され、続いて、投与された栄養培地の液滴へと浸漬される、請求項1に記載の方法。
  11. 質量分析測定用の微生物試料を調製するための方法であって、
    (a)複数の試料スポットを含む試料支持台を設けるステップと、
    (b)前記試料支持台から離れた栄養培地中で培養され微生物を、前記栄養培地の液滴の状態で、前記試料支持台の少なくとも1つの前記試料スポット上に設置するステップと、
    (c)前記栄養培地の液滴中の微生物が前記試料スポット上に堆積されるよう、所定の休止期間、前記試料支持台を維持するステップと、
    (d)前記所定の休止期間ののち、前記栄養培地の液滴の残留液体を除去して、前記微生物の沈殿物を露出させるステップと、
    (e)前記試料スポットを、脱離イオン化用に調製するステップと、
    (f)質量分析計の脱離イオン源内へ前記試料支持台を移送し、前記調製した試料スポットからイオンを生成し、少なくとも1つの対応する質量スペクトルを取得するステップと、
    (g)前記取得した質量スペクトルを基準データセットと比較して、前記微生物の少なくとも1つの特徴を判定するステップとを含む、方法。
  12. 前記基準データセットは、先に取得した質量スペクトルのライブラリから取られた基準スペクトルを有しており、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物の種または亜種に関する特徴を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記微生物は、ステップ(b)において前記試料スポットに設置される前に、前記試料支持台から離れた少なくとも1つの容器において、液体栄養培地中で培養され、そこから前記試料スポットへと移送される、請求項11に記載の方法。
  14. ステップ(b)において、前記微生物試料の一部は、抗菌物質または抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせのいずれか1つを含む栄養培地に添加されて培養され、前記微生物試料の他の一部は、前記抗菌物質または抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせのいずれも含まない栄養培地に添加されて培養される、請求項11に記載の方法。
  15. 前記基準データセットは、抗菌物質も、抗菌物質および酵素阻害剤の組み合わせも含まない液体栄養培地を起源とする微生物沈殿物のある試料スポットについて取得された質量スペクトルであり、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴は、前記抗菌物質または抗菌物質と酵素阻害剤との組み合わせに対する、前記微生物の感受性を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記微生物は、それぞれ異なる濃度で抗菌物質を含む液体栄養培地を収容した各容器において培養され、ステップ(g)からの前記少なくとも1つの特徴を判定することは、前記微生物に対する前記抗菌物質の最小発育阻止濃度を決定すること含む、請求項11に記載の方法。
  17. ステップ(g)における前記少なくとも1つの特徴は、前記微生物生育における相違から導出される、請求項11に記載の方法。
  18. 前記微生物は、その量が前記質量分析測定の検出限界をわずかに下回るよう、前記培養の開始時に前記栄養培地に含まれる、請求項11に記載の方法。
  19. ステップ(c)における前記所定の休止期間は、10〜60分の間である、請求項11に記載の方法。
  20. ステップ(d)における前記試料支持台からの前記残留液体の除去は、吸収性の材料により前記残留液体を拭い取ること、または、それをピペットで取り去ることを含む、請求項11に記載の方法。
  21. 前記残留液体を除くことにより、液滴の浮遊物も除去される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記微生物試料は、(i)前記液体栄養培地中の懸濁液として、前記容器内へと投与され、または、(ii)まず、細胞の形態で前記容器内に設置され、その後、液体栄養培地が添加される、請求項13に記載の方法。
  23. 微量滴定プレート中のウェルが、前記微生物の培養のための容器として使用される、請求項11〜請求項22のいずれか1項に記載の方法。
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