JP6143385B2 - マイクロコロニーからの微生物のmaldi質量分析法による分析 - Google Patents

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Description

本発明は、特に、マトリックス支援レーザー脱着 (Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization; MALDI) によるイオン化装置を備えた質量分析計において、栄養培地の表面上にあるコロニーから得た微生物の質量分析法による分析を行うための方法に関するものである。
定常的で迅速かつエラーのない微生物分析は、特に臨床及び臨床現場外での感染診断、病院又は遊泳用の河川や湖の衛生モニタリング、食品分析、バイオテクノロジープロセスのモニタリングと制御、及び微生物研究において重要な役割を果たす。用語「微生物」(microorganism、短縮してmicrobe) は、例えば単細胞真菌類(例えば酵母)、藻類、又は原生動物 (例えばマラリア病原体のプラズモディウム) などの顕微鏡的な小さな生物すべてを指すが、同定作業の焦点は一般的に細菌である。
微生物の同定とは、原則として、その種を特定することを意味し、よって微生物を、ドメイン(細菌、古細菌、真核生物)、界、門、綱、目、科、属、及び種の分類階層に分けることを意味する。分類同定に加え、微生物の分析には、例えば、微生物の病原性(病気を起こす能力) 又は抗生物質に対する微生物の抵抗など、その他の特性に関する特徴付けも含まれることがある。本明細書では、この同定は特に、種レベルの同定を目的とする。
質量分析による同定方法に関して、分析のために採取されたサンプルの細菌は通常、ペトリ皿内の栄養培地上で培養されてコロニーが形成される。
分析のためのサンプルが分析試験機関に送達されてから種が同定されるまでの時間は本質的に、培養に必要な時間によって決まる。なぜなら、実際の質量分析測定には数分しかかからないからである。現在、この培養にはしばしば、18〜24時間かかっている。これは多くの用途、特に医療診断用途において、長すぎる。よって、質量分析同定にかかる時間を顕著に、特に1作業日へと短縮する、緊急のニーズが存在する。
現在使用されている方法では、培養のための栄養培地は通常、ペトリ皿内に入った寒天(寒天プレート) 内で行われ、これにより培養する別々のコロニーの純粋な「単離」が可能になる。寒天は、ゼラチン状のガラクトースポリマーであり、優にその90パーセント超が水である。寒天自体は消化されず、微生物からの攻撃をほとんど受けない。
微生物は現在、主に手作業でサンプリングされるため、信頼できる微生物サンプリングのためには、コロニーは直径が少なくとも0.5ミリメートルであり、より好ましくは少なくとも1ミリメートルである。この大きさのコロニーを培養するには、微生物の活性によって、何時間、時には何日もかかる。臨床的に重要な種については、今日では、寒天プレート上のサンプルは通常、約18〜24時間培養される。コロニーが重複又は混合している場合は、二次培養で分離されたコロニーが取得される。
MALDIサンプルの手作業準備では、選択したコロニーの少量を、栄養培地の表面からサンプル支持体へと移す。実践上は、これはしばしば木製の爪楊枝で行われ、使用後は廃棄される。
次に、移動された微生物には、後続の、マトリックス支援レーザー脱着 (MALDI) によるイオン化のために、従来のマトリックス基質 (通常、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸 (HCCA)、又は2,5-ジヒドロキシ安息香酸 (DHB)) を強い酸性にした溶液が散布される。この酸 (通常は蟻酸またはトリフルオロ酢酸) が細胞壁を攻撃し、すなわち、マトリックス溶液の有機溶媒 (通常はアセトニトリル) が微生物細胞内に侵入して、細胞壁を弱らせ、浸透圧により破裂させる。通常は弾力性である細胞壁がこのように破壊される現象は「細胞破壊」と呼ばれる。細胞破壊により、細胞から水溶性タンパク質が放出される。
試料は次に、溶媒を蒸発させることにより乾かし、これにより、溶解していたマトリックス物質が結晶化する。微生物から放出された水溶性タンパク質と、細胞の少量の他の物質が、結晶化中にマトリックス結晶に組み込まれる。このプロセスで、サンプル支持体上のサンプル調製が形成され、これは下記で「MALDIサンプル」と呼ばれる。
埋め込まれた被検分子を備えたMALDIサンプルに、質量分析計内で、数ナノ秒の持続時間、集束UVレーザーパルスが照射され、これによって気化プラズマ中に被検分子のイオンが生成される。これらのイオンは、イオンの質量によって質量分析計内で互いに分離され、測定することができる。現在、微生物の質量分析法同定には、最高感度を達成するために、リフレクターのない単純な飛行時間質量分析計が使用されている。
得られる質量スペクトルは、微生物から得た被検体イオンの質量値のプロフィールである。このイオンは主にタンパク質イオンであり、同定のために最も有用な情報を備えたイオンは、およそ3,000ダルトン〜15,000ダルトンの質量を有する。質量分析法で通常は実際に必要なように「質量電荷比」m/zを必ず用いるが、その代わりに、この方法では、タンパク質イオンはほぼ大部分が単電荷(電荷数 z = 1) であり、だからこそ、ここでのイオン質量m について単純に議論することができる。同定は、微生物から得られた質量スペクトル間で類似性を比較することによって実施される。すなわち、分析用のサンプルの微生物細胞と、参照ライブラリから得た参照スペクトルとを比較する。
下記特許文献1 (M. Kostrzewa) を参照のこと。これには、質量スペクトル法の詳細な記述も含まれている。医療用途については、参照質量スペクトルを備えた、数千種の微生物株からの好適な参照ライブラリが商業的に入手可能であり、数多くの国の規制に従って認証されている。
質量分析法の同定は非常に堅牢である。培養条件又は調製方法が変化しても、同定結果にはほとんど影響を与えない。これは実際上、それぞれの種について、遺伝学的に定義済みの存在量を備えた、遺伝学的に定義済みのタンパク質のみが分析されるからである。
タンパク質の約60〜85%はリボソームに由来する。これは、種によって、40〜60種の固定数のタンパク質分子を含む。細菌細胞はそれぞれ、数万個の同じリボソームを含む。真核生物の細胞では数十万個を含む。よって、測定されるタンパク質分子の存在量は、例えばエネルギー蓄積として機能するリポタンパク質又は脂肪酸の場合と同様に、栄養条件又はコロニーの成熟度に依存しない。リボソームタンパク質分子の存在量は、実質的に、すべてのタンパク質について等しく、及びリボソームの数に等しい。この方法の堅牢さにより、非常に若い、又は成熟した、又は老化しつつあるコロニーの細菌を、同定に使用することが可能になり、ほぼ同じ同定結果が達成される。
現在、細菌の質量分析法同定の信頼性を保証するには、サンプルプレート上にMALDIサンプルを調製するのに、少なくとも約105 個の細菌が必要だという経験則がある。この量は、裸眼ではほとんど識別できない。105〜107 の量が特に好適である。数十万個のリボソームを有する真核細胞の場合、その種の同定に使用可能な質量スペクトルは、個々の細胞からうまく得ることができる。けれども細菌については、細胞壁が硬く、特別の細胞破壊プロセスを必要とするため、現在のところ、103個以下しかない細菌で同定を行うのに十分な質量スペクトルを得るのは、散発的なケースでのみ可能である。
質量分析の同定は非常に成功を収めていることが証明されている。いったん培養が完了した後は非常に迅速であり、正しい同定の確実性は、現在使用されている微生物学的同定方法よりもはるかに高いことが、さまざまな研究で示されている。
質量分析法により、微生物の純粋培養から微生物を同定することができ、いわゆる「単離」ができる。純粋培養の質量スペクトルは、他の微生物に由来する信号の重なり合いを含まない。ただし、必要であれば、2つの微生物種の混合物の質量スペクトルも評価できること、及び両方の微生物種を同定できることが見出されている(例えば特許文献2(M. Kostrzewa et al.) を参照)。この同定の確実性はわずかしか低下していない。
自動化の追求により、手作業による移動を、小型の接種ロッドを用いた機械による移動に置き換える装置がもたらされている。Fraunhofer Institute for Factory Operation and Automation (ドイツ・マクデブルク) は、この作業を実施することができる「MiRob」と呼ばれるロボットを開発した (非特許文献1、又は特許文献3を参照)。このロボットは、Mess-, Pruf- und Handling-Systeme GmbH社 (ドイツ・ロイトリンゲン) によりMiRob 300iとして製造されている。手作業による移動を伴う場合と同様、微生物は間接的に、ツール(この場合は接種ロッド) を使って、質量分析用サンプル支持体の上に移動される。ここでも、コロニーは最小で直径0.5ミリメートルでなければならない。現在使用されている移動ツール (爪楊枝、接種ロッド) は1回限りの使用向けに設計されている。赤外線顕微鏡による微生物の赤外線スペクトル取得のために分析用に使用されるサンプル支持体への微生物の直接移動は、特許文献4(D. Naumann and H. Labischinski, 1989) により知られている。
独国特許出願公開第10 2010 006 450 A1号 独国特許出願公開第DE 10 2009 007 266 A1号 独国特許第10 2004 020 885 B2号 欧州特許第 0 456 995 B1号(米国特許第5,660,998号に対応) 欧州特許第1 200 984 B1号 国際出願公開第WO 2005/094389 A2号 独国特許出願公開第10 2004 002 729 A1号(独国特許第 10 2004 002 729 B2号) 独国特許第10 2006 059 695 B3号(英国特許出願公開第2 446 251 A号及び米国特許出願公開第2008/0142703 A1号に対応)
O. Lange et el. "MIROB: automatic rapid identification of micro-organisms in high through-put", Industrial Robot: An International Journal, Vol. 35 Iss: 4, pp.311 - 315 (2008)
本発明の目的は、調査されるサンプル (分析のためのサンプル) の送達から同定まで必要な時間を、現行の方法と比較して顕著に短縮し、好ましくは1作業日、すなわち約8時間にする、微生物の質量分析のための方法を定義することである。この方法は更に、信頼性が高くかつ自動化が可能であり、消耗材をほとんど必要としないものとなる。
本発明は、質量分析計における栄養培地表面の微生物の質量分析のための方法を提供し、この方法は次の工程を含む:サンプル支持体の表面を栄養培地の表面と直接接触させることにより、微生物を移動する工程、移動された微生物をサンプル支持体の表面上で破壊し、この微生物の分子成分を、サンプル支持体表面上で、質量スペクトル取得のための調製を行う工程、及び、調製されたサンプルを表面に備えたサンプル支持体を、分析のために質量分析計に移し、分子成分の質量スペクトルを取得して、参照用質量スペクトルとの比較による同定を行う工程。
本発明は、質量分析計における栄養培地表面の微生物の質量分析のための方法を提供し、この方法は次の工程を含む:サンプル支持体の接触表面に、栄養培地の表面との直接接触により、微生物を移動する工程、移動された微生物をサンプル支持体の接触表面上で細胞破壊する工程、及び、破壊された微生物の分子成分を備えたサンプル支持体を、質量分析計に導入して分析を行う工程。
本発明は、マトリックス支援レーザー脱離によるイオン化を備えた質量分析計における栄養培地表面の微生物の質量分析のための方法を提供し、この方法は次の工程を含む:栄養培地表面との直接接触により、サンプル支持体の接触表面に微生物を移動する工程、移動された微生物をサンプル支持体の接触表面上で細胞破壊し、かつ、破壊された微生物の分子成分を、MALDIサンプルとして調製する工程、及びMALDIサンプルを備えたサンプル支持体を、質量分析計に移して、分析を行う工程。微生物の細胞破壊は好ましくは、例えば好適に攻撃的なマトリックス溶液(強い酸性にした有機溶媒中のマトリックス基質) を加えることなど、MALDIサンプルの調製によって実施される。
MALDIイオン化の代わりに、イオン化された基質がサンプル支持体の上にある、他のタイプのイオン化を使用することができ、例えば、特許文献5によるクラスターイオン化、特許文献6による脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、又は、特許文献7によるマトリックス支援レーザー脱離エレクトロスプレーイオン化(MALDESI) が挙げられる。ここでは、質量分析用サンプルの調製は、サンプル支持体上の微生物の細胞破壊を含み得る。ただし下記では、破壊は主に、イオン化プロセスとしてのMALDIに基づく。
本発明による方法は、最長で約8時間、よって1作業日又は短い夜間時間の培養時間で、最も臨床的に関心のある微生物の同定に好適である。この短時間で、通常は、直径約50〜200マイクロメートルのマイクロコロニーのみが、栄養培地の表面に形成される。これまでは何日も培養が必要であったような成長の遅い微生物であっても、この時間は半分以下に短縮することができる。
診断上関心のある数多くの微生物に関して、6〜8時間のみの培養後に形成されるマイクロコロニーの微生物は、微生物がマイクロコロニーの形態でしか存在していなくとも、サンプル支持体の表面を直接接触させることにより、高い移動収率で、サンプル支持体上に直接移動させることができる。微生物はこの接触表面上で破壊され、放出されたタンパク質が、サンプル支持体の接触表面上にあるマトリックス材料と共に調製されて、MALDIサンプルとなる。マトリックス支援レーザー脱離によるイオン化も、サンプル支持体の接触表面上で行われる。驚くべきことに、約1000個の微生物しかないマイクロコロニーからも、十分に良好な質量スペクトルを取得することができる。この高感度の理由は詳細には知られていない。サンプル支持体への手作業による移動とは異なり、この直接接触移動では、寒天材料の付着がなく、栄養培地溶液もごくわずかしか伴わず、クリーンな微生物のみが移動され得る。加えて、微生物材料が移動ツールに付着して、サンプル支持体に移動されずにツール上に残ることによる損失がない。
本発明による方法は更に、微生物に対する高い吸着性を備えたサンプル支持体の使用を可能とする。これは、微生物材料を再び解放しなければならない移動ツールでは、適さないものである。臨床的に関心のある微生物の多くについて、分析のためにサンプルを送達してから、微生物を同定するまでの重大期間は、約18〜24時間だったものが、わずか約8時間に短縮され得る。
本発明はよって、本質的に、栄養培地 (通常は寒天プレート) の表面にあるコロニー(特にマイクロコロニー) の微生物を、上述のような爪楊枝などの特殊な移動ツールを使用することなく、直接接触によって、好適なサンプル支持体の好適に成形された接触表面の上に移すことができる。ツールを使って可能だったよりもはるかに高いパーセンテージの微生物が、この直接接触移動により、マイクロコロニーからサンプル支持体へと移動され得る。微生物は次に、接触表面上で細胞破壊され、MALDIサンプルとして調製される。この接触表面を備えたサンプル支持体を次に、質量分析計のイオン源へと導入し、必要に応じてこのとき、好適なアダプタープレートに最初に挿入される。よってMALDIイオン化は、サンプル支持体の接触表面上で直接行われる。
微生物はピン形状のサンプル支持体 (サンプル支持ピン) の上に直接移動され、この端表面が微生物に接触する。ピン形状サンプル支持体の接触表面は非常に小さいため、個々のコロニー1つにある微生物のみが、このピン形状サンプル支持体の上に移動される。微生物が移動された後、ピン形状サンプル支持体は好ましくはアダプタープレートに挿入され、ピン形状サンプル支持体の端表面が本質的に、アダプタープレートの表面と揃って平らになるようにされる。
「本質的に揃って平ら」とは、軸イオン入射を備えるMALDI飛行時間質量分析計における質量分析が、十分な質量解像度で可能であることを意味する。異なるコロニーからの微生物を別々のピン形状サンプル支持体に移動することができ、これらを一緒にアダプタープレートに挿入し、アダプタープレート内で質量分析計内に導入される。1つのコロニーからの微生物を複数のピン形状サンプル支持体に移動することも可能である。
ピン形状サンプル支持体を使用する本発明による方法は、次の工程を含む:栄養培地の表面の画像を取得する工程、この画像から、コロニーの位置を決定する工程、決定された位置の微生物を、別のピン形状サンプル支持体に接触移動させる工程、そのピン形状サンプル支持体を、アダプタープレートに挿入する工程、そのピン形状サンプル支持体の上の微生物から、MALDIサンプルを調製する工程、そのアダプタープレートを質量分析計に導入する工程、及び、そのアダプタープレート中のピン形状サンプル支持体の位置で、マトリックス支援レーザー脱離によるイオン化のスペクトルを取得する工程。
微生物は更に、プレート形状サンプル支持体 (サンプル支持プレート) の上に直接移動することもでき、この接触表面は非常に大きいため、複数のコロニーの微生物が同時に、このプレート形状サンプル支持体に移動される。移動後、1つ以上のプレート形状サンプル支持体を、アダプタープレート上に配置し、例えば機械的又は磁気的な力でそこに固定することができる。プレート形状サンプル支持体の直径は好ましくは、1〜8センチメートルである。
プレート形状サンプル支持体の接触表面は、例えばデジタルカメラを使って、微生物を移動した後に撮影することができ、これによって、撮影された画像から、プレート形状サンプル支持体上に移動された微生物の位置を決定することができる。これは、プレート形状サンプル支持体がアダプタープレート上に配置された後に好ましく実施することができ、アダプタープレートのマーキングを記録することを含む。これによって、アダプタープレートに対するサンプル支持体の位置、又は移動された微生物の位置が、決定される。これによって、MALDI源のイオン化領域での、移動された微生物の直接的な配置が可能になる。同様に、栄養培地の表面を画像撮影することができ、栄養培地表面に対するプレート形状サンプル支持体の位置が決定され、これによって、プレート形状サンプル支持体上の移動された微生物の位置を特定することができる。次に好ましくは、マトリックス溶液がプレート形状サンプル支持体の接触表面全体に塗布されるが、質量分析は、決定された位置でのみ実施される。一方、MALDIサンプルは、決定された位置でのみ調製することができ、質量分析もそこでのみ実施することができる。プレート形状サンプル支持体の接触表面と、栄養培地の表面は、好ましくは、光学的測定手順を利用して、最も好ましくは、可視光範囲での反射光顕微鏡を用いて、撮像される。この光学的測定手順は、散乱光、ラマン散乱、又は蛍光の、空間分解測定であってもよい。プレート形状サンプル支持体の接触表面の撮像は、好ましくは、微生物が細胞破壊される前に行われるが、微生物の細胞破壊の後に行うこともできる。
検査対象のサンプルは通常、希釈溶液の形態で栄養培地の表面上に拡げられ (塗布、接種)、これは最初に、空間的に離れたマイクロコロニーを形成する。プレート形状サンプル支持体が使用される場合、マイクロコロニーの微生物は、サンプル支持体の空間的に放れた領域に移動され、これはすなわち、相互の影響(混合) なしに質量分析的に同定できることを意味し、これは特に、異なる種類の微生物が検査対象サンプル中に存在する場合(混合サンプルの場合) に有利である。分析のためのサンプルはまた、軌跡の形態で栄養培地の表面に塗布され得る。これは微生物の成長、すなわちマイクロコロニーの位置を、この軌跡に限定する。この軌跡は、分析サンプルを栄養培地の表面に塗布したときに、すでに記録されている(接種プロセス)。微生物を培養した後、プレート形状サンプル支持体を栄養培地の表面に接触させ、栄養培地の表面に対するプレート形状サンプル支持体の位置を決定し、ここから、サンプル支持体の接触表面上の軌跡が決定される。
次に、マトリックス溶液がプレート形状サンプル支持体の接触表面全体に適用され、質量分析は、決定された軌跡に沿ってのみ実施される。栄養培地表面又は接触表面を最初に撮像することなしに、軌跡に沿うことで、対応する画像中でまだ識別できないマイクロコロニー内の微生物も、サンプル支持体全体に質量分析を行うことなく、同定することが可能である。また、決定された軌跡に沿ってのみMALDIサンプルを調製することも可能である。
サンプル支持体の接触表面は、例えば、直径約1〜8センチメートルの任意の外形を備えた、平らなサンプル支持プレートの表面であり得る。そのような支持プレートは、栄養培地の表面に、平行な位置を保ちながらそっと配置又は押し付けることによって、数多くのコロニーの微生物を同時に採取することができる。しかしながら、この接触表面は更に、1つだけの選択されたコロニー (特にマイクロコロニー) の微生物を取り出すための、直径わずか約2ミリメートルのサンプル支持ピンの端表面であり得る。
サンプル支持体の接触表面は、できるだけ多くの微生物を移動するために、特定の方法でコーティングされ得る。これは例えば単に湿らせ、又はタンパク質吸着性又は接着性領域を備えて調製され、これは微生物に対して高い親和性を有するため、微生物をその表面に保持することができる。例えば、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸 (HCCA) の薄い層の調製により、微晶質表面が形成され、これはペプチド又はタンパク質をしっかりと吸着し、これにより細菌の外被タンパク質もしっかり吸着する。ジニトロセルロース又はトリニトロセルロースの湿らせた薄層も、タンパク質を吸着し、同時に、MALDIプロセスに好影響を有する。
栄養培地の表面のデジタル画像を取得してから、微生物を取り出すことができ、これによって、マイクロコロニーの位置に関する情報を決定することができる。この情報は、特に細いサンプル支持ピンを用いた場合の、栄養培地からの微生物取り出しを制御するのに使用され得る。プレート形状サンプル支持プレート上に移動された微生物のデジタル画像は、その接触表面上の微生物の位置を提供する。この情報は、スペクトル取得中にレーザービームでより大きなサンプル支持プレートのスキャンを制御するのに使用することができる。
加えて、接触表面上の微生物の調製は、マトリックス層中の微生物タンパク質の脱塩及び均一な埋め込みなどの特別な手段によって、最大のイオン収率に導かれるようにしなければならない。
本発明による方法は、移動ツールが不要なため、必要な消耗材が少なく、よってコストの削減をもたらすこと、並びに、微生物の培養時間が短縮され、より迅速な同定をもたらす、という、従来技術に比べて利点を有する。様々な分析用サンプルから手作業で微生物を質量分析サンプル支持体に移動するのに比べて、直接接触による移動は、各分析用サンプルの識別ラベルを自動的に、使用する各質量分析サンプル支持体に移行することにより、サンプル割り当てにおける間違いの回避を可能にする。この識別ラベルは栄養培地の支持体上に保管される。
単純なサンプル支持ピン (3) の一例を示す図である。これは、接触表面として機能する端表面を備え、これは、中心部(1) がタンパク質吸着層でコーティングされ、疎水性の境界線 (2) を備えている。サンプル支持ピン (3) はこの例では約2ミリメートルの直径を有し、長さ約8ミリメートルである。 接触表面 (4) を備えたサンプル支持プレート(5) を示す図である。サンプル支持プレート (5) は、この例では円形であるが、直径1〜8センチメートルにわたる面積を備えた他の任意の外形をも有し得る。このサンプル支持プレートの面積は好ましくは、栄養培地の面積に対応し、すなわち、ほぼペトリ皿の形状及び面積に対応する。 サンプル支持ピン (3) がどのようにアダプタープレート (10) に挿入されているかを示す図である。これにより、ピンの端表面は、アダプタープレートの表面に揃って平らになっている。 平らになるように挿入されたサンプル支持プレート (5) を備えたアダプタープレート (12) を示す図である。サンプル支持プレート (5) は後ろ側にハンドル (6) を有し、この部分をロボットシステムが掴み、栄養培地のプレートに押し付けることができる。 基部 (20) 及び支持カラム(21) を備えた、微生物の接触移動のための構成を示す図である。ペトリ皿 (22) はクランプ (23) で基部(20) に固定される。支持カラム (21) に取り付けられているカメラ (24) は、ペトリ皿 (22) 内の栄養培地の表面のデジタル画像を撮影することができる。制御可能な継手を備えたロボットアーム(25) が、サンプル支持ピン (3)、更にはサンプル支持プレート(5) を、高い位置精度でペトリ皿 (22) 内の栄養培地に押し付けることができる。 ペトリ皿 (30) の平面図であり、分析のため手作業で塗布されたサンプル(被検体溶液) の軌跡 (31) を備えている。接種プロセスは、デジタル写真撮影し、微生物コロニーを接触移動により取り出した後、その画像(又はビデオ録画) が、質量分析中にサンプル支持プレートの接触表面上のレーザースキャンを制御するのに用いられ得る。 微生物移動のための装置で、図5に示すものと比べてわずかに異なるバージョンを示す図である。ここにおいて、ロボットアームは剛性のアームに置き換えられ、これは継手(26) により2つの固定角度位置の間でのみ回転できる。剛性アームは装置(27) を有し、これがサンプル支持ピンを保持し、ペトリ皿 (22) 内の栄養培地の表面に接触するよう下げる。正しい接触位置が、ペトリ皿(22) の移動装置 (28) (これは水平面の2方向に操作可能である) により生成される。装置(27) は、継手 (26) を中心に回転した後、サンプル支持ピンを保管容器(19) から取るか、又は再交換し、この保管容器 (19) は移動装置 (29) により正しい位置に動かされる。 2つの試験微生物 (E. coli RKI A139とS. aureus DSM 20231) を用いたMALDI-TOF質量分析法の、異なるサンプル移動技法による質量スペクトルの比較を示す図である。上向きのスペクトル(「Macro」) は、24時間培養による現行技法で調製されたサンプルを用いて記録された。下向きのスペクトル(「Micro」) については、マイクロコロニーの接触移動が使用された。それぞれのマイクロスペクトルとマクロスペクトルの間にはかなりの違いが見られるが、マイクロスペクトルを、24時間培養の保存されている参照スペクトルと比較する、BioTyperTMデータベース比較では、良好 (S. aureus ) 又は非常に良好 (E. coli ) スコア値で、正しい種同定が得られた。
微生物の成長は4つの段階で行われる。最初の、短い調節段階(「誘導期」) では、例えば異なる消化酵素を生成することにより、微生物の代謝が栄養培地に対する調節を行う。次に、微生物が指数関数的に増加する、制約のない成長段階(「対数期」) になり、これは、栄養の不足又は毒素の生成により指数関数的増加が停止するまで続き、次に、「静止期」に漸近的に至る。最後に、微生物は栄養の欠乏又は毒素により死滅する(「死滅期」)。制約のない成長の段階では、それぞれの特徴的な時間である「世代時間」後に、細菌細胞の分裂が起こる。世代時間は、微生物の種類と外部条件に依存する。最適条件(温度、栄養培地) では、それぞれの場合の1世代の時間は15分〜24時間である。臨床的に重要な病原微生物の多くは、15分〜45分の比較的短時間で分裂する。けれども、臨床的に重要なものでも、成長の遅い例外も存在する。
ただし、これらの成長段階は、液体の栄養培地内での成長を指す。寒天プレート上での成長はこれとは必然的に異なる。制約のない指数関数的成長は、表面上のコロニーで短時間だけ起こり得るからである。制約のない成長は、コロニーの縁部でのみ起こる。コロニーの領域内では、微生物は細胞分裂により上向きに押されて第2、第3、及び第4層となり、これにより栄養供給が減少する。一部の微生物はこの最上層に固定されるが、一部は、微生物の最下層を通って縁に向かうことができ、ここで再び、栄養培地へのアクセスを得る。有毒微生物の場合において、8時間後にマイクロコロニーは103 〜105 個の細胞を含んで成長している。成長の遅い微生物の場合は、マイクロコロニーにはこれより少ない細胞が含まれる。
下記に記述される本発明の実施形態について、分析のためのサンプルに由来する微生物、特に細菌は、栄養培地を含むプレート(例えば寒天プレート) の上に通常の方法で接種され、最適温度(通常摂氏37° ) で6〜8時間、インキュベーター中で培養される。次に、上述のマイクロコロニーを栄養培地の表面上で成長させる。栄養培地は好ましくはペトリ皿内にある。栄養培地の表面は、細菌を容易に持ち上げられるようになっているべきである。すなわち、細菌は、表面を通って栄養培地内に浸透すべきではない。
図5は、接触移動によりマイクロコロニーから微生物を取り出すのに使用され得る装置を示す。ペトリ皿(22) は小型のクランプ (23) で装置の基部(20) に固定される。
微生物を取り出す前に、マイクロコロニーの位置を決定するため、カメラ(24) で栄養培地表面のデジタル画像を撮影すると好都合である。カメラは好ましくはデジタルカメラであり、この作業に適合されるべきである。多くの場合、単独の画像を撮影するのには巨視的な光学系が適しているが、場合によっては、顕微鏡レンズ系によって表面を精密にスキャンする必要がある。マイクロコロニーの位置データは、画像認識法を用いて自動的に決定することができる。また、画像を表示する画面上でその位置をクリックすることで、マイクロコロニーを視覚的に決定することも可能であり、これにより移動対象を選択することができる。1000個の細菌しか含まないマイクロコロニーは直径約0.05ミリメートルである。このような小ささであっても、照明が適切であれば、写真によって特定することが可能である。好ましい場合には、診断上重要な細菌のマイクロコロニーは、8時間の培養時間後に、数千個〜数万個の細菌を含む。
マイクロコロニーの位置を決定するのに自動画像認識法が使用される場合は、更に、例えばコロニーの形状など、コロニーの特性についてパラメータを特定することにより、同定対象のマイクロコロニーの選択を自動化することが可能である。このパラメータは特に、マイクロコロニーの大きさ、形状、反射強度、及び色に関係し得る。
第1の実施形態において、図1に示すような小型のサンプル支持ピン (3) が、それぞれ端表面 (これは、最大約9平方ミリメートル、好ましくは4平方ミリメートルの大きさ) で、選択されたマイクロコロニーに中心を合わせて押し付けられ、これによって、サンプル支持ピン(3) の端表面に微生物を接触させることにより、微生物をマイクロコロニーから移動させる。直径2ミリメートルの大きさのサンプル支持ピン (3) が図1に示されている。
サンプル支持ピン (3) は、例えば金属又は導電性プラスチックなどの、導電性材料から成っているべきである。これらはマイクロコロニーに手作業で押し付けることができるが、図5の装置のロボットアーム (25) を使用する方が良い。これは、栄養培地の表面の光学的画像から得た位置データにより制御されるものである。より有利なのは図7による装置であり、これも、サンプル支持ピンを保管容器 (19) から取り出し、また戻すことができる。
サンプル支持ピン (3) は、好適なアダプタープレート(10) 内の対応する穴に、精密に上が平らになるよう挿入することができ、これは質量分析計に導入するのに好適である。保管容器(19) が使用される場合は、充填された保管容器の上に、挿入穴を下向きにして、アダプタープレートを単にこの上に置き、両方の容器をひっくり返して、保管容器を再び取り除くことにより、すべてのサンプル支持ピンを一緒にアダプタープレートに移動するのが容易である。サンプル支持ピン(3) の端表面は、粗くても滑らかでもよい。この端表面はまた、図1に示すように、できるだけ多くの微生物を保持し続けられるようにするため、特殊な方法で調製することもできる。サンプル支持ピン(3) は通常、診断方法に有利なように、単回使用向けに設計される。MALDIプロセス及びレーザー脱着のための調製自体も、この端表面上で行うことができる。これについての詳細は下記を参照されたい。
これらのサンプル支持ピン (3) の特殊設計は、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸 (HCCA) の薄い層でコーティングされている。この層は水に不溶である。この層を水で湿らせると、タンパク質を吸着し、よってその外被タンパク質により、層上に微生物がしっかりと保持される。湿らせたサンプル支持ピン(3) が栄養培地の表面の上に押し付けられるとき、これらはわずかにずらすか、又はわずかに異なる場所に押し当てることができ、これによって、マイクロコロニーからの微生物が、より広い表面に広がり、これによって、より多くの微生物を採取することができる。破壊された細胞からの水溶性タンパク質は、周知の通りの方法を使用してこのHCCA薄層に後で埋め込まれる。
別の設計において、サンプル支持ピン (3) の端表面は、ジニトロセルロース又はトリニトロセルロース (二硝酸セルロース又は三硝酸セルロース) の極めて薄い層でコーティングされる。ニトロセルロースはアルコール、アセトン、又はその他の有機溶媒に溶けるため、溶液として塗布してから乾燥させることができる。この層も、水に不溶性であり、水で湿らせてから、栄養培地の表面に接触させることができる。すると、強い吸着力により、微生物の外被タンパク質が吸着される。ニトロセルロースは、被検分子のイオン化のMALDIプロセスの妨げにならない。
また、外被に付着する接着性プラスターに使用されるタイプの接着性コーティングを塗布することもできる。接着性コーティングを備えたサンプル支持ピンは、湿らせることなく、マイクロコロニーの上に数回押し付けるのに最適であり得る。この接着剤は、イオン化のMALDIプロセスを妨げないように配合されなければならない。
サンプル支持ピン (3) の特殊設計において、図1に示すように、HCCA、ニトロセルロース又は接着剤の層が、例えば直径0.8ミリメートルで、端表面の中央領域 (1) のみに塗布される。一方、端表面の境界領域 (2) は疎水性層でコーティングされる。この疎水性境界 (2) は、MALDIサンプルの更なる調製及びサンプル支持ピンの取扱いを単純化する。これにより、例えば、サンプル支持ピンを保管容器(19) に挿入するのが容易になり、ここにおいて疎水性表面のみが挿入穴の凹部に収まり、サンプル支持ピンの後側の端は保管容器から突出するようになる。
これは、サンプル支持ピン (3) をアダプタープレート (10) に挿入した後で調製を行う場合に有利である。調製は、手作業で、又はピペッティングロボット内で行うことができる。微生物は最初に、強酸(通常は蟻酸又はトリフルオロ酢酸 (TFA)) 0.5マイクロリットル程度で調製され、この目的は、細胞壁を破壊するか又は少なくとも大幅に弱めることである。疎水性境界(2) を備えたサンプル支持ピン (3) については、酸の小滴が、中央の親水性領域 (1) に限定されて残る。酸を乾燥させた後、放出されたタンパク質がマトリックス基質と共に調製される。
HCCA薄層では、タンパク質は、アセトニトリル1滴 (約0.5マイクロリットル) により層内に埋め込むことができ、ニトロセルロース層では、マトリックス基質溶液をここで加える必要がある。非接触的堆積プロセスは、少量の液体を堆積させるのに成功することが証明されており、ここにおいて、小さな1滴を制御された方法で中央カニューレの外に押し出し、第2の同心カニューレからの短いガス圧噴出により液滴を放し、標的に落とす。細胞破壊及びマトリックス追加は、強い酸性にしたマトリックス溶液を用いることによって、1回の工程で行うこともできる。
移動方法の第2の実施形態は、サンプル支持プレート (5) の接触表面 (4) に数多くのマイクロコロニーの同時接触移動を行うことに関する。丸形設計のサンプル支持プレート(5) が、図2の例に示されている。ただし、原則として、サンプル支持プレート(5) は任意の形状であり得、直径は1〜8センチメートルであり得、これにより、栄養培地の表面上に軽く押し付けることにより、数多くのマイクロコロニーの微生物を同時に採取することができる。サンプル支持プレート(5) の接触表面 (4) は、栄養培地の表面に対して平行に揃っているべきである。サンプル支持プレート(5) は手作業で押し付けることもできるが、図5による装置により、例えばロボットアーム (25) によって押し付けることもできる。ここにおいてロボットアームは、接触圧力を制御することもできる。このサンプル支持プレート(5) の表面 (4) は、できるだけ多くの微生物を結合させるために、サンプル支持ピンと同様の方法で調製され得る。これは例えば、単に湿らせることができ、又は、接着性若しくは強い吸着性の層でコーティングすることができる。
サンプル支持プレート (5) は更に、特別な形状のアダプタープレート (12) に挿入することもできる。アダプタープレート (12) は外側輪郭を有し、これは質量分析計のイオン源に導入するのに必要である。ここで、サンプル支持プレート上の移されたマイクロコロニーのデジタル画像をカメラで撮影すると、好都合である。移されたマイクロコロニーの位置は、この画像から決定され得る。画像は、サンプル支持プレートがアダプタープレートに挿入された後に撮影することができる。これにより、アダプタープレートに対する相対的な位置が容易に決定できるからである。この位置データは、後で、スペクトル取得の制御に役立てることができる。
個々のマイクロコロニーから得た微生物は、サンプル支持ピンについて上述したのと同様に調製することができる。ただし、質量分析法の撮像のために薄い組織切片を調製するのに同様に開発された方法を使うことが望ましい。ここで、タンパク質の横方向の強い塗布を生じることなく、均一な調製を達成するためには、スプレーミストを使用するのが普通である。この種の調製方法は、特許文献8(M. Schurenberg) に記述されている。ただし、接触表面上の微生物は、比較的丈夫な細胞壁を破壊して細胞破壊されている必要があり、これは薄い組織切片の調製では必要のないプロセスである。なぜならこの場合の細胞は、一方で、すでに切開されており、他方で、丈夫な細胞壁の代わりに薄い膜でのみ覆われているからである。
サンプル支持プレートから得たスペクトルは、全接触表面のスキャンを含み得るが、これは通常、時間がかかりすぎる。よって、デジタル画像からの位置データを使用して、マイクロコロニーの特定された位置と、そのすぐ外側のみを、スペクトル取得に含めることが望ましい。
サンプル支持プレートのスペクトル取得の特別な一実施形態は、ペトリ皿(30) 内の栄養培地の表面に接種された、分析用サンプルの軌跡 (31) に沿ってのみ、質量スペクトルを取得する工程を含み得る (図6)。このためには、例えば長時間露出又はビデオカメラを利用して、栄養培地の表面への分析用のサンプル塗布(接種プロセス) の写真画像を撮影することが必要になる。この方法を使用して、接触表面全体の質量分析を実施することなく、写真では特定できないマイクロコロニーを分析することも可能になる。
2つの好ましい方法の実施例を、ここで多少詳しく説明する。第1の方法はHCCAコーティングされたサンプル支持ピン(3) を使用し、第2の方法はより大きなサンプル支持プレート (5) を使用する。
第1の方法について、微生物は、表面に栄養培地を含むペトリ皿内で約8時間培養されてマイクロコロニーになる。栄養培地を含む表面は寒天培地であり得るが、また、栄養溶液を伴う多孔質膜であってもよく、この場合、例えば直径100ナノメートル未満の孔を備えたシリコーンゴムで製造された膜で、微生物を拾い上げるのがより容易である。ペトリ皿(22) は次に、図5及び7による装置の基部 (20) の上に固定され、栄養培地の表面を、装置に恒久的に取り付けられたカメラ(24) で撮影する。
カメラは、図7に示すカメラとペトリ皿の間の距離に対して、約20マイクロメートル以上の高い空間解像度のものが利用可能である。上述のように、同定可能なマイクロコロニーは50〜200マイクロメートルの直径を有するべきである。より高い空間解像度が必要な場合は、ペトリ皿を動かすことによって、寒天表面のいくつかの部分写真を取得することができる。表面の画像は、モニターに表示され、ユーザーはこれらをクリックすることによって所定の数のマイクロコロニーを選択することができる。選択するマイクロコロニーの数は、分析タスクによって異なり、特に、分析に供給されるサンプルが、単一の微生物種のみを含むことが予想されるか、それとも複数の異なる種を含むことが予想されるかに依存する。異なるタイプのコロニーが見られる場合は、各タイプのコロニーをこの選択に含めることができる。
この装置は更に、制御可能なロボットアーム (25、26、27) を含み、これは保管容器 (図5には示されていない。図7では19) からサンプル支持ピン (3) を取り出し、高い位置精度でペトリ皿 (22) 内の栄養培地表面上に押し付けることができる。サンプル支持ピン (3) の端表面は好ましくは約2ミリメートルの直径を有し、図1に示すように、直径約0.8ミリメートルの大きさの中央領域(1) が、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸 (HCCA) の薄層でコーティングされている。周囲の境界 (2) は幅約0.6ミリメートルであり、疎水性コーティングを有する。ロボットアーム(27) は最初に、サンプル支持ピン (3) の端表面を湿ったスポンジに押し付け、これにより、表面の親水性部分を湿らせる。
ロボットアームは、選択されたマイクロコロニーのひとつの中心に、この端表面をそっと押し付ける。マイクロコロニーは、支持体(28) を正しい位置に動かすことによって移動され、このマイクロコロニーの位置データによって制御される。サンプル支持ピン(3) が金属製の場合は、通常、表面の上でサンプル支持ピンを解放するだけで十分であり、これによって自重により表面上に静置される。サンプル支持ピンを、異なる方向に数分の一ミリメートルほどわずかにずらして動かすことにより、又は繰り返して押し付けることにより、コロニーの直径に対応するよりもわずかに広い面積にわたって微生物を分配するのに役立つ。
薄層コーティングの吸着力とは、特に、その栄養培地が、特に容易に微生物を持ち上げられるような材料である場合に、マイクロコロニー中の微生物全体のうち大きな部分が採取され得ることを意味する。直径0.8ミリメートルの吸着領域 (1) が平均サイズ (約1×2マイクロメートル) の細菌で密にコーティングされた場合、これは25万個の細菌を採取できることになり、これは確かに、マイクロコロニーから十分に多量の微生物を採取することになる。もしマイクロコロニーが約1000個の微生物しか含んでいない場合、そのほぼ全てが接触表面に移動され得ることが、初期の実績で示されている。
サンプル支持ピン (3) は次に、例えば第2ロボットアーム (図5には示されていない) により把持することができ、これによって、サンプル支持ピンを回し、アダプタープレート(10) の密着孔内に挿入することができる。しかしながら、サンプル支持ピンは、送達プレート(19) 内の最初に置かれていた空き位置に戻すこともできる。すべてのサンプル支持ピンがマイクロコロニー由来の細菌でコーティングされた後、ピンがアダプタープレート(10) に移される。アダプタープレート (10) は、ピン状のサンプル支持体すべてと一緒に、使用する質量分析計内に挿入できる形状を有する。
サンプル支持ピン (3) の端表面は、飛行時間質量分析計内でイオンの均一な加速領域の形成のために平らで障害のない表面を後で提供するため、アダプタープレート(10) の表面に正確に揃って平らでなければならない。マイクロタイタープレートの形状及び寸法を有するアダプタープレート(10) は、8×12 = 96本のサンプル支持ピン(3) を保持することができる。最高384本のサンプル支持ピンをより高密度に詰めることも可能であるが、必ずしも好都合ではない。96個のマイクロコロニーの接触移動のために必要な時間は、写真を撮影し評価することが必要な、培養済みペトリ皿の数に大きく依存する。一般に、この作業は15分程度で完了し得る。アダプタープレート (10) に十分な数のサンプル支持ピン (3) が挿入されたら、サンプルの調製を開始することができる。この調製は、特に、接触なしに滴下できるピペッティングロボットで良好に実施することができる。
微生物は最初に、その丈夫な細胞壁を弱めるか又は破壊することにより、細胞破壊の調製を行う必要がある。通常通り、これは例えば蟻酸又はトリフルオロ酢酸などの酸により行うことができる。このために、わずか約0.5マイクロリットルの溶液を、各サンプル支持ピン (3) の親水性中央領域 (1) に適用する必要がある。液滴はこの領域に保持され、周囲の疎水性境界領域(2) には流れ出ることができない。わずか数分後に、細胞壁が十分に弱くなり、例えば減圧可能な乾燥器にこのアダプタープレート(10) を入れることによって、酸を乾燥させることができる。次に、約0.5マイクロリットルのアセトニトリル/水混合液を加え、これが細胞内に浸透して細胞を破裂させ、これによって内部の水溶性タンパク質が放出される。同時に、アセトニトリルは、HCCA薄層の上部分にわずかに溶解する。アセトニトリルの蒸発により、再結晶化が起こり、ここにおいて吸着により結晶表面上に保持されているタンパク質分子の多くが、結晶格子内に取り込まれる。
イオン化のMALDIプロセスの感度は、例えば、イオン化を抑制することが知られているNa+ 又はK+ などの塩イオンの除去によっても高めることができる。これは例えば、マトリックス溶液にクエン酸アンモニウム又は酒石酸アンモニウムを加えることによって、あるいは、3,4-ジアミノベンゾフェノン (DABP) などの耐塩性マトリックス基質を使用することによって、達成することができる。単純な洗浄も効果的である。0.5マイクロリットルの脱イオン水を適用し、吸引により除去することによって、イオン化のMALDIプロセスを阻害し得る塩及びその他の物質の大半が除去される。
すべての液体が、接触することなしに小さな液滴の形状で堆積するならば、新しいピペットチップを毎回使用する必要がなくなり、特に好ましい。無接触堆積は、1マイクロリットル未満の少量の液体を堆積させることに関して成功していることが証明されている。ここにおいて、小さな液滴は、制御された方法でマイクロカニューレから押し出される。液滴は、第2の同心カニューレからの短いガス圧噴出により、中央のマイクロカニューレから放出され、標的の上に垂直に落下する。すべてのサンプル支持ピンから洗浄水を同時に除去するために、1枚の吸い取り紙をアダプタープレート上に置いて、すぐに取り去ることができる。
96個のサンプルの調製は、10分未満で実施することができる。完全に調製されたMALDIサンプルを備えたアダプタープレート (10) を、次に、質量分析計のイオン源内に、減圧ロックを介して導入することができる。それぞれ数百の個々のスペクトルから構成される質量スペクトルの取得には、現代の質量分析計ではサンプル当たりわずか1秒程度しか必要としない。同定プログラムが十分な速度で動作することができれば、96個のMALDIサンプルの同定結果は、アダプタープレートを導入してから5分未満で入手することができる。培養の完了後の作業、すなわち接触移動、サンプル調製、及びスペクトル取得に必要な合計時間は、約30分間程度になる。
ここで説明される第2の方法は、より大きなサンプル支持プレート(5) で、複数のマイクロコロニーからの微生物を同時に取り出すことと、接触表面上の微生物の準備のタイプに関する。
微生物をペトリ皿内で培養し、ペトリ皿上のマイクロコロニーの写真を撮影した後、サンプル支持プレート(5) を、例えば図5に示すような装置によって、栄養培地の表面に押し付ける。この実施例におけるサンプル支持プレート(5) は、直径2.5センチメートルの円形であり、微生物の外被タンパク質に対して強い吸着性をもたせるために、ニトロセルロースの薄層でコーティングされる。装置は、事前にユーザーが選択した栄養培地の表面の領域に、調節可能な接触圧力で、サンプル支持プレート(5) を押し付けることができる。ここでサンプル支持プレート (5) を数分の一ミリメートルほどわずかにずらして動かすことにより、わずかながらより広い面積にわたって微生物を分配することができる。
栄養培地の表面から引き上げた後、サンプル支持プレート (5) を、他のサンプル支持プレート (5) と共に、アダプタープレート (12) の表面に挿入して、平らに揃うようにすることができる。アダプタープレート(12) は、使用する質量分析計内に挿入できる形状を有する。
好適な照明を用いて、挿入されたサンプル支持プレート (5) を備えたアダプタープレート (12) の高解像度デジタル画像が撮影される。この画像は、移動された微生物コロニーを示し、アダプタープレートの位置マーカーに対する相対的な位置を決定する役目を果たす。サンプル支持プレートの接触表面が高度に磨かれている場合、照明がこの表面に斜めに入射し、微生物は、暗色の背景上に散乱する光によって高感度で特定することができる。
アダプタープレートをここで、マトリックス支援レーザー脱離によるイオン化のために調製することができる。これは、単純なスプレーガンを用いて微細なエアロゾルを生成するか、又は好ましくは、この目的のために特別に開発されたスプレー装置(「ImagePrep」、Bruker Daltonik GmbH、ドイツ・ブレーメン) 内で、行うことができるスプレー装置は液体をミストにし、この微小液滴が表面上に均一に堆積する。堆積した液滴の密度は、横方向の流動をほぼ防ぐよう制御することができる。スプレーと乾燥の時間は制御された方法で交互に行うことができ、これは薄い組織切片の調製について周知である。
微生物の堅牢な細胞壁は、最初に、蟻酸又はトリフルオロ酢酸をスプレーすることによって弱める必要がある。次にマトリックス基質の溶液をこの上にスプレーすることによって、細胞壁を完全に破壊し、細胞内から水溶性タンパク質を放出させる。ここでスプレーと乾燥を交互に行うことにより、微結晶が成長し、微生物細胞からの水溶性タンパク質の埋め込みが増加する。この手順は、微晶質層が、約2〜3マイクロメートルの厚さに達したときに終了される。
マトリックス材料が非水溶性の場合は、微晶質表面をここで単に純水ですすいで、すべての塩及びその他の有害な水溶性物質を除去することができる。ほぼ連続的な微晶質層を生成するために、非常に細かい固体の結晶核の懸濁液を、噴霧により塗布し、乾燥させてから、マトリックス溶液をこの上にスプレーすることができる。結晶核は、例えば、非常に細かい粉末石英砂からなり得る。結晶核により、表面全体にわたってマトリックス材料を確実に結晶化させる。
アダプタープレート (12) が、質量分析計に導入される。質量分析計のイオン源は、数マイクロメートルの位置精度でアダプタープレートを2方向に動かせるような装置を含む。デジタル画像内のマイクロコロニーの位置データとリンクさせることにより、これで、サンプル支持プレート上のこれらのコロニーの微生物の位置を、個別に選択して分析することができる。同定可能なマイクロコロニーすべてを分析することができ、あるいは、自動的に選択されたマイクロコロニーのみを分析することができ、あるいは、ユーザーが事前に視覚的に選択したコロニーのみを分析することができる。
質量スペクトルに由来する微生物同定が、デジタル画像上のマイクロコロニーに対して再び割り当てられる。これにより、モニター上のマイクロコロニーをクリックすることで、その種の名前を表示させることができる。特に、分析されたサンプルが診断用サンプルの場合、結果を表の形式で出力して、サンプルを採取し質量分析機関に分析を依頼した医師に、これを渡すことができる。
この方法では、いくつかのマイクロコロニーが、小さすぎるか、又は適合照明条件下であってもマイクロコロニーとサンプル支持体の表面との間の色の対比がないために、デジタル画像上で同定されていない可能性を除外することは不可能である。この危険が存在する場合、栄養培地の表面に塗布したサンプルの軌跡(31) を、MALDI法のレーザーショットで分析的にスキャンすることによる、特別な方法を使用することができる。これには、例えば長時間露出の固定カメラ又はビデオカメラによって、分析サンプルの塗布(接種) を記録及び文書化することが必要となる。
通常、分析用サンプルは、図6に示す軌跡(31) に図示されているように、数回往復する動きでジグザグ状に手作業で塗布される。この軌跡をいったん文書化すると、質量分析計内のアダプタープレートが、塗布の軌跡を一連のスペクトル取得で分析的にサンプル採取できるように動くことができる。これにより、目に見えないけれども十分な数の微生物が形成されているマイクロコロニーがあれば、それらも含めることが可能になる。
上述の、2つの移動及び調製方法は、様々な異なる方法で改変又は拡張することができる。特に、ペトリ皿内に残る微生物を引き続き培養し続け、サンプル支持ピン又はサンプル支持プレートを用いて微生物を取り出した後に、長い培養時間後ではあるが、より成長の遅い微生物をも発見及び同定することができる。成長の早い微生物のマイクロコロニーは破壊するか、機械的に除去することが好都合である場合がある。ここでも、短い培養時間の後に撮影したデジタル画像が、長い培養後の追加のコロニーを発見するのに役立つ。次に、サンプル支持ピン又はサンプル支持プレートで、最初のサンプリングで同定された元のマイクロコロニーと同じようにして、マイクロコロニーを取り出すことができる。
特に成長の遅い、けれども危険な微生物が存在することが疑われる場合は、この方法の特殊な一実施形態において、栄養培地の入ったペトリ皿を好適な間隔(例えば8時間毎) で繰り返し、マイクロコロニーの成長を調べることができる。関心対象ではない、成長の速い微生物が存在し、かつそれが干渉を引き起こす場合には、これらの微生物のマイクロコロニーをこれらの分析サイクルで破壊するか、又は、必要な場所でサンプル支持ピンで接触採取した後に、完全に除去することができる。これにより、成長の速い微生物が成長の遅い微生物を駆逐してしまう危険性を低減する。成長の遅い微生物は、指定された特徴(例えばその成長の遅さ) を使用して同定することができるが、また、例えばコロニーの形状及び色などの他の特徴も使用することができ、次に、サンプル支持ピン上への接触移動により栄養培地表面から取り出され、分析に供される。
図5に示すもの以外の装置も、接触移動に使用することができる。例えば、複雑なロボットアームではなく、単に垂直にのみ動かせる装置(例えば圧電制御リニアモーター又は小型ベローなど) で、栄養培地の表面にサンプル支持プレート又はサンプル支持ピンを下ろすことができる。ベローの長さ及び接触圧力は、小さなポンプによって制御することができる。図7は、サンプル支持ピンを下ろすための小型のリニアモーター (27) を備えたそのような装置を示す。栄養培地の表面のあらゆる位置に到達できるようにするため、栄養培地の入った皿(22) は、移動装置 (28) の上に載せられ、この装置は皿を水平面の2方向に動かすことができる。そのような装置は自動化が可能である。
サンプル支持プレート又はサンプル支持ピンの垂直の動きに関する装置 (27) は、好ましくは、支持カラム上の継手 (26) を中心に2つの角位置の間で回転することができ、これによって、一方で、カメラの見通し線を妨げないまま、他方で、保管容器(19) からサンプル支持プレート又はサンプル支持ピンを取り出すことができる。これらの保管容器(19) は更に、水平に移動可能なテーブル (29) の上にあり得る。図7は、例として、4×6 = 24個のサンプル支持ピンを備えた保管容器 (19) を示す。このサンプル支持ピンは、微生物でコーティングされた後、保管容器に戻すことができる。保管容器において、端表面の疎水性境界(2) のみが、挿入穴の凹みに収まる。この境界は微生物でコーティングされていないため、微生物の損失がない。
上述のように、MALDIイオン化の代わりに、サンプル支持体の上の層にある基質の、他の数多くのタイプのイオン化を使用することができ、例えば、EP 1 200 984 B1号によるクラスター衝撃イオン化、特許文献6による脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、又は、特許文献7によるマトリックス支援レーザー脱離エレクトロスプレーイオン化(MALDESI) が挙げられる。MALDESIを除き、質量分析用サンプルの調製は、本質的に、サンプル支持体上の微生物の細胞破壊を含む。

Claims (19)

  1. マトリックス支援レーザー脱離によるイオン化装置を備えた質量分析計における栄養培地表面の微生物の質量分析のための方法であって、該方法が、次の工程:
    (a)サンプル支持体の接触表面の、栄養培地表面への直接接触により、微生物を移動する工程、
    (b)該移動された微生物を前記サンプル支持体の前記接触表面上で細胞破壊し、かつ、該破壊された微生物の分子成分を、MALDIサンプルとして調製する工程、及び
    (c)該MALDIサンプルを備えた前記サンプル支持体を、該質量分析計に移して、分析を行う工程、
    を含む、方法。
  2. ピン形状サンプル支持体の端表面が、微生物に接触し、該ピン形状サンプル支持体の該接触表面が非常に小さいため、個々のコロニーの微生物のみが該ピン形状サンプル支持体に移動される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記微生物が移動された後、前記ピン形状サンプル支持体がアダプタープレートに挿入され、該ピン形状サンプル支持体の端表面が本質的に、アダプタープレートの表面と揃って平らになるようにされる、請求項2に記載の方法。
  4. 次の工程:
    栄養培地の表面の画像を取得する工程、
    該画像から、コロニーの位置を決定する工程、
    決定された該位置の微生物を、それぞれにおいてピン形状サンプル支持体に接触移動させる工程、
    該ピン形状サンプル支持体を、アダプタープレートに挿入する工程、
    該ピン形状サンプル支持体の上の微生物から、MALDIサンプルを調製する工程、
    該アダプタープレートを質量分析計に導入する工程、及び、
    該アダプタープレート中の該ピン形状サンプル支持体の該位置で、マトリックス支援レーザー脱離によるイオン化のスペクトルを取得する工程、
    を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ピン形状サンプル支持体の前記端表面が、9平方ミリメートル未満の表面を有する、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. プレート形状サンプル支持体が、微生物に接触し、該プレート形状サンプル支持体の該接触表面が非常に大きいため、複数のコロニーの微生物が該プレート形状サンプル支持体に同時に移動される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記微生物が前記プレート形状サンプル支持体に移動された後に、前記接触表面の画像が取得され、該プレート形状サンプル支持体上の該移動された微生物の位置が、該画像から決定される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記撮像の後、MALDIサンプルが前記決定された位置でのみ調整され、かつ、前記質量分析が該調製されたMALDIサンプルでのみ実施される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記撮像の後、マトリックス溶液が前記サンプル支持体の接触表面全体に適用され、かつ、前記質量分析が該決定された位置でのみ実施される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記分析のためのサンプルを、前記栄養培地の前記表面に接種する際に、該接種の軌跡を記録し、かつ、前記質量分析が該記録された軌跡に沿ってのみ実施される、請求項6に記載の方法。
  11. 前記サンプル支持体上の前記微生物が、好適に攻撃的なマトリックス溶液を加えることによって細胞破壊される、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記微生物が、前記栄養培地の前記表面で8時間未満培養されてから、前記サンプル支持体に移動される、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記栄養培地の前記表面が、培養プロセス中に微生物コロニーの成長について繰り返し検査され、コロニーが検出されたときに接触移動が行われる、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記サンプル支持体の前記接触表面が、タンパク質吸着性又は接着性領域を備えて調製される、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 質量分析計における栄養培地表面の微生物の質量分析のための方法であって、次の工程:
    (a)サンプル支持体の接触表面の、栄養培地上の1又は複数のコロニーへの直接接触により、前記接触表面に微生物を移動する工程、
    (b)該移動された微生物を前記サンプル支持体の前記接触表面上で細胞破壊する工程、及び、
    (c)該破壊された微生物の分子成分を備えた前記サンプル支持体を、前記質量分析計に導入して分析を行う工程、
    を含む、方法。
  16. 分子成分の質量スペクトルを参照用質量スペクトルと比較することにより、栄養培地表面で成長した微生物を同定するための方法であって、次の工程:
    (a)サンプル支持体接触表面を、該栄養培地上の1つ以上のコロニーと直接接触させることにより、微生物を移動させる工程、
    (b)該移動された微生物を細胞破壊し、その分子成分を調整して、該サンプル支持体接触表面上で質量スペクトルを取得する工程、及び、
    (c)該調製されたサンプルを備えた該サンプル支持体を、質量分析計に導入する工程、及び、
    (d)該微生物の該分子成分の質量スペクトルを取得してその同定を行う工程、
    を含む、方法。
  17. 分子成分の質量スペクトルを参照用質量スペクトルと比較することにより、栄養培地表面で成長した微生物を同定するための装置であって、
    サンプル支持体(3, 5)の接触表面を、該栄養培地上の1つ以上のコロニーと直接接触させることにより、微生物を移動させる機構(25, 26, 27)と、
    該移動された微生物を細胞破壊し、その分子成分を調整して、該サンプル支持体接触表面上で質量スペクトルを取得する手段と、
    該調製されたサンプルを備えた該サンプル支持体を、質量分析計に導入する手段と、
    該微生物の該分子成分の質量スペクトルを取得してその同定を行う手段と、
    を含む、装置。
  18. 1つ以上のコロニーの位置を決定するため前記栄養培地を撮影するカメラ(24)をさらに有する、請求項17に記載の装置。
  19. 前記サンプル支持体(3, 5)が挿入されるアダプタープレート(10, 12)をさらに有する、請求項17又は請求項18に記載の装置。
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