JP6884568B2 - 防振機構 - Google Patents

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本発明は、防振機構に関する。
輪転機など一定の振動数で大きな鉛直振動を生じる機器は、そのまま基礎に設置すると周辺に大きな振動障害を生じることから、基礎との間に空気バネなどバネ要素を介して浮き基礎を設置することが多い。また、エアロビクスのスタジオやホール等の施設では、大人数が曲に合わせた運動により床を加振することから、やはり振動障害を生じることがあり、防振対策が求められている。
このような振動障害を回避するための一般的な防振対策として、振動源となる人や機器を載せた床や基礎を構造体に一体化するのではなく、浮き床や浮き基礎として構造体に柔らかいバネ要素を介して支持する防振機構が採用されている(例えば、特許文献1および2参照)。
具体的な実施例として、浮き床の適用した際の振動モデルを図10(a)に示す。
特開2008−82541号公報 特開平11−30278号公報
上記のような振動が生じる機器や施設において、ある特定の振動数の加振力による反力がそれ以外の振動数の加振力による反力と比べて大きくなることから、問題となることが多い。これに対してできるだけ簡易に対応できる方策が求められている。
図10(b)に加振力に対する反力の倍率を振動数伝達関数として示す。振動数1Hz(共振時)の倍率は減衰が大きいほど低減するが、高振動数域では減衰が小さいほど小さくなる(防振性能が向上する)ため、減衰定数h=0.05程度に設定されることが多い。一般に、共振振動数は防振対象振動数の1/3〜1/5程度となるよう設定されるため、共振振動数で大きな加振入力が生じる可能性は小さい。しかしながら、万一1Hzで加振された際には加振力の10倍もの反力が生じて、バネ要素が損傷したり浮き床が構造床に衝突したりする虞がある。特許文献1では、特定の加振振動数に対する防振性能を高めるようにしているが、これと同時に共振域での応答低減も対象としたものはない。
そこで、本発明は、減衰を小さくして高振動数域での防振性能を確保しつつ、共振点での過大な応答を抑制できる防振機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る防振機構は、構造体に支持バネ要素を介して設置された振動体が加振された際に前記構造体へ作用する反力を低減させるための防振機構において、前記構造体と前記振動体との間に前記支持バネ要素と並列に設置され、前記構造体と前記振動体との相対変位の絶対値が所定値以上となった際に作用する付加バネ要素を有し、前記付加バネ要素は、前記構造体と前記振動体との相対変位の絶対値が所定値以上となり、前記構造体と前記付加バネ要素とが相対変位した場合および、前記振動体と前記付加バネ要素とが相対変位した場合のいずれの場合でも作用することを特徴とする。
本発明では、構造体と振動体との相対変位の絶対値が所定値以上となった際に作用する付加バネ要素を有することにより、共振時の振幅の大きい応答に対して付加バネ要素が作用して剛性が大きくなるため、固有振動数が変化して当初の共振振動数から外れ加振力に対する反力を低減させることができる。また、付加バネ要素は、構造体と振動体との相対変位の絶対値が所定値以上とならないと機能しないことにより、高振動数域の振幅の小さい応答しては、付加バネ要素が設けられず支持バネ要素のみが設けられている場合と同じ防振機構となる。このため、防振対象となる振動数領域(高振動数域)においては、付加バネ要素を追加しても減衰が大きくならないため、固有振動数が増加せず、高振動数域で防振性能が低下することを防止できる。
また、従来の防振機構と比較して付加バネ要素を付加した構成であるため、特殊な装置・技能や施工法は不要となり、付加バネ要素の設置以外においては、従来の防振機構の施工方法を採用することができる。
また、本発明に係る防振機構では、前記付加バネ要素は、前記構造体および前記振動体のいずれか一方に連結された第1部材と、前記構造体および前記振動体のいずれか他方に連結されて、前記第1部材と相対変位可能に構成された第2部材と、前記第1部材と第2部材との間に設けられた弾性体と、を有し、前記第1部材と第2部材との相対変位の絶対値が所定値以上になると前記弾性体が変形して復元力が生じるようにしてもよい。
このような構成とすることにより、共振時における変位量が所定値以下に留まり、共振時に生じる反力(支持バネ要素と付加バネ要素の合計)を低減させることができる。
また、本発明に係る防振機構では、前記弾性体は、皿バネであってもよい。
小型軽量で大きな復元力を有する皿バネを使用することにより、共振時の振幅の大きい応答に対して加振力に対する反力を効率よく低減させることができる。
また、本発明に係る防振機構では、前記弾性体は、積層ゴムであってもよい。
積層ゴムのもつ復元力と履歴減衰により、共振時の振幅の大きい応答に対して加振力に対する反力を効率よく低減させることができる。
また、本発明に係る防振機構では、前記支持バネ要素は、非線形バネであってよい。
支持バネ要素に非線形バネが用いられた場合と、線形バネが用いられた場合とでは、支持バネ要素に自重が作用した際の沈下量が同じとすると、支持バネ要素に非線形バネが用いられた場合の方が、線形バネが用いられた場合よりも、自重が作用した際の剛性(接線剛性)を小さくすることができる。このため、例えば、支持バネ要素に複数の皿バネを採用する場合、線形皿バネを用いるより非線形皿バネを用いた方が皿バネ1枚当たりの剛性が小さくなり、直列配置する皿バネの枚数を減らすことができる。これにより、防振機構のコンパクト化およびローコスト化を図ることができる。
本発明によれば、減衰を小さくして高振動数域での防振性能を確保しつつ、共振点での過大な応答を抑制できる。
本発明の実施形態に係る防振機構の振動モデルの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る付加バネ要素の履歴特性(荷重−変形関係)を示す図である。 (a)は本発明の実施形態に係る付加バネ要素の構成を示す図、(b)は(a)A−A線断面に対応する図である。 (a)は変位量x=xの引張時の付加バネ要素を説明する図、(b)は変位量x>xの引張時の付加バネ要素を説明する図、(c)は変位量x=−xの圧縮時の付加バネ要素を説明する図、(d)は変位量x<−xの圧縮時の付加バネ要素を説明する図である。 (a)は支持バネ要素の皿バネの縦断面図、(b)は支持バネ要素の皿バネの荷重特性線図のグラフである。 (a)は本実施形態による防振機構と従来の防振機構との時刻歴応答解析の比較における加振波形を示すグラフ、(b)は従来の防振機構の振動モデルに対して時刻歴応答解析を行った際の反力波形を示すグラフ、(c)は従来の防振機構の振動モデルに対して時刻歴応答解析を行った際の変位波形を示すグラフである。 (a)は本実施形態に係る防振機構の振動モデルに対して時刻歴応答解析を行った際の反力波形を示すグラフ、(b)は本実施形態に係る防振機構の振動モデルに対して時刻歴応答解析を行った際の変位波形を示すグラフ、(c)は本実施形態に係る防振機構の振動モデルに対して時刻歴応答解析を行った際の付加バネ要素の応答波形を示すグラフである。 本実施形態に係る防振機構の変位伝達関数図である。 (a)は本実施形態に係る防振機構の変形例の付加バネ要素を説明する図、(b)は(a)B−B線断面に対応する図である。 (a)は従来の防振機構の振動モデルを示す図、(b)は従来の防振機構の変位伝達関数図である。 従来の防止機構の加振力振幅における加振振動数と加振力に対する反力倍率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態による防振機構について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態による防振機構1は、共振振動数における応答低減効果を飛躍的に向上させるために、図10(a)に示す従来のバネマス系の振動モデルの防振機構100に所定変位以上となった場合のみに剛性を有して作用する付加バネ要素14を付加している。
図1に示すように、本実施形態による防振機構1は、構造体床(構造体)11と構造体床11と相対変位可能に設けられた質量Mの浮き床(振動体)12との間に設けられており、バネ剛性Kの支持バネ要素13と、バネ剛性Kの付加バネ要素14と、減衰係数Cの減衰機構15と、を有している。支持バネ要素13および減衰機構15は、公知の形態となっている。
支持バネ要素13、付加バネ要素14、および減衰機構15は、構造体床11と浮き床12との間に並列に設けられている。
図2には、付加バネ要素14の履歴特性(荷重−変形関係)を示している。本実施形態では、付加バネ要素14のバネ剛性Kを1〜4Kとしている。付加バネ要素14が剛性を有する所定変位以上の所定変位x(以下、ギャップ寸法xとする)は、加振力の最大値Fが静的に支持バネ要素13に作用したときの変位x(以下、静的支持バネ要素変位xとする)=F/Kの0.4〜2倍とし、以下の式で表される。
=(0.4〜2.0)x=(0.4〜2.0)F/K
図3(a)および(b)に示すように、付加バネ要素14は、同軸に配列された複数の皿バネ2,2…と、配列された複数の皿バネ2,2…の配列方向の両端にそれぞれ配置された一対の押板3,3と、一対の押板3,3の配列方向の両端にそれぞれ配置された一対の加力ナット4,4と、複数の皿バネ2,2…、一対の押板3,3および一対の加力ナット4,4を支持する棒状のロッド(第1部材)5と、内部にロッド5に支持された複数の皿バネ(弾性体)2,2…、一対の押板3,3および一対の加力ナット4,4が配置されるシリンダ(第2部材)6と、を有している。
ロッド5とシリンダ6とは、同軸に配置されている。ロッド5およびシリンダ6の軸線が延びる方向を軸線方向とする。ロッド5とシリンダ6とは、軸線方向に相対変位可能に構成されている。本実施形態では、軸線方向が上下方向となり、軸線方向の一方側となる下側に構造体床11が設けられ、軸線方向の他方側となる上側に浮き床12が設けられている。ロッド5が構造体床11(図1参照)に固定され、シリンダ6が浮き床12(図1参照)に固定されている。
構造体床11と浮き床12とが軸線方向に相対変位すると、ロッド5とシリンダ6とが軸線方向に相対変位するように構成されている。
複数の皿バネ2,2…は、中央部にロッド5が挿通される孔部21が形成されている
一対の押板3,3は、複数の皿バネ2,2…と略同じ外径に形成され、中央部にロッド5が挿通される孔部31が形成されている。一対の押板3,3のうちの一方を第1押板32とし、他方を第2押板33とする。第1押板32は、複数の皿バネ2,2…の軸線方向の一方側に配置され、第2押板33は、複数の皿バネ2,2…の軸線方向の他方側に配置されている。
一対の加力ナット4,4は、一対の押板3,3の孔部31よりも大きい外径に形成され、中央部にロッド5が挿通される孔部41が形成されている。一対の加力ナット4,4のうちの一方を第1加力ナット42とし、他方を第2加力ナット43とする。一方の第1加力ナット42は、第1押板32の軸線方向の一方側に配置され、第2加力ナット43は、第2押板33の軸線方向の他方側に配置されている。
複数の皿バネ2,2…、一対の押板3,3および一対の加力ナット4,4は、軸線方向に同軸に配列された状態で、それぞれの孔部にロッド5が挿通されている。これらは、軸線方向の一方側から、第1加力ナット42、第1押板32、複数の皿バネ2,2…、第2押板33、第2加力ナット43の順に配列されている。
複数の皿バネ2,2…および一対の押板3,3は、ロッド5と軸線方向に相対変位可能に構成されている。一対の加力ナット4,4は、ロッド5に固定されている。
複数の皿バネ2,2…と、一対の押板3,3は、軸線方向(上下方向)に配列されているため、初期状態では、隣り合う皿バネ2,2どうし、および隣り合う皿バネ2と押板3とがほとんど弾性変形せずに当接するように配置されている。
また、第1加力ナット42と第2加力ナット43との間隔は、初期状態における複数の皿バネ2,2…を介して配置された第1押板32と第2押板33との互いに離間する側の面を結ぶ寸法と略同じ寸法に形成されている。
シリンダ6は、円筒状の円筒部61と、円筒部61の軸線方向の一方側に設けられた第1円板部62と、円筒部61の軸線方向の他方側に設けられた第2円板部63と、を有している。第1円板部62および第2円板部63には、それぞれ中央部に孔部64が形成されている。孔部64は、一対の加力ナット4,4およびロッド5は挿通可能で、複数の皿バネ2,2…および一対の押板3,3は挿通できないように構成されている。
複数の皿バネ2,2…および第1押板32および第2押板33がシリンダ6の内部に配置されると、第1押板32がシリンダ6の第1円板部62の軸線方向の他方側に配置され、第2押板33がシリンダ6の第2円板部63の軸線方向の一方側に配置される。
第1円板部62と第2円板部63との間の寸法は、初期状態の第1押板32と第2押板33とが互いに離間する側の面を結ぶ軸線方向の寸法よりもギャップ寸法xの2倍だけ長く形成されている。初期状態では、配列された複数の皿バネ2,2…および一対の押板3,3の軸線方向の中央が、シリンダ6の円筒部61の軸線方向の中央に位置するように、ロッド5とシリンダ6とが配置されている。このため、初期状態では、第1押板32と第1円板部62との間、および第2押板33と第2円板部63との間には、それぞれギャップ寸法xと同値のクリアランスが設けられている。
図4(a)に示すように、振動によって初期状態から構造体床11と浮き床12とが互いに離間する方向に引っ張られるように相対変位し、相対変位量がギャップ寸法xと同値となると、第1押板32と第1円板部62とが当接する。このため、初期状態から構造体床11と浮き床12とが互いに離間する方向の相対変位量が0〜ギャップ寸法xまでの間は、複数の皿バネ2,2…は加力されない状態となる。
そして、構造体床11と浮き床12とが互いに離間する方向にさらに引っ張られるように相対変位し、図4(b)に示すように相対変位量がギャップ寸法xを超えると、第1押板32と第1円板部62とが互いに押し合うため、第1押板32を介して複数の皿バネ2,2…が加力される。これにより、複数の皿バネ2,2…に構造体床11と浮き床12とを互いに近接させる方向の復元力が生じるため、変位振幅を抑制することができる。
また、図4(c)に示すように、振動によって初期状態から構造体床11と浮き床12とが互いに近接する方向に圧縮されるように相対変位し、相対変位量がギャップ寸法xと同値となると、第2押板33と第2円板部63とが当接する。このため、初期状態から構造体床11と浮き床12とが互いに近接する方向の相対変位量が0〜ギャップ寸法xまでの間は、複数の皿バネ2,2…は加力されない状態となる。
そして、構造体床11と浮き床12とが互いに近接する方向にさらに圧縮されるように相対変位し、図4(d)に示すように相対変位量がギャップ寸法xを超えると、第2押板33が第2円板部63とが互いに押し合うため、第2押板33を介して複数の皿バネ2,2…が加力される。これにより複数の皿バネ2,2…に構造体床11と浮き床12とが互いに離間させる方向の復元力が生じるため、変位振幅を抑制することができる。
支持バネ要素13には、皿バネ131が採用されている。
想定される振動が生じた際の加振力は、支持バネ要素13に作用する自重に対して数%にすぎない。このため、支持バネ要素13は、想定される振動が生じた際の加振力の範囲で概ね線形であればよいことになる。
固有振動数1Hzの防振機構に線形バネを適用すると、自重による沈下量は約250mmとなる。皿バネ131の1枚当たりの変形量は数mmしかないため、大量の枚数の皿バネ131,131…が必要となる。一方、固有振動数1Hzの防振機構に非線形バネを適用すると、自重作用時の剛性(図5(b)の矢印Cで示す使用範囲における接線剛性に相当)に対し自重による沈下量が250mmとなればよいため、接線剛性が線形時のβ倍なら沈下量は250βとなる。また、このとき皿バネ131の1枚当たりの荷重は線形バネのα倍となる。したがって、必要な皿バネ131の枚数は、β/α倍となる。
図5(a)、(b)に示す皿バネ131を採用した場合、皿バネ131のたわみ可能なたわみ寸法をh、板厚をtとし、h/t=1.4として、固有振動数1Hzの防振機構に非線形バネを適用した際の自重作用時の剛性は図5(b)の矢印Cで示す接線剛性に相当し、β=1/4、α=1.25となり、必要な皿バネ131の枚数はβ/α=1/5倍となる。このように、支持バネ要素13に設ける皿バネ131の枚数を大幅に減らすことができ、支持バネ要素13のバネ部分の長さを短縮することができる。これにより防振機構1のコンパクト化およびローコスト化を図ることができる。
なお、施工時の自重による沈下量を抑制する方法としては、バネ部分に自重に相当するプレロードをかけて縮めた状態でロックして設置し、防振対象の浮き床12を施工した後にロックを解除する方法が考えられる。
次に、本実施形態による防振機構1と図10に示す防振機構100とを、加振された際の加振波形および時刻歴応答解析の結果の比較について説明する。
試算例として、浮き床12の上に設けられたスタジオで利用客が運動し、3〜4Hzで卓越する加振によって振動障害が懸念される構造床を対象とする。振動源の加振振動数を3〜4Hzとし、防振機構1,100の固有振動数を1Hzとして検討する。
従来の防振機構100は、本実施形態による防振機構1と同様に、構造体床11と構造体床11と相対変位可能に設けられた質量Mの浮き床12との間に設けられており、バネ剛性Kの支持バネ要素13と、減衰係数Cの減衰機構15と、を有している。従来の防振機構100には、本実施形態による防振機構1のような付加バネ要素14は、設けられていない。この防振機構による反力応答倍率を図11に示すが、減衰定数h=0.05とすれば加振振動数3〜4Hzでは応答倍率が1/10程度と小さくなり、振動障害の恐れは生じない。しかし、万一固有振動数(共振振動数)で加振された場合には応答倍率が10倍にもなり振動障害が懸念されることから、共振振動数で加振された場合について時刻歴応答解析で検討を行う。
加振力の加振波形を図6(a)に示す。
振動モデルA、Bの諸元は以下とする。
Figure 0006884568
従来の防振機構100の振動モデルBの反力波形を図6(b)に示し、変位波形を図6(c)に示す。本実施形態による防振機構1の振動モデルAの反力波形を図7(a)に示し、変位波形を図7(b)に示す。また、本実施形態による防振機構1の振動モデルAの付加バネ要素14の応答波形を図7(b)に示す。
図6(b)に示すように、従来の防振機構100の振動モデルBでは、最大反力が699938N≒700KNとなり、加振力Fの約10倍となることがわかる。また、図6(c)に示すように、従来の防振機構100の振動モデルBでは、浮き床12の最大変位が0.157m=157mmとなり、静的変位の10倍となることがわかる。
これに対し、図7(a)に示すように、本実施形態による防振機構1の振動モデルAでは、最大反力が219502N≒220KNとなり、加振力Fの約3.1倍となることがわかる。また、図6(c)に示すように、本実施形態による防振機構1の振動モデルAでは、浮き床12の最大変位が0.0264m=26.4mmとなり、静的変位の約1.7倍となることがわかる。
このように、本実施形態による防振機構1では、付加バネ要素14を備えていない従来の防振機構100と比べて、加振時の最大反力および最大変位を抑えることができる。
また、図7(c)に示すように、本実施形態による防振機構1では、付加バネ要素14には変位量がギャップ寸法x(16mm)を超えた場合のみに反力が生じ、浮き床12の変位を抑制することがわかる。
本実施形態による防振機構1の振動モデルAでは、付加バネ要素14のバネ剛性Kは、小さすぎると変位の抑制効果がなく、大きすぎると所定変位に達した後に過大な反力を生じてしまうため、支持バネ要素13のバネ剛性Kの1〜4倍の値を設定することが好ましい。
また、付加バネ要素14のギャップ寸法xは、防振対象となる振動数領域における変位より大きな値を設定する。一般的に防振対象振動数域は、防振機構の固有振動数(共振振動数)の3倍以上であり、この振動数域で防振機構にバネ剛性を追加することは防振性能を低下させることとなるからである。
また、図8および縦軸を対数軸表示した図10(b)に示す従来の防振機構100の振動モデルBの変位伝達関数図より、共振振動数の2倍において応答変位が静的支持バネ要素変位xの0.4倍程度となることから、これ以上の振動数で付加バネ要素14の影響を排除するためにもx≧0.4xとすることが望ましい。
一方、ギャップ寸法xを大きくするほど付加バネ要素が効きにくくなる。ギャップ寸法xを付加バネ要素14を設けていない従来の防振機構100の振動モデルBにおける最大変位(図6(c)では157mm)以上とすると、付加バネ要素14が全く効かないことになる。
図8および図10(b)では、最大応答変位xと静的支持バネ要素変位xとの比を変位応答倍率と称している。変位応答倍率は、減衰定数をhとすると1/(2h)で表され、h=0.05ならば10となる。
付加バネ要素14を共振振動数±20%の範囲で作用させる場合は、変位応答倍率が2以上となりx≦2.0xとなる。以上より、ギャップ寸法xは、加振力Fに対する静的変位(静的支持バネ要素変位)xの0.4〜2.0倍と設定することが望ましい。
ギャップ寸法xの設定:0.4x≦x≦2.0x
次に、上述した本実施形態による防振機構1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による防振機構1では、構造体床11と浮き床12との相対変位の絶対値が所定値以上となった際に作用する付加バネ要素14を有することにより、共振時の振幅の大きい応答に対して付加バネ要素14が作用してバネ剛性が大きくなり共振を外れるため、加振力に対する反力を低減させることができる。また、付加バネ要素14は、構造体床11と浮き床12との相対変位のギャップ寸法x以上とならないと機能しないことにより、高振動数域の振幅の小さい応答しては、付加バネ要素14が設けられず支持バネ要素13のみが設けられている場合と同じ防振機構となる。このため、防振対象となる振動数領域(高振動数域)においては、付加バネ要素14を追加しても剛性が大きくならないため、固有振動数が増加せず、高振動数域で防振性能が低下することを防止できる。
また、従来の防振機構100と比較して付加バネ要素14を付加した構成であるため、特殊な装置・技能や施工法は不要となり、付加バネ要素14の設置以外においては、従来の防振機構100の施工方法を採用することができる。
また、付加バネ要素14の複数の皿バネ2,2…は、構造体床11と浮き床12との相対変位量がギャップ寸法x以上となると弾性変形するため、ギャップ寸法xを共振時の変位とすることにより、共振時に複数の皿バネ2,2…の復元力によって加振力に対する反力を効率よく低減させることができる。
以上、本発明による防振機構の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、防振機構1を構造体となる構造体床11と振動体となる浮き床12との間に設けているが、例えば地盤と浮き基礎との間など、構造体床と浮き床12との間以外の相対移動可能な構造体と振動体との間に設けてもよい。
また、上記の実施形態では、付加バネ要素14のロッド5が構造体床11に固定され、シリンダ6が浮き床12に固定されているが、ロッド5が浮き床12に固定され、シリンダ6が構造体床11に固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、付加バネ要素14に複数の皿バネ2,2…を用いているが、付加バネ要素14には複数の皿バネ2,2…に代わって、例えば、図9に示す付加バネ要素14Bのように構造体床11と浮き床12との相対変位量の絶対値が所定値以上となった際に作用する積層ゴム141を用いてもよい。
このような付加バネ要素14Bは、例えば、構造体床11および浮き床12(図1参照)の一方に固定された板材5Bと、構造体床11および浮き床12の他方に固定され板材5Bと振動方向(上記の実施形態の軸線方向に相当)に相対変位可能な筐体6Bと、筐体の内部に固定された2つの積層ゴム141,141と、を有している。
2つの積層ゴム141,141は、それぞれフランジ142,142に挟まれていて、振動方向に変形可能に構成されている。2つの積層ゴム141,141は、振動方向に直交する方向に板材5Bを介して配列された状態でそれぞれ筐体6Bに固定されている。
板材5Bには、2つの積層ゴム141,141の振動方向の両側にギャップ寸法xをあけて積層ゴム141,141が設けられている側にそれぞれ突出する一対の加力部材4B,4Bが設けられている。
板材5Bは、2つの積層ゴム141,141と振動方向に相対変位可能に構成されているが、板材5Bと筐体6Bとの相対変位量がギャップ寸法xを超えると、一対の加力部材4B,4Bのいずれか一方が2つの積層ゴム141,141の互いに対向する側のフランジ142,142それぞれに振動方向から当接し、2つの積層ゴム141,141それぞれを変形させて復元力が作用することになる。
このような積層ゴム141,141を用いた付加バネ要素14Bが設けられた防振機構の場合も、皿バネ2,2…を用いた付加バネ要素14が設けられた上記の実施形態による防振機構1と同様の効果を奏することができる。
1 防振機構
2 皿バネ(弾性体)
11 構造体床(構造体)
12 浮き床(振動体)
13 支持バネ要素
14,14B 付加バネ要素
15 減衰機構
141 積層ゴム(弾性体)

Claims (5)

  1. 構造体に支持バネ要素を介して設置された振動体が加振された際に前記構造体へ作用する反力を低減させるための防振機構において、
    前記構造体と前記振動体との間に前記支持バネ要素と並列に設置され、前記構造体と前記振動体との相対変位の絶対値が所定値以上となった際に作用する付加バネ要素を有し、
    前記付加バネ要素は、前記構造体と前記振動体との相対変位の絶対値が所定値以上となり、前記構造体と前記付加バネ要素とが相対変位した場合、および前記振動体と前記付加バネ要素とが相対変位した場合のいずれの場合でも作用することを特徴とする防振機構。
  2. 前記付加バネ要素は、前記構造体および前記振動体のいずれか一方に連結された第1部材と、
    前記構造体および前記振動体のいずれか他方に連結されて、前記第1部材と相対変位可能に構成された第2部材と、
    前記第1部材と第2部材との間に設けられた弾性体と、を有し、
    前記第1部材と第2部材との相対変位の絶対値が所定値以上になると前記弾性体が変形して復元力が生じることを特徴とする請求項1に記載の防振機構。
  3. 前記弾性体は、皿バネであることを特徴とする請求項2に記載の防振機構。
  4. 前記弾性体は、積層ゴムであることを特徴とする請求項2に記載の防振機構。
  5. 前記支持バネ要素は、非線形バネであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防振機構。
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